シリアスで友情なおすすめアニメランキング 72

あにこれの全ユーザーがおすすめアニメのシリアスで友情な成分を投票してランキングにしました!
ランキングはあにこれのすごいAIが自動で毎日更新!はたして2024年04月20日の時点で一番のシリアスで友情なおすすめアニメは何なのでしょうか?
早速見ていきましょう!

88.7 1 シリアスで友情なアニメランキング1位
聲の形(アニメ映画)

2016年9月17日
★★★★★ 4.1 (1496)
7399人が棚に入れました
聲の形」は、聴覚の障害を持つ少女・西宮硝子と、彼女へのいじめに加担していた過去を持つ少年・石田将也の物語で、2人の衝突や再会を通して、孤独や絶望、愛などが描かれている。

声優・キャラクター
入野自由、早見沙織、悠木碧、小野賢章、金子有希、石川由依、潘めぐみ、豊永利行、松岡茉優
ネタバレ

scandalsho さんの感想・評価

★★★★★ 5.0

障がい、いじめ、生と死、そして母の愛

原作未読。
劇場でも視聴しましたが、いろいろと考えさせられることの多い作品だったため、繰り返し視聴してからレビューしたいと思い、BD購入後のこのタイミングでレビューします。

【初めに】
この作品は多くの方に見て欲しい作品です。
高校生の恋愛物語なんかじゃありません。
障がい、いじめ、生と死、母の愛・・・。重いテーマを次々と投げかけてくる作品です。
そして、見終わった後、色々と考えさせられる作品です。

様々な思いの中で、少しずつ成長していく石田将也、西宮硝子、西宮結絃、そして植野直花が見どころです。

【物語】
これだけ重いテーマをよくも2時間の枠に収めたな!と感心するくらい良くできていると思います。
時間の都合上、少々強引な展開もありましたが、それをマイナス要素とするのは酷でしょう。

【作画】
京アニですからね、全く問題無いでしょう!(笑)
特に花火のシーンは鳥肌ものでした。

【声優】
なんといっても早見沙織さんでしょう。
硝子が言葉を発する度に鳥肌が立つほどの怪演。
{netabare}小学生のころ、将也と取っ組み合いの喧嘩をした硝子が発した言葉が、最初に劇場で視聴した時には理解できませんでした。
BDで繰り返し視聴をして、『頑張って!』と聞こえた時には感動しました。{/netabare}

将也の少年時代を演じた松岡茉優さんに賛否があるようですが、私はとても良かったと思いました。

【音楽】
THE WHOの「MY GENERATION」は良かった。
aikoの主題歌は好みが分かれるかも・・・。

【キャラ】
「植野直花」
一見、理に適っているようなことを言ってはいるが、実は一番自分勝手・・・に見えるキャラ。
高校生になった硝子の立場から見れば一番の敵キャラだし、『嫌い』って人が多いだろうな?
実は私もそうだったし・・・。
それだけに、最後の{netabare}手話{/netabare}には感動した。
良かった。ちゃんと成長してるじゃん!

「将也の母」
私の印象は、子供には甘いけど、責任感の強い母親。
{netabare}硝子いじめの謝罪の際、片耳から流血しながら、声も荒げずに「明日からいい子にするんだよ、ね」は衝撃的だった。
硝子の母と植野の喧嘩を止めたシーンも良かった。{/netabare}

「硝子の母」
私の印象は、子供に厳しく、だけど誰よりも子供を愛する母親。
{netabare}重度の聴覚障害のある硝子を普通学級に通わせるとか、小学生には酷なんじゃないかと思った。
しかし、硝子は聴覚に障害があるだけで、知能に障害がある訳ではない。
愛娘の将来の事を考え抜いて出した、苦渋の決断だったんだと思った。

それは、後半のシーンからもうかがえる。
高校生になった将也が硝子を一緒にいるところを見かけると問答用無用にビンタ。
そして、硝子を責める植野にも問答用無用にビンタ。
愛娘を守るためには手段を選ばずに全力で立ち向かっていく母親の姿だと思った。{/netabare}

【最後に】
極力ネタバレ無しでと思っていたんですけど、結局ネタバレだらけになってしまいました。スミマセン。
ネタバレついでに、最後に少しだけ付け加えたいと思います。

{netabare}この作品を視聴して、本当に色々なことを考えさせられました。

【障がいを持つ人とどう接するのが正解なのか?】
本作の硝子のように聴覚障害を持つ人との接し方。
将也や佐原のように手話を覚える?
  それができれば一番いいんだろうけど・・・。
  現実には、手話を知らない人が多いんじゃないかな?
  もちろん私もその一人。
「大きな声でゆっくり話せば分かるんだから」と言った植野。
  これも決して間違いではないと思っている自分がいる。

大事なことは相手の立場に立つことだと思う。
ただ、優しく接すればいいというわけでもないのだと思う。

【これって「いじめ」ですか?】
いじめがダメなんてことは、誰しも理解していることだと思う。
だけど、どうだろう?
『私の職場(学校)ではいじめなんてありません!」
そう断言できる人は少なくないと思う。だけど、
『誰かを無視したり、悪口言ったりとかありません!』 
そう断言できる人がどれだけいるだろう?
悪口・陰口くらいなら、恐らく多くの人が身に覚えがあるのでは?
『悪口・陰口くらい誰でもやってるよね?このくらいなら”いじめ”じゃないよ』

それではなぜ、佐原は不登校になったのだろう?

【母親の愛ってすごい】
将也の母、硝子の母。
タイプは全く違うけど、子供に対する愛情と責任感の強さは計り知れない。
謝罪のためにピアスを引きちぎった将也の母親。
同じく謝罪のために、公衆の面前で土下座をした硝子の母親。
どちらも本当に立派だと思った。

そして、何より、自分の身の回りの人に同じようなことをさせてはならないと思った。{/netabare}

投稿 : 2024/04/20
♥ : 140
ネタバレ

shino さんの感想・評価

★★★★☆ 3.9

美しい人

60年代のロックアンセム、
THE WHOの「MY GENERATION」が、
オープニングを告げる。

小学校時代回想。
退屈な毎日を単なる好奇心や面白半分で、
耳の聞こえない少女を虐める主人公。
あまりにも度がすぎて学級裁判となり、
自分がクラスから断罪され孤立する。
{netabare}保身の為、主人公を売るクラスメイトたち。
罪人の烙印、どこにでもある無自覚な悪意。
正当化される弱さ、悪意の同調圧力。{/netabare}
ヒロイン硝子の心は何度死んだのだろうか。

心を掴まれたシーンがあります。
それは硝子が持つ筆談ノートでの何気ない日常。
{netabare}そのノートに言葉を綴り、必死に周りと、
コミュニケートしようとするその少女の姿に。
拒絶され、からかわれても、
けなげに笑おうとする少女の姿に心が震える。{/netabare}

高校生現在、再会。
償うこと、許すこと。
{netabare}自分のせいでバラバラに、
壊れてしまったものと向き合う硝子。
自己嫌悪と後悔の狭間で揺れ、
他人から目を伏せて生きる主人公。{/netabare}
これは現代の罪と罰なのか。

犯した罪はいつ許されるのでしょうか。
そもそも許されるものなのでしょうか。
どうか幸せになって下さい。

心の美しい人になりたい。

今はただそう願います。

投稿 : 2024/04/20
♥ : 115

Dkn さんの感想・評価

★★★★★ 4.1

誰かが感動にむせび泣く涙は冷や汗になって流れ落ちる

聲の形を観るにあたって視点をどこに持っていき多数派が経験しない境遇を掴むかが難しいと思われるのですが、
自身に置き換えるとそれは“コンプレックス”。生きていれば誰にだって“当たり前”にあるものだと思います。
身体的特徴・肉親との関係・性への恐怖心・嗜好・学歴・人種・生まれ・性別、イジメや差別の行く末も然りです。

肉親や他人が“毎日自分のコンプレックスについて熱く口論している”そんな世界を想像してください。
目立つアナタは学校や会社、道行く人々から向けられる奇異の目、励ましや憐憫の言葉に晒されるでしょう。

「西宮は優しいからああしているわけでも、強いから、弱いから、といったわけでもないんです。
彼女は、彼女なりにたくさん考えた結果、ああするしかない、というだけなんだと思います。」

作者がインタビューでこう答えたそうです。これが彼女の当たり前だったのでしょうか。

実際にいろんなハンディキャップを抱える人達や高齢者を介助する人達がいる現場において人間を起こす方法や、
車いすの押し方、様々な器具の用途や正しい使い方など、最低限の知識を身につけるより最優先事項があります。
介護・介助において、まず彼らが学ぶことは相手を「お客様」では無く「利用者」と呼び、客として扱わない事。
他人に体を預ける利用者を不安にさせず寄り添いながら安心感を与えてコミュニケーションを取らなければならず、
マニュアル通りではなく個人個人に対し状況や状態を鑑みて、人としての尊厳を蔑ろにするような態度や行動を
取らないことが大前提であり小児科医や助産婦など、職業柄心構えを身につける方々も同じ雰囲気があります。

当たり前だと思うかもしれませんが、その当たり前が世間に浸透していないのは本作に対して議論が行われたり
特筆すべき事項だと取り上げ、感動できる作品と持ち上げられる現状を考えれば一目瞭然ではないかと思います。


難しい題材に焦点を当て一流の演出と人の心を揺さぶる手法を用いた映像作品は洗練され美しく彩られました。

“本作自体がコンプレックスになる”映画として。

気弱な少年がスパイダーマンに憧れるように、盲目の侠客がバッサバッサと悪を斬る姿を格好いいと思うような、
当事者側の人間が顔を曇らせず笑顔になれる映画ではなく、関係のない人間が感銘と感動を得る為の映画は、
原作を読んでいた時の感覚より数枚フィルターがかかり、メッセージ性や丁寧な音と画で美しく完成しました。
映画として完成度が高く年間で最高評価に近いことも納得です。多くの人が素晴らしいと感じたでしょう。
当事者たちの気持ちを置き去りにして。

聲の形を特筆すべき作品だと受け取られるのが今の現状で世間の認識なのでしょうが、映画の話でなく常識として、
“当たり前”に生きてる人に対し涙を流したり感動することが無いのと同じく、この気持ちは人を傷つけます。
本作は仕方有りません、メッセージ性と感銘を受けるよう作ってあるのだからそれは嘘でも非常識でもない。


他人の感動に水を差したくはないが綺麗な世界に冷や汗しか出なかった。机上の空論を言っても仕方ないけれど、
叶うならいつか本作に感動も感銘も無く、当たり前に捉えられるそんな世の中になればいいと願っています。

投稿 : 2024/04/20
♥ : 50

91.1 2 シリアスで友情なアニメランキング2位
響け! ユーフォニアム(TVアニメ動画)

2015年春アニメ
★★★★★ 4.2 (3116)
13839人が棚に入れました
高校1年生の春。
中学時代に吹奏楽部だった黄前久美子は、クラスメイトの加藤葉月、川島緑輝とともに吹奏楽部の見学に行く。
そこで久美子は、かつての同級生・高坂麗奈の姿を見かける。
葉月と緑輝は吹奏楽部への入部をきめたようだったが、まだ踏み切れない久美子。
思い出すのは、中学の吹奏楽コンクールでの麗奈との出来事だった。

吹奏楽部での活動を通して見つけていく、かけがえのないものたち。
これは、本気でぶつかる少女たちの、青春の物語。

声優・キャラクター
黒沢ともよ、朝井彩加、豊田萌絵、安済知佳、寿美菜子、早見沙織、茅原実里、石谷春貴、津田健次郎、小堀幸、藤村鼓乃美、山岡ゆり、日笠陽子、沼倉愛美、久川綾、櫻井孝宏
ネタバレ

mio♡美桜 さんの感想・評価

★★★★★ 5.0

Come on!Join us‼︎ & Bravo‼︎(余談3追記)

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原作 - 武田綾乃
監督 - 石原立也
シリーズ構成・脚本 - 花田十輝
キャラクターデザイン - 池田晶子
シリーズ演出 - 山田尚子
美術監督 - 篠原睦雄
色彩設定 - 竹田明代
楽器設定 - 高橋博行
撮影監督 - 高尾一也
音響監督 - 鶴岡陽太
音楽 - 松田彬人
音楽制作協力 - 洗足学園音楽大学
演奏協力 - フレッシュマン・ウインド・アンサンブル
音楽監修 - 大和田雅洋
アニメーション制作 - 京都アニメーション
製作 - 「響け!」製作委員会
放送期間 - 2015年4月 - 6月
話数 - 全13話

(以上Wikipediaより引用)

♫彡。.:・¤゚♫彡。.:・¤゚♫彡。.:・¤゚♫彡。.:・*゚♫彡。.:・¤゚♫


京都アニメーションの新作「響け!ユーフォニアム」

京都アニメーションならではの美しくて繊細な作画と
その中で生き生きと動くキャラクター達。
吹奏楽の魅力溢れる楽器の質感と演奏描写。
ホール特有の臨場感と緊張感。
そして合奏で生まれるダイナミックな高揚感。

アニメ視聴歴の短い私がこの様な事を言うのは大変おこが
ましいのですが、長年に亘って培ってきた京都アニメーシ
ョンの技術がいかんなく発揮されている印象を受けました。

京都アニメーション製作と聞きますと必然とでも言うの
でしょうかやっぱりその作画力に注目しちゃいます。
何気ない街の信号機の押しボタン、音楽室の備品らしい
楽器の傷や黄昏時の公園の背景、夕日や水銀灯が反射し
キラキラと輝く水面。演奏する時の息遣いや指の動き。
何秒も映らないシーンに対してのこだわりと言うので
しょうか、本当に細やかな描画が凄いと思います。
そしてその様な素晴らしい背景の中でそれぞれのキャラ達
が豊かな表情で丁寧に動いています。

私、京都アニメーションの横顔の描き方、けいおんやたま
ラブのレビューでも書かせて頂きましたが大好きなんです。
額から鼻そして唇、顎のライン、つい吸い込まれる様な瞳の
美しさにこの作品でも心を奪われました。
第1話から制作サイドのこれでもかと言わんばかりの熱意が
伝わってくる作画。
まるで映画かと勘違いしてしまうくらいのレベルを維持
しつつ圧巻の最終話までいきます。
凄いです!
ここまで作画に関して書かせて頂きましたが、是非その
目で実際に堪能して下さい。

次にストーリーなのですがお話としては、とある高校の
吹奏楽部の成長物語をヒューマンドラマを交えながら
描いた、ある意味では部活物の王道的なお話です。
しかし高校生ならではの憂い、葛藤、喜び、そして少し
ばかりの恋心を吹奏楽部の成長と共に全く手抜きの無い
リアルな描写で描ききってます。
そのリアルさに何度も心が震え、学生時代の楽しくて熱く
て切ない記憶が蘇りました。
特に吹奏楽部に対しての描き方は吹部在籍者もしくは
経験者も納得の内容だと思います。
そして1クールという短い時間の中でも出来るだけの楽器
の紹介や演奏、お手入れの仕方、吹部内のパート・編成の
説明、全国コンクールまでの仕組みなどの解説もあります
ので吹奏楽未経験の方でも凄く楽しめるかなと思います。
アイキャッチで毎回違う楽器が登場するので、
あっ、これなんだろ?
って興味を持つのも楽しいかもしれませんね。
尺の都合上十分ではないかもしれませんが吹奏楽未経験者
の方でも楽しめる様な配慮がなされている点が凄く嬉しい
です。

どうしても吹部というのは女子率が高いのでキャッキャ
ウフフ、はたまた女子特有のギスギスした関係等想像
するかと思われますが、体育会系並みの練習のキツさや
辛さ、顧問の先生または部員同士の確執、そして音を奏で
る喜びや音楽を通して築かれていく信頼関係や友情等も描
かれていますので学生時代に何か部活に打ち込まれた
方など特に共感出来る部分も多いのではないでしょうか。

アニメのタイプには非現実的でリアルではありえない事を
私達に擬似体験させてくれる楽しさと現実的でリアルで
あり得る事を共感しながら楽しませてくれる作品がある
と思います。
しかしどちらも同じアニメの醍醐味。
この作品は後者の良さが詰まった素敵なシンフォニーです。
少しばかり女の子同士のファンタジーもありますけれど。

胸を熱くさせるセリフの1つ1つ。
葛藤、友情、愛情、情熱のこもったストーリーを盛り上げ
る声優さんの演技もまた素敵です。
メインキャラを務める声優さんは私的に余り存じ上げ無い
方が多かったのですがその周りを固めるベテラン(年齢は
若いですが実力派の方を含め)の声優さんの演技が光って
ます。
エンドロールでおおっ!この人出てたんだ!ってなるのも
楽しみです。

そんな作画、ストーリー、声優陣のバランスのとれた
作品を盛り上げてくれるのが
OPの「DREAM SOLISTER」、EDの「トゥッティ!」
どちらもブラスバンドを取り入れていて、この作品の楽し
さと音楽を奏でる、みんなで合奏する楽しさが凄く伝わる
素敵な曲だと思います。

特に最終話のEDは…これは内緒ですね。是非!

最近視聴したアニメの中で最初から終盤までここまでの
期待感と緊張感を維持したまま視聴したアニメはなかなか
ありません。
ストーリー的な面白さもありますが、人間関係、心情、
音の対比の表現が素晴らしいと思います。

ボキャブラリーの少ない私には多くは語れません。
是非視聴して下さい。
そして感じて下さい。

とここまでなるべくネタばれ無しで感想を述べてみました
けれど、

上手く伝わるかなぁ…ちょっと不安。

でも、私自身初の5点満点の作品となりました

「響け!ユーフォニアム」

音楽とは聴く者の心を打ち震わせ、繋ぎとめる
世界共通の言語。

しっかりと心に響きました。ガチです!


【主要登場人物・出演者】

黄前久美子 - (CV:黒沢ともよ)
加藤葉月 - (CV:朝井彩加)
川島緑輝 - (CV:豊田萌絵)
高坂麗奈 - (CV:安済知佳)
田中あすか - (CV:寿美菜子)
小笠原晴香 - (CV:早見沙織)
中世古香織 - (CV:茅原実里)
塚本秀一 - (CV:石谷春貴)
後藤卓也 - (CV:津田健次郎)
長瀬梨子 - (CV:小堀幸)
中川夏紀 - (CV:藤村鼓乃美)
吉川優子 - (CV:山岡ゆり)
斎藤 葵 - (CV:日笠陽子)
黄前麻美子 - (CV:沼倉愛美)
松本美知恵 - (CV:久川綾)
滝 昇 - (CV:櫻井孝宏)


【主題歌】

オープニングテーマ
「DREAM SOLISTER」(第2話 - 第12話)
作詞 - 唐沢美帆 / 作曲・編曲 - 加藤裕介 / 歌 - TRUE

エンディングテーマ
「トゥッティ!」(第1話 - 第7話、第9話 - 第12話)
作詞・作曲 - ZAQ / 編曲 - 高田暁 / 歌 - 北宇治カルテット
[黄前久美子(黒沢ともよ)、加藤葉月(朝井彩加)、
川島緑輝(豊田萌絵)、高坂麗奈(安済知佳)]

メモリアルエンディングテーマ
{netabare}
「DREAM SOLISTER (Wind Orchestra Ver.)」
(第13話)
作曲- 加藤裕介 / 編曲 - 松田彬人
{/netabare}


【mio's café】
ここからはネタばれの感想となりますので未視聴の方は…
出来ればご遠慮ください。
それでもという方は…Come on!Join us‼︎

{netabare}
良かった、本当に良かったです。
最初はヒロインらしからぬどこかクールでちょっと
ネガティヴな主人公:黄前久美子ちゃんにこの子この先
どうなるんだろうって不安だったけど、見事に変わって
くれましたね。
周りに良き友人、先輩、先生に囲まれて葛藤しながらも
成長し、本当の自分の気持ちに気付いていく様は見事でし
た。
CV:黒沢ともよさんの演技も普段のクールでグタグタな
低音ボイスから気持ちが高揚した時のちょっと上擦った
感じの声まで凄くメリハリがあって素敵でした。
本当にリアルな女子高生らしさが出ていたと思います。

そんな久美子を序盤で支えたのが超ポジティブ思考の2人
のお友達。
加藤葉月ちゃんと川島緑輝(サファイア)ちゃんでした。
でもこの2人のポジティブさ微妙に違うんですよね。
そのあたりの細かい使い分けも凄く上手だったと思います。
葉月ちゃん演じるCV:朝井彩加さん、
緑ちゃん演じるCV:豊田萌絵さん。
多分初めて名前を見る方だったのですが凄くキャラの魅力
を引き出していて良かったと思います。

久美子と最初にお友達になった加藤葉月ちゃん。
序盤のチューバとの馴れ初めは笑っちゃいました。
こうだと決めたら突進するポジティブ要素の他に以外と
感受性が高くナイーブな感じ。
感動しやすく、お友達の為なら頑張れる女の子。
8話告白シーンでの後ろからのカメラアングルで瞬きする
所、橋の上での緑ちゃんと再開して涙が溢れ出すシーン。
切なかったですね。
逆に9話でヘコむ緑ちゃんを励ます姿が愛おしかったです。

そして川島緑輝ちゃん。
「命かけてます!」
「その言葉待ってました!」
なんと前向きなキャラなんでしょう。
あのちっちゃい体でコンバスってのも良いですね。
後ろは振り向かない前進あるのみの超ポジティブ思考。
事あるたびに久美子にハッパかけてくれます。
そんな緑ちゃんでもさすがに9話ではへこんじゃってちょっ
と心配しちゃった。
8話でのいきなり登場した妹の琥珀ちゃん。
「こりゃ、ヤバいね〜」
葉月ちゃんの言葉そのもの。かなりヤバかったです。

緑ちゃんが背中を押して葉月ちゃんがさりげなくフォロー
する。
タイプの違うポジティブキャラの魅せ方がとても印象に
残ります。

そんな2人に割って入るかの様に久美子の心を虜にした
高坂麗奈ちゃん(CV:安済知佳さん)。
凄いですね。
私の中で「高坂麗奈」という「戦場ヶ原ひたぎ様」に
勝るとも劣らないキャラが誕生しました。
第1話でのあの涙。
凄くわかるんです、あのダメ金の悔しさ。
吹奏楽は一人じゃないからこその悔しさ。
皆んなが1つにならなきゃ取れない代表の座、
だけど一つになっても取れない代表の座。
嬉しさも倍なら悔しさも倍だから…
麗奈の気持ち凄くわかるんです。
リアルですね。
(私が現役の時はダメ金という言葉が凄く嫌いでした。
あの評価方法自体今思い出しても酷だと思います。)

私がこの作品を見始めて凄く興味があったのが、いかに
して金に届くまでの吹部に育っていくのかという事と
第1話で訪れた久美子と麗奈の関係がいかに変わっていく
のかという事でした。
第5話が吹部としての大きなきな転換点、そして第8話が
久美子と麗奈の関係の大きな転換点だったと思います。
作画の美麗さに音楽が優しく重なり、私までなんだか
幻想的な夏の夜の夢を見ているようでした。
背後の夜景が透けて見える白いワンピース。
久美子の顔をなぞる麗奈の白くて細い指先。
「特別になる…」
ユーフォニアムとトランペットでの2重奏。
その曲名も

「愛を見つけた場所」…

背景、音楽、キャラのあまりの美しくしさに背筋が
ゾクゾク。
最後のEDまでドキドキしてました。
近年の京都アニメーションの中でも突出した出来だと
思います。
負い目を感じて後ろ向きだった久美子が麗奈の強くて
真っ直ぐな気持ちの虜になった第8話。
好きな人の為なら全てを敵に回しても構わないという覚悟
の第11話。
この2話に共通していた事が好きな人の為なら死をも厭わな
いという気持ち。
高校生にはちょっとオーバーとか百合展開とか思われる方
もいらっしゃるかと思いますが、私にはそう感じませんで
した。
憧れや人を尊び好きになる気持ちは男女の壁を越えたそう
いう物だから。
人生にそう何度もない出会いが高校生の久美子に訪れた
だけだと思います。

そして麗奈と同じ目線に立てた第12話への大きな導火線
だったと。

「悔しい…悔しくて、死にそう…」

第1話での麗奈と同じ言葉を発した久美子のシーンには
見ているこっちまで心が張り裂けそうでした。
自然と涙が溢れました。
久美子が駆け出すシーンからの作画は圧巻です。
この12話での作画に関してちょっと興味深いツイートが
ありましたので。
以前京都アニメーションでアニメーターとして活躍してま
した斎藤敦史さん(現在はフリーとしてSAO、アルドノア・
ゼロ、ガリレイドンナ等のメインアニメーターとして活躍
中)のツイートなんですが、ちょっと引用させて頂きます。

「ユーフォニアム12話、ちょろっとだけ観たけど
どうやったらこんなクオリティになるのか意味が
分からない。無理〜。
演出がどのぐらい手を入れてたのか気になる。」

凄いですね、プロで同業者しかも元京アニの方が見ても
この感想です。

やはり京都アニメーション、凄いです。

メインキャラとモブ的なキャラの区別がつかないくらい
それぞれのキャラが魅力を発揮するのも京都アニメーショ
ンの作品の特徴の一つ。
今回も沢山の魅力的なキャラがいましたね。
当初から私が注目していたのが
低音パートリーダー田中あすか先輩(CV:寿美菜子さん)
新任顧問の滝昇先生(CV:櫻井孝宏さん)
の2人でした。

最初はあすか先輩の弾けたキャラに魅了され(寿美菜子さん
の演技もまたぴったりです)ていたのですが、お話が進むに
つれて見え隠れする過去と影。
リーダーとしての資質を持ちながらみんなとは一線を画す
あすか先輩の本心というのがとても気になりました。

新任顧問として赴任してきた滝昇先生。
私的にはもう何と言っても櫻井孝宏さんの演技が大好きです。
櫻井さんの顔が滝先生になるくらい素敵でした。
クールで優しい仕草で語りかける言葉の中にある熱い
情熱。
時には残酷ともとれる指導方法をとりますが、大事な所
での言葉はさすがです。

色んな言葉がありましたが最終話でのチューニングルーム
からみんなを送り出す時の言葉は最高でした。

「では皆さん行きましょう、全国に」

これで頑張れないわけがありません。
演奏始まる前から私のアドレナリンが噴出しちゃいました。
吹奏楽に対する情熱と生徒への信頼が感じられる素敵な
先生です。
あんまり言うと麗奈に怒られますね。

でも最終話が終わってもあすか先輩と滝先生2人の中にある
過去というか事情みたいなのが一番引っかかりました。
2期あれば明らかになるといいな。

中世古香織先輩(CV:茅原実里さん)は何と言っても10.11
話での再オーディションのお話が胸に残りましたね。
周りをそして自分を納得させ気持ちよくコンクールに向か
えるように敢えての再オーディション。
最終話での麗奈のソロパートを聴くマリア様のような表情
が全てを物語っていました。

小笠原晴香先輩(CV:早見沙織さん)もいろんな葛藤があり
ましたけれど、お話が進むにつれての成長がとても良かった
です。早見沙織さんの独特の鼻にかかったような声が私的に
は高ポイントでした。

一人一人あげていくと大変なレビューになりそうなので
最後にこの人だけはというキャラを。
中川夏紀先輩(CV:藤村鼓乃美さん)です。
私的に最大のダークホースって言い方はおかしいかもしれ
ないけれど、お話が進むにつれて一番魅力的になりました。
ポニテ先輩最強です!
最初の頃はこの先輩なんだかなぁ〜って感じだったんです
けれど、自身の過去の辛い思い出や久美子のトラウマを
取り払い、再オーディションの時も関係修復の為に影で
支えていましたね。
優子ちゃんとの微妙な関係も凄く好きです。
屈託のない笑顔でコンクールに出場するみんなを支える
姿に癒されました。
最終話では感動する葉月ちゃんの肩にそっと手を回す
シーンに思わず涙。
やっぱポニテ先輩最強!そういえば最終話はポニテ祭りで
したね。
私も翌日、久しぶりにポニテしちゃいました。
影響されやすいタイプなので…

もうキャラ紹介だけのなんだかなレビューになっちゃい
そうですけど、それだけ魅力に溢れたキャラがいる作品
という事かな。

最初から最後まで右肩上がりで楽しめた当作品。
中でも特に好きだったのは第5話、第8話、第11話、
第12話、第13話でした。

私の視聴したアニメの最高評価は4.9というのが何作品か
あるのですがあと0.1点というのが今までの壁でした。
凄く面白かった、感動した、泣いたそれでも充分なんです
がこの作品を視聴してその0.1というのがわかりました。

「心が震える」

これが0.1点の答えでした。

最終話でこの答えが出るかどうか、緊張のスタートです。

コンクール当日の朝、いきなり画面から伝わる緊張感。
目覚ましより早く起きてる久美子がまずリアル過ぎま
した。
静かな朝だからこピリピリ張り詰めた空気感という
のが伝わります。
そしてお姉ちゃんとの微妙な感じ…
そんな空気を麗奈との肘の小突きあいで飛んでけぇ〜って
麗奈も緊張してるんでしょうね、ついほっこりほぐしてく
れました。
現在の私のアドレナリン充填率70%

淡々と準備が進みみんなの表情もどこか硬い…
そんな緊張をほぐすかのようにチーム「もなか」からの
プレゼント。
サブメンバーの屈託のない笑顔に癒されます。
またもやほっこり。
小笠原部長とあすか先輩の掛け声でいざ出陣!
それにしても滝先生のタキシード姿、滝シードでした。
かっこいい♡
私のアドレナリン充填率80%

会場に到着してますます高まる緊張感。
もう私までリアルで見ているかのような気持ちの高まり。
あのホール独特の匂いまで再生されました。

館内で流れるアナウンス、チューニングルームでの音合わ
せであたふたする様子、音に共鳴するペットボトルの水。
凄くリアル。
現在、私のアドレナリンの充填率90%

招集がかかりいよいよです。
そして滝先生の言葉

「では皆さん行きましょう、全国に」

先生と生徒の気持ちが一つになった瞬間でした。
私のアドレナリン充填率100% 一気に噴出…
心が震えました。
そうです、最後の0.1点がきたんです。
しかしこれは序章、「心の震え」第1波です。

緊張の演奏開始。もう合奏を楽しむよりも祈るような
気持ちです。
ライトに反射する細かいダスト。
引きと寄りのカメラワーク。
みんなの気持ちのこもった表情。
「全国に行くんだ」
セリフと共に映し出される久美子の表情。
獲物を狙う野獣のような表情に「心の震え」第2波が
来ました。
凄い、この子達…

譜面に書かれたメッセージ、
「絶対金賞‼︎来年一緒に吹くぞ‼︎」中川
「絶対絶対ゼッタイぜったい‼︎全国‼︎」加藤はづき
「久美子ちゃん。次は火星まで手を伸ばしましょう!
行きますよ‼︎」みどり
「全国、行こうね」麗奈
胸が熱くなります。

いよいよ麗奈のソロパート。あの伸びやかな演奏の始まり
私も緊張MAX…
でもその演奏を聴く香織先輩の表情に「心の震え」第3波が
来ました。
色々あったけど今彼女達は演奏を楽しんでるんだ。
充実しているんだ、良かった…

演奏も終盤、みんなの演奏にも力が入ります。
滝先生も渾身の指揮。
フィニッシュ。涙が溢れました…
みんな凄く良かった、本当に…

いよいよ各賞の発表。
この緊張感、凄いです。
湧き上がる歓声と悲鳴、凄いどこまでリアルなんでしょう
みんなの表情に「心の震え」第4波。

最大の関門、代表校発表。
そうですね、言葉は入りません。表情だけで充分です。
素敵な演出に「心の震え」第5波。

もう私、鼻水まで出てきちゃいました…
どうしてくれるんでしょうか…

言葉では言い尽くせない、感じて欲しい作品です。
素敵な演奏、素敵なドラマを見せてくれてありがとう。
彼女達と京都アニメーションに感謝しています。

最後の集合写真、
屈託のない笑顔の滝先生が印象的でした。

あっ最後に一つだけ、立派な音響設備があれば別ですが
最終話だけはヘッドホンかイヤホンで視聴して欲しいです。
是非‼︎



〜凄く余談〜吹奏楽コンクール〜
{netabare}
この作品を通じて吹奏楽に興味を持たれた方がいましたら
是非、近くの地区大会、支部大会等のコンクールに足を
運んで欲しいです。
7,8月に都道府県、8,9月に支部(関西、九州とか)、11月に
全国というスケジュールで毎年行われます。
日にちをずらして小、中、高、大、般という様にだいたい
行われますが、高校生以上の金を狙う方々の演奏の迫力や
美しさたるもの凄まじいものがあります。

そんな中で私が凄く思うのが小学生の部の演奏を聴いて
欲しい事です。
まだ吹奏楽を生で聴いた事が無いという方がいらっしゃい
ましたら、是非近くのホールに騙されたと思って足を運ん
で欲しいです。
小学生と侮る事なかれ、今の子供達のレベル凄いです。
どんなに小編成のバンドでも心に響くものがあります。
子供達の演奏する圧倒的な音楽を体で感じて欲しいです。
是非!

凄く余談でごめんなさい。
{/netabare}

〜凄く余談2〜リアルユーフォ二アム〜
{netabare}
ご存知の方も多いかと思いますが、昨年吹奏楽界に激震が
走りました。
何が激震なのかというと九州吹奏楽コンクールで長崎代表
の活水中・高等学校が全国コンクールの切符を手にしたん
です。
いゃ〜おめでたいではないですかぁ。
そうなんです。おめでたいんです。

ってそこではなくて、何が凄いかと言いますと、
この活水中・高等学校は九州ではほぼ無名、長崎県大会で
も好成績を残した実績も無く一昨年まで部員不足でコンク
ール出場すらままならない学校だったんです。

そんな学校に昨年の4月に革命が起きました。

九州を代表する吹奏楽の超名門校「精華女子高等学校」
を35年間指導されてきた藤重佳久先生が精華女子高等学校
の定年退職を期に長崎・活水学院の教授に就任。
大学での音楽講義、中・高等学校、大学の吹奏楽部の音楽
監督を兼任する事になりました。

音楽特に吹奏楽は指導者で大きく変わると言います。
私も実際にその様な学校はこれまで幾つも見てきています。

「わかりやすく楽しく、目標を共有する」という指導論を
軸に1980年頃からの創部間もない精華女子を指導し全日本
吹奏楽コンクールには過去19回出場、平成26年には8回
連続・通算10回目の金賞を獲得。マーチングに至っては出
場した15回全てにおいて金賞というまさに吹奏楽界のレジ
ェンド。

就任5カ月での全国出場。
地区大会1回戦負けの常連校がまさかの甲子園という感じで
しょうか?
もちろんこの5カ月の間色々な意識改革、厳しい練習があっ
たと思います。先生を慕って転校してきたり入学して来た
生徒もいるかもしれません。
私立の学校なので施設や楽器にお金をかけたかもしれませ
ん。

でも楽器がいいから、設備がいいから、いい生徒が集まる
からでいい音楽は奏でられないのが吹奏楽なんです。

無名の学校を短期間にここまで成長させハーモニーを作り
上げるのは並大抵の事では無いと思います。
これから毎年藤重先生の指導を受けたいという生徒が全国
から活水学院に殺到するかもしれませんね。

昨年の全日本吹奏楽コンクールは銅賞でしたが、精華女子
高等学校で一つの音楽を作り上げ、活水中・高等学校でまた
新たなる音楽を作り上げようとする藤重先生。

いつか九州吹奏楽コンクール鹿児島開催の時、新しい藤重
先生の音楽聴いてみたいです。
これから楽しみがです♬
{/netabare}

〜凄く余談3〜劇場版公開前に7回目の視聴〜
{netabare}
うん!
何回見てもこんなに心が熱くなれる作品、
やっぱりユーフォです。
何でだろう…
「DREAM SOLISTER」を聴いてるだけで胸が熱くなり
涙が溢れてくる…

やっぱり私にとっては最高の出逢い。

何回見ても感謝の言葉しかありません。

原作・武田綾乃さん、制作・京都アニメーションさん、
「響け!」製作委員会の方々。
制作に関わった数多くのスタッフ、キャストの皆さん。

劇場でまた北宇治吹部のみんなに逢えるのが楽しみです。
{/netabare}
{/netabare}

投稿 : 2024/04/20
♥ : 199
ネタバレ

ピピン林檎 さんの感想・評価

★★★★★ 4.9

青春アニメの完成形に立ち会う、という《高揚感》 

去年春に劇場公開された『たまこラブストーリー』は、約75分という上映時間のどのシーンにも無駄がなく、登場キャラの心情推移が素晴らしく説得力に富んでいるように私には見えたので、個人的な総合評価を4.9としましたが、本作では恐ろしいことに、それが1クール(13話)作品に更にスケールアップして実現されてしまったように感じました(本作の総合評価を、同じく4.9とした理由)。
以下のレビューは、聊(いささ)か冗長になってしまいますが、私の本作に対する《愛の告白》と思ってご容赦ください。


◆これは 《愛の告白》 - by 麗奈(第8話)& by 久美子(第11話)

{netabare}前記の『たまこラブストーリー』では、鴨川デルタの飛び石が告白の舞台となりましたが、本作では、同じ京都府の宇治市街を見下ろす大吉山展望台が、やはり印象的な告白の舞台となりました。

{netabare} 「私、特別になりたいの。ほかの奴らと、同じになりたくない。だから私はトランペットをやってる。特別になるために。」
 - 吸い込まれそうだった。私は、今このときなら、命を落としても構わないと思った。 - (※久美子モノローグ)
 「トランペットやったら、特別になれるの?」
 「なれる。もっと練習して、もっと上手くなればもっと特別になれる。自分は特別だと思ってるだけの奴じゃない。本物の特別になる。」{/netabare}

『たまこラブストーリー』で、もち蔵が告白したのは、同級生であり幼馴染のたまこへのシンプルでストレートな恋心でしたが、本作で縣(あがた)祭りの夜、そしてその後の展開の中で、「告白されたもの」が何であるのか・・・本作鑑賞上の肝となるこのポイントをまず考察していきます。

※メモ
「違う。これは、愛の告白」(第8話、麗奈→久美子) 
「だってこれは、愛の告白だから」(第11話、久美子→麗奈)

※二人が大吉山の高台で協奏するのは、『愛を見つけた場所』{/netabare}


◆すべての音楽は《恋》から始まる - by サファイア(第8話)

{netabare}「それはもちろん、すべての音楽は恋から始まるからです。愛と死は音楽にとって永遠のテーマ。全ての曲はそのためにあると言っても過言ではないのですよ、葉月ちゃん。」 (第8話、サファイア)

◇すべては麗奈の「特別」への願いから始まった

→麗奈の「特別」は、きっと「(滝先生の)特別になる」という夢であり願いのこと。
第9話で明かされるように、麗奈のトランペットへの情熱、もっといえば「特別になること」への情熱は、きっと、彼女の滝先生への想いから生まれたもの・・・と推測できると思います。
→そして、その麗奈の願いは、第1話および第13話を見る限り、決して脈のないものではない・・・ように見えました(後述)


◇麗奈から、久美子へと《伝染》する情熱

中学3年の夏の吹奏楽コンクール府予選で麗奈が見せた悔し涙に衝撃を受けつつも、その意味を測りかねていた久美子
→第12話で、見事に回収(アニメ・オリジナルの展開とのこと・・・だとすれば花田十輝氏の功績か)

「久美子ちゃんは月に全力で手を伸ばした」(サフィア)(第12話)
「私、ユーフォが好きだもん!・・・私、ユーフォが好き。ユーフォが好き・・・」
→音大に進学する訳でもないのに、と姉に指摘されて、久美子が思わず言い返した言葉
→穿った見方をすれば、
(1)麗奈の「愛の告白」の対象が、トランペットであり、特別への願いであり、その先に滝先生への想いがあるのに対して、
(2)久美子の「愛の告白」の対象は、ユーフォニアムであり、自分に「特別」への願いを吹き込んだ麗奈への想いがある、と言えるのかも知れません。


◇香織先輩(3年)-優子先輩(2年)の求めた《納得》

「先輩は、トランペットが上手なんですね。」
「上手じゃなくて、好きなの。」(第11話)

→好きだから、納得したかった。好きな気持ちを失くさないように。
→優子先輩は、本作中、一人で汚れ役を買ってしまった感じだけれど、悪くない。むしろ第11話を最後まで観たあとでは、個人的にかなり好印象となりました。
→第10話ラスト、香織先輩が挙手して立ち上がるシーンは鳥肌が立つくらい心を揺さぶられました。
→《麗奈-久美子》の想いだけでなく、その対抗軸として、《香織-優子》の想いを配置したのは秀逸でした。これによってストーリーに非常な厚みが出てきたように思います。


◇滝先生についてのメモ書き

最終第13話、吹奏楽コンクール府大会会場への出発を前に、タキシード姿の滝先生が一人職員室で取り出したアルバムの写真に浮かび上がるのは、「第36回クラシックコンサート」の冊子を抱える小学校低学年くらいの黒髪・蒼い瞳の少女(←どうみても麗奈)。
その写真を優しい目で見ていた滝先生は、「行きましょうか」とひとこと呟いて、歩き出す。

・・・そのワン・シーンが気になって、第1話を見直したら、気付きました。
宇治神社での滝先生初登場シーン(第1話)で、先生の携帯電話から流れ出したのは、大吉山北中学吹奏楽部演奏の「地獄のオルフェ」。
麗奈と久美子が去年の吹奏楽コンクール京都府大会(中学生部門)で演奏したときの録音だったのですね。

これは、もしかして脈ありですよ?麗奈さん。{/netabare}


◆各話タイトル&評価

★が多いほど個人的に高評価した回(最高で星3つ)
☆は並みの出来と感じた回
×は脚本に余り納得のいかなかった疑問回

{netabare}※本作の要所要所で、麗奈のトランペットの音色が高らかに鳴り響く点に注目

第1話 ようこそハイスクール ☆ 「悔しい。悔しくって、死にそう」
第2話 よろしくユーフォニアム ☆ 音楽室でハプニング的音出し
第3話 はじめてアンサンブル ★ 校庭を見下ろす高台での『新世界より』独奏
第4話 うたうよソルフェージュ ★ 「滝先生、凄い人だから。馬鹿にしたら、許さないから」
第5話 ただいまフェスティバル ★★ サンフェス会場でハプニング的音出し
第6話 きらきらチューバ ☆ オーディション決定、屋外でソロ・パート個人練習(香織先輩も)
第7話 なきむしサクソフォン ★ 
第8話 おまつりトライアングル ★★★(神回) 大吉山展望台で久美子(ユーフォ)と『愛を見つけた場所』協奏
第9話 おねがいオーディション ★★ 
第10話 まっすぐトランペット ★★ 「好きっていってもlikeじゃないよ。loveの方ね」、香織先輩の挙手
第11話 おかえりオーディション ★★★(神回) コンクール会場で競奏、「1年でこの音・・・反則だよ」
第12話 わたしのユーフォニアム ★★ 「悔しい。悔しくて、死にそう」 ←第1話冒頭と繋がる
第13話 さよならコンクール ★★ コンクールでの独奏、それを支える久美子の低音パート{/netabare}
-------------------------------------------------------------
★★★(神回)2、★★(優秀回)5、★(良回)3、☆(並回)3、×(疑問回)0 ※個人評価 4.9

※まず第11話については、1周目から文句なしの神回と認定しました。
※また、それを前後する第10話({netabare}香織先輩の挙手シーン{/netabare})、第12話({netabare}久美子が麗奈の気持ちを悟るシーン{/netabare})で押し寄せる感動も大きなものがありました。
※第8話は初見時は今ひとつでしたが、繰り返し視聴し、その内容の理解度が増すにつれて、感動が大きくなりました(これも神回認定)。


◆登場キャラクターの整理

{netabare}※◎は物語中、特に重要な役割を果たし、強く印象に残った5人。
※滝先生のオーディションに、①文句なく受かるスキルを上級、②頑張って何とか受かるスキルを中級、③受かる可能性がゼロのスキルを初級、とそれぞれ措定し、その中をさらに上↑・中→・下↓に細分。


(1) 1年生
 ◎久美子(ユーフォニアム、中級↑)
 ◎麗奈(トランペット、上級↑、段違いのハイ・スキル)
  葉月(チューバ、初級↓、全くの初心者)
  緑輝(サファイアちゃん、コントラバス、上級↓)
  秀一(トロンボーン、中級↑)
(2) 2年生
  夏紀先輩(中川先輩、ユーフォニアム、初級↑~中級↓)
  梨子先輩(チューバ、中級↑)
 ◎優子先輩(トランペット、上級↓)
  後藤先輩(チューバ、中級↑)
(3) 3年生
  春香部長(バリトンサックス、サックス・パートリーダー、上級↓)
  あすか副部長(ユーフォニアム、低音・パートリーダー、上級→)
 ◎香織先輩(トランペット、トランペット・パートリーダー、上級→、麗奈の入部前は部一番の吹き手)
  葵ちゃん(テナーサックス、途中で退部、中級→)
------
北宇治高校吹奏楽部 計13人(女子11人+男子2人) ※他にも多数部員あり(総勢60名以上)

(4) 教師
 ◎滝先生(顧問)
  松本先生(副顧問)
(5) その他
  久美子の姉(大学生、元吹奏楽部、トロンボーン)
  梓ちゃん(立華高校1年、久美子・麗奈と同じ中学で吹奏楽部だった、トロンボーン)
------
以上、物語に絡んでくるキャラクターは 計17人{/netabare}

※これだけ多数のキャラを登場させながら、一人ひとりの個性をキャラブレせずに確りと描き分け、かつ◎の5人を始めとする個々のキャラの要所要所での感情の襞(ひだ)を過不足なく描き切った点は実に見事でした。
→その結果として安っぽさがほぼゼロの格調高い名作に仕上がっていると評価します(キャラブレしまくり&安っぽいギャグで誤魔化すシーン多すぎで評価を下げた『四月は君の嘘』と好対照)。
※1年生の仲良し3人組+2人(麗奈、秀一)だけでなく、2年生・3年生の側の事情や感情推移も抜かりなく描き出している点も見事で、好感度が高くなりました。


◆総評

◇内容要約

{netabare}本作は、一見して、

(1) 表の主人公=久美子(視点人物)のどこか冷めていた心に、ユーフォニアムそして吹奏楽への情熱の炎が灯り、それが次第に熱く燃え上がっていく様子を描き出す青春部活もの作品なのですが、それと同時進行で、

(2) もう一人の主人公=麗奈に宿る、トランペットそして吹奏楽への情熱の炎の源が、次第に明かされていく物語でもある

・・・ように私には見えました。{/netabare}


◇京アニの実力なら、本作と同水準の作品は今後も幾らも制作可能

{netabare}・本作は、現実の高校生の《心の揺れ動き》をそのまま活写したかのようなリアリティに富む作風で、好感度が凄く高く本当にどこにも文句の付けようのない素晴らしい出来だと思いました。
・それはまるで、京都アニメーションというアニメ制作会社を通して、青春アニメの完成形に立ち会っているのではないか、と錯覚してしまうような《高揚感》を伴ったアニメ視聴体験でした。

・京アニ作品では、本作や前記の『たまこラブストーリー』のほか、同じくファンタジー設定のない青春ものとして、2012年放送の2クール作品『氷菓』も、私は総合点数を4.8と高評価しています。
・つまり、音楽系部活もの(本作)・純恋愛もの(たまラブ)・ミステリーもの(氷菓)というジャンルの差異はあるとはいえ、等しく高校生男女の比較的等身大の青春模様を描き出す作風のアニメは、この京都アニメーションという制作会社によって、原作ないしシナリオ原案が確りしていれば、という限定条件つきですが、完成形がほぼ確立されてしまった感がしました。

・この原作ないしシナリオ原案が確りしていれば、という点が実は曲者で、本作や『氷菓』は、やはり原作小説が内容のある良作だったのだろうと推測します。
・で、ここで注目すべきは、このクラスの小説なら、昔から1年に5本程度は発表されているのではないか?ということです。
・つまり、そうした確りした内容があり感動がある原作を、事前にきちんと選びさえすれば、京アニの実力だったら本作と同等クラスのアニメ作品を、これからも幾らでも制作できる、ということに論理的には当然なるかと思います。{/netabare}


◇最後の課題は、《青春アニメ》というジャンル自体の限界を超えること

{netabare}・これを裏から見ると、もともと優秀な原作が一層引き立つ、秀逸なアニメを制作する京アニの技術の完成度は本当に凄いけれども、そうして制作されるアニメは、結局のところ原作のサイズ(=青春もの、という限定されたジャンルでのシナリオ構成)を大きくは逸脱できない、ということに論理的にはなるのではないか、と思います。

・本作についていえば、登場キャラたちへの《共感》は物凄くありましたが、《憧憬》は、余りなかったように個人的には思いました→『魔法少女まどか☆マギカ』との違い(=原作ないしシナリオ原案の限界)
・それが、私が本作の総合評価を5点満点にしなかった、たぶん唯一の理由です。{/netabare}

投稿 : 2024/04/20
♥ : 119
ネタバレ

oneandonly さんの感想・評価

★★★★★ 5.0

「本気」が伝える力の大きさ

世界観:7
ストーリー:9
リアリティ:10
キャラクター:9
情感:8
合計:43

高校1年生の春。
中学時代に吹奏楽部だった黄前久美子は、
クラスメイトの加藤葉月、川島緑輝とともに吹奏楽部の見学に行く。
そこで久美子は、かつての同級生・高坂麗奈の姿を見かける。
葉月と緑輝は吹奏楽部への入部を決めたようだったが、まだ踏み切れない久美子。
思い出すのは、中学の吹奏楽コンクールでの麗奈との出来事だった。
(公式HPより)

リアルタイムに近い作品を見るのは久しぶりのこと。キャッチしている方の評価が高いので、大物かもしれないと思って視聴しました。

吹奏楽部の話ですね。楽器の略称や業界用語的なものが出てきたり、主人公がナレーションで説明をしてくれることから、吹奏楽をやっていた方、無縁だった方、双方とも楽しめる内容だと思います。

私は、おそらくあまり例のないケースでしょうが、その中間的存在で、高校三年時、最後の演奏会にのみ参加をした経験があります。ヘルプとして参加しただけで、特に楽器経験もなかったためパーカスでしたが、トライアングル、カウベル、ウイップ、シロフォン、シンバル、ゴング(銅鑼)など多種の楽器を奏でました(今思えば、大胆すぎる配役ですね、これ)。

真っ暗な会場の中、自分たちの側にあたる照明、塵で少しきらめく光。
テンポが落ち着いた時に見渡し直した会場、仲間たちと一緒に「合奏」することの感動。
この時の体験はなかなかに衝撃がありました。

当時の自分もそれなりに頑張ったと思うのは、演奏した曲目を今でも諳んじられることですが、流石にパート練(板打ちする日々)のことや、チューニングその他の音、演奏会会場への楽器運搬、舞台裏での準備などは、これを見るまで記憶の彼方に飛んでしまっていました。

と、個人的な話をしてもしょうがないですね。私が伝えたいのは、経験者から見てもおそらく、リアルな作りになっていることです。その上、13話と短い回数でストーリーがまとまっていて、ドラマ性もあり、人間もしっかり描かれています(多々のシーンで言葉になっていない登場人物の言葉が聞こえてきます)。

作画について、流石は京都アニメーションと思えるもの(キャラデザは氷菓のほうが好みですが、もちろん良質な部類)。音楽についても、吹奏楽部の物語ですから、当然各所で良い演奏シーンがありました。

最初から良いフィーリングのアニメ(第3話終了時で3.7点(あにこれ4.4点相当))でしたが、化けてきたのは{netabare}お祭り回の第8話。

「でも、わかるでしょ。そういう、意味不明な気持ち」
「私、特別になりたいの」

このシーンは、この作品のターニングポイントであり、麗奈自身はもちろん、作り手の本気を感じさせてくれました。

情熱のある人・作品に触れることは、いつだって刺激的ですね。
{/netabare}久美子もここから変わっていったと思いますし、これを見ていた私も「やるべきことをやらなければ」と、本気で熱くなりたいという思いが強くなりました。

このような前向きな影響を与えてくれる作品を、自分は大切にしたいです。
そして、多くの人に触れてもらいたい。
未視聴の方は是非、ご覧ください。

追記
この作品は日常系では完璧に近い内容と考えていますが、それでもまどマギの壁を越えられませんでした。配点上、世界観(設定)に独自性や工夫があり、感動もできる作品が求められますので、今後は設定ものを中心に見てみようかと思います(つくづく、SAOがもっと丁寧に作られていれば…)。

一期完結でも満足しており、関係者の皆さまに感謝します。

<追記2015.8.4>
良い作品というものは繰り返し見てしまうもので、視聴後もその世界に浸っていたいものですが、この作品もそのレベルでした。
当初はアニメっぽくて明るすぎると思っていたOP/EDもいつの間にかかなり聴いていますし、いずれハイレゾのサントラも購入したいと思っています。

作品の中身については、他の皆さんが丁寧に書いているので私が改めて書く必要もないですが、2周目で気付くところもありますし、ヒューマンドラマと合奏が良いので後半は何度見ても良いです。{netabare}特に、香織が挙手をする10話、悪役に見えていた優子先輩の気持ちを理解できる11話、本気になったものの挫折を味わった久美子が1話の麗奈の思いを知る12話、コンクール会場の雰囲気と情熱を伝えきった13話、全て優良回でした。{/netabare}

本作を気に入った方には必ず見てもらいたいのがYoutubeにUPされている聖地巡礼の動画。ここまで描き込まれていたことに、新たな感動を味わえると思います。これは巡礼者が訪れて町おこしになるレベルかとw

課題曲プロヴァンスの風は実際に2015年の課題曲のようで、それ関係の動画も結構UPされていました。

<追記2015.9.18>
そういえば、書いていなかった点として、{netabare}百合的な表現がありましたが、麗奈は滝先生のことが好き(likeじゃなくてlove)だと言っているし、中学~高校くらいまでは親友とベタベタする場面があっても全然違和感はないので、自分は抵抗なかったです。久美子の告白返しの場面も、綺麗に笑顔で流してます。ちょっと危うさを感じさせるスパイスになっていて、巧いなぁという印象です。{/netabare}

<追記2015.11.7>
第二期が決定したそうですね。当初、商業的な成功の有無にも左右されるため、日常系で萌えも抑えたこの作風では難しいかもと思っていましたが、朗報です^^ 第一期の完成度が高いので、評価的にはどうなるか心配ですが、楽しみです。

追記2016.4.26
劇場版についていくつかのレビューを拝見し、GW中に観に行くことにしました。sugoi japanでは最終発表の5位までに入らないという残念な結果でしたが、自分にとっては2015年のベスト。応援したい作品ですからね!

<追記2016.9.28>
いよいよ来週から2期が始まりますね! この作品、5.0点を付けただけあって、いまだに見直しています。主に8話のBパートなのですが、この回だけ藤田春香さんという方が演出をされているのですね。この回を神回と評価するブログなど回ってみて、やはり良いよなと頷いたところです。2期の演出者も注目して視聴したいと思います。
(参考)http://studiodomo.jp/wordpress/enshutsu-harukafujita/

<追記2016.11.2>
先日、ハイレゾのサントラを購入。好きな曲を組み合わせてリピートする日々です。いくつかの曲は2期でもそのまま使われています。
また、一通り見直してみると、7話でみぞれが廊下で練習している、2期を連想させるカットがあったり。大した場面でなくても色々込められているんだなと思います。

<追記2017.6.24>
2期の終結とともに、原作の状況からも当面オワコン状態になるかなと思っていましたが、2期の総集編的な映画『劇場版 響け!ユーフォニアム~届けたいメロディ~』の公開(9月30日)、さらに、2018年には「みぞれと希美」と「2年生になった久美子たち」の物語を描く、完全新作映画の公開が決定したとの情報が。2年生エピソードは原作者との関係で大丈夫なのかと心配になりつつも楽しみですね!

<2018.5.7追記>
リズと青い鳥を鑑賞し、久しぶりに響け!ユーフォニアムの世界に戻って色々なサイトや動画を見たり、通勤の音楽も久しぶりにユーフォのサントラから選りすぐったリストを再生していました。(昼寝のお供には、時々使っていましたが)

なお、そのリストは、「31 DREAM SOLISTER TV SIZE」、「01 はじまりの旋律」、「19 意識の萌芽」、「50 愛を見つけた場所」、「26 微かな光」、「27 一途な瞳」、「28 重なる心」、「29 去来する想い」、「52 プロヴァンスの風」、「54 三日月の舞 麗奈ソロVer.」、「55 DREAM SOLISTER(Wind Orchestra Ver.)」、「56 トゥッティ!(Wind Orchestra Ver.)」で構成しています。

今更ながら、評価推移も記録しておきましょうか。
(参考評価推移:3話4.4→8話4.7→10話4.8→12話4.9→13話5.0)

<2022.6.5追記>
昨日、ついに、
「「久美子3年生編」TVシリーズ放送決定&「アンサンブルコンテスト編」Blu-ray発売・劇場特別上映決定!!」
の情報が公表されました。

久美子3年生編の制作は2019年には既に公表されていましたが、あの事件があってからは、どうなるのだろうかと思っていました。
そして前回の公表時には劇場版なのかTVなのかも不明だったところ、今回、3年生編がTV版で制作されるとのこと。2年生編が劇場版で短く感じてしまい、3年生編はTV版で作ってもらいたいと強く思っていましたので、今回のニュースはとても嬉しいです!

