ヒューマンドラマで成長なおすすめアニメランキング 7

あにこれの全ユーザーがおすすめアニメのヒューマンドラマで成長な成分を投票してランキングにしました!
ランキングはあにこれのすごいAIが自動で毎日更新!はたして2024年04月24日の時点で一番のヒューマンドラマで成長なおすすめアニメは何なのでしょうか?
早速見ていきましょう!

80.1 1 ヒューマンドラマで成長なアニメランキング1位
3月のライオン(TVアニメ動画)

2016年秋アニメ
★★★★☆ 3.9 (969)
4849人が棚に入れました
主人公は、東京の下町に1人で暮らす17歳の将棋のプロ棋士・桐山零。深い孤独を抱える彼が、あかり・ひなた・モモの川本3姉妹と過ごす時間や、さまざまな棋士との対戦を経て、失ったものを少しずつ取り戻していく様が描かれる。

声優・キャラクター
河西健吾、茅野愛衣、花澤香菜、久野美咲、岡本信彦、井上麻里奈、細谷佳正、三木眞一郎、杉田智和、木村昴、千葉繁、大川透、櫻井孝宏

えたんだーる さんの感想・評価

★★★★★ 4.6

シャフトらしくないかも(主に作画が)。ちなみに良作です。

ヤングアニマル掲載マンガが原作で、まだ終わっていない作品のアニメ化。既刊分の原作単行本は全部持っています。

第1回目を視聴しましたが、けっこう原作の画の感じが残っていました。背景もシャフトらしくない柔らかい感じの原作に近いタッチの画で、どこが制作かなんて気にしてない原作ファンは安心したかもしれないです(笑)。

通して最終回まで観る予定なので、レビューはそのあとになる予定。あと、評価の星は暫定ですが良い意味で作画に裏切られたので、あえて5をつけておきました(笑)。

2017.4.25追記:
視聴を終わって更新しそびれていました。原作準拠で穏当なアニメ化でした。原作者の羽海野チカ先生も原作既読のファンも満足できたアニメ化だったのではないでしょうか。

「ぼっちスパイラル」に嵌る零くんを見ていると切なくなりますが、それ以上に川本家の人たちや林田先生の暖かさ、そして対局解説中なのに「桐山~!」と叫びだす二海堂くんの熱さなどが心地良い作品です。

二海堂くん開発「ニャー将棋」のネタは原作マンガにもあったのですが、歌まで作ってしまったのはさすがのNHKでした。最終話の最期に2017年10月からの2期目の放送もアナウンスされ、まずは順風満帆といったところ。

あー、写真加工した静止画での次回予告とかドラマ『傷だらけの天使』へのオマージュっぽいスミスの朝食シーンとかはシャフトっぽいです(笑)。
(でも、あれも一応原作にそれっぽいシーンはある…。)

2017.10.4追記:
原作最新巻(13巻)が出たのでさっそく読んだのですが、OP主題歌「ファイター」のメーキングというページがありました。そこに書いてあったのですが、あのOPアニメーションのコンテ切ったの羽海野先生ご本人だったんですね!

そして間もなく2期目が開始になります。楽しみです。

2017.11.5追記:
2期目が始まってだいぶん経っています。原作通りだと、2期目中盤はしばらく「高校生らしい」零くんが観られるはず。
(以後、レビュー更新は2期目の方でする予定。)

投稿 : 2024/04/20
♥ : 70

scandalsho さんの感想・評価

★★★★☆ 3.9

緩急が凄い!

原作未読。最終話まで視聴。

人とのコミュニケーションが苦手で、ちょっぴり根暗な少年が主人公の物語。

1クール目は、主人公が川本家の3姉妹との出会い・交流を通して『人の温もり』を知る物語。
2クール目は、主人公が将棋を通して知り合った頼もしい仲間やライバルとの物語。
ざっくりというとこんな感じかな?

1話冒頭から、主人公があまりにも暗いし、物語のスピード感は無いし『どうしたものか・・・』と思っていましたが、川本家を訪ねたあたりから急にハイテンション!
物語の緩急って本当に大事だなぁ、と改めて痛感させられた作品です。

ハイテンションな表現があるから主人公の心の闇の深さがより強調される。
上手い演出だと思います。

あと『しゃべるネコ』と『ニャン将棋』には心が和みます。

2クール目については、将棋に詳しい人ならもう少し楽しめたかも・・・って感じでした。
駒の動かし方を辛うじて知っている程度の知識では、プロ棋士の凄さが伝わらない。

あと、主人公は嫌がるかも知れないけど、二階堂は本当に良い奴だ。主人公は嫌がるかも知れないけど・・・。

投稿 : 2024/04/20
♥ : 83
ネタバレ

明日は明日の風 さんの感想・評価

★★★★★ 4.3

少年棋士の心の葛藤と心の成長を描いた作品、作者と制作会社とTV局が一体となった良作

これほど原作が読みたくなった作品は久しぶりのような気がします。終わるまでまとうか、読んでしまおうか、葛藤中です。

シャフトっぽさを消しているようで、ところどころやっぱりシャフトだと思わせるような描写がチョコチョコ見られるのが良いです。特に場面転換で不要じゃね?と思わせるようなカットを入れてきて、それがまた綺麗だったり、インパクトがあったりとするところなんか、シャフトだなと感じてしまいます。ただ、「シャフ度」と言われる首の角度が抑え気味なのはやっぱり寂しいかも(?)

NHKが、しかも総合で流すのですから、力入れているのはよく分かります。まだ前半も途中ですが、引き込まれっぱなしになっています。主人公である零の歩んできた人生の重さ、その重さを少しずつ解放する三姉妹と二海堂との掛け合いの面白い事。

二海堂のモデルは将棋好きの人なら知らない人はいないくらい有名な村山聖なんでしょうね。となると、太っているのは病気のせいであり、あかりが「むっちり」で喜んでいるのはどう解釈したらよいか戸惑いました。このあと二海堂は病気が重くなっていく展開になるんだろうけど、つらいな…

三姉妹は本当にキャラがいい。声も完璧だし、流石としか言いようがありません。話の展開も良く、たぶん、最後まで面白く見ていくことができる作品だろうと思います。すでにお気に入りに入れてもいいように思っています。

【前半を終えて】
結局終わるまで待てず、原作を読んでしまいました…。面白い、何故にこれまでスルーしていたのだろうと思います。前半は零の置かれた状況を表現していた感じです。零が何故に将棋をしているのか、零がどうして三姉妹と関わりを持ったのか、二海堂と零のライバル関係、零と香子の関係等々をシャフト独特の表現でうまく繋いでいた感じです。
とあるコラムニストがシャフトっぽくないのが良いと書いていたのですが、どこを見ているのかと。零の気持ちを表現するときや香子とのシーンはシャフトそのものでしょう。シャフト特有のズルいイメージ(個人的な感想)ふんだんに盛り込んでます。原作のイメージがそのままシャフトっぽいですし、シャフトなら良いと言ったらしい作者の感覚がすばらしいと思います。
三姉妹は癒しそのもの。に対して香子の危うさと言ったら…。香子の声も良いです。老倉育を見て井上さんに決めたらしいのですが、本当にぴったり。

後半はもっと将棋に突っ込んでいくのではないかと思います。また、三姉妹の関わり、零を囲む周りの人々の動きなど、楽しみです。

【後半の中盤】
後半に入り、零の気持ちがどんどん重くなっていきました。そこを救うのが三姉妹であり、先生であり、二海堂であり、島田八段であり…とにかく零は人に恵まれました。回を追うごとにその事が分かります。
将棋に関する話も濃くなってきたのも後半の面白いところです。鍵となる島田八段は飄々としているのに、プロの厳しさを零に伝えてくれます。そしてとうとう出てきた宗谷名人。まさに怪物に相応しい佇まい。アニメになると、その事がいっそう強調された感じです。
零と香子の微妙な関係も相変わらず。が、三姉妹と香子の絡みとか、実は可愛らしい一面もあるところとか見れて良いです。
それから、今の季節に合わせたような進行具合も非常に良いです。これからラストに向けて零がどう成長していくのか楽しみです。

【一期終了】
零のちょっとずつだけど、成長していく感じが見てとれました。
「11年もボッチだったんだ」いう台詞の重みから解放されていく過程を描いたのが一期だったと思います。ゆえに、展開は重く、零の台詞もなにかぱっとしません。耐えられない人はそれでこのアニメはお仕舞です。
零は周りに恵まれました。それは零が成長するための起点になっていきます。二海堂であり、三姉妹であり、林田先生であり、島田八段であり、科学部の面々であり、そういった人々と交わることによって、重く押しかかっていた零の心が開かれて、次のステップへと進んでいきました。見直すと、中盤までの零とは明らかに違う人間になっているのがよくわかります。

この作者は人と人とのつながり、心の葛藤や解放へ向かうまでの描き方が上手だと思います。重くなり過ぎそうなときはわざとデフォルメさせたり、ちゃちゃを入れるような場面を入れてほぐします。これが嫌味に感じないところがまた良いのです。せっかくなので、ハチクロも見てみたのですが、作品は違っても、描き方は同じでした。
それと、ハチクロを見て思ったのが、シャフトで良かったということです。ハチクロも悪いわけではないのですが、ライオンを見た後だと何か足りません。零や香子みたいな人物が多く出演する、心の葛藤を中心とするような作品を作らせたらシャフトは上手です。ちょうど同じ時間帯にAT-Xではefを放送しており、ライオン始まるまでの10分間は視聴していましたが、シャフトの右に出るものはないなとさえ思いました。

二期が決定したので万歳です。二期は{netabare}宗谷とひなが大きくかかわってくる話になると思いますが、この話がどう描かれるのか{/netabare}楽しみでしょうがありません。

少年棋士の心の葛藤と心の成長を描いたこの作品、2クールゆっくりと描かれているので、ドラマ性を求めている人にお勧めです。

投稿 : 2024/04/20
♥ : 53

80.8 2 ヒューマンドラマで成長なアニメランキング2位
花咲くいろは HOME SWEET HOME(アニメ映画)

2013年3月30日
★★★★★ 4.1 (1280)
7231人が棚に入れました
美しい北陸の四季を背景に、祖母の経営する温泉旅館に住み込みで働くことになった東京生まれの女子高生の成長を描いたTVアニメ「花咲くいろは」(2011年4~9月放送)の劇場版。温泉旅館「喜翆荘(きっすいそう)」での住み込み生活にも慣れた松前緒花は、次第に変化していく自分に気づきはじめていた。そんなある日、緒花のクラスメイトでライバル旅館「福屋」のひとり娘・和倉結名が、女将修行のため喜翆荘にやってくる。自由奔放な結名に振り回されながらも、面倒をみていた緒花だったが、物置の中であるものを見つけて……。監督の安藤真裕、脚本の岡田麿里、アニメーション制作を担うP.A.WORKSほか、TVシリーズのスタッフが再結集。

声優・キャラクター
伊藤かな恵、小見川千明、豊崎愛生、戸松遥、能登麻美子、梶裕貴、本田貴子、久保田民絵、浜田賢二、間島淳司、山口太郎、恒松あゆみ、諏訪部順一、チョー
ネタバレ

ワタ さんの感想・評価

★★★★★ 4.2

佃煮プリティ~!

