不死で幼馴染なおすすめアニメランキング 2

あにこれの全ユーザーがおすすめアニメの不死で幼馴染な成分を投票してランキングにしました!
ランキングはあにこれのすごいAIが自動で毎日更新!はたして2024年04月24日の時点で一番の不死で幼馴染なおすすめアニメは何なのでしょうか?
早速見ていきましょう!

84.8 1 不死で幼馴染なアニメランキング1位
ダーリン・イン・ザ・フランキス(TVアニメ動画)

2018年冬アニメ
★★★★☆ 3.7 (1070)
4665人が棚に入れました
遠い未来。人類が荒廃した地上で生き抜くために作り上げた巨大移動要塞都市では、名前のないコドモたちが戦うことだけを教え込まれながら、毎日を過ごしていた。コドモたちの1人であるヒロは、角が生えた謎の少女ゼロツーとの出会いを機に彼女のパートナーとなり、命を懸けた戦いに身を投じることとなる。

声優・キャラクター
上村祐翔、戸松遥、梅原裕一郎、市ノ瀬加那、田村睦心、山下七海、後藤ヒロキ、早見沙織、市川蒼、石上静香、小西克幸、井上麻里奈、堀内賢雄
ネタバレ

oxPGx85958 さんの感想・評価

★★☆☆☆ 1.5

なぜこんなひどいものが作られるのか私にはわかりません

序盤では、主人公の少年たちが生きている世界の描写にある矛盾点や不思議な要素が目に付き、それが制作側の不備なのか、後に解決される伏線なのか気になってしょうがなかったのですが、中盤から終盤に向けての雑な展開に、そういうのはどうでもよくなってしまいました。登場人物たちの人間関係のダイナミズムにおいても、SF的な世界構築の面においても、ちゃんと考えてない粗雑な脚本だった、で済む話と納得しました。

それでも、本作の物語の根幹にある、この「こども」たちの性の物語について1つ言わせてもらえば、{netabare}第1話から普通の萌えアニメと同じような性的テンションが満ちあふれているのに、「キスって何のこと?」みたいなセリフを言わせるだけで、性を知らない思春期前のこども、みたいなこと言われても困ってしまいます。百歩譲って、彼らがたとえばお風呂で平然と混浴している、みたいな描写が積み重ねられていれば、ゼロツーとヒロを発端とする気づきや目覚めに説得力が生まれたかもしれない。{/netabare}

これに関連して、このグループが異例なものであることを示すために、「正常」なグループがどんなものなのかという描写があるとよかった。でも、そこの線引きについて本作の製作陣は深く考えていなかったんじゃないかとも思います。

もう1つ、終盤の展開に関わる要素として、{netabare}ココロが妊娠したことに対する本人および周囲の反応が、現代日本社会におけるステレオティピカルな反応で、彼らが育てられてきた環境から想像できるものと違う。彼らが妊娠・出産を異常なものとして捉えるとしたら、人間は動物のような生殖はしない、と教えられてきたため、ぐらいでしょう。それでもあそこまでタブー的な扱いにはならないはず。ゾロメなんか「すげぇー! 俺たちにもこどもが作れるんだ!」と喜びそうでしょう? 自分たちで畑で野菜を育てようとするぐらいだし。{/netabare}

このように、人間関係に関わる大きな物語の根幹にある「性」についての世界構築の穴が大きすぎるため、これに関連する要素はまったく説得力を持てていない、と感じました。いまブームのLGBT的な価値観に真っ向からケンカを売ってるような設定なのに、ロクに理論武装していない点も含めて、発達心理学とかジェンダー学とかの面でのリサーチ、教養、思索が不足していると感じます。その界隈に目を配った感じの{netabare}ゲイのキャラクター{/netabare}の扱いは結局ひどくて、かえって藪蛇になっていると言わざるをえない。

もう1つのSF的な要素については、ツッコミどころが多すぎてお話にならない。設定の穴そのものよりも、次から次へと繰り出される脈絡のない新要素について、その解説役がどんどん出てきてセリフで説明するというご都合主義の方がきつかった。

とりあえずは何千万年もの昔からの存在を、同じく何千万年もの昔からの存在がアルファベット表記の名前で呼ぶというのはやめた方がいい。『正解するカド』で、何百億年かそれ以上のオーダーの存在が、現代日本の50音カタカナと1対1に対応する文字体系を使っていたのを思い出しました。