アンサンブルコンテスト編は、『響け! ユーフォニアム 北宇治高校吹奏楽部のホントの話』に収録された話からのようで、原作未読なのでこちらも楽しみです。

当面の日常の励みになりそうですね♪

<2023.6.2追記>
アンサンブルコンテスト編の予告PV見たら、オーメンズオブラブじゃないですか!
数少ない私が演奏に加わった曲で、テンションが上がってしまい久しぶりに書き込みしました。いや~楽しみ楽しみ♪
通知は自重しておきます。。

投稿 : 2024/04/20
♥ : 149

84.8 3 シリアスで友情なアニメランキング3位
ダーリン・イン・ザ・フランキス(TVアニメ動画)

2018年冬アニメ
★★★★☆ 3.7 (1070)
4664人が棚に入れました
遠い未来。人類が荒廃した地上で生き抜くために作り上げた巨大移動要塞都市では、名前のないコドモたちが戦うことだけを教え込まれながら、毎日を過ごしていた。コドモたちの1人であるヒロは、角が生えた謎の少女ゼロツーとの出会いを機に彼女のパートナーとなり、命を懸けた戦いに身を投じることとなる。

声優・キャラクター
上村祐翔、戸松遥、梅原裕一郎、市ノ瀬加那、田村睦心、山下七海、後藤ヒロキ、早見沙織、市川蒼、石上静香、小西克幸、井上麻里奈、堀内賢雄
ネタバレ

oxPGx85958 さんの感想・評価

★★☆☆☆ 1.5

なぜこんなひどいものが作られるのか私にはわかりません

序盤では、主人公の少年たちが生きている世界の描写にある矛盾点や不思議な要素が目に付き、それが制作側の不備なのか、後に解決される伏線なのか気になってしょうがなかったのですが、中盤から終盤に向けての雑な展開に、そういうのはどうでもよくなってしまいました。登場人物たちの人間関係のダイナミズムにおいても、SF的な世界構築の面においても、ちゃんと考えてない粗雑な脚本だった、で済む話と納得しました。

それでも、本作の物語の根幹にある、この「こども」たちの性の物語について1つ言わせてもらえば、{netabare}第1話から普通の萌えアニメと同じような性的テンションが満ちあふれているのに、「キスって何のこと?」みたいなセリフを言わせるだけで、性を知らない思春期前のこども、みたいなこと言われても困ってしまいます。百歩譲って、彼らがたとえばお風呂で平然と混浴している、みたいな描写が積み重ねられていれば、ゼロツーとヒロを発端とする気づきや目覚めに説得力が生まれたかもしれない。{/netabare}

これに関連して、このグループが異例なものであることを示すために、「正常」なグループがどんなものなのかという描写があるとよかった。でも、そこの線引きについて本作の製作陣は深く考えていなかったんじゃないかとも思います。

もう1つ、終盤の展開に関わる要素として、{netabare}ココロが妊娠したことに対する本人および周囲の反応が、現代日本社会におけるステレオティピカルな反応で、彼らが育てられてきた環境から想像できるものと違う。彼らが妊娠・出産を異常なものとして捉えるとしたら、人間は動物のような生殖はしない、と教えられてきたため、ぐらいでしょう。それでもあそこまでタブー的な扱いにはならないはず。ゾロメなんか「すげぇー! 俺たちにもこどもが作れるんだ!」と喜びそうでしょう? 自分たちで畑で野菜を育てようとするぐらいだし。{/netabare}

このように、人間関係に関わる大きな物語の根幹にある「性」についての世界構築の穴が大きすぎるため、これに関連する要素はまったく説得力を持てていない、と感じました。いまブームのLGBT的な価値観に真っ向からケンカを売ってるような設定なのに、ロクに理論武装していない点も含めて、発達心理学とかジェンダー学とかの面でのリサーチ、教養、思索が不足していると感じます。その界隈に目を配った感じの{netabare}ゲイのキャラクター{/netabare}の扱いは結局ひどくて、かえって藪蛇になっていると言わざるをえない。

もう1つのSF的な要素については、ツッコミどころが多すぎてお話にならない。設定の穴そのものよりも、次から次へと繰り出される脈絡のない新要素について、その解説役がどんどん出てきてセリフで説明するというご都合主義の方がきつかった。

とりあえずは何千万年もの昔からの存在を、同じく何千万年もの昔からの存在がアルファベット表記の名前で呼ぶというのはやめた方がいい。『正解するカド』で、何百億年かそれ以上のオーダーの存在が、現代日本の50音カタカナと1対1に対応する文字体系を使っていたのを思い出しました。

なんでこんなひどいものが出てくるのか、アニメに関する知識が浅い私にはよくわからないので、いろいろ読んで勉強中です。ネット上のレビューには、これを古いアニメ界の残滓であるとする見方や、特定の制作会社あるいはスタッフの問題だとする見方などがあるようですが、どうなんでしょうか。

なお、アニメ作品としての他の要素に、物語上の欠点を補うだけのパワーは感じられませんでした。ゼロツー役の戸松遥は、ヒロインとしての存在感を備えた個性ある声を出していて良かったのですが、いかんせん与えられるセリフがダサいとどうしようもない。

投稿 : 2024/04/20
♥ : 22
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shino さんの感想・評価

★★★★☆ 3.6

比翼の鳥

TRIGGER×A-1Pictures制作。

荒廃した地上で人類は移動式の要塞都市を築き、
襲い来る叫竜と呼ばれる巨大生命体との戦闘が続く。
戦闘を義務付けられた記号的な子供たちは、
男女が対となり命を懸けて戦いに身を投じている。

初回はロボットアニメの王道で、
{netabare}ボーイミーツガールからの搭乗、戦闘、勝利と、
基本に忠実な展開と演出で序盤は良好です。{/netabare}
ヱヴァにトップと既視感もありますが、
それよりも少々残念だと感じたのは、
フランクス(戦闘機体)に黒目(瞳)を入れたこと。
これで中途半端に機体に命が宿ってしまった。

13話視聴追記。
後半戦に繋がる非常に重要な回でしょう。
{netabare}子供たちだけが暮らす閉じた世界、
美しいものは絶えず外の世界にあり、
知りたいことだけが増える檻の中の日々。
ゼロツーの壮絶な過去…、{/netabare}
願わくば、世界を粉々にしてほしい。

最終話視聴追記。
後半、好みの展開もあるのですが、
{netabare}全体を通して心を動かされることは少なく、
今の時代はもう、指標に成り得る、
ロボットアニメは存在しえないのでしょうか!?
なんて、色んなことを考えていました。{/netabare}

主題歌は好印象で、今でも聴きます。

投稿 : 2024/04/20
♥ : 90
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フィリップ さんの感想・評価

★★★★★ 4.2

男と女

環境汚染が進み、土地が荒廃した終末的な世界。
人類は万能なマグマ燃料に頼り、地上移動要塞都市の
プランテーションと呼ばれる街で暮らしていた。
しかし、突然、巨大生命体である叫竜が
現れるようになり、コドモの男女1組で起動できる
フランクスというロボットで対抗していた。
主人公のヒロは、ある日、鬼の女の子のゼロツーと出会い、
一緒にフランクスに乗って叫竜と戦うことになる。

アニメーション製作:TRIGGER・A-1 Pictures、
監督:錦織敦史、シリーズ構成:錦織敦史、林直孝、
キャラクターデザイン:田中将賀

個人的には、視聴中に評価が乱高下する作品だった。
回によっては感動的な話もあったし、
雑といえる設定や人間関係にうんざりすることもあった。

そもそも始まりから「オマージュ」というよりは
「コラージュ」と言ってしまえるほど
過去作を引用した設定のオンパレード。
世界観からロボットのデザイン、呼び名に至るまで
徹底的に引っ張り出している。

ロボットの造形は、「STAR DRIVER」にそっくりで、
物語の世界観はエヴァに似通っている。
「ダーリン」と「鬼」というのは、うる星やつらだし、
各キャラの関係性は、これまでの岡田磨里作品と酷似している。
新海誠を彷彿とさせるところもある。
なんとなく観ていると、そういう既視感や共通項ばかりが
目についてしまう。

ただ、ヒロとゼロツー、ミツルとココロに視点を置けば、
分かりやすく収斂していくようなストーリーになっている。
SF要素や背景、群像劇についても、
全て、この2組のカップルを補うための
要素でしかない気がする。

{netabare} ヒロとゼロツーの関係性が明らかになった13話から
物語は心象風景の世界へとシフトしていく。
「まものと王子様」という絵本をイメージさせながら、
ふたりの心の交流が中心になっていくのだ。

ここからは上手く物語が紡がれていき、
ひとつの方向性で落ち着いたように感じた。
作中絵本の展開も『MONSTER』などで
使い古された感はあるものの
デザインや物語がしっかり作り込まれていて、
一定の世界観を構築している。
ヒロとゼロツーのつながりが強固になっていくさまを
絵本の物語を通じて感じられるとても良い演出だった。

そして、ミツルとココロによって、
この世界でタブーとされていた
生殖が描かれたのも大きなテーマのひとつ。
男と女が存在し、その繋がりが
未来に向けた力になっていく。
現在の日本に対するメッセージでもある。
安っぽいと感じる人もいるだろうが、
私はこの2組のカップルを話の中心に据えたのは、
良かったのではないかと思っている。
物語の序盤から中国の伝説上の生物である
「比翼の鳥」によって、男女のつながりを
繰り返しイメージさせた。
男女の関係性を描く部分は、とても力が入っていて、
話に引き込まれることが多かった。

叫竜との戦いからVIRMとの争いに移行して、
スターエンティティが、ストレリチア・アパス、
ストレリチア・真・アパスに変貌していくさまは、
超展開といえるが、個人的には驚きと楽しさがあった。
進化にはいつもヒロとゼロツーの
心のつながりが重要なポイントになっていて、
そこではカタルシスを感じさせてくれた。
また、地球からゼロツーの入れ物だけを残して
旅立っていくのも個人的には好きなアイデアだった。 {/netabare}

永遠の時間が続く凪のような快楽。
限りある時間内での燃え上がるような煌めき。
どちらがより幸せな生き方なのだろうか。
作品のテーマは、今の時代をよく反映している。

音楽はエンディングや挿入歌を
レコード大賞・作曲賞の受賞経験もある
杉山勝彦が担当しており、物語の躍動感を増幅させる
良質な歌謡曲を聞かせてくれた。
これは作品の質を一段引き上げたといえるほど、
良い仕事をしていると思う。

色々な欠点があるものの、それを補って余りあるだけの
作り手のこだわりや執念が滲み出ている。
2クール分を存分にやり切り、
心に確実に何かを残してくれた作品だった。
(2018年7月14日初投稿)

投稿 : 2024/04/20
♥ : 83

77.7 4 シリアスで友情なアニメランキング4位
暗殺教室(第2期)(TVアニメ動画)

2016年冬アニメ
★★★★☆ 3.9 (683)
4261人が棚に入れました
南の島で鷹岡との戦いに勝利したE組の生徒達。殺せんせーはカップル成立を目論んで「肝試し」を企画!だが、いつしかE組全員でのイリーナと烏間をくっつける作戦に!?果たしてその結末は!?夏休みも終わりに近づき、2学期へと思いを馳せる生徒達。その裏で謎の男の影も…?

声優・キャラクター
福山潤、杉田智和、伊藤静、速水奨、岡本信彦、逢坂良太、内藤玲、田中美海、矢作紗友里、松浦チエ、洲崎綾、佐藤聡美、川辺俊介、金元寿子、渕上舞、宮下栄治、山谷祥生、水島大宙、間島淳司、木村昴、沼倉愛美、斎藤楓子、日野未歩、河原木志穂、植田佳奈、浅沼晋太郎、高橋伸也、はらさわ晃綺、諏訪彩花、下妻由幸、藤田咲、緒方恵美、宮野真守
ネタバレ

Kuzuryujin さんの感想・評価

★★★★★ 4.1

原作尊重が伝わる安定のクオリティ

原作は、少年ジャンプでリアルタイムで読んでます。
原作は完結しそうでなかなか完結しない状態でスタートしたアニメ二期。
単行本は2015年12月時点で既刊17巻ですが、
松井先生によると15巻からは、
最終回までの各回のプロットは既に決まっているそう。

アニメ版制作スタッフには最終回迄の流れを伝達済みなのか?
お話のゴールは間近のようですが、アニメは最終回まで描けるのか?
アニメ版を、どうまとめ、締めくくるのか、非常に興味深いところです。

今作制作の直前に、アルペジオを劇場版で高評で締めくくることのできた
岸誠二監督と脚本の上江洲誠さんのゴールデンコンビに期待してます。

第2期OP「QUESTION」とED「欠けた月」は初回時は
1期ほどのパンチがなくまあまあでしたが、、
4話目にはすっかりお気に入りの曲になりました。

キャラでは、状況に応じて衣装を変える人工知能の律が
アニメでは毎回おちゃめで可愛いし、
原作以上にいい味出してて一番のお気に入り。

渚のナレーションと的確なツッコミも楽しい。

<各話レビュー>
★ 1時間目「夏祭りの時間」 {netabare}
… 原作単行本第9巻:第74話「怖い時間」、
  第75話「殺しの時間」、第76話「衝撃の時間」より

二期は、二学期の始業式以降からスタートするかと予想してましたがハズレ。
意外にも一期のラスト第73話からの話をそのままでスタート。

キャストも既に2クール演じてるキャラだけあってよく嵌ってるし、
息もあった掛け合いも絶妙で安心のクオリティ。

<告白のつもりが殺白(ころはく)してどーすんのよ!!>
二学期編序章となった今回、
今後のヤバそうな伏線もありましたが
肝試しや「くっつけ」作戦などで構成され
大筋は小休止の日常回。
ヴィッチ先生の可愛さがよく描けていて始終ほのぼの。

放送が真冬なのに夏イベントというのもアレですが
コメディとして十分楽しめました。
{/netabare}
★ 2時間目「茅野の時間」{netabare}
… 原作単行本第10巻:第80話「茅野の時間」、第81話「鬼ごっこの時間」、
  第82話「泥棒の時間」、第83話「泥棒の時間・2時間目」より

第9巻の第77話から巻末の79話に当たる3話分、
前回、水木しげる先生似とされた、
竹林絡みのエピソードは丸々カット。
結構好きなエピですが、
話のテンポ上、仕方ないかな。

お話はいよいよ第10巻に突入。

今回、あまり繋がりのない3つのエピソードを
上手く1話に収めるることに成功してると思います。

・Aパート:第80話「茅野の時間」より

<プリン愛あればこそ>
松井先生も茅野と同じくプリンマニアだそうで
巨大プリンの設定をかなり練りこんだそう。

おかげでアニメでも丁寧な演出で
荒唐無稽なお話なのに妙な説得力があって
ギャグコメディなのに関心しちゃいました。

なにがあっても、ちゃんと生徒たちにもプリンを振る舞う殺せんせー。
ちょっとほっこり。

・Bパート:第81話「鬼ごっこの時間」~第83話「泥棒の時間・2時間目」より

殺せんせー、福山潤さんの
ハリウッド映画などのテンプレ悪徳警官の演技、
踊る大捜査線ネタ(アニメオリジナルの演出)にクスッw

おそらく尺の問題で、鬼ごっこ(ケイドロ)のエピの最後、
烏間を出し抜いた生徒たちの描写はカット。
これも無理ないけどちょっと残念。

<お前は俺より弱い>
自称殺せんせーの弟、イトナ、カムバック!
次回も楽しみ。
{/netabare}
★ 3時間目「堀部糸成の時間」 {netabare}
… 原作単行本第10巻:第84話「限界の時間」、第85話「駒の時間」、
  第86話「執着の時間」、第87話「吐きそうな時間」より

殺せんせーの力というより、
E組の生徒のチームワークのおかげで
イトナ(CV:緒方恵美)がクラスの一員になれたお話。

E組の生徒たちは人しての度量も大きくなってきた。
かつてはトラブルメーカーだった寺坂も
人を気持ちを解きほぐすことができるようになっていた。

殺せんせーの教育は、
生徒の学力や様々な技能のみならず
人格形成にも大きな結果を残してることが
伝わるエピソードでした。

原作の魅力を損なわず、
単行本の4話分を23分に無理なく収めるてる。
その上、原作上のいい台詞やギャグも決して外さない。
上江洲さんの脚本はやはりセンスがいい。
{/netabare}
★ 4時間目「紡ぐ時間」 {netabare}
… 原作単行本第10巻:第88話「紡ぐ時間」、第11巻:第89話「名前の時間」より

・Aパート:第88話「紡ぐ時間より

イトナは寺坂グループにすっかり溶け込んだ。
遠慮ない毒舌が友情の証であるかのようだ。

得意の電子工作の技術で対せんせー用の兵器を作ったつもりが、
E級男子の男のロマンの道具にされそうに…

エロと殺しと物作り、男子の都合をがっちり掴んで、
イトナを中心にいつの間にか輪ができていた。

真剣な作戦のために一致団結する彼らだが…

<ちょっと痴情のもつれが…>
オチには原作の補足となる描写もあって楽しかったです。
ちょっとだけプリズンスクール思いだしました。

・Bパート:第89話「名前の時間」より

一日だけ本名で呼ぶの禁止してお互いをコードネームで呼ぶお話。

コードネームは全員が全員分考え紙に記入、それを箱に入れる。
それを殺せんせーが引き当てたもので、全員分のコードネームは決定。

真面目な対戦訓練で、適当でふざけたネームで呼び合う彼らは
アニメでは声優の演技により漫画より可笑しさ倍増でした。

コードネームと呼ぶより、あだ名が相応しい。

特に笑えたのは、律の”萌え箱”を筆頭に、
ツンデレスナイパー、女たらしクソ野郎、鷹岡もどき、
中二半、永遠の0、メガネ(爆)など

ただ、メガネ(爆)は、竹林のことですが、
アニメでは竹林回がカットされてるので
原作読んでないと意味不明なのが残念。

原作のアレンジが絶妙で、なおかつ補足要素が加わり
今回の面白さは原作以上。

ちゃんと木村君の名前のコンプレックスを救うオチもあって
ギャグだけで終わらせないところが素敵です。

エンディングのキャスト表示で
E組生徒と担当教師3名の役名が本名でなく、
コードネームになってたのには(爆)

CAST
バカなるエロの
チキンのタコ   福山 潤
堅物         杉田智和
ビッチビチ    伊藤 静
---------中 略----------
性別       渕上 舞
って、これは「バカテス」の秀吉と同じくらいの笑撃www

だから岸&上江洲コンビの作品から目が離せません。

次回、浅野理事長親子が久しぶりの登場。楽しみです。
{/netabare}
★ 5時間目「リーダーの時間」 {netabare}
… 原作単行本第11巻:第90話「イケメンの時間」、第91話「体育祭の時間」、
  第92話「戦術の時間」、第93話「リーダーの時間」、第94話「敗北の時間」より

今回は、磯貝悠馬(CV:逢坂良太)の回。
コードネーム:貧乏委員
縁日でゲットした金魚まで食材にするほどの貧乏な母子家庭の苦労人設定。
でもE組の学級委員で、成績優秀、コミュ力あって人望厚くイケメンとして女子人気も高い。

前回は、原作2話分を補足まじえて丁寧に描いたかと思えば
今回は5話分を圧縮して構成してました。
だからといって薄味に感じることなく楽しめました。
ポイントは決して外してないためだと思われます。

体育祭の棒倒しのようなシーンは、アニメで音声と動画で描かれると
やっぱり漫画より見応えあっていいですね。
イトナが勝利を決める際、棒にぶら下がって倒すというアクションが足されていました。

留学生との会話を英語で統一させたのも
ヴィッチ先生の英会話の授業が役に立ってると伝わり良かったです。
キャストの誰が、英会話が上手いか下手かが判っちゃうのは、まあご愛嬌ですね。
{/netabare}
★ 6時間目「ビフォーアフターの時間」 {netabare}
… 原作単行本第11巻:第95話「間違う時間」、第96話「ビフォーの時間」、
  第97話「アフターの時間」、第98話「プレゼントの時間」より

<君たちは強くなりすぎたのかもしれない>
いつもの山中でのフリーランニングの訓練の成果を街中で試すE組の18名の生徒たち。
不注意から、自転車に乗った幼保育施設「わかばパーク」の園長に怪我をさせてしまう。
その責任を取るため、そして失敗から学ぶため、
E組28名全員参加の二週間の課外授業が始まった。

<なんということでしょう!>
『大改造!!劇的ビフォーアフター』…建築情報・ドキュメンタリー番組。
サザエさんの中の人、加藤みどりさんのナレーターが印象的。
殺せんせー、福山潤さんのものまねとBGMで上手く再現。
映像と音響あってこそのパロディ、原作では味わえない楽しさでした。

<蒼き鋼のアルペジオのキャスト再び>
岸&上江洲コンビの推薦でしょうか?
レギュラーのE組生徒は、
渕上 舞(渚、イオナ)
藤田 咲(律、ヒュウガ)
沼倉愛美(中村莉桜、タカオ)
宮下栄治(菅谷創介、橿原杏平)
佐藤聡美(神崎有希子、ナチ(劇場版))
カッコ内の前者は今作、後者はアルペジオでの役名

気付いたのは以上ですが他にもいるかも。

そして今回のゲスト、登校拒否の小5のさくらは山村響さんが演じてました。
つまり渚とさくらの絡みは、イオナとハルナの組み合わせ。
お二人とも演じ分けが巧みなのでエンドクレジット見るまで
この組み合わせとは思いもよりませんでした。
なかなか面白いですね。
{/netabare}
★ 7時間目「死神の時間 前編」 {netabare}
… 原作単行本第12巻:第98話「プレゼントの時間」、第99話「プレゼントの時間・2時間目」、
 第100話「「死神」の時間」、第101話「反撃の時間」、第102話「「死神」の時間・2時間目」、
 第103話「「死神」の時間・3時間目」、第104話「「死神」の時間・4時間目」より

今迄で最強最悪の超一流の暗殺者「死神」登場!
殺せんせー暗殺のため、あらたな外部からの刺客がE組生徒全員を人質にとる。
ヴィッチ先生もE組を裏切り「死神」側に取り込まれ、律もハッキングで無力化された!
E組に最大の危機が訪れ、殺せんせーと烏間先生が救出に向かうが……

「死神」絡みのエピソードは漫画では第99~110話までで12話分ありますが、
アニメでは2回分だけで描くのかな?
テンポがとてもいいです。
カット多いはずなんですが、全然気にならないのは、ポイントは決して外してないからでしょう。

<やる気しね~死神さんに逆らうとかありえねーし 働くぐらいなら電源落とす>
ほんの少しの登場ながら、漫画もアニメもHacked印の律はやっぱり可笑しい。
藤田咲さんの演技は、今回、ここだけ普段の清楚な役柄と違うので、
ちょっとだけアルペジオのヒュウガっぽく聞こえました。
{/netabare}
★ 8時間目「死神の時間 後編」 {netabare}
… 原作単行本第12巻:第105話「「死神」の時間・5時間目」、第106話「「死神」の時間・6時間目」、
  原作単行本第13巻:第107話「「死神」の時間・7時間目」、第108話「「死神」の時間・8時間目」、
  第109話「「死神」の時間・9時間目」、第110話「世界の時間」より

<この教室がどんな結果を迎えるのかはわからない...だが、この場所は...良い世界だ>
今回は、烏間が主役!烏間は、怪鳥音こそないもののビジュアル的には、
70年代の孤高のヒーロー、ブルース・リーのようなカッコよさ。
杉田智和さんのイケメンモードの演技も実によく決まってて、すっかり魅せられました。
ヴィッチ先生との絡みも素晴らしかった。

イトナもいい味出てます。彼の電子工学の才能が
しっかりE組の戦力に活かされてるのも地味にいい。

2回に分けられた死神の時間のエピソード、
カット多くても、キャラの心理描写がとても丁寧だったのが好印象でした。
{/netabare}
★ 9時間目「2週目の時間」 {netabare}
… 原作単行本第13巻:第111話「進路の時間」、第112話「2週目の時間」、
  第113話「1週目の時間」、第114話「渚の時間」より

生徒の進路指導のエピの中で浮き彫りになった、
渚と彼の母、潮田広海(CV:三石琴乃)の話。

広海役に三石さん起用とは少し意外でしたが、結果としては適材適所ですね。
実生活でも一女の母親でもある三石さん。
また「ドラえもん」で、のび太のママ役をもう10年以上演じているだけあって、
母性は、演じなくても自然に滲み出ていて、
さらに狂気を秘めた過保護の母という難しい役を絶妙に演じてらしてさすが。
{/netabare}
★ 10時間目「学園祭の時間」 {netabare}
… 原作単行本第13巻:第115話「学園祭の時間」、
  原作単行本第14巻:第116話「客の時間」、第117話「珍客の時間」、
  第118話「縁の時間」より

一期含め、今迄の敵味方問わず様々なキャラが文化祭でE組の模擬店に訪れる話。
なんとも緩く少年誌ならではのコメディ展開ですが、私は大好きなエピソード。
「昨日の敵は今日の友」的なものはいかなる作品でも個人的にツボです。

実に上手くまとめあげていたと思います。
二期のここまでの話で一番笑えて面白かった。

ここで久しぶり(一期17話以来)の、『いきなり「おしえて!くぬどん」』復活!
今回は、学園の文化祭紹介。
アニメオリジナルのこれ、好きです。
脚本の上江洲さんのブラックユーモアが冴えてます。

本校での浅野の企画した学園祭イベント描写の作画もセンスがいい。

<殺すつもりで売りましょう、君たちの数々の刃を!>
食は和を生み出す意味でも大切ですね。
どんぐりつけ麺、私も食べてみたいです。

修学旅行の不良高校生、わかばパーク関係者、南の島エピのキャラたち、
その他もろもろの殺し屋たち、最後に渚の母、再登場。
中でもユウジが、最もお気に入りなキャラなので丁寧に描いてもらえてうれしかった。
渚との絡み、可笑しくも今回は南の島の時以上に心温まりました。

渚の母は前回と打って変わり、子離れできた母親へ脱皮。

人の成長がちゃんと描かれてるから今作が好きなんです。

キャストの皆さんの演技力も冴えていて始終ほっこり。
{/netabare}
★ 11時間目「期末の時間 2時限目」 {netabare}
… 原作単行本第14巻:第118話「縁の時間」、
  第119話「期末の時間 2時限目」、第120話「殺気の時間」、
  第121話「解放の時間」、より

<正しい敗北を 僕の仲間と父親に>
理事長の歪んだ教育に気付き、素直にE組生徒たちに頭を下げる浅野学秀。
いつの間にか、本校舎生徒筆頭の彼も成長してました。
今まで見下していたE組生徒に素直に頭下げるとは
登場した頃には想像もつかなかった。
敗北から学んで強くなる…
普遍的な真理を自然に物語に織り込んでいて味わい豊か。

テスト問題と格闘する様をファンタジーバトルになぞられる演出
ここはアニメの真骨頂ですね。

{/netabare}
★ 12時間目「空間の時間」 {netabare}
… 単行本第14巻:第122話「空間の時間」、第123話「誤作動の時間」、第124話「教員試験の時間」より

前回と今回の間に、原作漫画はすでに第180話で完結してます。

アニメ2期は全25話予定らしいので残り13話あるよう。
とすると、アニメ1話分につき単純計算で平均、漫画の4話~5話分を
消化していけば結末まで充分描けますね。
これでアニメも、最後まできれいにまとめてくれそうで安心です。

<学秀vsカルマ、学業対戦の巻>

今回の数学の最終問題は、原作の松井先生が、
「中学生の知識で解けるけど、大学受験レベル」という発注で
中学生の通信教育のZ会の方に作ってもらたそう。
採用されたのは、いくつか作ってもらった候補から
漫画に相応しいと判断された選ばれた問題で
先生ご自身も3日かけて咀嚼して全容を理解した上での執筆とのこと。

私は、数学不得意ゆえ解く気も起きませんが
学秀とカルマ両者の着眼点の違いが対照的に描かれてなかなか面白い。

前回に引き続き、ファンタジーバトルの演出に、
アニメの利点が最大限に活かされてましたね。

でも、最高に可笑しかったのは、最後のくぬどんの件。
原作ではちょっとしたギャグをバージョンアップ
シリアス回なのに、こういうの、
いきなりぶちこんでくるセンスがなかなかいいです。

理事長と殺せんせー、教育方針は違えどどこか似てると思います。
理事長は好敵手としていいキャラです。
{/netabare}

投稿 : 2024/04/20
♥ : 13
ネタバレ

名無すのレビュアー さんの感想・評価

★★★★★ 5.0

2期で気付いた事( ゚д゚)ハッ!

2話の後半に一瞬だけ!

{netabare}
3年E組女子のバストサイズが表示されてますヾ(*´∀`*)ノヤッタ-♪

E、矢田
D、中村、原
C、速水、片岡
B、倉橋、神崎、不破
A、岡野、奥田、狭間
永遠のゼロ 、茅野(本人はBと言ってるけどww)

イリーナ:B97W60H91(Hカップ?)
雪村あぐり:Fカップ(茅野の姉)

です♪(;//́Д/̀/)ハァハァ


個人的には隠れ巨乳好きなので、狭間、岡田、神崎、倉橋、速水あたりがもう少し大きかったらなぁと(  ˙-˙  )౨ヌルフフ♪

でも速水が以外にCなのは喜ばしい♪


みんなまだ中学生なので将来的には↓

G、矢田
F、中村、原
E、速水、片岡
D、倉橋、神崎、不破
C、岡野、奥田、狭間
姉がデカいので期待込めてC、茅野

というような可能性があります(;//́Д/̀/)ハァハァ
{/netabare}

⚠︎こういう事だけで私は「星5.0」にしてません!
本当にいい作品でした♪

大事な事なのでもう一度言います。

こういう事だけでは「星5.0」にしませんよ…
♪~(´ε` ;)ヌルフフフ~ン

投稿 : 2024/04/20
♥ : 5

Ka-ZZ(★) さんの感想・評価

★★★★★ 4.2

殺センセーと3年E組の皆んなとの絆の物語・・・その熱情にただ感涙するしかできませんでした・・・

この作品は、「暗殺教室」の続編に位置する作品です。物語の内容に繋がりがあるので、前期を未視聴の方はそちらからの視聴をお薦めします。

この作品からは予想外の幸せをたくさん貰ったような気がします。
①前期視聴の際、殺センセーのキャラデザからこの作品の視聴を敬遠した方もいらっしゃるようですが、殺センセーと3年E組の皆んなとの時間は思いのほか激アツで堪能させて貰った事

②2期「SECOND SEASON」の放送後、そのまま15話からの「FINAL SEASON」まで描ききって貰った事

③物語の終盤・・・殺センセーと3年E組の皆んなとの大切な時間を共有させて貰った事

これも岸監督ならではのサプライズ・・・だったのでしょうか^^?
一番ビックリしたのが②です。リアルタイムで視聴していた際、4月以降のTV番組欄にこの作品のタイトルがあったので、「枠を延長してしっかり描いて貰えるんだ」と思っていましたが、延長はこれまでの経験上1,2話程度だろうと勝手に推測していました。
ところが、いつの間にかタイトルが「FINAL SEASON」に変わっているじゃありませんか。
そこで、原作終了に伴いアニメも最後まで描ききる・・・という情報を耳にしたんです。
こんな嬉しい朗報もあるんですね^^

この物語は、賞金首である殺センセーと椚ヶ丘中学校の底辺と蔑まれてきた3年E組の生徒が様々な触れ合いを通して先生と生徒の絆をしっかり固めながら、底辺からの脱却を目指して生徒たちが成長していく・・・こんな感じの物語です。

3年E組の皆んなも最初はバラバラでした・・・
このクラスに送り込まれる事に対する屈辱や自身のプライド・・・
或いは未来に対する絶望・・・
誰も好き好んでこのクラスを志望する人のいない底辺のクラスです。
でも殺センセーが担任になって・・・烏間先生の他にビッチ先生もこの輪に加わって・・・少しずつですが、3年E組の皆んなに変化の兆しが訪れるんです。

自身の変化が実感できた時・・・これまで出来なかった事が出来るようになた時って嬉しいと思います。
でも、それは何の苦労も無しに手に入れられるものではなく、変われるのは努力をした分だけ・・・
3人の先生からの教えが功を奏したのでしょう・・・見違えるぐらい生徒が進化していくんです。
この進化は見ていてとても気持ち良いです・・・
これまでE組を蔑んでいた人達は、進化したE組を見て何を思うのでしょう・・・

殺センセーは100億円の賞金首・・・暗殺者が黙っているわけはありません・・・
ビッチ先生を含め次々と暗殺者が送り込まれてきました。
でもここには・・・殺センセーと進化した3年E組が待ち受けているんです。

でも・・・中には暗殺者の心中を察すると胸の痛くなるような事もありました。
たった一つの願い・・・それを叶えるためなら人は何でもできちゃうの・・・?
どんな痛みにも耐えられるの・・・?

生徒たちが目の前の階段を一つ一つちゃんと登った時間・・・だったと思います。
こうして物語は「FINAL SEASON」に突入する訳ですが、正直この最終章は私にとって泣きどころばかりでした。

私は当たり前と受け入れてしまっていたため、これまで全然気にする事はありませんでした・・・
殺センセーはどうして3年E組の担任になったのでしょう・・・
それどころか、自ら宣言した来年の3月までの時間を、どうして教師として過ごしたのでしょう・・・
・・・これら全てに理由があったんです。
その理由は本編で確認頂きたいと思いますが、私は涙無しにはこの場面を見れませんでした。

この作品はこれまでの十分激アツでしたが、一気に熱さの加速度を増すのがここからです。
クラスの皆んなの本音・・・そしてそれを自分達が一番納得できる方法を模索し実践する・・・
本気で・・・全部でぶつかり合うから絶対に中途半端なんてできない・・・
そして導き出された答えを総意として咀嚼する・・・
これだけでも生徒の成長を十分に感じられます。けれど、この作品・・・これで留まってくれないんです・・・

烏間先生はE組の皆んなに「余計な事をするな・・・」と言いました。
けれど、皆んなその言葉の本意をちゃんと分かっています。
これまで1年間・・・同じ時間を共有してきた先生なんですから・・・

ここからは3年E組の集大成・・・
例えどんな相手でも、自分達の領域に持ち込めばそこに活路を見いだせる・・・
生きていく上で大切な事を身をもって教えてくれる殺センセー・・・
それを貪欲に吸収する生徒達・・・
殺センセーとE組の間には究極の師弟愛があったと言っても過言ではないでしょう・・・

決める時間・・・
皆んなで出した答えは・・・

今でも渚の泣き叫ぶ姿と声が頭から離れてくれません・・・
そりゃそうだよね・・・泣き叫ぶしかできなかったんだよね・・・
でも・・・優しかったね

オープニングテーマは、3年E組 うた担 [渚&茅野&業&磯貝&前原の「QUESTION」と「バイバイ YESTERDAY」
エンディングテーマは、宮脇詩音さんの「欠けた月」と「また君に会える日」
オープニングのノリの良さと、しっとりとしたエンディング・・・どちらも好きでした。

2クール全25話の作品でした。
この作品って、こんなにも感動する物語だったんだ・・・が視聴後の素直な感想です。
この作品が最後までアニメで見れた事に至福の喜びを感じています。
ホント・・・視聴して良かったと心の底から思えた作品でした。

投稿 : 2024/04/20
♥ : 18

74.9 5 シリアスで友情なアニメランキング5位
終末のイゼッタ(TVアニメ動画)

2016年秋アニメ
★★★★☆ 3.6 (795)
3898人が棚に入れました
西暦1939年、帝国主義国家ゲルマニア帝国は突如隣国に侵攻を開始した。その戦火は一気に欧州全域へと拡がり、時代は大戦の渦に巻き込まれていく。そして1940年、ゲルマニアはその矛先を美しい水と緑に恵まれたアルプスの小国エイルシュタット公国に向けようとしていた。

声優・キャラクター
茜屋日海夏、早見沙織、内田彩、東山奈央、花澤香菜、諏訪部順一、高橋広樹、花江夏樹、KENN、細谷佳正、遊佐浩二、置鮎龍太郎、間島淳司、平川大輔、森川智之、山寺宏一
ネタバレ

東アジア親日武装戦線 さんの感想・評価

★★★★☆ 3.4

愛が恐れているのは、愛の破滅よりも、むしろ、愛の変化である。終末に咲き乱れる美しき死生観にこそ我々は魅了されるはずだった。

■Staff
{netabare}監督:藤森雅也(代表作品:トライブクルクル)
脚本・構成:吉野弘幸(代表作品:マクロスF、ソ・ラ・ノ・ヲ・ト、マギ他)
キャラクターデザイン:BUNBUN(原案)、山下祐
アニメ制作:亜細亜堂{/netabare}

■Cast
{netabare}イゼッタ:茜屋日海夏
フィーネ:早見沙織
ビアンカ:内田彩
ロッテ:東山奈央
エルヴィラ:花澤香菜
ジーク:高橋広樹
ハンス:KENN
トビアス:間島淳司
ヘルマン:置鮎龍太郎
ベルクマン:諏訪部順一
リッケルト:花江夏樹
バスラー:細谷佳正
オットー:山寺宏一
他{/netabare}

グロス請のイメージが強い亜細亜堂制作のWW2を背景とした「魔法+ミリタリー+美少女」のオリジナル作品です。

(設定関係)
軍事関係の設定考証は戦車雑誌で有名な月刊PANZERがクレジットされていましたので、まず間違いないでしょう。
本作の軍事設定詳細は下記の雑誌で特集されています。
興味のある方は御覧になるといいでしょう。
なお、同誌の記事はまとめサイトへも転載されているようです。
『PANZER 2016年11月号/PANZER Nov.2016』

12月22日最終稿
12月22日文字数オーバーの為更に6話、7話メモも削除編集
【総評】
{netabare}美学なき物語は道標を失い、WW2の世界観を使い熟すことなく軽薄なストーリーとなった残念作品。期待倒れでした。
※本作は期待が大きかったばかりに、リアルタイムでの感想で長文が多かったゆえレビュー文字数がとうとうオーバーとなりました。
本来は残したいのですが、遺憾ながら個人的に盛り上がっていた6話までの感想を削除いたします。{/netabare}
(1)作画
{netabare}秀逸な3DCGによる、兵器の精密描写と圧倒的な迫力は認めざるを得ません。
しかし、空母ドラッヘンフェルスを2Dとしたことから、3Dとの繋ぎに違和感を感じてしまったことは少々残念です。
それと、ゲール軍の鉄兜シュタールヘルムの作画はいただけません。
側面の折り込みが分からず、ノペーとした感じとなっていることと、光沢感が表現されていない点が残念です、仕上げがべた塗りではいけません。
8、9話で一部、キャラの崩れもありましたけど、難易度が高い戦闘描写の高クオリティを維持していたことは、評価に値しますし、ミリオタ視点からも十二分に納得がいくものです。{/netabare}
(2)声優
{netabare}声優さんは熱演されていました。概ね満足です。
特に、フィーネ役の早見さん、ゾフィー役の雨宮さんの演技は頭一つ突き抜けていました。
しかし、肝心のイゼッタ役の茜屋さんの感情表現には課題が残りました。
イゼッタは設定そのものにも問題があるので、声優さんが役に成りきるに当たり感情移入へのネックとなっていたのかもしれません。{/netabare}
(3)キャラ
{netabare}ここでは、各キャラの私見を交え物語を振り返ります。
各話でも記述をしている通り、主人公イゼッタの設定が致命的にチープなので、評価は辛めになります。
本作はイゼッタとフィーネに共感が出来ないと、物語として楽しむことは出来ません。
私は10話まで終始イゼッタへはイラつきました。
その理由は各話で述べている通りですので、イゼッタについてはここでは省略します。

次に準主役のフィーネです。
大公の崩御で指導者の地位につきましたが、指導者というものは私情より先に国家、国民がが優先されるものです。
しかし、フィーネの公私混同は国家指導者となっても改るところがなく、私が懸念したようにイゼッタとの友情を超越した愛情関係(以後、百合と表記)が本作のストーリーを歪めてしまったと思います。
百合路線で行くのなら、そう割り切ったキャラ設定や現実を揶揄しないようにファンタジックな世界観の設定が必要です。
いくら国名を架空設定としても、ゲールはドイツ、アトランタは米国、ブリタニアは英国、テルミドールはフランスとWW2の当事国であり実在する国家がモデルとなっているのは一目瞭然。
事実として少なく見積もっても全世界で5千万人以上の死傷者を出したWW2のリアル史実を世界観とした場合、巫山戯た百合とフィーネの愛情ゆえにイゼッタの歪んだ大義との取り合わせは、アニメのみならず文芸作品にも精通し目が肥えている層には当然不評乃至顰蹙を買う取り合わせです。
本作の場合、大義を貫く凛とした君主のフィーネを設定し、その姿に魅せられたイゼッタの成長物語と合わせ、祖母の言い付けを破るだけの信念をイゼッタが自らの意思で構築し、自発的にエイルへの愛国心や忠誠心を抱くに至ったのであれば自然なストーリーでした。
または、大公を崩御をさせず、責任の軽い王女のままの方がよりフィーネらしい役所となり、世間知らずの王女の戯言としてなら、多少の百合展開には目を瞑る事も出来ました。
イゼッタの設定と合わせ、フィーネの設定も稚拙であったことが、本作を救いようがないB級アニメにしてしまったことを、監督の藤森氏、脚本構成の吉野は特に反省をして頂きたいと思います。

ゲール側のキャラを必要以上に邪悪に設定したのもいけません。
設定の都合で、邪悪に描くのはゲールの指導者皇帝オットーだけで十分であり、SSを登場させ、そのキャラでもゲールの邪悪さを強調し、他国のキャラは真っ当に描くことで、相対的にゲールへの敵愾心を煽る手法は、ハリウッド製B級映画と同じ手法で感心いたしません。
戦争というものは、開戦動機の如何に関係なく、ゲールに限らずも交戦国全てを狂気にします。

オットーのモデルは紛れもなくヒトラーですけど、それを皇帝としたことで、特に海外ではヴィルヘルム2世とも解釈できる誤ったメッセージにもなっています。
そも、ゲールを帝政設定にした理由は何だったのでしょう?
帝政であれば、近隣諸国の王家には養子や婚姻で血縁親族が必ずいます。
野望だけで他の王制国家への侵略などは起こせません。
WW1までは欧州王室会議が欧州の安全保障に大きな役割を果たしていた歴史を研究すべきですし、ゲールの隣国であり、同じ言語圏(ドイツ語)であり、かつ、王室があるエイルと王室間の繋がりがないとする方が不自然です。
制作側は欧州王室のことを何も理解をしていないようなので、野望を抱いた軍事大国が小国を侵略する程度の稚拙さで、本作のような設定を考えたのでしょうけれど、その図式を成立させるのであれば、ゲールは11月革命を経た後の共和国として設定し、史実の通りオットーはVerfassung(全権委任法体制)を達成した擬似皇帝"Führer"とすべきです。

さて、ゲール側の人物描写ですが、不足や矛盾はありますけれど、ベルクマン、リッケルト、バスラーを掘り下げていたことは評価いたします。

リッケルトは貴族の家庭でなに不自由なく素直に育てられた国家エリートであり、ウブで女(の恐ろしさ)もよく知らない真面目な人物であり、本来汚れ役の特務に向いている資質ではないでしょう。
貴族の威光に依らず、自らの実力で国家に貢献すべく志願してエールに潜伏した折、あろうことか、エールの近衛指揮官ビアンカに一目惚れをしてしまいました。
この安直な設定を批判する向きもありますけど、私はビアンカとの恋は、無自覚で意図しないハニートラップだったのかとも思い、自分を納得させて、このエピソードを流しました。
総じてサブキャラの掘り下げが少ない中で、リッケルトとビビンカ双方を描きキャラを立てたこのエピソードに一定の評価をします。

最終回でバスラーがベルクマンの言い分に対し怒りに任せてワルサーの引き鉄を引きましたけど、バスラーはベルクマンの自己中心主義をどう思ったのでしょうね。
情けなくなってトドメを刺さなかったというところでしょうか。
戦局が極度に悪化したなか、バスラーがBf109で飛び立つシーンがありますけど、超展開戦史でV1、V2まで登場したのですから、ミリオタサービスも込めてMe262で彼に花を持たせても良かったのではないでしょうか。

ベルクマンに関しては「最終回」メモに記述をいたしましたので省略します。

エイルの近衛兵であるビアンカ、ルイーゼ、アデーレ、クリスタですけど、近衛部隊が全て女性編成というのは非現実的であり、かつ、この中でキャラが立ったのは、リッケルトととの束の間の恋と悲劇的な結末を描いたビアンカ程度で、他のキャラは百合要員にしか思えないような過大設定です。
近衛という大風呂敷よりも、シークレットサービスや、SPのようなフィーネの護衛官程度で設定べきだったでしょう。
それであれば、女性だけの設定でも不自然ではありません。

エルヴィラ・フリードマンですけど、折角花澤さんを起用しながら後半は殆ど空気となっていました。
フィーネが指導者としての自覚が足りない部分をエルヴィラがフォローするなり、フィーネが国政を顧みず百合を満喫できる為の環境要員として、活用すべきだったと思います。

ジークハルト・ミュラー、白き魔女ゾフィーを死に追いやった家系の末裔。
最後はイゼッタの秘密を守る為に射殺した自国の兵士ヨナスと出合い頭のゲール兵が脳裏で重なり、油断した隙に射殺されますけど、ゾフィーに対して責任を取ったとも思えます。
国に殉じた彼の最後と国を裏切りなお生き延びているベルクマンの運命と対照的で、好印象を抱いたキャラの一人です。{/netabare}
(4)音楽
OP曲『cross the line』、ED曲『光ある場所へ』とも良曲です。
私事ですけどDLします。
{netabare}『エイルシュタット国歌』は疑問ですけど、『魔笛』他劇中曲はハイセンスです。
しかし、曲のセンスに物語が追いついていないのが残念です。
でき得れば『ゲール国歌』を原曲『皇帝讃歌』(ハイドン作曲)で聴きたかったものです。{/netabare}
(5)物語
{netabare}「終末」には様々な意味、解釈があるようですけど、本作の舞台ドイツ語圏から考えると、とってつけたようなこじつけかもしれません。
ストーリーから考えて素直にドイツ語タイトルの「最後の魔女イゼッタ」が本作のタイトルとして相応しかったと思います。
内容ですけど、百合と魔法と戦争群像の三兎を追った結果、物語の焦点がばらけて全てが中途半端に終わった感は否めません。
戦略でもそうですけど、焦点の拡散は各個撃破され敗北の道を歩みます。
妙に現実的な設定と百合を含めたファンタジーの接合が悪く、現実とファンタジーの振幅の激しさに多くの視聴者がついて行けなかったという印象です。
視聴者は雑多な福袋よりも一点豪華を求める傾向にありますので、このシナリオの失敗は如何ともしがたいでしょう。
また、1クールの尺であれば、WW2ではなく架空の地域紛争程度のコンパクトな世界観にするべきだったのではと思います。
なお、制作スタッフ(主として監督、脚本、設定制作)は当時の政治や世相の深淵を咀嚼せず、戦史中心でストーリーの時系列を組み立てています。
したがって、本作からは政治的なメッセージは得られません。
本作の詳細な問題点は各話メモに記述をしていますので、ここでは俯瞰的な意見のみとします。

物語本筋だけでしたら「2」が最大限の評価ですけど、本作は本筋以外に圧巻な3DCG戦闘シーンなど傍系の見所がありますので、下記のように項目を細分して評価をしています。
《物語評価の内訳》
・軍事考証4.5(史実に対し、兵器、軍装、軍事付属物のレイアウト設計、描写など主としてハード部分)
・戦史考証3.5(史実に対し、作戦のフローチャート、作戦の時系列的整合性、作戦の背景など主としてソフト部分)
・政治考証1.5(史実に対し、軍事作戦以外の政治、外交、インテリジェンスの設定など)
・物語の基軸2.0(物語独自の設定における脚本・シリーズ構成)
・演出、効果4.0
・Ave.3.1≒3.0{/netabare}
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【考察】「ドイツの核兵器について」
もう、本作のレビューを書く機会はありませんので、各話メモで未稿でした「ドイツの核兵器について」に触れたいと思います。※長文なので畳みます。
{netabare}現在、先端科学の中心地は米国ですけど、戦前、先端科学の中心はドイツでした。
これは、自然科学部門のノーベル賞受賞者を御覧頂いても、お分かりを頂けるかと思います。
ドイツの科学研究は19世紀後半に設立された「帝国物理工学研究所」から「カイザー・ヴィルヘルム研究所」、現在は「マックス・プランク物理学研究所」(現在は研究項目ごとに分立している)と変遷をしていますけど、国家を挙げて科学技術の育成に取り組んできた古い歴史があります。
なお、我が国の「理化学研究所(理研)」と「カイザー・ヴィルヘルム研究所」の設立はほぼ同時期で、後身の「マックス・プランク研究所」と研究連携協定を結んでいます。
特に、戦前期の「カイザー・ヴィルヘルム物理学研究所」の所長にはM.スブランク(前期量子論の父)、A.アインシュタイン(相対論)、F.ハーバー(毒ガス化学兵器の父)、W.ハイゼンベルク(量子力学)など全てノーベル賞受賞者である、そうそうたるメンバーが就任しており、量子論を確立したN.ボーアなどドイツ人外の欧米の一流科学者の多くが本研究所で研究に携わるなど、世界最高の研究機関でした。
当時、戦前ドイツの科学技術はナチス時代で突然開花したものではなく、19世紀から国家を挙げて積み上げてきた成果です。

さて、ドイツにおいて核兵器の開発はどういう状況だったのでしょうか。
まず、核兵器には核分裂エネルギーを利用した「原子爆弾」(*1)と、熱核反応エネルギーを利用した「水素爆弾」(*2)があります。
※1核爆発の爆風には「マッハステム衝撃波」という特性があるが、これは原爆の放射熱で周囲の空気がプラズマ化し生じるもの。
『オカルティックナイン』11話でアヴェリーヌ(稜歌)は電磁波を用いたプラズマ爆発によるマッハステムを暗示しているものと思われる。
※2中性子爆弾は水爆に含まれる。
核分裂エネルギーを効率よく取り出す為には「連鎖核分裂反応」を生じさせる技術が必要です。
「連鎖核分裂」は「原発」でも用いられており、ゆっくりと反応させる制御をしているのが「原発」、制御せず一気に連鎖核分裂をさせるのが「原爆」です。
「核分裂」により、膨大なエネルギーが放出されることは「特殊相対論」で既に示されております。
世界初の核分裂実験は「カイザー・ヴィルヘルム研究所」でO.ハーンにより濃縮ウランを用いて成功しました。
(原爆に必要な「連鎖核分裂反応」は後のマンハッタン計画で成功します。)
O.ハーンによる実験成功の事実が、「カイザー・ヴィルヘルム研究所」の実力を知り尽くしているアインシュタイン他米国亡命科学者の顎を外したのは、理学者の立場では容易に想像できますし、ナチスによる原爆開発の現実的な脅威と危機感から、ルーズベルトへの原爆開発の提言へと繋がります。
実際、アインシュタイン達の懸念通りドイツにおける核兵器開発は1939年「カイザー・ヴィルヘルム研究所」が中心となって開発に着手、プロジェクトのリーダーは戦中の所長であったハイゼンベルクが就任し、ハイゼンベルクはヒトラーの腹心で後の軍需大臣となるシュペーアに条件が整えば2年以内に兵器化可能と回答します。
しかし、種々陰謀論めいた怪しげな話も存在しますけど、技術的な可能性はあったものの、結果的には以下の理由で完成には至っていません。

1.ユダヤ人の大量追放と科学者の戦時召集で原爆開発に必要な科学者が手薄であったことから計画に遅延が生じた。

2.原爆開発方針を巡り、高濃縮ウランか天然ウランかで意見が割れ、結局、膨大なエネルギーを消費するU235の純度を高める高濃縮は取りやめ、ハイゼンベルクの重水炉案に則り天然ウランを用いることとなり、その為にドイツ国内では製造をされていない重水の確保が急務になった。
しかし、当のハイゼンベルクはこの決定で、兵器化にはウラン濃縮が必要で、重水炉は発電施設として考案したものであり、天然ウランでは小型化し、兵器としての原爆の実用化は困難と判断している。
※重水炉と旧共産圏で使用された黒鉛炉の燃料は天然ウランをそのまま用い、現代の原発の主流である軽水炉は高濃縮ウランを用いる。
なお、当時、高濃縮ウランの製造には膨大なコストがかかることを考えれば、天然ウランの使用もあながち非現実的とは言えない。
※天然ウランの成分の殆どは核分裂を起こさないU238で、核分裂を起こす同位体U235は天然ウランの中に僅か0.7%程度しか存在しない。
また、当時、天然ウランから核分裂物質のU235を抽出する最も効率が良い方法はサイクロトロン技術を応用したローレンツ力を利用する「電磁濃縮法(Y12P)」、ついで手間がかかる「ガス拡散法(K25P)」が主流だったがどちらも膨大な電力消費が課題であった。
マンハッタン計画ではウラン濃縮の為に専用発電所まで建設をしており、潤沢な資金に恵まれた米国以外は選択出来ない方式だろう。
我が国では、理研が「ガス拡散法」、京大が「遠心分離法」でウランの濃縮を試みているが成果が出る前に終戦となる。

3.英国でもドイツの核開発を知るところとなり、原爆の研究に着手をしているが、ドイツが重水を求める理由に二通りの解釈を持っていた。
※原爆の性能向上(小型化)と水爆の可能性
どちらも英国にとっては破滅的な脅威であり、重水製造プラントがあったノルウェーの工場を攻撃し、更に重水を積んだ運搬船を攻撃して沈めドイツ核開発の息の根を止めている。
なお、重水プラントの確保はドイツがノルウェーを占領した大きな理由でもある。

4.ヒトラーは原子物理学をユダヤの科学として忌避しており、原爆開発へは予算や人員などの政治的な支援が行われなかったこと。
結局、軍需大臣シュペーアは1944年2月、原爆は本戦争には間に合わないと判断し正式に開発を中止する。

5.ヒトラー、シュペーアの会談録でヒトラーは核開発について、ハイゼンベルクチーム以外にも研究を指示していると述べている。
これは国防軍のE.シューマングチームのことであるが、この詳細はシュペアーやハイゼンベルクにも知らされていなかった。
E.シューマングの研究については現在もなお不明な点が多く、物証もなく陰謀論的な憶測も多いが、特に以下の二点が注目されている。
★広島に投下された原爆と同様「ガンバレル型起爆装置の開発」
(マンハッタン計画では現代の原爆に採用されているプルトニウム爆縮型起爆装置の開発が主軸であり、世界初の原爆実験も爆縮型で、ガンバレル型起爆装置について米国は一切非公表としている。)
★重水素を用いた水爆理論構築。ただし、水爆を起爆する為には原爆級の膨大なエネルギーが必要であり、原爆の開発を断念したドイツでの完成は不可能。
なお、戦争末期、我が国に向かって出航した潜水艦U-234号は、ウラン鉱石の他「ガンバレル型起爆装置」の設計図も搭載されていたとする証言もあるが証拠はない。
なお、U-234号は大西洋上で米海軍に降伏したが、その際乗艦していた日本海軍士官2名は自決している。{/netabare}
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※第1話から第7話までのメモは文字数制限の為削除。

第8話メモ
{netabare}各論
今回は軍事考証の必要はないので物語のみ。
吉野氏はソラノオト気分で脚本を書いているのか、戦時と平日の区別すらついていないようだ。
それにしても、戦時下の防諜対策とはどういうものかがマトモに考証がなされていない酷い回だなコリャ。
古城→重要機密施設の警備体制にしては甘過ぎるし、近衛兵が女性だけという設定も含めて非現実的。
非現実的に加え、ゲールの特務リッケルトをビアンカ達が偶然に拾い、伏線なしで痴情展開を設定してカタルシスを押しつけるご都合主義にはいい加減辟易する。

まぁ現実と非現実のギャップはあってもいいが、その折り合いのつけ方が子供騙しで既に物語のチープ化は避けられない状況と思う。
この物語の課題点は5話、6話でも散々指摘をしたし、改善の意欲も感じられないので言葉を費やすだけ無駄だろう。

アトランタが都度登場しているが、この国が欧州情勢に関与する動機が描かれていないのは致命的なミスだ。
つまり、アトランタがゲールとエイル両国を排除する「国益」は脅威の排除などという上辺なものではないだろうし、また、その程度で軍を動員出来るほど史実の米国事情は単純ではない。

米国の正義は常に攻撃された被害者の事実から始まるのがお約束。
現に史実では被害者になるように我が国だけではなく、ドイツに対しても策謀していただろう。
なぜ、そうまでして欧州情勢に介入したいのか。
史実を追い、アトランタのドロドロとした野心を見せないと視聴者をジンテーゼに誘導出来ないだろう。
ストーリー構成に参加している戦争屋にとって史実の米英同盟関係は空気のように感じているのか、設定そのものすら考えていないかもだな。

ドイツのポーランド侵攻から大西洋憲章締結に至るまでの両国の外交史を全く調べていないのが見え透いているし、戦史には詳しくても背景の歴史に音痴だと本作のように薄っぺらい脚本になる。{/netabare}

第9話、第10話一括メモ
諸般の都合により第9話のレビュー時期を逃したので一括します。
{netabare}しかし、この作品のレビュー少々書き難くなった。
{netabare}理由は余りの物語の陳腐さに我慢しきれず7話視聴後に制作会社ヘメールを入れた訳です。
他にも似たような意見があったのか、誠意のある回答を頂いた。
端的に言えば「まあ観ていて下さい。期待は裏切りません。」とのこと。
なお、今後のネタバレについては一切返信には含まれていない。{/netabare}
いや、確かに9話でマトモな流れになったが、尺も詰まった段階では少々遅きに逸した感もする。

さて、本作を視聴して戦争を感じさせないとの意見もあるようだが、想像力を欠いているのではないか?
本作を好む層は概ね実写戦争映画や実戦記録フィルムを鑑賞している層も多いと思う。
イゼッタやゾフィーのチート能力で多くのゲール兵やロンデリアン(ロンドン)市民が死んでいることを黙殺出来るとは、平和ボケな我が国の一端を窺わせ、とても憂鬱な気分だ。
一度、実戦の記録フィルムでも鑑賞してみたらよかろう。

本作では『魔法少女育成計画』のように生々しく凄惨な殺人描写がされていないだけで、実質的に多くの戦死者が出ているし、実写記録フィルムと重ね合わせれば死者累々の悲惨な状況は想像出来る。
東京空襲やサイパン、硫黄島、沖縄の玉砕戦、ドレスデンやロンドン空襲などの実写記録フィルムをしっかり鑑賞するのがよかろうが、グロいから見たくないとか言いそうだな。
しかし、それが戦争というものの現実なのだ。

戦争に対して背を向けてきた教育の歪みも問題だが、死体が少ない戦争アニメだから見易いなどと宣えているから、今般、尖閣のみならず、九州でも我が国の領海に堂々と浸入してくるシナの脅威など微塵とも感じない有難い感覚なのだろう。
シナ空軍の挑発で沖縄上空のスクランブルも異常事態だし、命を削りながらも国防に勤しみ我が国の平和を守っている自衛官諸氏の苦労を少しは考えてみたことがあるのだろうか。

某フィギュアアニメを無条件で讃えている層にも言えることだが、戦争が身近に来ているかもしれない現実は逃避して、戦争の悲惨さを感じさでないと本作を讃えながら、シナの良いように国土を蹂躙されてから後悔をしても遅いのだがな。

ガルパンオヤジの怒りはこの程度にして、物語はどうなのかに移ろう。
8話でその存在を暗に知らしめる伏線の通り、9話で白き魔女のクローンゾフィーが登場し、イゼッタに対し圧倒的な力量差で打ち負かす。
この種はイゼッタが魔力を地理的条件に依存していることに対し、ゾフィーは魔石を利用して地理的条件に左右されず魔力を発揮出来る設定だ。

この設定は上手く考えたと思うが、ゾフィーの存在を匂わせたり、古城への浸入目的が魔石の取得であったのも今後に向けての伏線で必要な尺だったのだな。

あと、ゾフィーがクローン技術で生まれた設定に対する批判もあるようだが、遺伝子操作によるクローン技術の思想的な始点はナチスの優生学からであり、実際に「レーベンスボルン」という交配で人為的に優れたヒトを作る実験が行われている。
ユダヤ人絶滅収容所ではその為の基地外じみた実験に囚人が利用されてもおり、その意味では可能性の範囲で荒唐無稽な設定ではないと言える。

次に、10話で登場したV1であるが、これは時系列的に無理があるだろう。
寧ろV2の方が現実的だ。
なぜならば、V2の原型であるA型ミサイルは1940年には既に発射実験が行われている。
フォンブラウンで調べてみるといいだろう。
対し、パルスジェット搭載のV1の開発はバトルオブブリテンの終了後であり、今回の設定はどう考えても可笑しいだろうな。

まぁ戦史を完全に無視をしているのなら、大戦初期でタイガーやパンサー、Me262を登場させてもいい訳だが、大戦初期の定石通りに3号、4号戦車、Bf109を登場させているし、また、本作が戦史準拠である事はPANZER誌でも述べられている。

しかし、設定に細かくイチャモンをつけても「魔女」の設定が荒唐無稽なので目を瞑っているのも必要か。
それでも、あまり無茶な設定をすると全てで陳腐になるので、止めた方がいいのだがな。

8話でも記述したが、アトランタ(米国)がたかが一駐ブリタニア大使の一言で軍の動員を図ったとするのはご都合主義もいいところだ。
アトランタは現実に攻撃されないと軍は動員しないし、ゲールのような独裁国家とは違い、この国は動員が正義となる確固たる理由が必要な国だからな。
でも今回ゲールがロンデニオン攻撃に踏み切ったことで、アトランタ軍動員の正当化を図るのだろうな。
史実では、ロンドン空襲時点でも米国は対独戦線布告はしていないのだけど。

10話の作画だが、2Dの爆発シーン、MS406の墜落爆発シーン、MS406vsBf109の3D空戦シーンは圧巻だった。
航空機と戦車、火砲の作画(3D含む)はパーフェクトなのに、空母の作画に課題を残したのは惜しまれる。

また、捕られたイゼッタ救出の為に、エイルの陸軍部隊と近衛が突撃の準備をしているところ、絶対装備数が少ないMS406が地上部隊との連絡もなく唐突に出現したのは、よくあるご都合主義に思える。

シナリオに厚みを加えるなら、突撃→撃退後退→空軍支援→再突撃の尺を取るべきだろう。
特に名機関銃MG34(WW2最高傑作機関銃MG42の前モデル)の連射で、エイル兵がなぎ倒されるシーンが見たかったが。
この、イゼッタ救出は重大局面で見せ場なのだから、もっと救出に苦労をするよう工夫をするべきだった。

陳腐な設定を残したまま、物語は進んだが、もう本作では誰もハッピーエンドは期待していないだろうし、バッドエンドをどのように迎えるのか焦点はそこだろう。
10話でも十二分に分かることだが、ゲールは帝政に置き換えたナチスそのものだ。
皇帝オットーはヒトラーの置き換えと見た方がいいな。

海外評価サイトでは現実の国家にするべきだとの意見もあったが、もろにヒトラーを出すといろいろと面倒臭いことになるし、この設定は仕方がないだろう。
それと、何故か10話では不可侵条約を反故にし史実通りヴォルガ連邦(ソ連)侵攻を目論んでいるが、局面はヴォルガ連邦との戦いで何か変化があるのかな。
ゲールはゾフィーを使いこなせるのか?不安な一面を見せる描写もあったが、史実通りの予定調和やオレタタ終了は避けて欲しい。{/netabare}
もうクールも残り少ないし、11話は相当詰め込んでくるだろうな。

第11話メモ
{netabare}うーん、どこまでも御都合主義で物語を進めるのかな。
しかし、親衛隊(SS)を登場させてゲールの邪悪なイメージを増幅させ、相対的にエイルへの同情を誘う演出は稚拙過ぎる。

10話で伏線が張られたベルクマンの失脚の理由も暗喩を含めて説明不足である。
一般に重大な国家機密を握っている人物を何かの理由でパージするのなら、国内に軟禁して行動の自由を制限するのではなかろうか?
したがって、寝返る必然性を含めて今話の展開は首を傾げたくなる内容だし、更に輪をかけて核兵器もどきとV2のセットか…

ベルクマンが寝返るにしても、これだけの超兵器を取引に使えば、エイルを降伏させる流れの方が自然だろうな。エイルから情報に見合う膨大な金と身の安全の絶対的な保証でも取らぬ限り。
常識で考えれば裏切り者は裏切った国のみならず、国を売った事実だけで保護国でも信用はされない。
場合によっては保護国側が取引の材料に使うだろうけど、安直に信用して行動の自由を許すなどエイルは子供が運営している国なのか?
ベルクマンをゲールに手渡してはならないだろう。

魔石の持つ裏の現実を突きつけてもイゼッタには全く感情移入をしない。
寧ろ、フェーネの危機に都合良く間に合わせる御都合主義には辟易してきた。
本作のキャラの誰にも感情移入が起こらないのは、ゴルゴ13ほどのシビアさは求めないが、現実とファンタジーの接合が悪い上に振幅が激しいことと、間の悪い百合描写と御都合主義の展開が余りにも多いことに尽きるな。
国家の命運を背負った会議に向かうシーンが、フィーネの緊張感ではなく百合なら誰でも呆れるぞ。

もう、子供なら喜びそうな話にまで劣化してしまったな。

イゼッタの出撃シーンは特攻に飛び立つような雰囲気だが、緊張感も悲壮感も中途半端で全く共感しないな。
イゼッタへ感情移入が起こらないのはストーリーの拙劣さもだが、茜屋さんの演技力にも問題がある。

イゼッタのおっぱいアップのカットはサービスとして捉えておこう。{/netabare}

【最終回】
{netabare}結論から述べる。
最終回も残念賞。
粗を探せば多々あるが、しかし、広げた風呂敷の回収はしっかり成就させている点は認める。
そこに至るプロセスや、設定の甘さは除き、イゼッタは平和への対価としての犠牲とさせたが、あくまで救われない形で幕を引くということは、イゼッタの死か消滅であることを意味する。
戦争という苛酷な現実を世界観に設定したのであれば、一つの使命を果たしたイゼッタの殉死こそ世界観に見合った彼女の最後だろう。
ゲールという国家の滅亡とイゼッタの命の取り引きで物語は醍醐味あるバランスは取れるのだけれど、脚本は本質的に履き違えてしまったようだ。
2期を考慮していないのだから、視聴者に平和の使者イゼッタを印象づける意味でもバッドエンドにすべきだった。

