オムニバスで短編集なおすすめアニメランキング 1

あにこれの全ユーザーがおすすめアニメのオムニバスで短編集な成分を投票してランキングにしました!
ランキングはあにこれのすごいAIが自動で毎日更新!はたして2024年04月24日の時点で一番のオムニバスで短編集なおすすめアニメは何なのでしょうか?
早速見ていきましょう!

66.3 1 オムニバスで短編集なアニメランキング1位
ロボットカーニバル(OVA)

1987年7月1日
★★★★☆ 3.7 (25)
147人が棚に入れました
オリジナルビデオアニメが隆盛となった1980年代中盤に、作家性を前面に押し出して製作されたオムニバス作品である。大友克洋は本作ではオープニング、エンディングを担当しているが、短い時間に大友アニメのエッセンスが詰まっている。タイトルロゴの英字は、ディテールいっぱいに構造物が判別できるよう描き込まれた建造物。それが機械として走って来る構図や、オモチャ箱的で遊園地のような中身が丁寧に段取りを踏んで崩壊していく映像など、まさしく『スチームボーイ』の縮図と言っても良い光景がそこにある。他の作家がそれぞれ「ロボット」をお題に独特の世界を展開する中で、大友克洋はちょっと肩の力を抜いた映像主体の短編をつくりあげている。

Anna さんの感想・評価

★★★★☆ 3.9

”ロボット”をテーマにした、おもちゃ箱の世界!

8人のクリエータが「ロボット」をテーマで作ったオムニバス作品です!1987年に発売。

"OPENING""ENDING”は大友克洋が担当。
けたたましい花火やファンファーレと共にロゴが登場し、家々を破壊しながら進んでゆきます。さながら、ハウルの動く城のようです。

★森本晃司監督「フランケンの歯車」
初監督作品!世界征服を企むマッドサイエンティストの老人が、野望のためにロボットを作り上げるというお話。
細部まで描かれており、老人のロボットへの並々ならぬ愛と希望が伝わってきます!ロボットが立ち上がる数分間は、すばらしい出来!シュールなBGMをバックに、あの演出は鳥肌ものです!

★大森英敏監督「DEPRIVE」
捕われた少女を奪い返すため自らを戦闘ロボットへと改造し、悪と戦うヒーロー物語。
とんでもない変身っぷりです!敵キャラがハデハデしく印象的。スピード感にあふれ、音楽も架橋になるにつれてテンションアップ!
まさしく、"―完―"という感じでした。

★梅津泰臣監督「プレゼンス」
ロボットである男の首を、少年達が蹴り上げる画から始まる、なんとも奇妙な作品。淡い色彩と繊細で丁寧な絵がとても素敵です。
人物の1つ1つの動作が美しく、見せ方がとても上手!今見ても、色使いが斬新できれいに見えます。作品も音楽も、少し切ない仕上がりになっています…。

★北爪宏幸監督「STAR LIGHT ANGEL」
遊園地での、女の子達のゆれる想いを描いた作品。絵も音楽もまさにこの時代のアニメという感じです!表情豊かな顔の演技が印象的。突如暴れだす悪役ロボットが、かなりハイクオリティーです!

★マオラムド監督「CLOUD」
監督が、かつて自費出版した落書き集「雲と少年」を元にして作り上げたフィルム。鉛筆画と淡い色合いだけで描かれた、絵画的なファンタジー作品。
ロボットは、まっすぐまっすぐ歩き続けます。その上で、雲がゆれ、雨が降り始め、嵐に変わり荒れ狂います。限られた色と線だけで動く映像が、とても洗練されていて印象的。最後にロボットが振り向いた瞬間にとても感動しました。

★北久保弘之監督「明治からくり文明奇譚~紅毛人襲来之巻~」
他監督と作風がまったく違って、舞台は江戸の雰囲気と西洋が織り交ざった日本。街に巨大なからくりロボットが現れ、人々を襲います。愛嬌あるキャラクターが印象的。ロボットの腕がもげてしまう場面は笑えました。

★なかむらたかし監督「ニワトリ男と赤い首 」
深夜の新宿、魔物達の饗宴を見てしまった酔っぱらいの男が、怪人ニワトリ男に追いかけまわされるお話。
動きが活き活きしていて、ディズニーのアニメのよう。たまに出る、影絵的な演出が面白いです!
魔物たちの暴れ狂う姿は迫力があります。

ENDINGは情緒的な音楽のあと、ロゴを爆破することでがっちり締めくくられています!
全部通して見ると、おもちゃ箱にもぐりこんだ気分でした。
こうしてみると、本当にすばらしいアニメは時代を経ても色あせないことを、ますます実感しました。
個人的には、森本晃司監督と梅津泰臣監督の作品が好みです。
このような企画を、今の時代でもやってくれれば話題になると想うのですが・・・。

満足度120%のおもちゃ箱作品でした!

投稿 : 2024/04/20
♥ : 3

Etzali さんの感想・評価

★★★★☆ 3.6

OP映像だけでもいいから、観て下さい! いや、マジで!!