なんでこんなひどいものが出てくるのか、アニメに関する知識が浅い私にはよくわからないので、いろいろ読んで勉強中です。ネット上のレビューには、これを古いアニメ界の残滓であるとする見方や、特定の制作会社あるいはスタッフの問題だとする見方などがあるようですが、どうなんでしょうか。

なお、アニメ作品としての他の要素に、物語上の欠点を補うだけのパワーは感じられませんでした。ゼロツー役の戸松遥は、ヒロインとしての存在感を備えた個性ある声を出していて良かったのですが、いかんせん与えられるセリフがダサいとどうしようもない。

投稿 : 2024/04/20
♥ : 22
ネタバレ

shino さんの感想・評価

★★★★☆ 3.6

比翼の鳥

TRIGGER×A-1Pictures制作。

荒廃した地上で人類は移動式の要塞都市を築き、
襲い来る叫竜と呼ばれる巨大生命体との戦闘が続く。
戦闘を義務付けられた記号的な子供たちは、
男女が対となり命を懸けて戦いに身を投じている。

初回はロボットアニメの王道で、
{netabare}ボーイミーツガールからの搭乗、戦闘、勝利と、
基本に忠実な展開と演出で序盤は良好です。{/netabare}
ヱヴァにトップと既視感もありますが、
それよりも少々残念だと感じたのは、
フランクス(戦闘機体)に黒目(瞳)を入れたこと。
これで中途半端に機体に命が宿ってしまった。

13話視聴追記。
後半戦に繋がる非常に重要な回でしょう。
{netabare}子供たちだけが暮らす閉じた世界、
美しいものは絶えず外の世界にあり、
知りたいことだけが増える檻の中の日々。
ゼロツーの壮絶な過去…、{/netabare}
願わくば、世界を粉々にしてほしい。

最終話視聴追記。
後半、好みの展開もあるのですが、
{netabare}全体を通して心を動かされることは少なく、
今の時代はもう、指標に成り得る、
ロボットアニメは存在しえないのでしょうか!?
なんて、色んなことを考えていました。{/netabare}

主題歌は好印象で、今でも聴きます。

投稿 : 2024/04/20
♥ : 90
ネタバレ

フィリップ さんの感想・評価

★★★★★ 4.2

男と女

環境汚染が進み、土地が荒廃した終末的な世界。
人類は万能なマグマ燃料に頼り、地上移動要塞都市の
プランテーションと呼ばれる街で暮らしていた。
しかし、突然、巨大生命体である叫竜が
現れるようになり、コドモの男女1組で起動できる
フランクスというロボットで対抗していた。
主人公のヒロは、ある日、鬼の女の子のゼロツーと出会い、
一緒にフランクスに乗って叫竜と戦うことになる。

アニメーション製作:TRIGGER・A-1 Pictures、
監督:錦織敦史、シリーズ構成:錦織敦史、林直孝、
キャラクターデザイン:田中将賀

個人的には、視聴中に評価が乱高下する作品だった。
回によっては感動的な話もあったし、
雑といえる設定や人間関係にうんざりすることもあった。

そもそも始まりから「オマージュ」というよりは
「コラージュ」と言ってしまえるほど
過去作を引用した設定のオンパレード。
世界観からロボットのデザイン、呼び名に至るまで
徹底的に引っ張り出している。

ロボットの造形は、「STAR DRIVER」にそっくりで、
物語の世界観はエヴァに似通っている。
「ダーリン」と「鬼」というのは、うる星やつらだし、
各キャラの関係性は、これまでの岡田磨里作品と酷似している。
新海誠を彷彿とさせるところもある。
なんとなく観ていると、そういう既視感や共通項ばかりが
目についてしまう。

ただ、ヒロとゼロツー、ミツルとココロに視点を置けば、
分かりやすく収斂していくようなストーリーになっている。
SF要素や背景、群像劇についても、
全て、この2組のカップルを補うための
要素でしかない気がする。

{netabare} ヒロとゼロツーの関係性が明らかになった13話から
物語は心象風景の世界へとシフトしていく。
「まものと王子様」という絵本をイメージさせながら、
ふたりの心の交流が中心になっていくのだ。

ここからは上手く物語が紡がれていき、
ひとつの方向性で落ち着いたように感じた。
作中絵本の展開も『MONSTER』などで
使い古された感はあるものの
デザインや物語がしっかり作り込まれていて、
一定の世界観を構築している。
ヒロとゼロツーのつながりが強固になっていくさまを
絵本の物語を通じて感じられるとても良い演出だった。