幕引きに至るまでについては、以下の各論でこの作品の課題点を指摘する。

(アトランタについての軍事考証)
アトランタにとってはゾフィーもイゼッタも「戦略兵器」として捉えていた脚本は評価するが、派兵(動員)に関してはモデルとした戦前の米国の政治、とりわけモンロー主義をもっと研究するべきだ。
アトランタを物語の正面へ出す場合、ゲールの潜在的脅威のみならず、具体的な脅威がアトランタにあった事実を描写すべきだろう。
史実のWW2では我が国の真珠湾奇襲後にドイツは米国へ宣戦布告をしている。
つまり、民意が国家運営の土台である米国は、仕掛けられない限りは兵を動かせない、厳密に言えば(当時は)海外派兵のような大規模な陸軍の編成は戦時状態が生じた上での戦時動員が必要な国である。
国家の成立上、地方自治が高度に発達している米国における陸軍の平時編成は州知事に統帥権がある現役州兵が主体であり、ベトナム戦争以前までは、平時における州兵の動員は治安維持等法律の緊急限定事項を除き大統領統帥の範囲外にある。
州兵、予備役の動員は戦時状態が必要十分条件であり、大統領統帥権に基づく戦時動員をする為には「攻撃された」という既成事実と大統領判断のみならず、戦時状態(宣戦布告を含め能動であっても受動であっても)の議会承認が不可欠なのだ。
つまり、当時の米国のシステムでは戦時状態を認識し、陸軍の戦時動員を完成するには1年近くかかるはずだし、動員編成に関しては軍事マニアの基本的な常識。
余談だが、太平洋戦争においてガダルカナルから反攻を開始し、太平洋戦線で終始戦闘を繰り広げたのは海兵隊である。
現在は第4軍として独立した地位にある海兵隊だが、当時の海兵隊は海軍の指揮下にあり、海軍は陸軍とは異なり平時から大統領の統帥下にある。
海兵隊は有事発生の際に速やかに編成動員可能なメリットがあるが、戦術使用は可能でも一国家を軍事的に降伏させるのには戦力不足であり、戦争終盤では陸軍の役割となる。
太平洋戦争も終盤の海軍主導の中部太平洋戦線の硫黄島、沖縄では米陸軍も戦闘に参加しており、陸軍のマッカーサーが率いる南太平洋戦線が膠着気味であったのは、動員編成が複雑な陸軍の特殊性によるものだ。

ノルマンディーにしても、あれだけの大部隊を編成する為に宣戦布告から2年半近くの準備期間を要している。
本作では大使の進言から数ヶ月でブリタニアに派兵をしているが、アトランタの政治システムや軍事常識外の陳腐な設定であったことが窺い知れよう。
各国の政治や、陸軍の性質をもっと研究した脚本でなければダメだな。
特に米国は正当な理由に基づく徴兵拒否を認めている国でもあり、戦前の我が国のように赤紙1枚で簡単に頭数を揃えられない複雑な事情もある。
完全志願制の我が国自衛隊の悩みは予備役の不足であるが、いざ戦争となれば現役の員数ではなく、予備役や後備役の動員がどれだけ可能かで、その国の軍事力が決まる。

登場国家こそパロディではあるが、史的事実関係に沿った脚本を評価していた折に、アトランタ参戦プロセスの端折り方は軍事設定において致命的とも言えるミス。
WW1のように、ゲールのUボートがアトランタの民間船舶を攻撃したシーンでも挿入しておけば、アトランタの派兵には現実味が帯びたのだが、残念だ。

(ベルクマンに見る脚本の底の浅さ)
まず、ベルクマン失脚の動機が曖昧なのは前回にも記したが、単に知りすぎた人物というだけではなく、もっと具体的な説明が必要であっただろう。
結局、ベルクマンはゲールへ引導を渡した物語のキーパーソンなのだが、その描写が雑過ぎたのが頂けない。

フィーネとイゼッタの百合百合しい関係の尺を、ベルクマンという人物の掘り下げに当てればまた違った評価となっただろう。
愛国心より個人の命が優先するとした利己的なベルグマンの人物像の描き方は、倫理的な抵抗はあっても、ある意味では真理だ。
しかし、それをゲールの国民の一人として描いたことに、脚本の政治的な意図が感じられなくもない。

脚本が、史実として祖国敗戦後でもゲールのモデルとなったドイツ人気質とはとのようなものであったかは、シベリア抑留記で記述されているドイツ人捕虜だが、ソ連に屈せず最悪の環境を甘受してドイツ人としての誇りを抱きシベリアの土になった事実を知っていればベルクマンのような描き方ができたのであろうかな。
ドイツ人捕虜の高貴な態度に胸を打たれた著者は、自分可愛いさに次々と祖国日本を裏切りソ連へ忠誠を誓っていく周囲の日本軍捕虜の節操のなさを憂いていた内容だった。
これは、15年程前に『丸』が特集していたシベリア抑留記に書かれてあった。
おそらく、ヒムラーやゲーリングのような往生際が悪かったナチス高官や、連合国に脚色されたドイツ人のイメージでベルクマンの人物像を設定したように思う。
ドイツ人であれ、アメリカ人であれ、日本人であれベルクマンのような人物は確率的に存在するのは認めるが、ネガティブな人物であればこそ、人物描写を掘り下げなければベルクマンがドイツ人代表のような間違ったメッセージを与えかねない。
そう考えるとやはり脚本の底の浅さは拭いきれない。

危険人物として暗殺の対象とされたにも関わらず行動の自由を許したゲールの対応や、売国人物と知りつつエイルがベルクマンを利用した浅はかさは「国家」というものを脚本が理解をしているのか甚だ懐疑するお粗末な展開だった。
ベルクマンとミュラーは同じ情報を扱う者として、国家への忠誠に関しては対極的に描かれている。

ミュラーがエイルへ絶対忠誠を誓う背景には彼が貴族であることが挙げられよう。
爵位は国王から授けられるものであり、国家(というより君主)に対し絶対服従を誓う根拠ともなり得る。
ベルクマン部下のリッケルトも貴族家系ではあるが、彼の国家への忠誠心もミュラーと通じるところがあるだろう。
脚本はミュラーをリッケルトの隠喩としても表現し、ベルクマンとの応酬を通してベルグマンの性格を掘り下げたかったかな。
更に、バスラーの愛国心を強調し、ベルクマンという人物像を確立したかってのかもしれないが、これだけ物語のキーパーソンとして活用した以上、ベルグマンの直接的な掘り下げをしなかったことは脚本の怠慢としか評価が出来ない。
最後は生き延びて、アトランタへ魔女の力で得た核兵器を売却したようだが、この人物の生き様は、百合や他のサブキャラの描写を減らしても尺を取るべきだった。

(ゲールがヨーロッパ征服を試みた動機が意味不明)
さて、本作はWW2を背景とした世界観だが、ヒトラーが何故欧州大陸で戦火を拡大させたかを理解しているのかが甚だ疑問なストーリー展開である。
そも、ヒトラーは全欧州の覇権を握る意図があった訳ではない。
ヒトラーの目的はWW1で喪失した旧帝政時代の失地回復であり、ポーランドを占領したのもWW1の結果でポーランドが独立し、飛び地となった東プロイセンとケーニヒスベルクの回廊復活が目的だ。
ヒトラーの政策の第一目的は「ベルサイユ体制」の破壊であり、当時のドイツ国民が支持したのもこの政策を掲げたナチスに対してである。
ヒトラーとて、それ以上のことはドイツの国力を考えても出来ないことは重々承知をしていた。
したがって、ベルサイユ体制の守護者である英仏と本格的な戦争状態となることはヒトラーの本意ではなく、ポーランド侵攻までには相当の外交努力が行われていることは注視をすべき点である。
当時の英仏もWW1の後遺症から抜け出せてはおらず、可能な限り外交交渉で決着を図る姿勢でドイツの要求を呑んでいた。
ヒトラーはポーランド侵攻にあたり、ソ連と不可侵条約を締結し、モロトフ=リッペントロップ秘密議定書に基づき、西からポーランドに侵攻、東からはソ連が侵攻しポーランドは消滅した。

勿論、ソ連との不可侵条約は後に明らかになるようにドイツ側の欺瞞工作である。
東プロイセン回廊の確保でヒトラーの目的は達したが、ポーランドと軍事同盟を締結していた英仏は「集団的自衛権」に基づきドイツに宣戦布告をする。
ヒトラーはポーランドに関する英仏の感触や、ソ連もポーランド侵攻に同意したことで英仏との対立は避け得ると判断したが、英仏はソ連は黙殺しドイツのみに宣戦布告を行う。
ヒトラーとしては不本意な結果を招いている。
実際宣戦布告をした英仏もポーランドを直接助けることはせず、ドイツとの軍事衝突を避けていたのだが、ヒトラーのタイムスケジュールには第二段階としてソ連侵攻があった。

しかし、フランス侵攻をヒトラーが考えたのは、対独英仏宣戦布告が明確な動機であり、隣国であり大国であるフランスが宣戦布告を放棄しない限りは、常に軍事的な脅威に晒せれることとなり、今でいう「先制的自衛権」という考えから軍事侵攻に踏み切ったものだ。
フランス侵攻と同時に英国のチェンバレンが辞職し、対独強硬派のチャーチルが首班となり、これでヨーロッパでの全面戦争が不可避となった。
つまり、ヒトラーのフランス侵攻はドイツにとっては防衛であり、彼が描いていた大ドイツの図版には含まれてはいない。
中央ヨーロッパや東ヨーロッパには傀儡政府を樹立せず、ドイツ直轄の軍政であったが、フランスには傀儡政府(ビシー政府)を樹立した点、南ヨーロッパにはヒトラーの盟友ムッソリーニがおり、イタリアの勢力圏をドイツが奪う意思はなかった。
スペインは中立国だがフランコ体制の同国も、ポルトガルに対しても領有の意思は見せてはいない。
ただ、イタリアがあまりに軍事的に情け無い戦いを続けムッソリーニがヒトラーに泣きついてきたことから、南ヨーロッパやアフリカへも派兵をせざるを得なくなり、イタリアの降伏で南ヨーロッパ戦線の維持をドイツ一国が背負うこととなったのは、ヒトラーの意図以外の不確定要素から生じた出来事である。

ダンケルクでの詰めの甘さは、ヒトラーがなお英国との和平を切望していた証しでもある。
しかし、チャーチルの強硬姿勢に結局、対英問題解決は軍事的な勝利しかないと悟ったのでろう。

ソ連侵攻の目的は『我が闘争』にもあるように、ユダヤ人の抹殺とスラブ人種の奴隷化と天然資源の確保であり、これは政権に就く以前からの思想であるので、ソ連がどのように下手に出ても戦争は不可避であったと思う。
『我が闘争』を読んでも、また、現実のヒトラー政策を考えても、彼の大ドイツ構想は東方拡大であり、全欧州にまで野心があったものではない。
フランスが対独宣戦布告をしなければ、フランスへの迂回路であるベルギー、オランダの軍事占領が行われたかも疑問だし、フランスを含む、南ヨーロッパは元来、彼の図版の外にある。

本作ではゲールがヨーロッパ征服の野望を如何なる動機で抱いたのかが不明瞭であり、かつ当時のドイツを巡る欧州情勢や史実は上記のとおりであり、ゲール(ドイツ)を無条件に悪者とする姿勢は、ハリウッドB級映画のテンプレや、ニュルンベルク裁判史観や侵略者ゲールを設定したのは、安直かつ幼稚に思えてならない。
WW2の設定を用いるのであれば、ゲールの国家戦略も政治的に詰めて設定すべきであろう。

(フィーネ発言の真意)
アトランタの意見では魔女を抱える国は戦略的に絶対的な優位を誇ることとなるが、それはアトランタが述べるようにゲール亡き跡の安全保障に直結する課題だ。
アトランタがこの会議に参加した経緯には大きな疑問があっても、発言趣旨そのものは妥当だろう。
フィーネはここで、イゼッタ個人の死ではなく、レイラインの魔力を吸い上げた結果は魔法そのものがこの世から消え失せるとした発言をした。
しかし、フィーネの最後の涙はイゼッタは死ぬかもしれないとの絶望のメタファーであり、その死を以ってしてアトランタの懸念は取り除けるとした大義と私情の狭間で大義を取った指導者の意見であると私は考える。
反面、フィーネの本音は魔女イゼッタではなくイゼッタとなっても愛情には些かの変化がないことと、自らの力量不足をカバーしてくれたイゼッタへの感謝の涙でもあろう。
私情と大義の狭間に揺れるフィーネは、指導者としては未熟だが、人としては共感を得るものと思う。
このフィーネを描いた脚本は評価できよう。

(イゼッタとゾフィーの対決)
イゼッタとゾフィーの属性については「(イゼッタの忠誠をフィーネ個人への愛情で描写した短絡さ)」で述べるので、ここではラストの対決に的を絞る。
パリ上空を舞台に繰り広げられた、白熱のバトルシーンの描写に関しては、圧倒的な作画で十分に楽しめる内容だ。
イゼッタがエッフェル塔を折るところは凄い迫力だが、迫力においてはゾフィーも負けてはいなかった。
しかし、命が惜しいゾフィーに対し、イゼッタは自らの死を厭わずに最大魔力で応じている。
イゼッタの気迫勝ちだが、イゼッタが死をも辞さない覚悟を抱くプロセスがお粗末である為に、本来は十二分に感動するべきシーンなのだが、私には50掛けとなってしまった。

(オットーの自殺)
史実でヒトラーは自殺をしたが、その状況に合わせたのかな。
しかし、史実のドイツの末期はとても悲惨であり、ヒトラーはソ連兵が闊歩するベルリンの地下壕で自殺を図っている。
本作のノイエベルリンの描写では末期ベルリンの断末魔の悲鳴が伝わらない。
私は実際、壁崩壊直後のベルリンと壁の緩衝地帯にあった空き地のまま放置されていた、総統大本営地下壕跡を訪れているから、余計に陳腐に思えるのかもしれないが。
ノイエベルリン市民が参加している地上戦を描いた方が、追い詰められたゲールの直喩にもなったろうし、オットー自殺にも説得力があっただろう。
オットーにずっと付き添っていた側近エリオットは架空設定だが、自殺を確認したという意味ではボルマンがモデルだな。

(イゼッタの忠誠をフィーネ個人への愛情で描写した短絡さ)
本作で最も問題となるのは、イゼッタの立ち位置だろう。
本作では執拗にイゼッタとフィーネの過去の出会いを描写し、イゼッタはフィーネへ恩義を感じていることを強調している。
また、フィーネは一国の君主の立場を超えてイゼッタを大切にすべき友人から愛の対象として描いている。
本作も多くの視聴中断者を招いたが、その原因の多くは百合展開である。
世界観と百合のミスマッチが視聴者の嫌悪感を招いたと思うが、それには十分同意を出来る。
脚本の吉野氏には戦時と平時の見境がついていない旨の指摘を散々してきたのだが、平時が背景での百合展開ならば、そうとも割り切れる。
『ソ・ラ・ノ・ヲ・ト』は平時における兵士達の日常を描いた内容であるから、百合要素もエピソードの一つとして受け入れることは出来る。

しかし、国が危機に際している状況で百合でイゼッタの忠誠心として描くのは、戦争という無慈悲で凄惨な現実を余りに茶化してはいないかな。
イゼッタはフィーネの存在がなくても、戦争を終わらせる為にはゲールと対決する心構えがあれば、平和の使者としての彼女に大きな共感が生じただろう。

しかし、フィーネという個人に陶酔する余り、彼女の理想を現実化したいという利己的な理由でゲールと対峙させても何も共感は生じない。
戦争というのは一個人の理想ではどうにも出来ない過酷な現実であり、魔法というチート能力の設定を用いるところを錯誤し、現実とは大きく乖離してしまったことは本作最大の失敗であろう。

魔法と兵器の対決はエンタメ的には間違えてはいない。
『ストパン』もそういうファンタジー設定で人気を博したのだから。
しかし、本作は『ストパン』よりも妙にリアルを追求しているが故に、ファンタジー設定をよく練らずに用いると、世界観との齟齬や乖離が生じるリスクと裏腹の関係となることも指摘済みである。
軍事オタが本作を評価しない点はこれに尽きる。

更に、イゼッタの理想は大義に立脚したものではなく、フィーネの理想の具権化であったこともWW2という大きな器に対しては説得力がないものとなった。
海外評価が辛辣なのは、イゼッタの正義はフィーネの借物の正義であり、百合感情で得た極めてストイックに反する俗物的で許容しがたい点にあることだ。
ゲール討伐という大風呂を広げず、フィーネとの愛情物語に路線展開をすれば、また別の評価を得られたであろう。
最後、イゼッタが生き残る点も、殺したくないスッタフの御都合主義だと思うが、殺した方が殉教者となる訳だし、魔女というキリスト社会においては極めてアグレッシブな存在に対する明確なメッセージとなったはずだ。

逆に、エイルで過去に魔女裁判にかけられ、命を落としたゾフィーに私に共感を抱いた。
だってそうだろう。
ゾフィーは本気で愛したかつてのエイルの国王の遺言によって異端審問の上処刑された。
異端審問が吹き荒れ、魔女狩りが横行していた当時の欧州情勢を考えると、この国王の判断こそ、フィーネが見習わなければならない、私情を捨て大義を守る指導者としての矜持だが、大義には犠牲が生じ、多くの私怨を招く。
その意味でも私怨でエイルを滅ぼしたい気持ちは正直で嘘偽りはないだろうし、イゼッタの偽善よりも遥かに自然な感情だ。
更に、感情移入はゾフィー役に雨宮さんの熱演もあったのだが、対しイゼッタ役の茜屋日さんの演技力には課題を残している。

イゼッタが述べた「みんなの命を預かる人はたった一人に拘ったらダメ」はそのままイゼッタへのブーメランとなり、このセリフを吐かせながら生き延びるのは余りに矛盾が過ぎるのではなかろうか。
更に、回想でフィーネが百合私情を振り切り涙ながらにイゼッタへ戦いを命じた描写を感動として活かし、イゼッタがゾフィーに語った大義(私情に揺さぶられた偽善的な大義だが)を衝突させたのであれば、ジンテーゼは視聴者へ判断を委ねる、双方生死不明のメタファーとして結論付けなかった方が良かったのではないかな。
よって、最終回でイゼッタも消えていれば良作ではあったと思う。{/netabare}

投稿 : 2024/04/20
♥ : 76
ネタバレ

明日は明日の風 さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

第二次大戦を下地にした魔女と王女の物語…信じ尽くす大切さを問う物語

この秋、ユーフォ二期とともに期待した作品でした。第二次世界大戦のヨーロッパをモチーフに、小国の皇女が大国に立ち向かう。それに加わる魔女、これは面白そうだし、1話で引き込まれてしまいました。展開しだいではそうとうな作品になる予感がしました。

1話…あっという間に引き込まれてしまいました
{netabare}小国の皇女(モチーフはスイス?…ではなくリヒテンシュタインだったようだ)フィーネが、大国で戦争しかけているゲルマニア(どう見てもドイツ)の脅威から自国を守るために、同盟を求めてイギリスっぽい国にいく話でした。
道中で敵から逃れるために奮闘するフィーネ。従者は倒れ、自国はとうとう戦争に巻き込まれ、自らも囚われとなっても信念を曲げないフィーネがカッコいいです。それからキャラデザインも良いです。最後に主役のイゼッタが登場してフィーネを救う場面で次回へ。箒でなく銃に乗った魔女のイゼッタ、こんな設定もありかと。

1話があっという間に終わった感じです。これは面白そう。最後までこの面白さが持続しますよう祈ります。{/netabare}

2話…二人の絆
{netabare}フィーネのピンチを救ったイゼッタ。国にたどり着いたは良いけど、フィーネは重傷。イゼッタとフィーネの関係が深いものだった事が分かり(1番肝心なところは後回しみたいだが)、イゼッタはフィーネの国を救うことを決意する。

魔女狩りのピンチをフィーネが体を張って救ったのかなと思いますが、イゼッタがどうしてゲルマニアに連れられそうになったのか、興味がありますね。とにかく深そう。まだ2話か、先が楽しみで仕方ないです。{/netabare}

3話…最終兵器魔女
{netabare}大国に攻められる小国、兵士たちのフラグたちまくりのなか、戦闘は圧倒的不利な状況。大国の軍は余裕降りまくり、これフラグだよな?
そこにイゼッタが参戦、なんだこの魔女は?圧倒的ではないか!ランスのファンネル?楯?おいおい、つえぇぇぇぇぇl!
ピンチはたった一人の魔女によって救われた。という展開。それと、フィーネの心の強さと王的資質いったら…惚れます。これは思っていた以上に面白い。つかみはすごく良かったです。でも、鬱な話も有るんだろうな…{/netabare}

4話…魔女の秘密
{netabare}魔法が使えるのは特定の場所のみ。そこから外れると使えないという。
フィーネの父、つまり王が亡くなり、フィーネが王位へ。そこでイゼッタを登場させて白き魔女の再来を告げ、他国への牽制も狙うという。
イゼッタとフィーネの過去が明らかとなり、イゼッタが忠誠を誓う理由が分かりました。それにしてもフィーネがカッコいい。

白き魔女の裏切り、気になります。イゼッタがゲルマニアに捕らえられていたこともあり、再び捕らえられて洗脳させられ…なんてことないよね? あまりにもフィーネとイゼッタの絆が強いから、イヤなフラグに感じます…{/netabare}

5話…探り探られ
{netabare}フィーネの王位継承式でイゼッタを面前に披露。その能力を世界発信して、他国を牽制させる狙いだ。
白き魔女の末裔の存在はやはり影響が大きく、小国を無視できなくなっていた。が、ゲルマニアはその存在を見透かし、イゼッタに弱点が有ることを察知する。
ゲルマニアの侵攻が再びはじまるが、そこは魔法が使えない場所。フィーネ達は策を練り、その侵攻を食い止める。という展開でした。

大国対小国の心理合戦、なかなかの筋書きでした。ただ、ゲルマニアの諜報部員が入り込み、イゼッタの弱点がバレそうな気配、眼鏡君も加わりそうな気配が…眼鏡君、いっぱいフラグ立てているからなぁ…。

ここに来て、ちょっと粗が見えてきた気が…。近衛が全員女子というのはさすがにないかと。しかも、先祖伝来って言うからね。近衛師団の女子団っていうことにしていいのかな? ま、細かいことだけど。{/netabare}

6話…貴重な眼鏡君
{netabare}小休止の日常回…と思ったのは前半だけ。ゲルマニアには何か研究施設があったり、新型戦闘機が製作されていたりと着々と準備始めてます。研究ってまさか核じゃねぇよな?
ブリタニアで会議が行われるためイゼッタ、フィーネが向かうことに。その頃、スパイの報告が入り、ジークが向かい、イゼッタの秘密を知っている眼鏡君を射殺…そうだ、この話は戦争の物語だったね。ジークの決意を聞いたときに、そういう役目を負う人間が必要だよねと思った。

バチバチ戦う以上に緊張感あるストーリーだったように思います。前半の日常も良かったですけどね。フィーネの可愛い部分が見えて。ただ、パイを食べているフィーネがどうしても小鳥ちゃんに重なったのは何故だろうか…。{/netabare}

7話…いっしょにおいで
{netabare}ブリタニアに到着したフィーネとイゼッタ、そこにはゲールに対抗する諸国のお偉いさんが会議をしていた。ゲールは空母を完成させ、さらに強力な力を手にしていたという。フィーネはイゼッタが空母を蹴散らすと告げる。
魚雷を従えて空母に向かうイゼッタ。しかし、空母はすでに出航、敵に動きが読まれていたのだ。待ち構えていた敵兵に狙われるイゼッタ。4発あた魚雷は2発失い、しかも海に墜落。魔法使える地場からずれたのだ。魔力使えるポイントには空母が、そこでイゼッタは空母の隙を狙い、魚雷をぶち込む。見事空母を撃破。しかし、その動きでベルクマンに弱点がばれてしまい、しかも、なぞのカプセル登場で次週。

ゲルマニアはイゼッタのほかにも魔女を捕らえていたようだ。ということは、イゼッタを逃してものうのうとさせていたのは、魔女の力がどんなものか、弱点は何かを探っていたということなのかなと思う。ゲルマニアも実際に魔女の力がどんなものか計りかねていたのではないだろうか。
イゼッタが戦っているシーンは痛快なんだが、服の汚れぐあいとか、一生懸命さとか見ていると、なんか切なくなる。不幸な話にならないでほしいと心から思います。{/netabare}

8話…スパイと近衛の小さな恋物語
{netabare}エイルシュタットに潜入したリッケルト。目指すは旧城、その途中で出会ったのがビアンカとロッテだった。ロッテの実家の宿屋に宿泊し、ビアンカとも仲良くなるが、目的である旧城に潜入。そして発見した白き魔女の秘密。その証拠を持ち帰る途中に近衛に見つかり、ビアンカに撃たれて絶命するリッケルト。ビアンカもまさかの展開に呆然とするしかなかった。リッケルトに証拠を託されたローレンツもまた、近衛に狙撃され死亡する。証拠は謎の住民に引き継がれ…
一方、ブリタニアでは仮面舞踏会が開かれ、フィーネとイゼッタが外で踊ろうとしたところに現れたベルクマン(なぜお前がここにいる?)と謎の少女。謎の少女はイゼッタの唇を奪い、口を切らせて血を吸う。その瞬間、謎の少女は白目を剥き気を失う。
イゼッタの力を知ったアメリカ…アトランタ合衆国ではこの戦争に本格参戦を決定した。それはゲルマニアとともに、脅威となってきたエイルシュタットも撃ち滅ぼすために…

後半の伏線を張った回でした。ゲールの魔女は何なんだろう?人工物?となると、イゼッタを捕まえていたのはイゼッタの魔力を抽出するためだったのか?
アトランタの本悪参戦で戦局ががらりと変わるんだろうな。エイルシュタットはどうなってしまうのか…。
なんだか悲しい結末待っているのではないかとハラハラします。ED物悲しいし…{/netabare}

9話…展開急変、あぁ…ヤバい…
{netabare}ブリタニアの会談から3ヶ月、包囲網が築かれつつあり、ゲールの動きが鈍くなっていました。イゼッタは世界から注目されるようになり、エイルシュタットも束の間の休息感に浸っていました。
そこから一転、ゲールが西を囮に東から攻めてきました。イゼッタは新兵器とともに向かいますが、打ち込んだミサイルが何者かに撃退されてしまいます。なんと、ゲールが送り込んだのは魔女。しかも、伝説の白き魔女(のクローン)なのです。クローン技術使ってきやがった! 伝説の白き魔女はイゼッタに止めよう説得しますが、フィーネのために戦うと言う。イゼッタは白き魔女と戦うけど、魔法使える場所なのに墜落、白き魔女はアンチ魔法の道具使えるものと思われます。敗れたイゼッタは鎖に吊るされ…
イゼッタの敗北により、空ががら空きとなり、ゲールはエイルシュタットに突入。首都がぼろぼろ…

急展開でした。どうなるのか気になって仕方ありません。いちおう、これまでの伏線を回収しつつ、次の展開に入ってきてますが、一気に重い展開になってしまいました。白き魔女の過去に何があったのか、戦争はどうなるのか、イゼッタはどうなってしまうのか…。

これ、一期で終わるのかな? どうせなら丁寧に描いてほしいので、二期までいかないかな? このままだと半端になってしまう気がします。面白いだけに、丁寧にいってほしいです。{/netabare}

10話…絶望か、希望か、どっちに進む?
{netabare}イゼッタが捕らえられ、エイルシュタットは首都が陥落。イゼッタを命がけで救うエイルシュタットの兵士たち。イゼッタはなんとか救われ、首脳陣たちが避難した防空壕兼秘密基地で療養。
そのころ、ゲルマニアはゾフィーの力を使い、ブリタニアに大量のミサイルを撃ち込み、ロンドン…ロンデニアを木っ端微塵に。ゾフィーがゲルマニアの兵器として確立したことにより、ベルクマンがお役ごめん。ほぼ捨てられて状況に。ゾフィーの量産化が図られ、さらにはどう見ても「核爆弾」を開発したゲルマニア。もはや怖いものなしとばかりに各国に講和の条件を突きつけ、さらには東の大国ソ連…ヴォルガ連邦と不可侵条約結んで(当然表面だけ、侵攻する気満々)、最後はアメリカ…アトランタを攻める気でいる。

ジークから白き魔女の秘密が語られ、その力の源になっている魔石の半分を見せられたイゼッタは…で次週。

フィーネがその先をどうするのかを迷い、イゼッタは姫を助ける決意は変わらない。どう転んでも魔石を使うんだろうね…となると、イゼッタの命は…。
ゲルマニアの先も見えてきたようです。二次大戦をトレースしているので、ゲルマニアは連合国から逆襲され、首都陥落、皇帝自殺(もしくは暗殺)という全体の流れなんでしょう。しかし、イゼッタ対ゾフィーの決着はどうなることやら…なんとかイゼッタが生き残れる決着にならないだろうか…イゼッタがあまりにもけなげ過ぎて、見ていると切なくなるんだよね…{/netabare}

11話…そういう展開になるよね…
{netabare}秘密の基地がゲール軍に発見され、急襲される。フィーネは投降を覚悟し、絶体絶命のピンチ。そこに魔法を使って救出するイゼッタ。魔石の片割れを使い、魔法を使えるようになったのだ。それはつまり、命を削ること。フィーネが弱気になっているのを檄するイゼッタ。フィーネも覚悟を決めて最後まで戦うことに。
ゲール軍に付いてきたベルクマン。ベルクマンは自分が生き残るためにゲールの情報を伝えた。その内容は国の終末を意味し、それを阻止する必要があり、フィーネとイゼッタは最後の決戦に向かう。

かなりすっ飛ばしましてつじつま合わせがスゴいのですがが、内容は濃かった回でした。ベルクマンとジークの会話が良かったです。
えっ?もう終わり?…やっぱり一期では短い…イゼッタ、生き残って幸せな結末になってほしい…。{/netabare}

12話(最終回)…「地球のみんな!ちょっとずつ元気を分けてくれ!」
{netabare}ゾフィーとイゼッタの最終決戦はこんな感じでした。
ゲールが主催する会談に向かうフィーネ一行に立ちはだかるバスラー。これを振り切り会場へ向かうが、その途中、ジークが倒れる。彼が最後に観たのは眼鏡君の幻だった…。
一方、ゾフィーとイゼッタの最終決戦は魔石の力を全解放した激しいものとなる。二人は信頼する者のために戦い、一方は裏切られ絶望し、一方は最後まで信じ抜くことで戦った。ゾフィーがイゼッタとの戦いから離れられないことに、ゲールの部隊はミサイルを発射する、クローンの力を使って。
ゲールと諸国の会談に現れたフィーネ。フィーネはイゼッタがゾフィーと戦っていることを伝え、終息させると宣言する。しかし、魔女が残ると同じことになると憂慮する首脳たち。それに対しフィーネは言う、すべての魔力をこの世から無くすと。これはイゼッタからの提案だった。
イゼッタはすべての力を使い、この世にある魔力の全てを吸い上げる。ゾフィーの魔力もゾフィーのクローンの魔力も、ミサイルに搭載された爆弾の魔力も…。
これによってゲールの力は弱まり、大戦の流れも変わり、3年後にはゲールが敗れる。フィーネはとある森にあるコテージを訪ねる。そこには成長したロッテに車イスを押される赤い髪の女性が待っていた。

終わっちゃった…どんな終わり方するかと思ったら、あるあるな感じでした。イゼッタが全てを背負い、最悪をを除去する。よくある。生きていたことを示唆する終わり、あるある。
ゾフィーが救われなかったのは可哀想かな。最後に何かしら笑顔にできるシーンがあってもよかったように感じます。{/netabare}

第二次世界大戦をトレースしたこの物語。キャラは本当に良かったです。イゼッタは最後の最後までブレませんでした。とにかくフィーネのために戦い、やり遂げました。綺麗な衣装着てボロボロになるイゼッタの姿は切なかったです。フィーネは小国ではあるが国王として苦労と悩みを抱えながらも国のために戦いました。エイルシュタットの幹部、ゲールの幹部、それぞれ曲者揃いだけど個性強くてそれが絡んで物語を盛り上げました。

ストーリーは12話でギリギリまとめた感じは否めません。世界観が大きいのに、こじんまりとテンプレのようなまとめ方です。これだけのキャラと内容なら二期とは言いません、せめて5話くらい余裕があったらもっといい作品になったと思います。映像は好きでした。特に戦闘の場面は滑らかで迫力ありました。

魔女と王女の世界を変えるための戦い。戦争をモチーフにしてますが、人間の物語が強くなってます。期待分のものは見れたように思います。

投稿 : 2024/04/20
♥ : 53

Ka-ZZ(★) さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

西暦1940年…そして少女たちは、世界に挑む。

この作品は亜細亜堂さんの制作したオリジナルアニメだったみたいですね。
正直存じ上げない会社だったのでwikiでググってみたところ、制作元請の下で制作に協力する体制で制作に参画するケースが多い会社みたいです。
この会社が元請として入ったのは、直近では「北斗の拳 イチゴ味」が該当するようです。
でもはやみんと東山さんが出演される事を知り、早々に視聴を決めていた作品でした。

物語は第2次世界大戦時のヨーロッパのような世界を舞台としています。
ゲルマニア帝国は、欧州の中でも大国で圧倒的軍事力をによって周辺諸国の支配に乗り出します。
そしてそれは辺境の小国であるエイルシュタット公国も例外ではありませんでした。
欧州全域を舞台に激しい火蓋が切っておとされ…物語が動いていきます。

エイルシュタット公国の第一皇女であるフィーネは、ゲルマニアと敵対する隣国の要人と会談するため秘密裡に動いていました。
そんな激動の真っただ中…それぞれ敵国の囚われの身となっていたフィーネと…この作品の主人公であるイゼッタが劇的な出会いを果たし…物語が動いていきます。

この作品…枝葉を取り除いて幹だけを見ると、主人公であるイゼッタと、イゼッタの友人でエイルシュタット公国の第一皇女であるフィーネの…二人の物語だったと思います。

1話での出会い…本当は再会で、前に二人が会ったのはどちらも幼かった頃…
でもその頃には、現在のフィーネの下地は出来上がっていました。
大切な国と国民を守るためには、自分の身を厭わない強さです。
持って生まれた資質…といっても過言では無いと思います。

イゼッタの脳裏に焼き付いているのは、両手を広げて自分を守ってくれている幼いお姫様の姿…
ふと気づくと、目の前の状況はまるで昔をフラッシュバックしているかのよう…
きっとここで会うべくして出会った2人なんだと思います。

あの時と一緒…何度だってお前を守ってやる…
あの時は守って貰ってばかりだった…だから今度こそ私が絶対に姫様を守る…
お互いがお互いを思い合う気持ちが随所に感じられるんです…

イゼッタは魔女一族の末裔です。イゼッタは手に触れたモノは自在に操れる魔力を持っていますが、これは本来人が持ちえない力…だからイゼッタはこれまで力を隠しながら暮らしてきました。
これは一族の掟でもある絶対遵守事項…

だからイゼッタは人前で魔力を使う事は絶対しない…そんな女の子でしたが、フィーネが困っているとなると話は別です。
ゲルマニアの猛攻によりエイルシュタットは、選択肢が殆ど無くなってきています。
選択肢が無くなるという事は、それほそのまま国の敗北に直結するのです。

姫様が…国民が笑って明日に迎えるならと…禁忌を冒すのを厭わないイゼッタ…
本当は苦しい時こそフィーネが国民にかけてあげたい言葉があるのをイゼッタは知っています…
でもそんな状況を作れなかったフィーネは自分を不甲斐無いと責めるんです…
次期大公として背負わなければならない荷物は、フィーネにはまだ重すぎるのかもしれません。
でも自分の立場をわきまえたフィーネは国民に対してどこまでも真摯…
そんなフィーネだからイゼッタも心が動かされたんだと思います。

でもイゼッタの申し出を二つ返事で了承するようなフィーネではありません。
何故なら自分の命令によって、イゼッタを最も危険な最前線に送り出す事になる訳ですから…
いつ命に重大な危機が訪れるかもしれない最前線…大切な友人に「死んでくれ」と言っているようなものです。
だから一度は申し出を拒否はするものの…2度目は拒否できないのがフィーネなんです。
だって、イゼッタが最前線に赴かないとそこで苦しい思いをするのは同じエイルシュタットの大切な民なんですから…
只のお涙頂戴的物語ではなく、頭首の聡明さが垣間見えたところでもあったと思います。

数あるフィーネの命令の中で…やはり物語終盤のイゼッタへの命令が一番我が身を切られる思いをしたのではないでしょうか…
そう…イゼッタがフィーネにお願いする時って…いつも笑ってるんですよね…
一片の曇りのない本心からのお願いをしているんです…
この二人のやり取りには何度も目頭が熱くなりました。

だから後戻りのできない崖っ淵での最後の勝負…一筋の光を見てフィーネが号泣するのも納得です。
こうなる事は分かっていたし予見もしていた…けれど、想像と実際とでは雲泥の差がありますよね…
本当に悲しい時って…きっと人目を憚る事なんてできないんだと思います
こんな二人の絆の物語…こう書いてしまうと軽いですが中身のギッシリ詰まった重厚な物語の上で展開される二人の立ち回りの気になる方は、是非本編でご確認下さい。

オープニングテーマは、AKINO with bless4さんの「cross the line」
エンディングテーマは、May'nさんの「光ある場所へ」
どちらも物語の重厚さを支えた素晴らしい曲だったと思います。
これもアニソンBEST10行き決定です。

1クール12話の作品でした。
この作品の様な終わり方…大好きです。
世の中は絶望と悲しみだけで出来ている訳じゃない…そんな気持ちを持つ事ができました。
物語もしっかり纏まっていたと思います。しっかり堪能させて頂きました。

投稿 : 2024/04/20
♥ : 37

89.5 6 シリアスで友情なアニメランキング6位
彼方のアストラ(TVアニメ動画)

2019年夏アニメ
★★★★☆ 4.0 (975)
3807人が棚に入れました
宇宙への往来が当たり前になった近未来で、9名の少年少女たちが惑星キャンプへと旅立つ。宇宙旅行に胸を躍らせながら出発した彼らを待ち受ける、予想外の事態とは……!?

声優・キャラクター
細谷佳正、水瀬いのり、武内駿輔、黒沢ともよ、木野日菜、松田利冴、内山昂輝、早見沙織、島﨑信長
ネタバレ

フィリップ さんの感想・評価

★★★★★ 4.4

私たちは変わることができる、そして人生は続く

アニメーション制作:Lerche
監督:安藤正臣、シリーズ構成:海法紀光
キャラクターデザイン・メイン総作画監督:黒澤桂子、
音楽:横山克、信澤宣明、原作:篠原健太

子供たちだけで惑星キャンプが行われる時代。
ケアード・ハイスクールのB5班は、
無人の惑星で5日間過ごす野外学習に出かけた。
9人の少年少女たちは、惑星マクパで降ろされ、
楽しい日々を過ごすはずだった。
しかし、彼らの前に謎の球体が現れ、事態は急変する。

集英社のウェブコミック配信サイト『ジャンプ+』で
連載された作品。口コミなどで評判が広がり、
『マンガ大賞2019』の大賞を受賞した。
宇宙という舞台、子供たちだけの冒険、
陰謀がうごめく背景、9人全員が抱える事情、
惑星でのサバイバルなど、様々な要素のある
エンターテインメント作品となっている。

原作漫画は完結しているため、
1クール12話、しかも1話と12話を
1時間ずつを使う特別編にすることで、
5巻分を余すところなくアニメ化している。
{netabare}無料開放の漫画を少し読んでみると、
原作に忠実に作られているだけでなく、
宇宙空間に飛ばされたアリエスを
カナタが助けるシーンでは、全員が手をつないで
ふたりを救助するという改変も行っている。
(漫画では、このシーンは残されたワイヤーに
戻り、それを辿って帰還している。
1度ワイヤーを巻き取って、再度、別の誰かが
助けに行けばいいなどの意見もあるだろうが、
ここは全員で手をつなぐという行為に意味があったわけで、
良改変だったと個人的には思う){/netabare}

SFの部分では突っ込みどころが多く、
アニメが終了した後にSNSなどで大論争が巻き起こり、
作者が降臨する事態にまで陥った。
ある意味、SF要素のある人気作の宿命だ。
ただ、この作品はSFを見せようとするものでないことは
明らかで、批判する人の気持ちは分かるが、
そこについて深く突っ込み過ぎるのは違和感がある。
この作品において、SFのリアリティは枝葉の部分に過ぎない。

では、どこを重視しているかというと、
9人の子供たちが抱えている問題と、
その悩みを解消するために、仲間が相手のことを
思いやり、本当に大切なものを得ることについてだ。
9人の子供たちは、それぞれ幼少期から、
大きな喪失感を抱えながら生きてきた。
旅を続けるなかで、一人ひとりが体験してきた背景を
各々が理解しながら、解決していく構成になっている。
9人もいるキャラクター全員の過去について、
しっかり語っているため、彼らが失い続けてきたものに
思いを巡らせることができる。
だから、そこから彼らが何かを獲得する様子に
カタルシスを感じられるのだ。
それがこの作品の最大の見どころだろう。

舞台装置としては、孤島の閉鎖空間での
ミステリーと同様の形を取りながら、
それだけに止まらない群像劇として、
最初から最後までしっかりとまとめられている。
{netabare}特に11話『CONFESSION』での回想から
カナタの怒りにつながる流れは素晴らしい。
カナタ役・細谷佳正の演技は、抜群の説得力がある。
反重力シューズを履いてきて、
ワームホールを飛び越すという展開からの
決着の付け方も完璧だった。
この回は、夏クールの私が観た全話のなかでも
出色の出来だったと思う。{/netabare}

9人の少年少女たちは、数ヵ月の旅の間に、
自分の支えになる原点を獲得することができた。
アストラ号で過ごした日々は、
何事にも代えがたい時間として
今後の人生の支えになるに違いない。

引きこもりや親子断絶などが、
もはや当たり前になった現代において、
子供たちの心に響く物語に思える。
ここではないどこかに行けば変われるかもしれない。
行動すれば誰かとの出会いによって、
人生が動くかもしれない。
親から愛されない境遇にあったとしても、
生きていていいのだ。

そして、人は絶対に変わることができる。
(2019年10月19日初投稿)

投稿 : 2024/04/20
♥ : 93

ニワカオヤジ さんの感想・評価

★★★★★ 4.7

スケットダンスが好きなら更に楽しめる

あらゆる漫画を読み漁ってきた私の中で、ギャグ漫画家トップ3に入る篠原健太先生の作品です。

●SFじゃないという批判について
別にハードSFを謳っているわけではありませんし、むしろこれぞSFと言って良いと思っています。自分が子供のころにガンダムやドラえもんでSFに興味を持ったのと同じように、SFの門戸を広げてくれる素晴らしい作品ではないでしょうか。


●ギャグが面白くない説
スケットダンスでも同様の傾向があるので、そのうちスケダンのレビューで考察しようと思いますが、原作者のギャグは漫画でこそ栄えますが残念ながらアニメではあんまり面白くなりません。
なので、アニメを見てギャグが寒いと感じられた方は是非とも原作を読んでください。同じ内容なのにめちゃくちゃ面白いです。そしてスケダンを読んでから読むと更に面白いです。

原作には「アカツノチリゲムシ」などスケダンのファンにはたまらない小ネタがありますが、アニメでは出てこず、残念ではありました。
しかし、宇宙服のメーカー名が実は全てスケダンのクソゲーシリーズという、どうでも良いネタをちゃんと拾ってもらえたのは嬉しかったです。
「FALKEN」とか、めちゃスポーツメーカーとして自然なのが笑えます。「SMB」は「Special Mariko Broken(壊れちまった特別な真理子)」の略称。どう考えても宇宙服メーカーの名にはふさわしくないwww

ギャグといえば、原作コミックの巻末にある番外編四コマ漫画がめちゃくちゃ面白くて、四コマだけでも連載を続けて欲しいほどでした。
特に「紙ずもうレスリングトーナメント」の話が秀逸ですが、アニメではEDの一枚絵で紙ずもうチャンピオンのグレートロブスターが出てくるだけでした。


以上、ほぼ原作のギャグを褒めただけのレビューになってしまいましたが、SFミステリとしての完成度はアニメ史上でも類を見ないレベルだと思います。

投稿 : 2024/04/20
♥ : 35
ネタバレ

ぺー さんの感想・評価

★★★★☆ 3.9

判別可能なキャラ達と金太郎飴的な惑星群

原作未読

漫画の評判がいいから、が視聴動機。
全12話ただし初回と最終回が1時間枠だったので実質14話分のボリュームです。
序盤はもの珍しい細谷佳正さんのハイテンション演技を堪能することから。SF興味なくともこの一点で “ 買い ” かもしれません。2~3話経過してからはBパートの引きが良く毎話楽しみながらの完走です。

ざっとあらすじ:子供たちだけでどっかの惑星で5日間自活してこよう!スケール大きめの林間学校に意気揚々と出発したらトラブルに巻き込まれて帰ってこられなくなりました的なやつです。

キャストは多め。性格ははっきりとキャラ毎に別れており、キャラ回というよりキャラパートを設けてあまり尺を使わずにさらっと紹介。それでいて不思議と名前は覚えていられました。
{netabare}みんな多かれ少なかれ境遇は一緒だよ、との本作の特徴を活かしこのへんばっさり切りましたね。英断だと思います。{/netabare}


カナタ・ホシジマ(CV細谷佳正):リーダー 十種競技選手 アツい!
アリエス・スプリング(CV水瀬いのり):天然ドジっ子に見えて意外と有能
ザック・ウォーカー(CV武内駿輔):頭脳明晰鉄面皮 キトリーと幼馴染
キトリー・ラファエリ(CV黒沢ともよ):医者の娘 フニシアの姉 基本ガヤ
フニシア・ラファエリ(CV木野日菜):最年少 キトリーの妹 パペットマペット
ルカ・エスポジト(CV松田利冴):政治家の子 僕っ子亜種「オイラっ子」
シャルス・ラクロワ(CV島﨑信長):貴族出身 なんというかムツゴロウさん
ユンファ・ルー(CV(早見沙織):国民的歌手の娘 超内向的隠れ美人
ウルガー・ツヴァイク(CV内山昂輝):教頭の息子 本人はアウトロー志向

ポリーナ・リヴィンスカヤ(CV生天目仁美):ゲスト ポリ姉


途中経過時点ではおおむね今期多かった中間層上位 ( 自分比 ) の作品という見立て。完走は苦にならずそこそこ面白いが一皮むけてないといった「惜しい!」作品の一つ。
ただしそれは物語の全容が明らかになってくるまででした。起承転結の転から加速しきっちりまとめてゴールイン!一気に観るのがいいと思います。

引っ掛かったところ先に述べとくと、全12話のけっこうな部分を占める各惑星描写についてもっとエンタメに振り切って欲しかったな~ということですかね。


※各惑星の簡易説明

{netabare}惑星マクパ:当初目的地
惑星ヴィラヴァース:最初に訪れた惑星。肉食恐竜みたいなのとにょっきーん植物が脅威
惑星シャムーア:脅威のない草食動物。毒胞子まき散らすポールツリーが脅威
惑星アリスペード:リゾート惑星。地震と津波が脅威
惑星イクリス:自転してない過酷な環境。超獰猛な可動性植物が脅威
惑星ガレム:最後の惑星。わりと平和

一覧すると、植物らしきものが脅威だよというパターンが被りヴァリエーションに乏しい。{/netabare}

いきなり遠くの宇宙空間に放り出され、かくかくしかじかで食糧の備蓄量を見据えながら惑星を中継して帰還するという一大作戦決行中の若者たちです。

 未知の惑星にどんなものを持ってくるか?

これがいってみれば想定の範囲内。観てるこちら側の斜め上をいくようなタイプの惑星が登場してたら、

 本当に生還できるのか?

SFサバイブもののドキドキワクワク感はさらに増したことでしょう。
{netabare}そしてサバイバルパートが際立てば際立つほど第9話「全容見えてきました!」回との目線ずらしが奏功してたと思います。サバイバルと見せかけてサスペンスでしたの落差で評価は爆上がりしてたことでしょう。{/netabare}


この引っ掛かり以外は気にならず、中盤までゆるやかに右肩上がりで面白くなっていくストーリーだったと思います。サバイバルという題材と+αの謎{netabare}(「裏切者は誰だ?」){/netabare}を早々に提示してくれたおかげで、なにがなんだかよくわからないまま後半に種明かしみたいな不親切設計でもありませんでした。
起承転結の構成も手堅く、転からの終盤はオチも含めて意外性と納得感のある内容。このへん詳細は本編で!

ジャンプ連載だったわりには、下手に引っ張らず撒いた伏線を回収して短くスッキリと終わらせた構成にも好感を持ちました。良作です。



■物語の構成について ※ネタバレ

{netabare}出来過ぎなくらいハッピーエンドでしたね。それが嫌らしいと感じませんでした。
物語は以下の順で明らかになっていきます。

1.アストラ号メンバーの共通項
2.刺客はこやつ
3.この世界の秘密

序盤から2.は提示されていて視聴者の興味を引っ張る材料になってました。そして2.が明らかになれば当然「どうして?」がでてくるわけで、その説明が1.と思ったわけです。
これで1クールでも充分だったと思いますがおかわりがありました。3.です。期待値の一段上をいってました。{/netabare}


■優しい人たち

これは雑感です。人間の善意を信じようという作者の意図が根底にあったのだと思います。
{netabare}・ユンファのライブ会場に押し入ろうとしたキトリーと警備員とでひと悶着。直後、隣にいたアリエスのとある報告に控えめに拍手を送る警備員さん。さっきまでもめてたのにw
・アリエスの母ちゃんに連絡を取ろうとした時に、だれも疑わなかった。普段ならご都合とか平和ボケみたいに感じたろうにこの時はクルーの絆みたいなのをより強く感じました。不思議なもんだねぇ
・ピンポイントでしか覚えてなさそうなカナタが本を執筆できるわけなかろうもん。きっと隣にいた超絶記憶力の持ち主がサポートしながら書き上げたんだろうね、と妄想。{/netabare}




■(余談)カナタのアストラ

冒頭に戻るわけですがハイテンション細谷佳正さんが個人的にはイチオシです。
アツい!とにかく勢いがあるキャラでした。そして、彼は脳筋一歩手前の絶妙なバランスで好感度を保っていると思しき立ち居振る舞いをします。行動に根拠がある。よって知性も感じる。

モデルは武井壮?と思った人他にいないかしら。

なかやまきんに君でも春日でもないんだよなぁ 
武井壮なんだよなぁ



視聴時期:2019年7月~9月 リアタイ視聴

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2019.09.20 初稿
2020.04.07 修正

投稿 : 2024/04/20
♥ : 78

86.7 7 シリアスで友情なアニメランキング7位
やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。完(TVアニメ動画)

2020年夏アニメ
★★★★☆ 4.0 (727)
3240人が棚に入れました
過去のトラウマと、独自のひねくれた思考回路によって「ぼっち生活」を謳歌しているように見える比企谷八幡は、ひょんなことから生活指導担当教師、平塚 静に連れられ「奉仕部」に入部する。同じ部に所属する息を呑むほどの完璧美少女・雪ノ下雪乃や、クラスの上位カーストに属するギャル・由比ヶ浜結衣とともに、クラスメイトの人間関係の問題の解決から生徒会の手伝いに至るまで、数々の案件をこなす毎日をすごしていた。季節は移ろい、春。雪乃から最後の依頼を受けた八幡と結衣。3月の卒業式を控えた中、いろはからブロムの協力を求められ…。― 本物を求めた八幡は3人の関係を変えていく。果たしてこの先、彼の高校生活はどんな結末を迎えるのか!?

声優・キャラクター
江口拓也、早見沙織、東山奈央、佐倉綾音、悠木碧、小松未可子、近藤隆、檜山修之、柚木涼香、中原麻衣、井上麻里奈、ささきのぞみ、小清水亜美、堀井茶渡
ネタバレ

ぺー さんの感想・評価

★★★★★ 4.3

正三角形の三角関係

原作未読


うむ終わった。3期相当『俺ガイル・完』は全12話。1期からの続きもんで足掛け計38話で完結です。
ラノベはやたら長いタイトルが跋扈していて『やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。』例外なく長いやつです。たいていはツカミだけのタイトルで中身は別物ですが、本作は看板に偽りなし。

2期で 「お~青春ラブコメだね~」
3期で 「う~んまちがっているね~」

となることはお約束できますのでうっかり1期2期未視聴の方はぜひ振出しに戻ってここまで楽しみながら歩いてきてくださいね。
ラブコメが大きく動き出した2期最終話を受けての3期はこれまでの群像劇っぽいところからより主人公ら個々人の関係性にフォーカスされます。もう奉仕部+αで三角関係しかやらない勢いですね。
人となりは2期までで明らかになりました。ざっと、理性と感情の化け物が揃っていて理性カテゴリに八幡と雪乃。感情カテゴリに結衣となります。理性の化け物二人の緩衝材としてガハマさんは機能しており、彼女がいなければ早晩奉仕部は崩壊していたことでしょう。では似たもの同士八幡と雪乃の決定的な違いは自意識の有無。面白いのは結衣で1期の頃から成長して自分というのを持てるようになった。自意識それあるーカテゴリでは2期終わる頃には八幡と結衣が入ることになります。
ちなみにこの組み分けは陽乃の「理性の化け物」あらため「自意識の化け物」だね、と八幡を評したことに由来します。

    理性   感情   自意識   {netabare}気持ちを言葉にすること{/netabare}
八幡   ◎    ×     ◎    {netabare}  下手{/netabare}
雪乃   ◎    ×     ×    {netabare}  下手{/netabare}
結衣   ×    ◎    △→○   {netabare}  下手{/netabare}

中庸の△や○が無いといいますか、スキルチャートを作れば歪な五角形ができそうな三人組とみてよさそうです。だからこその面白さが本作の持ち味です。
登場人物もめんどくさいですけど抽象的な会話劇は同じかそれ以上にめんどくさい。自分は物語を紐解くのに登場人物相関図を頭に描きながら楽しむクセがあるんですがこの物語ではこんな感じ。合ってるかどうかはわからんです。違ってたらごめんなさい。

もう一つ。言ってることがわけわかんない時は言ってることよりもやってることを重視してます。言動より行動ってやつ。見当違いも多いですけどね。
{netabare}※漫画喫茶!?では隣同士肩にもたれかかる距離感だったのが、後日公園のブランコでは距離を取って座ってる…みたいなそういうとこ。{/netabare}

さらにもう一つ。概念として面白かった“本物を知りたい”について。
互いを出し切っても崩れることのない関係性みたいなものでした。
自己の欲求を追求すると壊れてしまう関係。これすなわち偽りの関係。
自分を偽って維持できる関係。これもすなわち偽りの関係。
大人であればあるほど、『本物』は遥か遠く手の届かないものであることを痛感させられます。若者も直感的には気づいてる。それでも求めてやまない、やはりこの年代ならではの心情の吐露なんです。

こちらを希求して止まないのが主人公比企谷八幡でした。どうやら折り合いをつけそれっぽいものを手に入れそうなところまで来ています。
同じく希求して止まない(…のだと思う)のがおそらく雪ノ下姉の陽乃。なんとなくこじらせたまんま大学生になっちゃった感ありでこれまで同様にちょっかいを出してきます。


まーあくまで一解釈ではありますが軽くおさらいでもしてから楽しんじゃいましょうという作品。
終わってみて思ったのが八幡、雪乃、結衣の関係って各自二方向に等分のきれいな好意の矢印が出ている正三角形のかたちをした三角関係だというのに気づきました。だいたい矢印は片方だったり短かったりするものを三角関係だと思ってきた人生だったのでこういう関係もあるんだなあと思った次第です。

もしかすると『本物』の関係ってこういうことなのかもしれない。
そんな錯覚を覚える青春ラブコメの秀作です。
別の作品でめんどくさい女性は魅力的だが男性の場合はただただめんどくさいみたいなこと書いて今の今も基本的な考え方は変わりませんが、男女ともにめんどくさくても面白いと思わせてくれた作品でもありました。


なお作中頻繁に出てきた3期のキーワード{netabare}“共依存”{/netabare}は結果的に無視しとります。

{netabare}「うがった見方をすればそう受け取ることもできなくはないくらいの話だ」
「君も雪ノ下も由比ヶ浜もそんな関係性ではないよ。共依存なんて簡単な言葉で括るなよ。君の気持ちは言葉一つで済むようなものか?」

絶好のタイミングでその時に1番欲しい言葉をピンポイントで投下する平塚先生についていけばよし。{/netabare}




※軽めの余談

■平塚センセから浮気しそうになりました

いろはすを凌駕するほどあざとかったのが作り手さんだった気がします。

あざとい?:{netabare}ガハマさんに肩入れしてしまう仕様{/netabare}
CASE1:{netabare}表情の作画カロリー消費っぷりは登場キャラ屈指{/netabare}
CASE2:{netabare}モノローグの度に締めつけられましたよ{/netabare}
CASE3:{netabare}ヒッキーとのデートする時間長かったよね{/netabare}
CASE4:{netabare}CMでまで白無垢着させた上に「わたし今が一番幸せだよ」とか言わせちゃダメ{/netabare}


■めんどくさかったです(褒め言葉)

1.{netabare}1期:「どうせ何を言っても伝わらないし関わらない」と卑屈さが全開
 2期:何を言っても壊れないor何も言わなくても通じ合う関係こそ本物だと信じる
 3期:ごちゃごちゃ言ってないで“伝える”“関わる”努力をする

 こんな若者の成長をこねくり回しながら描いたシリーズといえましょう。{/netabare}

2.{netabare}いろはすの「○○です。ごめんなさい」が段々YES寄りに。周囲の人たちも充分めんどくさい。{/netabare}

3.{netabare}結局「スキ」と言ってたのは我らが平塚静先生だけだったぞ。あーめんどくさ。{/netabare}



視聴時期:2020年7月~9月 

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2020.10.01 初稿
2021.08.01 修正

投稿 : 2024/04/20
♥ : 65
ネタバレ

tag さんの感想・評価

★★★★★ 4.8

比企谷君、本物は見つかったかな?+裏バージョンレビュー

1期、2期のレビューを更新するうち、3期には裏バージョン(ネタバレ本音バージョン)のレビューが必要と思い。加筆、評価替えしました。
見ていない方は絶対開かないでください。

ここから裏バージョンレビュー
{netabare}
3期通しで見ると、雪乃と八幡の間の関係は、そのセリフ通りに受け取れず、見た目と実態がかけ離れているのではないかと思える部分が多々あります。
見た目は最後にやっと恋人同士ということですが、これも、実質的には婿養子決定と取れなくもないです。以下の1-3期通して二人の関係変化ポイントと“本当の”状態を考察したものです。

1期1話の奉仕部での初対面会話が弾む(見た目は弾んでいないが)時点:
⇒友達承認(セリフは速攻却下だが)
1期、普通は男子と一緒に絶対行かない雪乃が自ら誘って八幡とモールに買い物に行くシーン
⇒友達以上の存在であることを承認(ただ買い物しただけににしか見えないが、一緒に買ったエプロンはずっと使い続ける)
1期12話で再び奉仕部で友達承認を求める八幡を拒否るがウインクで返す雪乃時点:
⇒好意(好き)の表現(再び友達承認さえ拒否ったように見えるが、雪乃のウインクは相当な勇気が必要)
2期設定ディズニーランドのスプラッシュマウンテンの降下ポイントで袖を指で摘まんだ時点:
⇒雪乃からの恋人認定(単に恐怖から摘まんだようにしか見えないが、その写真は枕元にずっとしまっている)
3期10話でプロム後片付けから帰る八幡の袖を“握って”離さなく、ウルウルした瞳で見つめる時点:
⇒雪乃からのプロポーズ(言葉では別のことを言わんとしているように見えますが、行動は真逆の意思を示している)しかし八幡は優しく立ち去る
3期11話で八幡の5分間告白を受諾時点:
⇒八幡からのプロポーズ受諾(これは言葉と行動にしているので明白)
3期12話のほぼ無双している雪乃
⇒婚約・結婚式(八幡の婿養子入り)と新婚状態(雪乃を束縛する問題は全て解け、素の彼女が出ている、言葉と行動の乖離は消失)

これらは、ハッピーエンドに向かう、ポジティブ面を中心にシナリオを追ったものです。この見た目と本音の乖離が物語を面白くしているのですが、同時に難しくしている面もあります。その難しさの源泉がこの乖離でもあり、ネガティブ面のシナリオです。それを解く鍵が雪乃と陽乃の心理状況にあります。

・雪乃はなぜ、こんなに分かりづらい(面倒くさい)のか?
多分、これが、この物語の最大プロットであり、面白さの源泉です。その割には暗く、苦しいプロットではあります。
家族との関係性に問題があることは陽乃や平塚先生の会話などに1-2期にも表れますが、雪乃の口(特に海浜公園からの帰り道)から語られるのは3期になってです。また、陽乃の口からも語られます(海浜公園の夜、八幡を待ち伏せて)。ここから雪ノ下家の家庭環境、そこから来る、雪乃の心の問題が見えてきます。

・家業は姉が継ぐとなっており、自分はほったらかしで、重要視されていない、期待されていない(と思っている)
・期待されていない人生を過ごしていたので、強い承認欲求があり、期待される姉を後ろ姿を追っていた。
・自分は父の職業に興味を持っている。でも、家族に言ったことはないか、言っても取り合ってもらえなかった(しかし、これも承認欲求から来るもので、ほんとに姉、父と同じ方向に行きたいか微妙)
・結局、子供のころからの、ある意味“ネグレクト”で、普通持っているべき最低限の、「家族からの承認、信頼と安心」をもらっていない。心のよりどころがないため、自我が、とても弱く、攻撃されないための鎧をかぶっている。
・姉のコピーを目指すことでしか「自我の鎧=アイデンティ」を保てなかった。それでも満たされることはなく、常に自分(自ら納得したアイデンティティ)を探している。承認不足から自信がなく、これまで作りえなかった。
・これが、対人恐怖や、恐怖から逃れる(自分を守る)ために心とは裏腹の言葉(論理的、攻撃的ストレートトーク)でしか話せなくなった。
・軽度の解離性同一性障害ともいえる。「言葉として出る対人恐怖からの防御をつかさどる」人格1と心の中の本音としての「強く承認、信頼、安心を求める」人格2が同時に存在している。
・本来は一つになって(最終話の雪乃)、感情と言葉が一致し、強固な承認、信頼、安心に基づいてアイデンティティ作りを始める必要がある。最終話の段階でのアイデンティティはまだ形成されていないが、二人で作ってゆく準備はできている。
・そのため、雪乃の反応が劇中で非常に分かりづらい。言葉と心情が別なので、見たまま、聞いたままで理解すると、本音を見誤ることになる。
・一方、正直でストレートな対人関係(=本物)を探し続ける八幡にとってはとてもフィットし、最初の会話で好きになっていた。しかし、だんだんと、雪乃の心の喪失を知り、恋ゆえに、それを埋めて、助けたいと思うようになった。
・初めての相手からの好意を受け取った雪乃は、人格1だけで普段は過ごすのですが、八幡との間では人格2が出て来るようになります。「それが楽しかった。生まれて初めてだった」と3期で述べます。一方、乖離現象が明確になり、これがこの物語の理解を難しくします。3期の乖離は激しく、かつ分かりづらい。
・この乖離現象が端的にでるのは3期最初のプロムの終了後、帰ろうとする八幡を雪乃が追い、袖を掴んで止めるシーンに現れます。言葉では、「だから。。(わたしたちの関係を絶って、結衣の願いをかなえて、自分は大丈夫だかから)」と言うのですが、心の反映である手は、八幡の袖を掴んで放しません。八幡に腕を触られてはっと気づくのですが、それでも放しません。八幡はこの段階ではまだ、自分を何をすれば、雪乃を救えるのか分からないのでそっと指をほぐし、振りほどきます。八幡にゆっくりほどかれた腕を抱えて呆然と立ち尽くす雪乃。もう少しで人格2だけで言葉が出そうでしたが、それでも無理でした。八幡は問題の根深さを強く再認識し、最終章へと向かいます。
・結局、人格が統合されることは八幡の告白までないのですが、人格2を八幡には出せるが故に、返って言葉と心の乖離が頻発するシーンがこの物語には多い。それが2期で関係がどん底まで下がった時に雪乃の言葉「(自分を)分かってくれていると思っていた」に集約されます。人格2が出ているのに、信頼する八幡には理解されていない、やはり自分の心の喪失は埋めてもらえない。しかし、この後も八幡に期待し続けます。このような関係修復と関係破綻を繰り返しが物語を作り出します。
・八幡にとって、雪乃との単なる関係のみが本物ではなく、雪乃の心の喪失を埋め、助け、助けられる関係になることまでが、彼の求める本物であることに、周囲の助けもあり徐々に気づき、ラストの告白へとつながるということを、観衆に伝えたかったのではないかと思います。
・本来、家族が普通に埋めているはずの心の基盤となる承認、信頼、安心を彼が埋めなきゃいけないので、彼は「全部やる」と告白する必要があった。つまり、雪乃の家族になる覚悟を見せる必要があった。
・そして合同プロム終了後の「好き」発言は、八幡の長い長い告白により、雪乃の基本的承認、信頼、安心が満たされ、人格が統合され本当の雪乃になれたことを意味します。

