人種差別で復讐なおすすめアニメランキング 3

あにこれの全ユーザーがおすすめアニメの人種差別で復讐な成分を投票してランキングにしました!
ランキングはあにこれのすごいAIが自動で毎日更新!はたして2024年03月28日の時点で一番の人種差別で復讐なおすすめアニメは何なのでしょうか?
早速見ていきましょう!

82.9 1 人種差別で復讐なアニメランキング1位
86-エイティシックス-(TVアニメ動画)

2021年春アニメ
★★★★☆ 3.9 (620)
2132人が棚に入れました
サンマグノリア共和国。そこは日々、隣国である「帝国」の無人兵器《レギオン》による侵略を受けていた。しかしその攻撃に対して、共和国側も同型兵器の開発に成功し、辛うじて犠牲を出すことなく、その脅威を退けていたのだった。そう、表向きは。本当は誰も死んでいないわけではなかった。共和国全85区画の外。《存在しない“第86区"》。そこでは「エイティシックス」の烙印を押された少年少女たちが日夜《有人の無人機として》戦い続けていた――。死地へ向かう若者たちを率いる少年・シンと、遥か後方から、特殊通信で彼らの指揮を執る“指揮管制官(ハンドラー)"となった少女・レーナ。二人の激しくも悲しい戦いと、別れの物語が始まる!

声優・キャラクター
千葉翔也、長谷川育美

でこぽん さんの感想・評価

★★★★★ 4.2

あなたはゲームと戦争の違いを知っていますか?

この物語では、『あなたはいつも、他人を自分と同じ人間として尊重していますか?』と、問いかけています。
そして物語の中では、人間の強欲さや軍隊の理不尽な振る舞いが多く描かれます。
あなたはいつも、他人を自分と同じ人間として尊重してられますでしょうか?

この物語の背景では、大国ギアーデ帝国が完全自立無人戦闘機械(レギオン)を用いてサンマグノリア共和国などの諸国へ侵略を行っています。
サンマグノリア共和国も無人戦闘機械を用いて防戦をしているように国民へ公表しますが、その実態は第86区にいる少年少女たちを戦闘機に乗せて戦わせていました。

サンマグノリア共和国では、第86区に住んでいる人たちを人間として認めていません。その理由は『髪の色も瞳の色も違うから』 ただそれだけでした。
だから戦闘が発生しても戦死者はいつもゼロ。たとえ第86区の人たちが何人死んでも、戦死者はゼロと公表されます。

サンマグノリア共和国に住む16歳の少女レーナは、指揮管制官(ハンドラー)として第86区の精鋭部隊・スピアヘッドの指揮を執ることになります。
他の上官や同僚は、『第86区のものは将棋の駒と同じ』と考えているので、どんな犠牲を払おうとも気にしません。
でもレーナは第86区の人たちが人間であることを知っています。髪の色や瞳の色が違っても同じ人間であることを理解しています。

だから彼女は悩みます。
彼女の指令一つで何人もの人間が死ぬことを彼女は理解しています。
彼女は、指揮管制官となるには優しすぎる心の持ち主でした。

レーナは、理不尽な軍のやり方に憤りを感じます。でも、どんなに抗議をしても、軍の冷酷な命令は変わりません。
だから彼女は、隊員たちの命を守るために、あらゆる手段を講じます。
彼らを守るためならば卑怯者と呼ばれても気にしません。軍法違反も覚悟のうえです。

彼女が行ったことは確かに軍人としては問題ですが、人間としては大変立派な行動でした。レーナは部下を人間として尊重していたのです。
そんな彼女を私は尊敬します。


ところで、この物語を見て、ふと思い出したことがあります。
以前、米軍の戦闘機が敵とは無関係の建物を破壊したり、民間の人たちを殺戮したりしている映像をドキュメンタリーで見たときのことです。

数年前から中東やアフガンで戦う戦闘機の操縦者は、実はアメリカの米軍基地で操縦しています。
つまり、リモートで無人機を飛ばして地球の裏側の戦闘をしているわけです。
どんなことがあっても自分の安全が保障されているので、まるでゲームをしているように、「殺せ!、殺せ!」と戦闘員が叫んでいたのが忘れられません。

こうした愚行をする人はほんの一部であり、大部分の人は正常であることがわかっているのですが…
ゲームと戦争の違いが判らない人たちが戦争するのは、困ったものを通り越して恐怖です。

投稿 : 2024/03/23
♥ : 49

take_0(ゼロ) さんの感想・評価

★★★★★ 4.2

名作の部類でしょう。

いやぁ、いいね。
硬派な大人なアニメな感じでした。

他の方の感想を観ると、ネガティブな評価も散見されて残念なのですが、まぁ、合う合わないも含めて個人の感想ですから仕方がないですねぇ。

私が観たところでは、確かに既視感があると言えばあるのですが、あまり気にはなりませんでしたね。
全く立場の違う人物が、お互いの立場、境遇に悩み、共感し、友情に近いものを育むっていうパターンは、ままある話です。
曰く、看守と囚人、敵同士、別の国の友人同士、警察と犯人などなど。

設定もガバガバどと言う批評もあったりしましたが、この辺も特に違和感はなかったです。
いや、ツッコミどころが全くないかっていうと、勿論そうではないのですが、見せ方で「ふーん」と思わせ(錯覚させ)るぐらいの説得力はあったという事です。

この作品、観ていると、イメージが出来ればできるほど、辛く、きつく、悲しみが襲ってきますよね。
この時代に、よくこの手の作品をアニメ化できた(しようとした)ものですね。
差別、命の価値、使命、戦争の是非、様々なテーマが含有されています。
ただ、あにこれでの感想を観てみますと、私と同様、または近い形で、この作品を受け止めておられる方も多く、頼もしく思いました。


昨今の日の本のとある国では、
戦争=悪、いけないもの、許されないもの
命=絶対大事、最優先、地球よりも重い
的な考えが「絶対正義」とされておりますが・・・。

※もちろん、私も「戦争」なんか無い方が望ましい「絶対!」
「命を大事に」=「そりゃ、基本的には「正しい!」人の命も大事にするから俺の命も大事にしてくれ!!と思っていますよ、勿論。

ただね、これもある意味、ある意味ですが「思考停止」っていうね。

政治学を勉強したものからすれば「戦争」は状態であって、外交の一手段であって、当然、想定をしておかなければならない事態な訳で、「考えることもダメ!」「こうなった場合どうするかなんて、考えなくていい!!」なんていうのはお花畑もいいところ。
「ある意味、戦争は起こさなくても、起こるもの、巻き込まれるもの」という考えがノーマルなんですよ、実際は。

ああ、またいらないことを語ってしまった。

ただ、この物語にあるように、どうしても絶対に回避できないような状況になってしまって、何もしなければ、愛する人、友人、知人が巻き込まれて○んじゃう、みたいな時。
それを、回避したり、遅らせたりできる状況にあなた(俺)がおかれたら・・・、戦う決断をした人に「戦争は悪、命が大事」って投げかけてどうなるものか・・・。
とかね、イメージして観たわけですよ(ビョーキですか、そうですかw)

