おなべ さんの感想・評価

2.9
物語 : 2.0 作画 : 2.5 声優 : 3.5 音楽 : 3.5 キャラ : 3.0 状態：観終わった

仲間がいるってのはいいことだ…

「カゲロウプロジェクト」というVOCALOIDの楽曲から、小説や漫画にまで派生したナウなヤングにウケウケなプロジェクト。原作の楽曲のことや物語は全く把握してない状況から、どれどれナウいアニメもちょっくら見てみよかい！と気合い入れ込んで視聴していました。


これは…どうでしょう。私目の理解力の無さも到底関係してますが、先ず軸となるストーリー自体が最終話まで見てもハッキリしなくて、どういう目線で見たら良いのか、分からず仕舞いでした。
始めはメカクシ団という「赤い目」を持つ少年少女が目の特殊能力を使って馬鹿騒ぎやらお調子に乗るストーリーだとばかり思っていました。しかし、能力を生かした展開は3話のテロリストの時と最終話位しかない気がしました。
何を話に持って来るかと言うと、目の能力を利用した面白可笑しい展開は二の次で、基本”裏設定”を掘り下げていくのです。メカクシ団が出来た経緯とか、メカクシ団の初代団長はこういう人だったとか、キャラや設定を詳しく知る為に必要な要素だとは思うんですが、そもそもメカクシ団自体何をやる組織なのかわからんもんなので、あまり話の軌道に乗れなかったです。


キャラクターに対しても同じ印象で、途端に過去のエピソードばかり焦点に当てます。過去のお話はコイツは表面上はこう見えるけど実は…！という意外性を発見する上で少しは必要かなーと思うのですが、あまりにキャラの事を語り過ぎて目新しい発見も薄く、お腹いっぱいになってしまいます。「登場人物たちが自分の心境をペラペラと口にする」シーンが多く、尺の都合とは言え、表情の変化や展開で思いを伝える要素が回避されているのは一番好きになれなかったかなあと感じました。キャラクターの掛け合いに関しても、削っても差し支えが無さそうな喋りが多かったのは脚本家さんの力不足であるように感じました。


素材や設定は非常に良いものの、肝心の表面上の設定はそれほど描写せず、設定が生まれて来た経緯を早く深く描写した為に付いて行けなくなってしまいました。
いろいろ残念な部分ばかり挙げましたが、どんな作品にも良い所は必ずあります。この物語は特殊な力を持った挙げ句普通の人のようには暮らせない、世知辛い異能者が出てきます。皆とは違うし嫌な思いも沢山して来た、だけど自分を理解してくれる支えてくれる仲間がいる。1人っぼちでは決して無い。誰にも頼らずたった独りで闘い苦悩し、最後は破滅の道を辿るような運命に翻弄される悪魔男とか悪魔人間女とか、そういった哀しい人物を見て来た身分にとっては、「メカクシ団」のように周りに仲間がいるのはとても頼もしいものです。皆と一緒ならやっていけるかもしれない、最終話のシンタローが振り向くシーンは未来に対して前向きに捉えられる良いシーンでした。