陽乃“も”、なぜ、こんなにめんどくさいのか? ~平塚先生の最終講義、八幡の告白内容の理由へ続く~
・既に分かるかと思いますが、アイデンティティを強固に持っているように見える陽乃もそれは母親から強制されたモノで、自分のモノではありません。そのようにした母親を憎んでいます。
・「いろんな事を諦め、大人になる」と自分に言い聞かせ、雪乃ほど解離性同一性障害にはなっていないように見えますが、症状は同じです。
・葉山との会話で葉山が「そんなに(母親)を憎んでいるの?」と問い「いえ、大好きよ」と言い返します。言葉と心が乖離していることを陽乃は認識しているのでしょうが、一致させられません。
・1-2期では、雪乃に自己・自我の形成の問題を指摘し続ける嫌な存在です。3期では共依存に基づく八幡との関係を絶ち、自己・自我を作りなさいと脅迫します。これらは全て母親との関係における陽乃自身へのメッセージです。八幡を母親と言い換えればよいだけです。妹は自分と同じになってほしくないと思いながら、結局、自分と同じなるよう強要し続けます。ですが彼女も解離性同一性障害です、言葉と本音は違うはずです。
・そんな陽乃を平塚先生は高校時代から知っていて、お互い強い信頼があるようです。海浜公園の夜、タバコを吸う誰かと深酒していますが、これは平塚先生だと推測されます。平塚先生は雪乃と同様に陽乃も救いたいと思っています。劇中でほぼ描かれませんが。平塚先生と飲んだその夜、八幡との会話ではお姉さんとして、「雪乃の考えを尊重してほしい」と言います。同時に「八幡のようなお兄ちゃんが欲しかった」ととも言います。「君は私と同じで酔えない」とも言います。平塚先生との深酒により、いつになく本音をしゃべっています。
・この三つの陽乃の言葉は、「雪乃の心の喪失を埋めようとしているのを理解してほしい。」「自分も同様に喪失している」「君なら私同様、この状況を理解できるよね」と読み替えることができます。
・この後、陽乃はいつもの調子に戻り、「共依存から逃避を辞めるため八幡との関係を絶つべき」と言う論調に戻ります。しかし、最初のプロムの終了後の八幡との会話では、「本物の関係になるため、共依存を乗り越えろ、それが人を傷つけることでも」と言うトーンに変わります。そして最後の言葉は「本物なんて、ほんとにあるのかな?(私も本物が欲しかったな)」です。やっと陽乃の言葉と心情は一致し八幡にメッセージを伝えます。辛うじて、陽乃の本音は「自分みたいな共依存の中でいろんなものを諦め、偽物になっちゃいけないよ」だと取れます。
・この直後、平塚先生による八幡を告白へと誘う最終講義がバッティングセンターであります。八幡は共依存を乗り越える言葉(「全部やる」ことで雪乃の基本的承認、信頼、安心を作る=家族になる)を紡ぐことになります。長い長い告白ですが、言葉のほとんどは、雪乃の心の喪失を埋めるため、自分の全てをささげると、何度も何度も繰り返します。ひたすら“渡す”ことだけです。普通に考えれば、恋愛や家族関係は渡し/渡される関係にも関わらず。それは満たされてからでよいと八幡は思っています。雪乃は普通の「好き」と言う言葉を求めているように見えますが、八幡はしません。何が必要なのか、100%分かっていたのだと思いますし、それには覚悟を見せる必要(何度も繰り返し、雪乃に自分の本心であると安心させる)があることも理解していました。
・劇中では、分かりにくいですが、陽乃と平塚先生の連携プレイです。二人はこの事を事前に話していたのだと思います。

言葉と心の乖離がこの物語のメインプロットであり、それが故に、観衆は、なんで、そう言っていたじゃん?と混乱する。なんとなく、だんだんに素直になってきたねと喜び、最後の八幡の告白と雪乃の幸せそうな笑顔で救わるのですが、背景を深堀すると、中々に重たいものがあることが分かり、物語の理解を深め、また別の面白みを感じることができます。
{/netabare}
”裏”終わり、表バージョンレビュー開始

随分と、時間差で見てしまいました。1期、2期が中々に心に残り、3期は少し嫌な予感というか、2期の感想でも書いたのだけど、完結編は、ただのラブコメかもと思ったと言うのもあります。

結論から言うと、3期はただのラブコメではなく、”表題通り”のエンドロールのような、でもこの物語の主題に忠実なラブストーリーでしたね。悪い意味ではなく。

「本物が欲しい」と告白した主人公。1期、2期にわたる逆説的主人公の動機と行動という伏線があるからこそ、観衆の心に響きます。別に高校生だからでもなく、どの年齢でも、その”本物とは?”と言う問いは人生において、様々な場面で引きずり続けるから。

この完結編では、一気に登場人物たちの恋愛関係に焦点が移ります。ただ二人、この”本物”というものに強く引っかかる、主人公とヒロインたちの中の一人を除いて。

既にオジサン真っ只中の私も、少しの家族のことを考えました。物語中「共依存」というキーワードが出てきます。この共依存、Wikiによると。「アルコール依存症患者とその面倒を見る近親者との、相手がいなければ生きてゆけない、自分が必要とされている事の証、アルコール中毒という病でさえ、その状況を作り出してくれた必要なこと」と言った良くない事として説明されます。例えがアルコール依存症を題材にしているのでこうなるのですが、そうでは無いポジティブな事柄だったらどうでしょう?「共依存」と「恋愛、家族、夫婦、深い友人の間の関係」との違いは実は曖昧です。実際、Wikiでも精神的な病とは述べておらず、そう言う言葉・状況があると、それだけです。自分と家族の関係も「共依存」と呼べばそうだが、そんなに悪いものかねと、自問自答した次第です。(まあ、このワードも逆説的な引っ掛けではあるんですが)

主人公とヒロインの一人は「本物」と言うことを劇中、最も純粋に捉えようとします。なので、「共依存」という言葉にも強く反応してしまう。本物であるためには共依存から脱しなければならないと。

主人公が頬を自分で引っ叩くシーンがあります。そこで彼は、自分の本物の感情を吐露します。この感情は共依存といった”ラベル”を付けて納得する事じゃないと。(このきっかけを作ったのが、劇中、他のキャラから投げかけられた共依存という言葉なのですが。逆説的だな、これがまた。)

「言葉では伝わらない、言葉にしても伝わらない」と言う言葉が劇中頻出するのですが、一方、言葉は人の意識を支配する道具でもあります。「共依存」と言う”ラベル”を貼れば、そして最もらしい傍証が揃っていれば、本当はそうでなくても「共依存」であると信じてしまいます。知識と知恵があるからこその誤解です。今回は、こうした誤解を逆に活用、「ラベルを剥がす」という行為により主人公を一皮むけさせます。彼らしくない、言葉を尽くして、自分の感情を語らせる原動力とします。

さあ、ラベルをはがした主人公は、ヒロインの一人に向き合います。

実は、その前の回のシーンに、ヒロインは、主人公に図らずも接触してしまいます。その時、言葉ではこれまで通り、「関係を終わりにしよう」と言おうとするのですが、(実際は具体的なことは言ってなくて、「だから・・・」と止めている。両義的に取れるのですが。これまた面倒くさいですが脚本と演出の妙技でもあります。)実際のところ、彼女は、行動と表情で「本心=本物」を表してしまうシーン(作画、妙に気合入ってました。まさに両義的な顔をしてました。)があり、主人公は、多分、表情や行動で本心を分かっていて、それでも、その時は優しく拒絶します(この演出も中々!)。これまた、純粋に本物を追求し、ロジカルモンスターならではの反応(共依存を断ち切ることが、彼女のためである。自分は実のところ納得していなくても)で、非常に興味深いシーンです。

さて、ラベルを剥がした主人公のターンです。今度は、主人公がそのヒロインがやったシーンを上書き(これまた憎い演出です)します。しかし、今度はちゃんと言葉にして。でも「共依存」というラベルワードではなく、彼らしい、不器用で、何故かロジカルな言葉を尽くして(都合5分に及ぶ告白シーン)。ヒロインはちゃんと、ラベルワード(共依存ではないですよ。お互い共依存と言う呪縛を解いたからこそ効果を発揮する別のラベルワードです)を言ってと頼むのですが、本質追求&ロジカルモンスターの彼は言いません、いや、言えませんでした。彼には、このラベルワードを使うことに強い抵抗があります。自分の想いはラベルワードでは語れないと。まあ、ここはヒロインが折れるのですが、ヒロインはヒロインで負けず劣らずのパワフルな言葉で返します。

表題通りのエンドロールと申しましたが、物語はその主題に忠実です。主人公の彼らしい、とても誠意を尽くした告白でした。いやはや、自分(私のことです)の時はここまで言葉を尽くしたかな?主人公に負けず劣らずめんどくさい性格と自負していたのですが、反省しきりでした。でも、この物語らしい、「本物の告白」でした。

{netabare}
まあ、告白は、ほとんどプロポーズみたいでしたが、本物追求主義者の彼からすれば、そうなるのは避けられないかなと。そしてそれに返したヒロインもプロポーズ受諾でした。まあ、本物の告白って、やっぱりこれですかね。

追伸:
比企谷君、雪ノ下さんは、ちゃんと「好き」とラベルワードを言ったのだがら、やっぱ、君も、ラベルワードが嫌いでも、ちゃんと言わんとね!
{/netabare}

世の中がコロナですさんだ感じになっている今、ハッピーエンドの物語は良いもんです。

最終話のヒロインのその一人の”破壊力”が凄まじく、もう既にOver50ですが、かなり心と自らの切ない記憶を揺さぶられました(笑い)。思わず、再視聴。少し加筆し、評点を上げた次第です。

投稿 : 2024/04/20
♥ : 27
ネタバレ

shino さんの感想・評価

★★★★☆ 3.8

青春の残余

主要キャストの整理をしておこう。
冒頭から紹介もなくドラマパートである。

多様な価値観が生まれ広がり、
私たちは数多くの選択肢の前で躊躇している。
表現できないものから順々に、
私たちは自己の内に沈殿していく。
そんな葛藤が心に響くのであろう。
人との距離は接続でも切断でも、
間違ってしまえば瀕死の重傷であるのだから。

3話視聴追記。
良質な予感が既に漂っている。
キャラ造形が見事で配置も良い。
{netabare}今始めれば間に合うかも知れない。{/netabare}
きっと誰もが経験した青春の残余なのだ。

雪ノ下の葛藤を物語の軸に、
八幡の故意に間違える青春が描かれる。
{netabare}彼はそれを偽物だと呼ぶ。
大人たちは共依存から脱却し自立した生を願う。
自分であれ、青春であれ、
ここまで冷静に俯瞰できるのだろうか?
繊細な主題が浮かび上がってくる。
間違うことにどんな意義があるのかと。{/netabare}

最終話視聴追記。
もやもやと、燻り続ける青春は、
一定の方向へと道は開けたのであろうか。
{netabare}自分を偽り、思い悩み、悔やみ、
その先で心の隙間に残る貴重なもの。{/netabare}
やはり彼の青春ラブコメは間違えている。

あまりに秀逸なタイトルだと知るのです。

投稿 : 2024/04/20
♥ : 62

68.3 8 シリアスで友情なアニメランキング8位
クオリディア・コード(TVアニメ動画)

2016年夏アニメ
★★★★☆ 3.3 (653)
3202人が棚に入れました
人類の敵――〈アンノウン〉と戦争を続ける世界。

 数十年前の〈アンノウン〉侵攻時、コールドスリープ施設に避難させられていた子供たち­は、その眠りから目覚めたとき、己の身に超自然的な力――〈世界〉が発現していること­を知る。東京湾ゲートから現れる〈アンノウン〉から国を護るため、少年少女たちは東京­・神奈川・千葉の各防衛都市で戦いを繰り広げるのだった。

東京をさがら総、神奈川を橘公司、千葉を渡 航が担当し、
“QUALIDEA”を作り上げる。

声優・キャラクター
悠木碧、福原綾香、斉藤壮馬、石川由依、内田雄馬、安済知佳

ぷらむ さんの感想・評価

★★★★★ 4.4

非常に惜しいアニメ

非常に惜しい、ポテンシャルが高すぎるアニメ。
最近見直したから書いてみる。

物語自体は今までに例を見ない実力作家3名が書いてるだけあって凄まじい設定。まあ千葉カス君は俺〇イル感強すぎたが。
そして制作側も声優のキャスティングもさることながら、LiSAとClariSというアニソン界を背負っていると言っても過言ではない実力者を前半と後半でそれぞれ2曲ずつ。

原作は作家3人が分かれて東京神奈川千葉の3つからそれぞれの物語、そして千葉カス君の両親の若き頃である原点の物語、最後にこのアニメの原作であり3作+1作を纏めあげた本編のクオリディアコード。
構想にどれだけ費やした事やら。
原作を読んでいればなおアニメが面白くなるだろう。

だがしかし、始めに書いた通りこれはクソアニメだ。いや正確には神アニメのポテンシャルを秘めたクソアニメだ。
そう、神アニメのポテンシャルを秘めながら何がこのクソアニメをクソアニメたらしめたか。
それは構成と作画だ。
あまり構成について触れている人は少ないので作画から言ってみるが、とりあえずCGはよく出来ていた。大抵の量産アニメは原画との分離感、作画の脆さが露呈する部分ではあるが関係者が関係者なだけに下手なCGは作れなかったんだろう。エフェクト部分なんかはとてもよかった。
しかし問題は原画の方で、影も無ければシワもない服や背景。極めつけは序盤はそこそこだった作画が中盤から終盤にかけて恐ろしいスピードで劣化していき、舞姫の巨大丼が縮小してしまうという作画崩壊まで起る始末。

まあ作画はこの辺にして構成の方だが、個人的に百歩譲って作画が少々ゴミでも別にさして問題ではなかった。終盤は許容レベルを超えていたが、構成がちゃんと出来ていれば無視できるレベル。
とにかく構成が駆け足で、特にカナリアが死ぬ(死んでないけど)ところとかコンマ何秒よあれ。

自分としては2クールに分けてでも24話構成にするべきだったと思う。
なんならクズと金貨のクオリディアは切るとして、本格的に本編に入る前の東京神奈川千葉それぞれの部分を多少混ぜ込んでもよかったまである。
まあ外伝的な感じで出してくれてもいいが、今となっては叶わんだろう。
とまぁ原作を読むことをおすすめ致します。特に千葉はおすすめなんでどうぞ。

珍しく長文を書いたがそんだけ惜しいアニメってこった!
以上。

投稿 : 2024/04/20
♥ : 1
ネタバレ

101匹足利尊氏 さんの感想・評価

★★★★☆ 3.6

国破れて中二あり!?

三人のライトノベル作家が複数レーベルに跨がって、
共有した世界観にて、キャラをぶつけ合う。
三位一体メディアミックスの主軸を担う1クールアニメ作品。

ライトノベル展開の内、私は橘公司さんによる富士見ファンタジア文庫の小説
『いつか世界を救うために-クオリディア・コード-』をアニメ視聴後に購読。
(要するに{netabare}神奈川1位のヒロイン・天河 舞姫ちゃんの潜行調査(ストーキング)が目的w{/netabare})


時に中二と揶揄されるラノベバトルを思う存分やるには、
設定から大人の理屈ごと強制排除することが有効であることを、
改めて思い知らされる作品。

少年少女にしか使えない能力。少年少女にしか扱えない武器。
加えて本作では、未知の生命体に世界の大半が滅ぼされ、
多数の人類と共に大人社会が消滅!?

少年少女が人類抵抗組織の幹部にまで食い込み、能力者集団を指揮。
「さぁ、今日も世界を救おうか!」てなノリで、
おびただしい数の<アンノウン>を能力全開で撃破♪

で、終盤{netabare}やっと、まともな大人の女性幹部と巡り会えたと思ったら、
お母さんですらS方面に症状をこじらせて殲滅戦を叫ぶ有様w{/netabare}

さらには、少年少女の能力発揮には各々がコールドスリープ中に夢で抱いた<世界>を
どう具現化するかが重要。などと言う、お墨付き設定まで付いてきて、
あなたの妄想力を強力にアシスト♪

こういう雰囲気でスカッとしたい方には楽しめる作品だと思います。


難点は作画。何とも受け身が取れない作画だなぁ(苦笑)と思いました。

作画兵団が息切れして、描画が崩れたとしても、
変顔のセンスで誤魔化したりできれば、
大抵のダメージは軽減可能。

ですが、本作の場合は、視聴者がまだキャラを把握し切れていない序盤から、
誤魔化しのセーフティーネットもないまま、顔面から垂直落下。
クオリティ頂点のOPアニメーションから、日常シーン作画等の底辺への落差が凄まじく、
このキャラ誰だったっけ?という戸惑いと共に傷口が広がります。


三人の作家、主題歌、声優など、結構ゴージャスで、
ごった煮になりがちなメディアミックスの割に
シナリオ展開も良好に感じました。

それだけに、何故、作画だけ、
こんなに人員、補給が貧弱だったのか?という悔恨が残りました。
一度でいいからOPアニメ品質で、バトルシーン見たかったなぁ……。


個人的には金髪ヒロイン、刀×ヒロイン、銃×ヒロインなどの好物も美味しく頂けた。
その点では満足度の高い作品でした。

投稿 : 2024/04/20
♥ : 32
ネタバレ

scandalsho さんの感想・評価

★★★★☆ 3.6

物語は良いのに、作画が・・・

原作未読。

本来は近未来異能力バトル系の作品・・・なのだろうけど、個人的には人間関係を楽しむ作品かと・・・。

主人公の6人の人間関係が絶妙でおもしろい。
{netabare}6人は厚い信頼関係で結ばれた3組のペアで構成され、女性同士は仲が良いのだが、男性2人は顔を合わせれば言い争いが絶えない。それでいて実は厚い信頼関係で結ばれている・・・。{/netabare}
前半は6人の人間関係だけでも充分に楽しめる作品。

物語は後半に急展開!
毎週、続きが気になって仕方なかったです。

と、ここまでの評価だけなら『今期のバトル物No1!』って言いたいくらいなのに・・・。
とにかく”作画が残念”な作品です。

投稿 : 2024/04/20
♥ : 51

85.7 9 シリアスで友情なアニメランキング9位
かくしごと(TVアニメ動画)

2020年春アニメ
★★★★☆ 3.9 (771)
2945人が棚に入れました
ちょっと下品な漫画を描いてる漫画家の後藤可久士。一人娘の小学4年生の姫。可久士は、何においても、愛娘・姫が最優先。親バカ・可久士が娘・姫に知られたくないこと。それは……自分の仕事が『漫画家』であること。自分の“かくしごと"が知られたら娘に嫌われるのでは!?“愛と笑い、ちょっと感動のファミリー劇場がはじまる――"

声優・キャラクター
神谷浩史、高橋李依、花江夏樹、八代拓、安野希世乃、佐倉綾音、村瀬歩、内田真礼、加藤英美里、浪川大輔、小澤亜李、本渡楓、和氣あず未、逢田梨香子、古城門志帆、原由実、小山力也、沼倉愛美

takato さんの感想・評価

★★★★☆ 3.5

空気を読めと言われそうだが。感動>笑いな構造はどうかなぁ…。

諸君、私は久米田作品が好きだ。


親子愛もベタな泣ける話も好きだ。


しかし、本作には完全には乗り切れなかったと言いたい。


そもそも、久米田作品と感動路線って相性があまり良いとは言いがたい。


シャフトがアニメ化した代表作である「絶望先生」、「かってに改蔵」いずれも感動路線とは水と油な、距離をとったメタでブラックな大笑いとも涙とも無縁な作風だった。


本作の感動要素は悪くないが、正直無理に良い話にしようとしてしまっている人工さを感じてしまった、特に終盤。いくら良い話でも納得させる流れがないと呑み込みづらい。


あと、その要素を入れるため+1クールしかないから久米田さんの本来の持ち味のギャグもキャラの深堀りも物足りなくってしまったかな。漫画家漫画なら「吼えろペン」とかの方がずっと攻めたネタをやってたし。


アメリカ映画が顕著だが、やたら家族愛を押し出されるのは正直勘弁…って感じである。「リメンバー・ミー」とか悪い映画ではないが、これはどうなんだ…って飲み込みづらさがあった。


色々PC的に問題があったりする世の中だから万人が同意できるような価値観は家族愛しかないのかもだが。どんな価値観でも自然にすっと心に染み透る上手さと、充分なセットアップがなければならない。


おジャ魔女どれみのあいちゃんがお母さんと再会するシチュエーションなんて、何万回描かれたんだって展開だけど、画面と同じく涙でお母さんが歪んで見えなくなってしまう。


別に奇抜な事をしなくても、しっかり基本が出来ていれば号泣させるには充分なのだ。

投稿 : 2024/04/20
♥ : 54

御宅 さんの感想・評価

★★★★☆ 3.6

好き嫌いが分かれるアニメ

個人的に好き嫌いが分かれるアニメだなと感じました。

漫画家である事を隠す父と小学四年生の姫の日常を描いた物語です。
この作品の「漫画あるある。漫画家あるある。」というテーマ自体僕はあまり好きになれませんでした。でも嫌いではないです。

お父さんと姫のやりとりを純粋に楽しむことができず、物語の後半からはくどいなぁと思ってしまいました。1話ずつ最後に父と姫のその後の展開とはというシリアスな話が加えられています。

最後の最後まで「漫画あるある」という作品なので、シリアス展開をまとめた最終話でも「まぁそうだよね」と思ってしまいました。とにかく好き嫌いが分かれる作品です。

opとedはとても良かったです。爽快感溢れるopが映像とマッチしていて素晴らしかったです。そして何といってもedの大瀧詠一さん選出が素晴らしすぎました。しかも原曲を使ってくれたスタッフに感謝したいです。

投稿 : 2024/04/20
♥ : 11
ネタバレ

ぺー さんの感想・評価

★★★★★ 4.4

可久士は姫に嘘

原作未読 久米田作品初体験


東北新幹線仙台駅からさらに盛岡方面へ下ること4駅。“水沢江刺駅”の発着メロディを{netabare}『君は天然色』{/netabare}にしようという具体的な動きがございます。おそらく早晩実現することでしょう。言わずと知れた本作のEDに採用された日本のスタンダードソングです。大瀧詠一氏は江刺の出身。


{netabare}『君は天然色』
作詞 松本隆 / 作曲 大瀧詠一

 くちびるつんと尖らせて
 何かたくらむ表情は
 別れの気配をポケットに匿していたから

 机の端のポラロイド
 写真に話しかけてたら
 過ぎ去った過去(とき)しゃくだけど今より眩しい

 想い出はモノクローム 色を点(つ)けてくれ
 もう一度そばに来て はなやいで
 美(うるわ)しの Color Girl{/netabare}


大瀧氏が松本氏に作詞の依頼をしてすぐに松本氏の妹さんが倒れたため、依頼を固辞しようとしたのを発売予定そっちのけで待ってくれたという有名な話があります。残念なことにほどなく妹さんは亡くなられるわけですが、看取った後に歩いた渋谷の街が色を失ってモノクロームに見えたとのことでした。そんな松本氏が立ち直るきっかけになったのがこの曲の創作に向き合うことだったそうです。
レコード会社から代役立てろ!と急かされるのを突っぱねた“はっぴいえんど”以来の友情話もさることながら、明るくポップなジャケットの裏で、透き通った哀しみが伝わってくるとしたらそんな事情があるのでしょう。

作品に戻って『かくしごと』とこの曲。
とある理由でモノクロ世界の住人に堕ちてもおかしくない主人公後藤可久士(CV神谷浩史)とそんな彼にカラフルな色をもたらす娘さん後藤姫(CV高橋李依)との関係性が曲制作往時の秘話とシンクロします。

また前述の制作過程をどっかで覚えてたこともあって
大笑いとまではいかずクスッとできる塩梅のギャグだったり、
テクニカルな大瀧の曲みたいな詰め込みすぎちゃう?くらいの小ネタ投入だったり、
そして作品全体のポップさに隠れてる中で毎話顔を覗かせる哀しみのようなものだったり、
曲と作品との関連がよく出来てるなぁと感じた私です。
小ネタといえば毎度のサブタイもそうですね。漫画作品のタイトルをもじっていて、そのチョイスがど定番というより知ってる人は知ってる良作ばかり。あにこれやってる人は全部わかりそうなやつ。


なんだろなぁ…
すごいバランスがいいんですよ。過去作知ってると笑えるギャグ、わかりやすいボケ、通好みでマニアックなやつ、とベースとなるギャグのパターンが豊富だと感じます。そしてどれ一つ腹を抱えて笑うような破壊力はなし。
これは褒め言葉です。作品の主題が“お笑い+たまにいい話”でも“お笑い+最後にいい話”のどちらでもないから。一定レベル以下に抑えたギャグにしてるんでしょう。作品の早い段階でシリアス展開を想定できる演出だったのでギャグに全振りしたような中盤だと後々白々しく感じてたかもしれません。
それに“下ネタ漫画家”という本作の設定も絶妙だったかと。これが仮に“エロ漫画家”だったとすると一気にばれるばれないのサスペンス色が強くなって同じくバランスが悪くなってたと思います。


不満らしい不満はないかも。つまり満足。
作品の具体的なことあまり語ってない感想で恐縮ですがお察しください。それと自分は『絶望先生』含め過去作品を一切知らずに突入してますが充分楽しめたことを申し添えておきます。お薦めの一品です。




※余談

■永井博、鈴木英人、わたせせいぞう

夏のリゾート感たっぷりなイラストというジャンルがあるとしたら始祖にして御三家なんでしょう。オマージュ利いてるなぁと感じる場面多数でした。
あと細かいところであの人のモデルは東山魁夷ですよね。東山ブルーで有名な人。御三家もそうでしたし、イメージカラー“青”で統一されてました。


■刺さった父親の一言

愚直に娘が一番で最優先。素敵な父親じゃないか。

{netabare}第一話
アシ「いつも、俺は世間には迎合しないって言ってるくせに!」
父「はー?俺は姫に迎合してるだけだ」{/netabare}


■刺さった娘の一言

そう受け止められる娘さんに育ったことがもう…

{netabare}第六話
《ただ…父・母・娘の3人の家族が、平凡な日常を暮らすお話でした》
「つまらない日常こそが。一番の…夢物語だったのです」{/netabare}



さて、発着メロディ『君は天然色』に送り出されて上京する若者はその後の人生でどんな色をつけていくのでしょうか。
よく東北の人は寡黙だとか我慢強いとかいいますが、ことこの駅を使ったであろう著名人はごちゃごちゃ前に出てくるような人はいなさそう。職人気質な方ばかりな気がします。
例を挙げると「吉田戦車」「大谷翔平」「桑島法子」あたりw

だいぶ見劣りはしますが、約20年前にまさにこの駅から東京へと向かった10代の私もそのうちの一人。どんな色をまとうに至ったのか少し気になります。



視聴時期:2020年4月~6月 

-----
2020.12.19追記
《配点を修正》-0.1

その後無事に採用されたようで、2020年10月1日から導入されたとのことです。

東北新幹線の発車メロディー導入は、郡山(キセキ)、福島(栄冠は君に輝く)、仙台(青葉城恋唄)、一ノ関(夕暮れ時はさびしそう)、盛岡(ダイジョウブ)、新青森(青森ねぶた囃子(ばやし))に次いで7駅目。


2020.06.21 初稿
2020.12.19 配点修正/追記

投稿 : 2024/04/20
♥ : 65

70.5 10 シリアスで友情なアニメランキング10位
コップクラフト(TVアニメ動画)

2019年夏アニメ
★★★★☆ 3.5 (324)
1169人が棚に入れました
一五年前、太平洋上に未知の超空間ゲートが出現した。その向こうに存在したのは、妖精や魔物のすむ奇妙な異世界「レト・セマーニ」だった。「サンテレサ市」。二〇〇万を越える両世界の移民が住む都市。雑多な民族と多彩な文化。そして持てる者と、持たざる者。ここは世界で最も新しい『夢の街』。だがその混沌の影には、数々の犯罪がうごめいていた。麻薬、売春、武器密売。それら凶悪犯罪に立ち向かう刑事たちが、サンテレサ市警察に存在していた……。刑事マトバ・ケイと異世界人の騎士ティラナ、性別も性格もそして「生まれた世界」も違う二人が出会うとき、事件は起きる。二つの世界 二つの正義 その先に-バディポリスアクション開幕!

声優・キャラクター
津田健次郎、吉岡茉祐、折笠富美子、浜田賢二、高橋良輔、鶴岡聡、中原麻衣、井上麻里奈、高木渉、ボルケーノ太田、大塚芳忠

イムラ さんの感想・評価

★★★★☆ 3.9

ちょっと勿体ない

<2019/10/6 初投稿>
原作未読です。
とりあえず最終12話まで観終えました。

賀東招二さんが原作・構成・脚本も
キャラクター原案は村田蓮爾さん

ということでハードル上げすぎたかも。
というわけで辛口レビューです。

異世界と現実社会がつながったとある都市での警察バディもの。
主人公は地球人の警察官ケイ・マトバ(♂)と異世界の騎士ティラナ・エクセデリカ(少女)

とある事件で行動を共にすることとなった二人が価値観の相違からぶつかりながら〜という感じです。
ところで、最初から仲良しのバディものって最近のアニメじゃ本当に見かけないなー(´・_・`)

設定や雰囲気、音楽や声優さん、そして村田蓮爾的絵柄は好みでした。
村田蓮爾のキャラクター原案で今期もう一つ「BEM」という作品がありましたが、本作の方が村田蓮爾の良さが出てる感じ。
物語もあらすじだけ読んだら大好物。

なのになんか物足りない。

正直、絵はお安いです。
ティラナが可愛いだけ。
あとは手抜き言われても仕方ないかも。
手抜きといっても手間暇かけてないんじゃなくて、なんて言えばいいかな。
そう。
絵の美しさが感じられない。

アニメの製作工程はよく知らないけど色合いがなんか単調。
例えばも少しセピア調にするだけでも雰囲気よくなるのに。
なんならモノクロの方が良いくらい。

あとこれは演出なんでしょうか。
こういうちょい渋めの作品ってわかりきってるシナリオをどうハラハラワクワク見せるかが全てな気がするのですが。
なんかハラハラもワクワクもあんまりしない。
もしかしたらシナリオの方か?
いや構成?
賀東招二なのにこれ?という残念感。

上に挙げた2点以外は好みです。

投稿 : 2024/04/20
♥ : 33
ネタバレ

ぺー さんの感想・評価

★★★★☆ 3.7

良きバディものの足を引っ張るなにか

原作未読

既刊複数の小説が元ネタ。全12話(+閑話休題的な1話)通してみて筋の通った脚本であったと思います。

視聴動機を思い返したところ、今期(2019年夏期)は“なろう”(の異世界転生系)と距離を置くと決めてたものの、蓋を開けてみたらなろうもの花盛り(笑)
観るものが無くなってたところに雰囲気良さげな本作に白羽の矢があたった、みたいな動機でした。


 期待してなかったわりにはけっこう面白い

 悪くはないんだけどいまいちしっくりこない


中途半端な感じがするんですよね。
ある日太平洋上にぽっかり異世界の扉が開いちゃってドンパチが起こり、以後日向に陰に人的交流が生じてしばらく経った後の世界。こっち(地球)の刑事さんであるケイ・マトバ(CV津田健次郎)とあっちからとある案件を追ってやってきたティラナ・エクセディリカ(CV吉岡茉祐)のバディものです。


 設定は好きです
 キャラも好みです
 OPはルパンのばったもんみたいなイントロがちょっと嫌
 二人の関係も悪くないむしろ楽しい
 作画は基本気にしない人

 
バディを組む主役ら関係の変化はすこぶる良いです。はじめはぶつかりあっていた二人が次第に信頼度合いを深めていった王道展開。 性格の凸凹はもちろんのこと、そもそも住む世界が違うわけですから両者の文化風習の違いなんかも衝突理由になったりして新鮮味もあったのでした。

お互いの考え方の背景となるようなキャラ掘り下げもされていて、それで相手をより深く知るといった描写もあったり手堅い部分もありました。渋みのある枯れたおっさん上司を含めて同僚にも恵まれていたと思います。そして切りのいいところで終幕。ですから、


 期待してなかったわりにはけっこう面白い


となるわけです。ただしどうももやっとしたものが晴れません。
理由を考えてみたらけっこうシンプルで、あっさり物事が片付きすぎてたからなんですね。

 {netabare}妖精の兵器転用で一儲け企んでたデニス・エルバジも{/netabare}
 {netabare}古代の生き残りでめっちゃ強そうだった吸血鬼も{/netabare}

煽りに煽ったわりにはあっさり片付いちゃって消化不良を起こします。
前段の盛り上げが良くいい空気を引っ張ってきたのに見せ場を省くか無くしちゃってto be continuedみたいな回が複数ありました。
例えるなら、印籠出すシーンが無くて気づいたらみんな平伏している水戸黄門。居眠り小五郎パートを省いたコナン君みたいな収まりの悪さと言って間違いはありません。作画カロリー削って動画の手を抜いたからかしら?の弊害を感じます。よって、


 悪くはないんだけどいまいちしっくりこない


答え合わせです。
ヒロインの作画は終始安定してたりもするので、この作品の大幅に落ち込んでる部分を流せる方であれば私のように楽しめるんじゃないかと思われた佳作です。




※異文化との付き合い方に関する雑談

昨今のトレンドでしょうか? 移民問題を扱っている作品が散見されます。
本作は異世界の “ セマーニ ” 人をメタに用い、もともと住まう地球人とセマーニ人との軋轢を描いてました。政治的な内容を多分に含んでおります。
興味が薄ければスルーでしょう。敏感ネタなので料理の仕方を間違うと視聴者の反感を食らいます。このへん作品のメッセージ内容に絞るとしたら、私は肯定的な立場です。


{netabare}1.選挙はベストな選択をするのではなくよりマシなのを選ぶ(ケイ)
⇒真理ですね。実生活の応用としては「ここがダメだからこいつは全部ダメだ」と言う輩の発言を信用しないことです。{/netabare}


作中ですと、あくまで市レベルなので矮小化されてます。実生活の県政や市政(区)だと人となりがわからないことが多いでしょうから、WEB検索ちらっとしてから投票に向かえば良いと思います。
「こいつはダメだからこっちよろしく!」な人に対して「じゃあお前はどうなんだ?」と考える習慣はついてる方多いのではないでしょうか?


{netabare}2.開かれてしまった以上ゼロには戻せない云々(ティラナ)
⇒これまた事の本質ですね。ある以上は仕方ない、で地道に改善していくのが良いと思ってます。グレートリセットは革命家/テロリストの発想ですから論外。ついでに○○人は帰れ!と吠えるだけとか、正統性をぼやいて静観するのも賢明とは思えません。


あなたならどうしますか?の思考訓練です。ご興味あれば以下ネタバレ開いてどうぞ!
※私案ならこちら↓

{netabare}⇒異文化はどこまで受け入れて何を切り捨てるかのコンセンサスが肝で、私なら「切り捨てアリ」の前提で合意形成を図ります。今ホットなネタを例に挙げればこんな感じ

第一段階:敵対行為にならないギリの線で国内準備する
・ビザフリーの停止。外国人土地取得の制限。不法滞在者強制送還の法に基づいた運用徹底。武装難民(便意兵)船舶の臨検ないし撃沈を可とするなど各種法整備をすすめる。
・外務省に予算を与え、カウンタープロパガンダを仕掛ける。人事評価に反映させればやる。

第二段階:多国間調整と二国間調整
・逆恨みは消えないだろうからスケープゴートを用意。候補は向こうが言うところの「善良な日本人」らが最適。有事には後ろから撃ってくる輩だし分断しとく。
・大陸のアキレス腱握っときたい。5Gだったり天然ガスだったり。むしろ半島よりこっちが重要。介入を限定的にさせるなど根回し要。
・有事の際の在留邦人安全確保のための取り決め。(※只今先方は日本の働きかけを絶賛黙殺中。人質とるぞ!の意思表示だと自覚したほうがよい)

第三段階:勝てない戦はしない
これは書かない。{/netabare}{/netabare}


あくまで自国の国益が最優先。無自覚な受け入れは将来的にはさらに大きな衝突を生みます。ヨーロッパはその繰り返し。学習してるようでしてません。

アンジーみたいに養子もらいまくりならその思想信条は置いといて傾聴に値しますが、多くは「自分のとこで雇わない」「自分の居住区近辺には入れない」言行不一致ポジショントークで安全なところから適当に耳障りの良いことを言って濁しております。差別だとかヘイトだとか言っとけばそれ以上ツッコまれないのです。


ドナルド・キーンだったか誰だったか


「日本人がしっかり日本人してればいくら来ようが問題ねーよ」


一定数超えてしまえば無理です。「郷に入ったら郷“が”従え」の連中相手に全て受容したら溶けて無くなるでしょう。あまり考えないかそれでもよいと考えてる方にとっては些細な話でしょうが、私はご免こうむりたい。

とは言いつつ“日本人がしっかり日本人してれば”の箇所は一利ある発言です。要はポリコレの変なのを潰しとけばそれ自体が抑止力になって増長できないのです。
そのようにして、一度開いた扉とはお付き合いを続けていかなければならず、じゃあやーめたとするには撤退戦略を練って実践する必要があるのだと私は思うのです。




さてさて、いつも通り脱線しましたが、最後に話を作品に戻して、、、
終盤のメタ移民問題に対する作品のスタンスは私が思う限り真っ当でした。手を取り合う未来目指して試行錯誤しながらお互い頑張りましょう!ってところです。

{netabare}当初、犯人をぶった斬ったティラナを諌めたケイが、ラストでティラナの剣を用いて思いっきりぶった斬ってたりしたのが象徴的でした。

おまえの言い分もわかるよ、と。{/netabare}


だからこそもったいないんですよね~
好きなんですよこういうの。。。



視聴時期:2019年7月~9月 リアタイ視聴

-------
2020.04.13 追記

上記【※異文化との付き合い方に関する雑談】ではお隣の半島を想定してます。


2019.10.06 初稿
2020.04.13 追記

投稿 : 2024/04/20
♥ : 53

101匹足利尊氏 さんの感想・評価

★★★★☆ 3.9

ケイのラケバイ

異世界との交流の玄関口となり、
ファンタジー風世界絡みの貿易だけでなく犯罪も多発する都市・サンテレサ。
地球のやさぐれ刑事&異世界のキマジメ女騎士がバディとなって事件に挑む、
ライトノベル(未読)のアニメ化作品。

【物語 4.0点】
脚本、構成は原作・賀東 招二氏が自ら担当。

ラノベのアニメ化においては、
活字だと“専門用語”含めて理解できるが、映像にしたら意味不明になる、
独りよがりが懸念事項だが、氏においては杞憂。

むしろ映像で喋らせると現実にはない言い回しになる
“吹き替え時空”にまで配慮したという脚本。
リアリティよりエンタメ性を重視した“翻訳”で
移住したばかりの視聴者もサンテレサ市に巧みにナビゲート。

但しペースは黒幕との一定の決着まで描くことを
優先したそうで、飛ばし気味。


【作画 3.0点】
全体的に作画カロリー不足。そのほか能面の平行移動や物体の伸縮等も散見。

戦闘シーンでもキャラデザ村田 蓮爾氏(『LASTEXILE』など)
の絵を動かそうと奮闘するも枚数不足。

ただ構図選択には地球&異世界交流都市の混沌を再現しようというセンスはあり。

そこまで酷くはないけど、ソース不足が惜しい、勿体ない作画。


【声優 4.0点】
原作者脚本により実現した地球語&“セマーニ語”のバイリンガルなアフレコが
作品世界ならではの掛け合いを好表現。

刑事ケイ・マトバ役の津田 健次郎さん、
主任ビル・ジマー役の辻 親八さんが警察ドラマの毒気を、
ビズ・オニール役の高木 渉さんやゼラーダ役の大塚 芳忠氏が狂気を、
ベテラン勢の渋味が効いたボイスが、汚れを知らない異世界騎士様をお出迎え。

はぐらかすバディ刑事にいきり立つ騎士ティラナ役・吉岡 茉祐さんの
「ケイのアホ、バカ、ラケバイ」は、2019私の萌え殺しボイス賞にノミネート。

※因みに「ラケバイ」は“セマーニ語”でバカの意。


【音楽 4.0点】
劇伴、オーイシマサヨシさんのOP「楽園都市」共に、
適宜ジャズやクラブ成分も添加して都市の猥雑を表現。

その闇を真っ直ぐに駆け抜けるヒロインの意志を
EDのティラナ・エクセディリカのキャラソン「Connected」及び「Nonfiction」が
ロック風サウンドで貫き通す。


【キャラ 4.5点】
語尾や言い回しでキャラ立てするラノベの伝統芸。

本作ではさらに踏み込んで、捻くれハードボイルド風のブラックジョークと、
高潔なファンタジー風女騎士の真っ直ぐな言動を掛け合わせることで、
地球&異世界交流都市の縮図を象徴。

“セマーニ人”への差別的言動にらしくないストレートな怒りをぶつけるケイや、
徐々に“嘆かわしい”地球の暴言も体得していくティラナが、
社会風刺も交えたバディの絆と高度なデレ?を提供。


【感想】
板垣 伸監督×制作ミルパンセ。
私にとっては『Wake Up, Girls! 新章』の大荒れ作画が懸念材料になっていまして……。

本作には興味はありつつも、徐々に聞こえてきた作画崩壊の噂にもビビって、
リアルタイムでは飛び込むのを躊躇していました。

遅れて視聴となった私ですが、予め“受け身”が取れていたのか、
作画については、思ったよりはマシだったという感想が残りました。
むしろ、ちゃんとソースさえあれば
良い仕事をされる方々なのだろうなと確認できたので、
今後、興味がある作品を担当された際は、怯まずに視聴しようと思い直しました。


オーディションで本作ヒロイン役を射止めた吉岡 茉祐さんもまた、
私にとっては「Wake Up, Girls!」の島田 真夢役の印象が強い声優。

不可解な形で「WUG!」の活動にピリオドを打ったまゆしぃですが、
こうして『WUG!新章』のスタッフさん等も参加した本作でアフレコして、
歌声も聴かせてくれて、無事キャリアを継続されているようで一安心しました。

投稿 : 2024/04/20
♥ : 34

80.5 11 シリアスで友情なアニメランキング11位
NHKにようこそ!/N・H・Kにようこそ!(TVアニメ動画)

2006年夏アニメ
★★★★☆ 3.8 (1531)
7871人が棚に入れました
大学を中退して4年目の佐藤達広は、ひきこもりとなっていた。佐藤は、自分が大学を辞め、無職でひきこもりであることなど全てが、謎の巨大組織の陰謀であると妄想する。その組織の名はNHK(日本ひきこもり協会)。そんな折、中原岬と名乗る謎の美少女が佐藤の前に現れる。佐藤をひきこもりから脱却させるべく、岬は「プロジェクト」の遂行を宣言。その「プロジェクト」の目的が不明のまま、岬による佐藤のカウンセリングが始まる。

声優・キャラクター
小泉豊、牧野由依、阪口大助、小林沙苗、早水リサ

ヒト さんの感想・評価

★★★★☆ 3.7

鬱と感じるかは人次第

鬱な展開も多少ありましたが
過去にリアルヒッキーやってて、今は少し表に出れるようになってきた自分は、いろいろ勇気というかなんというかをもらいました。現在進行形でヒッキーやニートというと自分と重ね合わせたりして辛い気分になる場面もあるかもしれません。(そこが多分鬱)
それにしてもヒッキーやっててこんなかわいい女の子が2人も周りにいるという設定はありえないと思いましたw(これもある意味鬱・・w)
とても良いアニメです、いろんな人に見てほしいですね。

投稿 : 2024/04/20
♥ : 13
ネタバレ

shino さんの感想・評価

★★★★☆ 3.8

人間失格

とびきりの分裂病だ。

そして神様はとびきりの悪者である。
いつも驚くほどの不幸を用意している。
人生の円グラフは歪な形で表示されるのだ。
苦しいが90%、例外なんてない。

主人公サトウは衆人の目を気にし引き籠る。
{netabare}彼の妄想は日々悪化し、大学を中退する。
心の統合に失敗したのか?
グレートマザーが完膚なきまでに立ち塞がる。{/netabare}
そうだ人生を断とう。

ネトゲ廃人・マルチ商法・自殺幇助の会、
容赦なく襲ってくる亡霊化したものたち。
消え伏せろ悪党ども。
麻痺させることだ、ぎりぎりまで思考を。
曰く「死に至る病」とは絶望らしい、
絶望とは、自己の喪失だって?
冗談じゃない、本当の孤独を知るべきだ。
そうだ人生を断とう。

このアニメが良質だと感じるのは、
{netabare}引き籠りを贅沢なことだと言及したことだ。
死を選ばぬ限り人生は続いていくのだから、
何かに夢中になり生きていくしかないのだ。{/netabare}

糞ったれめ、今こそ対決の時なんだろう。

投稿 : 2024/04/20
♥ : 72

むらさきたましい さんの感想・評価

★★★★☆ 3.9

思った以上の名作でした

あにこれで評判が良かったので、視聴しました。
期待以上の物語で、とても面白かったです。
監督も、ヤマノススメの山本監督なんですね。

さすがに2006年の作品なので、作画は古いですが、それを差し引いても魅力的な作品でした。

大学を中退してひきこもる主人公の佐藤に社会復帰をもちかける謎の少女 中原岬。
周りには、ネットゲーム中毒、薬物依存、自殺志願、マルチ商法、新興宗教など、色々な落とし穴が待ち受けています。
一方、岬ちゃんは背景が開かされず、佐藤を支えるには少し頼りなくて、という展開です。

そして、最後には。。。

心に傷を持つヒロインの岬が印象的な作品でした。

投稿 : 2024/04/20
♥ : 18

77.5 12 シリアスで友情なアニメランキング12位
ZEGAPAIN ゼーガペイン(TVアニメ動画)

2006年春アニメ
★★★★☆ 3.7 (1091)
6598人が棚に入れました
未来的にデザインされた街・舞浜市に住み、近郊の高校に通う普通の学生、キョウ。たった1人で水泳部を切り盛りする彼は、中学以来の因縁を持ち難癖をつけてくる宿敵達とのいざこざも意に介せず、練習と水泳部への勧誘の為、学校の室内プールへと向かう毎日。
ある日、幼なじみのリョーコに頼まれ、映画研究部作品の撮影中、やる気の無いキョウはNGを出し撮影は中断。ふと、窓の外を見るとそこで彼は飛び込み台の最上段に立つ、1人の見知らぬ美少女・シズノを見つける。
水泳部入部希望者と察したキョウは、慌ててプールへと急ぐが、シズノは声にならない謎の言葉を残し、華麗な飛び込みを見せ忽然と姿を消す。シズノの事が忘れられないキョウだったが、程無くして彼女はキョウの自室に瞬間移動したかの如く唐突に現れる。
シズノはキョウに「ゲーム」の始まりを宣言。彼女の導きのままにキョウは異空間へ転送され、美しい光の装甲をまとった巨大ロボット「ゼーガペイン・アルティール」に乗り込み、敵と目されるキャラクターをシズノと共に倒していく。
だがしばらくして、キョウは様々な疑問に対峙していく事になる…。

声優・キャラクター
浅沼晋太郎、花澤香菜、川澄綾子、朴璐美、牧野由依、渡辺明乃、坪井智浩、井上麻里奈、吉野裕行、加藤将之、神谷浩史、ゆかな、家中宏、久川綾

ニコフスキー さんの感想・評価

★★★★☆ 3.7

過大評価

なんか「もっと評価されるべき」みたいな位置づけされてるんですけど全然そんなことないよね

このアニメは2つの要素から構成されていて、1つはSFロボットもの。もう1つは人間ドラマみたいな面だと思うんですけど、まぁどっちつかずで中途半端

まずロボットアニメとしてはコレ酷いよね
魅力がないんですよね機体にも技にも。スパロボに出ても使いたくないもんww

恋愛要素もあるわけだけど、恋愛って分野は一本であるべきなんですよ。決してロボアニメの付属であってはならない。SFに恋愛を交えたって現実の恋愛をテーマにした学園モノに恋愛要素で勝てるわけがないんですよ。劇中のキャラ達にとってならともかく僕達にとってはあまりにもフィクションで現実味に欠けるから

いっそのことロボットバトルアクションをなくしてべつの形にできたなら他の描写が生きてこれたんじゃないかって思います。命の尊さとかを感じながら主人公の成長を描くことを軸にストーリーをっ持っていけたなら、もっといい
作品になったはず



誤解して欲しくないのは面白くないわけじゃないんです
ただ素材の使い方しだいでは・・・っておもってしまうんですよね。つまり「もっと評価されるべき」ではぜんぜんありませーーーんwwwwそこまでいいアニメじゃなかったぞと

あとこの頃の花澤香菜さん
演技下手すぎやろwwwwwwww酷いwww
逆を言えば花澤さんの成長がわかる作品でもあります。もしかして花澤ファンにはこれだけでも視聴の価値はあるかも

投稿 : 2024/04/20
♥ : 14

ガバ さんの感想・評価

★★★★☆ 3.4

SFアニメとしては好みだが

16話で断念。断念した理由を主にレビューしていくことになる。

まず、良かった所はやはりその世界観である。6話以降世界観が開示されるところは面白かった。また、朴璐美さんなど脇を固める声優さんは上手かったと思う。

次に、視聴を断念した理由は主人公、ヒロインの声があってなかったためである。イマイチ二人の物語に入りきれなかった。序盤時間をかけて日常パートでキャラの掘り下げを行うのだが、その時間が丸ごと演技のひどさで無駄になってしまった気がする。そのため世界観の開示があらかた終わり二人の物語へと回帰していく16話で視聴を断念。
もちろん私個人の意見なので気にならない人もいると思うが、私には合わなかった。たぶん私好みに声を寄せすぎるとアニメアニメしてしまって、それもまた作品に合わないからここら辺の塩梅は難しい。

総評としては、SFアニメとしては良し。ロボットアニメとしては平凡。恋愛物(?)としてはイマイチという(個人的な)印象である。

投稿 : 2024/04/20
♥ : 4

yosshi____ さんの感想・評価

★★★★★ 4.5

最近見た中で1番鳥肌が立った作品。

ずっと見よう見ようと思ってたのですが、今更ながら視聴しました。
まず初めに6話までは頑張って見て下さい。

この作品は映画のマトリックスの世界と同じと言ってしまえば簡単ですが、そうではなく、もっと深く濃い内容となってます。

かなりスピリチュアルな話になりますが、ふとたまに、そもそも自分というのは、体という実態のことなのか、脳という意識のことなのかと考えたことがあります。自分の体に他人の意識が入って、他人の体に自分の意識が入った時、果たしてどっちが本当の自分なのかと。
誰でも一度くらいは考えたことがあるのではないでしょうか。

ゼーガペインで伝えたいことはここにあると私は感じました。

意識さえあれば、実態などなくとも生きている。と考えるもの(ガルズオルム)と、実態がなければ生きているとはいえない。と考えるもの。(セレブレム)

これはその両者の戦いであり、26話を通して描かれました。

見終わって、説明不足なところは多々ありましたし、ラストのところも複雑にしすぎた感じはありましたが、それでも今まで見てきたアニメの中でもかなり素晴らしい作品だったと思います。
特にEDの入りは今まで見てきたどの作品よりも素晴らしかったです。

難しい内容が好きな方、考察しながら楽しみたい方におすすめしたい作品です。

投稿 : 2024/04/20
♥ : 5

88.2 13 シリアスで友情なアニメランキング13位
ソードアートオンラインⅡ(TVアニメ動画)

2014年夏アニメ
★★★★☆ 4.0 (3900)
22330人が棚に入れました
《SAO》事件から一年が経ったある日、キリトは、総務省《仮想課》の菊岡誠二郎から奇妙な依頼を受ける。それは、銃と鋼鉄のVRMMO《ガンゲイル・オンライン(GGO)》で突如発生した怪現象《死銃(デス・ガン)》事件の捜査であった。漆黒の銃を持つ謎のアバターに撃たれたプレイヤーは、実際に現実世界でも《死》に至る……。その不気味な事件の捜査を断り切れなかったキリトは、《仮想世界》が《現実世界》へ物理的に影響を及ぼすことに疑いを抱きつつも、《GGO》へとログインする。《死銃》の手懸かりを掴むべく、不慣れなゲーム内を彷徨うキリト。そんな彼に救いの手を差し伸べたのは、長大なライフル《ヘカートII》を愛用するスナイパーの少女・シノンだった。彼女の力を借りたキリトは、自らがターゲットとなって《死銃》との接触を試みるべく、全ガンナーの頂点たる対人トーナメント《バレット・オブ・バレッツ》に挑む……。

声優・キャラクター
松岡禎丞、沢城みゆき、戸松遥、竹達彩奈、伊藤かな恵、日高里菜、高垣彩陽、平田広明、悠木碧
ネタバレ

キヨシ さんの感想・評価

★★★★★ 4.3

10倍楽しめる方法

{netabare}今回の見どころはアインクラッド編では剣だけの戦闘でしたが、ファントムバレット編のガンゲイルオンライン(GGO)では銃がメインの戦闘にも関わらず、キリトが剣だけで勝負する所だと考えます。
また、知っている人もいるかもしれませんが、ソードアートオンラインⅡではデスゲームではないのですが、死銃と呼ばれるプレイヤーに撃たれると現実世界のプレイヤーが死亡してしまう事件から始まります。
死銃と呼ばれるプレイヤーは、アインクラッド編でラフコフのメンバーの一人であることを知ってから見るとファントムバレット編がアインクラッド編から続いていることが分かって、違う視点から楽しめるのではないでしょうか。
そして、ソードアートオンラインⅡでキーマンとなるのはGGOで新たに登場するシノンではないかと考えています。最終的に、シノンはこの事件に深く関係する人物だと思います。

上記のことから、
・ガンゲイルオンライン(GGO)では銃での戦闘がメインだがキリトは剣での戦闘スタイルを変えない
・死銃がアインクラッドでラフコフのメンバーだった
・事件解決のキーマンとなるのはシノンである
この3つが今回の見どころであり、ソードアートオンラインⅡをより楽しめるための要素ではないかと考えます。

また、ソードアートオンラインの代名詞である剣を使った戦闘シーンや、キリトの反射神経とバトルセンスもご覧になれると思います。

<ストーリ・世界観>
SAOがクリアされて1年後の2025年12月。戦いの果てに明日奈を助け出した和人は、かつての仲間たちと共にALOの世界を生きていた。そんなある日、和人はSAO事件で顔見知りとなった役人の菊岡から、銃撃戦が繰り広げられる銃器世界《ガンゲイル・オンライン》(GGO)に出没した謎のプレイヤー、《死銃》が関わるとされる連続変死事件の調査を依頼される。
真相を究明するべくGGOへダイブした和人は、ログイン直後に知り合った少女・シノンからGGOの世界についてのレクチャーを受けつつ、《死銃》との接触を図るべく最強のガンナーを決める大会バレット・オブ・バレッツ(BoB)へとエントリーすることになる。これまでと全く勝手の違う銃器世界での戦いに苦戦するキリトだったが、持ち前の反射神経とセンスを駆使しながら戦いを勝ち抜いていく。
やがて一連の事件の真実に迫る中、キリトはかつての忌まわしき因縁と対峙することになる。Wikipediaより参照
{/netabare}
小説からの情報ですがアニメでのオリジナリティもあることを楽しみにしてます。
今回のアニメを通してソードアートオンラインを好きになってくれる方が増えてくれるととてもうれしいです。
また、アニメ化したことで漫画や小説を読んで見比べることも、楽しめる方法の一つではないかと考えます。

投稿 : 2024/04/20
♥ : 22
ネタバレ

かげきよ さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

大作は続く

SAO事件から一年、キリトの新たなる戦いが
銃と鋼鉄のVRMMOガンゲイル・オンライン(GGO)で始まる!

今期注目度No.1と思われる作品の登場。
前作の個人評を短く言うと
「エンタメ性演出面は抜群だが
偶然に偶然が重なりご都合主義が過ぎるシナリオに不満」
という事で世間様の評判よりは低い。
それでも魅力があり期待感は高くなってしまう作品なのは間違いない。

さて、期待を持って観た1話だが、
う、うーん。まだ導入という事で大人しいスタートだった。
視覚的にはデスガンの犯行シーンが一番の見せ所だったが
この作品にしては派手さや衝撃に欠けていた様に思う。
本人ではなくモニターを撃ったのも地味だし(この行為に意味があったかも知れないけど)
ドクロと外套の怪しい風貌の割に手にした銃がトカレフっぽいのも微妙に安っぽく感じた。
いや別に悪い銃じゃないけど小物っぽくないですかね?

それとキリトの「現実と仮想の違いは情報量の差」ってのも
ちょいと引いちゃう発言…。現実世界もうチョット見つめようよ。

まぁ大人しいスタートだったのは大作の余裕って事で次回以降も期待してみようと思う。
黙ってても盛り上がる作品にはなるよね!?

注:【考察・予想】というのが時折出ますが、原作を知らない状態で書き込んでいます。
ネタバレとは異なりますが先入観を持ちたくない方はスルーしてください。

取りあえず事件については感じた事を書き留めておきます
【予想】{netabare}
今回の事件は「銃」に秘密がありそうだが多分関係ないと思う。
トリックは別にある。
ミスディレクションというヤツで銃に注目を集める事に意義があった様に思う。
デスガン(人物)はドクロの仮面で顔が隠れ、声も謎なので
今まで出てきたキャラの中に関係者がいそう。
手まで包帯で覆っている事には必然性がありそうで
アスナとの会話「手を握った感触で誰だか判別できる」云々が伏線になっていそう。
ただし複数犯の可能性も考慮しておくべき。{/netabare}

※2話感想{netabare}
今回の舞台である銃のVRMMO「ガンゲイル・オンライン(GGO)」の
世界を紹介する回。
話が進まず焦れったくもあるがお陰で大分知る事が出来た。
鉄と荒野の匂いもなかなかイカス!

「リアル」とは言わないがとても魅力のある世界で実に面白そう。
一つ一つの動作が丁寧かつスピーディー、
ガンシューティングの呼吸というか間というのが良く分かっている。
(さばげぶにも爪の垢煎じてあげてくれ!)
盛り上げ所の演出も良く迫力があった。
「そこから落ちるのいくら何でも高すぎるだろ!」とか
「落下中に重ライフルは当たらないぞー!」とか思いつつも
この世界に浸かり見入ってしまった。 この辺りは流石SAO。

キリトも決心した様でこの世界にどう参入していくのか期待が高まる。
{/netabare}

※3話感想{netabare}
シノンの実生活とキリトがや~っと始動した回。

大作の余裕…ありすぎ!?
まず説明書熟読させてからゲームスタートさせられる感じ。
1期みたいにキリトと視聴者が一緒になって放り込まれ
手探りで進む展開が好きだったし
それによって感情移入や物語への入り込みがより深く出来たのに
今期はちょっと視聴者への説明が過ぎる様に感じる。
このまま俯瞰で物語を追わせないで欲しい。…まぁ大丈夫だと思うけどさ。

シノンは精神治療も兼ねている様子。
大会に勝てば治るってのは単なる自己暗示なだけなんだけど
キッカケってそんなモノなのかも。
治って欲しいけど治って感動する程でもないかな。
指向けられただけで不安になるのは困りモノだけど実生活で銃持つ必要ないし
「クララが立った」とは別次元。

銀行(郵便局かな)強盗は何が一番の目当てか忘れちゃってるは
幼女ともみ合いになるはでツッコミ所満載でした。
こんな強盗は居ないだろ流石に…。

メモ{netabare}
被害者=撃たれたアバターとは限らない
看護士さんと握手
シノンの父の死
{/netabare}{/netabare}

※4話感想{netabare}
いよいよGGOの世界へ。
男臭いゲームの中、女性っぽい容姿でスタートするのはまぁ良いけど
ネカマ設定なのはちょっとキモい。
早く身バレして普通に戻って欲しい…というか元々シノンは女だと勘違いしてるのか?
キリトの思い過ごしじゃないの? …別の意味で違う世界に行かないで!

GGOでもキリト無双は健在で早速ゲーム(の中のゲーム)相手に披露。
本当にいつも通りお強いですなぁ。

そして、こちらの世界でも剣で生きていく事を選択した模様。
現実的には無茶なんだけど、銃に剣で挑むのはロマンを感じるし
やはりソードアートなのだから譲れない所でしょう。
(でも大抵この設定の物はB級以下のシナリオになっちゃうんだけどね…。)
戦いではシノンの援護とか連携も見られそうなので楽しみではあるけど
アスナが見たら浮気判定になりそうな気もする…。
{/netabare}

※5話感想{netabare}
いよいよBoB開催。
空白でのエントリーが吉と出るか凶と出るか。
(普通必須項目あるだろ!…とか突っ込むのは野暮?)
男だと早々にバレてオカマちゃん設定が解かれたのは良かったけど
まだ少々、口調がお淑やかな気がするのは気のせい?