そして、ミツルとココロによって、
この世界でタブーとされていた
生殖が描かれたのも大きなテーマのひとつ。
男と女が存在し、その繋がりが
未来に向けた力になっていく。
現在の日本に対するメッセージでもある。
安っぽいと感じる人もいるだろうが、
私はこの2組のカップルを話の中心に据えたのは、
良かったのではないかと思っている。
物語の序盤から中国の伝説上の生物である
「比翼の鳥」によって、男女のつながりを
繰り返しイメージさせた。
男女の関係性を描く部分は、とても力が入っていて、
話に引き込まれることが多かった。

叫竜との戦いからVIRMとの争いに移行して、
スターエンティティが、ストレリチア・アパス、
ストレリチア・真・アパスに変貌していくさまは、
超展開といえるが、個人的には驚きと楽しさがあった。
進化にはいつもヒロとゼロツーの
心のつながりが重要なポイントになっていて、
そこではカタルシスを感じさせてくれた。
また、地球からゼロツーの入れ物だけを残して
旅立っていくのも個人的には好きなアイデアだった。 {/netabare}

永遠の時間が続く凪のような快楽。
限りある時間内での燃え上がるような煌めき。
どちらがより幸せな生き方なのだろうか。
作品のテーマは、今の時代をよく反映している。

音楽はエンディングや挿入歌を
レコード大賞・作曲賞の受賞経験もある
杉山勝彦が担当しており、物語の躍動感を増幅させる
良質な歌謡曲を聞かせてくれた。
これは作品の質を一段引き上げたといえるほど、
良い仕事をしていると思う。

色々な欠点があるものの、それを補って余りあるだけの
作り手のこだわりや執念が滲み出ている。
2クール分を存分にやり切り、
心に確実に何かを残してくれた作品だった。
(2018年7月14日初投稿)

投稿 : 2024/04/20
♥ : 83

68.3 2 不死で幼馴染なアニメランキング2位
機動戦士ガンダムNT(アニメ映画)

2018年11月30日
★★★★☆ 3.6 (121)
470人が棚に入れました
2010~14年にかけてOVAと劇場上映で展開され、16年にはテレビシリーズとして放送もされた「機動戦士ガンダムUC(ユニコーン)」の続編となる劇場版アニメ。「ガンダムUC」のストーリーを担当した小説家の福井晴敏が脚本を手がけ、「ガンダムUC」から1年後となる宇宙世紀0097年を舞台に、ユニコーンガンダム3号機フェネクスをめぐる物語が描かれる。ニュータイプの存在と権利に言及した「宇宙世紀憲章」の存在が明らかにされた「ラプラス事変」から1年。争乱の中心にあった「ユニコーンガンダム」と呼ばれたフルサイコフレーム仕様の2機のモビルスーツは最後の戦闘で人知を超えた力を発揮し、それゆえに危険視され、封印された。しかし、2年前に消息を絶っていたユニコーンガンダム3号機が再び地球圏に姿を現し、同機をめぐる争奪戦が勃発。この戦いに、新たなモビルスーツ「ナラティブガンダム」が投入される。

声優・キャラクター
榎木淳弥、村中知、松浦愛弓、梅原裕一郎、藤村歩、古川慎、塩田朋子、てらそままさき、中井和哉、山路和弘、星野貴紀、佐藤せつじ、駒田航、荒井勇樹、島田岳洋、玉野井直樹、中村文徳、横溝菜帆

けみかけ さんの感想・評価

★★★★★ 4.9

まさしく宇宙世紀の…新世代の『火の鳥伝説』…オイラは刻の涙を見た!【Narra-TALK&ノベライズ版&パッケージマスター版感想追記】

ファーストガンダムから始まる「宇宙世紀(UniversalCentury)」を舞台にしたガンダムシリーズのオリジナル長篇映画
『NT』は「ナラティブ」と読み、この単語自体は“物語”や“説話”という意味を持ってますが宇宙世紀を舞台にした作品ではお馴染みの要素である“ニュータイプ”と掛けてるダブルミーニングであり、今作では“神話”という意味に意訳できます
『機動戦士ガンダムUC』の1年後が舞台で実質的に『UC』の後日譚になっている為『UC』及び『UC』に至るまでの宇宙世紀シリーズを視聴者が把握してることを大前提として話が進みます
具体的には『ファースト』『Z』『ZZ』『逆襲のシャア』『UC』を把握していた方がすんなり話が入ってくると思います