時系列はTV版20話~21話の間の話。

この劇場版では緒花の母・皐月の過去話が主軸として描かれます。
「花咲くいろは」という作品は
皆が何かに向かって一生懸命、悩んで迷って成長していく物語であるわけですが
皐月に関しては、TV版ではそういうキャラとして描かれていなかったので
今回あの皐月にもこんな過去が・・・といった感じで掘り下げてくれたのが良かった。
初登場となる父との馴れ初めや、緒花の名前の由来なども明らかに。

{netabare}偶然発見した業務日誌を通じて、皐月の過去を知ることになる緒花。
そして興奮を抑えきれず夜中にジャージで全力疾走ww{/netabare}
本作の象徴とも言える「走る」シーンは、劇場版でも健在でしたね。
上手く言葉にできない感情の発露。見ていて気持ちがいいし、テンション上がります。

皐月-緒花の話と並行して描かれる、ミンチや菜子のエピソードも良かったです。
66分という短い尺の中で多くのキャラの見せ場をしっかり作って
それぞれ中途半端になることなく、きっちり纏め切っています。
各エピをリンクさせて最終的に一大テーマへと昇華させていく構成も見事。
ラストでTV版のOPのシーンが出てくるとこも良かった。こういう演出には弱いですホントw

生々しいエロネタも健在で、冒頭シーンからやってくれました。
良くも悪くも岡田麿里脚本。そういう意味でやはりTARITARIとは違いますねw

TV版をリアルタイムで観て以来、久々に本作の雰囲気に触れたことで
「花咲くいろは」ってこんな作品だったよな~って見ながら思い出しました。
パンフにも書いてあったけど、それがスタッフの狙いでもあるようです。
というわけで、本作は完全にTVシリーズのファン向けに作られていますが
ファンなら観て損はなし!非常に満足できる内容に仕上がっていると思います。


※余談
上映前の「変態仮面」の宣伝うぜええええええ
劇場マナーCMでも迷惑行為や違法行為の禁止を訴えていたけど
まずはお前の変態を禁止するべきだ、と突っ込みたくてしょうがなかった。

投稿 : 2024/04/20
♥ : 65
ネタバレ

ストライク さんの感想・評価

★★★★★ 4.5

親の心子知らず 

本編 67分

アニメ版を観てからの視聴をオススメします

総集編ではなくて、緒花の母 皐月が高校生だった頃~のエピソード等を含む、完全新作です。



ネタバレ感想
{netabare}
この作品を見る以前から、この作品のCMで「うっせーババア!」って言う、多分 緒花の母だろう?女の子が 凄く印象に残ってました
んで、この本編を観始めたら、導入から「うっせーババア!」ってセリフから始まり・・・
案の定 緒花の母が高校生だった時の皐月でした  ^^;
直ぐにスッキリでしたw


それぞれのキャラも、いい演出してましたね!

緒花は、皐月と同じで「輝きたい」と、もっとぼんぼる決意を!

今時の軽くて天然の結名は、相変わらず悩みなんかないだろうな~って感じだったし 
以外と仲居の神様がついている!? ^^

みんこは、結名の天然に触発され「佃煮 プリティー」とかで、一人ハズイwww ^^
それに、久しぶりに「ホビロン」聴けて満足でした

菜子は・・・
ほんと良い子やな~(〃ω〃)
お母さん代わりに妹達の面倒みて、
麻奈を探し見つけたデパートの屋上でのシーンは、油断してて思わず泣いてしまった
(yTДT)y  

巴さんは、おばさんキャラでギャグ担当にされてて ちょっと不憫でした^^;
(かかとの角質 硬くなるよね~ ^^;)
巴さんには幸せになって欲しいです。
癒しボイスの能登さんでしたが、お笑い担当キャラだったので、癒し成分が少なかったのが残念でした><

緒花の母の皐月は、自分が親になって初めて女将の生き様に気づきます
「自分に負けられないんだ」と・・・
親の心、子知らず でしたね。。。
「うっせーババア!」と「負けられっか くそババア」のセリフが忘れられません ^^
{/netabare}


自分が この作品を見終わって感じたのは、「家族愛」

自分は子供もいるので、どうしても親目線でした
女将の気持ちも分かるし、
菜子と、菜子の妹が泣く所は 堪らなく切なかったです 
(仕事も大切だけど、家庭が第一だよね)

観る人によって、見方、感じ方は様々だろうけど、
自分はTV版も良かったけど、こっちの話のが好きかな・・・?


心が暖まり、ぼんぼりたくなれた作品でした。(@´ー`@)
オススメです!


主題歌
「影踏み」 歌 - nano.RIPE


PS:喜翆荘の様な、お客を大切にする老舗旅館なら行ってみたいですね!
(*´ー`*) 

投稿 : 2024/04/20
♥ : 76

PPN さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

HOME SWEET HOME ( ,,ÒωÓ,, )

P.A.WORKSによる、TVアニメ『花咲くいろは』の劇場版。
アニメ本編をチェックしてからの視聴をオススメします。

キャッチコピーになっている『私、もっと輝きたいんです……!』
これを約60分でギュッとまとめた作品です(´ー`)
本編と変わらずの丁寧で綺麗な風景、背景をバックに
いつものキャラクターが生き生きと描かれていました。

メインストーリーは母娘愛。
緒花が母・皐月の過去を知ることからお話が展開します。
緒花と皐月、皐月とスイ、それぞれの母と娘の想いが
交差していく様子が描かれています。
親の心、子知らずとはよく言ったものですが
親も子供の本心を理解できている訳ではありません。
そんな揺れる母と娘の想い、関係が上手に描かれていました。

また、メインヒロインの1人である押水菜子の家族愛を
扱った作品でもあり、見所の一つになっています。

それにしても60分は短か過ぎると思いますw
よくまとまってはいるものの、せめて90分でしょ( >_<)
というのが1ファンのワガママ、正直な感想ですかねw
若かれし頃の綾人と皐月の出会いや緒花の出生に関わる
お話が見れたのは良かったです♪


本編を視聴済みの方にはぜひ視聴して貰いたい1本です。
視聴後、温かい満足感を得られると思います!


《キャスト》

松前 緒花(CV.伊藤かなえ)
鶴来 民子(CV.小見川千明)
押水 菜子(CV.豊崎愛生)
和倉 結名(CV.戸松遥)
輪島 巴(CV.能登麻美子)
四十万 スイ(CV.久保田 民絵)
四十万 縁(CV.浜田 賢二)
宮岸 徹(CV.間島淳司)
助川 電六(CV.チョー)
次郎丸 太郎(CV.諏訪部順一)
松前 皐月(CV.本田貴子)
松前 綾人(CV.竹内良太)


《主題歌》

『影踏み』/nano.RIPE


【2014 08/17 レビュー投稿】
【2017 05/12 レビュー加筆】

投稿 : 2024/04/20
♥ : 65

84.3 3 ヒューマンドラマで成長なアニメランキング3位
銀の匙 Silver Spoon(TVアニメ動画)

2013年夏アニメ
★★★★☆ 3.9 (1719)
9275人が棚に入れました
「寮があるから。」という志望動機で大蝦夷農業高等学校(エゾノー)に入学した八軒勇吾。札幌の進学校での厳しい学力競争に敗れ、ある意味、逃げるようにエゾノーに入学した彼は、広大な自然と動物に囲まれたここで、全く別の厳しさに直面することに。一般家庭で育った八軒にとって、エゾノーで行われる実習や部活は、初めて経験することばかりで、悪戦苦闘の毎日。また、自分とは違い、将来の夢や目的を明確に持つ他の同級生たちは、彼に、進学校にいた頃とは違った焦りを感じさせる。それでも、課題を一つ一つこなし、同級生たちとの絆を深め、少しずつ、精神的にも肉体的にも成長していく八軒。汗と涙と土にまみれた青春が、今日も続いていく。

声優・キャラクター
木村良平、三宅麻理恵、櫻井トオル、高垣彩陽、島﨑信長、庄司将之、高梨謙吾、こぶしのぶゆき、井澤詩織、小西克幸、増谷康紀、三ツ矢雄二、小野友樹、水島大宙、田野アサミ、川原慶久、西村朋紘、内海賢二
ネタバレ

てけ さんの感想・評価

★★★★★ 4.1

いただきます!