試合では当然の如く強さを発揮。
剣で弾を弾くくらいお手のもの。相手の位置も察しちゃいますよ!…ぇ!?
ここまでくるとハンドガンでの牽制の意味があるのかは疑問だけどね。

相手の銃の集弾性の悪さが気になったけど、
ターゲットサークル内でランダムって設定なのでまぁ納得。
それを読んじゃうんだからキリトはやはりハンパない。

試合後はデスガンとの初接触。
怪しさ満点だし、都合良く組織のマークが露わになってて包帯の意味なし!?(笑)
キリトはもう犯人(デスガン)に辿り着いてしまったのか。
…やっぱり、推理要素は期待出来ないかな?
深く考えず娯楽アクションとして楽しむべきかな…って気になって来た。
{/netabare}

※6話感想 {netabare}
ラフィンコフィンとの戦いで負った心の傷がまた開き、
我を失いシノンに対して無気力な試合をしてしまったキリト。

戦いでは神の如き強さのキリトでも精神的にはやはり人の子。
少々「嫌な奴」に映り、ヒーローとしては薄暗いが
こういう面を見せる人間らしさは描けていたと思う。
似たトラウマを持つシノンと気持ちを共有し克服して欲しいわけだけど、
これってリハビリ療法と同じ。
もしかしてGGOを通してリハビリ見せられるのか?と思うと少々冷める。
この作品にはそういう薄暗さは求めていない。

1期の様な爽快感、希望、愛情を押し出す作風と上手く合うかが
評価の分かれ目になりそうかな。

それと、ラフィンコフィンとの回想の入れ方が唐突かつ描写不足で
「取って付けた感」「後付け感」が大きいのが勿体ない。
キリト自身が思い出したのも急なのだろうけど
もう少し前半でも匂わすタイミングはあったと思う。
{/netabare}

※7話感想{netabare}
現実世界でも気持ちを引きずり悩むキリトとシノン。

モヤモヤとした展開だけど試合前のお約束で飛翔前のしゃがみと言う感じ。
それにしてもキリトは周りにも心配かけて罪作りですね。
(ネット廃人なのにリア充ってのは現代人の夢・理想の一つなのかな?)
看護士さんは流石に良いアドバイスでしたが意味深な気もします。
第一印象から訝んでしまっているので過敏になって気にし過ぎてる?

シノンの男友達の方はちょっと邪な雰囲気もあって何か怖いんですけど…大丈夫?

色々な不安を乗せたままいよいよ大会本戦へ!
{/netabare}

※8話感想{netabare}
BoB本戦開始! サバイバル形式ならストーリー的にも汎用性高そうです。
衛星での位置情報把握も今後の試合展開に絡みそうですね。

キリトはデスガンの正体を絞っているけど、プレイヤーと決めつけない方が良い様な気がする。
【予想】{netabare}主催者やハッカーだった方が実際の住所情報を知っていて犯行し易い立場だと思う。
そう考えると住所を書いていないキリトはデスガンに撃たれても死なないのかも…。
{/netabare}
それと、BoBでの中性キャラ気に入っている様子で悪ノリしてますね。
別にいいんだけど、悩みとの落差が激しいから変な感じもしちゃってます。

ペイルライダーさんはアクロバティックな動きのプレイヤーでしたが
こういうスキルがあるならメタルギアでいう雷電スタイルで戦えるって事だよね?
「剣(近接)でも戦える」プレイスタイルがあるってなると
今まで観せてきたの世界観が怪しくなり違和感が出る。
キリトの個性・特別感も落ちてしまいコチラも変な感じが…。
なんだか所々で「変な感じ」を受けてしまった8話でした。

折角出てきたペイルライダーさんこのまま出オチで殺さないで欲しいけど、大ビンチ!?
デスガン撃たないでペイルライダーさん撃って退場させてあげた方が良くないか?
ともかく気になる次回へ!
{/netabare}

※9話感想{netabare}
ペイルライダーさん死んでしまったのかな?
…だとしたら可哀想すぎる。楽しく遊んででキャラ作ってただけだろうにな。

その死が今度はシノンにも迫ってます。
だからプレイヤーだと決めつけるなって言ったのに!(笑)
デスガン自体常識外れなんだから正直に戦いすぎ。
とはいえ何故かシノンは死なない感が強いので意外と安心しています。
もうちょい緊張感も欲しいけど、娯楽活劇としてはこれが正解なんだろうな。
{/netabare}

※10話感想{netabare}
九死に一生を得たシノン。しかし心の古傷に触れ銃への恐怖感が蘇る…。

一話でデスガンがトカレフなのにツッコミ入れてしまいましたが一応伏線でしたね。
ただデスガン=トカレフで無ければシノン一人で窮地を脱せ恐怖心も再発しなかったのか?
とも思えないので伏線としては弱いかなという気はします。

洞窟で慰め励まされるシノン。
世間に事実が公表されてないのに「人殺し」ってイジメられてたの?
いや、それよりも流石に「人殺し」を茶化してイジメないだろ!?
そもそも他人の反応関係なく自身で抱えてるトラウマなんだろ!?
などとツッコんでしまいましたし、
しつこく余計な演出は逆効果で妙に安っぽくなってる気もします。
最後は「一人でも戦う」とか言っちゃう辺り、めんどくさい女だな…
などとも思っちゃいましたが再びトリガーを引けるのか応援&注目していますよ。
{/netabare}

※11話感想{netabare}
洞窟内で推理とそしてアスナ達外野の動向。

前回に続き動きが少なくテンポとしても鈍く感じてしまいます。
犯人も複数というごく普通のトリック、変哲のない所で落ち着きそう。
だとしたら今更だけど警察の初動捜査甘いよね。
薬物注射って事になるとやっぱり看護婦さんが疑わしいかな。

それにしても仮想空間にダイブすると現実での感覚0になっちゃうってのは
改めて恐ろしい…。
もし実際あったら関連する事故や犯罪が凄いだろうな。
{/netabare}

※12話感想{netabare}
いよいよデスガンとの死闘開始。

デスガン達ラフコフはSAO環境の中でPKと殺人の境が判らなくなったのか
それとも実際に殺す感覚に魅入られているのか、イカレちゃってますね。

シノンの援護もありつつ接近戦に持ち込めたキリトですが
相手も剣の達人だったようでまだ激しい闘いになりそうですし
もう一人、敵か味方か(敵だろうけど)謎の人物も居る模様でもう一波乱ありそうです。

ただ、あれを銃剣扱いにしたりペイルライダーの戦い方然り
設定がフリーダムで銃のみの世界観としては崩れている気はします。
結局我慢できずに剣を摘み食いしちゃいましたねぇ
作風と言えば作風なので別に批判ではないですけど
遠慮なく盛り上がる方へと進む展開が実に「らしい」なぁと感じる場面でした。
{/netabare}

※13話感想{netabare}
シノンの牽制もあり、アスナの声援もあり、デスガンを討ったキリト。
(1話のアスナとの手繋ぎはこの為?ちょっとインパクトに欠けるけど…。)

赤目をヒントに名を思い出した訳だけど、
…その前にマスク一緒なら容姿でピンと来るだろ!(笑)
解決に近付きつつあるけど、まだ他にも共犯が居るのが確定して
もう一段底がありそうです。

そして目覚めたシノンを襲う新川君。
彼は前々から不気味でしたがついに本性を露わに…
それにしても何でもベラベラ喋ってくれちゃって、
黙ってイイ人演じてたらまだ脈あったろうにこれで全部ご破算!何がしたいんだか。
キリトはバッチリのタイミングで参上!流石ヒーロー!
アスナの労いもそこそこに直行したんだろうか? 住所把握能力も凄いかも。
{/netabare}

※14話感想{netabare}
「もしもGGOにステータス振り直しアイテムがあれば犯行は起きなかったのか?」
「そこまでのプレイヤーならAGE最強説を自分で作り上げればいいだろ
ステ振り究極論に口出し出来る程のプレイヤーでもないくせに逆恨みしてんじゃねーよ!?」
「ゼクシードから薄塩タラコへ…怨恨殺人から快楽殺人への壁はないのか?」
「更にそこから好意を持つ女性に殺意が向かうものなのか?」
…などなど、観ながら色々と思いが巡ったが、
トドの詰まり動機には全く納得できてないです。新川君狂い過ぎ。

それと、心電電極で助かるってのもC級にも程があるし…。

シノンも恐怖症から立ち直りつつあって美談ハッピーエンドっぽく締めましたが
事件自体の収まりがどうも悪く気分はモヤモヤしちゃってます。

まぁ来週から切り替え!切り替え!
シノンはGGO以外にも登場するのかな?
{/netabare}

※15話はシノン目線での総集編

【GGO編:総評】{netabare}
娯楽アニメとしては楽しめ役割は果たしていると思いますが
今までと比べるとテンポも演出もイマイチで
前期の「キリト頑張れ感」には届かなかったです。

今までに無い漢臭い銃だけの世界観に期待が高まったけど、
シノン&女子ぽいキリトで漢臭さが無くなり、
ペイルライダーの接近戦術&デスガンの銃剣の登場で銃だけの世界観が薄れ
この世界でのキリトの特異性が失われ結局GGOではなくSAOの土俵になっていました。
それでも、バトルが盛り上がって行くのなら不満なく許せたと思うけど
熱くなりきれなかった分冷静に見てしまいました。

また、序盤に集団戦(サバゲー)でこの世界を紹介していたのに、ほぼ個人戦に終始でした。
集団戦術に苦しむキリト&シノン組と言うシチュエーションも観たかったんですけどね…。
キリトVSシノンも決着付けてませんし、もっとこの世界で戦い尽くして欲しかったです。


今回はシノンで感動的なストーリーにしたかったのだろうけど
こちらも引き出しきれなかった印象です。

シノンが引金を再び引ける様になるのも
キリトとの会話で励まされて何となく治っちゃってフワフワ。
ベタでもダイハードの太っちょ黒人警官さん並に演出すれば
良いシーンに出来たと思うんだけどな。

最後の子供の命もシノンが救ったよってシーンも
後からのチョイ足し感が強く感動出来ませんでした。
やるなら序盤であの子供と絡まるなりして伏線作っておけばいいものを。

序中盤で時間をかけてトラウマを紹介していた割に
演出が足らず感動に繋げられなかった様に思います。

事件自体も14話感想の通りモヤモヤしちゃってますしね…。

何だかもうちょっとやれる気がしたGGO編でした。
{/netabare}

※16話感想{netabare}
ALOに戻ってエクスカリバークエストに挑戦!

シノンもちゃっかりと溶け込んでます。移籍かな?GGOと両立してるのかな?
今度はトラウマとか余分なものが無いので気楽にアクションものとして楽しめそう。
ただしNPCが意志を持って勝手に動き始めた気配があるのは気懸かりですね。
{/netabare}

※16~18話【エクスキャリバー編:総評】{netabare}
難しいことを考えず気楽にアクションとパーティ内のやり取りを楽しめました。

ストーリーはシンプルでゲームプレイを観ているような気分。
予想外なのはフレイヤのトール(親父)化ぐらいかな?ちょっと笑えるヒトコマでした。
新たに加わったシノンは垢抜け良い仲間になっていて一安心。スキル的にも既に欠かせない存在。
「エクスキャリバー」という言い方の違和感も彼女とキリトが説明してくれたので
まぁ納得しておきます。

キャリバー編自体は「めでたしめでたし」で締まっていますが
NPCの意志に伴う行動とユイ(AI)が現実世界を知覚した事は今後含みになりそうです。
仮想世界が現実に干渉する…なんて事があるやも!?
{/netabare}

※19話感想{netabare}
果たしてキリトを負かした相手をアスナが斬れるのか?突けるのか?
そして夢の11連撃は手に入るのか!?
今回はアスナ中心のデュエルバトルストーリー。

なんだか既にアスナ向きのスキルだなって気はしちゃうんですが
一応、勝つのか負けるのかハラハラ楽しんで応援しようと思います。

キリトが負けたみたいだけど曰く付きなのは
キリト最強を信じるファンへの配慮なんでしょうかね?
でも、どんな理由なのか何を喋っていたのか気にはなります。
剣道繋がりなのかな?しょーもない理由の予感もしますが…。
まぁ今回も気楽に楽しめそうです。
{/netabare}

※20話感想{netabare}
アスナの家庭事情&いよいよデュエル。

アスナママは絵に描いた様な教育&家柄ママでした…いや、絵なんだけどね。
親からしたら娘の事を想っての事だろうから、
もう少し愛情ある描き方でも…と思うけど完全ヒールでした。
SAOから生還してこれじゃキツイ。そりゃ仮想世界の家も即買いするわ。

そしてデュエルは激しい剣撃の応酬の末、絶剣のお眼鏡に叶い何やらお願いされる事に。
「僕達に」って事は個人的な事では無さそうだけど、
どこかの集落がピンチなのかな?別ゲーに行っちゃうのかな?

アスナの居場所を巡る意外に深い話になりそうですね。
{/netabare}

※21話感想{netabare}
無謀ともいえる1パーティーでのボス狩りに手を貸す事になったアスナ。
ユウキの言葉に後押しされボスとそして母親とも対峙する覚悟を決める。

ボス討伐でアイテムと思い出GET!スキルも継承して貰い、現実ではママを説得という
ルートが見えてきました。

相変わらずママさん悪辣に描かれています。
ママさん弁護する訳じゃないけど、なぜ厳しくするのかという心情もやっぱり描いて欲しい。
このまま自信のプライドだけで(生死の境をさまよっていた)我が子に当たる
ヒドイ親で終わったら物語が浅すぎてガッカリしちゃいそう。
まぁ、作風から綺麗な和解にはなると思うけどね。

次回からは一端現実を置いといて邪魔者排除&ボス討伐アクションが観られそうかな?
アスナの活躍が久々に堪能できそうで楽しみです。
そして最高のタイミングでキリト参上!格好良すぎてこれにはキリトファンも大満足!?
{/netabare}

※22話感想{netabare}
ボス部屋へ突入…そしてボスとの死闘。
全てが良い思い出になりそうだったが何やらユウキが秘密を抱えている様子…。

アクション満載で満足出来ました。
この作品のアクション描写は流石です。ボスの弱点はあからさまでしたが。(笑)

そしてユウキの秘密が少しずつ明らかに。
OPアニメで幼い頃、生き別れた双子でも居るのかな?とは感じていましたが
がっつりアスナと関わっていそうです。
詳細は言いそうで言わずのシンプルな焦らし効果が抜群でまんまと気になっちゃってます。

絶剣編はアクションにばかり目が行き、ストーリーには期待して居なかったけど
思わぬ所でホロリと良い話が拾えそうな気がしてきました。
{/netabare}

※23話感想{netabare}
現実世界のユウキの正体、姿が明らかに。

なんだかこの作品の登場キャラ、現実世界の重い奴がマストになりつつありますね…。

「ユウキ」と言う名やその言動でアスナとの繋がりを感じさせていましたが
実は思い病で動けない子供でした。
更には姉や両親ももう居らず会えないと言う悲しみの詰まった宝箱。
とても悲しいけれど仮想空間では確かに光り輝いていましたよ。

良く良く考えると
「現実諦め過ぎ」「体を世話する人は?」「実は恵まれているじゃん」
「これが安価に実用化されたらMMO上位、寝たきりの老人ばかりになるな」
などなどツッコミ所の多いあり得ない話なんだけど、
倫理的なものも含めて色々と考えさせられる悲しくもイイ話にはなっていたかと思います。

次回はキリトの研究と結びついてちょっと希望のある話になりそうです。
{/netabare}

※24話感想{netabare}
ユウキの登校とアスナの母親説得のお話。

何気ない日常という望みを叶えたユウキ。
何気ない日常を譲らず守ったアスナ。
ほんのりと良い話に仕上がっていました。
二人には限りある今の時間を大切に過ごして欲しいものですね。

ただ設定的には
「ユウキの家族は皆死に別れ」「アスナは母親悪く描かれすぎ」と、
チョットやり過ぎているのでフィクションぽさが強く残ってしまったのも確か。
余計な人物や感情を持ち込まない事で二人の気持ちをシンプルに感じ取れる反面、
一方的、一方通行で気持ちのやり取りや絡み合いが無く
深イイ話に成りきれ無かった様に思います。
ラノベとは言え、もう少し上手く出来たのでは?と思ってしまうのは贅沢でしょうかね?
{/netabare}

※25話感想{netabare}
暫くは楽しい時を過ごすユウキとアスナとその仲間達。
しかし、とうとう命の炎が燃え尽きる時が来る…。

ついにこの時が来てしまいましたが
曖昧にせずちゃんと区切りをつけるラストにしているのは評価できます。

一歩下がって考えるとゲームの中で臨終の時を迎えるってどうなのよ?
という否定してしまう気持ちもあり複雑ですが
作品として観れば感動的で美しいラストでした。

現実世界に肉親や未練のない彼女ならではの最期とは思いますが
とても満たされた最期を迎えられ、これだけ多くの人の心に残れ幸せだったと思います。
{/netabare}

【絶剣編:総評】{netabare}
アスナのデュアルアクション楽しむぞ!と思っていたら
あれよあれよと感動ストーリーになって行き驚かされました。
ツッコミ所や大作故のもっとやれるだろ!?という気持ちなど
何だかんだとありますが満足に足りる内容でした。
ユウキというキャラの生かし方、生き様の見せ方は流石SAOです。
ホントはこれマザーなんちゃら編って言うらしいですが
私の中では絶剣編として生かし続けてあげようと思います。
{/netabare}

【2期全体総評】
流石に1期程のインパクトや後引く魅力には足りていませんが
衰えた印象はなく更に続けていけるだけのものは持ち続けていました。
ご都合主義なのは相変わらずで気に入らない面もありましたが
慣れもあってか前作ほど落胆は少なかったです。
そしてキャラの見せ方魅力の引き出し方等の演出面は流石で
ストーリーが読めてしまっているにも関わらず心を動かすものがありました。
GGO編は不完全燃焼で思う所がありましたが全体的には概ね楽しく観られました。

これぞオススメ!って強く言える程ではなく過度な期待は厳禁ですが
万人受けする要素は持っていてアニメファンなら楽しめますので観ておいて良いかと。
何だかんだ言いつつもいつかまた続きが観られる日を楽しみにしています。
…エンタメ性は認めているので星評価はやはり高くなってしまいますね…。

投稿 : 2024/04/20
♥ : 91

scandalsho さんの感想・評価

★★★★★ 5.0

スクルドさん!連絡先を~!

SAOの第2期になります。

【ファントムバレット編】
シノンさんが登場する話。
シノンさん可愛い!
SAO時代のラフィンコフィンのくだりが少ししつこく感じた。大事な話なんだろうけど・・・。

【キャリバー編】
シノンさんを加えたパーティーでクエする話。
個人的に、普通にクエする話を見てみたかったので、すごく面白かった。

【マザーズロザリオ編】
アスナが主役の話。
最後は涙なくしては見られない。
すごく面白かった。

ラノベ原作主人公最強系アニメの代表格の一つとして皆さんにも安心しておすすめできる作品です。

投稿 : 2024/04/20
♥ : 82

88.3 14 シリアスで友情なアニメランキング14位
ココロコネクト(TVアニメ動画)

2012年夏アニメ
★★★★☆ 3.9 (4672)
22221人が棚に入れました
私立山星高校文化研究部内で次々と起こる実際ではあり得ない不思議な現象、<ふうせんかずら>による謎の企み、それにより主人公八重樫太一をはじめ永瀬、稲葉、桐山、青木の友情が成長していく。

声優・キャラクター
水島大宙、沢城みゆき、豊崎愛生、金元寿子、寺島拓篤、伊藤静、藤原啓治、大亀あすか、佐倉綾音、田中敦子、小野友樹、石原夏織、上坂すみれ、内田真礼、戸松遥
ネタバレ

takumi@ さんの感想・評価

★★★★★ 4.2

<17話まで視聴完了> ミチランダムに見たむき出しの感情

<14話~17話 ミチランダム>

心の声というものは、他人には聞こえない。
表情でなんとなく本音がわかる場合もあるけれど
大抵は皆、表には出さない部分があるもので。
それは嘘というものばかりじゃなく、思いやりからだったり
気遣いから来るものなわけだけれど、度が過ぎるとキャラを
演じてるようになってしまう人も出てきたりする。

見せたい自分、相手に求められてる自分を演じきる。
それは時に必要な場面もあるけれど、実際疲れる。
理想と現実、表の自分と裏の自分の距離があればあるほど苦しむ。
もっと、自分の思うままに行動できて、ものが言えたら・・
「ミチランダム」の今回の4話はなかなか濃くて良かったと思う。
登場人物それぞれの心理描写、心の変化、本音むき出しの激しい感情が
ものすごく伝わってきて、リアルだった。

人の本質なんて、本当は自分でさえ気づけてない部分が
あったりするのだよね。
あけすけに何でも言っていいわけじゃないし、時には気遣いも必要。
それでも、できるだけ本音で何でも話し合える友達がいたら
それはとても幸せなことだと思うし、そういう相手は大切にしたい。

伊織中心の今回の話だったが、デレ稲葉も相変わらず可愛かったし
太一の小悪魔風味な妹なんかも面白かった。

ところで・・この作品、まだ続くの?
最終回なのか、なんなのか・・・
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<13話の感想>

14話からはミチランダムが配信という形で始まるようだが
TV版の最終回は観終えたので、一旦区切ろうと思う。
っていうかさ、なんでこのカコランダムを最後に持ってきたかな。
これ、順序変えたほうがもっと爽やかに感動して終われたんじゃないかなぁ?
例えば、カコランダムは「ヒトランダム」のあとに持ってきて
{netabare}
「キズランダム」の稲葉の告白で終わらせたほうが最終回らしく
また、次の「ミチランダム」に繋げやすかったんじゃないの?
まぁでも、伊織の家庭の問題解決が5人の絆を深めることにもなるし
フウセンカズラとの兼ね合いもあるから仕方ないのだろうけれどね。
{/netabare}
でも今回のカコランダムの後にどうせまたミチランダムがくるなら
って、正直思ってしまった。

それだけ、出だしが良くて期待していたからね。
毎回、いろいろ感じさせてくれるストーリーだったし、
彼らのフレッシュな魅力と、さまざまな経験を経て培われていく友情が
観ていてとても好感持てたので。

今回、すごく共感できたのは「どんな過去であっても否定しない」ってこと。
いろいろな過去が人それぞれあって、時には辛かったとしても
それらがあって今現在の自分があるわけで。
過去を否定してしまったら、自分を否定してしまうし
過去をないものにしてしまったら、自分を消去してしまうことになる。
もし、やり直しができる能力をもらったとしても、それでは
せっかくの経験と学習が泡になってしまう。
{netabare}
だから今のままでいい、って決心した伊織は清々しかった。
{/netabare}

そこには、仲間達との強い絆で結ばれた自信が伺えた。

喜び、哀しみ、愛しさ、せつなさ・・それらを経験して
時には激しく衝突し、時にはやさしく労わりながら
お互いを理解しあってきた彼らは、1人1人がすごく成長できたと思う。

辛い部分もあるけれど、100%目をそむけて逃げるのじゃなく
立ち向かうことも必要で、だけどそこで大事なのは・・・
一人だけで何でも背負って解決しようとしないこと。
仲間を頼りにしたっていいのだ、困った時は甘えたっていいのだ。
そんなことを考えながら観て、自分にも言い聞かせていた最終回だった。
-------------------------------------
<12話の感想>

今回は青木と唯がメインのお話。
時間退行している間の過去をリアルに見ることで
部員たちそれぞれが理解を深めていくとともに
本人もまた、内面的に成長があるようで。
過去にさかのぼって、その時の自分に会えたら忠告したいと
思うことが時々あるけれど、なんとなくそれに近い感覚。

誰にでもターニングポイントとなった時期が過去にいくつも
あって、でもそれを乗り越えることで強くなったり
今の自分に自信を持てるようになるのだよね。
今回のカコランダムはそれをみんなで共有して
記憶していくことに意義があるのだろうな。

さて太一は次週どうなるか?最終回だったかな?
見逃せません。
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<11話の感想>

今回からは時間退行が始まってしまったようで。
太一以外のメンバーはそれぞれ11歳の頃だったり6歳の頃だったりと
さまざまな何らかの意味がある時期に一定の時間帯だけ退行する。
彼らはその頃の想いや出来事を思い出し、高校生の今とは違う何かに
気づいていっている様子。
しかし太一だけは「ナイト」としての役目があるということで
時間退行体験はない模様。さてこの「ナイト」とは?
当然、彼の今までを見ればわかるけれど、自己犠牲的な性格を
最大限に利用することで、また利用せざるを得ない中で
太一自身にとっても何らかの気づきになるのかも。
それにしても、幼くなった稲葉や伊織たちが可愛かったーw
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<10話の感想>

観ていた日の個人的な気​分と稲葉が重なってしまって、
彼女と同じくらい泣いてしまった。
タイミングよく伊織に欲望開放が起きたからというのもあるけれど、
稲葉に叫ぶようにして言い放った言葉の数々は、自分の心にも突き刺さって。
だけどそれは不愉快じゃなく、むしろすごく嬉しい言葉で。

人には長所も短所もある、大好きな部分もあれば嫌いな部分もある。
でも、ひとまず全部通してその人を受け止め、受け入れる。
それは「ほんとうの友達」として認めるということ。
たとえ恋敵になったとしたって正々堂々と取り合う。
どちらが勝とうが、そんなことで自分達の友情は壊れない。
そう言い切ってくれる鮮やかで熱い友情は、見ていて心地良いし
とても共感できる。

言いたいことを友達に言う以上に、
相手が言いたいことをこの胸に受け止めることのほうが
ずっと深く友情を感じるものなのだなと、あらためて感動した。
幼い子どものように泣きじゃくったり、嬉しそうに笑ったり
そんな稲葉の表情豊かな部分が初めて観れたのも良かった。

伊織もすごくいい子だけれど、さて・・今後の展開はどうなるのかな?
すごく気になる~
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<9話の感想>

そっかーイナバーンの大事な話は次週に持ち越しかー
まぁ観ているこちらは、もう薄々気づいているのだけど。
彼女の葛藤、視線が痛いほどよくわかる。
次週が今からとても楽しみ。

人は誰もみな、望んでいなくとも傷つけあってしまうことが多くて。
そこで亀裂が深く入ったままなら、友情もそこまで。
でも、傷つけられたり傷つけてしまった経験は、人を学習させ成長させる。
それまでどんなに長いこと閉じこもっていたとしても、
ひとりだけではどうにもならない問題もあるからね・・

この作品は、高校生達のフレッシュな日々と暗鬱とした想いとの
ギャップをリアルに見せながら、心開くとはどういうことか、
真の友情とはなんなのかを伝えているような気がしている。
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<8話の感想>

人は誰しも、誰かを傷つけてしまうもの・・なのかも。
傷つけあうことを恐れていては前に進めない。
傷つけられた時以上に、相手を傷つけてしまった時のほうが
ほんとうは絶望感って大きかったりするよね。
そんなことを想いながらの今回のお話。
まずは視野を広げようじゃないかと。
一番大切なものは何か、自分はどうしたいのか?
目先のことに惑わされずに、見極めることが肝心。
{netabare}
一旦、5人はバラバラになってしまったかに見えるけれど
それは今後の結束を高めるための第一歩になるんじゃないかな?
{/netabare}

今回は特に学級委員がいい仕事してた(笑)
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<7話の感想>

相変わらずテーマがブレることなく、深い。
精神医学的な分野からじっくり考察してみたくなるけれど
それは最終回が終了して、私に余裕があったらにしようと思う。
今回は欲望開放というより、衝動開放って感じだったかな。
抑えきれない衝動を吐き出す、普段は理性で抑えることが
できている言葉を、言い換えることなく素のままぶつけてしまう。

{netabare}
結果的に本人は、心が開放されるからスッと落ち着けるものの、
一度口に出した言葉は新たな傷を生み出すし、記憶はそう簡単に
消えてくれはしないから。
でも、彼らにとって唯一の救いは、これが「ふうせんかずら」の仕業である
ってことがわかりあえていること。
責任の所在がハッキリしているから、彼らは結束していられる。
でも、そろそろ大きなシャッフルが出てきてもいい頃かもね、物語的には。
{/netabare}
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<6話の感想>

おぉ・・やっぱり再び登場したか、ふうせんかずら。
今度の現象もなかなか厄介ながら深いところを突いてくるよね。
人の心には必ずといっていいほど、何らかの傷や劣等感があるわけで。
表面では取り繕っているものの、一人になった時
それらはある日突然芽を出し始める。
特に表と内側の差が激しい稲葉や永瀬は危なそう。
ますます次回が見逃せなくなってきたわ。
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<5話の感想>

今回は、いろんな意味でとにかく必見。
後半、うるうるきてしまったけれど、ふうせんかずら・・
アンタ何者なんだ!?
{netabare}
どうやら1話から続いていた人格入れ替わり現象はこれで一段落?
{/netabare}
でも、まだまだ別の現象が起きて、彼らの心をかき乱したりするのかな。
けど、悪いことばかりじゃなく、何かしらそういった体験で
得るものがあるってことに気づいていく彼らなのかもね。
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<1話~4話までの感想>

横浜を舞台に、私立高校文化研究部の部員5人に次々と起こる不思議な現象。
例えば、AさんとBさんの人格が入れ替わって大騒ぎしているとすぐ戻ったり。
今度はCさんとBさんDさん、3人の人格が入れ替わったり。
外見だけは変わらないまま中身が変わるというと、だいぶ昔に
大林監督が撮った小林聡美、尾美としのり主演の映画『同級生』を
思い出さずにいられなかった。

まだ思春期を卒業していない年頃の男女が入れ替わってしまうって
もうそれだけでセンセーショナルなわけで。
まずは膨らんだ胸を触ってみたり、トイレに駆け込もうと、
女子生徒の姿のまま男子トイレに蟹股で飛び込んでみたりと
描写もなかなかリアル。

そしてどうやら、この物語の見どころは、
1人1人中身を入れ替わってみることで、相手の家庭の事情を知ったり、
トラウマに気づかされたり、今まで表面には見せずにいたそれぞれの
悩みが暴露されていくことにより、それらを部員たちが知って
以前よりいっそう理解を深め合おうとする姿なのかもしれない。

テーマとしてはサイコサスペンスっぽくも演出できる内容だけれど、
OP曲からして朗らかに明るいのも、深く考えれば考えるほど
どっちなんだろう?と気になってくるし、まだもう少し観ないと先が読めない。
そして当然、それが楽しみでもある。

とにかく、5人の人物背景がとても興味深い。

【八重樫太一】
{netabare}
プロレス好きの理由は「受け身の美学」と言う主人公=八重樫太一。
天然で、正直で、生真面目で、困っている人や苦しんでいる人を
助けずにいられない性格で、しかも代わりに自分がその痛みを
背負おえばいいと思ってしまうような面がある。
観ていてこの太一が自分と性格が被る部分があるので
女の子から「自己犠牲野郎」などと呼ばれるとズキンっときてしまう(苦笑)
彼の今後の課題は、「自分」の本音をさらけ出すことかもしれない。
{/netabare}


【永瀬伊織】
{netabare}
なんと母親が次々に夫を代えるものだから、父親になった人が何人もいるという。
さまざまな父親という他人と接する間に、相手に求められているものを即座に
察知する能力が備わり、演技してしまう癖が抜けずにいる。
そのため「自分」がなくなってしまっていることが悩みの種。
学校でもハイテンションな振る舞いをしているが、自宅で1人の時の彼女を
観た感じ、太一ととても似たもの同士な雰囲気がある。
{/netabare}


【稲葉姫子】
{netabare}
歯に衣着せぬ物言いで、ズバズバなのは観てて楽しいけれど、
こういう人間こそ、本当は深い闇があったりするもので。
メンバーの中で一番クールで大人びた印象。言葉遣いは男っぽく、
やや乱暴な感じもするが、感受性は人一倍強いように感じる。
そう思っていたら案の定、4話で「人間不信」が発覚した。
それでも、彼女みたいな人は周囲の人間との交流次第で大きく化けるはず。
付き合い方は難しいが、じっくり腰をすえて縺れた糸をほぐしていきつつ、
ある程度の距離感は必要なんだろうな。。と思う。
{/netabare}


【桐山 唯】
{netabare}
メンバーの女子の中では、一番女子力が強そうでいて、実は男性恐怖症。
空手を習っていたりもしたが、やめた原因も男性恐怖症になった原因も
同じところにあるというが、太一のおかげで徐々に立ち直りつつある感じ。
{/netabare}


【青木義文】
{netabare}
今で言う少しチャらい感じの印象を持つ男子だが、実際は心優しい人であり。
こういう男子ってけっこう純粋で繊細で、一途だったりするのだよね。
ただ、表現方法的に不器用なだけ(笑)
一昔前だと体育会系もこんな感じだよね。
{/netabare}

投稿 : 2024/04/20
♥ : 129
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てけ さんの感想・評価

★★★★★ 4.5

これからの人生にヒントをくれるテーマ

原作未読。

文化研究部の5人の元に、「ふうせんかずら」と名乗る人物が現れる。
ふうせんかずらの力で、5人の感情を混乱させる不可解な現象が発生。

・人格入れ替わり
・欲望解放
・時間退行
・感情伝導

どうやってそれに対処していくかが描かれる。


人間の心理を扱った珍しい作品。
かなり挑戦的な内容で、人間の心に詳しくないと描けません。
もちろん、細かく見れば穴はたくさんあったと思います。
しかし、ざっくりと表現されつつも、メッセージは十分に伝わってきました。


テーマは読んで字のごとく、「心」と「つながり」。

・本来持っている自分を知る
・感情の変化へ対処する
・時と場所で性格を使い分ける
・自分が本当に望んでいることを見つける

どれも成長していくうえで大事な要素です。
そのあたりのポイントをしっかり押さえています。


このアニメには、ユニークな5人のキャラが登場します。
私にはそれぞれが「人が持っている性格の一部分」に感じられました。
「性格」というのはどの部分が強く出ているかの違いでしかないのかもしれません。


「その場をうまくやりすごすために、自分を演じる」というセリフがあります。
いわゆる仮面です。

こうやって仮面を被って生きていくことは、社会生活を営むうえで必要不可欠です。
その切り替えが多く発生するほど、本来の自分を見失ってしまいます。
本当の自分を見つけるというのは並大抵のことはありません。
探すだけでも相当なエネルギーを消費します。
{netabare}
ただでさえ仮面をかぶり続けてきた永瀬伊織。
14~17話で、永瀬伊織はエネルギーを完全に使い果たしました。
それを支えてくれたのが周りの仲間たち。
{/netabare}
ですから、自分を客観視してくれる人を見つけるのが理想的です。
そうすれば、自分を見失ってしまったときに助けになります。

まあ、実際には人間の心は簡単に変化しません。
周りの力を借りながら、ゆっくりと変化していくものです。

……ですが、そんな悠長に描いていたら一生かかります。
コンパクトにせざるを得ないのは仕方がないところです。

そこでふうせんかずらの出番というわけです。

ふうせんかずらの学名は「Cardiospermum halicacabum」です。
ギリシャ語の「cardia(心臓)」と「sperma(種子)」からきています。
種がハート型をしているためです。
英語では「heart seed」とも。

ふうせんかずらは、人の心に介入して成長を強引にうながす。
そんなココロの種の役割を果たしているんですね。


17話まで見終わって私の性格をキャラで分析してみました。
{netabare}
八重樫太一:6
青木義文:3
桐山唯:3
永瀬伊織:10
稲葉姫子:2
ふうせんかずら:8

伊織の「仮面をかぶり続けてきた」「ためにためまくっていきなりぶちきれる」。
これ、少し前の私にそっくりなんです。
しかも、「今までの自分があるからこそ、今の自分、そして今の仲間がいる」「過去に戻ってやりなおせるとしても、戻るつもりはない」という信念まで一緒です。
ミチランダムでは、伊織に感情移入しっぱなしでした。
人間観察や感情のコントロールが好きなところは、ふうせんかずらに似ています。
自己犠牲野郎な部分は、太一に似ていますね。
{/netabare}
こんな私ですが、これからもよろしくお願いしますm(_ _)m

投稿 : 2024/04/20
♥ : 118
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逢駆 さんの感想・評価

★★★★★ 4.1

~異路同帰~

平穏が崩れたその時、五人の関係は形を変える―――――


八重樫太一・永瀬伊織・稲葉姫子・桐山唯・青木義文の5人に起こる不思議な現象の数々。
異常現象によって文研部メンバーが抱える様々なトラウマや苦悩が浮き彫りになっていく…。
文研部5人の心の傷を、ときにコミカルに、ときにシリアスに描いた『愛と青春の五角形コメディ』

この作品で最も感心し驚かされたのが、主要キャラ5人を演じる声優陣の力です。
なぜならヒトランダムでは自分が演じるべきキャラクターはもちろんのこと、
他に4人分の役柄を演じ分けなければなりません。
それは人物ごとの話し方の癖であったり語尾のニュアンスであったり…。
視聴者に誰と誰が入れ替わったかを認識させることはとても難しいことです。
と同時に本作のような入れ替わりものが成功する大きなファクターでもあると思います。
そこを見事に表現していた職人芸には舌を巻きました。
キズランダムやカコランダムにおいても素晴らしい演技の数々に魅せられました。

◆ヒトランダム
{netabare}
『視点の転換が、悩みを解決へと導く』

文研部のメンバーが最初に体験した現象、それは「人格入れ替わり」
これによって自分の秘密を知られたり、また相手の秘密を知ってしまう危険が出てきます。
実際、唯、稲葉、伊織の3人は自らのトラウマを他人に知られてしまいました。
しかしこの現象のおかげで結果的にトラウマは解決する方向へ。
なぜなら3人とも悩みを一人で抱え込んでいたからです。
自分にとっては深刻なことのように思えても、周りからすれば案外大したことないかもしれません。
別の視点から見ることによって逆転の発想で悩みは解決できるかもしれない。
ひとりで悩まずに周りの仲間を信頼して相談することの大切さが描かれていました。
「人格入れ替わり」を体験したことによって、文研部の5人はより絆を深めていきます。
{/netabare}


◆キズランダム
{netabare}
 『相手を本当に理解したければ、傷つくことを怖れず真正面からぶつかり合え』

次に文研部メンバーを襲ったのは「欲望解放」
普段は自制している感情が抑えきれなくなるというまたやっかいな現象です。
それぞれが別の方法で文研部の関係性を維持しようとし、余計に亀裂が深まっていきます。
しかし今回は文研部という小さな枠の外にいる人達の意見によって解決への糸口が見えました。
他人の気持ちを完全に理解することなんてできない。
それでも私たちは他人の気持ちを自分の理解に当てはめようとする。
だから人は傷つき、傷つけ合ってしまう。
でもそれを恐れていては何も始まらないし何も進まない。
「ぶつかり合わないと、なかなか本当の友達にはなれないもんだしな」
キズランダムのMVPは間違いなく、藤島さんとごっさんです!
{/netabare}


◆カコランダム
{netabare}
 『昨日から学び、今日を生き、明日へ期待しよう』

今回は、12時から17時までのあいだ太一以外の4人がランダムに年齢が退行するという「時間退行」
この現象のポイントは、退行時は記憶も当時のものとなり
さらに退行が終わっても変化していた当時の記憶が鮮明に思い出されるということ。
それは心に閉まっていたはずのトラウマや後悔が再び蘇ってくるということでもあります。
昔好きだった人と唯を重ねて見てたのではないかと悩んでいた青木でしたが、
持ち前の行動力のおかげで自分の気持ちを整理することができました。
今を変えれば過去も変わる。
失敗した自分や後悔した自分、その全ての過去の自分を肯定して今を生きる。
今ある悩みの原因は決して過去にはありません。
一歩一歩しっかりと前に進むことによって、きっと未来も変わってくると思います。
{/netabare}


◆ミチランダム
{netabare}
 『自分らしくある必要なんてない、“らしさ”は後からついてくる』

感情が口に出さなくても他の人に伝わってしまう現象、「感情伝導」
想いが伝わらなくて苦悩することが一般的には多いですが、
この現象では想いが伝わってしまうからこそ生じる苦悩が伊織を中心として描かれていました。
伊織は周りに期待される自分と本当の自分とのギャップに悩み心を閉ざしてしまいます。
周囲に望まれる自分を演じ続けることはとても辛いことです。
ありのままの自分では自信がなくて、他人の目が気になって…
でもそうしないと彼女は自分の居場所を見出すことができませんでした。
しかし本当の伊織を知ってもなお、彼女を受けとめてくれた文研部メンバー。
彼女を信じ、肯定してくれる仲間がいた。
これから伊織は少しずつ自分自身と向き合い、認めてあげる勇気を持つことだと思います。
ありのままの自分を肯定してくれる場所がある、それはとっても幸せなことですね。
{/netabare}



本作のテーマとしてどのエピソードにも共通して言えることは、
「悩みは一人で抱え込まないで、勇気を持って周りに相談することが大切だ」ということ。
その部分はしっかりと伝わってきました。しかしワンパターンな展開だったことは否めないです。
他の作品では徐々に登場人物のトラウマや葛藤が明らかになっていくのに対し、
本作はその部分が〈ふうせんかずら〉によって無理やり引っ張り出されます。
これにより物語をコンパクトに収めることができた反面、主題が全面に押し出されすぎた感じが…。
とは言いつつも、全体的には楽しく観ることができました。
〈ふうせんかずら〉という存在に違和感を覚える方もいるかもしれませんが、
そこを許容できれば意外と深いテーマに考えさせられ、入り込めるのではないでしょうか。

投稿 : 2024/04/20
♥ : 85

86.3 15 シリアスで友情なアニメランキング15位
東京喰種(TVアニメ動画)

2014年夏アニメ
★★★★☆ 3.9 (2768)
15601人が棚に入れました
人間世界に紛れ込み、人を喰らう正体不明の怪人・喰種が蔓延る東京。ある青年「カネキ」は喰種に襲われ瀕死となるが、喰種の臓器を移植されたことで、半喰種となってしまう。それ以来、カネキは苦悩と恐怖に満ちた日々を送ることになる―――・

監督に本年度米アカデミー賞ノミネートの森田修平を迎え、前代未聞のスタッフ陣によって彩られる「東京喰種」の新たな世界に乞うご期待!

声優・キャラクター
花江夏樹、雨宮天、花澤香菜、宮野真守、菅生隆之、諸星すみれ、小西克幸、中村悠一、豊永利行、浅沼晋太郎、櫻井孝宏、伊藤健太郎、梶裕貴、浪川大輔、速水奨、立花慎之介、津田健次郎、土井美加、仲野裕、釘宮理恵
ネタバレ

れんげ さんの感想・評価

★★★★★ 4.1

おし…え…てよ おしぃえ…てよ…、この…魅力を…。。。

2014年7月放送。
全12話。


【前置き】

ヤングジャンプで連載されている人気漫画のアニメ化ということで、放送前から話題になっていた作品でしたね。
原作未読の私としては、知名度の高い人気漫画なだけに差異の生じかねないうメディアミックスから入ることに少々躊躇いはあったものの、
「アニメだし、実写よりはキッチリ原作再現してくれるでしょ!」
という淡い期待の元、視聴しました。

さて、結果としてこの選択は正しかったのでしょうか…。
おし…え…てよ、おしぃえ…てよ…。



【あらすじ】

人間世界に紛れ込み、人を喰らう正体不明の怪人『喰種(グール)』が蔓延る東京。

平凡な大学生『金木 研(かねき けん)』は、好意を寄せていた少女『リゼ』との初デートで、彼女が喰種であることを知ります。
襲われ瀕死の重傷を負った金木ですが、直後にリゼが鉄骨落下事故に巻き込まれ即死状態となるのでした。

病院に搬送された後、医師の判断で金木に喰種であるリゼの臓器を移植したことで、彼は『半喰種』となってしまいます。
それ以来、金木の人間と喰種との間で揺れ動く苦悩と恐怖に満ちた日々が始まります…。


※※※
『カニバリズム(食肉の風習)』を表現する作品は、どうしても内容を説明するに辺り視覚的なグロテスク描写を含みます。
こちらに関しては、ホント人それぞれの許容量の問題なので、見る前に御自身で御判断下さい。



【語ってみる】
{netabare}
まず、見る前と見た後では内容のギャップに驚きましたね。
『半喰種』という主人公の立ち位置も魅力的でしたが、喰種の持つ「赫子(かぐね)」と呼ばれる背中から出る捕食器官に関しては、異能バトルをする上での特殊能力そのものに思えましたので。
しっかり、ヤングジャンプの層をとらえた、バトルを想定した作品だったわけですね。
徹底的に人を喰う葛藤を重厚に描き抜いてくれるのかと思っていたので、そこは少~し残念な気もしましたが…、まぁ売れないよねそれじゃ…。


まず第一話での、その衝撃的展開を彩る作画の気合いの入りようには驚きましたね。
中盤のバトルは、前半と終盤に比べると少し息切れした感もありましたが、それでも常に一定以上のクオリティーを維持したように思います。
ただ、その内容からTV放送にあたっては黒塗りで表現された部分が圧倒的に多く、内容ありきのグロが魅力の一つであろう本作にとっては、残念で仕方ありませんでしたね。
絶妙な隠し具合で、何がどうなっているかは理解出来ない程ではないので、話についていけなくなることはありませんでしたが。

演出面において記憶に残ったのは、オープニング曲「unravel」の絶妙なかかり具合でしたね。
第1話の終わり、そして最終話での終わりでもそうでしたが、あの「おし…え…てよ、おしぃえ…てよ…」から始まる歌詞は勿論、凛として時雨ボーカルのか細い声色の演出が、作中の金木君の内心と非常にマッチングしており、まさに主題歌と呼ぶに相応しい曲だったのではないでしょうか。
曲としてはエンディング曲の「聖者たち」の方が好きですが、アニメ版「東京喰種トーキョーグール」と言えば、この「unravel」ナシでは語れないとさえ思いました。



ただ、そのストーリー展開としては、まさに目まぐるしいと表現するのが一番正しかったように思います。
原作ファンの方は特に声を大にして訴えていたようでしたが、原作の丁寧な感情描写をスッパ抜いて展開が早過ぎるといった具合だったようで…。

原作未読の私からすると、毎回衝撃的な展開が続きヒキも非常に上手いので、毎週見たくはなりました。
ですが、最終話まで見て結果的に面白かったかと問われると、少し疑問が残ります。
なんというか、キャラクターを好きになるタイミングが掴みづらかったといった感じでしょうか…。

本作に限っては、原作漫画を先に見た方が良かったのもしれませんね…。
だとするとアニメ版の本作に、更に不満を言いたくなったのかもしれませんが…。
ストーリーとしては、ある程度魅力的なのは自分の中では間違いなく、それぞれのキャラクターの葛藤も片手間では見れない吸引力がありましたので、いつかゆっくり原作を熟読したいと思います。


人物の葛藤の中でも、とりわけ記憶に焼きついたのは、喰種でありながら平和に暮らしていた母娘

『笛口(ふえぐち) リョーコ』(←美人)と『笛口 雛実(ふえぐち ひなみ)』(←可愛い)

でしたね。
いや…決して双方見映えが良いからとか、そういう邪な気持ちが働いたワケではなく…。

喰種だからと言って、誰もが好きで人を襲って食しているわけじゃないんですね…。
ただ…人間の言う美味しいものを食べても、全く喉を通らない…、吐き出してしまう…。
そういう風に生まれてしまったばっかりに人目を避けなければならず、娘(←可愛い)を小学校にも行かせてやれない母親(←美人)の気持ち。
何も悪いことをしていないその彼女達(←美人母娘)は、人間が組織した喰種対策局により、一方的な制裁を受けることになります。

社会としては喰種は全員駆逐すべきという考えが一般的なようですが、それでもそういった喰種もいるのだと世論が学んだ時、この社会が考えを改める機会がくると良いですね。
決して邪な気持ちによる同情とかではなく。

作中でも、人間と喰種の対比の表現として、ヒロインの『霧嶋 董香(きりしま とうか)』がこう言う場面がありました。

『ねぇ、ケーキっと本当はどんな味なの?

 吐くほど不味いから分かんないんだけどさ、アレ…人間は美味しそうに食べるじゃない。』

「自分がもしそうなってしまったらどうする?」という問題提起を孕んだ本作。
この状況で主人公のように、目の前にある食肉に手を伸ばす自分を律せられるような『人を見失わない人』は、果たしてどれくらいいるのでしょうか…。
平和に暮らしても殺されるかもしれない、この世界で………。



作中で金木は、「あんていく」と呼ばれる初老の喰種が営む喫茶店に身をおき、以降生活をしていきます。
自殺者等を回収し、比較的罪を犯さず食肉を得られる環境を整えた本店は、この区での喰種の生活の支えとなっていたんですね。
当初は「自殺者の数だけで何人も十分に養えるの?」なんて考えておりましたが、日本の自殺者数や行方不明者数を換算して都心部の人口で割り当てた場合、結構まかり通る数なのだそうで…。
日本コワイ…。

金木はそこで、臓器を移植した大喰いの喰種『リゼ』の片鱗を見せながらも、喰種として少しずつ生活に馴染みをみせ始めるのですが…。
喰種対策局や別の区の喰種が、その生活を脅かします。

そして最終話、カタの外れた喰種による度重なる拷問で、『人を見失わない人』であった金木も、遂に『リゼ』の心に耳を傾けるのです。


『間違っているのは僕じゃない、

 間違っているのは…、この世界だ!』


『それでいいのよ金木君…、生きるというのは他者を喰らうこと…。』


ここから白髮と化した金木が魅せた、これまたカタの外れた…というより足首の骨を外した圧倒的な戦闘能力は、気合十分の作画も含めて物語のターニングポイントに感じ惹きつけられましたね。
そこから何の後日談も予告も無く終わってしまうのもこれまた衝撃的でしたが、まぁ…2期はしてくれるでしょうし、ゆっくり通知を待とうと思います。
{/netabare}



【人を喰ったような発言を繰り返す、美食家月山の魅力】
{netabare}
さて、急速な場面展開からも今ひとつ心象に欠けるキャラクターが多い中、それでもやはり異彩を放つ奴が一人。
それが、喰種対策局から「美食家(グルメ)」と呼称される『月山 習(つきやま しゅう)』でしたね。
はぁ…どーしてまたこういうキャラ好きになっちゃうかなぁ…。。。
でも、原作者の石田スイ先生も彼がお気に入りだとか…。
ですよねぇ、キャラの当て方に愛が感じられますもの。

はてさて、そんな月山という男。
見た感じはモデルを思わせる端正な顔立ちで、言葉の節々に英語や音楽用語を用い艶めかしく話すキャラクターです。
呼称としては他にも「20区の厄介モン」「気持ち悪いキザ野郎」「(ストレートに)変態」等多数。
うん、やっぱり愛を感じます。(愛の表し方は、人それぞれです。)


実際、彼は金木君に共通の話題である本を用いて近付くのですが、その本心はまさに彼を食すことであり、彼の血が付いたハンカチーフを鼻に擦りつけて


『柔らかな甘みと、芳醇なハーモニー。

 ああああああぁぁぁ、新しいごちそうの発見はっ!

 人の幸福にとって、星の発見以上のものだ!!!』


と迷言を吐き散らす、まさに変態野郎でしたね。
声を担当された「宮野真守さん」はまさにハマリ役で、「DEATH NOTEの夜神月」等の冷静沈着タイプから「STEINS;GATEの鳳凰院 凶真」といった厨二病キャラまで突き抜けてこなせる宮野さんだからこそ、存分に魅力を見出せたように感じました。


第5話で月山は、金木君をどうやって食べようかと試行錯誤した末、

『金木くぅんンがっ!! 食べながら

 金木くぅんうおっ!! 食べたい!!!』

という奇想天外な発想に辿り着き、人質をとって彼に迫ります。
ここで金木君から「変態」発言が飛び出るのですが、彼は侵害だと返しながらも「そうさせたのは君なのだから責任をとれ」と責任転嫁する天晴ぶり。
中の人繋がりで言うと、まさに「駄目だこいつ…、早くなんとかしないと…」状態でしたね。

ただ、実際に董香が割って入り彼を制止するも、「美食家」を名乗るだけあって良い物ばかりを食してきた月山は、食事が戦闘能力に直結する喰種の中でも、抜群の実力を持っていました。
そこで奇策として、董香が金木を食すことになるのですが、それを見た月山の

『僕のだぞっっ!!!』

発言には、シリアスな場面展開にもかかわらず笑ってしまいましたよ。
きっとそういう方も多いのではないでしょうか。


そんな彼も、金木くんが攫われた終盤では、

『アモーレ!! heartbreak…。

 無二の友人である金木君が…、ワケの分からない連中の手によって危険な目にあってるなんて…

 No kidding!!』

と言い放ち、「あんていく」と共に、彼を助けに?向かいます。
この月山が本作において、こういう味方とも敵とも呼べない立ち位置のキャラになったわけですね、にくい構成でした。
彼の言動を全て「お前が言うな!」で収めてしまうのは簡単ですが、皆さんもどうか彼を温かい目で見て愛でてみませんか?


そうそう、少し余談となりますが。
TV放送のCMを飛ばさない方はご存知かと思いますが、金木君と月山が行なうBlu-rayの販促CMは面白かったですね。

金木「月山さん、イベント抽選券付きBlu-rayが発売ですよ!」

月山「チュレェヴィアアアアァン!!

   イベントと言うことは、皆に祝福されながら、僕達が一緒になる日が遂にやってくるんだね!!?」

金木「人を喰ったような発言はやめて下さい…。」

最期の金木君の冷静なツッコミが良いですね。
これが聴きたくてCMは毎回飛ばしませんでしたよ、私は。
{/netabare}



【総評】

作品として魅力に感じる部分は大いにありましたが、その原作をアニメで100%活かしきれなかったように感じます。
原作未読の私から見ても、全12話で表現しようとするシナリオ構成の幅に、若干無理が掛かったように見受けられました。

それでも、内容として手を抜いた作品では決して無く、演出面にも秀でておりグイグイ見させるだけの吸引力はしっかり兼ね備えておりました。
全般的にシリアスな内容ではありますが、その分Cパートで小ネタを挟み楽しませてくれますしね。
次に見る機会があれは、ちょっと恐いですが黒塗りが無い完全版で是非見たいですね。

2期はやるのか…いつになるのか…。
今現在まだ噂の粋を出た情報はありませんが、どうせなら熱が冷めない内に放送してほしいですね。
展開が早かった分、視聴者の熱が冷めるのも早い気がしますし。

その時は、また作中にハマったを主題歌だと尚嬉しいですね。


ではでは、読んでいただきありがとうございました。


◆一番好きなキャラクター◆
『月山 習』声 - 宮野真守さん

◇一番可愛いキャラクター◇
『笛口 雛実』声 - 諸星すみれさん



以下、カニバリズム(食肉文化)について。
(途中から妄想に突入してしまったので、〆ます。)
{netabare}

ちなみに私は恥ずかしながら、正直なところまだ一度もカニバリズムを体験したことがありません。
偏見を持たず多種多様な食文化に触れることは、人生観を広げる意味でも重要だと私は感じておりますので、ここは偏食なぞせずに、いつか体験しなければいけないなと考えております。

しかし、現代の日本において、そんな「ハンニバル•レクター」みたいな真似が出来る状況は早々ありません。
やはりここでも、『東京喰種トーキョーグール』の世界に妄想を抱くことで、脳内体験するのが社会人として果たすべき選択となるでしょう。


まぁ…どーせ喰べるなら、私好みの『チュレェヴィアアアアァン!!』な人間を捜すことにしましょう。

おっ、かなり好みの人間を発見!!
早速、声をかけてみましょう。


「あっ、お嬢ちゃん可愛いねぇ。

 ヒナミちゃんって言うんだぁ…。

 うんうん、髪型が(私好みな)ショートカットで似合うねぇ。(グヘヘ)

 へぇ、字のお勉強してるんだ、偉いなぁ。

 それならお兄さんが、こっちで詳しく教えてあげるよ。

 さぁ、おいでおいで!!(ゴクリ)」



……さて、数分後。
細切れになった私は、彼女の胃の中にいたワケですが…。

こんな可愛い美少女になら、喰われる側というのもまた乙なものでした。

でも、ちゃんと「ごちそうさま」って言おうね、ヒナミちゃん。
{/netabare}

投稿 : 2024/04/20
♥ : 61
ネタバレ

かげきよ さんの感想・評価

★★★★☆ 3.4

喰べたら「ごちそうさま」するまでが作品なのに

人を喰らう正体不明の怪人・喰種。
主人公カネキは喰種に襲われ瀕死となるが
喰種の臓器を移植されたことで半喰種となってしまう。
それ以来、カネキは苦悩と恐怖に満ちた日々を送ることに…。


凄惨な食事現場で始まり、凄惨な食事現場で終わった一話だったが
その課程には実に多彩だった。
Aパート開始時は安らぎや暖かさを感じさせつつも
黄色い道をゆっくりと歩む美女の姿が「迫る注意」「迫る非日常」を感じさせ
そこから緩急を織り交ぜ喜びから恐怖、救済に戸惑い、葛藤に絶望と
「赤い日常」へと変貌する様を流れるように観せてくれた。
この一話だけでジェットコースター一周分の感情を体感できる様な内容で
すぐにおかわりが欲しくなってしまった。
掴みとしては今期一番良いかも。今後も期待が高まってしまう。

考え過ぎかも知れないが、カネキが半喰種になる課程も単なる偶然とは思えず
どこか作為めいたものも感じている。
医者もグル(グール)かな?…とか、ミステリー好きの血も少々騒ぐ。

またこの世界での半喰種の存在意義がどうなるかにも注目している。
既存のグールなら自我を持っていないので、
その間に当たる半喰種には無条件で価値が生まれるが
この作品の喰種は既に自我や規律すら持ち合わせている模様で
半喰種との違いがどう現れるか気になる。
カネキの葛藤は半喰種ならではのものでずっと続いてしまうのだろうか?

※2話感想{netabare}
ヒデを救うためグールの力を借りグールの力に飲まれヒデを襲う衝動に駆られる…。
泥沼の葛藤が更なる深みへとハマっています。

それでも「人」の事「グール」の事、そして「自分」の事を知ろうとして
向き合う姿は立派でした。
ヒデも勘がいいので判っているご様子。良い友達じゃないか。
血の臭いだけでなく感動の匂いもしてきました。

あと触手を絡めた戦闘シーンもかなり上等で衝撃的でした。
そしてこの作品「目力」がハンパない! 夢に出そう…。
{/netabare}

※3話感想{netabare}
アンティークを中心に活動するグールの生活が覗けた回。
どうやら安定区と掛けてあるようでグールの中でも穏やかに
生活する者が集まっている様子。
食事も自殺者を確保している様で納得できた。…ここまでは。

でも、他の区に多数の凶暴なグールが居るとなると
描かれている平穏無事で危機感の無い人間社会に疑問が湧く。
グールの数が多すぎる。

設定通り、毎月グールの人数と同じだけの人間が殺されるとなると相当な被害で
もはや警察が事件としてどうこうでは無く
軍が出来て対応していたり半分以上グールとの戦争の状態に成っていておかしくない。
…というか成っていて普通、それくらいの危機だと思える。
面白そうな作品なだけにバランスも考えて練って欲しかったと思ってしまう。

ちょっとケチが付いたが今後の展開で
グールの繁殖方法やジェイソンみたいな奴の素性や存在意義が明かされれば
もう少しは納得行くかも知れない。
【予想】{netabare}グールは元々政府が作り出しているが隠蔽されている{/netabare}
みたいな話なら判らなくもない。期待はしている。
{/netabare}

※4話感想{netabare}
美食家、月山の裏の顔が見られた回。

人と仲良くしようとして無理矢理不味いモノを食べる霧嶋さんとは対照的に
美食を謳歌する月山。
狂った様に映るけどグールとしてはこちらが正常なのかな。
グールの味覚に着目したこの作品ならではの存在は面白く、次回以降も注目です。
{/netabare}

※5話感想{netabare}
早くも月山の食指がカネキに迫り、錦の切ない過去も露わに。

前回に続き月山の個性が圧倒的。颯爽登場!宮野真守無双。
狂気の中、生き生きしていてキャラ的にはみんなを喰ってたと思う。

錦もイイ話で単なる憎まれ役から脇役レギュラーへと躍進したかな。
でも、錦自身は内蔵の九割方破損した所から復帰したのに
姉さんは一般人相手に呆気なく死亡。(詳細不明)
そう言えば路地裏でカネキと最初に会ったグールも蹴り一発で死んでたし、
グールの耐久力に差がありすぎてご都合感が出ている。

美味しく質の良い餌を食べると即効でパワーアップ!
ってキノコマリオみたいな事を急に言い出してるし
話が進むにつれ、設定の詰めの甘さが見えて来てちょっと残念にも感じる。
{/netabare}

※6話感想{netabare}
何とか危機を脱したカネキ達。そして改めて浮き彫りになったグールと人との距離。

グールも人と同様に心があり愛があり家族があり。
「お母さん!」と言うヒナミの叫びがとても痛々しく突き刺さる。
同情できる話で何とかしてやりたいのだが、
「人喰い」…いや「人しか喰えない」と言う生態は致命的で
言葉や理屈が通じ心があるとしても相容れない存在になってしまうよなぁ…。

カネキの存在がグールと人との心の橋渡しになるかも知れないけど心が繋がったとして
約定作って「人を襲わない代わりに故人の体を提供する」って訳にも行かないし…。
設定上では既に詰んでいる…と言える落とし所のない問題にどう挑むのか
見物だと思うけど、ホントどうするんだろう?
バトルで何となく解決した風には成らないで欲しいけどな。
{/netabare}

※7話感想{netabare}
人にもグールにも義はある。それ故に復讐と憎しみの連鎖は止まらない。

カネキが到着するもヒナミのお母さんを助けられず悲しい結末になりました。
ヒナミにとっては本当に最悪の結末。
でも、母の表情から察するに復讐は望んではいない筈。
それは幼いヒナミに伝わっているのか?理解できるのか?
葛藤の中、芳村さんの道か薫香の道か何を選択するのか
この作品の肝になりそうで興味深いです。

真戸さんはグールにとって脅威だけど人側から観ると逞しい。
彼処まで出来る様になるには相当な修羅場と仲間や知人の死を経験しているのだろう。
グールに情をかけて殺された者もいそうだし、少々壊れてなきゃ務まらない。
悪っぽく描かれているけど背景を察していくと憎めないキャラだと思う。

一人殺されたとはいえ亜門達は何とかクインケ無しで対抗してましたが
身体能力考えると全員瞬殺されて当然なレベルで無理がある気がします。
せめて刃物弾くって設定無くしてくれないと人に勝ち目がなくないかな?
グールって設定自体矛盾だらけなので小さい事は寛容には観てるけど、
バランス感覚がちょっと悪いなって気がします。

次回は真戸と薫香の戦いが更に激しくなりそうで、
そして復讐に走る薫香をカネキはどう見るのかも楽しみです。
{/netabare}

※8話感想{netabare}
真戸さん亡くなってしまいました…。
良い悪役だっただけにちょっと寂しくもありますが復讐に囚われた者の末路として
意義を投げかけてくれました。

一方ヒナミは復讐に囚われず深い悲しみの中から「生きる」ことを決意。
溢れる涙が心に響きます。強く生きて欲しいですね。

カネキは不戦を貫き悲しみと復讐の連鎖を断ち
グールと人とを繋ぐ希望になって行きそうですが6話感想の懸念が個人的に引っかかる。
共生目指すならグール用の食料開発出来ないものかな?
{/netabare}

※9.10話感想{netabare}
悲しみを乗り越え日常を取り戻そうとするアンティークの面々、
そして新体制でグール対策に当たる捜査官達。

近隣の11区が騒がしく嫌な予感がしていたらやっぱり飛び火です。
捜査官も絡んできてなんだか仁義なき抗争モノの雰囲気が強くなってきましたね。
{/netabare}

※11話感想{netabare}
人とグールが入り乱れた抗争、そして拷問と血生臭く暴力の砦と化しています。
覚醒しつつある亜門くんをいつの間にやら応援しちゃってます。
現状アンティークの敵ですが何れ手を組む事もありそうですよね。

カネキくんから新たなカネキくんが生まれそうですし、
屋上には何やら怪物が…ってあれまさかマスターなのか!?
次回も気になります。
{/netabare}

※12話感想{netabare}
心身共に死よりも凄惨な地獄の様な苦しみ中、今までの全て否定し
生まれてしまったダークカネキくん。
これからこの作品はドコへ向かうのか?…って所で最終回!