ま、こんなこと書くと、特定の思想に捕らわれているような印象を持たれてしまうかもしれませんが、まぁ、頭の体操っていうヤツは大切ですよってことでwお許しください。

あ~これ以上色々と書くと差しさわりが出そうなので・・・。

私的に、

物語は、硬派でシリアスで良い、ちょっと(ではないが)辛く、苦しく、切なく、哀しい雰囲気もあるが、大人が楽しめるアニメとして高い水準。
(楽しめるというところに、多少の違和感はあるが、この物語をエンタメとして見れている時代と環境に感謝しようか)

作画は、高いレベルと言ってよい。大人の視聴に耐えうると思う。一部の戦闘シーンは印象に残る。暗いシーンでも戦闘状況がわかるので良かった、たまに何やってるのかさえ分からないものもあるしね。

声優は特に悪い点は見受けられなかった。

音楽は、これも大人な感じでよい。差し込まれるポイントも物語の演出としてよく機能していたし、楽曲もいい感じ。
ちなみに、タイトルバックを差し込むポイントも工夫が見えて印象深かった。

キャラクタは個性が見えて、多彩でよかった。
線もシャープだし、クリアで好みだった。
若干、幼顔に振っているキャラもいたし、美形に振っているのはもちろんなんだろうけど、ここはアニメだし、許容できるかな。
美人さんが多いと景色もよろしいし、華やかだしね。(←ヤバいかな、この発言は、アニメ作品の「演出」としてのお話です。茶色にもいい所あるけど、色としては赤の方が華やかですよねーwって程度の話ですよう、いやだなぁw)


さて、最後に・・・。
印象に残るカッコいい名言がありました。

「明日死ぬからって、今日首くくる間抜けがいるかよ。死刑台に上るのは決まってても、上り方は選べるだろってそういう話だ。俺たちは選んで決めた。後はその通り生き延びるだけだ」

いいですねぇ。
ひねくれたツッコミを入れようと思えば、入れれるのですが、そのまま受け止めるのが吉です。
うーん、やっぱりカッコいい。
このマインドは結構大事、リアルでも役立つかもしれません!!


どうやら、2021.10~第2期があるそうで、私的には楽しみです。
この後、どういう展開が待っているのやら。
ものすごく、シンプルに楽しみにしています。

この作品も、合う、合わないの振れ幅が大きい作品かもしれませんが、きっと多くの方の視聴に耐えうる作品だと思いました。
機会がありましたら、是非、ご覧くださいませ。

投稿 : 2024/03/23
♥ : 24
ネタバレ

テナ さんの感想・評価

★★★★★ 4.1

外側で戦う少年少女と内側で戦う少女

この作品は内容が結構重いです。
何から書けば良いか上手く纏まりませんが、順番に。

作中に出てくる、サンマグノリア共和国……この国……控えめに言って腐ってます……

まず1つ。
この国では差別があります。
壁の中に住む者達と外に住む者達。

壁の中は平和です。
毎日好きな場所へ出掛けて、好きな物を食べて、好きな事をしている。

壁の外は戦う以外の選択肢はない……1秒後に……1分後に……明日、明後日、自分が仲間が死ぬかもしれない。
それでも戦い続ける86と呼ばれる者達。

壁の中はそんな人達の努力と犠牲の中で成り立っている平和……サンマグノリアは、その為に差別で86と呼ばれる人を追い出して、戦わせている。

壁の中では、今日の戦いの犠牲者は0でしたなんて幻想で真実を隠して、真実を知る者は人が命を落とした事に、無関心であったり、ゲームの様な楽しみ方、命を失うのを見て笑う人まで居ます。

これを見た時、私は、この人達は本当に人間なんだろうか?と思いました。
自分が守られてる事にすら気づけないお花畑の頭な上に、人が死んでいるのに、何も感じないの?と思いました。
その犠牲の上にある平和が続いているのは彼らのお陰なのよ?って…………

でも、こんな腐った人達の中に救いがありました。
レーナ……彼女はサンノマグリアの軍人。
彼女は86の真実を知り、それをどうにかしようと考えて動いている人です。

{netabare} でも、周りの人達は変わろうとはしません。
レーナの話を真面目に受け取ろうとしません。
1番ショックだったのは86を人間とすら思っていないこと…… {/netabare}

戦死者0は無人機が戦っている設定。
{netabare} 国の人達は、戦死者はいないと言う……何故なら……壁の中にいる人は人間で壁の外にいるのは人間じゃないと本気で思っている。
だから、戦死者0なのです。
86は無人機が搭載する補充の効くパーツと変わらないと考えられています。{/netabare}

正直、凄くムカムカしますね!
更に、レーナは軍人達の間で戦死者0の裏にある残酷な真実を告げますが、それを聞いた彼ら彼女らの言葉にはショックでした……レーナの言葉は何一つ伝わらない……

でも、レーナは負けません!
{netabare} 彼女は86の理解者で味方です!
彼女は、戦場の恐ろしさを知っている。
命の尊さを知っている。
86が自分と変わらない人間だと知っている。 {/netabare}


では、同じ国で育ったレーナと他の国民との違いはなんだろうか?
{netabare} 私の第一印象では、この国の人は腐ってる。
でも、考えて見たら悪いのは人より国の方にあるのかもしれません。

レーナに関して言えば戦場の残酷さや86に助けられた過去もありますし、それも影響があると思います。

ただ、それ以外の理由も考えて見ました。

産まれた時から、86は人間ではない、差別するものだと、社会が学校が……親が先生が大人が教えているのです……彼らの中で差別は当たり前で、おかしな事ではなく当たり前の環境がそこにあったのかもしれません。 {/netabare}

だからと言って許される問題ではありません。
{netabare} それを知った上で一人一人が考える事が出来たはずなんです。
考えることを放棄し、おかしい事を疑問にすら思わない人達が、この国の人達。{/netabare}

でも、一方で、おかしい事に気づける人達がいる。
{netabare} レーナを始めレーナパパやセオトの昔の部隊の隊長などです。
彼らはサンマグノリアの人間でアルバです。 {/netabare}

勿論、彼らはアルバですが86の人を人間だと知っています。
同じ命の重みを解っていて決して見下さない。
誠心誠意で接して居ます。

でも、それが本心で偽りなくても!
{netabare} その誠意が……86には中々伝わないのです……
彼らは対等に接して居ても、86の人間から見れば簡単に信用出来ないのです!
それだけ、サンマグノリアと言う国は彼らを傷付けてきたのです…………