原作未読。

主人公の名前は八軒勇吾(はちけん ゆうご)。
彼は「エゾノー」と呼ばれる高校に入学する。
そこで、仲間たちとともに生活し、自分の夢を探す。
農業高校を舞台とした青春ハートフルコメディ。


素直に面白かったです。

前向きであたたかい物語。
そして、小気味よいギャグでたっぷり笑わせてくれます。
おかげで見ているこちらはニッコニコ(*´∀`)

音楽もいいですね。
OPもEDも耳に残ります。
特にスキマスイッチの歌う「Hello Especially」はグッド。
聴いているだけで楽しくなってきます。


テーマは明確です。
大きく分けると、

・いただきますの精神
・夢

このふたつがあげられると思います。

生きものを育て、殺して、食べるとはどういうことか。
自分なりの夢を持つのに必要なものとは何か。

それをまとめたセリフがあります。
{netabare}
「当たり前だと思い込んでたものを、もう一度とらえなおすのも大切なのかなぁって」
{/netabare}
メッセージが一言で伝わってきます。
うまい表現だと思いました。


正直、無難でそれほど勢いはありません。
しかし、ほのぼのしていてとっても見やすいアニメです。

また、酪農や畜産の知識がたくさん取り入れられていて勉強になります。
作者である荒川弘の実体験が元になっているそうです。

老若男女を問わず、だれにでも勧められる作品です。


今回は、動物と食に対する姿勢が大きく取り上げられていました。
2期ではどうなるのでしょう。
これから夢にどう踏み込むのか見守りたいと思います。

投稿 : 2024/04/20
♥ : 86
ネタバレ

れんげ さんの感想・評価

★★★★★ 4.1

命をいただくことを学べる作品

2013年7月、ノイタミナにて放送。(分割2クール)
本作第1期は11話、第2期も11話です。


【前置き】

原作漫画の作者は、あの「鋼の錬金術師」の荒川弘さん。
サンデーでの連載にもでしたが、ハガレンとは全く違う「農業高校」を舞台にした本作を描くということに、当時は驚いたものでした。
正直、「そんなにウケるの?ソレ…」と……。。。

しかし、ワリと有名な話だったようですが、荒川さんは北海道の酪農家の生まれで、実際に農業高校卒業生。
卒業後も漫画家デビューするまでの7年間、家業を手伝っていらっしゃったとか。
実際の体験が活かされた内容も多いのだそうで、こういう作品を描くのに、うってつけの方だったんですね。
ホント今思えば、シロートが勝手にいらぬ心配をしておりました。

荒川弘さんが、本当に上手に漫画を描く方であったこと。
そして、それをアニメとして、製作陣が100%面白さを損なわず描いて下さったこと。
この2つが合わさったことで、またひとつ大好きな作品に出会えました。



【あらすじ】

北海道に所在する「大蝦夷農業高等学校(通称エゾノー)」は、農業・酪農・獣医師などを目指す農家の子供が多く通う高校です。

主人公『八軒 勇吾(はちけん ゆうご)』は、進学校出身でありながらエゾノーに寮があるという理由だけで入学するのですが、他の生徒達が明確で堅実な将来の夢を持つ中、自分だけ何も夢を持っていないことに気付くのでした…。



【語ってみる】
{netabare}
本作の第一印象は、『主人公にインパクトがない』でした。
なんと言うか…少年誌の主人公特有の、言動や行動を真似したくなるような憧れ要素は皆無のように見えましたので。

ですが、だからこそ同じ人間として共感しやすいという効果が大きかったですね。
農業高校の内容に対し、おっかなビックリするのも視聴者が同じ視点で一緒に味わえますし。
こういう箇所は、同じ農学を舞台にした「もやしもん」にも、非常に似ていますね。
ただ、少年誌でこの作風を通すのは中々難しかったでしょうね。
ハガレンの実績があるからこそ、通った原案のような気がします。


序盤は、本当に授業内容に驚き慄く八軒を見るばかりだったような気がします。
キャラクター毎のエピソードをドンドン出して掘り下げていき、早く内容を詰めて面白くしようという感もあまり見られず…。
そういう意味では、前半は少々退屈でしたね。

しかし、それは時間をかけての綿密な下準備のようなものでした。


中盤のピザ制作を機に周囲との繋がりが増えた八軒は、その周囲が農学に所縁のある先の人生を見つめていることを、身を持って痛感していきました。

そこから八軒は、働くことや経済動物を育てるということを、真摯に受け止め学び始めていきます。
そして終盤の見所となる、その育てた経済動物を食べる過程が葛藤とともに丁寧に描かれており、全体を通して見るととても教養のある作品に仕上がっておりました。


本作を見ていて好感が湧いた点は、動物に対して誠意と敬意が非っっ常に強く描かれているところでしたね。
馬術を描く上では、馬の性格からその接し方であったり。
家畜を描く上では、豚の生体からその思考に至るまで…と。
これらを通して、動物達の驚くべき生体と、彼らが人間にとってどれだけ大切な存在かが、その愛らしさも含めて存分に描かれておりました。

『オマエら(人間)は、家畜の奴隷だ!!』は、…まぁ…誇張し過ぎかもですが(笑)


こう経済動物に対しての敬意と愛らしさが如実に描かれていた上だからこそ、食肉になる現実を目の当たりにして辛い思いもするのですが…。
それを、初めての給料で買うという判断を下した生徒が八軒でした。

私は、この時初めて「八軒」という主人公に対し、強い魅力を感じたように思います。
決して個性なぞ薄くない…、非常に中身の濃い…良い意味で周囲を巻き込むめんどくさい奴だったんですね。

家畜として生きている動物は、なにより感謝して美味しく食べてあげることが一番の恩返しとなる。
それが、たとえ「豚丼」と名前を付けて(←おい!)育てた動物であっても。

ただ、これはあくまで、食べる側の人間のエゴのような見方にも見えるかもしれません。

「そう生まれてしまったばっかりに、生か死かの二択人生に放り込まれて…、

 人間の気持ち一つで一生を左右されるんだもんなぁ。

 馬の気持ちが完璧に分かったら、俺ら気がおかしくなるかもしれん。」

これは、第3話の亡くなった馬の葬儀を目の当たりにするシーンでの農家の台詞ですが、豚丼を通して見るとまた尚更胸に響きました。


最終話では、その豚丼の死と食を通して、「逃げて」この高校に辿り着いたこれまでの自分を振り返る八軒。
先のない自分に自信を無くしていましたが、そこに現れた(目算5才児に見える)校長先生が、笑顔で優しくこう言います。


「生きるための逃げは有りです、有り有りです。

 逃げ場の無い経済動物と、君達は違うんですから。」


教育者というよりは、人生の先輩のような立場からの台詞でしたね。
グッときました。

実写映画では、この校長先生役をダチョウ倶楽部の上島竜兵さんが演じられたようですね。
漫画の実写化は基本的に好きませんが、竜兵さんの演技は見たいです。

しっかし本作も、こうハガレンみたく名台詞の多いこと多いこと…。
ファンタジーでは無いからこそ、今作は余計に胸に響く言葉が多かったですね。
{/netabare}



【総評】

私達は皆、経済動物を美味しくいただいて生きています。
それが、「命をいただくこと」だと、本作を通して改めて深く学ぶ機会をいただきました。

2期は本作のそのまま続きとなり、人物の掘り下げとともに酪農家の厳しい現実を垣間見る内容となっており、本作以上に見応えがありますよ。

ただ、これは深夜に見るべきじゃない気がしますね。
美味しそうな食べ物をこれまたメチャ美味しそうに食べるシーンが多いので、まるで夜食テロです。

ちなみに私は、「卵かけごはんは世界で一番美味しい」という気がしないでもないと思っています。

ではでは、読んでいただきありがとうございました。


余談ですが、作者の荒川弘さんが体験した…もっとリアルでエゲツナイ酪農家業の現実については、作者の酪農エッセイ漫画「百姓貴族」を見ることで垣間見れますよ。
非常に読み応えがあるので、本作が好きな方には是非オススメしたいです。


◆一番好きなキャラクター◆
『八軒 勇吾』声 - 木村良平さん


◇一番可愛いキャラクター◇
『吉野 まゆみ』声 - 井澤詩織さん


以下、ふと思い出したどーでもいい話なので〆ます。
{netabare}

そう言えば、とある魔法少女作品の可愛いマスコットキャラが、こんなことを言ってましたね。


「例えば君は、家畜に対して引け目を感じたりするかい?

 彼らがどういうプロセスで、君たちの食卓に並ぶのか。」


「牛も豚も鶏も、他の野生動物に比べれば種としての繁殖ぶりは圧倒的だ。

 君たちは皆、理想的な共栄関係にあるじゃないか。」


本作を見た後に改めてこのシーンを見たら、更に心をエグられました。

とりあえずコイツを、ワケが分からないウチに蜂の巣にしてやりたいです。
{/netabare}

投稿 : 2024/04/20
♥ : 44
ネタバレ

Appleモンキー さんの感想・評価

★★★★★ 4.3

八軒と愉快な仲間たち♪+豚丼

鋼錬の荒川弘さんの作品と聞いて
すごく楽しみにしていました。

農業高校を舞台にしていて
とてもユニークなアニメですね。

■第1話~第11話
{netabare}
農業高校での生活の中で様々な経験を
積んでいく八軒ですが、
やはり豚丼の存在は大きいですね。

最後の燻製ベーコンはおいしそう^^

このアニメを見ているとやたらと
お腹がすいてしまいます。


ピザ食べたい~^^


第2期も決定したので
来年が楽しみです。
{/netabare}

投稿 : 2024/04/20
♥ : 79

88.3 4 ヒューマンドラマで成長なアニメランキング4位
カレイドスター(TVアニメ動画)

2003年春アニメ
★★★★★ 4.1 (1539)
8192人が棚に入れました
アメリカに、サーカスとミュージカル、マジックを組み合わせたようなエンターテイメントを提供する集団があった。その名を「カレイドステージ」という。
幼い頃に見たカレイドステージに憧れ、単身日本からやってきた苗木野そら(なえぎのそら)は、選ばれたものにしか見えないステージの精霊であるフールが見えるが、新体操しかやったことが無く、演技については完全な素人。しかもオーディションに遅刻して来た上にカロスが特別扱いする為、レイラから完全に敵視されることに…。
しかし、さまざまな試練に遭遇しながらも、持ち前の前向きさと身体能力、そして根性でそれらを乗り越え、やがてカレイドステージの花形、カレイドスターへと変身していく…。

声優・キャラクター
広橋涼、大原さやか、西村ちなみ、渡辺明乃、水橋かおり、櫻井孝宏、中原麻衣、折笠富美子、小桜エツコ、子安武人、下野紘、藤原啓治、久川綾、大森玲子、あびる優

さもぽ さんの感想・評価

★★★★★ 4.5

本当に すごい アニメ

最初はあまり期待してませんでしたが、観てみるとすっかりハマってしまいました。
自分が人にお勧めするアニメを選ぶとしたらまず真っ先にカレイドスターを上げます、キャラ、ストーリー、音楽、作画、全てが素晴らしい中、やはり演出が本当に素晴らしいと思います、あとで知ったのですがセーラームーンやお邪魔ドレミなどを手がけた監督さんなんですね、1話見始めた時に少女向けっぽいなと思っていましたが、観ていく内にそんな考えは吹き飛びました。
まさに萌えならぬ燃えアニメ!今までアニメで泣いた事はありますが大体はキャラが死んじゃったりな悲しい涙でしたが、このアニメは本当に自然に感動の涙がでてきました。
一度は見て欲しいアニメだと思っています。

投稿 : 2024/04/20
♥ : 24

nagi さんの感想・評価

★★★★★ 5.0

最高のアニメ

今まで10年くらいアニメを見ていますが、この作品以上のものには出会えていないし今後出会えないと感じるほどすばらしいアニメでした。
中学、大学、大人になった現在いつ見てもとても感動することができました。