せめて…せめて外での戦いにケリ付けてくれないと投げっぱなしにも程があるし
痛々しい拷問が最終回ってのも後味が悪すぎる。
この終わりならアニメ化しなくても良いんじゃない?って気さえします。
{/netabare}


【総評】
心理描写や戦闘描写は良く描けているしキャラも立っている。
そして設定上袋小路になっている人とグールの関係がどうなって行くのか
どういう結末になるのか期待と興味を持って観てこれたがとにかく後味が最悪でした。

人として生まれそしてグールとして再生して価値観や感性などを培い
積み上げたモノを最終回に全否定させて結論出さずにハイ退場!!

結局、1話で身体を失い、最終話で心を失った可哀想な青年の怪談のような話で終幕。
闇芝居なら三分で終わるわッ!
中身は投げっぱなしでブッツリ終わるアニメの中でも指折りの作品になってしまいました。
続きやるのですかね? やらない事には話にならないし観る意味もない作品です。
事情があるにせよ、この終わりを平気で観せる制作側の神経を疑います。
期待と観て来た時間までも全否定されるこの終わり方は許容できません。

投稿 : 2024/04/20
♥ : 64
ネタバレ

Appleモンキー さんの感想・評価

★★★★★ 4.2

タイトルなし

リゼと接触したことによって、
金木くんがかわいそうな目に・・・(´・ω・`)

■第1話~第2話
{netabare}
金木くんの発狂ブリが見どころの一つではありますが、
やっぱり一番の見どころは、リゼ役のハナザーさんですね!^^

1話目で金木くんをハニートラップにかけた
誘惑っぷり。そして2話目で永近を食べるようにそそのかしたり。
ハナザーさんがいい意味で壊れております(笑)

1話目の途中までは、ハナザーさんだとは気付かなかったです。
「となりの関くん」の横井さんがダークサイドに
落ちたみたいな感じ^^

これからますます壊れていくといいですね♪
{/netabare}

■第3話
{netabare}
今回はハナザーさん出番なしでした。。。
物語もあまり進まず、水面下で動いている感じです。
次回から動くかな??
{/netabare}

■第4話
{netabare}
今回はザ・宮野劇場って感じでした!
トイレでくんかくんかしているシーンはもう爆笑でした^^

ハナザーさんは30秒くらいの出番でしたが、
Sっ気たっぷりの見事な演技でした♪
{/netabare}

■第8話
{netabare}
久しぶりのハナザーさんでテンションあがります♪

そして残念ながら真戸さんはこれにてご退場です。
良いキャラしてたのに残念ですね^^;

あの指輪は、薫香ちゃんと何か因縁が??
{/netabare}

■第12話
{netabare}
中途半端なところで終わってしまいました。。。
原作読みましたが、確かにどこでアニメ終わらすか
は悩みどころですよね~
2期はあるんでしょうか??^^
{/netabare}

投稿 : 2024/04/20
♥ : 94

91.6 16 シリアスで友情なアニメランキング16位
僕だけがいない街(TVアニメ動画)

2016年冬アニメ
★★★★☆ 4.0 (3355)
15474人が棚に入れました
漫画家としてデビューするも、いまひとつ結果を出せず毎日を過ごす青年・藤沼悟。
彼は、彼の身にしか起こらない、ある不可思議な現象に不満を感じていた。
「再上映(リバイバル)」。
何か「悪い事」が起こる直前まで時が巻き戻される現象。
それは、その原因が取り除かれるまで何度でも繰り返される。
……まるで、誰かに「お前が防げ」と強制されているかのように。

しかし、ある日起きた事件をきっかけに、その現象に大きな変化が訪れる。

自らの過去に向き合う時、悟が目撃する真実とは?
そして、悟の未来は――?

声優・キャラクター
土屋太鳳、満島真之介、悠木碧、赤﨑千夏、大地葉、鬼頭明里、七瀬彩夏、菊池幸利、水島大宙、高山みなみ、宮本充
ネタバレ

scandalsho さんの感想・評価

★★★★★ 4.1

名〇偵コナンのヒロインは灰原ではなく蘭ちゃんだと言いたいのかな?

原作未読。

タイムリープとサスペンスをかけ合わせた作品。

ストーリーはわりと面白かったし、最後まで飽きずに一気見できた。
声優さんも良かったと思う。
作画は好みが分かれるかな?

ただし、{netabare}わりと早い段階で犯人の目星がついてしまう{/netabare}演出はマイナス評価。
{netabare}もう少し怪しげな登場人物がいないと、3話の終わりの演出がスケープゴートとしても成立せず、{/netabare}サスペンス感が薄れてしまう。

あと、{netabare}加代と弘美{/netabare}の件は、正直言って不快にさえ感じた。
{netabare}『加代に家族を持たせる』ために『幸せな結婚』を描きたかったのだろうが、相手が弘美である理由が全く見当たらない。
むしろ親友と結ばれることで略奪感が際立ってしまい、{/netabare}わざわざ主人公を深く傷付けるための演出なのかとさえ感じた。
ダブルヒロインにしてしまった代償としては大きすぎる、この作品の欠点だ。

ところで、このレビューのタイトルについて
{netabare}1.体は子供、頭脳は大人という設定から『名探偵コナン』感を感じてしまったせいか、
2.初めの頃の加代のつっけんどんな態度が灰原に似ているように感じてしまい、
3.その結果、主人公を自宅にかくまった愛梨=蘭ちゃんに似てる!
{/netabare}って、名探偵コナン好きの戯言でした・・・。
そう言えば、主人公の母親役が高山みなみさんだったのも影響あるかも!

投稿 : 2024/04/20
♥ : 94
ネタバレ

mio♡美桜 さんの感想・評価

★★★★★ 4.7

毎回ドキドキ!

.。.:✽・゚+.。.:✽・゚+.。.:✽・゚+.。.:✽・゚+.。.:✽・゚+

原作は漫画みたい。
私は全くの予備知識無しでの視聴開始。

主人公の淡々とした喋り方と普通っぽい声。
細部まで細かくて丁寧で普通に見やすい作画。
映し出される普通の日常の生活のシーン。

えっ、僕街って結構話題になってたよね?
結構シンプル。
最初はそんな感じでした。
最初はね!最初はですよ!

だけどじわじわとくるサスペンス感。
時折入るフラッシュバックみたいなカット。
シーンを盛り上げるBGM。
気付いたら目と耳と心が釘付けになってました。

リバイバル(再上映)という特殊能力を持った主人公が、
自分の過去にタイムリープ。
自分の忘れていた過去の真実に向き合い運命と闘う、
そんなサスペンスドラマみたいな感じかな。

色んな物が普通っぽい演出だからこそ滲み出てくる様な
緊張感。
ちょっと私、こういうの好きかも…

制作はA-1 Picturesさん。
そして監督はソードアートオンラインでお馴染みの
伊藤智彦さん。
なるほど…うん、うんってヒトリゴト。

ちょっと展開が早くて原作を知らない私には細かい描写
が少なく感じましたけれど、それでも自分なりに推理した
りして、次!次!って確実に続きが気になる作品でした。

声優さんでは赤崎千夏さんがメインキャラの1人として
出演されているのが私的に嬉しい。
そしてなんと言っても悠木 碧さんの演技。
最大の見所の一つでもあるくらい凄いです。
色んな意味でも声優さんの演技が凄く楽しめた作品でも
ありました。

丁寧な作画とスリリングな展開のストーリーを盛り上げる
BGM。
次回への期待が膨らむシーンを「引き」に持ってくる上手
さ。
心が痛くなるシーンもあるけれど、涙が出ちゃうくらい
心が温まるシーンも沢山ある作品。

スリリングなサスペンス感と心に染み入る温かさ。
両方楽しみたい方、そして悠木碧さん大好きな方には是非
ともオススメしちゃいたい作品です♡


.。.:✽・゚+.。.:✽・゚+.。.:✽・゚+.。.:✽・゚+.。.:✽・゚+


【mio's café】

ここからはネタばれですので
視聴済みの方だけ見てね♪
{netabare}

〈総評〉
{netabare}
私は原作漫画は読んでないのですけれど、特に原作を既読
されている皆さんのレビューを拝見してかなり削られてい
る描写が結構あったみたいですね。

こんなに素敵なシーンもあったんだー!
アニメでも見たかったなぁーって。

加代がおばあちゃんに引き取られてからも美琴小学校に通
うようになり、悟との感動の再会シーン。
加代と悟のクリスマスツリー、再会後に再び2人で見に行き
加代が悟にお礼を言うシーン。
悟が車で落とされた場所の木の下で佇むセーラー服の女の
子のシーン(おそらく加代。)などなど…。

1クールじゃ仕方ないしね。

でもアニメOnlyで視聴した私でもスリリングな展開、心に
突き刺さる様な切ないシーン、涙が溢れそうな温かいシーン
などなどそれほど違和感なく楽しめました。
特に次回への期待が膨らむところを上手く終わりにもって
行くところが本当にドラマを見ているようでドキドキしま
した。

俗に言う「引き」ってヤツですね!

一部の方がおっしゃいますように私も主人公のセリフが
棒読みっぽく聞こえましたけれど、私的にはそれだけに
なんだか本当に普通の人っぽく感じて、日常の生活が一変
していく緊張感を与えてくれた様な気がします。
これも演出の1つなのかな?
(そう思うようにしてます…笑)

そして音楽、特にBGM。
BGMが凄く良くて感動したりワクワクするシーンがとって
も盛り上がったと思う。
特に冬の北海道のシーンとか凄く雰囲気にマッチしていたなぁって。

途中からは自分なりに真犯人を予想しちゃったりして。
見事に外れちゃいましたけれど、そういう楽しみ方も出来
たのは良かったかな。

そしてこの作品で1番興味深かったのが良くも悪くも声優
さんの演技。
悠木碧さんは朝食のシーンをはじめとして全編にわたって
もう本当、凄く魅力的でした。
悟に対する淡い恋心とか…もう…ね。

また悟母の高山みなみさん、先生八代学の宮本充さんの
演技がなんだかとっても濃厚なデミソースって感じで本当
にこの作品を美味しく頂けました♪

俳優さんお2人の演技に関しては私はよく分からないけれ
ど、私的にはあの普通っぽさが意外にも良い味を出してた
という事で…OK?

最近の作品では本当に次話が楽しみと思える数少ない作品
の1つでした。
原作はもっと面白いんだろうなぁ。
機会がありましたら、是非読んでみたい作品です。

{/netabare}

このお話し、伏線とか多くて内容を書いてないと訳わから
なくなりそうなので個人用メモ的な感じになってます。
ごめんなさい。
興味のある方は見てね♪
〈第1話感想〉
{netabare}
ピザ屋さんのバイトと副業で漫画家をしながら生計を
立てている悟。見た目も普通な青年。
助けなきゃって思った時、リバイバルという特殊能力が
発動。自分でもあんまり自覚してないみたい。

最後の母親殺害までかなり急展開でお話が進展。
ところどころ???と思いながらも凄く続きが気になり
ました。ていうか引き込まれました。

18年前の連続児童殺害事件の真犯人に気付いた為殺害
された悟の母親。
それを防ぐ為には、自ら18年前に戻り加代の殺害、
ユウキさんの逮捕を防ぐ事で母親の殺害も防げる。
そんな強い思いが引き起こしたリバイバルなのかな?

悟が母親殺害の容疑者にされる経緯がえっ〜って思うくら
いちょっとあっさりだったので納得いかなかったかも。

あの赤い目の男真犯人なのかな?
リバイバルしてからどうやって帰ってくるんだろう?
色々謎が引っかかる第1話でした。

愛梨ちゃんCVの赤崎千夏さんが私的に嬉しかったかな。
病院でのシーンお家でカレーを食べるシーン凄く良かった
{/netabare}

〈第2話感想〉
{netabare}
18年前にリバイバルした悟の友人関係の説明、キーマン
となる加代との接触を持つお話しみたいな感じかな。

気になったのがヒロミ君。
女の子かと思っちゃった。中性的で可愛い。

そしてケンヤ君。
頭が良くて優しいのはいいんだけど妙に大人びていて
ちょっと(怪しい)雰囲気を感じちゃった。
考えすぎかもしれないけれど。

そして加代。
悠木碧さんの声にゾクゾクします。
「バカなの?」
テンションは違うけれど、アスカの
「あんたバカァ?」に匹敵するくらいのインパクト!
悠木碧さんやっぱりいいですね。

でもカーテン越しの虐待のシーンが少しだけあったけれ
ど、見ていて心が痛かったです。
アニメってわかっていても許せない怒りが込み上げます。
辛いですね。

「藤沼ってさ、なんかふりをしてるでしょ…」
からの加代との会話は心にジンときました。
誕生パーティーに加代を誘う悟。
手と手を合わせる加代と悟。
「おい、29歳しっかりしろ。何照れてんだよ…」
には少しだけ笑っちゃいましたけれど。
ちょっとだけホッコリした時間。
加代にもっとこういう時間をあげたいなぁって。

でもやっぱりケンヤは気になります。
文集から加代の事を悟と同じ様に気にしているみたい。
文集から読み取れるSOS。
ケンヤは事件のなんらかの鍵を握っている可能性がある?
うーん。わからない…
悟がなぜ自分の作文を見なかったのか、悟の手袋はどこに
いったのか、気になる事ばかりです。

「したっけ!」最後の駆け出す加代が印象的でした。
{/netabare}

〈第3話感想〉
{netabare}
悟が同級生とアイススケートでの競走。
しかも相手はアイスホッケー部。
北海道って授業でスケートがあるんですね。
ちょっとビックリ。それだけ寒いって事なのかな。
競走の方は悟が勝ちそうになるけど一瞬手を抜いて敗北。
だけれどそれを加代は見抜いていてちょっと悟と嫌な
雰囲気に。
一緒に滑った同級生も悟に激怒。
18年前と同じ事をしてしまったと思う悟。
これも何かの伏線かな?

八代先生から雛月の誕生日を聞きだす悟。
悟と同じ3月2日。
八代先生とてもいい先生なんだろうけど、なんでだろう
凄く表情が引っかかるのは。

虐待を受けて倉庫に肌着1枚で倒れてる加代が痛々しい…
悠木碧さんの演技が凄いですね。
虐待をしながらも世間体は気にする母親とその横で昼間っ
からお酒飲んでる内縁の夫みたいな人。
こういうシーンでよくある光景でしょうか。
本当に腹が立ちます。

八代先生から加代の虐待について聞く悟。
動こうにも動けない学校側。イライラが募ります。
そんな中教室での給食費盗難騒動。
リアルに描くのはわかるけれど、もう本当心が痛いです。
こういうシーンは。
加代を正面からかばう悟。
八代先生のフォローもよかった。やっぱりいい先生
なのかな?
でも今度は美里の事が気になります。
イジメがイジメを生まなければいいのだけれど…

最後のクリスマスツリーのシーンは凄く良かった。
作画凄い!本当に綺麗…
声に出して微笑む加代。
そして「バカなの?」
色々中身の濃い第3話でした。

最後の職員室の描写。八代先生とケンヤ?
えっ、何?
またまた気になります。
{/netabare}

〈第4話感想〉
{netabare}
いよいよ歴史の改変に向けて動き出す悟。
Xデーまで加代を1人にしちゃいけない!
そんな思いからまず土曜日に科学センターに加代を誘おう
と計画。
母の誘導に引っかかるもお小遣いゲット。嬉しそうな悟。
ここの母と悟のやり取り凄く良かった。

学校では美里が給食費騒動の件で少し孤立気味。
そんな美里に悟が声をかけるも裏目に…

加代を土曜日に科学センターに連れて行きたいと悟が加代
の母親に直接交渉。
思わず虐待を連想させる様な言葉を口走り、加代の母から
反対されしかも殴られそうに。
そんな時悟の母親が登場。無事、場を収め加代との約束を
取り付ける悟。ここでの悟のお母さん良かったですね。

土曜日、科学センターで加代とのデート。
リバイバルする前の記憶と近いことに気づく悟。
そして友達がやってきて改めて歴史を改変している事に
気付く悟。
加代を自宅に送り届け大きな声で
「明日も迎えに来るから!」と悟。

誕生日当日、悟と加代が買い物して帰ると自宅では
サプライズ誕生日パーティ!
加代の本当に楽しそうな笑顔。恐らく彼女には今まで、
あまりこういう機会はなかったのでしょうね。
悟に「プレゼント間に合わなくてゴメン」という加代の
表情がなんとも…切ない…
「明日、渡すから…」

第3話の最後の職員室の描写は八代先生とケンヤが今日の
サプライズを計画していた様子だったんですね!恐らく…

加代を自宅に送り届け、Xデーを乗り切った、歴史を変えた
と喜ぶ悟。
そんな彼に衝撃の展開。

翌日、加代は学校にこなかった…

もぉー、なんなんでしょうか!
そう簡単に事が進むとは思ってないけどこの展開!
気になり過ぎます!

本当、メモ的な感じになってゴメンなさい…
{/netabare}

〈第5話感想〉
{netabare}
翌日学校に来なかった加代。
悟の母親と話し、誘拐事件を知る母親の元同僚。
悟は加代を探しに加代の自宅を訪れるも手掛かりは倉庫の
前に残された大人の足跡のみ。
加代の母親と同居の男は動かない体を見て、
「どうする、これ」
これ、明らかに加代なんですよね。心が締め付けられ
ました。

自分を責め学校を2日休む悟。
「後から自分のせいと思うのは、思い上がり。1人1人の
人間に出来る事は限られている。」
母親に諭され学校に行く悟。

児童には家庭の事情で転校したと告げる八代先生。
励ます悟の友人達。
勘のいいケンヤは連続誘拐事件ではと悟に告げる。

学校の帰り悟は加代の母がゴミを捨てる姿を目撃。
不気味な笑み。
ゴミ袋の中にあったのは行方不明になってまだ10日という
のに加代の服と悟に渡すはずだった編みかけの手袋。
あまりのショックに叫びながら走り出す悟。
と同時にリバイバル終了。

どういう条件でリバイバルが終了するのかイマイチ分かり
ませんでしたが再び2006年。

2006年で悟はすでに重要参考人であり逃亡者。
ピザ屋の高橋店長を頼るもアッサリ裏切られる。
この高橋店長って人、第1話から愛梨を見る目が気持ち悪く
てまぁ信用出来ない人だとは思っていましたがまんまでし
たね。

逃げる悟の前に現れたのは愛梨。
「バカなの?」
加代と同じセリフにちょっとビックリ。
これも何かの伏線かな?
愛梨の部屋に匿われている間、事件の中身が改変されてい
る事に気付く悟。
「変えられるんだ。もう一度あっちに行けたら…」

ピザ屋で男性と話す高橋店長。
西園先生って呼ばれてる。
愛梨を見てデレる高橋店長マジキモいんですけど!
なんかイライラしてきちゃった。
にしてもこの西園先生って呼ばれてる男性の後ろ姿。
メガネといいあの男に似てるんですけれど。
愛梨を遠くから眺める姿も不気味…
警察に通報しようとしてる高橋店長に携帯をヘシ折り
愛梨の鉄拳!
ちょっとスッキリしました。でも愛梨の気持ちが痛いほど
よくわかるシーンでした。

橋の下で悟に自分の過去を話す愛梨。
またしても「バカなの?」
そのバカなの?って止めてくれないかと悟。
うーん、やっぱりこの「バカなの?」が引っかかりますね

悟の着替えを自宅に取りに行く愛梨。
そんな愛梨の携帯に悟の母親からのメール。
犯人からだと気付いた瞬間火の手が上がり炎と煙に包まれ
る愛梨…

なんていう…もうどうなるんでしょう…

ハラハラドキドキの第5話でした。
にしてもあの西園先生と呼ばれていた男性が気になります。
{/netabare}

〈第6話感想・真犯人予想中間発表〉
{netabare}
炎に包まれた愛梨を助けようと建物に飛び込む悟。
抱えられた愛梨が悟のポケットに自分の携帯をしのばす。
どこから現れたか高橋店長。
救助を手伝ったかと思ったら、
「手柄は俺のもんだぜ。」
本当嫌な男です。救助には感謝しますけれど。
っていうか自分で火をつけたんじゃないの?

母の残したメモから母の元同僚澤田さんの電話番号を入手
しコンタクトを取る悟。
一連の事件の真犯人の存在について悟に話す澤田さん。
澤田さんの話からとヒロミを殺したのは顔見知りの犯行
と判断する悟。

愛梨の入院している病院を訪ねる澤田さん。
ベッドに寝ていたのは愛梨では無く愛梨の母親。

病院を抜け出した愛梨は悟と再会するも警察に尾行されて
いて悟は逮捕されてしまう結果に。
連行される間、悟は次のリバイバルを予感。
その時、真犯人と思える例の男の姿を見る。

こんな感じでしたがやっぱり西園議員の存在が気になりま
すね。
で例の謎の男なんですが悟が逮捕されるあんな現場にいた
という事は、警察関係者?

んーますます分からなくなちゃった。
再びリバイバルするであろう次回に気になりますね。

一応、ここでmioの真犯人大予想中間発表!ドンドン!

◎西園議員
○加代の母親と彼氏
▲八代先生
△ケンヤ
×警察関係者
大穴 美里

〈理由〉
◎西園議員- まずあの現場によく現れる男の風貌が似てい
る。こんな簡単な理由で申し訳ないのですが、匂うんです。
女の勘ってヤツですぜ、旦那。
悟の犯行に見せかけて明らかに愛梨を狙った放火が気にな
りますね。ピザ屋に出入りしていたのも。愛梨に何かを見
られたとか。

○加代の母親と恋人- 加代殺害だけに関してならかなり確率
は高いと思うけど、あのダラシない恋人と2006年まで知能
的な犯罪を繰り返すとは思えず…
あるいは誰かに依頼した?

▲八代先生- 唯一加代の家庭の事情と誕生パーティーなど
加代の行動予定を知ってる人。
優しいの裏にある何かが匂うんです…クンクン。
この手の犯人って平然と表と裏の顔があるから。

△ケンヤ- 現時点で私にとって最大の謎の人物。
天使にも悪魔にもなれる要素を持った少年。
私の中では彼もリバイバルしているのではという、根拠の
無い妄想が膨らんでいます。

×警察関係者- 愛梨や悟の情報を入手しやすい。
何よりも悟が逮捕されたあの場所に普通の人はいないと思
うのですが…だんだん苦しくなってきました。

大穴 美里- 1番は加代を含めた悟たちとの確執。
あんな少女にできる犯行では無いと思いますが、美里の
お家ってクリスマスツリーや普段の着ている服持ち物など
からそこそこのお金持ちの様な気がする。
親に告げ口して他の人物が犯行に及んだ…
ていうか、美里の父親が西園議員?なんて考えちゃいます。

どうでしょうか?実際のところ全く分かりません…
見た目は大人、頭脳は子供の私にはこれくらいしか思いつ
きません。
{/netabare}

〈第7話感想〉
{netabare}
1988年に再リバイバルした悟。
舞台は科学センター。横にいる加代を見て涙を流す悟。
それを見た加代
「バカなの?」
私もなんだか安心しました。

「ラストゲーム!」
悟の言葉に力が入ります。

ケンヤに「貸した本は読んだ?」と聞かれる悟。
覚えていない悟は「まだ読んでない」と答える。
その後探りを入れるかの様なケンヤの質問。
難しい言葉を使いながら悟に加代保護の協力を申し出る
ケンヤ。
んー、前から思ってたんですけれど、ケンヤって何者?
ひょっとして悟と同じリバイバル能力者?
中身は大人にしか見えないんですけれど…
普通の小学生ではないですよね。

加代と友達になった事を喜んでくれるユウキさん。
何気にユウキさんの父親の部屋の場所を聞く悟。

児童館に加代、ケンヤ、ヒロミを迎えに行ったらやっていた
のはバスケ。
前回のリバイバルでは確かオセロだったはず。
その変化を見て急激な変化を避けないと予想がつかなくな
ると思う悟。

前回と同様の誕生日パーティ。
途中で抜け出してユウキさんの家の車をパンクさせて
窓に「殺す」と書いた紙を石とともに投げ込む悟。
警察が来てユウキさんが自宅にいるアリバイを作る為。
なかなか考えましたね。

加代に虐待を加える加代の母親を直接自分の手で排除しよ
うとする悟をケンヤが寸前で制止。
ケンヤはこの2日間、加代を助けることに必死になり過ぎて
いるな悟を危ないと思い尾行していたみたい。

誕生パーティーの帰り道、加代が虐待を受けない様に
「今からお前のこと誘拐するけどいい?」と提案する悟。
「バカなの?」
と言うものの承諾する加代。
なんだか愛の逃避行みたいでいいですね。

加代を廃バスに匿う悟とケンヤ。
加代「ありがとう。悟、ケンヤ君」
ケンヤ「礼はいいよ。友達だろ、加代ちゃん」
悟「俺たちが必ず加代を守るから」
お互いの呼び方が変わりましたね。
ぽぉーってなる加代の表情が…

翌日バスの中でトランプをする悟、ケンヤ、ヒロミ、加代。
加代の母親が動く様に仕掛けると言う悟。
「結末はどうするの?」と訪ねるヒロミ。
「大丈夫、俺が責任とるから」と悟。

「バカなの。私が言い出しっぺで、皆んなが協力してくれ
たって事なら…誰もお咎めないっしょ。はい、あがり」
誰も考えつかなかった答えを加代が提案。

バスの中で眠りにつく加代。
扉を開ける音。
「悟…かな?」
バスの中に入り込む人影。

えっー、もうかなり心臓にも悪いんですけれど!
誰なのかな?大人の男っぽかったけど…
八代先生?それとも勘付いて様子を見に来た悟の母親?
もう、こういう終わり方気になり過ぎです!

本当、メモ書きみたいな感じでゴメンなさい。
{/netabare}

〈第8話感想〉
{netabare}
第7話で最後に登場した謎の人物。
明らかに成人男性ですね。
もう本当にドキドキしました。加代が無事で良かった。
これで私の予想していたケンヤ、美里といった子供達の線は
消えたかな?
いやっ、唆して共犯って事もあるし…
でも実行犯は確実に大人だと思うし、学校の廃バスに道具
を置きに来たというのは違う学校とはいえ八代先生かなり
私的に怪しくなりました。
第8話を見て◎西園議員、○八代先生、▲澤田さん、
と順位変更。
澤田さんいきなりのランクインです。

ユウキさん真犯人説も浮上したけど、愛梨の家に放火する
のは無理だし、第一ユウキさん真犯人だったら本当笑っち
ゃいますよね。

予想は置いといて、加代保護の為に本格的に動き出しまし
た。
悟母、妖怪呼ばわりされているけれど、本当いいお母さん
加代と悟と悟母。本当の家族みたい。

忘れかけていた温もりを感じて流した加代の涙。
今まで辛かったね…
私まで涙出ちゃいました。
本当は母親とこういう関係に戻るのが一番なんだけど、
良かったね、加代ちゃん。

これで一応、加代殺害は回避できたのかな?
またまた続きが気になります!
{/netabare}

〈第9話感想〉
{netabare}
悟、悟母と共に自宅に帰る加代。
八代先生、児童相談課の職員、そして加代の祖母。
「女手ひとつで子供を育てる大変さはこの私がよく知って
いるよ。私が助けてやるべきだったのに、おまえときちん
と向き合ってやれなかったから」と加代の祖母。
加代のお母さんも辛い過去があったのですね。
だからといって加代への行為が許されるものでは無いです
けど、これからの時間が修復してくれるといいな。

八代先生が悟に「我々を動かしたのはお前だ、悟。」
「勇気ある行動の結末が悲劇でいいわけがないだろう。」
嬉しい言葉ですね。

もうこれで加代の保護は無事済んだのかな?
お別れの車の中での加代の表情が切ない。
私も思いっきり加代ロスです…
加代の作文が以前とは違う感じに聞こえてちょっと涙が
出ちゃいました。悠木碧さんも有難う。

学校に来るも加代が居なくなってヘコんでいる様に見える
悟。

職員室で悟に「加代はずっとお前の家に居たのか?」と
尋ねる八代先生。
「泉小ホッケー部の使わなくなったバスの中に加代を隠し
てた。」と悟。
「へぇー、来るのはお前達誘拐犯だけって訳だ。」
この会話凄く引っかかります!わざわざ「来るのは」って
言ってるのが気になります!

そして八代先生の車の中での悟との会話での
「まず警戒心を解くことだな」
そしてそして大量の飴。
「悟、見てしまったたんだね…」
もう、なんでしょうかこのドキドキ展開!
八代先生怪しい演出だらけ!私の中で八代先生本命候補に
かなり近づいてるので、もし違ったら演出にまんまとして
やられたって感じですね。

ヒロミがひとりぼっちにならないように気にかける悟。
被害者は1人だけじゃないですものね。
そして執拗に悟に探りを入れるケンヤがやっぱり気になり
ます。
「俺もお前みたい踏み出したい。正義の味方になりたいん
だ。」
本心なのかな…?

そして最後のシーン、忘れていた頃に出て来ました。
私の大穴候補の美里。表情が気になります!
ていうか犯人とかでは無くて1人ぼっちの美里の身が心配に
なって来ました。

良い人なんだけど怪しい演出だらけの八代先生。
天使なの?悪魔なの?なケンヤ。
1人ぼっちで表情も気になる美里。
愛梨のセリフと被る言葉の数々。
愛梨の存在って何?

ここにきて「僕だけがいない街」のタイトルが凄く気にな
ります。
みんなを助ける代わりに、最後は悟が…って事は無いです
よね…
それなりのハッピーエンドで終わって欲しいけど。

お話も終盤、どうなっていくんだろう…

{/netabare}

〈第10話感想〉
{netabare}
殺害予定の中西彩を助けようとアプローチをかける悟と
ケンヤとヒロミ。
どんな展開が待っているのかな?って思っていたら、驚き
のカズ&中西彩のリア充展開!もう!
でもなんだか微笑ましくて良いですね。

でも手がかりを無くした今真犯人を見つけられるのか不安
になる悟。
クラスで浮いている美里が気になり尾行するも着いた先は
若葉体育館。
2006年の時点で悟母は澤田さんに真犯人が判ったと言って
いたので、おそらく今この時点で母が知っている人間が
犯人である事を思い出す悟。

美里がトイレに席を起つが帰りが遅いので様子を見に行く
悟。

非常口が空いていて走り去ったのは白鳥食品の車。
そこにちょうど通りかかった八代先生。
また怪しいタイミングでの登場ですね。

先生に協力して欲しいと悟。
第9話と同じ様なシチュエーションの車の中で助手席のコン
ソールから飴を取り出そうとする悟。
でも中に入っていたのは下剤。

同じ様なシチュエーションで2回目では違う展開を持ってく
るという、ある意味サスペンスの常套手段でもうここから
のシーンはドキドキして鳥肌たっちゃいました。

これは自分の車ではないと言う八代先生。
悟が「誘拐犯がいると確信して行動している」と言い、
悟と悟母を車で送った日は中西彩殺害計画を実行する予定
であるも、まんまと阻止された形に。
悟に計画を阻止されたのは2度目でこれは偶然ではないの
ではと疑問を持ち、悟が自分の思考を先読みする存在で
あるという事の確証を得る為に色々仕掛けてたのかな。
そして悟が体育館に来たことで、自分の敵であると確信し
たみたい。

外すことが出来ないシートベルト。
「君はまるで未来でも見て来たかのようだ」と八代。
車に細工をして悟ごと冬の冷たい川に突っ込み、そのまま
水没する悟。

もう絶体絶命の悟。
どうなっちゃうのかな…もう一度リバイバル発動して!
そんな思いでした。

にしてもやはり彼が犯人だったのですね。
西園議員=八代先生は同一人物?
西園議員と愛梨の関係、2006年で加代は存在するの?
はたまた愛梨と加代の関係などなど気になる事がまだまだ
いっぱい。

お話しもいよいよ大詰め。楽しみです。
{/netabare}

〈第11話感想〉
{netabare}
八代学が少年時代に飼っていたハムスターを水に落として
殺そうとしたした時、1匹だけ生き残ったハムスターを
「スパイス」と名づけて飼育したお話。
その時から見える様になったという蜘蛛の糸。

悟母がコンビニでパート?
えっ、どうなってるの?
部屋のベッドで生命維持装置みたいなので生きながらえて
いる悟。
奇跡を信じて世話をする悟母の姿に胸が痛くなります。
15年もの間、眠り続けていたみたい。
原作未読の私にはちょっと戸惑う展開でしたけれど、原作
の方ではこの15年間の描写とかあるのかな?
ちょっと気になりました。

意識を取り戻した悟の前に現れたケンヤとヒロミ。
ケンヤは弁護士、ヒロミは医師になっていました。
ヒロミの変わりっぷりにちょっと笑っちゃったけど、
ケンヤは弁護士、正義の味方に一歩近づいてたのですね。
もう私、ケンヤに本当謝らなければいけないです!
前はあんなに疑ったりして、ケンヤの気持ちは本物だった
んですね。
ケンヤ、本当にごめんなさい…。

「悟…」
二ヵ月後、悟の前に現れた加代。
ヒロミと結婚して子供を授かったみたい。
正直これは意外な組み合わせでしたけれど、悟が救った
2つの命。
そしてその2人が授かった新しい命。
「悟と過ごした時間があったからあたしは幸せになれた」
と語る加代。
涙を流して喜ぶ悟。私も涙が溢れました。
色々な想いはあるけれど、本当に良かったね加代ちゃん。

リハビリで頑張る悟を見つめる久美ちゃんという女の子。
ここにきて新たな伏線の予感?

悟の前に現れた八代こと西園議員。
やっぱり八代先生=西園議員だったんですね!
第5話をもう一度見たんですけど、西園議員の喋り方が八代
とそっくり!
でもEDのクレジットでの声優さんの名前が八代と西園議員
で違うんです。まんまとしてやられた感じです。

「君とは色々あったからな。」
再会するも記憶を失っていると悟。

久美ちゃんの病室で携帯に細工をする西園議員。
新たな犯行を企てようとしてるのでしょうか…
久美ちゃんの面会に来た悟に別な場所で話そうと言う
西園議員。業務用エレベーターで向かう先は屋上。
あの時と同じように手袋をして車椅子のハンドルを指で
トントンする姿に胸がドキドキします。

病院の屋上に辿り着いた悟。
あいにくの雨だがここで話そうという西園議員。

「八代、お前の事を覚えているぞ!」と悟。

最後に映し出される1本の蜘蛛の糸。
改めて確認したんですけれど、第1話の悟母が澤田さんに
電話をかけるシーン、第5話の愛梨がピザ屋からピザを
持って帰るシーン、2人の頭上に薄っすらと蜘蛛の糸が
描かれているんですね!
いづれも犯人か西園議員の視点で。
あとで気づいてなんだかゾクゾクしちゃいました。
細かすぎますっ!

もう本当にあと1話ですよね。
どうなるんでしょうか?原作既読の方は分かってるのな?
気になり過ぎる最終話です。

ここまで来てやっとタイトルの意味がわかった様な気がし
ます。
加代とヒロミが生存して成長していく世界で、15年間
悟だけがいない、これがタイトルの意味だったのかな?
本来いたはずの悟だけがいない街。
11話OPの映像から大人の悟と子供の悟が両方とも消えてた
のが印象的でした。
刑務所の独房にいたユウキさんも消えてたからユウキさん
も助ける事が出来たって事?

悟の行動によって3人の子供のが命を奪われずに済んだ事、
ユウキさんが犯罪者にならなくて済んだ事。
この事実、悟以外にはわからないと言うのがなんとも…

せめて愛梨だけでも悟のそばにって思うけれど、この世界
ではもう接点は無いのかなぁ…
{/netabare}

〈第12話感想〉
{netabare}
八代vs悟のバトルは最終決戦。
もう本当に最後までドキドキ。

そしてキャラそれぞれのセリフが本当に一言一言心に
染みて…。
加代然り悟母然り。

特に私が心に響いたのが

悟「信じるって変な言葉だよなぁ。」
ケンヤ「えっ?」
悟「だって本当に心から信じてたら信じるって言葉は要ら
ないだろ。」
「空気があると信じてるとかさ。」
ケンヤ「疑ってるから信じるって事か?」
悟「だからって信じている事が嘘っぽいってなんて言いた
いわけじゃ無いんだ。
信じるっていうのは信じたいって希望の言葉なんだって
事。」

悟「僕だけがいない街。僕だけが居ない時間。それこそが僕の宝物だ。」

最後の悟の文集の回顧。
橋脚のコンクリートの壁に描かれた「Re.Re」の文字。

再び現れる蝶。そして再び現れる愛梨。

もう涙が止まりません。
良かったね、悟。

私は原作を読んで無いのでこの後どうなるのか分かりませ
んが、いっぱいいっぱい幸せになってね!

今度は君が幸せになって欲しいと…。
そしてそれがお母さんの幸せだから。

本当にただ、ただ、それだけ。

{/netabare}

【作品DATE】
{netabare}
《staff》
{netabare}
原作 - 三部けい
監督 - 伊藤智彦
シリーズ構成 - 岸本卓
キャラクターデザイン - 佐々木啓悟
プロップデザイン - 横田匡史
監督助手 - 石井俊匡
美術監督 - 佐藤勝
美術設定 - 長谷川弘行
色彩設計 - 佐々木梓
撮影監督 - 青嶋俊明
CG監督 - 那須信司
編集 - 西山茂
音響監督 - 岩浪美和
音楽 - 梶浦由記
音楽制作 -アニプレックス、フジパシフィックミュージック
アニメーション制作 - A-1 Pictures
製作 - アニメ「僕街」製作委員会
{/netabare}

《cast》
{netabare}
【主要登場人物・出演者】

藤沼 悟(10歳) - CV:土屋太鳳
藤沼 悟(29歳) - CV:満島真之介
雛月加代 - CV:悠木 碧
片桐愛梨 - CV:赤﨑千夏
ケンヤ - CV:大地 葉
ヒロミ - CV:鬼頭明里
オサム - CV:七瀬彩夏
カズ - CV:菊池幸利
白鳥 潤 - CV:水島大宙
藤沼佐知子 - CV:高山みなみ
八代 学 - CV:宮本 充
{/netabare}

《music》
{netabare}
【主題歌】
オープニング・テーマ
「Re:Re:」
作詞 - 後藤正文 / 作曲 - 後藤正文・山田貴洋 /
編曲・歌 - ASIAN KUNG-FU GENERATION

エンディング・テーマ
「それは小さな光のような」
作詞・作曲 - 梶浦由記 / 編曲 - 江口亮 / 歌 - さユり
{/netabare}
{/netabare}{/netabare}

投稿 : 2024/04/20
♥ : 94
ネタバレ

shino さんの感想・評価

★★★★☆ 3.8

踏み込まなければ道はない

「僕だけがいない街」
このタイトルに込めた意味はそうだったのか。
{netabare}僕だけが不在の時間こそが宝物なんだ。{/netabare}

秀逸なサスペンスとして名高い作品ですが、
容疑者が少なく絞られている為、
犯人当ては容易かもしれません。
加点要素なだけにここだけは残念。
ただスタッフはそこに重きを置いてないようだ。
素晴らしい構成と演出で、
ヒューマンドラマとして物語に焦点を当て、
緊張感が薄れる事もなく最後まで目が離せません。

舞台はある事件がきっかけで、
{netabare}現代から昭和63年へ。{/netabare}
主人公が記憶の奥底に沈ませていたあの冬の惨劇。
過去と向き合い救わなければいけない大切なもの。

勇敢にも踏み込まなければ道はないのだ。

健闘を祈る。

投稿 : 2024/04/20
♥ : 99

82.7 17 シリアスで友情なアニメランキング17位
琴浦さん(TVアニメ動画)

2013年冬アニメ
★★★★☆ 3.6 (2435)
12323人が棚に入れました
琴浦春香は、一見普通の女子高生に見えるものの、人の心が読める能力を持つ。
しかしそのことをきっかけに、周りを疎外するようになっていった。と
ころが転校してきた早々に出会った真鍋義久がきっかけとなり、徐々に心が解され、また彼に惹かれていくのだが…。

―2012年8月にテレビアニメ化が発表された。

声優・キャラクター
金元寿子、福島潤、花澤香菜、久保ユリカ、下野紘
ネタバレ

ARTof LIFE さんの感想・評価

★★★★★ 4.7

今期最大のダークフォース!6話観た感想

今期は期待大のアニメが豊富な中、この琴浦さんは現段階で1番期待できるアニメです。

6話、夏休み!
今回は夏休みに入ってESP研のみんなで海に遊びに行く、そんな日常の回でした。
しかし、{netabare}はるかーランドとか・・・、しかも森谷捕まってるし{/netabare}笑
真鍋の純情っぷりにもにやけてしまった。このヘタレが!笑
今回のED、自分的には微妙でした。
やっぱり初期の希望の花が今のところEDの中で1番好きです。
次回予告も毎回面白いですね^^
{netabare}「ブルブルー」、「ツルツルー」、「エロエロー」{/netabare}笑

5話、学園天国?
原作に忠実に進行していきます。
まあ、OP前に早速{netabare}段ボール箱が倒れてきて「完」となって終了してしまいますが笑{/netabare}
新婚ごっこ禁止とかニヤニヤです笑
というかこの回はいつにも増してニヤニヤしてしまうシーンが多くてよかったです。
{netabare}森谷教のポスターは笑えますね笑{/netabare}
エンディングが変わりましたね。「ESP研のテーマ」
もちろん歌ってるのはESP研の5人。
個人的には希望の花のほうが良かったかなー・・・

次回予告もモリモリでした笑

4話、変わる世界
今回は前回の続きで{netabare}春香の失踪後の1週間後{/netabare}から始まります。
しかし室戸大智のハッキング能力は凄すぎですw

みんなで向かった{netabare}春香の失踪先の{/netabare}駅の名前、{netabare}琴浦駅はツッコミ待ちということでいいのかな?w{/netabare}

その後は原作にほぼ忠実に作られていました。

来週からはどうストーリーが進んでいくのか、相変わらず楽しみです。

しかしこのアニメはOPとEDがセットですばらしいですね^^

3話、嬉しくて、楽しくて
だんだんとにやけてしまうシーンが増えてきました^^
真鍋が{netabare}森谷教(森谷道場)の男たちに殴られた件、ヒヨリという人間の悪魔っぷりがにじみ出ていましたね。{/netabare}相変わらず春香ちゃんは何も言わずに抱え込み、真鍋は春香のことを想い優しすぎる。

来週、{netabare}春香は戻ってくるのか?{/netabare}

原作をついに買ってしまいました!面白さはありましたがアニメでストーリーを知らないで観ている人はアニメが終わってから読むことをおすすめします。当然、ネタばれですから笑


2話、初めての……
{netabare}ESP研究会{/netabare}に入った琴浦と真鍋、部長はなんだか良い人そう^^目的達成のためにはちょっと貪欲そうだけど。
真鍋の口から琴浦に対しての{netabare}好き{/netabare}って言葉が出てきました。もうこれは急展開の予感?笑
森谷って子は典型的なのいじめっこってキャラ付け。個人的には嫌いなキャラだけれどもOPも出てきていることからこれからの変貌を期待。
OPはネットのうわさどおり春香が歌ってましたね。
早く来週にならないかなー^^


1話、琴浦さんと真鍋くん
OPが始まる10分までの時間、{netabare}とーっても鬱な展開に悲しくなる限りです。{/netabare}
しかし、{netabare}そんな展開だった分、真鍋くんとの出会いは俺自身まで嬉しくなってしまった笑{/netabare}
主人公の琴浦春香はD.C. 〜ダ・カーポ〜の白河ことりみたいですね。

OPはマクロスFのランカ・リーでおなじみの中島愛さんの「そんなこと裏のまた裏話でしょ?」です。
久しぶりに癖になってしまいそうなOPです。
コシコシコシ♪でもでもでも♪よしよしよし♪かもね♪www

EDは希望の花。OPと違い優しい曲調です。誰が歌っているかはまだ謎に包まれています。誰か知ってますかー?笑

1話だけでもう4度観なおしなんてめちゃめちゃはまっちゃってますね、俺^^

来週は花澤香菜さんのキャラも出てくるといいなー^^




これから、楽しく発展していけば良いと思います。
先が気になる今期のダークフォースです。
おすすめします^^

投稿 : 2024/04/20
♥ : 44

dbman さんの感想・評価

★★★★★ 4.2

第一話目から最終回のクオリティ

原作未読。

人の心を読めてしまう能力を持っている少女・琴浦春香の苦悩を描いた物語。評価が高めだったので視聴したところ、第一話目からして最終回ともいえるほどのクオリティに圧倒され、こちらも一気に最後まで観てしまったほどに楽しかった作品。

観る前は何の前情報も仕入れずに視聴を開始したため、表題『琴浦さん』やそのほんわかとした作画からは想像もつかなないほどにヘヴィな開幕に驚かされました。しかしながら主人公・琴浦春香(声:金元寿子)の可愛らしさと、もう一人の主人公・真鍋義久(声:福島潤)の人間性に魅かれ、すぐに引き込まれてしまった。

物語はシリアスと笑いのバランスがとても絶妙で、ほぼ毎回に渡り笑わされ、そして感動してしまうお話ばかり。とりわけエロスくんこと真鍋の底抜けのアホさとイケメンすぎる性格には何故か私までも救われてしまったw 演じている福島潤さんの主だった他作品は『このすば』のクズマさんくらいしか知らなかったけれど、アホの演技というかコミカルな役が大変にお上手で、彼の演技力も手伝って大いに笑わせて頂きました。

もちろん、琴浦さんの可愛さにどれだけ癒されたかって感じだけれど、こちらも演じている金元寿子さんのキュートすぎる声も相成って可愛さ倍増。こう言ったら失礼にあたるのかもしれないが、金元さんの声って“くぎゅ”こと釘宮理恵さんと勘違いしてしまうほどに声質が似ていると思うのは私だけなのかな。『ガルパン』カチューシャや『ココロコネクト』唯などことある作品で聴き違いしてしまい面目ない。

総評として、終盤近くのとあるエピソードでは多少の薄っぺらさや陳腐さを感じてしまったものの、最終回では2度も涙してしまったりと、終わってみれば傑作とはいかないまでも心に残る良作であったことは違いなく、存分に楽しませてもらった一作でした。まだ未見の方がおりましたらとりあえず第一話だけでもオススメしたい。


▼作品情報
アニメーション制作:AIC Classic
原作:えのきづ 漫画:全7巻
監督:太田雅彦
脚本:あおしまたかし
キャラクターデザイン・総作画監督:大隈孝晴

琴浦春香:金元寿子
真鍋義久:福島潤
御舟百合子:花澤香菜
森谷ヒヨリ:久保ユリカ
室戸大智:下野紘

オープニングテーマ「そんなこと裏のまた裏話でしょ?」歌:中島愛
エンディングテーマ「希望の花」歌:千菅春香

投稿 : 2024/04/20
♥ : 26
ネタバレ

てけ さんの感想・評価

★★★★★ 4.5

ストーリー構成、見せ方が秀逸。何度も笑ったし、何度も泣いたよ。

原作未読。

望む望まないにかかわらず、人の心が読めてしまう琴浦春香(ことうらはるか)。
幼少期から能力によって、周りを傷つけてしまい、自分の殻に閉じこもってしまっていたのだが……。


いやー、笑いました、泣きました。
まさかここまでしっかりしたストーリーで、見せ方も上手なんて予想していませんでしたよ。

このアニメを見て最初に気付くのが「ギャップ」でしょう。
それだけ1話が衝撃的でした。
でも、ただのギャップを狙ったアニメではありませんでした。
シナリオだけを追っていっても素晴らしい仕上がりです。

特に、笑いの中からストーリーの軸を引き出すテクニックがお見事です。
ギャグシーンの結果がそのままストーリーに反映されます。
{netabare}
主にエロ妄想ですね。
「心を読ませる」ことで琴浦さんの行動をコントロールできます。
{/netabare}
ポイントは、漫才をやるのではなく、視聴者にツッコミを入れさせて笑いをとるタイプのアニメだということです。
このタイプでは、ストーリー進行が止まらないため、ギャグによるごまかしがききません。


また、中盤にゆるい話がありますが、ちゃんと意味があります。
「心の成長」というテーマにしっかり絡んできますね。
{netabare}
シリアスとギャグのギャップ場面がない、中盤の話(EDテーマがギャグになる話)は、琴浦さんが人との距離感を掴むのに手間取っていることを示す、大事なエピソードだと思います。

琴浦さんにとってはすべて初めての体験。
楽しい夏休みや、友達との「普通の」距離感。
そういったものは、何もかもが新鮮だったはずです。

「信じることに慣れて、疑ってしまうこともあるものよ」

まったく人を信用しなかった状態から、信じすぎる方向に行きすぎてしまう。
人と人との距離感をうまく調整できていないことを表現して、最後の母親との和解に繋げるまでの心の成長過程を見せてくれています。
{/netabare}

・子どもの頃は何が正しくて何が間違えているか、本当にわからないものです。
・人と普通に関わってこなかった人間は、人をどこまで信用していいのか、つかめないものです。
・大人になってからは、自分をそう簡単に変えることはできないものです。

その辺を理解して感情移入すると、本気で泣けます。
視聴の際はギャグやギャップではなく、ストーリーラインと感情の変化を追って見て欲しいですね。


演出もうまいと思います。
BGMも良かったですが、見た目に関しても、二重、三重にトリックを張って、視聴者を騙しています。
{netabare}
犯人が女性警官だったことは見抜けても、その先の動機まではなかなか見抜けない。
リアルかどうかは別にしても、琴浦さんの境遇と同じだったから、というのは十分に説得力がありました。
視聴者は、今までさんざん琴浦さんが苦しんだシーンを見ているからです。
{/netabare}

ギャグも優秀、ストーリーも優秀、演出も優秀、キャラクターも優秀、音楽も優秀。
ジャンルとしてはラブコメかもしれませんが、ヒューマンドラマという言い方をしてもいいかもしれません。
{netabare}
「言(こと)葉」に「裏(うら)」がないからこそ成り立った展開。
そして、衝撃の1話を反対側から見せた、母親との和解シーン。
そこから琴浦さんと真鍋の告白シーンに繋げて締めくくったのは、タイトルに意味を持たせた、素晴らしい終わり方だったと思います。
{/netabare}
伏線も綺麗に回収し、本当に最後の最後まで魅せてくれました、大満足!

投稿 : 2024/04/20
♥ : 94

81.5 18 シリアスで友情なアニメランキング18位
花物語(TVアニメ動画)

2014年夏アニメ
★★★★☆ 3.9 (1682)
11004人が棚に入れました
神原駿河は幼い頃に死別した母から干からびた猿の手のようなミイラを譲り受けていた。曰く、その手に願えば、どんな願いでも三つだけ叶えられるという。しかし、その猿の手は、願いを叶える代償として最終的に身体と魂を乗っ取る怪異「レイニー・デヴィル」だった。駿河は二度まで願をかけてしまうが、先輩の阿良々木暦・戦場ヶ原ひたぎ達の助けによって怪異に取り込まれることは避けられた。しかし、後遺症として左腕が怪力を発する毛むくじゃらの猿の手となり、駿河はそれ以来左腕を包帯で隠して日常生活を送ることになる。
それからおよそ11ヶ月が過ぎ、駿河が三年生になった春のこと、駿河は奇妙な噂を耳にする。なんでも「悪魔様」に相談をするとどんな困った悩みごとでも解決してくれるという。悪魔の左手を持つ駿河は因縁めいたものを感じ、「悪魔様」の正体を突き止めようとする。そして「悪魔様」がいるという学習塾跡地へと向かうのだが、そこに居たのはかつての駿河の宿敵だった。
ネタバレ

れんげ さんの感想・評価

★★★★★ 4.3

「変態の阿良々木暦」の意志を、「変態の神原駿河」が受け継いだ物語。

2014年8月一挙放送。
全5話。


【前置き】

元々本作は、2013年に放送された「物語シリーズ セカンドシーズン」の中の一章として組みする作品なのですが、本作だけ時系列的に大きな違いのある作品ということで、別枠での放送が決定しておりました。
当初の放送予定は、2014年に放送された同じくシャフト制作のアニメ「ニセコイ」の後枠である6月中。
……が、制作上の都合で予定が変更となり、同年8月に一挙放送と相成ったワケです。

結果として蓋を開けると、セカンドシーズン放送開始から計1年以上も待たされたことになり、ファンとしては中々辛い思いをしました…。
(でもまぁ、傷物語の延期具合に比べれば……ね。)

ただ、視聴し終えた今となっては、本内容を別枠にした理由や、放送を延期しただけのクオリティに関し、全て納得のいくものでしたので、総じてとても満足しております。



【あらすじ】

かつて、どんな願い事も魂と引き換えに叶えてくれる怪異の左手を手にした女子高生『神原 駿河(かんばる するが)』。

阿良々木君との一件でその怪異は去ったものの、後遺症としてその左腕は怪力を発する毛むくじゃらの「猿の手」だけが残り、彼女はそれ以来、左腕を包帯で隠し日常生活を送っていました。

それから11ヶ月、彼女が高校3年生になった春のこと。
神原は、奇妙な後輩「忍野 扇(おしの おうぎ)」より、なんでも願いが叶うという「悪魔様」の存在を聞きます。

「願いの叶う悪魔」に因縁めいたものを感じた神原はその正体を突き止めますが、そこに居たのはかつてバスケットボールで彼女と競い争っていた相手『沼地 蠟花(ぬまち ろうか)』だったのです……。



【論じてみる】
{netabare}
本作は、セカンドシーズンの多くと同様に、主人公である阿良々木君の視点ではなく、各ヒロイン(今作では神原)を視点に物語が進みます。

そして、時系列で言えば阿良々木君が高校を卒業した後が舞台であり、アニメ内では本作のみ飛び抜けて一番新しいエピソードであることが分かります。
登場人物こそ少ないものの、劇中で一番新しいエピソードということで、時が経った各キャラクターを見れることは、それだけで十分新鮮味があり楽しかったですね。
この時系列ならば、別枠での放送にも納得でした。

まぁそれ抜きにしても、「レズ」「露出狂」「BL好きの腐女子」「ロリコン」「マゾヒスト」「欲求不満」等々……。
メイン個性を重ね着したような型外れなキャラクター『神原 駿河』を主軸に話が進むだけで、もう既に非常に面白いのですけどね。
シナリオとしてはシリアス方面の色が強いので、その個性も(少し?)抑え気味に描かれてはいましたが。


作画に関しても、セカンドシーズン以上に目を見張るシーンが多く、時間をかけただけの出来であったことは間違い無いでしょう。
水しぶきが上がるシーンや、以前にもあった神原家の本のドミノ倒し、それにお肉の生々しくも美味しそうな様(これは夜に見てはイケない!!)など、紙芝居の中にも趣向を凝らした絵が沢山あり、非常に見応えがあって退屈させられませんでしたね。



さて、本作で登場する、神原のかつてのライバル『沼地 蠟花』。
彼女は、疲労骨折で足を故障し、松葉杖での生活を余儀無くされてから、新しい趣味として「願い事を叶えてくれる悪魔様」を名乗り、不幸な相談事に乗っていました。
しかしそれは、「他人の不幸は蜜の味」という名の下で、その不幸話を収集するでしか無い、とても褒められたものではない悪趣味な生業だったのです。

『私に…、悪魔様に相談してくる高校生達の手紙は、それに録音した通話記録は…、私の何よりのコレクションだよ。』

淡々と、とても下卑た台詞を並べるものだとは思いましたが、実際に彼女のような状況下に置かれたら、そのような不幸話でも聞いて笑っていないと、自身を保てないのかもしれません…。
それが本当の解決策で無かったことは、「本人の真実」を聞いて分かりましたが…。

声を担当した阿澄佳奈さんは、基本的に見た目も内面も可愛らしく(加えて小さい)キャラクターを演じることが多いので、このような立ち振る舞いをするキャラクターは新鮮でしたね。(あっ、やっぱり小さいですけどね。)
ただ、やはり低音を意識していたとはいえ素の声は可愛らしいので、同じくシャフト制作の「魔法少女まどか☆マギカ」の佐倉杏子(声.野中藍さん)のように、基本的に可愛くて素直な子だったのが、あるキッカケによりちょっとムリをして悪ぶっている感じに思えましたね。
実際、この「沼地 蠟花」も、そういう子だったんだろうなと、私は思っています。


趣味敵とも呼ぶべき、神原の左手に宿る「願うを叶える悪魔」を、神原から奪った沼地。
ひょんなことからこの怪異の存在を知った彼女は、神原だけでなく、色々な噂を元に数々の悪魔の部位を見つけ出し、自らに取り込んでいたのでした。
それは、いつか自らが怪異そのものとなるのも同じ……。

それを本人は可哀想とは微塵も思っていない、そして誰に迷惑をかけているわけでもない。
それでも神原は、それを放っておくことは出来なかったのです。

偶然出会った阿良々木君(←服装もうちょぃなんとかならなかったの?)の助言の元、神原は彼女に、バスケットボールでの対決を挑みました。
彼女の趣味を止めさせる為…、そして彼女に真意を突きつけ…救う為に……。

「一番良いのは、やって後悔しないことだ。」

この時の神原の台詞には、グッときましたね。

この勝負での神原のプレーは、同作者の「刀語」を彷彿させる奇策そのものでしたね。
ただ私的には、この勝負自体は重要でなく…プレーの中で「負ケタクナイ」「私モダヨ」とお互いに人間味ある意思疎通が交わせたことこそが、物語の全てだったように思います…。
最後に阿良々木君が、神原に


『オマエは、正しいことをしたわけでも、間違ったことをしたわけでもないんだから…。

 オマエは……、青春をしたんだ…。』


と言ったように…。

こう、またなんとも綺麗な締め方をするところが、阿良々木君の格好良さですね。

「オマエくらいだからな、僕のトークのアンダーグランドに付いて来られるのは。」

と互い認め合うこの2人の関係は、時が経っても寸分も変わること無く、これからもこうあり続けることでしょう…。


エンディングは物語シリーズ定番、各ヒロインが歌う新作主題歌
『the last day of my adolescence』「神原駿河(沢城みゆき)」。
これも定番通り作詞「meg rock」に作曲「神前暁」…とはいきませんでしたが(神前さんが療養につき活動休止中の為)特に違和感無く、というより映像にグイグイ惹き込まれるカタチで、とても魅入ってしまいました。
(ラップの部分は、少し虚をつかれましたが。)

その映像というのが…、もし沼地と神原が中学時代にバスケットボールを通し仲良くなっていて…、悪魔なぞに出会うこと無く、高校時代をお互い過ごしていたら…というパラレルワールド。
そこでも沼地の足は怪我を負ってはいたようですが、同じ直江津高校のユニフォームを着てせめぎ合うラストシーンは、作中とは違ったカタチですが、ちゃんと沼地が救われていることが窺え嬉しかったですね。

泥沼ディフェンスで知られる「毒の沼地」と「神速天使 神原」の大勝負。
その勝敗は誰にも分かりませんが最後、ハーフラインから飛んでいた神原に…、軍配が上がることはあったのでしょうか……(笑)
{/netabare}



【吉報であり凶報でもある第2話】
{netabare}
そうそう、吉報であり凶報としても忘れてはいけないのが、本作第2話。

セカンドシーズン最後の物語『恋物語』のラストで、衝撃的な最後を迎えた『貝木 泥舟(かいき でいしゅう)』の生存が確認されたのは、非常に嬉しかったですね。
(と言っても、霊的な者が存在するこの世界観では、安心は出来ませんが…。)

詐欺師として、人を信じず、金に汚く、非人道的で、息を吐くように嘘をつく男、「貝木 泥舟」。
しかし、こと神原に対してだけは、

「本来そんなことは、天変地異が起ころうともありえないのだが、今日に限りお前が相手に限りっ!!