それが、解るから……アルバの人間は自分の想を伝え続けるしかない……86に何を言われようと受け入れるしかない……

サンマグノリアのアルバが86にしている事を考えたら、受け入れて貰えないのも解って居ても……その人達は何もしていないのに……悪くないのに……寧ろ味方なのに……こんな辛い事が悲しい事がありますか…………

でも、アルバの人間には代わりありません。
だから、受け入れるしかない……アルバの人間として…… {/netabare}

さて、スペアヘッドとレーナについて。
1個団体と1人を繋ぐのは無線です。
無線しかありません。
映像もデータ上の地形や配置マップくらいで……声しか届かない。

声しか届かない上にアルバと86は基本的には犬猿の仲みたいなものです。
だから、そのイメージが邪魔をして、スピアヘッド部隊にはレーナの気持ちが中々伝わりません。

彼女はスペアヘッドを気遣い。
戦闘の話や何気ない話をしてコミニケーションを図ろうとします。
視聴者側から見ればレーナって凄く優しくて、思いやりがあり他のアルバと比べても凄くいい子だと解ります。

でも、スピアヘッドの皆から見たらどうでしょう?
{netabare} 声しか聞こえない……無線機を切った後には悪口を言ってるかもしれない、バカにしてるだろうと思うと思います。
それだけに、信頼関係を結ぶのは大変な事です。

私が印象に残るエピソードが、スピアヘッド部隊のカイエが戦死する話。
レーナは彼女の死を「残念でした」と言います。
でも、この言葉にセオトが、ぶちギレる。

仲間の死をアルバ(レーナ)が「残念」だと言う……彼女は決して簡単に口にした訳じゃない……お互いの顔が見えていたら、もしかしたら拗らせなかったかもしれない言葉のズレ……

きっと、スピアヘッドの面々は……言われて来たのでしょう……心がない偽善の言葉を。
だから、レーナの言葉も信用出来なかった。
上辺で言ってるようにしか聞こえないのです。

スピアヘッドからすれば当然です。
偽善にしか聞こえない……私なら、そんな言葉を並べるくらいなら、本当に少しでも苦しみが解るなら、この状況を何とかしてって思いますもの………… {/netabare}
でも、レーナに当たっても何も変わらない。

レーナの思いやりが伝わるのが、和解のエピソード。
セオトも自分が言い過ぎたと反省する。
このシーンって凄く救いのシーンなんです。
きっと、心無いアルバの人が相手なら反省しなかったと思います。

反省したって事は、少し……それは本当の本当に少しだけかもしれない……それでもレーナの本心が間違えなく伝わっていたんだって私は本当にそれを感じる事が出来ました。

ライデンは謝罪します。
{netabare} レーナの事を裏で偽善者のブタだとバカにしていた事を……それは少なくともレーナは、これまでのアルバの人とは違うと、解ったから……これは本当に大きな進歩です!

仲間にも友達にも、まだなれなくても……それが解って貰えた、それだけで心は救われる。
信頼関係ってそうして積み重ねていく。
世界一小さな信頼は世界一大きな一歩。{/netabare}

そして、「黒羊」がやってくる。
レーナは死者の声を聞いてしまう。
そして、黒羊の残酷な真実。

実はレーナがスピアヘッドを担当する時にハンドラーを壊すと言う話を聞かされて居ました。
担当したハンドラーは退役申請、担当変更、自殺をする者がいる。

私は、死霊の声を聞いた人を情けないと思いました…………
{netabare} 退役?担当変更?自殺?
何……それ?……だって……気づいたんでしょう?

86と呼ばれる人達の苦しみを!
辛さを悲しみを!聞こえるのが何なの?
戦場で無念に死んでく辛さが、死霊の声が聞こえる戦場の人達が1番怖いし苦しいのが……分かったのでしょう

なのに……真実に目を背けて、自分達は逃げるの?背を向けずに戦う86の人々が戦ってくれてるから実現してる平和に縋りついておきながら、自分が恐怖を感じたからって、怖い事に目を背けて誰かに恐怖と苦しみを押しつけて、退役して部隊変更して逃げられないから、最後は自殺……

動いてよ……それなら……1人の人間に出来ることなんて、限られてるけどさ……それでも動いているよ……間違えなく現状がおかしいと気づいてる人もいるのに……1人でも多くの人が声をあげれば変えられる事もある……小さな力でもあつまれば何かを変えることも出来るかもしれないのに…………逃げ出すなんて卑怯よ……情けない…… {/netabare}

この世界では2年ほどでレギオンとの戦争が終わり勝利すると言われていたようですが……

{netabare} スピアヘッドの隊長のシンは、それは間違えで86を含めたアルバ達も敗北すると言います。

そして、86が全滅したら次はアルバの全滅ですが、シンが言うにはアルバだけになると戦いを放棄したアルバは戦えないといいます。

当たり前です……当たり前なんです……武器を取らずに生きて来た人達が明日いきなり戦えと言われて戦えるほど甘くは無い……

正直、それくらいしないとサンノマグリアの人間は国は解らないと思うのです……
だから、そうなれば少しはこの救えない国は学ぶと思う……それくらいの事が起きないと変えられない……私なら少なくともそう考えちゃう。{/netabare}

でも、シンとレーナは必ず勝とうと約束する。
この2人は本当に強い。

そして、86の優しさを感じるエピソードがあります。
{netabare} レーナはスピアヘッドの人員補給が必要だと各部署に資料を送るも返答はない。
でも、レーナの要求する人員補給が準備されていると聞き彼女は喜ぶ。
私も、やっとレーナの気持ちを少し解って貰らえたと思ったのに人員補給の真実は酷かった。{/netabare}

でも、86は知っている。
{netabare} 人員補給は来ない。
スペアヘッドが処刑場である事をレーナに伝える……
でも、86はレーナを傷つけたくなくて、期待しているフリをする。
そこにレーナを思いやる優しさを感じます。

それでも最後は真実を明かす。
そして、それでも復讐しようとはしない。
何故なら、86はアルバの人が全員が悪ではない事を知っている。
彼らの戦う理由と意味がしっかりある。
戦いを放棄するのは、今まで守ってきた人達の犠牲が無駄になってしまう。

86は、アルバ事を含め自分達の事もよく考えています。
だからこそ復讐じゃなく戦う茨の道を行く。
そこには、彼らの優しさと強さを感じました。
本当に素敵です。 {/netabare}

レーナは真実を知って怒りと絶望を感じる。
そこで、救いを求めたのは親友のアネット。
でも、彼女の言葉は酷いものでした……

{netabare} アネットは実はシン兄弟と知り合いで、友達だったから虐めにあった……それが辛くてシン達を拒絶した……
そうして、レーナの事も同罪と言い放つ。

そうしてアネットは「アンタが余計な事をして長生きさせたからソイツらは死ねって命令されたんでしょう」と言います。

このセリフは本当に頭にきます。
レーナは何一つ間違えてはいません。
それだと、死ぬしかないじゃないですか!
誰かに死なないで欲しい、死なないで欲しいから行動をしようとするのは余計な事でしょうか?{/netabare}