④クールの長編オリジナルアニメであるにも関わらず、ストーリーの完成度は他の作品と一線を画していると思います。
内容は21世紀の王道スポコンアニメといったところでしょうか。各キャラがしっかりとしているし、物語りも途中でぶれたりしません。主人公ソラのがんばりを見ていると自分も元気ややる気をもらえました。



カレイドスターはとてもさわやかな涙を流せるアニメだと思います。
自然と涙は出てくるのだなと実感できた最高のアニメでした。

投稿 : 2024/04/20
♥ : 104
ネタバレ

ピピン林檎 さんの感想・評価

★★★★★ 4.2

真のスターの輝き、そして、競うことの意味、を問う作品

10年以上前の作品ですが、あにこれでも熱いファンの多い名作アニメ。
全51話と長かったけれど、第39話まで頑張って視聴した結果、見て良かったと思える作品になりました。
特にラスト手前の第50話でかなりの感動を経験。

《内容》
{netabare}
(1)主人公の少女(そら)がカレイドスターになる夢に向かって懸命に努力して羽ばたいていく話(ただし彼女の「真の夢」とは何か、が一歩踏み込んで問われることになる)、であると同時に、

(2)彼女の憧れであるもう一人の主人公(レイラ)が自身のカレイドスターとしてのキャリアを完全燃焼し、後輩の少女(そら)にバトンを託す話でもある。
{/netabare}

放送期間 2003年4月3日 - 9月25日(第1期) 
     2003年10月4日 - 2004年3月27日(第2期)

話数 全51話(但し総集編が2話あるので実質49話) + OVA全3話
(第1期:全26話、第2期:全25話)

表向きの主人公 苗木野そら(16歳)
裏の主人公   レイラ・ハミルトン     

原作 佐藤順一
監督 佐藤順一(第1期) 
   平池芳正(第2期)
シリーズ構成 吉田玲子

※以下は各回の評価

★が多いほど個人的に高評価した回(最高で星3つ)
☆は並みの出来と感じた回
×が付いている話は脚本に大きな疑問を感じた回
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カレイドスター(第1期)
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{netabare}
1 初めての! すごい! ステージ ★ カレード・ステージに出演・合格する話
2 孤独な すごい チャレンジ ★ ゴールデン・フェニックの特訓をする話
3 遠い すごい ステージ ★ ステージを脇から支えるクラウンになる話
4 がんばれば すごい チャンス ☆ 3人娘でシンデレラ公演の魔女を演技する話
5 いつも すごい 遠い家族 ☆ そらの父親が公演を見に来る話
6 小さくて すごい オットセイ ☆
7 笑わない すごい 少女 ☆ ディアボロの天才ロゼッタ登場回
8 つらくても すごい スター ☆ 公演のスター・レイラの誕生日と父親の話
9 主役への すごい 挑戦 × 人魚姫のオーディション。そらが怪我に怯える話
10 主役への すごい 壁 ☆ レイラとは違う人魚姫を演じる話。初めて主役を務める苦しみ。
11 アンナの すごくない お父さん ☆ アンナのサイド・ストーリー
12 熱い すごい 新作 ★★ レイラと新作の競演をするための試練
13 嵐を呼ぶ すごい 競演 ★ パイレーツをレイラと競演する話
---------------- OP/ED 変更 -----------------------------
14 怪しい すごい サーカス ☆ 他劇団での経験。ケンの決意
15 歌姫の すごい 愛 ☆ サラ&カロス回
16 黒い すごい 噂 ☆ 親友まなみ登場。引き抜きによる劇団の危機
17 燃えろ! すごい ミア ☆ ユーリの復讐
18 ユーリの すごい 罠 ☆ 最後の公演。フールが見えなくなる。
19 家族の すごい 絆 ☆ そらの両親の訪米。妹が誕生する話
20 ゼロからの すごい スタート ☆
21 謎の すごい 仮面スター ★ 仮面スターとの競演
22 仮面の下の すごい 覚悟 ★★ 演技コンテスト。急展開。フールが見える
23 幻の すごい 大技 ☆ レイラとの競演が決定。グランド・キャニオンで特訓
24 まだ続く すごい 特訓 ☆
25 ふたりの すごい 絆 ☆
26 傷だらけの すごい 復活 ★ 「幻の大技」。「貴方は私の夢」。第1期完結{/netabare}
----------------------------------------------------------------
★★★(神回)0、★★(優秀回)2、★(良回)6、☆(並回)17、×(疑問回)1 ※個人評価 ☆ 3.8

《幸福な西海岸~掴みはさすがに上手い》

第1話の初めに、{netabare}カレイドステージの入団テストを受けるためにアメリカに到着した主人公そらの様子が描かれますが{/netabare}、いかにも陽気で明るい南カリフォルニアの雰囲気がよく描かれていて、すんなりストーリーに入り込めました。
第2話・第3話も、ドラマチックな展開を織り込みつつ上手に話しをまとめていて納得の出来栄えでした。

《面白いけど違和感も強かった第1期》

その後ストーリーは紆余曲折を経ながらも、主人公そらと彼女の憧れのスター・レイラさんが{netabare}様々な妨害や困難を乗り越えて、「幻の大技」の競演に向けて厳しい特訓を繰り返し、ついにこれを完成させる{/netabare}というスポ根的な王道展開を見せます。
確かに面白かったのだけれど、上の各話評価のとおり、この第1期は★★(星2つ)が僅か2回という、個人的には余り納得できない出来と感じてしまいました。
しかし名作という評判を信じて、我慢して第2期へ。

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カレイドスター 新たなる翼(第2期)
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{netabare}
---------------- OP/ED 変更 -----------------------------
27 スターへの すごい プロローグ(前編) (前半総集編1)☆
28 スターへの すごい プロローグ(後編) (前半総集編2)☆

29 新しい すごい ライバル × レオン&メイ登場回。展開がかなり強引
30 もう一人の すごい 新人 ☆ ロゼッタ回
31 情熱の すごい ライバル ★ 「レイラさんに謝れ!」回
32 氷の上の すごい 対決  ★★ メイとドラキュラ公演のヒロインを争う話。そらの弱点とは?
33 汗と涙の すごい ロゼッタ ☆ ロゼッタの特訓を手伝う話
34 やっぱり すごい レイラさん ☆ レイラを追いかけるのではなく、そら自身の夢を持つ必要を指摘される
35 マリオンの すごい デビュー ☆ キッズ・ステージを作る話。マリオンのデビュー
36 レオンとの すごい 特訓 × サーカス・フェスティバルの特訓。レオンの行動が異常
37 二人の すごい 悪魔 ★ メイの本気が見られる回。「デーモン・スパイラル」
38 天使の すごい 反撃 ★ そらの本気が見られる回。「天使の技」初出
39 惨酷な すごい 祭典 ★★★ フェスティバルの意外な結末
40 絶望の すごい 帰国 ★★ そらの夢がようやく固まる
41 再出発の すごい 決意 ★★ かなり意外な展開。ソフィーとは誰?
42 屈辱の すごい 共演 ★★ 意外な展開の続き
43 ポリスの すごい プロポーズ ★★ そらの演技がもたらすもの
44 笑顔の すごい 発進! ★★ メイの目から見たそら。笑顔の重み
45 レオンの すごい 過去 ☆ 「天使の技」の秘密1
46 宿命の すごい 決斗 × 「天使の技」の秘密2。ソフィーとの約束
47 舞い降りた すごい 天使 ★ みんなの天使の心を呼び覚ます技
48 傷ついた すごい 白鳥 ☆ 争いのないステージ
49 ひとりひとりの すごい 未来(あした) ☆ 最後の試練
50 避けられない ものすごい 一騎討ち ★★★ 競うことの意味
51 約束の すごい 場所へ ★ 最高の喝采。「貴方は私の誇り」。第2期完結{/netabare}
----------------------------------------------------------------
★★★(神回)2、★★(優秀回)6、★(良回)5、☆(並回)9、×(疑問回)3 ※個人評価 ★ 4.4


《第1期の違和感の原因がはっきりした第39話以降の展開》

ネタバラシはしませんが、頑張って視聴し続けて良かったと感じた第39話(★★★(3つ星評価))
そして、続く第40話から第44話まで、この作品の本当のテーマ(のひとつ)が次第に明らかにされていきます。

《裏の主人公レイラの望み》

ラスト手前の第50話(★★★(3つ星評価))ではこの作品のもうひとつのテーマが明かされます。
ここが本当の圧巻(クライマックス)。
最終話の第51話が霞んでしまうくらいの出来でした。
素直にこの作品を視聴できて良かったと思いました。

※以下、ファンサービスの後日談等(OVA)

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カレイドスター 新たなる翼 -EXTRA STAGE-『笑わない すごい お姫様』
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{netabare}
52 次のスター候補ロゼッタと妖精フールの話 ☆
{/netabare}

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カレイドスター Legend of phoenix 〜レイラ・ハミルトン物語〜
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{netabare}
53 - 2話分(約51分)。後日談+レイラ視点での物語 ☆
{/netabare}

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カレイドスター ぐっどだよ! ぐぅーっど!
===============================================================
{netabare}
54 - 2話(約24分×2回)。 (本編のパロディ) ☆
{/netabare}

《総評》

2003~4年制作の作品なので、作画・演出のレベルはどうしても低く、脚本も色々と粗(あら)が目に付いてしまうので、他作品との兼ね合いでそれ程高い点数は付けられませんでしたが、実際に視聴すれば、点数以上の感動がある作品だと思います。
また、作品テーマという面でも、近年の人気アニメ(かつ名作アニメ)である

①アイドルマスター (スターの輝き、リーダーシップとは何か)
②ガールズ&パンツァー (競うことの意味、その最良の結末)

に、それぞれつながるものがある(※なお吉田玲子氏は②ガルパンのシナリオ構成も担当)と個人的には考えており、その点でも experience としての視聴価値の高い名作アニメであると思います。

《後記》  ※(2015.3.10追記)

上記の①アイドルマスター(2011年)、②ガールズ&パンツァー(2012年)は、カレイドスターで描かれた作品テーマが、それぞれより深化し洗練された形で描かれた作品といえると思います(※なお、両作品にはそれぞれ固有のテーマもあります)。

カレイドスターが、

(1)全4クール51話という冗長な部分も多い大作であり、
(2)作画・演出とも現代の目から見ると古臭さが否めないこと

を考慮すると、もしこれから、こうしたテーマの作品を視聴したいと考える方がおられれば、視聴の優先順位としては、①アイマス、②ガルパン、を先とした方がより効率的かも知れません。