宇宙世紀0097
ラプラス戦争から1年後、極秘裏に開発されていたユニコーンガンダム3号機「フェネクス」を追う地球連邦軍の特殊部隊シェザール隊
起動実験の最中で暴走し、行方不明となっていた幻の機体だったがルオ商会のミシェル・ルオから提供された試作兵器「ナラティブガンダム」とそのパイロットのヨナ・バシュタの協力もあり、あと一歩のところまでフェネクスを追い詰めるも逃げられてしまう
実はヨナとミシェル、そしてフェネクスの起動実験に参加していたリタ・ベルナルは一年戦争開戦当初、わずか7歳にして「コロニー落とし」を予知したというニュータイプ“奇蹟の子供”と呼ばれた三人組だった
そんな因縁浅からぬ関係のヨナとミシェルが、リタが乗っているはずのフェネクスを執拗に追う理由
それは解体されてしまったユニコーンとバンシィに代わるサイコフレームを手に入れ、ニュータイプの真実…を解き明かすことにあった
だが、同じくフェネクスを狙うネオジオン残党の過激派=袖付きとシェザール隊が偶発的に衝突してしまう


























わずか90分の単発長篇ですが、実はガンダムシリーズというのは来年で40年、そのほとんどがテレビシリーズを端に発している為に今作のように単発で完結する作品はあまり作られていません
宇宙世紀を舞台にした作品としては『逆襲のシャア』と『F91』ぐらいなもので、それから数えて実に27年ぶり
『劇場版00』から数えても8年ぶり、と長い歴史の中でも珍しい作品であるとわかります


『UC』を手掛けた福井晴敏が『UC』の外伝として発表した『不死鳥狩り』という短篇小説が原作となっていますが、当該小説とはだいぶ違う内容なのであまり気にしなくて良いです
というか、ちゃんと映画らしくなるように再構築されているので『UC』シリーズという括りにはなっていません
ですが『UC』までに“ニュータイプ”と呼ばれる存在とそれに反応する“サイコフレーム”という金属が何を起こしてきたのか…これが大前提になっている為、宇宙世紀シリーズのファン以外は相手にしていないのが実際のところでしょう


今作のキーポイントは何といっても、“ニュータイプ”という宇宙世紀シリーズに共通する要素にお茶を濁すことの無い回答を提示したこと、に尽きるのではないでしょうか?
コレに関しては賛否が別れてるようにも感じますが『UC』を観て面白いと感じれた方には今作もご納得いただけるはずです
ニュータイプとは結局なんだったのか…今まで薄々解っていても誰も声を大にして言わなかった真実を、今作は遂に取り上げてしまったのです
そりゃ賛否も別れますわなw


ツッコミ所、というか矛盾を感じるのはマウリ中将が「ルオ商会がグリプス戦役でエゥーゴ側に着いたのはミシェルの進言あって」と言ってましたが、ミシェルがルオ・ウーミンに引き取られたのはグリプス2陥落後の為、あの証言は都市伝説を口にしただけだったのかな?ってところです
あとラストシーンで10年前のシドニーでヨナ達と幼いゾルタンがすれ違っていた可能性に触れていますが、設定上ゾルタンの方が2歳年上なので現実描写としての信憑性は希薄です
ゾルタンの記憶が投影された、と割り切った方が良いでしょう


さて、そんなシナリオに対して今作はファーストをリアルタイムで視聴していた世代のスタッフが中心だった『UC』や『THE ORIGIN』と違って吉沢俊一を監督に配したり、金世俊(キム・セジュン)をキャラデザに配したりと、メインスタッフの多くが30歳代、とガンダムのスタッフとしては比較的若いことに注目したいです


吉沢監督は『Gのレコンギスタ』で御大・冨野由悠季と師弟関係を結んだ気鋭の若手で今作が初監督作
今作の、内容が詰め込まれたスピーディーな構成は冨野演出そのものを体現しており、他人のガンダムに口出ししない御大が珍しく吉沢監督を素直に褒めていたそうですw


キムさんをキャラデザに起用したのも、高齢化しつつあるガンダム関連アニメタを意図的に若返らせるためだそう
キャラの私服がやたらオシャレだったり、ゾルタンの印象的なツーブロックの髪型はまんまキムさんのアイデアだとか
新世代スタッフが伝統ある宇宙世紀ガンダムを手掛ける、という今作のモットーは実に有意義に感じます
伝統芸能の継承みたいな流れですね