でも、結局、アネットは怖かったのだと思います。
{netabare} 自分は拒絶して86を見捨てて、彼ら兄弟だけでも助けようとした父に反対する選択肢しか出来なかった。{/netabare}

逆にレーナは見捨てない。
{netabare} ずっと、1人で立ち向かい諦めずに戦い続けて上層部に掛け合い意見し、犠牲を出しながらも全滅回避に成功した。

アネットからすれば同年代の同じ1人の女の子が、ここまでの事をしているのです。
自分には何一つ出来ずに見捨てると言う選択肢しか出来なかったアネットからすれば、自分が情けなく感じたのかもしれません。 {/netabare}

だからこそ、レーナの言葉や行動に心は締め付けられてゆくのかもしれません。
{netabare} 酷い言葉を浴びせて必至にレーナも私と同じなんだよって自分に言い聞かせて、レーナに言い聞かせてる……

それでも、気持ちの変わらないレーナから逃げ出して「もぅ、会いにこないで」の逃げの一言……現実から逃げ出したのだと思います。{/netabare}

一方、最終司令でシンは兄の亡霊と対峙します。
シンは亡霊になったお兄さんを救いたかった。
でも、兄もシンを救いたかった。

{netabare} お兄さんの救いは明確に解りませんでしたが、守りたい気持ちは伝わりました。
戦いの中でシンが他の機体からトドメを刺されそうになった時、攻撃から守るシーンがあります。

シンは、それを「殺すなら自分の手で……か……」と解釈をしましたが、私は単純に守りたかっただけに感じました。
殺し合いをしているのですが、兄はシンに殺すとは一度も発言していなかったからです。

亡霊の兄の表情が殺意と苦しみに歪むシーンが有りますが目を見てると、本当は殺したくないのかな?と思える目をしていたように感じる部分があったからです。

兄の回想にもシンに酷い言葉と暴力を振るうとは裏腹に心の声は自分の言葉の全てを否定して心はシンを守ろうとして居たってのも理由の1つです。 {/netabare}

この戦いでレーナは視覚共有を使います。
{netabare}視覚共有はハンドラーに失明の可能性があるらしいのですが躊躇なく使います。

更に許可のない命令違反覚悟の迎撃砲

それに対してレーナは86が気にしないように言葉を伝える。
私は、これはレーナの覚悟だと思います。
言葉や地図でのナビゲーションならハンドラーなら当たり前に出来る。 {/netabare}

でも、そうじゃない。
{netabare} それ以上に皆と一緒に戦ってるんだよって覚悟の現れ。
彼女は補給を要求する時に「私達の部隊」と言っていました。
「スピアヘッド部隊」ではなく「彼らの部隊」でもなく「私達の部隊」

自分も仲間の一員である覚悟を感じます。
そして、この行動こそが、その証明。 {/netabare}

で、レーナがシンの兄に不発弾を撃ち込むシーンで、小さい頃のレーナがビンタをするシーンがありました。
{netabare} このシーンは、過去に助けられたレーナが、次はレーナからの救いのビンタ……弟を殺したくないのに殺そうとする兄への救いの一撃。
本当に助けられ保護して生かしてくれたから……感謝してるから打ち込める優しい一撃だと感じました。 {/netabare}

実はレーナは親友であるアネットに協力させていました。
{netabare}それは脅しですが……これには優しい理由がある気がします。

1つは今まで見捨て続けたアネットへのチャンス……見捨てた幼なじみは生きている。
アネットは、見捨てた事を少なからず後悔していました。
なら、その幼なじみを救うチャンスを与える……見捨てたまま気に病んで生きるか……救って貴女だって救えるんだよって伝えて、少しの償いと勇気を与える……

2つ目は脅し。
2人で協力すれば2人は命令違反で罰を受ける……でも、レーナが脅してアネットを従わされたのなら……罪はレーナだけが被れる……アネットは罰を免れるか軽くなる。 {/netabare}

それがレーナの言葉と行動に隠された優しさだと思います。
否定されても罵られても、やっぱり大切な親友なのかな?って。

そして、戦いの後……
{netabare} 沢山の罰を受けようと失明を覚悟してでも生きて欲しかった仲間達……
自分の命令違反よりも失明なんかよりも優先したかった仲間の橘……

彼らは勝利の後にレーナと言葉を交わして楽しそうに旅に出る……彼らの言う自由になるの本当の意味……
レーナの「待って……待ってください……置いて行かないで!」

凄く切ない……勝利で喜びを分かちあって居たのに……その先の……彼らの選択……凄く楽しそうな会話には未来への希望…… {/netabare}

シンの最後のセリフ「少佐、先に行き(逝き)ます」
レーナは間に合うはずもないのに走り出す。
そうして、外へ出た彼らはレーダーから消え去ったる……レーナだけを残して。

外へ出た彼らは凄く楽しそうに生きていました。
{netabare} 伸び伸びしてるように感じました。
生活は裕福ではなく不便で大変なことの方が多いと思いますが心は清々しいと言いますか。{/netabare}


そして、ファイドの記憶(メモリー)
この子は、見ていたら凄く可愛くて心があるのかな?って思います。
仲間想いで優しくてシン達の必要なものを探してくれたり。

ファイドの記憶を見ているとファイドは皆の人気者の様な子かもしれませんね。
皆と喜びを分ちあって。
沢山の人が人の様に接してくれて、楽しい事や嬉しい事、悲しい事やら沢山の言葉と笑顔を記録して……ファイドの記憶を見るとファイドは本当に皆が好きだったんだって解る。
そして、シンが大好きなんだって。

ファイドの視覚レンズから液体が流れているシーンがあります。
{netabare}涙を流してる様に見えるだけなのか涙を流しているのか……私には、泣いてる気がします。
最後の焼け野原の大地でファイドが見たメモリーはファイドの幸せで楽しくて大切な記憶。

でも、泣いたのは壊れるのが嫌とかじゃなくて……あんなに楽しい時間を共に過ごした仲間が減ってしまった事に涙したのかな……って思いました。
それとも、シン達を残して壊れちゃう事が心残りなのか…… {/netabare}

さて、シン達は廃校に辿り着きます。
これは、少し切なかった。
{netabare} 廃校で学生の様に振る舞うけど……この子らも普通に生活してたら学生生活を楽しんでいたんだろうなぁ〜って。
そんな普通が当たり前にあったはずなんだよなぁ〜って。{/netabare}

道中……シンは敵を発見します。
{netabare} 機体は1機しかなくて当番制で乗っている人が戦う約束でしたがシンが優しい嘘で戦いに出ます。

それは仲間を守るため。
シンの立場ならそうすると思う。
生きて欲しいと思うから……でも、それは仲間も同じでシンに戦わせて逃げるなんて出来るわけもなくて……

結局、皆が来ちゃう……
機体はないから銃1つで……それで勝てるハズがなくても……
シンは「馬鹿だなぁ〜そんな武器でレギオンに勝てるわけない」って言う。
馬鹿だ馬鹿だと言うけど……