投稿 : 2024/04/20
♥ : 55

79.6 5 ヒューマンドラマで成長なアニメランキング5位
このはな綺譚(TVアニメ動画)

2017年秋アニメ
★★★★☆ 3.8 (557)
2408人が棚に入れました
あの世とこの世の間にある宿場町に建つ「此花亭」。
ここは神様に仕える狐っ娘たちが働く温泉宿。
期待と緊張で胸をふくらませ「此花亭」へ奉公にやってきた柚。
個性的な先輩たちに迎えられ、仲居修行が始まりました。
ある日、ちょっと頑張り過ぎてしまった柚は、お客様である薬屋さんを転ばせてしまい、
先輩仲居である皐とともに謝罪へと向かうのですが…。

声優・キャラクター
大野柚布子、秦佐和子、諏訪彩花、久保田梨沙、加隈亜衣、沼倉愛美

scandalsho さんの感想・評価

★★★★★ 5.0

背景の美しさが際立つ、心温まるほのぼの系アニメ

原作未読。最終話まで視聴。

最初は、花咲くいろは+うらら迷路帳的な作品だと思っていた。
『ケモ耳は正義』って人向けの作品かなぁ・・・くらいの印象でした。

その印象は第5話で一掃されました。

前半はお菊ちゃん絡みのコメディ回。お菊ちゃんが面白可愛い。
後半は神作画回。モノトーンの背景に傘の『赤』とアジサイの『青・紫』が、息を飲むほど美しい。

第6話は打って変わって感動回。柚と八百比丘尼の心温まる物語。

『背景の美しさ+コメディ+心温まる物語』のバランスの良さ。
これがこの作品の魅力だと思います。

第8話は物語として完璧すぎる神回。
ラストの展開が見事すぎる・・・。

第10話の紅葉の風景も絶品。

そして感動の最終話。
ラストの所で、少し泣きそうになったじゃないか!(笑)

投稿 : 2024/04/20
♥ : 57

えたんだーる さんの感想・評価

★★★★★ 4.5

キャラの見た目に騙されるけど、意外とちゃんと仕事しています!

==[下記は6話目まで視聴時のレビュー: 以下、追記あり。]==
原作マンガ『此花亭奇譚』および『このはな綺譚』は未読です。これを書いている時点では第6話まで視聴済み。

此花亭の「あの世とこの世の間にある宿場町にある温泉宿」という設定が、わかったようなわからないような……、な本作ですが仲居として働いているのは(女の子の姿をした)狐ということで、ケモノ耳と尻尾がついています。

主人公の柚(ゆず)は狐でありながら人間(?:伝承通りなら不死ですけど…)である八百比丘尼(やおびくに)に育てられたため、人間界には他の狐たちよりも詳しいようですが、新人仲居として働いています。

基本的にはカワイイ仲居の狐たちの様子を観ていて和むという感じの作品ですが、仲居たちの間での恋愛(?:でも最初の連載が「コミック百合姫S」だったらしいですし)的な関係性や、接客などを通しての成長の様子を見守る感じの作品でもあります。

各エピソードは基本的に1話完結ですし、各話の中でもキャラクター間の(いわゆる「カップリング」的な意味での)関係は分かりやすく描かれていますので、途中からの視聴でもそんなに置いてきぼり感はないと思います。

各話毎のストーリーは、大別すると主にお客との関係に重きを置いたいわゆる「いい話」系のものか、従業員のみで進行するコメディ的なもの(「百合」的ラブコメ(笑)含む)に分かれると思います。

後者の展開のときには「あんたら仕事してんの?」と思いますが、前者の展開のときには意外とちゃんとした仕事ぶりですね。

作画も良いようですし、普通に面白いですよ。観てて疲れませんし、深夜アニメに癒しを求める向きにはお勧めできます。

あ、入浴シーンはけっこうあります…。
==[6話目まで視聴時のレビュー、ここまで。]==

2017.12.21追記:
全話観終わって思いましたが、これは原作もさることながらシリーズ構成・脚本がとても良い仕事をしていたと思います。

各話に含まれている複数パートであるパートが別パートの伏線になっていたりで全パート合わせてきちんと「1話」を構成していて、素晴らしい脚本になっていました。

さらに話数が進むにつれてのキャラクター同士の親密度なども、きちんと計算された脚本だった思います。

投稿 : 2024/04/20
♥ : 57

takato さんの感想・評価

★★★★★ 4.3

ずっと、レズビアン~(空耳)。1話完結のお手本な脚本

只のありがちな百合日常系と侮るなかれ、凄く良くできた百合日常系ですし、旅館アニメの傑作と言っても過言じゃない作品です。


opを見て頂ければわかると思いますが、上手くない日常系とは違い、わちゃわちゃした女子動物園ではなく、抑制と清潔感、優しさと上手さが同居していて、百合萌えだけでないウェルメイドという言葉が相応しい薫りが余韻にある。


特に8話の前編後編の構成は本当に上手い!。この回だけ取り出して見ても素晴らしさは充分にわかっていただけると思います。


百合日常系なんて糞食らえ!な人(そんな人って今時いるか?)、以外にはオススメで、「ゆゆ式」の次にもっと評価されて欲しい、2期が見たい作品です。

投稿 : 2024/04/20
♥ : 21

80.4 6 ヒューマンドラマで成長なアニメランキング6位
映画大好きポンポさん(アニメ映画)

2021年6月4日
★★★★★ 4.2 (186)
597人が棚に入れました
敏腕映画プロデューサー・ポンポさんのもとで製作アシスタントをしているジーン。映画に心を奪われた彼は、観た映画をすべて記憶している映画通だ。映画を撮ることにも憧れていたが、自分には無理だと卑屈になる毎日。だが、ポンポさんに15秒CMの制作を任され、映画づくりに没頭する楽しさを知るのだった。 ある日、ジーンはポンポさんから次に制作する映画『MEISTER』の脚本を渡される。伝説の俳優の復帰作にして、頭がしびれるほど興奮する内容。大ヒットを確信するが……なんと、監督に指名されたのはCMが評価されたジーンだった! ポンポさんの目利きにかなった新人女優をヒロインに迎え、波瀾万丈の撮影が始まろうとしていた。

声優・キャラクター
清水尋也、小原好美、大谷凜香、加隈亜衣、大塚明夫
ネタバレ

101匹足利尊氏 さんの感想・評価

★★★★★ 4.5

🏅クレイジーなくらい活きが良い映画と対峙する喜び

“ニャリウッド”にて映画監督に憧れる根暗なアシスタント青年が、
敏腕プロデューサーの“ポンポさん”に抜擢され、
映画人としての階段を駆け上がって行く。

元・深夜ショートアニメの没企画を、
pixivでコミックとして公開した同名作品の劇場版。
(鑑賞後、無料公開部分を閲覧)

【物語 5.0点】
泣かせ映画で感動させるより、おバカ映画で感動させる方がかっこいい。
2時間以上の集中を観客に求めるのは現代の娯楽としてやさしくない。

映画制作物ということで、登場人物に、
理想のエンタメ論を代弁させる本作自体が、有言実行してみせる所が、
格好良すぎて感動します。

作中、理想の編集を求めて七転八倒する新人監督に報いるように、
序盤の何気ないシーンを終盤に回収する伏線芸、
劇中劇内の人物と制作者をシンクロさせる心情描写
など、映画好きならこれくらいキャッチできるよな?
と受け手の想像力も信じて、リアリティより夢のある映画実現のために培われて来た
脚本、編集の秘術を次々に投げ込んでくる快刀乱麻ぶり。


見た目はロリ、中身は大人のポンポさんを光源に、
明るい作風の中で心を弾ませつつ
夢の実現のために何かを犠牲にする狂気にも踏み込むなど、
軸もシッカリしている。
「幸福は創造の敵」の真意。凄く納得させられました。


何より気に入っているのが、
{netabare}上映時間90分が理想の尺とキャラに言わせておいて、
本作の本編をキッチリ90分にまとめ上げた所。{/netabare}


【作画 5.0点】
アニメーション制作・CLAP

人物作画で特徴的なのがカラフルな主線。
昼光にはグリーン、ネオンにはパープル、水面反射光にはブルーと、
使い分けることで、照明を追求する主人公ジーンの撮影へのこだわりを、ここでも体現。

画面分割、ワイプ(次の画面が前の画面を押しのける)
背景も昼夜で違う表情を見せる街並みを描き込み、
タイムラプス撮影(低速度撮影によるコマ送り風動画)による
日常シーンの早送り、巻き戻し演出を再現する。
など演出、編集手法も多彩で、
好テンポ追求という劇中劇との共通課題の解決に貢献。


こういうカットがあるから映画が好きになれたんだと
思い出させてくれる映像構築が
多数再現された玉手箱を開ける至福。


ジーンが身を切るようにフィルムを編集カットする
“アクションシーン”もクレイジーで圧巻♪


【キャラ 4.5点】
プロデューサーのポンポさん。
「ポンポさんが○○に来たぞーっ!」などと、
状況説明とキャラ立ちを両立させる軽快な口調でテンポアップに貢献しつつ、
随所に敏腕の哲学と言動を垣間見せる。

ポンポさんに埋もれた才能を見出す審美眼や、夢を阻む障壁を撤去する豪腕を持たせ、
常識を超えたポジションに確立することで、
新入りアシスタント・ジーンや、新人女優・ナタリーの抜擢という、
夢のようなサクセスストーリーに説得力を持たせる。
リアリストの“ご都合主義”批判など、
トラブルすら逆手に取ってマーケティングに生かす
ポンポさんが暗躍してシャットアウトするぞーっw


アニオリキャラの銀行員・アラン。
元・万能“陽キャ”の伸び悩んでるサラリーマン。

正直、私はクリエイターを描いた作品は別世界の住民を見ているようで、
あまり得意ではありませんが、
アランが夢を追う人間を見つめる一般人代表として
間口を広げてくれたのは有り難かったです。
影の主役として共感度の高いキャラでした。


【声優 4.0点】
ジーン役の清水 尋也さん&ナタリー役の大谷 凛香さん。
夢世界に引き上げられる新人役には敢えてタレント俳優陣をオーディションで起用。
拙い演技も映画業界に飛び込んだばかりの若者の初々しさを狙ってのことと、一応は容認できる。

清水さんは狂気を孕んだイケメンの役作り等に実績がある俳優。
(実写版『ちはやふる』の須藤役とか)
エキセントリックな演技が、終盤開花するジーンの映画人としての本性にマッチ。