(2013.6/20)

ロボットを通して、破壊と創造、正義と悪、理想と現実、愛と苦悩を描いた8つの作品短編集。

中でも、作画・音楽・キャラデザともに最高だったのは3つめ「プレゼンス」。もうこれだけで、1クール作品作ってほしいぐらいです。

「プレゼンス」の監督である梅津泰臣さんは、2014年3月現在放送中の『ウィザードバリスターズ 弁護士セシル』の監督なのでレンタル・もしくは全話配信があれば観てみたいですね。

その「プレゼンス」の内容はイノセンスでも取り扱われている、人形は人ではないのか?と問いかけたり、人とそのエゴから生まれた恋愛感情を綺麗かつ切なく描写しているかと思います。

また大友克洋さんも参加していて、彼が手がけた作品は「AKIRA」・「MEMORIES」と観ましたが何で毛嫌いしていたんだろうと自分でも不思議なくらい大友克洋さんの凄さを魅せつけられた作品です。

因みに大友さんがOP・EDアニメーションを担当している訳ですが、そのアニメーションの丁寧・繊細さは圧巻です!

何というか異質な世界観なんですが、どこか惹きこまれてしまう。独特な雰囲気なので好き嫌いが分かれるのかも…

短編アニメ作品で初めてお気に入りのモノに出会えました(^^)

投稿 : 2024/04/20
♥ : 13

nyaro さんの感想・評価

★★★★★ 4.1

ロボットに関するテーマを俯瞰した作品。

 オムニバス形式のロボットをテーマにしたアニメです。ロボットアニメのテーマ性を俯瞰するのもいいし、有名クリエータの力試しを観賞するもよし。非常に興味深く面白い作品です。

 冒頭のOPからロボットカーニバルと描かれた巨大ロボットが出てきます。キャラは一目でわかる大友克洋氏。移動都市の理不尽さがコミカルなアニメの中に不穏なものを感じます。

 1話目はフランケンシュタインもの、です。アンドロイドの暴走と破壊問題です。ロボット、AIなどの負の側面です。まあ、類例は数知れずでしょうね。開発者が地球のようなオブジェを持っていることから、技術による地球征服を目論んだ因果応報とも取れなくはないです。

 2話目はロボットが大切な主人のために自らを改造し戦いに行く話です。ロボット軍団に奪われた少女をロボットが助けに行きます。テーマとしてはロボットの使命と使途そして主人との関係などです。「ビートレス」などにつながるテーマです。「キャシャーン」のロボットによる軍団のイメージも強く感じます。

 3話目は人造の美少女もの、です。働き者の妻に対する不満からか、人造の美少女ロボットを愛でる話です。「おれ等じゃん」という感じでクリエータの自己投影でもあるのでしょう。
 美少女ロボットが「意思」を持ってしまい、愛を訴えられますがそれは主人公の望むものでは無かった。それで破壊するというところが、ポイントになります。我々の2次元やロリなどに対するスタンスと重なります。
 そして、主人公が老後を迎えたときに…という話で、2次元あるいは人工の美少女から逃れられない男の悲哀を感じます。梅津泰臣の美少女が見ものです。

 4話目はロボットはあんまりテーマ的には関係ありません。友達と二股をかけられた少女の前に現れた男の話です。映像的にはロボットですけどね。逆にカッコ悪いロボットに見えるものに恋をする=ルッキズムの否定=本当の恋、と言う風にとれます。恋愛もののストーリーのコア部分と言えるでしょう。

 5話目はロボットと命…早く人間になりたい?でしょうか。核兵器のような映像が出てくるのと、女神のようなイメージが印象的に描かれるます。「火の鳥」のような永遠性を読み取ればいいのかもしれませんし「星の人」のように死ぬことによって、人間と等価になる、と見てもいいかもしれません。

 6話目は日本の職人パワーで西洋機械文明の侵略に立ち向かうという話です。伝統技術の凄さを表した作品でしょう。

 7話目は機械文明の反乱です。これもキャシャーン的です。一人というか一台の原付バイクが機械文明の反乱に組せず、人間の男を助ける…という話に見えます。意図は違うかもしれませんが。
 最近では「VIVY」の終わりの方などでもありましたが、本来人間とパートナーであるはずの機械が氾濫を起こすとは「使いかたを間違える」ということになるでしょう。

 で、EDです。丸い玩具のようなロボットが爆発します。そして冒頭でてきた移動都市のようなものが壊れます。

 全体的にロボット=人間にとっては便利だけど牙をむくと怖い、ロボットと人間の関係性、ロボットの意思などのテーマが描かれていたと思います。

 私的には3話の妻に隠れて美少女ロボットを愛でる話に感情移入しました。映像的にはどれも見ごたえはありますが、2話、7話が良かったです。5話は詩的でいいんですけど作りすぎかなあ。6話が話もテーマもつまらなかった印象です。1話は平凡、4話はなんじゃこりゃ、ですね。

 ということで、ロボットをめぐるテーマを俯瞰したような作品で、難解さは無く比較的分かりやすく含意を提示してくれている気がします。考察や歴史の確認の練習にもいいし、考察の楽しさを知るきっかけになるのではないでしょうか。

 絵も奇麗だし、昔のアニメでゴージャスな作画でした。オムニバスなのでストーリーやキャラに5や4.5はつけ辛いですが、満足度は高い作品です。

投稿 : 2024/04/20
♥ : 5
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