多分、私はシンの立場だと、そんな馬鹿が嬉しいかもしれない……死んで欲しくはないけど……それでも一緒に最後まで居て駆けつけてくれるのは幸せだと思います。{/netabare}

一方、レーナは最前線に視察に来ます。
前回の命令違反は謹慎処分で、時間が出来たので訪れた。
彼女は見てみたいと思ったのでしょう。
スピアヘッド部隊が過ごし生きたその場所を……

そこでレーナは彼らのメッセージを受け取ります。
{netabare} で、ファイドが記念撮影で撮った写真が同封されていてレーナはそこで初めて彼らの顔を知る。
レーナの口元が移されて涙を流すシーンがあるけどそれだけで泣けちゃう。{/netabare}


「いつか俺達が行き着いた場所まで来たら花でも備えてくれませんか」
シン達のメッセージを受け取ったレーナもまた。

{netabare} 「私もまた歩んで行ける。彼らはそう信じてくれた。
戦おうこの身の命運尽き果てるその最後の瞬間まで」と決意します。 {/netabare}

シンはどこかで無事でいる事を信じて自分に出来る全力で戦う決意をする!

86は10月に2クール目が放送らしく、これはかなり楽しみですね。

シン達は生きてるのか?死んでるのか?
レーナは、これから救いようのない国を世界を、どう変えて行くのか?
楽しみです!(ˊo̴̶̷̤ ̫ o̴̶̷̤ˋ)

投稿 : 2024/03/23
♥ : 27

81.8 2 人種差別で復讐なアニメランキング2位
進撃の巨人 The Final Season(TVアニメ動画)

2020年秋アニメ
★★★★☆ 4.0 (480)
1975人が棚に入れました
「その巨人はいついかなる時代においても、自由を求めて進み続けた。自由のために戦った。名は――進撃の巨人」ついに明かされた壁の外の真実と、巨人の正体。ここに至るまで、人類はあまりにも大きすぎる犠牲を払っていた。それでもなお、彼らは進み続けなければならない。壁の外にある海を、自由の象徴を、まだその目で見ていないのだから。――やがて時は流れ、一度目の「超大型巨人」襲来から6年。調査兵団はウォール・マリア外への壁外調査を敢行する。「壁の向こうには海があって、海の向こうには自由がある。ずっとそう信じてた……」壁の中の人類が、初めて辿り着いた海。果てしなく広がる水平線の先にあるのは自由か、それとも……?エレン・イェーガーの物語は、新たな局面を迎える。

声優・キャラクター
梶裕貴、石川由依、井上麻里奈、下野紘、小林ゆう、三上枝織、谷山紀章、細谷佳正、朴璐美、神谷浩史、子安武人、花江夏樹、佐倉綾音、村瀬歩、川島悠美、松風雅也、沼倉愛美、増田俊樹
ネタバレ

ぺー さんの感想・評価

★★★★★ 4.4

大義名分で舗装された道

原作は途中から控えたMEN
1クールにしてはボリューミー全16話です。
※以下3期までのネタバレは隠してないのでご注意を。


エレンたちが海に辿りついてから4年。太平の世が終わりエレンのおかんが食われて9年後の世界。

本放送中に原作が完結したりいよいよか!な〝FINAL”と銘打ちながらまだまだ続きがあるようです。
放送時期毎に感想書いてるとネタがつきてくるもんですが、そうはならない数少ない作品。毎度新たな一面を見せてくれ、それでいて一本筋が通ってるのが特長。

「あれ!?なんか観るアニメ間違えたかしら?」
{netabare}「あれ!?どちらのゴールデンカムイでしたっけ?」{/netabare}

そんな冒頭でさえ不安にならないのはひとえに積み上げたものへの信頼です。きっと回収するはず!
そんなひとつ。見上げた空に羽ばたく鳥たちのオープニングカットは1期第1話を彷彿とさせました。

「あーいよいよ完結するんだなぁ」 
「あーこのあと壁の中はえらいことになってたよなぁ」

そんなオープニングカットからの連想。前者は大河ドラマ並に重厚な物語が終焉を迎える高揚感と一抹の寂しさ。一方で後者が示唆するものはやや不穏。1期で壁内人類を襲った悪夢の再来です。
そうしてFinalseasonはお馴染みの面々抜きで海の向こうの国〝マーレ”側の視点から幕が開きます。ひとまず此度の16話をまとめるなら

 〝16話分のキャラ回”

1クール群像劇なら6話~8話あたりで適宜挿入されるアレ。キャラ評価の逆転を狙う目的なら終盤10話あたりまでと何処にでも挿入可能性あるアレ。敵味方問わず登場人物たちを深掘りし物語に深みをもたらすアレをまるまるやっていただいた印象。
思えば主人公エレン(それとアルミン)の原動力は〝駆逐してやる!”と〝璧外への憧憬”の二つ。憧れを象徴する台詞が「海を見たい」だったと思います。海をイタリア語で〝マーレ(Mare)”と言いますが、そんな海を冠した壁内人類との因縁浅からぬ国と対峙するぞ!というところで3期は終幕してました。
おさらい兼ねて駆け足で振り返る59話↓

 第1期(#01-#25) 人類対巨人の絶望的なパワー差でも抗う人類の意志を描き
 第2期(#26-#37) 絶対真理と思っていた『打倒巨人』の前提に揺らぎが生じ
 第3期(#38-#49) 揺らぎや萌芽が形となって壁内の人間同士の争いへと発展
 第3期(#50-#59) 明かされる世界の仕組み。壁内人類の災難はマーレ起因らしいことが判明
 第4期(#60-#75) 今ここ

そのままマーレを敵認定した組み立ても成立したでしょうがそうはしません。キャラ回をあっさり1話ちょっとで終わらせず、新キャラも順次投入し厚みを持たせていました。代表はガビ♀とファルコ♂の四月に嘘ついてそのうち神様になりそうな実力派声優コンビで息もぴったり。

 戦争は対峙する両者がそれぞれの正義を掲げ絶対的な善悪など存在しない

散々言われてきた使い古されたモチーフです。善悪二元論に傾かない最近の例で超絶ヒットした『鬼○の刃』でも鬼側の事情を丁寧に描くことに奏功してました。

そこに良い意味でえげつなく足を踏み込んでるのがこのFinalseasonではなかったでしょうか。単に相手側の事情説明に終わっていないのが良い。
対立してる二つの視点を擬似体験させる手法が徹底しているため、今目の前で繰り広げられてることや向けられるセリフ随所に〝かつての○○と同じ”フラッシュバックする場面わんさか。その意味ではガビ&ファルコはニコイチでかつてのエレンと見立ててました。死にたがり野郎成分多め「駆逐してやる」状態エレンを担当するのがガビ。その対極、勘はいいけど思慮浅めで戦士適正が低い落ちこぼれエレンなファルコ。