ポンポ役の小原 好美さんは安定のキャラ作りだけでなく、
女優経験もある声優としてアドバイスを送ることでも、上記二人をサポート。

アニメ映画主演にどうしてもタレント、俳優を使いたいスタッフの皆さん。
一本に一台。脇に小原さんを置いときましょう♪


“世界一の俳優”マーティン・ブラドック役には大塚 明夫さん。
頼もしいベテランがいると制作も楽そうです。


【音楽 4.0点】
劇伴担当は松隈 ケンタ氏。
序盤はコメディタッチも交えて軽快に、
終盤は音楽をテーマにした劇中劇制作ドラマの佳境に、オーケストラ等も交えて重厚に。
BiSHなど豊富な音楽プロデュース経験に基いて、多彩なジャンルを動員する引き出しの多さで対応。

主題歌・挿入歌はKAMITSUBAKIスタジオのアーティスト陣が提供。
エネルギッシュなバンドサウンドや前のめり歌詞が爽快だが、
音楽が場面を引っ張る感じではなく、
既に感情や芸術が爆発しているシーンに追い打ちをかけて来る感じなので、
気持ちよく突き抜けることができます。


【感想】
シナリオだけでなく、作品自体の出来の良さに、
こういう映画を待っていたんだと泣けて来る、会心の劇場鑑賞でした♪

最近、映画がつまらなくて、エンドロールまで立たずに観られたためしがない。
そんな方にこそオススメしたい快作です♪

投稿 : 2024/04/20
♥ : 33

nyaro さんの感想・評価

★★★★★ 5.0

演出と場面転換と構成が凄い。テーマもいい。最高に面白い映画でした。

 映画はみんなで作るものだ、を否定した映画だと思います。初めはそういう雰囲気を出していましたが、結果的に映画は監督が何を見せたいか=監督が面白いと思うのはなにか?に収斂していきます。

 リアリティの部分ですが、これはジーンが成功するのがご都合主義だという見方もできますが、何のために冒頭にニャカデミーショーの場面があったのか。それはジーンの成功物語ではなく、ジーンが成功したからクローズアップした、という風に見れます。
 その裏にある数多の失敗例、夢破れた人は見せてないだけだ、という表現なのでしょう。

 ジーンという名前はGENE、つまり遺伝子です。フィニは映画のラストの「完」ですね。映画の遺伝子を受け継ぎ、映画の本質を理解し、物語を提供できる人という意味だと思います。ポンポさんと祖父が出てくる、フィルムからデジタルの場面はそういう意味もあるのでしょう。

 銀行のシーンはもうちょっとナタリーに尺を取ってくれたらなあという気もしましたが、しかし、ここは受け取り方ですね。ポンポさんが我儘をきいたのも頭取がOKしたのもジーンの情熱です。結局は、みんなの力を集めるには、映画を作りたいという一人の男がいるかどうかです。

 映画のためにすべてを切り捨てるという「編集」と「人生」と「劇中劇の主役」を重ねる。そして、アリアは感情、情熱です。それを描き切ったストーリーが素晴らしかった。

 更に本作のもっともすごいのが、演出と場面転換、構成です。あるいはキャラの輪郭のピンクとかミドリの輪郭です。とにかく飽きない。面白い。ワクワクする。映画の内容そのものです。

 美人の女優だけ出していればいいというのは古い映画の感覚です。「ローマの休日」だって、内容は少女マンガです。オードリーヘップバーンが出てるからいい。ブルックシールズ、ナタリーウッド、イングリッドバーグマン、マリリンモンロー。ポンポさんは女優ありきでしたが俳優も似たようなものです。
 憧れの価値観は多様化してしまい、スターが不在になりましたが、美女を見たいと思う心はそれだけに純粋な感動につながります。古い考えゆえに一つの正しい考えでもあります。ポリコレ云々は本作では考えすぎかなあ。

 スピルバーグ、ルーカス、コッポラ、リドリースコット、キャメロン、フィンチャー。みんな名作も撮りましたが、デビュー時はほとんどB級作品です。そうなると、ジーンくんは長い映画が好き、ニューシネマパラダイスが好きと言っていたので、おそらくシンドラーのリスト、地獄の黙示録、ファイトクラブなどの名作系に行くのでしょう。キャメロンみたいに結局「アバター2」かよというB級監督ではない気がします。

 それと日本の作家やマンガ家、有名アニメ監督とかみんなその分野のスーパーオタクですからね。ルーカスやタランティーノもそうですね。本作のすべてを切り捨てろという主張は極端でもないと思います。むしろ、自然に切り捨ててきた人間が最高峰になるんだということですね。

 正直言うと、この作品知名度は高いし評価は高いのが不思議です。なんか酷評されるような感じなのですが、意外なことに映画〇ムでも、4.0ありました。興行収入は1.6億円しかないと聞いてましたが…。
 つまり、単純に面白い。そして浅く見てもテーマ性が分かる。更にこの映画の裏を自分で補完して創作というものを深掘りしてもいい。どの段階でも楽しめる映画ということでしょう。


 サブスクに無料公開されたので、再視聴しましたが、再び夢中になってしまいました。10回以上は軽く見てるのに不思議です。

 以前、視聴しながら15分単位くらい毎に感想を書きましたが、とりとめがないので全面書き換えしました。

投稿 : 2024/04/20
♥ : 26

takato さんの感想・評価

★★★★★ 4.2

デイミアン・チャゼル監督にオススメ。そんなに肉付きを気にすることないって!。

 呪いのような業の部分を外さない、クリエイターや夢追い人の物語という点ではデイミアン・チャゼル監督の「セッション」と「ラ・ラ・ランド」を思わせるもんがある熱い傑作でした!ただ、少々気になる点も…。


 正直新人女優ナタリーの存在が軽い。声優さんが上手い人じゃないのも意味があるのかな?と思ったが、最後まであんまり…。


 あと、ポンポさんの映画90分論は少々引っ掛かった。つまんない映画は尺に関係なくつまらん、面白い映画は尺があっても問題ない。尺の問題はケースバイケースであって、あんまりザックリした意見で片付けるのはどうかと思う。短い尺で面白いのが最高だが、魅力的な要素を描きこむために溜めが必要な時もある。それこそ本作のように…。


 正直90分でまとめないで、もう30分くらい必要だったと思う。ナタリーの部分は勿論やし、原作にないキャラのアランをどうせ入れるならもっと彼の部分も必要だったかも(プレゼンの部分は流石に少々強引だったかな)。そして、一番必要だったのはラストの爆上げのための溜めである。


 社会不適合者、「僕には映画しかない」というように、ジーンが映画だけしない行き場がない人間だってのはたびたび言及されるが、それが痛切に感じられて「あ、この人は本当に駄目人間だけど、他人事きゃなくて愛おしいなぁ…」と思える部分をもっとやはりエピソードで描くが必要だったかな。特典の漫画の部分やれば良かったのに(これの後半も見たぁ〜い)。


 さらに、苦労の部分があんまりなくて、人間同士がぶつかり合うことがあまりない。相手が悪い人だからぶつかるんじゃなく、これだけに賭けて生きている駄目人間同士だからこそ不器用にぶつかってしまう部分があるだろし、そういう過程を経ることでこそ表面的じゃない繋がりができると思える。シン・ゴジラじゃないが、最近摩擦係数が少ない作品ばっかなのはどうかと。


 それにしても、作中作の「マイスター」はそれこそ賞レース狙いな感じの割と意識高い感動作な感じだけどなぁ…。それこそポンポさんの信念なら、低予算だけど好きにボンクラ魂を爆発させた作品で、バカ映画なのに感動させるって作品の方が良かったような。


 以上のように気になる部分が少々あったけど、良かった部分が実にしっかりしてました!。持たざる者だからこそのクリエイター論、足りない物があるからこそそれを埋めるためにクリエイターは作り続る、造り手も受け手も映画の中に自分を見つけたい、人間は状況や環境を越える想像と創造の力を持っている、これらのテーマな部分が熱くエピソードの形で表現されているんだから思わず目頭が…。


 全てを一つに賭けて切り捨てていった果ての景色…という点では「セッション」、夢追い人の狂気と捨てざるをえなかったことの痛みすら無意味ではなかった…、という点では「ラ・ラ・ランド」を思わされた。どちらもオールタイム・ベストベスト級に好きな要素なので好きに決まってます!。


 それにしても、「ペーターゼン」って「シークレット・サービス」とかのウォルフガング・ペーターゼンかな?。他にはあんまり思い浮かばぬ。

投稿 : 2024/04/20
♥ : 28

81.3 7 ヒューマンドラマで成長なアニメランキング7位
昭和元禄落語心中(TVアニメ動画)

2016年冬アニメ
★★★★☆ 4.0 (899)
4135人が棚に入れました
昭和の落語界を舞台にした噺家の愛おしき素顔と業を描いた作品

師匠と交わした約束を 胸にしまって芸を磨き ついに与太郎、真打に。 射止めた名跡は三代目助六。 八雲師匠の為め、助六の血を継ぐ小夏の為め、 焦がれて手にしたはずなのに、 おのれの落語が揺るぎだす――。 八雲と小夏、二人の中の助六を変える為めの 与太郎の落語とは――!?