ちなみに同じサンライズ制作の『シティハンター新宿プライベートアイズ』のスタッフは『UC』や『THE ORIGIN』のベテランで固められているようです


全篇で90分、という尺は映画としては決して長くは無いのですが、これでもかと詰め込まれた展開がとてもスピーディーに進んでいく様はそれだけでもとても気持ちが良いものです
さらに『UC』でオーケストラを用いたエピックな劇伴を手掛けた澤野弘之が、今作では打って変わってエレクトロを取り入れた重厚かつハイテンポな、ガンダムシリーズとは思えない挿入歌や劇伴を挟んでくる演出もキマっているのも今作の完成度を高めている一因でしょう


ナラティブガンダム出撃のテーマとして流れる「vigilaNTe」は男女ツインボーカルでありながら別々の歌詞が付いており、mpi氏歌唱の男声パートはヨナの心情を、Gemie氏歌唱の女声パートではミシェルの心情をそれぞれ歌っているので本編を観たあとに再注目していただくのも面白いです


あとお台場に立っている実物大ユニコーンで毎夜行われているライトアッププログラムに使われているテーマソング「cage」のアレンジ版がココぞ!という場面で流れたのも鳥肌モノです
思えば「cage」というタイトルからして、不死鳥を追いかけるという今作のテーマにぴったりだったのではないでしょうか
アレが流れるとお台場の人集りの中でも泣いちゃうんですわw


Narra-TALKで小形Pが最も拘ったポイントに挙げていたのはやはり音楽
『UC』、さらにはその後の『ハサウェイ』でも澤野氏が起用されることから本作は意図的に毛並みと変えてるとのこと
また、「cage」のレコーディングに立ち会った小形Pは「良い曲なので(等身大ユニコーン立像のテーマだけでなく)是非本編でも使いたい」と申し出て今作への起用に繋がったようです
「vigilaNTe」も「cage」も劇中で流れるタイミングは小形Pの拘りだそうです
グッジョブですね!


さて今作のフェネクスというモビルスーツ
よくわからん原理で飛んだり、約1年半も宇宙を彷徨い続けたり、とにかく物理の壁を叩き壊すMSなのですが、こういう何がなんだかわからないモノを追い続ける人々の悲喜交々を描く、というのは手塚治虫の『火の鳥』を思い出します
恐怖を通り越して、美しい
美しさを通り越して、気高い
気高さを通り越して、恐ろしい
ともかく追い詰められた人間ってのはこーゆーよくワカラナイものにすがりたくなる性分なのだな、と再認識するドラマでした


本編を観てこのフェネクスの中身を知ると【もしかしてコイツ、ガンダム史上最高の“ヒロイン”】なのでは?とすら思えてくるほど可愛く見えてくるのが不思議ですw


ところでリタ・ベルナル役を演じた松浦愛弓さんってどっかで聞いたような声…と思っていたら『うさぎドロップ』のりんちゃん役だったって…あの子役がこんなに立派になっていたとはオジサン感無量ですよ(;;)


そうそうオジサンといえば、イアゴ隊長とかダマスカスの艦長とか、オジサンキャラが格好良く描かれているのも宇宙世紀ファンのツボを突くのではないでしょうか?


あと竹内清人が手掛けたノベライズ版も読みました
小説家の福井晴敏が書いた脚本から、脚本家の竹内清人が小説を書く、というのも面白い話ですw
このノベライズ版では劇中では多く語られなかった部分がより掘り下げられています
特にヨナがイジメられていた理由やニュータイプ研究所を脱走できた理由や子供だったヨナ達がコロニー落としをシドニーの人々に知らせた方法…というのはこのノベライズ版のみで語られるショッキングな設定です;
この話を踏まえるとミシェルのヨナへの距離感がやたら近いことや側近にブリックが宛がわれた理由が読めてきます
竹内先生は過去に冨野監督が書いたガンダムのノベライズ版を意識して書いたそうです
より本作の理解を深めたい方には必読の一冊ですのでオススメします


そしてガンダムエースにて連載中の大森倖三先生のコミカライズ版ですが、こちらには福井夫人からのアイデアで、今作でも印象的な名脇役として機能しているブリックの過去にまつわるエピソードを、今後収録したいと冗談交じりに福井氏からは語られました


