「ガールズ&パンツァー(TVアニメ動画)」

総合得点
88.3
感想・評価
3197
棚に入れた
14031
ランキング
117
★★★★☆ 4.0 (3197)
物語
4.0
作画
4.1
声優
3.9
音楽
3.9
キャラ
4.0

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ネタバレ

ピピン林檎 さんの感想・評価

★★★★★ 4.8
物語 : 5.0 作画 : 5.0 声優 : 4.5 音楽 : 4.5 キャラ : 5.0 状態:観終わった

チームワーク、リーダーシップ、騎士道精神 《ガルパンは何故これほど面白いのか考えてみた》

2012年制作のアニメでは、あのSAOさえ抜いてダントツで面白かった記憶のある本作について、私は既に6-7周はしているはずですが、今公開中の劇場版を鑑賞しにいく下準備として更にもう一周してみました。

これが、相変わらず「面白い」。

ほんと、下記の★評価のとおり、どの回も全く隙のない面白さで、そのうえ最終回にはそれまでのエピソードをちゃんと踏まえての大きな感動(いわゆる大団円というヤツ)がジーーンとやってくる、という"締め"も実に完璧に決まった"王道の中の王道"の堂々の名作、と改めて感じ入りました。


◆各話タイトル&評価

★が多いほど個人的に高評価した回(最高で星3つ)
☆は並みの出来と感じた回
×は脚本に余り納得できなかった疑問回

======= ガールズ&パンツァー (2012年10-12月、2013年3月) =======
{netabare}
第1話 戦車道、始めます! ★ 大洗女子学園の戦車道復活
第2話 戦車、乗ります! ★ 戦車さがし
第3話 試合、やります! ★ 校内模擬戦
第4話 隊長、がんばります! ★★ 対聖グロリアーナ女学院戦(練習試合)
第5話 強豪・シャーマン軍団です! ★ 対サンダース大付属高戦(全国大会1回戦)
第6話 一回戦、白熱してます! ★★ 続き
第7話 次はアンツィオです! ★  対アンツィオ高戦(全国大会2回戦)
第8話 プラウダ戦です! ★★ 対プラウダ高戦(全国大会準決勝)
第9話 絶体絶命です! ★★ 続き、大洗女子学園の廃校の危機が明かされる
第10話 クラスメイトです! ★ 続き、対黒森峰高戦(全国大会決勝)
第11話 激戦です! ★★ 続き
第12話 あとには退けない戦いです! ★★★ 続き{/netabare}
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★★★(神回)1、★★(優良回)5、★(良回)6、☆(並回)0、×(疑問回)0 ※個人評価 ★★ 4.8

OP 「DreamRiser」
ED 「Enter Enter Mission」


== ガールズ&パンツァーOVA これが本当のアンツィオ戦です! (2014年7月) ==

全1話 ★ {netabare}対アンツィオ高戦(全国大会2回戦)の詳細{/netabare} 個人評価 4.3

OP/EDはTV版と同じ


=========== 劇場版ガールズ&パンツァー (2015年11月) ===========

全1話 ★★ {netabare}エキシビション戦・新たな廃校の危機・対大学選抜戦{/netabare} 個人評価 4.6

主題歌「piece of youth」


◆劇場版を見て、改めて確認したガルパンの面白さ

今回、満を持して公開されたガルパン劇場版ですが、私の個人的感想として、

{netabare}(1) 1回目鑑賞時は、どうしても新たなストーリーを追うことに注力していたせいで、序盤は「う~ん、TV版に比べると今ひとつかな?」みたいな気持ちに傾きかけてしまいましたが、中盤を過ぎ終盤に入った頃には、本作の劇場版ならではの圧倒的迫力にすっかり魅せられて、見終わった頃には「早く2回目見に来なくっちゃ!」になっていました。

(2) 2回目鑑賞時は、今度はストーリーが頭の中に入っているので、余裕を持って、本作の細かな描出や個々の会話の持つ意味合いをじっくり読み取っていく感覚を楽しめました(3回目はさらにこの感覚を強く楽しめることでしょう)。{/netabare}

そして思ったこと。

「ガルパンは、やっぱりガルパンだった♪」

これまで、TV版を繰り返し見てきて、

「でも、ガルパンの面白さ・魅力っていったい何だろう?それを言葉できちんと表現するとしたら、何になるのだろう?」

と考えあぐねてはレビューを書けないできたのですが、それでも、それは多分ココだ!という自分なりの考えはあって、それは

"チームワーク、リーダーシップ、騎士道精神"

の3つのキーワードだったんです。
で、今回劇場版を見て、改めて「やっぱり、そうだったんだ」と、まるで上の問いの答え合わせをしてもらったような、ちょっと嬉しい気持ちになれました。


◆ガルパンは、なぜこれほどまでに面白いのか?(面白さの3要素)

(1)チームワーク

{netabare}戦力面では圧倒的に不利なはずの大洗女子学園が、強豪校を相手に全国大会を勝ち進めたのは、全体のチームワーク(各々の戦車間の連携プレイ、および各戦車内の乗組員の連携プレイ)が他校に比べて抜群に良かったからですが、そうした他校に大きく優るチームワークを生み出せたのは、以下に示す2つのリーダーシップが存在したからでした。{/netabare}