声優・キャラクター
関智一、石田彰、山寺宏一、小林ゆう、林原めぐみ、家中宏、牛山茂、山口勝平、加瀬康之、須藤翔、茶風林、遊佐浩二、林家しん平
ネタバレ

ピピン林檎 さんの感想・評価

★★★★★ 4.6

芸道修行と愛憎トライアングル - BLコミック出身作家、畏(おそ)るべし -

「落語」「人情噺」「ホモ/BL(※因みにこれは誤情報です)」といったタグがついている本作を視聴する予定は、元々全くなかったのですが、2016年放送・上映アニメの個人的BEST10を作ろうとして、同年の本サイト作品ランキングを確認したところ、本作が第14位(2017/1/31時点)に入っており、かつ、総合 4.0 (物語も 4.0)という高い評価を取っていたので、これを見ないでBEST10を作るのは拙(まず)いだろう・・・と考え直して、さらっと流すつもりで視聴を始めました。

そうしたら、これが第1話(※実質2話分のスペシャル回)から退屈する暇なしの面白さで、ラスト手前(第12話)の山場+謎の回収もピッタリ決まり、最終第13話は投げっぱなしだった第1話ラストに確り話を繋げて、かつ今後の新展開をも期待させる上手い締めくくり方で、見終わった直後から「これはもう一回、最初から確り見直さなければ・・・」という思いに駆られて、そのまま2周目に突入してしまいました。

そうやって、

(1) 1周目は、全体シナリオの整合性が確り保たれている作品なのか?にとくに留意して完走し(=シナリオ・チェック型視聴)、
(2) 2周目は、今度はシナリオは頭に入っているので、それを踏まえて個々の登場キャラクターが、各々のシーンでどのような心の動きをしているのか?そして、そうした心情が果たして映像として過不足なく描き出されている作品なのか?を見極めることに留意して完走し(=感情描写チェック型視聴)、
(3) さらに念を入れての3周目は、OP/EDや、作品中に登場する小ネタ(落語の演目内容や登場キャラクターたちがふと口にする言葉など)に、何か隠された/見落としている含意がないか?等を慎重に見極めつつ、もう一度、シナリオ&感情描写の両方を総合的に確認していく気持ちで完走して(=総まとめ的視聴)、

・・・結局、見始める前は考えもしなかった3周完走となってしまいました。
こうした3周コンプは、2016年放送のTVアニメでは、『Re:ゼロから始める異世界生活』(※個人評価 ★★ 4.6)、『響け!ユーフォニアム2』(※個人評価 ★★ 4.8)に続いて3作品目で、本作に関しては、

①全体シナリオの整合性が確り取れており、
②個々の登場キャラクターの感情描写も的確で、
③なおかつ、OP/EDや個々の会話に秘められた謎解き・含意も楽しめる、

・・・三拍子揃った《優秀作》と認定して、個人評価を『Re:ゼロ』と同点の ★★ 4.6 とすることにしました。


◆作品内容

本作の原作者(雲田はるこ氏)はBLコミック作家として商業デビューした方とのことですが、本作自体は、決して《ホモ/BL作品》ではありません。

本作の内容を強(し)いて挙げるなら、
{netabare}
①同日に落語名人の師匠に弟子入りし、兄弟分として育った落語家の青年同士の、厳しい《芸道修行》と、
②師匠の妾(めかけ)として彼らに出会った年上女性と彼らとの間に生じる《恋情と執着》の進行過程、
③そして迎える《悲劇的な結末》、を描き切った《濃密トライアングル愛憎劇》
{/netabare}
・・・といったところでしょう。


◆制作スタッフ
{netabare}
原作コミック     雲田はるこ
監督         畠山守
シリーズ構成     熊谷純
キャラクターデザイン 細居美恵子
音楽         澁江夏奈
アニメーション制作  スタジオディーン{/netabare}


◆各作品タイトル&評価

★が多いほど個人的に高評価した回(最高で星3つ)
☆は並みの出来と感じた回
×は脚本に余り納得できなかった疑問回

============ 昭和元禄落語心中 (2016年1-3月) ============

- - - - - - 与太郎放浪篇 (昭和50年代) - - - - - -
{netabare}
第1話 ★★ 強次の出所、弟子入り、寄席(出来心、初天神)、失態、八雲師匠の長話 ※約48分(2話分){/netabare}

- - - - 八雲と助六篇 (昭和初期~30年代) - - - -
{netabare}
第2話 ★★ 坊(ぼん)と信さんの弟子入り、初高座(菊比古、初太郎)、二人の実力差
第3話 ☆ お千代との逢瀬、満州皇軍慰問と疎開、終戦、寄席の復活、師匠・信さん帰国、二つ目昇格、みよ吉登場 
第4話 ★ 信さん助六に改名、菊と助六の共同生活、菊とみよ吉の馴れ初め(踊り・小唄の稽古)
第5話 ★★ 助六・菊それぞれの嫉妬、菊とみよ吉の逢瀬、美鈴座(鹿芝居、女形(弁天小僧))
第6話 ★★ 何のための落語、菊の開眼(艶笑噺(えんしょうばなし)・廓噺(くるわばなし)・・・品川心中)
第7話 ★ 助六人気と増長・反感、師匠の巡業同行要請、菊・みよ吉の心のすれ違い
第8話 ★★ 上方巡業、鬼灯(ほおずき)市の宵(助六の懸想、菊・みよ吉破局)、落語の将来、先代助六、名跡の重み
第9話 ★★ 真打昇進披露、別れ話と恨み、助六破門、傷心同士の同棲・転落、助六の本心吐露
第10話 ★★ 入門志願(樋口少年)、師匠の過去話(初代助六との因縁)・葬儀、祖谷(いや)温泉(小夏との出遭い)
第11話 ★★ 助六との再会、芸の肥やし、助六の借金返済、子夏の髪切り・野ざらし
第12話 ★ 有楽亭二人会、助六の人情もの(芝浜)、みよ吉との再会、違え心中 ※脚本は良いが演出が残念×
第13話 ★ 小夏引き取り、八雲襲名・落語心中の断、因果、与太郎の真打昇進内定、三代目助六 ※後半は昭和末期~平成初期{/netabare}
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★★★(神回)0、★★(優秀回)8、★(良回)6、☆(並回)1、×(疑問回)0 個人評価 ★★ 4.6

OP 「薄ら氷心中」(第3-8話、10話、13話) ※第1話のみEDとして使用(背景は文字のみ)
ED 「かは、たれどき」(第2-9話、11話、13話)


※本作(アニメ第1期)は、原作マンガの第1巻~第5巻途中までの内容を収録。
※2017年1月より放送が始まっている続編(アニメ第2期)は、原作マンガの続き~最終第10巻までの内容を、おそらく幾分改変しつつ収録するものと考えます。


◆視聴メモ

{netabare}・昭和16年(1941年)の時点で、信さん・菊比古とも18歳(1923年頃の生まれ)、そして、みよ吉はその5歳年上なので23歳(1918年頃の生まれ)
・第9話で、みよ吉が、まもなく「赤線(※売春防止法施行以前に公娼認可のあった区画)」が廃止されるので置屋(※芸者を置いていた店)から出なくてはいけない、と言っているので、この時点で昭和32年(1957年)頃(→助六&菊比古34歳、みよ吉39歳)
・第10-11話で登場する小夏は、かなりの才覚があるにも関わらず未だ小学校に通っていない様子なので、この時点での彼女の年齢を6歳と仮定すると、昭和38年(1963年)頃(→助六&菊比古40歳、みよ吉45歳)
・第1話で、助六没後20周年特集の落語雑誌が出て来るので、この時点で昭和58年(1983年)頃(→八代目八雲師匠(=もと菊比古)60歳、小夏26歳、与太郎21歳くらいか?)
・第13話後半は、第1話からさらに10年近く経った後の話なので、平成5年(1993年)頃(→八代目八雲師匠70歳、小夏36歳、与太郎31歳くらいか?)
{/netabare}


◆本作のモチーフ考察 : 歌舞伎の《助六心中》の落語家バージョンを狙った?

落語家といえば、《滑稽噺(こっけいばなし)》を次から次へと繰り出して、ひたすら寄席の客を爆笑させる人、という楽しいイメージが強くて、たまにシンミリとする《人情噺》や、冷やっとする《怪談噺》を語りだすことがあっても、さほど深刻な内容にはならずに適当なところで切り上げてしまうもの、という先入観があって、本作についても、見始めたばかりの頃は、《落語》を題材にした作品ということで、幾らかシリアスな展開があるとしても一定の限度があるのだろう、とばかり思ってました。

ところが、第3話で初めて映像付きで流されるOP「薄ら氷心中(うすらひしんじゅう)」を見て、その曲調や歌詞の醸し出す雰囲気が、自分のそれまで持っていた本作のイメージと大きくズレていて、ことにその映像中の女性の描かれ方が、「心中」を示唆する歌詞とともに半端ない違和感を喚起して、本作の主要キャラクターの一人が、「助六」という落語よりは歌舞伎由来の名前であることと併せて、視聴を進めながら不穏な気持ちになってしまいました。

そして、物語に大きな動き({netabare}※助六が師匠から破門され、みよ吉は菊さんから捨てられてしまう{/netabare})があった第9話の真ん中ほどで、{netabare}失意のまま桜咲く河原を一人歩く助六に、同じく傷心のみよ吉が初めて自分から声をかけるシーン{/netabare}が来て・・・

{netabare}「ねえ、お花見は花川戸に限るわね。・・・・花川戸の助六さんね。」
「あたし、菊さんに振られちゃった。」
「何かあったの?話、聞いてあげる。」{/netabare}

ここにでてくる「花川戸(はなかわど)」は東京都台東区の浅草寺境内と隅田川の間に今もある地名で、とくに花川戸公園は桜のちょっとした名所になっているそうです。
だけど、ここで注目すべきは、{netabare}みよ吉が、わざわざ「花川戸の助六さん」と声をかけたこと{/netabare}で、引用が長くなりますが・・・

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◎助六(wikipedia)https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%8A%A9%E5%85%AD

『助六』(すけろく)は、歌舞伎の演目の一つの通称。
本外題は主役の助六を務める役者によって変わる。
江戸の古典歌舞伎を代表する演目のひとつ。
「粋」を具現化した洗練された江戸文化の極致として後々まで日本文化に決定的な影響を与えた。
歌舞伎宗家市川團十郎家のお家芸である歌舞伎十八番の一つで、その中でも特に上演回数が多く、また上演すれば必ず大入りになるという人気演目である。
(※以下、省略)

◎すけろく【助六】(旺文社古語辞典)

〔人名〕「助六劇」の主人公。
江戸中期、京都で男伊達(おとこだて)万屋(よろずや)助六と島原の遊女揚巻(あげまき)が心中した事件は、上方(かみがた)では「京介六心中」「助六心中紙子(かみこ)姿」など、歌舞伎(かぶき)・浄瑠璃(じょうるり)の「助六心中物」に仕立てられた。
これが江戸に移され「助六所縁江戸桜(すけろくゆかりのえどざくら)」などの「助六劇」として定着した。
江戸では主人公は花川戸助六という侠客(きょうかく)(実は曾我五郎(そがごろう))とされ、江戸っ子の代表として理想化された。

◎すけろく-しんじゅう【助六心中】(精選版日本国語大辞典)

(1) 宝永年間(1704-11)初年に大阪であった万屋助六と島原の遊女揚巻との心中事件。
(2) (1)を脚色した浄瑠璃「紙子仕立両面鑑(かみこじたてりょうめんかがみ)」、歌舞伎脚本「助六心中紙子姿」、一中節(※浄瑠璃節の一流派)「万屋助六道行」などの通称。