 …………特別だ……、お茶くらい奢ってやる…。」

と、優しく手厚く?接してくれるのでした。
なんだかんだで、予約までして焼き肉を奢ってくれてましたしね…。

しかし初顔合わせでの、あの神原をも出し抜く貝木の異常な脚力(というか走り方)には、思わず吹いてしまいました。
素で泣いてる神原も、可愛かったですしね。


貝木は、昔まだ神原の母親が神原を生む前…、まだその母親が「臥煙 遠江(がえん とおえ)」と呼ばれていた大学生時代…。
彼女に、淡い憧れの感情を抱いていたと告白します。

この貝木が、そのような過去を正直に?吐露するのは、これまた新鮮でしたね。
そんな昔話をしながら、「肉を食え肉を」と促しつつも、その憧れの人から「駿河を気にかけてくれ」と頼まれたことも告げたのです…。
もうここまでくると、ホント神原の思った通りの「無愛想だが親切な親戚のおじさん」みたいな立ち位置でしたね。


『俺はお前を騙さないし、俺はお前に害を成すつもりはない。

 だからお前は、俺を嫌いになれない。

 好きな奴がお前のことを好きなってくれるとは限らないのと同様…、

 嫌いな奴がお前のことを嫌いになってくれるとは限らないんだよ。』


彼が最後に差し出した『ゴーストバスター(←削除)貝木 泥舟』の名刺からも、この台詞の本心ぶりが窺えた気がしましたね。
しかしコイツはやっぱり、ほんと
「どーしようもない小悪党の癖に、言うことだけは格好えぇ。」
ですね。(↑誰の台詞かピンとキタ人は、通ですね♪)

「恋物語」以降、彼の人気はウナギ登り気味な感じを受けますが、何を隠そう私は(←誰も興味ねぇよ)彼の初登場時「偽物語」での小悪党でしかない頃から、メチャクチャ大好きなのです。
いやはや…、私は非人道的なキャラクターが好きなのかもしれません。
最も、それ故の強烈なアイデンティティーが、そのキャラクターにあってこそですけどね。
{/netabare}



【総評】

シナリオも良し、作画クオリティも申し分無し、サプライズもあったりと、私的には待たされただけの面白さは十分味わえた内容でした。
沼地の過去回想に関しては、かなり尺をとっていて長くは感じましたが、私的には絵のギミックを見るのも楽しみの一つなので、それ程気にはなりませんでしたしね。
総じてセカンドシーズンの物語の中でも、非常に見応えあり楽しめた作品でした。
(一挙放送だから印象値も違うので、後々どう変わるかは分かりませんけど。)

ただ、なにぶん長編の物語となってきた「物語シリーズ」なので、時系列や各々のキャラクターについて前情報は必須。
故に、初めての人の敷居が高くなってしまっているのは残念です。

それでなくとも、この演出も含めて合わない人は合わない作品だとは思いますし、見れば見るほど味が出る作品でもありますので、初見では今の評価程の楽しみを味わえない方が多くなっているように思えました。
全シリーズアニメ化を謳っているので、これから映画「傷物語」や「ファイナルシーズン」へと、まだまだ継続して制作されていく作品になるかと思いますが、その頃にどれだけのファンを獲得しているか、そしてどれだけのファンが残っているかも、作品の評価の別れ目となっていくことでしょう。

まぁ私は、このキャラクター達の良い意味で無駄な会話劇にトコトンハマった人間ですので、最後の最後まで付き合うこととなるのでしょうけどね。
そんな私には、この新作一挙放送の2時間は、とても贅沢なものでした。


さて、次は「傷物語」ですよね。
聞いた限りでは、2012年公開と耳にしていた筈……。

……………。

どこで世界線を間違えたのだ私はっ∑(゚д゚lll)!!


ではでは、読んでいただきありがとうございました。


◆一番好きなキャラクター◆
{netabare}『貝木 泥舟』声 - 三木眞一郎さん{/netabare}


◇一番可愛いキャラクター◇
『日傘』声 -日笠陽子さん



以下、どーでもいい駄文なので〆ます。
{netabare}

作中、神原と阿良々木君とがメールで、

神原【昔の知り合い(女の子)に、おっぱい揉まれた。】

阿良々木君【僕も混ぜて!】

と、やりとりする場面がありました。
(返事がなくて阿良々木君は、焦っていましたがwww)


なるほど……。
女子高生に対しては、こういう卑猥な返事がウケるということでしょうか……。

よし…よし………うん…、…今後はこう対応してみよう……グヘヘ。

………………。

…………。

……。


……あぁ、そうか…。


貝木の言葉を借りるなら……

「この件から俺が得るべき教訓は、今の自分には…女子高生から連絡が来ることなぞ、一切無いということだ…。」
{/netabare}

投稿 : 2024/04/20
♥ : 60
ネタバレ

Appleモンキー さんの感想・評価

★★★★☆ 3.9

タイトルなし

はぁー沢城さんを堪能できたぁー(*´Д`)
花物語というか、{netabare}百合物語{/netabare}でした。
EDでも{netabare}百合{/netabare}が出てたし、神原も{netabare}「キスしておけばよかった」{/netabare}発言もあり(笑)

今回、{netabare}貝木さん{/netabare}出番ありましたね~
{netabare}恋物語のラストがラストだったのでどうなったかと思いましたが。依然、幽霊説はありますが。。。{/netabare}

ラストの{netabare}ドミノ{/netabare}は秀逸(笑)

投稿 : 2024/04/20
♥ : 83
ネタバレ

kazunyanzu さんの感想・評価

★★★★★ 4.3

ときはなつ ダンクシュートに この想いЮ へ(д・` ✿)

<物語>シリーズ セカンドシーズン 「花物語」全5話

化物語、「するがモンキー」にて描かれた

バスケ・全裸・ひたぎラブ♡・爽やか美少女『神原駿河』の
左腕にとり憑いた怪異、“猿の手”もとい、モフモフ毛むくじゃらアームが

その後どーなったのか?というお話し―


始まってすぐは気付きませんでしたが本作、
物語シリーズの中でも時系列がかなり進んでいるようで
『阿良々木』くんや『ガハラ』先輩はもう高校を
卒業してしまっていて、『神原駿河』が
3年生に進級した頃のお話しのようであります_((Ф(・ω・`)

黒髪(紫?)ロングを二つに結わえた
制服の下にスパッツをはいたお馴染みのスタイルが
すっかり板についている『神原』選手!!

シリーズ通して久々の登場、再会に気分もわくわく(o>ω<o)

しかしながら、本作は物語シリーズの数あるお話しの中でも
特に、シリアスな描写が多めの印象!! を受けました―

〇〇先生…バスケが…バスケがしたいです。゚(゚´Д`゚)゚。

との思いが頭の中を駆けめぐってしまう
そんなお話しの展開でありました(つω・`。)ヾ(・ω・`)ドーイウコト?

何かと申しますと
中学時代に『神原』選手のライバルだった
『沼地 蠟花』というバスケ少女 (本作のキーパーソン)
が”とある出来事”がきっかけでバスケをやめてしまう…

その後、彼女がどうなってしまったのか…
さらには『神原』選手の左腕にとり憑いた怪異、“猿の手”
がその後どーなったのか…? という点においても
その『沼地 蠟花』が大きく関わってくる事に…!?

彼女と再会することになった『神原』選手がかつての盟友へ
向けて”バスケットボール”という会話劇を舞台に
その想いをぶつける!!

その度々交わされる会話の中において、
名言とも言えるべき台詞、考えさせられる言い回しの数々…
正義とは!? 悪とは!? 願いとは?…逃げるとは?… 後悔とは…?
などなど実に深いお話しが散りばめられていて
興味を惹きたてられます|ョω・)ジィーッ

うん、とりあえずもう登場人物ほぼ2人っきりの物語♡

あ、でもでも、『阿良々木』くんが後半
ちょぴっとだけ、頼もしく登場なのです!

って髪長ぁぁぁぁ川゜Д川ww

あれは…、高みー(※1)とかアルト君(※2)…、
いやもう貞子レベルですなッ(`・ω・´)キリッ!!

※1 THE ALFEEのメンバー  ※2マクロスFの美少年主人公


ん|д・)? 何なに? 早く…
✿・д・)-<アンリミテッドルールブック…ブツブツ

『斧乃木』ちゃんが早くボクのレビュー(憑物語)へ
アンリミテッドルールブックするよ! イェーイ! ピース(๑・ω・>)ピース
との催促が半端じゃないので本作のレビューは…

ここまでにして_((Ф(・ω・`)

続けて「憑物語」のレビューに移らせて頂きます!


まとめて―
相変わらずのシャフト演出と巧みな会話劇にプラスして
本作ではちょぴりシリアスモードと原作を知らない私にとっては
意外な展開|д・)にこれまた、ハッとさせられ、そして…

『神原』選手の… {netabare}胸を…鷲掴みにドキッ {/netabare}(*/ω\*)♡ヾ(・ω・`)コラコラ
と、今作も楽しんでしまったことは言うまでもないだろう( ・´-・`)



さてさて、そろそろアンリミテッド…
ちょ、『斧乃木』ちゃん…弱めの低空ルールブックにしてネ(*´-`*人)

投稿 : 2024/04/20
♥ : 56

81.9 19 シリアスで友情なアニメランキング19位
ぼくらの(TVアニメ動画)

2007年春アニメ
★★★★☆ 3.7 (1881)
9778人が棚に入れました
政財界の権力者たちは、「子供たちの契約を解く鍵を探す」という建前の元に、ジアースの技術を研究して産業や軍事に利用しようとする。子供の親たちは、子供を救う方向に世論を動かす為に、ジアースの情報公開を目指して協力し合う。しかしその企ても権力者の陰謀によりつぶされ、子供たちはこの地球からも孤立してゆく。

声優・キャラクター
皆川純子、阿澄佳奈、野島健児、三瓶由布子、牧野由依、能登麻美子、浅沼晋太郎、比嘉久美子、宮田幸季、高梁碧、織田圭祐、井口裕香、杉田智和、保志総一朗、阪口大助、東地宏樹、石田彰

IraIra さんの感想・評価

★★★★★ 4.3

アンインストール

鬱アニメ作品で検索すると殆どのQ&Aに名がでる鬱作品。
途中で諦めないで最後まで見て欲しい作品です。
私はこの作品をすべて見終わった後、2,3ヶ月はこの作品が頭から離れませんでした。しかし1話からの戦いが最終的に無かったことになるようなアニメだったら頭からすぐ離れていったでしょう。そこが鬱アニメ好きにはたまらないのですが…
鬱アニメが好きな傾向の方は平気かと…、見る人によっては結構重いかと思いますので、あまりお奨めできないです。
勝手にジャンル付けするならばロボットものですが、ストーリー自体が独特の世界観に重点しているので、バトルものの様なアクション性は少ないです。OPだけ見るのもありかと。

投稿 : 2024/04/20
♥ : 18
ネタバレ

みかみ(みみかき) さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

解釈することが、できないことのこわさ

■意図的な「雑な死」の表現

 「死」の表現が雑な話には二種類ある。
 単に「人が死ねば悲しいだろう」と思ってあざとい感動エピソードとセットにされて、どかどかと人が死ぬ話と、そもそも「死の瞬間」というのが雑な形でしか到来しないという無意味さを描こうとする話だ。
 「あざとい死」がただの泣かせの安っぽい方法論であるのに対して、「乱暴でちゅうぶらりんな死」というのは死そのものを描くことが話の目的になる。死の表現の雑さ、という点においては両者は同様なのだけれども、「死」に対して物語上の意味が与えられていれば前者のような表現になるし、物語上の意味が意図的に放棄されていれば後者のような表現になる。
 この表現は、決してわかりやすいものではない。
 正確にいうと「わかること」ができない。
 人が死ぬ瞬間、というのは、だいたい、たいした理由はない、というそれ自体を描こうとしているわけだから。

■ちゅうぶらりんな死

 いろいろな思いをかかえていた人間があっけなく、なんの理由もなく、理不尽に、ランダムに死んでしまう。そういうかたちで、多くの場合、死は突然にやってくる。「世界をすくうための崇高な犠牲として死を自覚的に選択できる」などというようなことはまず、ない。「ループする世界のはてから脱出するために死を選択する」とか、そういうことも、およそ幸福で稀な事態であると言ってよいだろう。

 鬼頭 莫宏という漫画家は、そういう、理不尽で偶発的な事件が、突如として悲劇としてあらわれてくるような。そういう事態を繰り返し、繰り返し描いている。そこには、巨大な情熱も、巨大な失望も、抱く間が無い。間抜けな形で到来する。


 鬼頭作品は、そもそもそういうタイプの世界の乱暴さを描く話だった。そういう世界の乱暴さばかりを描いてきた作家の仕事としては、『ぼくらの』はやや丁寧に属する部類の仕事だ。設定がこっていて、「死」を迎えるまでの時間が、ほんの短い時間ではあるけれども、ゆるされている。
 だけれども、やはり、その時間は「ほんの少し」だ。しかも、人生で何かをなしとげた人間の時間ではなくて、まだ何もなしとげていない少年少女たちの時間だ。
 死の前の少しの時間の暮らし方は、やはりどう転んでもぶざまだ。ぶざまで、感情移入をするまでには、時間が足らない。時間が足らない、その時間の足らなさ、こそが不気味な表現になっている。
 彼ら/彼女らのなかにある十分な物語を知る時間もあたえられず、ちゅうぶらりんなまま、人がぼろぼろと死んでいく、そういう乱暴な風景こそが、『ぼくらの』の醸し出す物語の怖さだろう。

 エンターテインメントとしてみてみれば、なるほど、描写は不十分ともいえるかもしれない。映画でいえば、絶対にアカデミー賞はとれないだろう。エンターテインメントとしては、ぎりぎりのバランスで成り立っている。わかりやすくないから。
 だけれども、わかりにくいもの、ばかりが世界にはたくさんごろがっていて、そのわかりにくさの、違和感のようなものを、ごろっと露呈させてみせる、その違和感があらわれる瞬間。そこに何かを感じ取ることが可能かどうか、ということが、鬼頭の書く物語を良いと思うか、悪いと思うかということの評価へと直結するだろう。ある人は、その違和感にたじろぎ、ある人は単に雑なものだと感じるかもしれない。


■セカイの生き死に自体がちゅうぶらりん

 ただ、こうした死の乱暴さそのものは、は実は決して知られていなかったものではない。世界の名作文学でも映画でもいい。あるいは、高名な哲学者の議論でもいい。戦争にいったことがない我々でも、そういう乱暴な死が世界中によこたえていることは知っていた。

{netabare} 『ぼくらの』の特殊性は「個人の死」が乱暴で、いいかげんで、ちゅうぶらりんに訪れるというだけでなく、「セカイの死」自体も、いいかげんで、乱暴で、ちゅうぶらりんな形でしか訪れない、ということだろう。
 この話は、「凡庸なぼくたち」が、セカイを救う物語であると同時に、セカイを滅ぼす話でもある。セカイを滅ぼす理由も、救う理由も、これといって明確な理由はない。サイコロを転がして決めているのといっしょだ。ただ、その過程に、たたかいを挟むから、じゃっかん本人たちの努力が可能なだけで、たたかいをする巨大ロボットが強いかどうか、ということはサイコロを転がすのと何もかわりはない。

 「セカイの成立」自体が乱暴で適当だという想像力は、「生命」自体が乱暴で、適当だという想像力の、さらに先にある、おそろしさをもっている。

■セカイ系作品としての異質性

 いわゆる「セカイ系」作品は、少年少女の憂鬱や、情熱の程度によって世界が救われたり滅びたりする。ハルヒしかり、エヴァしかり、エウレカしかり。
 「ぼくらの」もセカイ系の一種だと考えることはできる。滅びるべき世界/救われるべき世界は、「頑張らなければ世界がほろびる」。だが、そうは言っても、異世界の少年/少女たちもまったく同じ状況におかれているという点で、ロシアンルーレットの弾をこめるような意味においてしか、少年少女の憂鬱や情熱には意味がない。

 「セカイ系」においては、世界の救済や滅亡と、少年少女の情熱が、ダイレクトにつながる、ということが少年少女の「わたしには価値がある」という承認欲求を満たすものとして機能していた。
 しかしながら、『ぼくらの』はそういった構造を完全に逆転している。「わたし」ががんばろうが、がんばるまいが、どこかでセカイは滅び、どこかでセカイは残る。わたしの努力は「このセカイ」に対してこそ、一定の有効性はもつが、努力や情熱はごくむなしいものとしてしか、与えられない。少年少女は、みなロシアンルーレットの弾丸、としてしか役割を与えられていない。

 セカイ系の設定をかりながら、<「わたし」の承認欲求を否定するセカイ系>というごく、無残でみじめな世界を示すことを、あえて提示してみせる。
 鬼頭的な、世界の乱暴さをつきつけるという仕業、セカイ系という少年少女の逃げ場を否定することで、どうしようもなく、成立している。
 おまえらに、逃げ場なんてねぇんだぞ、と。
{/netabare}

■作品比較:『イキガミ』『バトルロワイヤル』

 なお、本作とある程度ちかい設定をもった作品としては、『イキガミ』『バトルロワイヤル』などがあるだろうが、いずれも世界の乱暴さを描くという点においては、『ぼくらの』の足元にも及んでいない。

 たとえば、『イキガミ』は、死にいたるまでの、当人たちの「物語」があまりにもきっちりと完結しすぎており、世界はあまりにも残酷ではなさすぎる。死にはきっちりとした意味があたえられ、物語世界はあまりにも簡単に解釈をゆるしてしまう、安易な「いい話」以上のものにはなりえていない。(そもそも心理描写の水準のだめさや、人間観のバラエティがステレオタイプに満ち満ちていて、論外なあたまのわるさ……ということはあるが、それをさておいても、そうだ。)

 また、『ぼくらの』がもし、失敗しているとすれば、やはりエンターテイメントとして作品をみる、という作法以外に作品を見る方法を知らない読者や視聴者層を大量に相手にするマーケットで作品をリリースしているということだろう。そういう視聴者層には、この表現は単に物足りない表現としてしか届かないケースが多い。つまり、『ぼくらの』は失敗している。作品の内容において、ではなく、売り出し方において失敗している。
 その意味では、エンターテイメントとして暴力表現を前面に押し出した『バトルロワイヤル』のほうが、大勢の人への伝わりやすさという点では、『ぼくらの』よりも世間的なインパクトは獲得できている
 しかし、『ぼくらの』の描く死はどうしようもなく中途半端であるゆえに、『バトルロワイヤル』などよりもはるかに残酷な風景を描いている。我々は、恍惚のうちに死ぬことができない。


■漫画版と比較して

 漫画のほうは、まだ全部はよみおわっていないのだけれども、おおむねアニメ版のほうが、見やすかった印象がある。一話完結である程度、はなしの起伏をつけているので。アニメの方がエンタテインメントとしては優れているだろう。
 エンターテインメントとしてではない、評価としては漫画のほうがすぐれているという人も多いかもしれない。
 わたしは、アニメのほうがやや気に入った。単純に映像もきれいだったのいうのもある。

■関連推奨作品:『パルプ・フィクション』『いのちの食べかた』

 なお、アニメでも漫画でもないが、本作が好きな人にすすめたい作品としては、
 まず映画ではもはや、古典ともいえる地位を獲得しているタランティーノの『パルプ・フィクション』は高い確率でハマるだろう。人が乱暴にしんでいく作品としては、まず多くの人が挙げるものだろうと思う。
 また、私個人のおすすめとしては、ドキュメンタリー映画『いのちの食べかた』をぜひおすすめしたい。『ぼくらの』に続けて、このドキュメンタリーをみたひとは、確実にゾッとする体験をあじわえるのではないか、と思う。

投稿 : 2024/04/20
♥ : 32
ネタバレ

ポール星人/小っさ さんの感想・評価

★★★★★ 4.2

鬱と言うより泣かせメインの作品。昭和の戦争映画的かも。

点数上方修正します。
いい作品だと思ったし不満もそれほどないので、平均4.0では低すぎかなと思いまして。
/////////////////////////////////////////////////////
観終えましたので追記

 どうも後半のアニメとしてのアレンジが評判悪いみたいですが、私はそれほど気にはならなかったですね。
私が観たのが休日だったのも有りますが、飽きずに一気に観れましたです。
原作未読の私なんぞは、こういうお話なんですと言われれば素直に受け入れられましたです。原作に比べるとかなりソフトにアレンジされてるとの事ですが、充分救いの無い世界ですね(汗)
もう基本シチュエーションだけで残酷な上に、個々の子供たちの身の上まで不幸な訳でちょっとツラい作品なのは間違いないです。
私的には特にダイチの回とマキの回は泣いちゃいましたね。これは私が親だからってのもあるでしょう。赤ん坊・幼児が絡むとオッサンとしては涙腺がユルユルになってしまうもんで(汗)
 確かに重い話ではありますけど僅かながらも光明射す終わり方する作品でもありますので、それほど鬱だ鬱だと臆することなく観てもイイんではないかと。客引きのネタとして子供たちの死を利用した悪趣味な作品とは私は感じなかったですね。
 但し、個人的には女の子持つ男親は観ない方がいいかなと。
チズの件がちと、ね。
うちは息子だからまだ良かったです(汗)

 ただ、やはり契約してしまった子供達の姿には私は若干の違和感感じましたです。
{netabare}
 勝っても負けても死しかないと言う状況下で、あそこまで狼狽しないなんて達観しすぎじゃないかなと(汗)
ワクとコダマは自らの置かれた状況を把握することなく死んでますから別として、どうも皆13歳らしくない腹の括り方に見えるというか・・・。
ここら辺は個々のシーンをどう観たかと言う個人的な差異はあると思いますけども。
個々の心情描写にムラがあるというか、バックボーンは丁寧に見せる割には戦闘前後の姿の見せ方がアッサリ目な気がします。
13歳の子供が我を失って醜い姿を晒すなんてシーンばかりでは、流石にTV的絵面では無いと言う判断だったんでしょうか?
ここ最近はそういう心理面の描写が巧み且つ生臭いアニメも多い気がするので、今コレをアニメ化したら違ったイメージの作品になるのかもですね。
裏を返せば2007年制作のこの作品には、チズのエピソード以降に関しては散り際の潔さと儚さによる美談として概ね纏めようとしてる作り手側の意図が感じられる気がします。
世間で言われるほど鬱な作品では無いとの感想抱く方居るのも納得です。
私も視聴前は、死を前に泣いてわめいて命乞いをして自暴自棄になる子供達の生き地獄を延々と見せられる強烈な作品と思ってました。
完全に勘違いでしたw
まぁそんなドSな世界にカナちゃん放り込まれた姿は見たくないので、アニメ版位で良かったんだと思います。私的には彼女とダイチの妹が成長した姿だけがこの世界の救いのビジュアルでした(汗)
{/netabare}

人物の細かい描写の不満点とか時系列で?なところが僅かに気になりましたが、アニメ版も単独の作品としての話の収め方も悪くは無いと思います。
子供達主体の中盤までとタモツさんが出てくる辺りの終盤ではなんか別作品みたいな印象も受けるけど、チグハグな印象は無いです。
因みにこの作品も主人公たちの物語は完結するけど、世界の謎の全容は明かされないタイプの奴なので、そういうのがお嫌いな方はスルーした方が良いかも。

どうやら死に対するスタンスが随分と違う様子ですので、機会が有れば原作も読んでみたいですね。

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 以前から観たいと思いつつも、期待していた故に出来に失望したら嫌だなという事で手を付けず。盆の連休だから鬱々するのもいいかなと観始めてみました。
話の骨子は知っているつもりなので、もうしょっぱなから心が苦しいですね。こんな良く言えば悲しい、悪く言えば悪趣味な作品よくも考えたと思います。うちの子はまだ小学校にも上がってませんが、自分の子が・・・と思うとちと抵抗はあるんですよね。
だったら観なけりゃいいじゃんとも思いますが、残酷でも素晴らしい作品なのか否かは自分で感じたいなと思いまして。

 まだ2話しか見てませんが、確かに感情に纏わる描写に違和感有るかもですね。子供でも判るであろう異常なシチュエーションでも異常な程の感情の昂りが有る訳でも無く、ワクの転落に対する狼狽の無さも然り。

投稿 : 2024/04/20
♥ : 15

87.2 20 シリアスで友情なアニメランキング20位
灰と幻想のグリムガル(TVアニメ動画)

2016年冬アニメ
★★★★☆ 3.9 (1952)
9387人が棚に入れました
薄暗い森の中、わずか2体のゴブリンを相手に苦戦を強いられている6人の少年少女がいた。
盗賊のハルヒロ、暗黒騎士のランタ、神官のマナト、戦士のモグゾー、狩人のユメ、魔法使いのシホル。
彼らには、ほんの数日前、暗闇の中で目覚めてからの記憶しかない。
自分たちが、どうしてこの世界――『グリムガル』にいるのか、わけもわからないまま、彼らは見習い義勇兵として歩み始めた。
ここで生きるために――。

主人公・ハルヒロがある日突然迷い込んでしまった世界・グリムガルにおいて、“生きるために”過酷な環境や仲間との絆に向き合っていく様を描いた青春群像×ファンタジー作品。

声優・キャラクター
細谷佳正、吉野裕行、島﨑信長、落合福嗣、小松未可子、照井春佳、関智一、浪川大輔、安元洋貴、能登麻美子
ネタバレ

scandalsho さんの感想・評価

★★★★★ 4.9

主人公最強の対極、リアルな異世界ファンタジーバトル

原作未読。キャッチさんからの紹介で視聴。

ゴブリン相手に四苦八苦するような6人組の弱小パーティの物語。
主人公最強ではない、リアルな設定の物語です。

主人公たちの成長があまり早くないので、特に前半はテンポが悪く感じるかも。
個人的には、4話区切りで物語が大きく転換していく、バランスの良い構成に高評価。
{netabare}1~4話は、物語の世界観の説明とマナトの死。
5~8話は、メリイの加入とマナトの敵討ち。
9~12話は、メリイの昔の仲間の敵討ち。{/netabare}

作画は水彩画のような街並みと、最後まで乱れなかった人物の描画はお見事。
バトルシーンも迫力があって、とても良かったと思います。

キャラには私の苦手なタイプが一人・・・。少しマイナス評価。
空気の読めないお調子者は苦手なんです。
しかも口が悪い。性格もイマイチ。
この嫌な感じが『SHIROBAKO』のタローみたいだと思っていたら、やはり同じ声優さんでしたか。

続きも見てみたいと思える作品でしたので、第2期を期待したいです。

投稿 : 2024/04/20
♥ : 94
ネタバレ

101匹足利尊氏 さんの感想・評価

★★★★★ 4.2

【鑑賞日記・完】RPG愛、そして……ゴブリン愛に満ち満ちたファンタジーアニメ

原作ライトノベルは七巻まで購読中。

☆総評

かつて『Wizardry~ウィザードリィ~』等の古典的ロールプレイングゲームにおいては、
物語はクリエイターからプレイヤーに一方的に下賜されるものではありませんでした。
自作した様々な種族、職業のキャラクターでパーティを組み、
ヒットポイントの削り合いに一喜一憂しながら、
冒険者たちのストーリーを夢想したものでした。

その為、プレイヤーの中には過剰とも思われる妄想力を膨らませる者も現れました。
『Wiz』についても、例えばゲーム雑誌投稿コーナー「ウィザードリィ友の会」に、
俺達が考えた冒険ネタを持ち寄る猛者達が実在したのです。

単なる数字の増減に過ぎないRPGに、時間を湯水の如く投入するに止まらず、
その上、物言わぬ自作キャラ達の妄想ストーリーを爆裂させる。
さらには個々のモンスターの“人間ドラマ”まで展開する。
端から見れば正気の沙汰ではない、恐ろしくマニアックな試みw
けれど、テーブルトークRPGのコンピュータ上での再現たる、
ビデオゲームのRPGにおいて、妄想こそ王道でもあったのです。

本作はそのスピリッツの継承を存分に感じられる作品です。

正直、これがリアルな青春……だとは私はあまり思いません(苦笑)
24時間ネタ全開の暗黒騎士や、クレッシェンドゥゥゥ!な義勇兵なんて、
現実世界にはあまりいないでしょうしw

ただ、本作にはファンタジー世界に放り込まれた少年少女が、
どんなことを感じ、生きていくか……。
膨大な量の妄想とその成果たる心理描写が積み重ねられています。

その結果として普段あまり冒険に出ない視聴者の中にも、
リアルな人間ドラマという感想を抱く方がいて頂けたなら……。

昨今、進化が著しいロールプレイを重視した海外製RPG等の隆盛と併せて、
あの時、繰り広げた俺達の妄想も無駄でなかったのだなぁ……。
と、妙な感慨に耽ることができるのです。

☆声優に“芝居”をしてもらうためのアフレコ現場改革

本作のアフレコ現場では、まず監督からキャストへの方針説明等から始まり、
その時々のキャラクターの心情や、それを声で表現するため入念な打ち合わせが重ねられ、
声が当てられていったそうです。

……当たり前じゃないか?と思われるかもしれませんが、
これが当たり前じゃないのが、依然、地位向上半ばの声優業界の惨状でして……(苦笑)

基本、台本だけ渡して、一人一人、声当てて、問題なければお終い。
酷い現場になると「テキトーに声当てとけばいいよ」と投げやりな有様w

これだと、声優たちが一発でOKをもらうために、
味付けの濃い萌えイケメンキャラボイスを当てる、反射神経は発達しても、
一人の人間を“芝居”で表現する演技力の向上など望むべくもない。

こうした声優業の現状に対する監督の問題意識が、
本作の声優の“芝居”からは存分に感じることができました。
結果、二次元世界の中に人間を感じることができた。
という視聴者が出てきたのも必然だったと言えるでしょう。

6月のファンイベントでは声優陣が朗読劇を披露する演目もあるとのこと。
声優の“芝居”の力を磨く、大変素晴らしい試み。どんどんやって欲しいです。

☆(K)NoW_NAMEとフィルムスコアリングについて

本作は主題歌、挿入歌、BGMに至るまで(K)NoW_NAMEという一つのアーティスト集団に、
一括して任せる方式を選択。

さらに、あらかじめある劇伴からシーンに合わせてチョイスする
連続テレビアニメで通常とられる方法ではなく、
シーンに合わせてBGMを制作するフィルムスコアリングを採用。

一見、無思慮にフルでごり押ししているだけに思われる挿入歌も、
スタッフから場面の内容と求める音楽の方向性を(K)NoW_NAMEに伝えた上で、作曲されたもの。

そのため、例えば四話挿入歌は二番があれば五分超になりそうなバラードですが、
尺に合わせて一番からそのままラスサビに突入し、三分台にまとめられ、
反対に七話及び八話の挿入歌はアップテンポですが、五分を越えるなかなかの大作に仕上がっています。

この方式を貫くのはかなりしんどかったと思います。
事前にシーンイメージを伝えるためには、作画工程の前倒しが必要でしょうし、
その上、本作はアフレコでも丁寧に時間をかけている……。

序盤、歌だけで声がほぼ消滅したのは、この辺りの工程管理の切迫によるものでは?
という個人的な疑惑が払拭できませんw

私は気が付きませんでしたが、中盤ではキャラがホバー移動する謎作画もあったとか(苦笑)
スタッフのみなさん本当にお疲れ様でした。

音楽担当者ともコミュニケーションを密にして丁寧にアニメを製作しよう
という方向性は評価したいです。

☆声優・落合福嗣について

キャスト発表時は話題作りのネタとしか思えなかった、
三冠王の息子の主要キャラ・モグゾー役起用。

声を当てるのは上手くないですがw
善意で捉えると、濃い口のキャラボイスを提供する既存の声優とは違う、
人間モグゾーと“どーも斬”の表現を追求した結果だとも思います。

もっとも、福嗣さんも声優事務所の振るい落としを兼ねた養成課程に身を置く、
“ちゃんとした声優”のステレオタイプをなぞっていますし……。
単に新人でギャラが安かっただけとも考えられますし……。
或いは、朗読イベントでモグゾー役がリアル世界に出てきた場合、
中の人がマナト役の島﨑信長さんに匹敵するイケメンだった時の
観衆の困惑がスタッフの頭をよぎったのかもしれませんw

ちなみに原作では“若干のろいが頼りになるくま”とキャラ紹介されているモグゾー。
そう言えば、福嗣さんは今期『霊剣山』でも格闘クマ役などで出演されていましたw

男性声優もアイドル化が定番化する昨今……。
体型から違う福嗣さんには世代屈指のクマ声優として生き残る芽があるのかもしれませんw
この声優業……ただの金持ち息子の道楽では終わらないかも。そんな予感もします。


以下、鑑賞日記。途方もなく長いので折り畳みw
{netabare}

「ささやき、詠唱、祈り、目覚めよ」

原作一巻目及びアニメ第一話のこのサブタイトルにピンと来てしまった、
例えばゲーム初挑戦がゲームボーイ版『Wizardry~ウィザードリィ~外伝Ⅱ・古代皇帝の遺産』だった、
私のような古参の冒険者には、ほぼ視聴が義務付けられた作品w

以下、私の期待が迸った、勇み足な長文w

{netabare} サブタイの元ネタはその『Wiz』シリーズより。
法外なお布施を巻き上げたカント寺院が唱える蘇生呪文、
「ささやき-えいしょう-いのり-ねんじよ!」から来ています。
(で、失敗して灰になろうが、ロストしようが、医療ミスは一切認められず、
前金もビタ一文返金されず、「まいそうされます」の一言で済まされますw)

『Wiz』シリーズは序盤が本当にキツいゲーム。
軌道に乗れば、大魔神を一撃で屠れるようにもなりますが……。
それまでは追い剥ぎにあっさり殴り殺されるw
少し体力がついたと思ったら忍者や修行僧に首を飛ばされるw
ボルダック商店はぼったくりw
など難行苦行の連続w

原作はそんな古典的ロールプレイングゲームにおける
パーティ育成の苦しさを、現実的なシーンに落とし込んでどう伝えられるか……。
腐心した大変RPG愛に満ちた小説です。

で、本作の主人公パーティーの特徴を一言で申しますと……。


 弱 い !!


華やかな英雄譚など始まる気配すら感じない、圧倒的な弱さw
ろくに射撃もできない狩人に、
クセのあるスキルを使いこなす頭もないのに上位職業に就くイタイ奴……。
唯一回復役兼リーダーは多少頭が切れますが、
厳しさが足りない背負い込み屋で、戦闘はいつもギリギリw
もし私がこのパーティーで『Wiz』で冒険に出ろ!と言われたら、
ファーストエンカウントで全滅させる自信がありますw

というより、リーダー以外は『Wiz』基準では冒険者の水準にも達していませんw
訓練場のキャラ作成にて、ポイント不足でダンジョンに挑んで全滅する以前に、
プレイヤーにリストラ、消去されるレベルw
或いは、序盤、多数の捨てキャラから初期装備を剥がして足しにする金策要員w

実際、原作ではこうした要素をストーリーにしたシーンもあり切なくなりますw


個人的にはRPGは行ける!と思った時が一番危ない。
一寸先は地獄、全滅、灰、ロストwという
古き良き時代の素敵なゲーム文化を再生し得る期待のアニメです。
でも一方で、原作の地道なレベル上げを映像化し、
今のプレイヤーに伝えるには、一工夫も二工夫も必要だとも思います。

原作は主にラノベらしいキャラの掛け合いで、
重苦しさ一辺倒にならず、リズムを作っていましたが、
テキストレベルでは、会話でも良くても、
エンタメ映像としては盛り上がりが不足する懸念があります。

その辺りを制作のA-1 Picturesがどう料理するのか。
スタッフは違いますが、『ソードアート・オンライン』を、
時系列整理しアニメ化成功に導いたスタジオの経験値がどう生きるかが注目点。

『灰と幻想の~』のメインタイトルもまた、ベニー葉山氏による、
初代『Wiz』のノベライズ『小説ウィザードリィ~隣り合わせの灰と青春~』が元ネタだとのこと。
そしてベニー葉山氏は上記の私の初ゲーム『ウィザードリィ外伝Ⅱ』のシナリオ担当でもあります。

そんな浅からぬ縁も感じながら、主人公と一緒に苦行したいw
2016年冬の期待作です♪{/netabare}

各話感想{netabare}
第一話{netabare}
早速A-1の時系列整理スキルが炸裂。
元々展開の遅めな原作に無理に鞭を入れずに、
回想も活用しつつ視聴者の集中力を持続させる作戦に出た模様。
集中力維持の工夫は、水彩画風の背景や、
小動物の描写や、キャラの細かい仕草からも実感できました。

そんな中でも最初の戦闘シーンで、しっかりと伏線の強調がなされていました。
RPGにおいて、序盤のパーティーでは大変危険なことを、
この人はやってしまっています。

具体的に触れるとネタバレになるので言いませんw
ロープレ経験者なら分かるとは思いますが……。
後のお楽しみ。クイズということでご勘弁下さいw

それを最初にさりげなく、後々伏線として生きるように、
しっかりと描けている。

後の展開に期待が持てるいい滑り出しでした♪{/netabare}

第二話{netabare}
評価の分かれそうな回となった印象。

ゴブリンをやっとで倒した壮絶な描写があった後は、
歌をバックに夕暮れの日常が淡々と続く……。

私はこの雰囲気も好きですが、人によっては退屈しちゃうかもw

ただ一つ心に留めておいて頂きたいのは、
立ち上げ直後のパーティーは生き残りのため
もっと沢山のシビアな思考が必要であるはずということ。
情報収集しかり、金策しかり、編成しかり……。
なぜそれが見えてこないかというと、リーダーが全部抱え込んでいるから。
もっとメンバーと情報共有してもいい所ですが、このリーダーはみんな一人でやってしまうタイプらしい。

今回も間接的にそういう描写がありました。

ミュージックビデオでまったりできるのも、
呑気に覗きの悪徳(ヴァイス)を積めるのも多分リーダーのお陰w

そのことを頭の隅に置きつつ、今回の所は頭空っぽな主人公が眺めるグリムガルの風景を楽しんでおきましょう。
{/netabare}

第三話 {netabare}
ゴブリンの寝込みを襲って、パンツ新調を画策する(笑)
全くもって華がない底辺パーティw

けど、私にとっては『Wizardry』でヘタレ冒険者だった頃の、
ノスタルジーを存分に感じられる良回でした。

ちょっと乱戦になれば死人が出る序盤は、
“モンスターは まだ こちらに きづいていない”
と来たらガッツポーズをして殴りに行き、
逆に奇襲を食らったら頭を抱えてリセットボタンの確認をしたものでしたw

というより、最初の方は基本的にパーティより、
人数の多い群れとは対峙しませんでした。
ゴブリン五匹だったら逃亡とか(苦笑)
情けないくらい懐かしすぎて笑えてきますw

さて1話でつかみ、3話で飛ぶか叩き落とす……。
今期もこの黄金パターンを守るアニメも多い中、
淡々と伏線張りと雰囲気作りに3話を消化した本作。

実はまだ原作1巻の途中w
1話1巻のペースでぶっ飛ばし原作ファンを戸惑わせる作品もあるかと思えば、
こういうスローペースの作品もある。

人の歩むペースは様々ですねw{/netabare}

第四話{netabare}
かつて私が『Wizardry~ウィザードリィ外伝Ⅱ~』にて、
最初にロストしたキャラは前衛の要の戦士でした。

少しレベルが上がって、探索距離を伸ばした頃に、
蛮族からのクリーンヒットで想定外の大ダメージを喰らって死亡。
生命力は高めのはずでしたが、蘇生は叶わず灰から消滅に至りました。

不意の一撃でキャラが消える。

あまりの衝撃に、何だこのクソゲーはw
と悪態を付きましたし、心が折れかけましたw
結局、その時は育成プランも見通せず、パーティを作り直しました。
で、次のパーティも中盤行き詰まり、クリアに至ったのはパーティは3つ目w

この頃になると、あの時、彼がロストしたのは何がまずかったのか分かるようになりました。
油断した頭で、彼を集中攻撃を受けるポジションに、貧弱な装備で立たせ、危険に曝していましたw
冒険者を十数人おじゃんにして、やっとあの頃、私は青かったと述懐できるようになったのです(苦笑)

ですがグリムガルは生きた人間が暮らすファンタジー世界。
ヒーラーロストの致命傷を喰らったからといって、ガラガラポンでやり直す訳にはいかない。
リーダー交代、欠員補充などに取り組む以前に、
不運な悪夢に襲われたと落ち込んでいる残されたメンバーには酷な展開。

ですが、この世界で生きていくためには、喪失に至った原因をもしっかりと糧にして行く必要があります。
本作は彼の死亡フラグが目立っていましたが、実はそれを経験則にしていくための伏線もしっかり仕込まれています。

そういう意味では、本作の物語は、ここでようやく始まったと言えます。
だから、唐突な死や、長歌に面食らっているプレイヤーにも、
こんなのクソゲーだと投げ出さずに、懲りずに挑んで欲しいなと願います。

『Wiz』もグリムガルもロストしてからが本番です。{/netabare}

第五話{netabare}
苦節四話。ついに正ヒロイン(私の脳内世界でのw)メリィちゃんが登場♪
しかも、中の人が安済知佳さん!

某吹奏楽部でトランペット吹いて「特別になりたい」とか「関係ないですよね」とか……。
高所から投げ下ろしてきたその声で、
メリィちゃんのツンツン通り越して、魔法障壁の如く取り付く島もない。
そんな態度取られたら、クリティカルヒットで悶え死んでしまいますw

と、取り乱すのはこの辺にしてw
マナトならどうしたか?そう考え始めたことで、
盗賊君がようやくリーダーに……そして、主人公としての道を、
好むと好まざるに関わらず歩み出した……。
第五話で改めて、ようやく物語が始まったと実感♪

主人公限定の特別スキル?ラッキースケベも回って来て、
いよいよハルヒロ君の時代ですw

もっとも本人はプレッシャーで死にそうですが(苦笑){/netabare}

第六話{netabare}

その昔、ロールプレイングゲームにおいて体力と魔力は、
自動回復する無限エネルギーではありませんでした。

『Wiz』の序盤から中盤戦に至っては、
気休め程度の効果しかない、数発分の回復魔法とポーションを、
節制して冒険を進めなければ、待っているのは全滅でした。

反面、ダンジョン攻略には中毒性もあります。
レアアイテムがドロップすればもっと奥に行きたくなる。
もっと強敵を倒して己の成長を証明したい。

こうして浮き足立ち、魔力のコスト管理と帰り道の確実な確保を怠った時、
魔力ガス欠による灰とロストの災厄が降りかかるのです。

本作原作小説『~グリムガル』、特に序盤の巻は、
このありがちな冒険者による失敗を現実感を持って再現した切り口が白眉。
そのポイントをアニメ版スタッフも熟知しています。

一話感想で私は序盤パーティーがやってはいけないことを
クイズとして勿体ぶって、はぐらかしましたがw

答えは冒頭、マナトがシホルのかすり傷を“一応”治療したシーンでした。

こんなHPが1ポイント減っただけで回復するような甘い管理をしていたら、
立ちゆかなくなることは目に見えています。

そして魔力ガス欠は最後、マナトが失われる決定打となったのです。

このことを残されたパーティが……。
よくある中級冒険者の壊滅を経験したメリイも自覚し、向き合って、
糧として乗り越えられるか否か……。

データー上の経験値だけでなく、プレイヤー経験値による成長をも物語として落とし込んでいく……。
このRPG愛に溢れた仕掛けに気が付いた時……。
私にとって『~グリムガル』が気になる小説から好きな作品になった瞬間でした。
{/netabare}

第七話{netabare}
「来る日も来る日もゴブリンゴブリンゴブリンゴブリン、
雨の日も晴れの日もゴブリンゴブリンゴブリンゴブリンゴブリンゴブリン」

話が進まない……。との批判も何のそのw

パーティの地道な再建と成長。
同じく地道なメリイちゃん攻略?が描かれる今回。

自分はパーティがもの凄く進歩した回だと感じました。

そう感じるのはきっと、私がかつて冒険者として、
数十分かけてやっとレベル一つ上昇するような、
時間の無駄使いを価値ある人生だと思う、
悪い感性を培っていたからだと思いますw

膨大な時間をかけてパラメーター1ポイント上げることに喜びを感じるか、
膨大な会話を重ねてメリイちゃんにパンを分ける偉業を達成したことに喜びを感じるか。

ニコニコ動画で視聴していますが、
放送後の評価が上がって来たのは、
単純に作品が地味な積み重ねを表現する描写が優れているというだけでなく、
ロールプレイングゲームに対する価値観の面で、
大分ふるい分けが進み、精鋭が生き残って来たw
そんな印象も抱いていますw
{/netabare}

第八話{netabare}
かつてロールプレイングゲーム(RPG)において、
敵、特にボス、イベントモンスターが壁となりパーティが挫折した時……。

プレイヤーは再戦に向け、相当な遠回りを強いられます。
ストーリーは一旦休止にして、パーティの再編成、装備の見直し、
自分たちを苦しめた攻撃パターンに対する対策。新たなスキルの習得。
そして、経験値稼ぎがてら、雑魚を相手に新攻撃パターンの試運転……。

こうした修正を経て、たどりついた奴へのリベンジ・マッチ。
あの時、有り金はたいて買った装備が、前回は耐えられなかった攻撃を受け止め、
新スキルの連動が奴の取り巻きを狩る。
壮大な物語より何より、これまで通用しなかった強敵に、
再構築した作戦が、はまっていく感覚……。
確かな手応えを感じ、思わず拳を握る……。
頭の中で、何らかの脳内物質が分泌される、この瞬間こそ、
RPGはゲームとして輝きを放つのだ。

ハルヒロたちも復讐戦に向け、タンク役の兜を値切り倒す等、
膨大な時間をかけて、この地に舞い戻って来た。

さぁ、時にゴブリンスレイヤーと揶揄されながらも、
仲間の仇討ちに執念を燃やしてきた、この底辺パーティの意地!
とくと見届けよ!
{/netabare}

第九話{netabare}
安全に冒険するルーチンワークを確立した場所から次の階層、エリアに進む。
『Wiz』のような古のRPGにおいてはこの判断にも勇気が必要でした。

何しろキャラが死んだら消えたりするわけですw
そろそろ強くなった気がするから、お試しで次に行って腕試しなんて、
生半可な覚悟では決められませんでした。

ましてや、例えば、仲間の首を斬り飛ばしたアイツがいるような……。
かつて進出して失敗したエリアに改めて挑戦する場合は、
尚更、決断は重たいものとなりました。

その場合、プレイしない時間は思考を整理するのに重要で、
どんな準備が整えば、次へ行けるのか……。
対策が組み上がり自信がついたらプレイに挑む……。

こうしたプレイしない間(ま)も含めたゲームプレイという
思い出を勝手に持っている自分にとっては、
今回の休日回もとても好感が持てる良回でした。

もはや……というより最初からそうですがw
自分にはこの作品はハマり過ぎて、客観的な評価は難しいですw
{/netabare}

第十話{netabare}
個人的に『~グリムガル』でアニメ化による
恩恵を一番受けたキャラはランタだと思います。

欲望に忠実、口も悪いw行動も身勝手w
でも彼なりにパーティのことは考えてはいるらしい……。

このことは原作でも言及されてはいましたが、
それをテキストベースで十分に理解する為には、行間を読み取る根気が必要でしたw
だからランタについては平坦な展開に起伏を与えるウザキャラ。
ていうかホント……ウザいw
という原作評価も少なくありませんでしたw

けれどアニメになって作画による表情やCV吉野裕行さんの声が付くと流れが変化。
スタッフのキャラへの入れ込みようはランタについても凄まじく、
アフレコでも“ちっぱい”の発音一つに監督、原作者交えた
話し合いが持たれる力の入れようw
これにより人間ランタの表現の深みが格段にレベルアップしました。

今回もランタは、死の前ではみな平等などと憎まれ口を叩くわけですが、
仲間と死別した時、もの凄く悲しい表情をしていたのもランタでしたし、
ゴブリン殺害の初悪徳(ヴァイス)を積んで、
一番、精神ダメージが顔に出ていたのもランタでした。

今回の自分の奇行?についての言い分にしても、
吉野さんが抑揚を付けて主張に哀愁も含んだ感情を乗せることで、
彼の立場もより理解できた気がしました。

その効果なのか……アニメ化して以来、特に中の人を中心に、
なんだかランタ好きが増えている気がしますw
これは暗黒騎士ギルドの門を叩く義勇兵が急増しそうな勢いw
アニメスタッフ・キャストの皆さんも
素敵な悪徳(ヴァイス)を積んでくれたものですw
{/netabare}

第十一話{netabare}
その昔『Wiz』の教会で蘇生失敗したキャラはロストし埋葬されましたが、
ダンジョンで全滅したパーティの救出が遅れた場合でも、
一定確率でキャラクターがロストしました。

彼らの死体は一体どこへ行ってしまったのでしょう……。

これを巡って当時、諸説妄想されネタになりました。
一番多いのが迷宮の壁に埋め込まれダンジョンの一部となった説。
次いで魔獣に噛み砕かれ跡形もなくなってしまったという説。

……そして一番考えたくない説として、
かつての仲間がゾンビなどのアンデッドとして
モンスター化したという説も囁かれました。

アンデッドの王が人間の世界を圧迫するという設定の
『グリムガル』の世界ではこの一番考えたくない説を取りました。

そして『Wiz』同様、かつての仲間であろうが、
死体のなれの果てを浄化できるのは神に仕える職業のみ。
震える心を押し殺して、役目を全うした神官に拍手を贈りたい。

そしてらしくない格好いい最期を見せようとしている暗黒騎士……。
勇気ある死によって完成する彼の武勇伝を、
今、何としても全員で阻止しなければならない。

……俺もランタがアンデッドとして蘇るなんてまっぴらゴメンだぜw
{/netabare}

第十二話{netabare}
最終回にして、ついに私の大本命w使い魔・ゾディアッくん登場!
口を開けばダメだ、無理だ、死ね、死ね、死ね……毛虫、毛虫、毛虫w
その他は主の血まみれのランタの周りを浮遊するだけw
うん!素晴らしいw全くもって役に立たんww

でも、ここまでネガティブなムードを煽られると、
目の前のくそったれな現実までギャグになってくる不思議w

ピンチになるとランタがゾディアッくんを呼び出すのは、
終わってる状況を乗り切る彼なりのメンタルコントロールなのかもしれませんw

で、注目のキャストが聞き慣れない方だったので調べてみると、
佐藤結良くんという子役だとのことw

未来ある子供に死ねだの、無理だの
無邪気にネガティブワードを連発させるなんて、なんて悪い大人たちなんだ!(苦笑)

……福嗣さんとモグゾーよりシンクロ率が上なのがじわじわ来ますがw


ともあれ、憎まれ口を交わしながらも、
矢や魔法が尽きたら報告しあえるようになったこのパーティ……。
毒舌に隠された本音を読み合えるようになったこの仲間たち……。

……ホント、いいパーティになってきたよw
{/netabare}
{/netabare}
{/netabare}

投稿 : 2024/04/20
♥ : 82

takato さんの感想・評価

★★★★★ 4.1

苦難と成長、別れと出会い。数少ない2期希望な異世界転生もの。

当たり前のこと、即ち王道をちゃんとやるとこんなに面白い。


異世界転生?


苦難と成長、別れと出会い、こういったRPGな世界の基本をしっかり抑えてるのになんで異色な感じなんだろうか?。それは即ち…(以下略)。


テンプレじゃない専門チームが彩る世界の淡い美しさ


中盤すぎがクライマックスだった感はあるかな


面倒くさい美少女ランキング上位なメリィ


チームのみんながちゃん生きたキャラとしてしっかり立っている心地よさ


転生系の他のはもういいからグリムガル2期希望


痛み、それは悲しいが成長を促すもの

投稿 : 2024/04/20
♥ : 35

82.9 21 シリアスで友情なアニメランキング21位
黄昏乙女×アムネジア(TVアニメ動画)

2012年春アニメ
★★★★☆ 3.9 (1767)
9011人が棚に入れました
度重なる増築により迷路のように入り組んだ私立誠教学園。中等部一年の新谷貞一(にいやていいち)はある日、旧校舎で迷い偶然たどりついた部屋で、不思議な雰囲気を纏う少女・庚夕子(かのえゆうこ)と出会う。彼女は自分を“旧校舎の幽霊”だと言う。自分の過去を思い出せない夕子の為、貞一と夕子は「怪異調査部」を立ち上げ、この学園で語り継がれる数々の怪異を解き明かしていく。

声優・キャラクター
代永翼、原由実、福圓美里、喜多村英梨
ネタバレ

てけ さんの感想・評価

★★★★★ 4.4

萌えて笑えて見入って泣ける、ラブコメ・ミステリー・ホラー

原作未読。

主人公の新谷貞一(にいや ていいち)は、旧校舎の幽霊である「夕子(ゆうこ)さん」に遭遇する。
しかし、彼女は自分の死にまつわる記憶を無くしていた。
真相を明らかにするため、「怪異調査部」を設立することになる。
新たな部員も増え、さまざまな怪談の正体を突き止めつつも、彼女の死の真相へとせまっていく。


萌えて笑えて見入って泣ける、ラブコメ・ミステリー・ホラー。
色んな要素を詰め込んでいるのに破綻せず、高水準にまとまっている作品。


まず、メインヒロインの夕子さんの魅力がやばいです。
黒髪ロング長身で純真無垢な大和撫子、それでいながら大人の色気があって実にエロい。
そして、恋する乙女です。
見ていたら「さん」付けでしか呼べなくなります。

サブキャラクターたちも、ギャグ・シリアスともにイケる良キャラです。

* とにかく元気でまっすぐだけど、勘違いで暴走しがちな小此木(おこのぎ)さん
* クールでボーイッシュな美少女と思いきや、ヘタレな霧江(きりえ)さん

そんな魅力的な女の子に囲まれている貞一くんも、イヤミを感じさせないキャラです。
優しくておっとりしていて押しに弱いのに、やるときはやる。
何より一途で、ほんと好感が持てました。

むしろ全員ヒロイン。



作風としては、お色気を絡めたコメディが目立ちます。
下品ではないので見やすかったです。
ギャグは、言葉、動き、見た目など、さまざまな角度で飛ばしています。
「見られちゃった……私の体の一番深いところまで///」というセリフがひどい笑いに。
画面内にずーっと人体模型が映っている回のシュールさも凄まじかったです。


ですが、シリアスな部分はがっつりシリアス。
感情が揺さぶられます。

ギャグ→シリアスという流れは素早く自然に行われています。
気付いたら見入っています。

大げさだったり、ひねりのない内容だったりするのですが、演出と音楽がいいんですよね。
夕子さんの過去が明かされるときの演出はほんと面白い。
{netabare}
長時間に渡って映像が一人称視点というのは、独特で良かったですね。
閉じ込められてパニックになる演技も良かったなぁ。

……ところで、他人同士は、同じ体験を同じように感じられるんでしょうか?
人が「赤い」とか「痛い」とか感じたときの主観体験のことを「クオリア」といいます。
クオリアは本人にしか感知できないので、人がある感覚をどのように受けているか、他人が知ることは不可能です。
そもそも、クオリアはなぜ存在するのか、科学で解明できず、主に哲学で扱われる分野です。

また、人間の感覚とは映画を見ているのと同じで、自由意志が介在する余地がない、という説(随伴現象説)があります。
映画館のようなシーンも出てきましたし、こういった哲学分野の話を意識をしているのかもしれませんね。
{/netabare}


そして、シリアスなシーンから、ラストの感動シーンへ。
マジ泣く……。
話の予想は付くのですが、演出と音楽でぐぐっと持って行かれるんです。
{netabare}
夕子さんが最後に戻ってきたのは賛否両論あると思います。
戻ってこなかったら重いですがインパクト大。
戻ってきたらご都合主義ながら後味が良い。
しかし、アフターエピソードが見れたし、キスが未練で取り憑かれたなんてロマンチックだったのでおkです。
{/netabare}


作画は良いわけではないです。
しかし、色使いが独特です。
例えば、夜のシーン。
普通窓の外の景色は、濃い青か、月の光の黄色。
ところが、この作品では、「赤・青・紫・緑・黄色」と、雰囲気に合わせて色を変えます。

画面のカットと組み合わせて、

* 白の背景に黒の影で「孤独」
* 白と黒のしましま模様で「迷い」
* 無色で「望まない世界」

など、画面全体を使って感情を表現しているのが特徴です。
シャフト風味。

ということで作画の割に視覚効果が高いです。


音楽は文句なし、というか素晴らしい。
OPの「CHOIR JAIL」はかっこよくて耳に残るよなぁ。


どの要素もレベルが高く、12話できれいに収まっており、とても満足できました。
1クールものではトップクラスにお気に入りの作品です。

投稿 : 2024/04/20
♥ : 101
ネタバレ

Appleモンキー さんの感想・評価

★★★★★ 4.9

★原作もついに完結★

度重なる増築により迷路のように入り組んだ私立誠教学園。
中等部一年の新谷貞一(にいやていいち)はある日、旧校舎で迷い偶然たどりついた部屋で、不思議な雰囲気を纏う少女・庚夕子(かのえゆうこ)と出会う。彼女は自分を“旧校舎の幽霊”だと言う。
自分の過去を思い出せない夕子の為、貞一と夕子は「怪異調査部」を立ち上げ、この学園で語り継がれる数々の怪異を解き明かしていく。


夕子さんが最後どうなるのか、アニメオリジナルの展開でしたが、原作ではどうなるのかも気になる作品です。

見どころは骨!


■原作第9巻
{netabare}
アニメ版でいうと第10話「喪失乙女」から第11話「紅涙乙女」にあたります。


アニメでは浅葱がアカヒトでしたが、原作では紫子がアカヒトに・・・!さらに庚家の秘密も明かされます。


紫子がアカヒトになるいきさつだったり、夕子さんの死の真相だったり、色々と見どころがありますが、やっぱり一番の見どころは夕子さんの幼女時代!w(ノ `・∀・)ノ゙ オオオオォ♪゙
にやにやがとまりませぬ!


原作では「もう一人の夕子」を受け入れる経緯や受け入れる理由などもアニメとは異なっています。
そして「もう一人の夕子」を受け入れたとき、幽霊として存在し続ける理由も同時に無くなり、幽霊としても存在しなくなってしまったというところで9巻は終わりです(´Д`).∴カハッ

残りの収録話はすべて「特別編」・・・
くそう・・・
(特別編は特別編で好きなんですけどね)


そして最終ページに重要な告知が!!!!





「次巻、ついに完結―。2013年秋発売」



秋まで待てない!!Σ(p´;Д;`)q << ぅあ゛!!ぅゎぁぁぁぁあ゙


{/netabare}

■原作第10巻
{netabare}
アムネジアもついに完結です。
最終巻を一目見ての印象は・・・
「ぶ、分厚い!!(゜ロ゜)」

もう最終巻に一気にぎゅっと詰め込んだ感じです^^
表紙も裏表紙もイラストが超かわいい!

アムネジアのラストはアニメ版でかなり完成度が
高かったですが、原作も負けてませんね。

エピローグはいつもの怪異調査部にもどっていて
とても満足です^^

最終ページでの夕子さんのセリフはアムネジアらしいな、
と思いました(^ ^)
{/netabare}

投稿 : 2024/04/20
♥ : 102

なゆ さんの感想・評価

★★★★★ 4.2

良い意味で期待を裏切られた

レビュー未読、あらすじを多少見た程度で視聴しました。
視聴前の印象は「幽霊がでてくるだけの怪談物」だったのですが、いざ視聴してみると良い意味で期待を裏切られました
「怪談は関係ない」というわけではないところも好感です
作画・演出がとても良く、思わず息を呑んでしまうシーンや泣きそうになるシーンもありました
守備範囲外だと辛いアニメだとは思いますが、本筋前の序盤部分が辛いと思う人でも続きが気になる工夫がしてあり、楽しめるんじゃないかなと思います
私はとても満足したので高めの評価にさせてもらいました


どうでもいい話ですが
幽霊部長の件、完全に空気扱いになってるけど・・・
理由を知ってる2人はいいとして、もう1人は気にならないのかな・・・

投稿 : 2024/04/20
♥ : 15

75.4 22 シリアスで友情なアニメランキング22位
東京喰種√A(TVアニメ動画)

2015年冬アニメ
★★★★☆ 3.7 (1512)
8630人が棚に入れました
「 悲劇、2周目。」人間の死肉を喰らう怪人"喰種"が潜む街――東京。大学生のカネキは、ある事故がきっかけで"喰種"の内臓を移植され、半"喰種"となる。人を喰らわば生きていけない、だが喰べたくはない。人間と"喰種"の狭間で、もがき苦しむカネキ。どちらの世界にも「居場所」が無い、そんな彼を受け入れたのは"喰種"芳村が経営する喫茶店「あんていく」だった。そしてカネキは自らが"喰種"と人間、ふたつの世界に「居場所」を持てる唯一人の存在であると知る。互いが歪めた世界を正すため、カネキは"喰種"と人間の想いが交錯する迷宮へと立ち入るが…。――僕は"喰種"だ――全てを守れる「強さ」を欲したカネキが取った究極の選択は、

声優・キャラクター
花江夏樹、雨宮天、宮野真守、菅生隆之、諸星すみれ、浅沼晋太郎、梶裕貴、小西克幸、釘宮理恵、豊永利行、遊佐浩二、下野紘、悠木碧、戸松遥、井上和彦、瀬戸麻沙美、近藤孝行

ゆりなさま さんの感想・評価

★★★★★ 4.1

金木がお姫様だっこしてるその白い布のキャラに驚いた!

東京喰種√A(アニメオリジナルストーリー)

悲劇2周目開始!