ラストシーンでミネバが意味深な言葉を残してますが今作を皮切りに今後の宇宙世紀ガンダムは年一ペースで長編映画を出していくそうで、とりあえず来年には『閃光のハサウェイ』が3部作形式で映画化するそう
その後は『UC』の続編も描かれる予定とのことで、個人的にはジオン共和国がなぜ衰退してしまうのか(ムーンクライシスのアレ、はちょっと納得いってないので)をハッキリさせて欲しいと感じてます

























…さて、ただいま1月の2週目時点でまだロングラン公開中ということで、実は既に5回も観に行ってます(笑)
正直言ってここまでハマるとは思ってませんでした;
ガンダム40年の歴史で一番好きになりそうです


5回中の3回は新宿ピカデリーの爆音映画祭で観賞してますのでその感想をば…
爆音映画祭は今は無き吉祥寺バウスシアターで始まった企画で映画用ではなく音楽ライブ用機材を用いて大音量で映画を上映するイベントです
現在は映画批評家の樋口泰人氏とboidというイベンター企業の手で全国各地を行脚するように運営されています
ライブ用巨大スピーカーが剥き出しでスクリーン下に鎮座し、配線やPA等も雑多に置かれる為に最前列は基本的に閉鎖されていて座れません


肝心の音感ですがやや音圧が高めかな、と思います
正直セリフ等が聴き取りにくくなる傾向にあり、初期の立川シネマシティの極上爆音上映に似てます
やはり機材の品質の差だと思います
低音に関しては極端に効いているわけではなく、この点は好みが分かれそうですが低音を効かせすぎると劇伴が別モノになってしまうので悪くないと思います
ちなみに立川シネマシティ、特に現bスタジオが知る限り一番低音が効いてます


一番音圧を感じるのは意外にも冒頭、コロニー落としの落着の瞬間でした
まさにこの世の終わり、といった破裂音を感じますw
次いでナラティブA装備の初撃、超長距離からのハイメガ砲が飛んでくるカット
それと計2回あるフェネクスのデストロイモードへの変型シークエンスのバスンッ!バスンッ!ってあの音がかなり勢いよく弾けてました


爆音映画祭は基本リバイバル上映にあてがわれるので、今回の様に新作で上映されたのは大変珍しいことなので貴重な体験だったと感じました
(この記事の後にNarra-TALKを含め計10回観ましたw今作は個人的にシリーズで一番好きなガンダムになったと思いますw)


先日のAnimeJapanでの展示で公表されて驚いたことがあったので追記します
80年代のサンライズ作品へのリスペクトを込めた作品にすべく、フェネクスの機動音には『レイズナー』のV-MAXの音が、Ⅱネオジオングの波動の音には『イデオン』のイデオンソードの音をあえて使っているそうですw
またcageからnarrativeへは、当初シームレスに繋がる予定だったそうですが、間に無音のパートを挟んだ方が良いということから尺を合わせる為にわざわざ幼少期のゾルタンとすれ違うカットを追加したそうです
音の演出に合わせて画を増やすって珍しいですね
制作期間も限られていた中で素晴らしい現場の連携だと思いました


11回目の劇場鑑賞をしたので少しだけ追記します
1週間限定で一部の劇場で公開された“パッケージマスター版”つまりブルーレイ用に多少修正が入ったバージョンの劇場公開です
結論から言うとカットが増えたり大幅に作画が修正されたりするわけではありません
一番大きい変化ですがコロニー(メーティス)の3DCGを作り直したそうです
残りは主に撮影のリテイクで画面の明るさ等、観え方に関する部分を直したそうです
音響のダビングやマスタリングも変わっているんじゃないでしょうか?、セリフ類が聴き取り易く感じました
作画の修正点ですが最後に素顔を見せるバナージの瞳にハイライトが入れられていたのは変更点なはずです

投稿 : 2024/04/20
♥ : 10
ネタバレ

shino さんの感想・評価

★★★★☆ 3.5

永遠の青二才

サイコフレームとニュータイプの考察。
或いはその再定義でしょうか。
ガンダムユニコーンからのスピンオフ作品。
{netabare}神出鬼没の3号機フェネクスを巡る攻防。{/netabare}