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・・・ここまで来て、ようやくOP「薄ら氷心中」のおどろおどろしい曲調・歌詞・映像に合点がいきました。
この後、{netabare}傷心の二人は同棲を始めて、もろともに転落していく{/netabare}のですが、その結末は既にここで暗示されていますね。

以上から、本作は《落語家》の世界を作品舞台としながらも、実際には、《落語》の「滑稽噺」「人情噺」「怪談噺」ではなく、《歌舞伎》の「心中もの」をモチーフとするストーリーを展開させている、という構成になっており、それによって、

(1) 表面上は、「滑稽さ」「人情噺っぽさ」を上手く醸し出しつつも、
(2) その基底部分に、どうにも逃れられない「悲劇性」を潜ませる。

という、両様の魅力を作品に与えることに成功しているように私には感じられました。


現在放送中の第2期にも大いに期待したいと思います。

※2018.8.22 第2期のレビュー投稿。
事前に期待していたほどの出来ではなかったけど、第1期の後日譚としてまずまず楽しめる内容でした(個人評価 ★ 4.1)。

投稿 : 2024/04/20
♥ : 36
ネタバレ

剣道部 さんの感想・評価

★★★★★ 5.0

実写映画化してもヒットしそうな印象を受けた=シナリオとテーマ性に長けたリアル系のアニメ

[文量→大盛り・内容→雑談系]

【総括】
落語をテーマにした、唯一無二の作品。

声優さんの力を感じる、名作。

アニメ史にキッチリ残すべき作品だと思います。


《以下ネタバレ》

【視聴終了(レビュー)】
{netabare}
まず、ド正面から「落語」に向き合ったアニメってのは珍しいですね。第1話で「出来心」という演目をまるっと見せてしまう(そして、それを楽しんで観られてしまう)驚き! 落語そのものの魅力に自信がある、もしくは伝えたいって気持ちが伝わります。

私は落語には疎いです。実際に落語を観たのも寄席に行ったのも付き合いで数回ってところです。好きな咄家さんもいません。素朴な疑問として、(初見ならまだしも)「ストーリーが分かっている話を何度も聞いて面白いのか?」というものがあります。

それを落語好きな友人に話を聞いてみると、「落語は音楽。歌だって、好きな歌手の好きな歌なら何度でも聞きたいって思うし、ファンなら、年月を重ねるごとの変化、その日の体調や気分によって微妙に変わる歌い(話し)っぷりを楽しめる。それから、同じ曲でも歌い手が変われば、カバー曲みたいで楽しめるよね。客との関係性(即興性)も、例えればジャズだよ」と言われました。

なるほどな~と思うました。私の大学時代の(文学部の)恩師の持論で、「ミステリーは基本的に古典になり得ない」というものがありました。それは、「ミステリーとは基本的にストーリーを楽しむもので、一度読んでオチが分かってしまえば再読しようと思えない。でも、ストーリーが分かっているのに何度も読みたくなる文章というのは確かにある。それは、表現の妙だったり言葉のリズムであったり、そこに日本語の美しさ、心地よさがある文章だからである。そういう作品こそ、再読にも再々読にも耐えられ、読解にも値し、古典になっていける作品である」というものがありました。

アニメでもそうですよね~。例えば私は、「とらドラ」とかストーリー分かっていても何度も観ちゃうけど、あれは「とらドラの空気感に浸りたい」ってのが大きいんですよね。耳に目に、心地いいんですよ。

落語の魅力ってのも、そういう類いのものなのでしょう。「昭和元禄落語心中」にも、そういう「落語の魅力」が詰まっていました。

また、ストーリー的にもそれぞれの登場人物が辛い過去を抱え、その傷を落語を通して乗り越えていこうともがく様子には感動を覚えました。七代目八雲の苦悩、血の繋がりを越えた師弟愛。そして、八代目八雲(菊比古)と助六との友情を越えた絆。月と太陽のような対照的な二人。菊比古が助六に、助六が菊比古に抱く、嫉妬やら憧れやらの混ざりあった複雑な感情。そして、女の怖さ、愛憎劇。偏愛。死。所々、落語の話を元ネタにしたようなストーリーも。(一期の)ラストはちゃんとコメディで占める。なんだか色んなものを詰め込んだのに、それを一本の筋としてまとめきった素晴らしい脚本。それ自体が落語のような物語でした。

最終話でいきなり与太郎が真打ちになってて、? って思ったけど、よくよく考えれば、「前座→二枚目→真打ち」の流れは菊比古編で描いているわけだから、あえてスパッと切ったのは英断ですね。そして与太郎を使い、助六が経験できなかった、真打ちになってからの苦しみや喜びを表現する、と。うん、無駄がない。

さらに、戦争という時代を描いた社会派の物語としても一見の価値あり。戦中戦後に、落語などの日本の伝統的な娯楽産業がどのように落ちぶれていったか、また、その中で落語を残そうともがく人々の様子。終戦後に初めて行われた寄席の緞帳が上がった時の、「何も無ぇ時代だからこそ、舌三寸の落語の腕の見せ所よ」という助六の台詞にはグッときた。昔、ある咄家さんが、「座布団一枚と扇子に着物があれば、どこででも落語は出来る」と言っていたのを思い出し、落語の強さを感じました。

う~ん、このアニメはやっぱり、タイトルで損している気がする。私も、「元禄」「心中」あたりにひっかかってて、視聴を避けてましたし。あ~、観て良かった♪

最後に、やはりこのアニメで光ったのは声優陣の凄さでした。いや、だって、落語になってるしね(汗)どれだけ練習したんでしょう? 凄いね、声優って。

2期決定らしいですね。1話最後に八雲が、「長い夜になりそうだ」と言っていたけど、(2~3話の過去編かと思っていたのに)ここまで長い夜になるとは思わなかった(笑) 2期前提ってことだったのでしょう。2期ではきっと、与太郎の成長が見られるのだろうし、楽しみです!!
{/netabare}

【余談 ~実写化した場合の配役案w~】
→以前書いた文章
多分、いつか実写化するはず。そして、この中の何人かは当たる気もする(笑)

→やっぱり実写化されましたね。実際の配役は、

八代目 有楽亭八雲(菊比古)…岡田将生。
有楽亭与太郎…竜星涼。
小夏…成海璃子。
みよ吉…大政絢。
有楽亭助六(初太郎)…山崎育三郎。
松田さん…篠井英介。

でした。アニメ放送当時に希望した、私の配役案と、どっちが良いですかね?(笑)

{netabare}
与太郎編の配役。 ( )内は第2希望

与太郎→生田斗真(小栗旬)
八雲→堺雅人(佐々木蔵之介)→白髪バージョンは無しの方向でw
小夏→二階堂ふみ(戸田恵梨香)
松田さん→近藤正臣(中原丈雄)
ヤクザ兄貴→やべきょうすけ(千原ジュニアw 落語大好きだし)
ゲスト出演→春風亭昇太(か、林家たい平。笑点メンバーのガチな落語を観たい人は多いはず。落語界にもメリットはある)


菊比古編の配役(妄想)

菊比古→二宮和也(窪田正孝)
初太郎→桐谷健太(山田孝之)
七代目八雲→立川談春(風間杜夫)
みよ吉→菜々緒(仲間由紀恵)

こんな感じでどうでしょう(笑) 全体的に(原作に比べて)年齢層高めになっちゃったのと、与太郎と小夏、菊比子とみよ吉の年齢が逆転しちゃったのが難点ですが、イメージ重視の配役です(だって、10代の演技力無いジャニタレには落語は無理そうだし、そうなると、相対的にアラフォー女優さんになるけど、それで若い人を呼べるか疑問にも思うから)。

さて、レビュータイトルの件ですが、素直にそう思いました。このアニメ、とても良いアニメで久々に(このすば以来の評価5で)夢中になれましたが、このリアリティある作風に重厚なストーリー。冷静に考えればあえてアニメである必要はないとも思いました。むしろ、実写向きでは?

与太郎は、ジャニーズでもイケメン若手俳優でもいけそうだし、小夏も、若手の人気女優(清純派女優の新たな一面を見せるとか)いけそうだし、(8代目)八雲に関しては、堺雅人さんにしか思えない(笑) あとは、リアルガチな大物咄家さんをゲスト出演させれば、話題は作れる。最近は落語ブームで、若い女性も観に行くらしいですし、中年以降の落語ファンにもウケそう。イメージは「ちはやふる(劇場版)」。

ストーリー(八雲と助六の過去編)を短縮(か省略)させて、(おそらく2期で描かれる)与太郎の成長にしぼれば映画の尺でもいけそう! そしてヒットしたら、八雲&助六の過去編をスピンオフで劇場公開(笑) もしくは、先に八雲&助六の過去編を公開。続いて後編として与太郎編を公開(アニメ通りの構成)。うまくいけば、落語ブームという社会現象を起こせるかもよw
{/netabare}

投稿 : 2024/04/20
♥ : 61

えたんだーる さんの感想・評価

★★★★★ 4.6

流行に阿らない作品?(NHKで実写ドラマ化、10/12より放送)

同タイトルの漫画が原作らしい。(原作未読)
このレビューは1期目のもので、2期目の制作が決まっているらしい。

本作の登場人物には落語を演じるシーンが必要な人がいるわけだが、それらのキャストのオーディションでの当落基準に「落語を演じられること」というのがあったらしい。

その真偽は確認していないが、それが信じられるくらいにキャストは落語を熱演している。

そして本作品の登場人物のの人間臭さと、噺の中の登場人物の人間臭さとが重ねあわされるようなストーリーにはなかなか重厚感があると思う。

キャラクターデザインはおそらく原作を踏襲しているのだと思うが、いわゆる「アニメ絵」風ではない。だがそれは「キャラクターデザインの問題」であって、作画が悪いということではなくむしろ良い。

演出や美術なども近年の作品にはあまりない感じであまり似ている作品は思い浮かばない。(もしかしたら『御先祖様万々歳!』とかは少し似ているかも? でもあれはもっと「舞台劇風」な画面だしなあ…。)

いかにも老舗のスタジオディーンが制作しているっぽい作品である。

とにかく作品全体から「世の中に愛される『落語』であって欲しい」という願い、危機感みたいなものが随所に感じられることと「落語は人生そのものだ」みたいな娯楽としての落語の意味みたいなものがにじみ出ている。

すごく面白かったが、これがアニメ作品として売れるかどうかは良くわからない。売れたら良いね…。

2018.10.6追記:
10/12よりNHK ドラマ10枠で連続ドラマとして放送されるそうです。さて、どうなることか…?

投稿 : 2024/04/20
♥ : 70
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