明かされていく伏線に唸るのももちろん楽しいですが、〝かつての○○”がいちいち刺さり、その最たる犠牲者!?ともいえるライナーが第1話(#60)声優紹介のトップを飾っていることがなによりのメッセージかと思われるFinal前半でした。
ただの知識でしかなかった善悪の曖昧さを疑似的に体験できる貴重な経験を得られるかと。文科省推薦にして夏休みの課題アニメにしたらいいと思います。
善悪に関する哲学的な思考。歴史観。各々の価値観次第でなにかしら引っかかるものがある傑作なことは言うまでもないでしょう。



※ネタバレ所感

■仕方なかったってやつだ

{netabare}「尊敬してたのに」とエレンを面罵するファルコ。昔同じこと言われたライナーの表情が蒼ざめる。
「友達だと思ってたのに」と姉の仇ガビに憎しみをぶつけるカヤ。そりゃそうなのです。

「人類を救うためです」シャーディス教官に答えた若き日のライナー。そう!人類を救うためなのよ。

パラディ視点で始まったこの物語は100年続いた安寧をマーレ側が破ったことが発端。抗戦の大義名分ありまくりです。
一方世界からみればパラディ(壁内エルディア人)は長年巨人使って残虐行為の限りを尽くしてきたわけで、それが辺境の島に残存戦力抱えて逃げ込んだ挙句〝地ならし”なんて切り札持ってる連中から「平和を望んでいる」と言われたところでそんなん信じられるか、ボケ!ってのは頷ける話です。

作者の性癖かもわからん。悉くブーメランがライナーに刺さるのが痛ましいのであります。
そして信じてたものが切り崩されてく絶望というものをガビとファルコが受け止めてくれました。おかげでガビの心がガビガビに…(自粛){/netabare}


■まあそう思っちゃうよね

ワルシャワのゲットー(跡地)をほっつき歩いた経験から、居住制限区域が対ユダヤ人のそれに見える。
{netabare}その前提に立つと、腕章での住民ラベリングやちょび髭の閣下風なあの人の登場だったりで、国家マーレにおけるマーレ人とエルディア人の関係はゲルマン人(アーリア人)とユダヤ人とのそれですわな。
密告社会だし、少年兵はヒ○ラーユーゲントだし、ヴィリーダイバーの真実の中に適度に嘘を散りばめた演説がゲッペ○スのそれにも見えるわけでして。

ドイツ人これ観てどう思うんだろ?{/netabare}


■そしてこんな風にも見えるよね

『山河燃ゆ』って大河ドラマをアメリカで放送した時、現地の日系人から猛烈に抗議を受けたそうな。どんな内容か?
{netabare}原作は山崎豊子の『二つの祖国』。その名の通り、大東亜戦争時の日系人の葛藤を描いた意欲作。
それで猛抗議する日系人の事情も配慮しないとですよね。アメリカ人として日本のことなど全く考えもしないという姿勢を見せないと移民国家では悲しいかな生きていけないのです。

被差別民族の忠誠心競争も、そんな彼らを地雷原や最前線に送り込むのもよくある話。
冒頭の戦役は203高地攻略っぽいし、エレン派のクーデターは二・二六事件になぞらえることも可能です。エルディア人=ジャパニーズ説。だいたい鎖国してる島国に列強が襲ってくる図式なんてまんまそれに見えなくもない。{/netabare}


ドイツにせよ日本にせよまたそれだけに限らず、歴史の表裏や機微を上手く表現してるからどの歴史にも代入できるんでしょう。外人さん政治/歴史大好きだから海外でウケるのには納得しますわ。

{netabare}始祖の巨人奪還作戦も示唆に富む気がします。始原への執着は宗教戦争に発展するわけで…
ユダヤ・キリスト・イスラムと聖地エルサレムを巡る三すくみの例は言うまでもなく、人類の始原をアーリア人(インドヨーロッパ語族)とすることで優秀なアーリア人とそれ以外はオマケと見做す選民思想に酔ったハーケンクロイツな面々なんかそうでしょう。これは麻薬にも似た誘惑があるのか、隣国からナンデモ起源説が無くなることもありません。

 優れた我々のルーツ

合理性とは異なる尺度で争いは始まります。2000年単位のエルサレム界隈では対処するための知恵を蓄積してますが、うしろ二つは歴史の長い文脈でいえばまだまだ若い。
始祖マンセーな歴史と最終兵器としての〝始祖の巨人”とでは厳密には話は異なりますが、〝ルーツ”を争いの元としてる点が一つのメッセージのように思えるのでした。{/netabare}



■オマケ

1.制作会社変更
私にはあまり違和感なく移行できてるように見えました。
{netabare}ただピークちゃんのデザインがなんとなく伊藤潤二氏の漫画に出てきそうな見た目だったのが残念。{/netabare}

2.道半ば
2021秋からスタートするクールで完結するらしい。。。
{netabare}まだまだどうなるかわからんですね。いったん地ならししないと収まらん気がします。エレンがミカサやアルミンら守るために偽悪を演じてる可能性も捨てきれず。それで次世代への継承みたいな感じでファルコやガビが新たな世界を歩んでいくような。いずれにせよエレンの未来は暗そう。{/netabare}

3.楽園
イタリア語でもう一つ。楽園を〝パラディソ(Paradiso)”言いますもんね。
{netabare}囲われた島パラディが楽園というのも皮肉が効いております。作中でも罪を犯したエルディア人にお注射ちっくんして島に置き去ることを『楽園送り』と称してるあたり、楽園は薔薇色ではないんですよね。{/netabare}


 地獄への道は善意で舗装されている

ポジティブさの裏に潜む地獄。作中用語であれば〝善意”を〝仕方なかった”に置き換えればよい。



視聴時期:2021年1月~4月 地上波リアタイ

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2021.05.07 初稿
2022.02.27 修正

投稿 : 2024/03/23
♥ : 41
ネタバレ

かんぱり さんの感想・評価

★★★★★ 5.0

ただただすごい!