今回の√Aは原作とは違ったもう1つの東京喰種。
原作者石田スイが紡ぐアニメオリジナルで1期の後から進行、
金木くんがあの1期での戦いからアオギリに入ったお話。
ちなみに原作ではアオギリには入っていませんね。
なのでオリジナルなんですが、ところどころ原作と同じシーンやお話が
あるので原作読んでる方にはああ!ってなるかなヽ(*´∪`*)ノ"


1番驚いたのがこの√Aのアイコンにもなってる今作表紙について。
金木くんが抱いてるこの白い布かぶされてるキャラが意外でした。
最終回で判明!「え?そう来たか・・。」って思ったな。
もちろん判明した直後はびっくりでしたけど
金木くんとの関係を考えたら納得で想像はずれていい意味での裏切りd(>ω<*)


そして個人的に気になってた原作の:reには続くのか・・。
ED後観て思いました。「ーーキタ!」
なので、今度アニメやるとしたら:re に続くだろうと悪魔で勝手な予想です。
まぁ、グールには結構裏切られたり
意外なことが起きたり多いのでどうなんだろうか・・。
原作の:re溜まったら放送を期待したいですヾ(●´□`●)ノ


それにしても、終わり方が私は想像してなかったパターンだったので
ヒデ登場&あの血にはちょっといろいろ驚かされました。
CCGに関しては原作とほとんど変わらないかな。
ただ、金木はあそこでどうなった?
:reにつなげるなら予想はつくけど、うーんイマイチ・・スッキリしなかったです。


EDの作画について。
毎回変わるので毎話飛ばさず観ました。
第10話のED作画よかったな〜。

あと、やはり1期で使われてた、TKfrom凛として時雨『unravel』が
私は好きでした♡
なので最終回のピアノ版なのかな?
挿入されてたの嬉しかったのとあの流れてる間はなんか不思議な感覚でした。


なんとなく「悲しい」そんなイメージが残りました。
OVA化決定の東京喰種「JACK」楽しみにしていたいと思います。
読んでくださりありがとうございました人´∀`).☆

投稿 : 2024/04/20
♥ : 56
ネタバレ

mio♡美桜 さんの感想・評価

★★★★☆ 3.5

√A…数学苦手な私には難しいです

原作未読
{netabare}
えぇ〜ここで終わり〜⁉︎
とヤキモキさせた1期の終わり方から、満を持して
スタートした東京喰種√A。

原作は読んで無いので詳しい事はわかりませんが、
あんていくを飛び出した金木君がグールと人間の共存を
図り、葛藤するお話しだったのかなって感じでした。

金木覚醒⁈モードから始まり、アオギリvsCCGのバトル。

私の気になるキャラ、鈴屋什造(CV:釘宮理恵さん)や
エト:高槻泉(CV:坂本真綾さん)の登場も多かったり、
1期ではあまり出て来なかったキャラも一杯出てきて
これからどんな展開が待ち受けているのっ?
ってワクワクしてましたが、出てくるキャラの数に対して
の掘り下げ方が少なくて、(1クールという尺の問題もある
のでしょうけれど…)
中盤過ぎからは金木君が何の為にアオギリに入り、
何の為に戦っているのかさっぱり…

隻眼の梟やエト、その他のあんていくの仲間やグール、
CCGにしても主なメンバー以外は単発的な描写しかなく
結局どうなったの?って感じでした。
バトルシーンが見せ場なのはわかるのですが、1期よりも
バトルシーンがダラダラと長すぎた感があってもっと
他の所に時間を使って欲しかったです。

特に最終話のヒデの死は全くの意味不明。
争いは哀しみしか生まないというのはわかるんですが、
原作未読の身としてはあまりにもバックボーンのない
死というものを前面に出されても共感する事が出来ま
せん。
主人公にとって最も大切な友人であり、理解者でも
あったはずの親友ヒデの死というものをあまりにも
軽々しく扱い過ぎな感じさえしました。
原作を読まれている方にはわかるのかなぁ?

そんな中でも第7話でのトレッヴィア〜ン‼︎月山さん
(CV:宮野真守さん)登場は嬉しかったです。
1期でもそうでしたけど凄いです、全くブレない
その変態グルメっぷりには思わず拍手。
ナキ(CV:下野紘さん)、什造の釘宮さんの演技もさすがの
存在感があって良かったです。
金木君(CV:花江夏樹さん)のセリフが1期に比べて少なかっ
たのは残念でしたけど、今作も声優さん達の演技は楽しめ
ました。

それと忘れていけないのが亜門さんの腕立て伏せ。
7890回には笑いました。煩悩を捨てるのって大変ですね。

伏線を色々ばら撒いて終わった感じだけど、√Aに行った
意味が今一つ理解出来ないまま終わっちゃいました。
あとは原作を読んでねって事なんでしょうか?

シリーズ全体を通して見たらこの2期も活きてくるのかも
しれませんが、単体で見たら原作未読な私には1期以上に
不完全燃焼な結果でした。

最終話で流れた1期OP、TK from 凛として時雨 の
「unravel」アコースティックバージョン?
のフレーズ「教えて 教えてよ〜」が流れた時は私の
気持ちを代弁してるようで、別な意味で切なかったです。

この置き去り感も含めてこの作品の魅力なのかな?
何にせよ今後が気になる作品には違いないのですが…

{/netabare}

投稿 : 2024/04/20
♥ : 73

ネオン さんの感想・評価

★★★★★ 4.5

一話の最後の挿入歌

Darkness falls on another day
(あの日、暗闇に落ちたんだ)

And the light just seems so far away
(光は遠くにあるんだろう)

Am I here all alone?
(僕はずっとここで孤独なのかな?)

Cuz lts just feels so cold oh so cold
(寒いんだ、すごく冷たいよ、、)

Is there more than what meets the eye?
(瞳に映るものなんてあったっけ?)

Is something higher keeping me alive
(何かが僕を生かす為に高く押し留めているんだ)

Maybe hope buried deep within
(たぶん希望なんか深く埋もれてしまってる)

Heres what needed to begin again
(ここからもう一度やり直す必要があるんだ)

Now i must belive in something
(今何かを僕は信じなきゃだめなんだ)

I can not see for now
(今僕はなにもみえないけど)

Im on my own
(僕自身の力で)







最後は入見さんの言葉で締めようと思います


カネキ君
そんなに強くなって
そうするしかなかったのね、選ぶしかなかったのね。
可哀想ね...カネキ君...

投稿 : 2024/04/20
♥ : 6

84.2 23 シリアスで友情なアニメランキング23位
リトルバスターズ! 〜Refrain〜(TVアニメ動画)

2013年秋アニメ
★★★★☆ 4.0 (1517)
7964人が棚に入れました
深く、どこまでも深く――。
理樹の意識は暗い闇へと沈んでいった。
壮絶な事態が進行する中で、理樹は何もすることができない無力感に苛まれた。
―なぜこんなことになってしまったのだろう―理樹は自問自答し、自分の弱さを乗り越えるために現実に抗うことを決意する。
「この世界の秘密」の真意、願いに応えるために、未来を笑顔に変えるために──。

声優・キャラクター
堀江由衣、たみやすともえ、緑川光、神奈延年、織田優成、やなせなつみ、すずきけいこ、若林直美、田中涼子、河原木志穂
ネタバレ

ninin さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

1期からの伏線の先に~

原作未プレイ 全13話

リトルバスターズの2期です。1期から観ることをオススメします。
前回は主要キャラのそれぞれのお話がメインでしたが、今回は主人公の直枝 理樹(なおえ りき)とヒロインの棗 鈴(なつめ りん)がお話がメインですね。

最初は、1期ではなかった来ヶ谷さんのお話でスタートしますが、何がどうなっているのか分からないまま終わりました。でもせつないですね。{netabare}(嫌がらせを受ける小毬とクドリャフカを守るため嫌がらせをしている相手に蹴りで脅すシーンはドキドキしましたねw){/netabare}

だんだん意味が分かるようになって来たのは後半に入ってからですね。

後半はハラハラドキドキ、どういうふうに終わるのか毎週待ち遠しかったです。
{netabare}恭介の涙にこちらも思わず泣いてしまいました。{/netabare}

作画も1期より丁寧な感じがしますね。
理樹と鈴の心の葛藤も丁寧に描いてました。

1期ではこの先どうなるのか不安で、ファンタジーなので分からない要素があるのは仕方がない部分はありますが、ある程度伏線が回収された感じで良かったですね。

1期は明るくコミカルな部分も多かったのですが、2期はコミカルな部分を抑えてシリアス展開なので、好き嫌い分かれそうな作品です。私的にはこちらの方が好きですね。

OP 切ない雰囲気が作画と曲にマッチしてましたね^^
ED OPとは逆に明るい曲ですね〜

最後に、どうして野球だったのかよく分かりませんでしたw

投稿 : 2024/04/20
♥ : 37
ネタバレ

ぴの@ さんの感想・評価

★★★★★ 4.7

チーム名は…リトルバスターズだっ!!

2013年秋、放送開始。全13話。
リトバスの続編ということで、いよいよ物語の核心へと迫るみたいですね。
Key作品なので、どのように感動させられるのか期待してしまいます。

個人的には、京アニに作ってほしかったですが…

見たらレビュー更新します\(^o^)/
---------------------------------------------
めちゃくちゃOP、ED、ともに好きです。すごくうれしいですね。評価はまだまだ変えるつもりです。


感想
【第1話】「それは突然やってきた」
{netabare}ついに待ちに待った2期放送開始。期待を裏切らない出来で、本当によかったです。戦慄が走りました。作画も崩壊してないし、JC、グッジョブです。今後も期待して見続けます。

今週の名言 来ヶ谷>この、クソがぁーーーーー!!!{/netabare}

【第2話】「そのときも雨が降っていた」
{netabare}来ヶ谷編、第2話。
来ヶ谷が理樹のことを好き!? なんか急展開ですね。
そこで、恭介はオペレーション・リトルラブラブハンターズというものを始めました。アニメだと、よくある展開です。花火以外は… とても花火はきれいでした。作画に力入ってます。
あれ、ラスト同じ日にちを繰り返してる???{/netabare}

【第3話】「ずっとここにいたかった」
{netabare}来ヶ谷編、最終回。
6月20日が繰り返されている。それは来ヶ谷が願ったから… ここからリトバスの核心に迫っていきますね。
ただ、願うだけで日にちをループできるのはどうかと思いましたが、それはこの後の物語につながる伏線だと思いましょう。
後半部分、ほんとによかったです。曲の入り方…絵の演出…、JC完璧です\(^o^)/ また、あのEDの音楽も大好きですね。この回は名作回ではないでしょうか。{/netabare}

【第4話】「理樹と鈴」
{netabare}待望の鈴編、第1話。
鈴編がはじまったみたいですが、来ヶ谷がいないような…
そして、いきなり理樹と鈴が付き合い始めましたね。なんかお似合いです(笑)
そして、猫が世界の秘密を教えるための最後のミッションを持ってきました。クラスで立候補って何にだろう…{/netabare}

【第5話】「最後の課題」
{netabare}鈴編、第2話。
県議会の人に選ばれることになるとは…
鈴が頑張って学校案内をしている姿がなんかかわいいです♪で、なぜ鈴が併設校に行くことになるんだ??
県議会の人は間違えてしまっているんじゃないか?と1人思うめんまであった… {/netabare}

【第6話】「逃亡の果てに」
{netabare}
鈴編第3話。
話がだんだん重くなってきました… あんなに鈴はつらそうなのになぜ恭介は助けに行ってはだめというのでしょうか…
なにか事情ありのようです。
そして、理樹と鈴はついに逃亡しちゃいました。ラスト、警察のひとに見つかって終わってしまいましたが、どうなるのでしょうか…{/netabare}

【第7話】「5月13日」
{netabare}!? いきなり話がとびましたね… なんで、いきなり恭介が引きこもりに!? 話についていけません… 原作やっている人ならわかるのでしょうが…
なにやら理樹と鈴が中心となってリトルバスターズを作るみたいですね。おもしろそうです♪{/netabare}

【第8話】「最強の証明」
{netabare}真人編。
理樹と鈴がリトルバスターズに真人を誘うのになぜか断ってしまっています…
それどころか、暴走してますね…
トラップの方法はうまかったですが、まさか石像をもって歩いてしまうとは… さすがいつも鍛えてるだけはある…
最後の理樹が真人を倒すところが、昔の恭介とかぶったシーン、感動しました。
EDも卑怯だぁーーーー…(笑){/netabare}

【第9話】「親友の涙(とものなみだ)」
{netabare}謙吾編。
謙吾はなにかと理樹がリトルバスターズを作ることをやめさせようとしてきますね。そして、自分が理樹や鈴を守るという使命感もあるようです。
そして、理樹は謙吾を仲間にするために、恭介と同じように力で勝負しようと野球の試合をしました。
理樹がホームランをうち、謙吾が泣き崩れるところに感動です(:_;) そこでの卑怯なsong for frinds… 泣かないわけにはいきません!
そして、次回はついに恭介です♪{/netabare}

【第10話】「そして俺は繰り返す」
{netabare}恭介編。
今回はどちらかというと過去を振り返る話でしたね。理樹と鈴を救うためにメンバーのみんなが協力してくれたこと、どれだけの時間を理樹が絶望しないよう成長するために使ってきたかを恭介が思い返す回でした。
なんだか切なくなります…
そして、恭介が血の中をはっている場面がまだこの回だとよくわかりませんでしたが…
そして、最後についに恭介が理樹の手をとりました!ここからどうなっていってしまうのか…
EDにBoys be smileが使われていたのが印象的でした。{/netabare}

【第11話】「世界の終わり」
{netabare}この話はリトルバスターズで一番泣ける話だと思います… この回を初めて見たとき、大泣きしてしまいました(:_;)
恭介や謙吾、真人が消えていくお話です。
この世界は、鈴や理樹を成長させ絶望をさせないために他のみんなが作った… すごいことだと思いましたw でも、それに全てをかけてリトバスのみんなはこの世界を作ったんですよね… なんて友情が深いんだろう、すごくいい仲間ですね♪
最初に真人がボールを理樹に渡して消え…次に謙吾が未練を残しながらもありがとうと消えていく…そして最後の恭介の「俺だってもっとみんなと遊んでいたかったんだ!!」と泣きながらついに想いを口にする場面… さらにそこでの挿入歌の遥か彼方…
まさしくここで大泣きしなければどこで感動するんだっという感じでした。
この話はレビューを見るよりも実際にアニメを見てもらったほうがいいと思います!(じゃあなんでめんまは感想レビュー書いてるんだよっw)
ちなみにすべての秘密がわかる回です!(それを最初に言えよっw)
とりあえず、見て損はないです♪)^o^(
{/netabare}

【第12話】「お願いごとひとつ」
{netabare}すべての世界の秘密を知った理樹と鈴… もう後戻りすることはできません進んでいくしか道はもうない… 襲いかかる絶望感のなか、必死になって理樹と鈴は進みます
そして、物語は最終回「リトルバスターズ」へ…
まさかEDにboys be smileを持ってくるとはw{/netabare}

【第13話】「リトルバスターズ」(最終回)
{netabare}1期から続いてきたリトバスもついに最終回。長かった…
絶望感をおさえ、未来を信じて理樹と鈴は必死にバスの中から恭介や仲間たちを救いだそうとします! ここでのガソリン漏れを抑えていた恭介…男です!
しかし、最後の1人となった恭介を救いだしバスから少し離れた瞬間、爆発が起こります… まあ結局助かって最悪の結末はまぬがれるんですがw
とにもかくにもみんな助かってよかったです(≧∇≦)
そして、クライマックスの修学旅行に行くぞっ的な終わり方!みんなすごく楽しそうでしたね! ホントハッピーエンドになってよかったです!
なんだか清々しい気持ちになれました♪( ´▽`){/netabare}


全39話、リトルバスターズという物語を駆け抜けていきましたが、本当にいい話でした。いま自分は高校生ですが、こんな学校生活送れたらなみたいな…
もちろん、あり得ませんがねw
1期だけを見たときには、楽しい学校生活にkey特有の感動シーンをつけているだけとか思ってましたが、そんな自分がバカでした…
まさか1期すべてが2期の伏線になっていたとはね…w
そんなわけで2期の伏線回収は半端ないですw

この作品は、どちらかというと大人よりも若い世代に愛される作品だと思います。
大人のひとたちはCLANNADのほうが良く感じてしまうのではないでしょうか?
そんな気がしますね♪( ´▽`)
自分はどちらも大好きですが、しいていうならリトバスをとります。

リトバスはめちゃくちゃオススメできるアニメです!
1期でこれツマラナイやと切ったそこのあなた!是非2期を見てください!
たぶん8割以上の方が評価変わるでしょうw
もし、このレビューを読んでいただけてリトバス見て好きになってくれる方が1人でもいたなら幸いです。良ければメッセにて観た感想くださいなw

ではとても長い長文、失礼いたしましたm(_ _)m



円盤売上表(1期&2期)
○リトルバスターズ! 【全9巻】
巻数   初動    累計    発売日
    BD(DVD)  BD(DVD)
01巻 8,358(1,757) 9,852(*,***) 12.12.26 ※合計 11,609枚
02巻 8,280(1,768) 9,302(*,***) 13.01.30 ※合計 11,070枚
03巻 8,047(1,622) 8,975(*,***) 13.02.27 ※合計 10,597枚
04巻 7,762(1,575) 8,723(*,***) 13.03.27 ※合計 10,298枚
05巻 7,289(1,438) 8,555(*,***) 13.04.24 ※合計 *9,993枚
06巻 7,536(1,505) 8,353(*,***) 13.05.29 ※合計 *9,858枚
07巻 7,344(1,488) 8,176(*,***) 13.06.26 ※合計 *9,664枚
08巻 7,262(1,480) 8,170(*,***) 13.07.31 ※合計 *9,650枚
09巻 7,535(1,514) 8,476(*,***) 13.08.28 ※合計 *9,990枚


○リトルバスターズ!~Refrain~ 【全7巻】
巻数   初動    累計    発売日
   BD(DVD)  BD(DVD)
01巻 8,140(1,561) 9,004(*,***) 14.01.29 ※合計 10,565枚
02巻 7,666(1,440) 8,359(*,***) 14.02.26 ※合計 *9,799枚
03巻 7,406(1,380) 8,308(*,***) 14.03.26 ※合計 *9,688枚
04巻 6,732(1,246) 7,910(*,***) 14.04.23 ※合計 *9,156枚
05巻 *,***(*,***) *,***(*,***) 14.05.28 ※合計 **,***枚
06巻 *,***(*,***) *,***(*,***) 14.06.25 ※合計 **,***枚
07巻 *,***(*,***) *,***(*,***) 14.07.30 ※合計 **,***枚

投稿 : 2024/04/20
♥ : 55

ストライク さんの感想・評価

★★★★★ 4.1

クラナド越えは難しい・・・(。-`ω´-)

原作:Keyの恋愛アドベンチャーゲーム 未プレイ

第2期目

1期 26話
2期 13話



感想としては、見て損はなかった。

でも・・・
中盤以降は、ず~っと暗い展開で、見てるこっちも気分が沈みました。
それにタイムループのあるファンタジーと解ってからは、
あれ?
またKeyお決まりのパターンなの?
でした。^^;

終盤でタイムループの訳が解った時は、スッキリもしたし、
あのバスの出来事を知ったら、泣けたけど・・・

原作ゲームを やってないからなのかもですが、
何だか この終盤の為に 1期26話、2期13話も作った割には、引っ張りすぎたようにも感じました。
(長くない?)
ってか、終盤の、あの超展開に持って行くのが上手くないと言うか・・・なんて言うか・・・
ウーー( ̄、 ̄*)ーーン… 上手く言えませんが・・・

クラナド作ったKeyだから・・・と、ハードル上げて見てしまったからなのか・・・
イマイチ「感動」「泣き」に関しては、期待ハズレでした。

原作ゲームでは、もっと良かったのかな? 



感動したい!泣きたい!人は、ハードル下げて見る事をオススメします。
(=^・ω・^)キリ


OP: 「Boys be Smile」/ 歌 - 鈴湯

ED:「君とのなくしもの」/ 歌 - 北沢綾香
  「Song for friends」(第3話、第8話 - 第9話) / 歌 - Rita
  「Hanabi」(第6話)/ 歌 - Lia
  「遥か彼方」(第11話)/ 歌 - Rita
「Little Busters! -Little Jumper Ver.-」(第13)/ 歌 - Rita

OP&EDは流石!素晴らしいです。


最後に一言
Keyのギャグって、なんであんなに寒いんだろう・・・
そう感じるの自分だけかな? わふー(/≧◇≦\)

投稿 : 2024/04/20
♥ : 58

84.1 24 シリアスで友情なアニメランキング24位
GUNSLINGER GIRL [ガンスリンガーガール](TVアニメ動画)

2003年秋アニメ
★★★★☆ 3.8 (1141)
7488人が棚に入れました
舞台は現代(もしくは近未来)のヨーロッパ。イタリアの公益法人「社会福祉公社」は、政府の汚い仕事を代わりに行っている。その中でも作戦2課では現在表向きは障害を抱えた子供達を引き取って福祉事業に従事させることで社会参加の機会を与える、という身障者支援事業を推進する組織という名目で、集めた子供達を「義体」と呼ばれる強力な身体能力を持つ肉体に改造し、薬物による洗脳を施した上で、政府の非合法活動に従事させていた。
また、この社会福祉公社と敵対する反政府活動組織は五共和国派(通称パダーニャ)は、北部同盟党首ウンベルト・ボッシが提唱する、北部8州と中部3州をイタリア共和国から分離独立させて「パダーニャ共和国連邦(Repubblica Federale de Padana)」を樹立する、という構想を実現する為に武力闘争を行っている。

声優・キャラクター
南里侑香、木内秀信、三橋加奈子、宮本充、仙台エリ、江原正士、小清水亜美、堀内賢雄、寺門仁美、井上倫宏、家中宏、中川里江、岩崎征実

mtah さんの感想・評価

★★★★★ 4.1

心に残る作品を観たい方に勧めます

隠れた名作と聞いて観てみました。

イタリアを舞台に、義体という人口の身体をもち、反政府組織に対する暗殺に使われる少女たちに焦点を当てたストーリーになっていて、大体が1話完結になっています。

ちょっとした良い話や、切ない話などありますが、設定も難しくなく、感情移入しやすいと感じました。義体の少女たちが一見普通の女の子で、個人の感情も普通に持ち合わせているからなのでしょう。どの話も、何かしら心に引っかかるものがあるような気がします。これが隠れた名作か、と納得しました。良かったです。

投稿 : 2024/04/20
♥ : 17

レイ さんの感想・評価

★★★★★ 4.4

倫理観を見つめ直させられる問題作

自分は原作から読んでいて、この1期はその様々な要素を忠実に再現されていて非常に楽しめました。
絵も音楽もそんな世界観を非常に上手く表現してました。

画面全体は基本的に暗く、倫理観を自問させるような暗い物語ですが…個人的にはかなり高く評価できると思います。
見始めてすぐに世界観にのまれてしまいました。

(ここに1・2期両方の事を書かせていただきますがご了承下さい。)
ですが、とても気に入らなかったのが2期です。
1期が制作され2期の制作までかなりの時間が経っていた為、制作スタッフや声優のほとんど全てが変わっています。
それで、原作・1期と2期は全く別もので…2期を1期からの続編と期待したら落胆すると思います。
2期は基本的に明るすぎて、どの少女達も条件付けされているのに人間臭すぎて性格・喋り方も全く別人になっちゃってます。
義体の少女達だけでなくその他の登場人物もです。
人を殺すのに無感情な感じでなく生き生きし過ぎていたりと…物語の根幹となる倫理的な概念が変わりすぎていた様に感じました。
それで、とても残念でした。
絵も最近風みたいになっちゃって…
でも、音楽は1・2期それぞれに雰囲気は違うけどどちらも好きです。
2期の音楽はだーまえが若干関わってますし(笑)

でも一応、2期も全く別物として見ました。
2期だけを1つの作品として見れば悪い物ではなく普通に楽しめますから♪

実際、倫理的な問題で賛否両論分かれ評論家の方々も色々言われた作品ですが個人的には高く評価できるものだと思うので是非、見てもらいたいものです。

投稿 : 2024/04/20
♥ : 21

けみかけ さんの感想・評価

★★★★★ 4.8

極めて退廃的かつフェティシズムに溢れた群象劇 あるはずのないものを信じる勇気をもらえる「たった一つの」演出が魅せる技

1話から終始悲劇のヒロインを堪能できる作品です
ヒロイン達は陰惨な過去を捨てさることで今を生きる
それがいずれは滅び行く身体と言う事実を視聴者は物語の真っ只中で突きつけられる
彼女達には初めから未来が無い
しかし彼女達は笑顔で「生きること」を実感する喜びに浸る
彼女達が尽くすのは何か?
恋愛か?
慈愛か?
恩義か?
使命感か?
はたまたただの洗脳でしかないのか?
人の心がそうであるように、
全てが明かされない曖昧なままなところが素晴らしい
だけど本当は彼女達も分かっている
でも彼女達にはそれを拒否する術も言葉も無い


基本は群像劇なので各ヒロインごとの語り口で物語が進みますが、シリーズ全体では「ヘンリエッタ」(或いは最終話のアンジェリカ)が物語の軸となるように構成されています
ここが後のシリーズや原作との最大の相違点でしょう
ただ近づく死と向き合いながら戦う少女達に感銘し、オイラは男泣き


特に個人的に注目したいのはクラエス
クラエスは担当官との記憶をなくしているわけですが、
最後にした約束である
「眼鏡をかけているときは優しいクラエスでいてくれ」
の一言を誰に言われずとも守り続けている


そして第12話
囮捜査によって敵のアジトで人質となってしまうクラエス
そこに奇襲を掛けた仲間が駆けつけ、
クラエスも自ら脱出の道を開くため反撃を開始する


そのほんの一瞬、
クラエスは【無意識のうちに自分で眼鏡を外す】のです
記憶をなくしているはずのクラエス、あのクラエスが
そして彼女は別人の様な鋭い目付きで敵を薙ぎ倒していく・・・
そうあれは確かに別人だったんだと思う
記憶のないはずのクラエスが無意識下で感じていた絆と約束
そんな切ないものをたったワンカットで示した演出
スタッフさんたちの仕事ぶりには最大の拍手を送りたいです

投稿 : 2024/04/20
♥ : 33

77.7 25 シリアスで友情なアニメランキング25位
結城友奈は勇者である(TVアニメ動画)

2014年秋アニメ
★★★★☆ 3.7 (1405)
6882人が棚に入れました
神世紀300年───
始まる”勇者部”活動!?
結城友奈は中学2年生。毎日学校へと通い、たくさんの友達に囲まれながら授業を受けたり、部活動をしたり、遊んだりと、平穏に過ごしている。その生活スケジュールは、どこにでもいるごくふつうの女の子。
だがたった1つ、他の子たちとは決定的に違う部分があった。

それは彼女の所属している部活が”勇者部”だということ。部長・犬吠埼風を中心にした活動の内容は謎に包まれておりバーテックスという不思議な存在が関係しているという。神世紀300年。西暦とは年号の異なった世界で、友奈たち”勇者部”の活動が始まる!

声優・キャラクター
照井春佳、内山夕実、黒沢ともよ、三森すずこ
ネタバレ

ピピン林檎 さんの感想・評価

★★★★★ 4.7

「まどマギ」の皮を被った「ラストサムライ」ないし「神風・・・」モチーフの力作 【ネタバレ絶対回避】 

※制作情報等を追加(2018/12/4)

前半はエヴァ・まどマギといった「セカイ系」名作の二次創作的な印象が濃かった本作ですが、後半、次第に「桜」をモチーフとした独自の魅力を増していき、迎えた最終回、放送当時「まどマギ反逆」レベルの大揺れ、賛否両論噴出の末に、本作を「是」とする声が優勢に。

※重大な注意
成分タグ第1位が「予想外」となっているとおり、本作は絶対にこれ以上のネタバレ回避で視聴すべきです。
ここまで読んだ方は、速やかにこのページを閉じて視聴態勢に入った方が賢明です。

本作に描かれたテーマないし結末に関して、個々の視聴者が最終的にこれを「是」とするにせよ「非」とするにせよ、激しく困惑し心揺さぶられること必至の、《2014年最大の問題作》なのは確かだと思います。

※以下は、本作3周目以降の鑑賞時の感想です。
(初見および2周目時点での感想は、本レビュー末尾に保存)
======================================
◆3周目にあたっての能書き  - “全裸待機”と、“割り切れない想い”

彼(か)の「魔法少女まどか☆マギカ」をTV放送当時は敬遠してしまい、放送終了後の滅茶苦茶な高評価に釣られてようやく一気観した自分にとって、本作こそは、ネットスラングでいう “全裸待機” (※ちょっと品のない言葉で恐縮ですが、「身を清め正座してコトが始まるのを待ち侘びる」というほどの意味です)をリアル・タイムで経験した初めてのTVアニメとなりました。
というより、本作の放送当時、ネットに飛び交う“全裸待機”という言葉を見て、初めてその意味を知ったわけですが(笑)。

何が言いたいのかというと、本作は、第8話放送以降~最終第12話まで、それほどまでに、「次回の放送内容が気になって仕方がない」作品だった、ということです。
それは、別に私一人の感じ方ではなくて、私と全く同じ期待を繰り返し漏らしていた方々が、本作の放送当時、ネットに確かに沢山おられたのでした。

そして、そのような膨れ上がった期待を背景に、とうとう放送された最終回(第12話)、放送終了後に飛び交った困惑と怒号。
「最後の最後に大コケした」「茶番だ」「失望した」という声が大きく、また実際、私自身も本ページ末尾(初見時のレビュー)に記したとおり、残念ながらラストは期待外れの展開になってしまった、とする感想を持ちました。

しかし、そう思いながらも、尚割り切れぬ気持ちで観た2周目(正確には、それまで第1~9話までは毎週のように繰り返し視聴していたので、第10~12話だけを本作放送終了後に2回目視聴したのですが)、これも本ページ末尾(2回目視聴時のレビュー)に書いていますが、今度は、「確かに最終回の展開の都合の良さは気になるけれども、意外とこの終わり方で良かったのではないか?」という感想に変わってしまい、そうした自分の気持ちの変化に気づいて二度ビックリ。

その後は、同時期の放送でまだ見終えてない作品が幾つもあったこと、さらに新年からの放送(2015年1-3月期)に、かなり気になる作品が幾つかあったこともあり、本作について“後ろ髪を引かれる想い”で最近まで来てしまいました。
そして今回、ようやく本作をじっくり再視聴する機会を得て、改めて色々と考察し、この“想い”を整理して、感想をまとめてみました。

◆制作情報
{netabare}
原作           Project 2H
企画・原案       タカヒロ
監督           岸誠二
シリーズ構成      上江洲誠
脚本           上江洲誠、タカヒロ、村田治
キャラクターデザイン BUNBUN(原案)、酒井孝裕
音楽           岡部啓一、MONACA
アニメーション制作  Studio五組{/netabare}


◆各話タイトル&評価(※3周目以降)

各話タイトルは全て花言葉となっており、うち半分は{netabare}勇者部の5人と乃木さん(先輩勇者){/netabare}の変身後の紋花のものです。

※本作は【起-承-転-結】ではなく、【序-破-急】(導入-変調-加速)の3パート構成と見るとしっくりきます。

★が多いほど個人的に高評価した回(最高で星3つ)
☆は並みの出来と感じた回
×は脚本に余り納得できなかった疑問回

==================== 結城友奈は勇者である (2014年9-12月) ====================

------ 【序】(導入) {netabare}勇者部の使命が語られる{/netabare} --------------------
{netabare}
第1話  乙女の真心      [コスモス]  ★★ 勇者部4人回(とくに友奈) *OPなし,ED「ホシトハナ」
第2話  ろうたけたる思い  [菊] ★ 勇者部4人回(とくに東郷さん) *OP「ホシトハナ」,ED「Aurora Days」(勇者部4人)
第3話  風格ある振る舞い  [牡丹]  ☆  夏凜登場回 *OP「同上(※以下省略)」ED「同上(※以下省略)」(勇者部5人)
第4話  輝く心         [カタバミ] (※風先輩の花) ☆  樹ちゃん回 *ED「祈り」(樹ソロ)
第5話  困難に打ち勝つ   [サザンカ] ★★  全員回(戦闘回) *ED(勇者部5人){/netabare}

------ 【破】(変調) {netabare}勇者システムの真実が語られる{/netabare} ---------------
{netabare}
第6話  明日に期待して   [ラベンダー] ☆  全員回(病院回) *ED(勇者部5人)
第7話  牧歌的な喜び    [黄スミレ] ☆  全員回(水着・温泉回) *ED(勇者部5人)
第8話  神の祝福       [青バラ] (※乃木さんの花) ★★★ 乃木さん回 *ED(勇者部5人){/netabare}

------ 【急】(加速) {netabare}真実を知った後の勇者たちの覚悟が試される{/netabare} ----
{netabare}
第9話  心の痛みを判る人  [アマドコロ] (※樹ちゃんの花) × 風先輩回 *ED「祈り」(樹ソロ)
第10話  愛情の絆       [朝顔] (※東郷さんの花)  × 東郷さん回 *ED(東郷さんソロ-2番歌詞ア・カペラ)
第11話  情熱          [ヤマツツジ] (※夏凛の花) ★★ 夏凜回 ED(友奈ソロ)
第12話  貴方に微笑む    [ヤマザクラ] (※友奈の花) ★★ 友奈回(※注釈) *ED(勇者部5人-合唱){/netabare}
-------------------------------------------------------------------
★★★(神回)1、★★(優秀回)4、★(良回)1、☆(並回)4、×(疑問回)2 個人評価 ★★ 4.7

※注釈:最終話(第12話)は、1~3周目それぞれで、受ける印象が大きく異なりました。
(作品内容の理解のレベルが上がるにつれて評価が、×(失敗回)→☆(並評価)→★★(ダブル高評価)、と大きく上昇)


◆総評
{netabare}
(1) これは初見時から変わらない感想ですが、第1話~第8話までの流れ(【序】~【破】へと至る流れ)は、ほぼ完璧だと思います。
・それほどまでに第8話で明かされる勇者システムの真実は、私には衝撃的かつ、それまでの流れから説得力の高いものでした(この回を★★★(トリプル高評価)とした理由)。
(2) これに対して、【急】の始まりを告げる第9話(風先輩の反逆未遂回)、そして大波乱の幕開けとなる第10話(東郷さんの反逆実行回)は、私個人としては、やはりどれだけ考えても、風先輩・東郷さん両名がそれぞれ大赦・神樹への反逆を決意するに至る心情推移に、余り説得力を感じられない・納得のいかない回となりました(この両回を×(疑問回)とした理由。また本作の総合評価を、今回4.4→4.7と引き上げたにも係わらず尚若干マイナスとした理由)
・ただし、この両回をそれぞれ非常に高評価する方々が沢山おられることも分かっています(そこは個人個人の感じ方の違いということなのでしょう)。
(3) 第11話(夏凜が大見得を切り連続満開する回)は、私が本作に期待したもの(※短く満開したのち潔く散る「桜」のイメージ(後述))に一番近い内容だったので、★★(ダブル高評価)としました。
(4) 一番評価が変わったのは、今回も最終第12話で、初見時は×(失敗回)評価だったものが、2回目視聴時の☆(並評価)を経て、ヒロイン友奈を始めとする勇者部の少女たちに強く感情移入してしまった今回は、★★(ダブル高評価)に二階級特進!してしまいました。
(5) 以上から、総じて本作は、過酷な運命に見舞われる勇者部の少女たちに対する感情移入の効果が非常に大きい作品、繰り返し視聴することによってそうした効果がさらに増大してしまい、彼女たちへの「共感」がストーリー展開の粗をも覆い隠すに至る作品、と評することが出来ると思います。
{/netabare}

※以上まで、本作に関する「感想」でした。
※以降は、本作の「分析」に入ります。

◆本作の2つのモチーフ(制作動機)

※これは、はっきりしていると思います。すなわち、

①「まどマギ」のモチーフ
{netabare}
 ※本作が「魔法少女まどか☆マギカ」の達成を大きな制作動機とし、その設定やストーリー展開を参照しながら、そのalternative(代替物、別ヴァージョン)としての達成を目指したことは、誰が指摘するともなく明らかでしょう。
 ※しかし、本作は他の類似企画された諸作品のような「まどマギの二番煎じ」「劣化まどマギ」には留まらない、独自の明確かつ強烈なモチーフを持っていました。それは・・・{/netabare}

②「桜」のモチーフ
{netabare}
 ※ないし「ラスト・サムライ」「神風・・・」のモチーフとでもいうべきか。
 ※本作の本当の魅力(でなければ困惑、あるいは人によっては嫌悪の種)はここにあると言ってよい、と考えます。
 ※なお、「ラスト・サムライ」というのは、トム・クルーズ&渡辺謙が主演し小雪がヒロイン役を助演した2004年上映のハリウッド映画で、“花は桜木、人は武士”と言い慣わされたように、桜のように美しく咲き誇った後、短く散り行くサムライたちの矜持(きょうじ=誇り)を描いた作品です。
 ※「神風・・・」のイメージは、「ラスト・サムライ」のイメージとも通底しますが、何といっても本作OP「ホシトハナ」の曲調と歌詞から、そして、OPの最後の4人ないし5人の少女たちの満面の笑顔の止め絵(→出撃直前の特攻隊員たちの満面の笑顔の写真を連想させる)から、どうにも否定しようもなく湧き出てくるものであり、それは第8話で明かされる“散華(「供養のために華を散らす」という意味の仏教用語から転じて「若年の兵士の戦死」の婉曲表現として戦時中に使用された)”という用語によって補強されます。
 ※この点に関しては、私個人の飛躍したイメージではないか?という意見もあるかと思いますが、以下に示すように、本作の放送当時から幾つもの掲示板やサイトで語り合われていたことであり、私としても初見時のレビューでは慎重に言及を回避していた事項なのですが、本作に対してきちんと正面から向き合おうと思うならば、やはり回避できない本質的な指摘であると考えます。
 ※以下、長文の引用になります。興味関心のある方のみ閲覧して下さい。
{netabare}
☆引用元:http://yaraon.blog109.fc2.com/blog-entry-29067.html
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名前:名無しさん 投稿日:2014年12月22日 20:53

間違いなく秋のトップ作品
こんなに化けると誰が予想しただろうか? そしてGF()がこんなに酷い事になるなんて・・・

やっぱオリジナル作品は当たりはずれが悲惨だけど、こうやって素晴らしいものがでてくるから楽しいんだよね
そして日本アニメの底力を見た、これはいくら作画力が高くなっても、中韓には作れない

名前:名無しさん 投稿日:2014年12月22日 22:15

まどかは初見で、「りりかSOS」とか「ジャンヌ」とか、あるいは18禁ゲーの系譜に属する、お約束を「逆手」にとるタイプの魔法少女ものの王道だと思ったけど、ゆゆゆは、もう少し今の時代の政治的な心象を扱ってる感じがある。東郷さんの存在がそう思わせるのかもしれん。
なので、大変おもしろいが少しなまぐさい・・・・。

名前:名無しさん 投稿日:2014年12月22日 22:25

ゆゆゆは、特攻隊や桜花や回天のオマージュだよな、逃れようのない運命をどう受け入れるか、がテーマなんだよ

名前:名無しさん 投稿日:2014年12月22日 23:08

171、173
まさにそのへんだよなあ。
善意で身を捧げる行為の正当性を問うという意味では、まどマギもそうだけど、あれは「公」か「私」かという論議に収束していったから。

ゆゆゆは結構あからさまに「国防」がテーマで、彼女たちは「徴兵」されたすえの「傷痍軍人」で、最後は「軍神」にまつりあげられるわけだから。で真実を知って転向したニヒリスト兼アナーキスト(東郷さん)が出てくるとw。
顔の見えない国って信用おけるの? 外敵との闘いは結局システムの要請で、愛国心や正義心や守る思いを叶えるための代償は誰も補填してくれないよ、と最近のシンプルな国家主義に釘をさす一方で、「隠されていた真実」や国家の不正を知った瞬間に、全てを破壊する方向に舵を切り、自らの本末転倒に気づかないありようのバカバカしさ(まさに左翼・革命主義者の典型)をも描くという意図は、感じずにはいられないよね。

名前:名無しさん 投稿日:2014年12月23日 02:38

>>171
こんなスレで書くのも場違いだが、東郷さんの満開は空母だからな
それに載って敵を倒しに行った桜の花ときたら友奈のイメージは桜花しかない

名前:名無しさん 投稿日:2014年12月23日 02:47

>185
やっぱり社会的に攻めの姿勢がある作品は必要だな。時々滑った作品も出てくるけど

この作品はまどかの発展系としては非常にいいと思う。ゆゆゆが出てきたことで初めてまどかは時代を作った作品を名乗る資格を得たと言える。他から参照されて初めて時代を作ったと言えるようになる。(これまではパロディばかりで内容的な参照は皆無だった)

後に続く作品が凡作ばかりだとまどかの地位も下落する。逆に後に続く作品が優秀だと
元になったまどかの地位も高くなる。(弟子が優秀だと師匠の鼻も高くなる)

名前:名無しさん 投稿日:2014年12月23日 02:56

204
こういう事いうやつに限って まどマギとセーラームーンの類似性を指摘すると逆上するw

名前:名無しさん 投稿日:2014年12月23日 03:08

そもそも、まどマギは既存魔法少女モノのカウンターなのに類似性とかドヤ顔で語られてもな。

名前:名無しさん 投稿日:2014年12月23日 03:17

206
魔法少女ものの正統な血縁関係なんでまどかは、そりゃ、セーラームーンからも多くを引き継いでいるさ

ただし、まどかが引き継がなかった要素がなんのかも重要な点、そこが今時の時代の要請であり、まどかのオリジナリティでもある。

例えば、タキシード仮面とか(まどか本人には憧れの男の子がいない)生まれ変わりとか ちびうさとか

名前:名無しさん 投稿日:2014年12月23日 03:30

208
勿論、同じ部分もある
まどかが神になって魔法少女という生き方を肯定する部分とか

一方、ゆゆゆだとその自己犠牲を払って神に祭られるシステムそのものを問題にしている。
(ほむらの場合、まどかに個人として普通に生きて欲しいと言っているだけで東郷さんのようにシステムにテロを仕掛けようとしているのではない)良い発展形だと思う

名前:名無しさん 投稿日:2014年12月23日 03:35

207
横だけど、ゆゆゆに限っては、「まどマギ」を明快に意識してそのヴァリエーションを提示してるわけで、作り手もむしろ比較されていいと思ってるだろうから、類似性を語っても構わない気はするかも。真正面から類似ジャンルにオリジナルで敢えて挑んでるのって、「幻影ヲカケル太陽」以来だし。

もちろん「似てるからダメ」って論調はどうしようもないけどね。「似てる」って言われても、スタッフも苦笑するだろ……いわゆる「そんなこと、ロバでもわかる」てやつだからw

名前:名無しさん 投稿日:2014年12月23日 03:41

210の続きだけど、似ていても別の料理として楽しめるように、ゆゆゆは手を尽くしてるとは思うんだよね。

当初、作品の傾向を隠してたまどマギに対して、ジャンル自体を隠してみせたゆゆゆ、
洋風の動物・グッズ系モンスターに対して和風の植物・無機物系モンスター、
死と魔女化の恐怖に対して、不死性と欠損がもたらす悲劇の強調、
内的に発生する脅威を摘み取るまどマギと、外界からの脅威に立ち向かうゆゆゆ。
ループ者だけが記憶のあるまどマギに対して、ループ者だけが記憶がないゆゆゆってのもそう。
そして、そこに国家と兵士という新しい問題意識が加わってる。
--------------------------------------------------{/netabare}
{/netabare}

 ◇《まとめ》
※以上の2つのモチーフ(制作動機)から、本作は、
 {netabare}
 ①まどマギのモチーフ(=外見的・表面的モチーフ)を、巧みに偽装しながら、実際には、
 ②桜のモチーフ(=内面的・心情的モチーフ)を、強烈に視聴者に訴えかけ、彼らの心に揺さぶりをかけることを意図した、稀有の作品
{/netabare}
・・・と要約できると考えます。
  (※逆にいうと、②の点に共鳴できない方は、本作にはほとんど共鳴できないことになります)


◆本作のテーマ(主題)

※これも、はっきりしています。本作のテーマは、ズバリ、
{netabare}
「勇者の本分(本質)を問うこと」{/netabare}

※そして、その解答も明確に提示されています。即ち、
{netabare}
「結城友奈は勇者である」
(=彼女の在り方こそが真の勇者の在り方である){/netabare}

※ここで、勇者部の5人の少女たちを詳しく見ていくと、それぞれ勇者となる動機が違っていることに気づきます。
{netabare}
①風先輩=バーテックスの犠牲となった両親の仇(かたき)を討ちたい
②樹ちゃん=大好きな姉と同じ道を並んで共に歩みたい
③東郷さん=東郷家の先祖たちのように自分も国防に励みたい
④夏凜=正真正銘の勇者(完成型勇者)に成りたい
⑤友奈=人の為になることを勇んで行うこと、それが勇者の使命だから、私は勇者になる{/netabare}

※このうち、
{netabare}①風先輩は、<1>勇者システムの過酷な真実に直面し、さらに<2>最愛の妹の夢の実現が不可能であるという事実に絶望して、また
③東郷さんは、<1>に加えて、<3>世界の絶望的な状況を認識し、さらに<4>自己の記憶喪失という過去に絶望して、
それぞれ勇者システムの元締めである大赦と神樹様への反逆を決意してしまいますが、
⑤友奈(=勇者適正が最高の真の勇者)の阻止によって、辛うじて勇者の本分を取り戻します。

※なお、②樹ちゃんは、①風先輩が勇者の本分を取り戻すための重要な契機を、また、
④夏凜は、⑤友奈が勇者の本分を忘れかけた一番危なかった一瞬に彼女にそれを取り戻すための唯一の契機を、それぞれ提供しています。{/netabare}

※こうした、{netabare}⑤友奈(=真の勇者)の在り方{/netabare}自体も、本作最終話(第12話)ラストで、詳しく開示されています。すなわち、
{netabare}
 (1) 演劇シーン手前の東郷さんのナレーション

「勇者は自分が挫けないことが、皆を励ますのだと信じていました。」
「そして皆がいるから、皆を信じているから、自分は負けないのだと。」

 (2) 演劇シーンでの風(魔王役)と友奈(勇者役)の会話

魔王「ガハハハハハハァ。結局、世界は厭なことだらけだろう。辛いことだらけだろう。お前も、見て見ぬ振りをして、堕落してしまうがいい!」
勇者「厭だ。」
魔王「足掻くな!現実の冷たさに、凍えろ。」
勇者「そんなの、気持ちの持ちようだ。」
魔王「何?」
勇者「大切だと思えば友達になれる。互いを思えば、何倍でも強くなれる。無限に根性が湧いてくる。」
「世界には、嫌なことも、悲しいことも、自分だけではどうにもならないことも、沢山ある。 だけど、大好きな人がいれば挫けるわけがない。あきらめるわけがない。大好きな人がいるのだから、何度でも立ち上がる!」
「だから、勇者は絶対、負けないんだ!」

 (3) 会場から湧き起こる拍手の中での友奈の独白

「そう、何だって乗り越えられるんだ。大好きな皆と一緒なら。」
{/netabare}

※こうした、⑤ヒロイン友奈の信条・姿勢については、シニカルな批判も当然可能であり、これを現実には全く通用しないファンタステックで不快な妄念と否認する方も多いと思います。

※それは、もう個々人の価値観の問題としか言いようがないのですが、私としては、殊(こと)に初見時は別段そうでもなかったにも係わらず、3周目の視聴時に、とうとうと言うべきか、ようやくと言うべきか、こうした本作のラストシーンに、図らずしも《{netabare}まるで本作に描かれた観客席の生徒たちのように、友奈たちに拍手を贈りたい気持ちになっている自分{/netabare}》を発見して、ちょっと戸惑いながらも、嬉しい気持ちになったことを、ここに報告して、このレビューを閉めたいと思います。



======================================
※以下は、2014年10-12月のTV放送当時(1周目および2周目)の感想・レビューです。
(上記よりもまとまりのない長文です。保存用)

{netabare}
(レビュー・タイトル)
《最終話=超微妙だが、「まどマギ」に挑んだ勇気は高評価したいセカイ系【ネタバレ絶対回避】》

エヴァ・まどマギを、直ちに連想させる紛(まご)うことなき「セカイ系」。
陳腐な恋愛要素はゼロであり、期待外れのWIXOSSよりずっと面白い。
最終話タイトル「貴方に微笑む」(花言葉=山桜)から、主人公=結城友奈=による、
悲劇的で残酷な世界から少女達を救済する「勇者」の乾坤一擲の決断を推測するが果たして?

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★第2話まで視聴時点(2014.10.18)

可愛い女子中学生が勇者ごっこする緩い話かと思いきや、いきなり緊急事態発生!

{netabare}
ああこれは使徒襲来だな。
使徒が神樹にたどり着けば世界の終わり。
使徒を倒せるのは選ばれた勇者である君たち4人だけ。

使徒の体はダメージを負っても自動修復するので、まず封印してコアを露出させ、これを破壊するしか奴等を倒す方法はない。
で、この封印がたった40秒のタイムリミット付きで、コア破壊できないと勇者の活動限界とか(笑)
{/netabare}

何か期待したいような、したくないような(笑)
頑張って欲しい作品です。

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★第5話まで視聴時点(2014.11.7)

ここでストーリーとしては一段落した感じ?(まだ7話残っているけど)。
先が読めない展開は、なかなか良いと思う。

それにしても、制作側だってわざと、まどマギやエヴァを意識させる作品作りをしているんだし、今までに明らかになった神樹様や使徒(Vertex)の設定のほかにも、勇者たちの言葉づかいなどから、まだまだ何か面白いものがこの作品には隠されているように感じるのだけれど・・・

もっとも、こうした期待感は今まで幾つかの作品で裏切られてきたので、この作品も結局は大外れのまま最終回を迎える確率がずっと高いとは思うのだが。

まあいい。
この作品については最後まで見届けることにしよう。

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★第8話まで視聴時点(2014.11.28)

とうとう鬱コースに突入してしまったね。
{netabare}魔法少女システムならぬ勇者システムか。{/netabare}
結城友奈はこの悲劇的な仕組みを打ち壊せるのだろうか?

しかし{netabare}散華(さんげ){/netabare}って・・・
作品中に使用される言葉が幾分不謹慎な気もするのだけど。
杞憂でなければよいが。

ガッカリしてしまう結末にならないことを祈る。
(←調べたら、岸誠二監督って「蒼き鋼のアルペジオ-アルス・ノヴァ-」の監督も務めた方だったんですね。ならまず大丈夫だろう。良かった。)

※追記
このアニメの考察(色んなブログや2chあたり)が結構面白い。
東郷さんが記憶を取り戻したら、えええーーーってなりそう。
しかし東郷さんに乃木さんって・・・思わせぶりな名前は止めて欲しいぜ。

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★第9話まで視聴時点(2014.12.05)

{netabare}
さすがに勇者部部員の一部に動揺が出ている。
今回は小規模な波乱で済んだが・・・次回は大波乱必至。
この第9話は、今までになく演出が乱れていたのは残念。
制作側もキツキツなのだろうか?
{/netabare}

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★第10話まで視聴時点(2014.12.13)

{netabare}
1クール12話構成の作品で、ラスト手前の第10話にキーパーソンの過去回想&舞台設定の種明かしを入れるのは定石だが、これは流石に・・・。
個人的には、物語のスケールを大きくするよりも、勇者であることの本質を掘り下げる方向に進んで欲しかったのだけど。
第9話までは相当良い感じに評価していましたが、期待値を上げ過ぎていたのか、ここで微妙な感じに思ってしまった。
それでも残り2話で綺麗にまとめてくれれば文句有りませんが。
{/netabare}

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★第11話まで視聴時点(2014.12.21)

{netabare}
この回の主役・三好夏凜の精霊ヨシテルの決まり文句「諸行無常」や悲壮なOPから、『平家物語』や『ラスト・サムライ』のような散り行く者達の矜持を高らかに謳いあげる作品になると期待していたし、確かにそういう描写もあるのだけれど、作品全体が必ずしもそうしたコンセプトで統一されているわけではないんだね。
特に東郷さんの心の動きのブレ方は説得力が余り無くて残念な感じです。

なお、最終話タイトルが「君に微笑む」から「貴方に微笑む」に変更になった模様。
いずれにせよラスト回では、真打ち勇者の雄姿を存分に描き切って欲しいです。
{/netabare}

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★第12(最終)話まで視聴時点(2014.12.27)

まさに制作側も、とうとう力尽きたような支離滅裂な畳み方で、もの凄く惜しい結末でした。

アニメーション制作会社のstudio五組さんには2012年夏の『織田信奈の野望』に続いて本作でも実に素晴らしい作画・演出技術を見せてもらったし、一人一人のキャラを例外なく好感度高く描く技量も本当に大したものだと思うのですが、作品全体のシナリオ構成にどうしてももう一工夫足りなくて「名作」にあと一歩届かなかった感じですね。

岸監督には、2013年秋の『蒼き鋼のアルペジオ-アルス・ノヴァ-』に続いて今回も見応えのある作品を送り出してもらい、すっかりファンになってしまいましたが、こちらもどうしても最後の詰めが甘くて作品全体の印象が陳腐化してしまったように感じてしまいました。
「アルペジオ」は続編映画の制作が決まりましたが、こちらは余程円盤かゲームが売れない限り無理っぽい感じかな。

企画原案=タカヒロ氏の、敢えて「まどマギ」に挑んだ蛮勇は高く賞讃したいと思います。
ラストは駄目駄目だったけどね。
『幻影ヲ駆ケル太陽』に続いて「まどマギ」への果敢な挑戦者は今回も手酷い敗北を喫した感じなのですが、こういう挑戦者が出て来てこそ次の進歩があるはずで、特に今回は、富士山への登山に譬えれば七・八合目まではたどり着いて山頂が微かに見えて来たくらいのインパクトはあったと思うので、そこからのズリ落ち様がまさに全力を使い果たして不恰好なものになってしまっていても、個人的には暖かく見てあげたいと思う。

むしろ重要なのは、今回の敗北の原因とその克服方法の検討でしょう。
第1話からもう一度視聴し直して、確りした全体評価をしたい作品です。

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★各種メモ書き

【各話タイトル&評価】

各話のタイトルが、花言葉になっているようです。
最終話は桜のイメージから友奈がメインになる感じです。

★が多いほど個人的に高評価した回(最高で星3つ)
☆は並みの出来と感じた回
×が付いている話は脚本に疑問を感じた失敗回
?は内容が微妙で現時点で評価保留の回

{netabare}
第1話10/16  乙女の真心   コスモス  ★ 全員(とくに友奈)
第2話10/16  ろうたけたる思い   菊  ★ 全員(とくに美森)
第3話10/23  風格ある振る舞い   牡丹  ☆ (夏凜)
第4話10/30  輝く心        オキザリス ☆  (樹)
第5話11/06  困難に打ち勝つ    山茶花 ★★ 全員(とくに友奈・美森)
第6話11/13  明日に期待して    ラベンダー ☆ 全員(とくに友奈・美森)
第7話11/20  牧歌的な喜び     黄スミレ(犬吠埼風) ☆
第8話11/27  神の祝福       青バラ(乃木園子) ★★★ 
第9話12/04  心の痛みを判る人   アマドコロ(犬吠埼樹) ☆ 
第10話12/11  愛情の絆      朝顔(東郷美森)  ☆
第11話12/18  情熱        ヤマツツジ(三好夏凛) ★
第12話12/25  貴方に微笑む    ヤマザクラ(結城友奈) ×(1回目視聴時)→☆(2回目視聴時)
{/netabare}

●op「ホシトハナ」

作詞:中村彼方
作曲:岡部啓一
歌唱:讃州中学勇者部
歌詞
{netabare}
サカラバ サア(※盛らば、さあ)

<1番>
静けき森の中 いま目覚めた花たちよ
この世に何を思い 何を感じてる

ああ 真実ほど人を魅了するものはないけど
ああ 真実ほど人に残酷なものもないのだろう

咲き誇れ(咲き誇れ) 想いのままに
この瞬間(この瞬間) 全てを賭けて
無限の星すらも霞むように
勇気 心に溢れ
(いかなる)いかなる時も生きて

<2番>
花びらひとひらに 情熱宿しはじめた
瞬くその瞳 何を映してる

ああ 土に埋めた小さな種 密やかに割れて
ああ 芽を出したらやがて空と向かい合っていくのだろう

輝けよ(輝けよ) 眩いほどに
一瞬に(一瞬に) 思いを込めて
その願いが世界を導く
カラダに力満ちて
(ヒカリを)ヒカリまとって走れ

<3番>
咲き誇れ 想いのままに
この瞬間 全てを賭けて
無限の星すらも霞むように
勇気 心に溢れ

輝けよ(輝けよ) 眩いほどに
一瞬に(一瞬に) 思いを込めて
その願いが世界を導く
カラダに力満ちて
(ヒカリを)ヒカリまとって走れ

サカラバ サア
{/netabare}

※これ、物凄く悲壮な曲である。第8話を視聴した後だと特にそう思う。
今後の展開次第だけど、個人的に好きな曲になるかも知れない。


●「まどマギ」との違い

一番大きいのは、

(1)まどマギの魔法少女たちが、「最高の素質」を持つ鹿目まどかを除いて割と一般人っぽい人達だったのに対して、
(2)この作品の少女たちは、{netabare}予め「勇者」適正値が高い者達として組織によって選抜されていること{/netabare}。

つまり全員が、大なり小なり事前に{netabare}「勇者となって戦う覚悟」が出来ている=まどかタイプの少女{/netabare}であること、ではないか。
それが、どういう結末をもたらすのか。

特に、一番「勇者」適正値の高い主人公=結城友奈が、ギリギリの状況でどういう決断を下すのか、が見所になると予想します。



※12/27追記
{netabare}
上を書いた時点では、この作品は、第11話の感想にも指摘したように映画『ラスト・サムライ』(トム・クルーズや渡辺謙が出演した2004年のハリウッド映画)のような、散り行く者達の矜持(きょうじ=誇り)を描く作品、すなわち、

(1)『まどマギ』がキリスト教の《聖書》をモチーフとして理知的に魔法少女達の「救済」を描いた作品とするならば、
(2)より日本的に、勇者達の《短く咲き誇ったのち散り行く桜花》の哀しさを抒情的に謳いあげる作品

になるのでは・・・と予想していたのですが、その後のストーリーは、こうした"勇者"であることの証(あかし)をヒロイン達が確りと問い詰めていく方向には踏み込まず、逆に第10話以降やたらと話のスケールを大きくしてしまい、収拾がつかなくなってご都合主義もいいところの完結になってしまった感じです。

それが、この作品の深みが最後の数話で一気に薄くなってしまったように私が感じた原因かも知れません。{/netabare}

●最終話を2回視聴して

※上は最終話を初めて視聴した時の感想ですが、その後ラスト3話を2回目視聴した後の率直な感想として追記します。

今度はストーリーが分かっているので、安心して細かいところまで確認しながら視聴しているんですね。
それで、ちょっと自分でもビックリしたのは、初回はあれだけ違和感が強かった{netabare}唐突でご都合主義的なHAPPY END{/netabare}について、意外にこれで良かったのかも?と何気に思い始めている自分に気づいたことです。
確かに最終話のストーリーは、{netabare}いくら私でも弁護するのが困難に感じるほどに支離滅裂に見えてしまうのですが、でも、これまで頑張ってきた勇者部の5人があのまま救われないで{/netabare}エンドを迎えるのは、ファン心理としてはやはり辛いんですね。

だから、すごく甘々ですが、もしかしたらこの作品は、もうこのエンドで良かったのかも?{/netabare}

投稿 : 2024/04/20
♥ : 142
ネタバレ

ホワイトマウス さんの感想・評価

★★★★★ 5.0

えっ?これって勇者の物語じゃなかったの?どうして涙が止まらないの?

この作品、大みそかに見終わって、お正月中はしばらく呆然としていました。

最初見たときはこの作品は男性向けだなあ、という感想。
企画・原案はタカヒロ。それと、ちょっとだけ気になったのは岸誠二監督、シリーズ構成が上江洲誠さんのコンビだったこと。お二人は蒼き鋼のアルペジオでもいっしょでした。この時点でこの作品がこんなに混沌とすることを予想しておけばよかったんですけど。

前半は、新しい形の勇者ものだなあ、みんな楽天的で勇者部のみんなで仲良くしていこう、そんなメッセージが満載。神様もメールできるんだぁ、みんな自然だなぁ、普通のドラマかなあ、そんな感じでした。そんな中で、「一人でいるとつい暗いことを考えてしまう。みんなと一緒にいるとそれを忘れることができる」というセリフ、名言かも。

中盤に入ると、 {netabare}勇者システムという残酷なシステム、戦いで満開と散華を繰り返すことによる体の機能欠損、そして後半はバーテックスの正体が明るみになって目が離せなくなってしまいました。乃木園子ちゃんが東郷さんにこの世界の真実を告げ、東郷さんが真実を知ったときの衝撃。{/netabare}

私、こんなアニメを見ていたの?これって何なの?どうして涙が出るの??

{netabare}
犬吠埼風ちゃんと樹ちゃんの姉妹愛、もう大泣きでした。妹の樹ちゃんが初めて夢を持って努力して、でもバーテックスの戦いで夢が絶対にかなえることができないことを風ちゃんが知ってしまうシーン、私、こらえることができなかった。

最終回について、あにこれで低評価されている方もいらっしゃいます。これって、某作品のようなラスト、例えば友奈ちゃんが意識を戻らないような最終回を望まれているのかなあと想像しちゃうんですけどどうなんでしょう。
私は、終わり方が悲劇的だったり、はっきりしない作品は好きじゃない。だから「結城友奈は勇者である」の最終回はハッピーエンドで、本当に良かった。友奈ちゃんの復活の説明不足もあったけど、でも、私はとっても素敵な最終回だったと思います。

作品について、映像もきれい、音響も奥行きがあって良かったと思います。CVでは乃木園子ちゃん役の花澤香奈さん、東郷さん役の三森すずこさん、そして風ちゃん役の内山夕実さんがとても素敵でした。
音楽、とっても繊細で壮大。姉妹愛は繊細に、この世界の真実の曲はモーツァルトのレクイエムを髣髴させます。作曲は岡部啓一、MONACAで、岡部さん代表の音楽制作クリエイター集団。龍ヶ嬢七々々の埋蔵金やサーバント×サービスなど作曲しているようです(wikiに詳しく書かれています)
{/netabare}

時代背景が日本神話をエッセンスとして構成されているように見えます。このような作品は日本でしかできないかもしれません。岸誠二監督、シリーズ構成の上江洲誠さんのコンビの作品は今後、要注意かも。

投稿 : 2024/04/20
♥ : 108
ネタバレ

shino さんの感想・評価

★★★★☆ 3.6

闘いの螺旋

Studio五組制作。

勇者はくよくよしない、いつも前向きだから。
牧歌的な風景と、素朴な少女たちの日常に癒され、
それと対比するように入れ替わる、
過酷な色彩と光の魔法世界。
とても有意義な時間を過ごせました。

世界を崩壊へと導く生物の頂点バーテックス、
神樹により選ばれた勇者たち、
少女たちの日常は突如として終わりを告げる。
徐々に明らかになる、世界の真実、
そして逃げ場のない、勇者システム。

中盤以降、少女たちの戦闘が、
{netabare}供物の産物であると知った時、
日常パートが大きな意味を持ち始めます。
供物となるのはいつも無垢なる少女なのだ。
力の代償としてその身を神樹様に捧げる、
最後は樹木のように動かなくなり祭り立てられる。
あまりにも悲しい運命である。

最終話まで夢中になれましたが、
最後は演出も少し駆け足に感じた。
本来は複数話かけるべきなのでしょう。{/netabare}

身体の一部が欠損してまでも、
闘い続ける少女たち、闘いの螺旋 未だ終わらず。

続編を心して待ちたいと思います。

投稿 : 2024/04/20
♥ : 79
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