ガンダムシリーズを総括するほどの、
知識も技量もないのですが少し語りたい。

主人公の社会的成長が物語の軸にある。
初代では縦軸にアムロとシャア、
横軸にはララァとセイラがいる。
そして木馬の多彩な面々が円環状に配置され、
時としてメインキャラより雄弁に真理を語る。
ガンダムの魅力は単なる英雄譚ではなく、
この群像劇が紡ぐ、怒涛の物語だと思う。

{netabare}シリーズを継続するごとに、
そこにあった革新性は希薄化され、
物語は生産中心主義へと埋没していく。
ガンダムに似た何かが再生産されるだけだろうか。{/netabare}

時が経つにつれデザインも洗練され、
世界中に数多くのファンを獲得している。
アニメ史に残るその功績を称えつつも、
終わりなき物語に倦怠感を感じています。

願わくば「永遠の青二才」が見たい。
未完成でもいい、そこに美しさを感じるのだ。
時代を超えて、怒涛の快進撃を続ける、
そんなガンダムにまた打ち負かされたいと願う。

投稿 : 2024/04/20
♥ : 30

ワドルディ隊員 さんの感想・評価

★★★☆☆ 2.9

ガンダムUCの焼き直し

この作品は、機動戦士ガンダムUCの後日談として制作された
アニメである。ガンダムUCを見ていることを前提に
作られているため、事前にガンダムUCを予習しておく必要がある。
UCの主要人物数人が、NTに直接関わっているからだ。
とはいってもwikiや公式サイト等で
把握すれば特に問題ないと私は考えている。

全体を通した感想としては、UCファンにターゲットを定めた作品
だという印象が強く、既視感満載の作風に仕上がっていた。
回想シーンも多く、退屈な気分にさせられたため気合を入れて
視聴することはせず、スマホゲームを片手間にやっている
ような気分で望むことにした。
私においては、その判断は正しかったようだ。

あらすじに関してだが、ガンダムUCと非常に似通った部分が多い上に
抜粋して書くほどだとは思えなかったので、他の方のレビューを
参考にして頂けると幸いだ。

先に良かった点を述べる。
戦闘シーンは目を見張るものがあり、臨場感を味わえた。
コロニー内における戦いは劇中の中でもお気に入りの部分に入る。
他にあるか自分なりに探してみたのだが、これ以上は
出てこなかったようだ。本当に申し訳ない。

ここからは気になった点を。
作画は思ったよりも不安定な所が多くムラがあった。
人によっては、見ているだけでひとり寂しくコロニー宙域を
彷徨っているような感覚に襲われていても不思議ではない。

魅力的なキャラクターは限られた者しかいない為、感情移入
するのが困難。思い返して、割と好みだったのが、
エリク・ユーコとルオ・ウーミン位。
二人とも劇中では空気扱いなのだが、NTの中に出てくる
キャラクターの中ではましな方ではないかと自らを納得
させることにした。

ぶっちゃけ、NTの主要人物が福井晴敏氏の人形にしか
見えず、途中から無心の状態で画面を眺めている自分がいた。
「撃っちゃうんだなァ、これが!!」でお馴染みの
ゾルタン・アッカネンだが、あほみたいにでかいMAを心の
拠り所にしたあたりから魅力を感じなくなってしまったので、
そこからは深い思い入れがない。
所詮はその程度の奴だったのかとため息が出ていたような気がする。

一番の足枷となっていたのは、ストーリー展開。
捻りが全くない上に、尺が短いためか急に情報を詰め込もうと
するため、それがかえってテンポを壊していると感じた。
これならOVAかTVアニメとして制作すれば多少は情報が整理されて
見やすくなっていたのではないかと思うのだが、製作スタッフは
その辺りどう考えているのだろうか。
機会があれば一度聞いてみたいものである。

最初から最後までつまらないという感情を自分の脳裏から消し去る
ことは不可能だった。まあ、別の見方をすれば生粋のガンダムUC
ファンには非常に好評だといった所か。
この調子では、今後の宇宙世紀作品に悪影響がでるのではないかと
危惧しているが、それを決めるのは私ではない為、
固唾を飲んで見守るしかなさそうだ。

戦闘シーンやBGMは素晴らしかったが、それ以外の部分が
足を引っ張っているため自分の脳裏に残らない作品だと
いう感想で終わってしまった。

宇宙世紀作品の入門としてはありかもしれないが、
過去作品への侮辱の域に達する
レベルなのでわたしはあまり勧めない。

投稿 : 2024/04/20
♥ : 13
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