原作は昔1巻だけ読みましたがほぼ未読です。

3期(~59話)まではWIT STUDIO制作でしたが、今期はMAPPA制作に変わりました。
制作会社が変わると雰囲気などが変わる作品が多いので、大丈夫かなと心配しましたけど皆さんの評判が良いみたいなので、ちょっと期待しながら視聴を始めました。

これはすごい!
様々な謎の提示とそれが徐々に明らかになっていくところももちろん面白いんですが濃密な人間ドラマも丁寧に描かれていて、見終わった直後の感想は「ただただすごい!」でした。

いきなりマーレと連合国との戦争シーンから始まりちょっと面食らいますが、マーレとそこで生きるエルディア人を最初に丁寧に描くことで、それが後ですごく効いてきます。

今までずっと攻められていたパラディ島の人々が{netabare} ついにマーレを攻撃する{/netabare}展開は、3期までしか見ていないのならカタルシスを得られる展開かもしれませんでしたが、前記のとおりマーレでの人々を丁寧に描くことでもっと深みのあるドラマになっていると感じました。

エリンがライナーに語った「お前と同じだよ」という言葉が重いです。

そして67話。悲しすぎる。
サシャも、 {netabare}ライフルを撃った{/netabare}ガビも・・
70話で{netabare}逃げたガビたちを迎えてくれた一家がサシャの実家だったという展開、そしてマーレから来たと知りながらも友達になってくれたサシャの妹のカヤが、サシャを殺したのがガビだと知ったとたん、憎しみの表情を浮かべてガビを殺そうとする {/netabare}展開など、色々と考えてしまう目の離せない展開が続き、そしてやるせない気持ちになりました。

ほかにも、{netabare}ジークの裏切り、そしてエレンの離反と、{/netabare}先の読めない展開が続いてあっという間の75話。
名作だと思います。

続きのFinalパート2が今冬予定ということですが、今からとても楽しみです!

投稿 : 2024/03/23
♥ : 27
ネタバレ

fluid さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

4期はエレン達が悪人に見える演出、お互い憎しみ合う展開に目が離せません

4期は敵の視点から始まる展開ですね。見たかったエレン達がまったく登場しないのでガッカリしましたが、5話あたりからエレン達が出て来てかなりおもしろくなります。

エレン達がまるで悪人のように見える展開。何が正しいのか分からなくなる演出ですね。敵にも共感できるしエレン達にも共感できるし。お互い憎しみや正義を抱えて今後どんな展開になるのか目が離せません。敵の視点で見せられ続けたのは5話以降の展開をより一層楽しませるためのおぜん立てだったわけですね。毎週次の1話が楽しみです。

1話~は、敵にも敵なりの正義があって、そうせざるを得ない理由とか、穏やかな日常とか、守りたい人とか、片思いとか。見たかったものとは違ったけど、これはこれでかなりGood。

でも敵が正しく見えたり、味方が悪く見えたりする演出って評価が分かれますよね。好きな人物が悪人に見える演出なので、おそらく子供のころに見てたらすごく嫌な感じがしたと思います。でも、表裏の無い人間なんて存在しないと今なら分かるので、むしろ共感できます。絵の中の人物が本当に生きているかのようなリアルな感情描写に引き込まれます。感情の複雑さが素晴らしい。

これ見てると1期のときのアルミンとアニの「良い人」についての会話を思い出しますね。アニ「私がイイ人に見える?」→アルミン「その言い方は好きじゃないんだ。自分にとって都合のよい人をイイ人って呼んでるだけの気がするから。すべての人にとって都合の良い人なんて居ないと思う。」
アルミンはさすがですね。見る人が変われば善悪も入れ替わるあいまいな概念であるということをしっかり理解している。でも、理解してるからと言ってお互いの憎しみやしがらみが無くなるわけじゃないですし。その永遠に解けない謎かけの答えをエレン達が見いだせるのかどうか。4期は激しくぶつかり合いながら、どこに落としどころを持っていくのかがとても気になりますね。

■1話、戦争
見るアニメ間違えたかな?という感じで始まる戦争シーン。
どこの国なのか過去なのか未来なのかも分からない。1話目はずっとこの状態。なんじゃこりゃ。
3期の続きが見たかった人からすると期待外れかも。

■2話、敵の日常
子供たちの成長をまじえて描かれる日常に少しずつ引き込まれていきます。
まるで幼い頃のエレン達のような。重なって見えますね。上手い演出です。

■3話、敵の目的
敵はなぜ壁を壊しに攻めてきたのか。敵の視点で描かれる回想シーン。
そして一番最後に登場する人物が、一目見た瞬間あれ!?という感じで一気に高まる期待感。

■4話、敵の最高権力者が登場
一番えらい人が表に登場することで敵の内部の力関係が見えてきます。
あれ?すごくいい人だぞ?頂点の人物がどの種族に対しても好意的で平和を望んでるのに、なぜこんな状況になってるのか?理由が気になり高まる期待感。そして一番最後に再開する二人。

■5話、明かされる歴史と真実
やっと3期の続きが始まったかなという感じですね。かなりおもしろい。{netabare}
エレンが冷静にすべてを見通して語る姿が大人びた感じがしますね。
敵にも戦う理由や大切な家族が居たりして自分と変わらないんだよなと冷静に語るエレン。普通なら安心できそうな会話なのに、ライナーはエレンのイカレっぷり(怒りの衝動を抑えられない)を知ってるので、引きつる表情がとても良いですね。そして善良な市民を虐殺するエレン。さすがです(笑)賢くなっても根っこの部分は変わらない。やっぱりエレンはエレンでしたね。「たぶん生まれた時からこうなんだ」と自分でも自覚してるところがウケます。{/netabare}

■6話、バトル展開
人と巨人と立体起動が入り乱れる戦闘シーン。愛着のある人物たちの活躍が見られて大満足です。
ただ、制作会社変わったせいか、戦闘シーンが3Dまる出しの安っぽい感じにグレードダウン。
以前のような神がかったド迫力の戦闘シーンはもう見られないのかと思うと残念。

■7話、バトル展開
これやばいですね。敵なのに死なないで欲しいと思ってしまいますね。どんどん敵を応援したくなります。1話~のときは早くエレンを見せてくれ、敵なんてどうでも良いから。という感じだったのに、まさかここまで敵に共感させられるとは思いませんでした。

■音楽
OP、ED、どちらも不協和音使い過ぎで気持ち悪いですね。聞きなれてくるとそうでもないけど。

■今期の評価が低い原因はおそらく
・見たかったエレン達がまったく出てこない
・初視聴だと、とても気持ち悪く聞こえる不協和音。しかも同じ音のパターンを繰り返しすぎでしつこい。
・3期以前から愛着のあるキャラクター達が悪人に見える
今期は出だしでかなり損してる気がしますね。私はかなり楽しめてますが。
悪いものの良さが分かる上級者にしか理解されない演出も多い気がします。

投稿 : 2024/03/23
♥ : 5

67.9 3 人種差別で復讐なアニメランキング3位
THE UNLIMITED -兵部京介-(TVアニメ動画)

2013年冬アニメ
★★★★☆ 3.7 (557)
3238人が棚に入れました
風になびく美しい銀髪、何かを悼むかのようにその身にまとった漆黒の学ランを着た青年……彼の名は兵部京介。
エスパー犯罪組織パンドラを指揮し、超能力者の同胞たちのために革命を起こすまで、その黒い翼は闇の空を羽ばたき続ける。
椎名高志原作「絶対可憐チルドレン」に生まれた偽悪のヒーロー・兵部京介がオリジナルストーリーによるスピンオフ・アニメーションとなって登場!
刻(とき)の運命にあらがって、無限を解き放て…!