(2)リーダーシップ

{netabare}大洗女子学園の戦車道チームには異なる二重のリーダーシップが存在しました。

 <1> ひとつ目は、生徒会長(角谷杏)の戦略的リーダーシップ
 <2> ふたつ目は、作戦指揮官(西住みほ)の戦術的リーダーシップ

生徒会長(角谷杏)のリーダーシップは、同校の戦車道チームの進路をキッチリと指し示すタイプのもの。
(①戦車道チームをまず作り、②その作戦指揮官として西住みほを抜擢する。③指導教官を呼んで最初の模擬戦をする。④その結果を見て最初の練習試合を企画する。⑤全国大会では各戦に向けて出来る限りの資源調達・戦力増強を図る)
この中でも、作戦指揮を唯一の戦車道経験者である西住みほに"丸投げ"した点は実に思い切りが良かったと思いました。
まさに「有能な怠け者」(「有能な怠け者」は有能であるが故に事の是非を決することができる。 そして怠け者であるが故に他人を用いて任せることもできるので上に立つ者として最適である。・・・とするハンス・フォン・ゼークト(ドイツ陸軍を再建した軍人)の人材活用論)と呼ぶのがピッタリの貢献でした。

次に作戦指揮官(西住みほ)のリーダーシップは、個々の戦闘で、与えられた戦力を最大限に発揮できるようにチーム全体をリードするタイプのもの。
そのために西住みほが、おそらく無自覚のうちに採ったのが"有機的リーダーシップ"で、他校の作戦指揮が"直線的リーダーシップ"に片寄っていたために、戦力面では圧倒的に優位なはずの強豪校を大洗女子学園は僅差ながらも次々と撃破していくことが出来たのでした。

因みに"直線的リーダーシップ"とは、上意下達が徹底していて最高指揮官の命令一下、総員が一糸乱れず動き出すリーダーシップのスタイルで、大部隊の場合は必然的にこのスタイルが効率的となりますが、その反面、これでは個々の構成員の独自判断が生まれにくく、状況変化への対応が遅れがちとなってしまう、といわれています。

一方"有機的リーダーシップ"は、個々の構成員の独自判断を許容するので状況変化への対応が早いのですが、その反面、個々が勝手に行動してチーム全体の指揮系統を乱してしまう危険が伴う(対プラウダ戦序盤の失敗を見よ)ので、"下意上達"の経路確保が肝要となります。
で、西住みほの場合は、「いつも何だかアワアワしていて頼りない」雰囲気なので、周りの人たちが「私が何とか頑張って彼女を支えてあげなければ・・・」という気持ちになるんですね。
そうして大洗女子学園の個々の構成員がほぼ漏れなく「有能な働き者」(上記のハンス・フォン・ゼークトの言葉)となるので、チーム全体の生産性が非常に上がります。
これで、各員が作戦指揮官である西住みほへの行動許諾の確認(下意上達)さえ怠らなければ、同校の(1)チームワークは最高度に発揮されることになります。

→逆にいうと、西住みほのリーダーシップは、「自分がまず一歩引くことで、個々の構成員の自主性の発揮に期待をかけるスタイル」ということになると思います。
ここが、彼女と他校の指揮官達との最大の違いですね。

但し、ここでもう一つ注意すべきは、各対戦での作戦プラン(こそこそ作戦とかコッツン作戦etc.)自体は、彼女が予め大枠を決めている(大枠を決めたうえで、個々の判断を各構成員に委ねている)という点です。
西住みほは西住流の家元の娘だけあって、やはり戦術眼が抜群に高いんですね。
前年に自身も対戦したプラウダ高校(カチューシャ隊長)や、実姉で西住流の権化である西住まほの指揮する黒森峰高校の作戦行動パターンを対戦中にかなり的確に先読みして、見事に出し抜いています。{/netabare}

本作はこのように、大洗女子学園戦車道チームの、(1)チームワークの良さと、(2)西住みほ(および生徒会長)のリーダーシップの高さ、の描出が相乗効果を呼んで、非常に説得力が高く見応えのある良内容になっていると評価できると思いますが、それにプラスして、さらにもう一点、素晴らしい見どころがありました。
それは・・・

(3)騎士道精神

{netabare}これは、スポーツマンシップと言い換えても良いかも知れません。
戦う時は、正々堂々と力の限り相手と対し、戦いが終われば、互いに相手の健闘を讃え合う。
練習試合で大洗女子学園に辛勝した聖グロリアーナ女学院も、全国大会で惜敗したサンダース大付属高校・プラウダ高校・黒森峰高校も(そしてOVAではアンツィオ高校さえも)、それぞれこの点では他校に一歩も劣らぬ見事な態度を見せてくれました。{/netabare}

もし本作が、大洗女子学園側の、(1)チームワークと、(2)リーダーシップの素晴らしさを描いただけで終わっていたら、"痛快"ではあっても、"爽快"な名作という印象は余り残らなかったでしょう。

でも、本作は、対戦校側の、見事な(3)騎士道精神をも確り描き出したことで、まさに"爽やか"でいつまでも印象に残る傑作に仕上がった、と言えるのではないでしょうか。


なんだかベタ褒めのレビューとなってしまいましたが、本作は本当に欠点の見当たらない、1クール作品としては、『魔法少女まどか☆マギカ』、『響け!ユーフォニアム』、と並んで最も完成度の高いアニメ作品と個人的には思っており、もっともっと多くの方々に見てもらいたい作品の筆頭です。

*(2018年1月26日) 誤字修正

投稿 : 2018/11/16
閲覧 : 931
サンキュー:

62

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