ぽ~か~ふぇいす さんの感想・評価

★★★★★ 4.3

以前は椎名高志からギャグとエロを取ったら何も残らないと思っていましたが・・・

週刊少年サンデー連載中の椎名高志原作の漫画
絶対可憐チルドレンのスピンオフ作品です
私は原作こそ週刊連載を読んでいますが
数年前にアニメ化されたものは未視聴です
本作はどちらも全く知らなくても十分楽しめる作りにはなっていますが
チルドレン他バベルのメンツの紹介などは最小限な感じなので
どちらかに先に目を通してからのほうがいいかもしれませんね

椎名高志原作のアニメというと大分昔やっていたGS美神を思い出します
GS美神はギャグメインの作品の中にところどころシリアスな場面があって
そのギャップによってそれぞれを引き立たせるような手法でした
最近の作品だと空知英秋の銀魂なんかがそんな方向性ですね
その後の椎名作品にはあまり長く続かなかったものがいくつかありますが
基本路線は同じような感じでした

原作絶対可憐チルドレンも連載開始当初はそんな感じだったのですが
徐々にシリアス比率が高くなっていき
最近の本編はシリアスが中心で
その分不足しがちなギャグ要素を補うためか
「さぷりめんと」と題した4コマ漫画を
本編の扉絵代りに同時連載しています
ですから、今回椎名作品としては異例なくらいにシリアス路線ですが
今の原作の方向性からすれば必然だったかもしれません

話の中核になったのは大戦中の兵部と蕾を描いた原作の1エピソード
そこにアンディ・ヒノミヤと夕霧というアニメオリジナルキャラを投入しつつ
1クール分に見合うように話を膨らませた作品となっています
もともと好きなエピソードの一つでしたが
アニメ版はさらに深みが増してよくまとまっていました

最近本編の方ではショタ京介しか出てこない状態なので
久々に少佐が大暴れするシーンを見ることができたのは
色々と感慨深いものがありますね

オリジナルキャラの二人も良かったと思います
実質的に京介と同等レベルの扱いを受け
もう一人の主人公といっても過言ではないアンディ・ヒノミヤ
パンドラのあの濃すぎるメンツの中で
しっかりキャラが立っていたし格好良かったです
ただ視聴者に素性を明かすのがちょっと早かった気はしますね
もうちょっと引っ張っても面白かったんじゃないかなぁ

夕霧ちゃんはとにかくかわいかった!
クロワーゼの湯音といい東山奈央の幼女役は破壊力抜群ですね
もうこれは麻雀好きの女子高生とかスクールアイドルの妹とか
そんなのやらせてる暇があったらもっとょぅι゙ょ役を斡旋すべきだよ!

ちなみに原作の日本人キャラ達は皆
源氏物語由来の名前がついていまして
この二人もその命名規則に準拠して付けられています
夕霧は光源氏の子の名前ですし
ヒノミヤはおそらく輝く日の宮からでしょうね

この二人はぜひ本編にも登場・活躍させてほしいところです
アンディは既にサプリメントの方に出演を果たしていますし
そんなに望み薄でもないような気がしますがどうでしょうね?

単品のアニメとしてみても
スピンオフ作品としてみても
良くできた作品だったと思います

唯一の難点は声優に関して
もともと原作で持っていたイメージと
アニメで当てれらた声が合わないキャラが一人いたことです
まぁ好みの問題と言ってしまえばそれまでなんですけどね
それに今回のアニメでは大して出番も多くなかったので
それほど強くは気になりませんでした
とはいえ1期のアニメを観ようという気にはならないし
2期があっても観ないかもしれません
何しろ受け付けなかったのが主役(明石薫 - 平野綾)なんだもの・・・

投稿 : 2024/03/23
♥ : 12

けみかけ さんの感想・評価

★★★★★ 4.4

かなりキてる♪無敵のパワー♪マジでいいカンジ♪ アニメ史に刻まれるであろう【ネ申作画】が繰り広げられたスタッフ渾身の第4話は必見!

とにかく作画が凄い
10話や11話の前半を除けばほぼ完璧
今期は作画が低調な作品が多かったため特にこの作品の作画には圧倒されましたね
特に1~5話、さらにその中でも中学生になった「ザ・チルドレン」と「パンドラ」との拮抗した超能力戦(PK戦)がスピーディーに描かれる第4話はきっとこれからも未来永劫アニメ史において語り継がれるであろう【ネ申作画回】でしたよ


そもそも『絶対可憐チルドレン』がアニメ化された際も、一部回でネ申作画のサプライズがあったのですが、当時若手ながら凄腕を振るったあの田中宏紀さんがこの4話でも再び降臨してるのが作ヲタにはアツい


肝心のお話の方は設定の追加や時系列の変更、オリジナルキャラクターの登場、徹底してシリアス路線・・・
とまあ、原作や前作とは無関係な完全オリジナルであるのですが、先述の通り「ザ・チルドレン」との直接対決などどちらかと言えば絶チルシリーズをよく知る人の方が楽しめると思います


前作とは一部キャストに変更があったものの、兵部京介が明石薫と重ねる幼少期の自分が同一キャスト(平野綾)であったりと、むしろ良い方向に修正されてるのが上手い

音楽や主題歌は絶チルシリーズではお馴染みの中川幸太郎の劇伴、六ツ見純代の作詞、eyelisの作曲という組み合わせが再度実現しているのも前作ファンには願ったり叶ったり


どーにもオリジナルキャラクターでキーマンのユウギリちゃん(まじ天使)のキャラデザが「ダリアン」に似てるとか、過去編の7,8話は9話の後にやった方が良かったんじゃないのか?とか実はツッコミどころもイッパイあるのですけどもw
悲しいことにオイラの周りで誰も観てなかったのでココは強めにプッシュしておきたい作品なのです

投稿 : 2024/03/23
♥ : 14

ninin さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

声優さんが渋くてかっこ良くて

原作未読。全12話

超能力者と超能力者を排除する(利用する)者達との戦いのですね。

とにかく主人公 兵部京介の能力が凄すぎますw通常でも凄いのにさらに凄くなります。

能力の出し方の描写も良かったですね。それぞれの能力の特徴がよく出ていました。

音楽が好きですね。各場面マッチしてます。

男性キャラが多く、声も結構合ってました。カッコいい声の方ばかりでいいですね^^

原作を観るとより面白さが分かる作品だとは思いますが、この作品だけ観ても大丈夫ですね。超能力バトルが好きな方はオススメです。

OP フレーズが耳に残る曲です。
ED 男性声優陣の方々が歌ってます。
どちらもカッコいい曲です^^

今の作品は、最初から強さMAXのお話が多いですね。少しずつ強くなる作品は流行らないのかとちょっと寂しさはあります^^

投稿 : 2024/03/23
♥ : 23
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