2019年度の友情おすすめアニメランキング 53

あにこれの全ユーザーがおすすめアニメの2019年度の友情成分を投票してランキングにしました!
ランキングはあにこれのすごいAIが自動で毎日更新!はたして2024年04月16日の時点で一番の2019年度の友情おすすめアニメは何なのでしょうか?
早速見ていきましょう!

89.5 1 2019年度の友情アニメランキング1位
彼方のアストラ(TVアニメ動画)

2019年夏アニメ
★★★★☆ 4.0 (975)
3807人が棚に入れました
宇宙への往来が当たり前になった近未来で、9名の少年少女たちが惑星キャンプへと旅立つ。宇宙旅行に胸を躍らせながら出発した彼らを待ち受ける、予想外の事態とは……!?

声優・キャラクター
細谷佳正、水瀬いのり、武内駿輔、黒沢ともよ、木野日菜、松田利冴、内山昂輝、早見沙織、島﨑信長
ネタバレ

フィリップ さんの感想・評価

★★★★★ 4.4

私たちは変わることができる、そして人生は続く

アニメーション制作:Lerche
監督:安藤正臣、シリーズ構成:海法紀光
キャラクターデザイン・メイン総作画監督:黒澤桂子、
音楽:横山克、信澤宣明、原作:篠原健太

子供たちだけで惑星キャンプが行われる時代。
ケアード・ハイスクールのB5班は、
無人の惑星で5日間過ごす野外学習に出かけた。
9人の少年少女たちは、惑星マクパで降ろされ、
楽しい日々を過ごすはずだった。
しかし、彼らの前に謎の球体が現れ、事態は急変する。

集英社のウェブコミック配信サイト『ジャンプ+』で
連載された作品。口コミなどで評判が広がり、
『マンガ大賞2019』の大賞を受賞した。
宇宙という舞台、子供たちだけの冒険、
陰謀がうごめく背景、9人全員が抱える事情、
惑星でのサバイバルなど、様々な要素のある
エンターテインメント作品となっている。

原作漫画は完結しているため、
1クール12話、しかも1話と12話を
1時間ずつを使う特別編にすることで、
5巻分を余すところなくアニメ化している。
{netabare}無料開放の漫画を少し読んでみると、
原作に忠実に作られているだけでなく、
宇宙空間に飛ばされたアリエスを
カナタが助けるシーンでは、全員が手をつないで
ふたりを救助するという改変も行っている。
(漫画では、このシーンは残されたワイヤーに
戻り、それを辿って帰還している。
1度ワイヤーを巻き取って、再度、別の誰かが
助けに行けばいいなどの意見もあるだろうが、
ここは全員で手をつなぐという行為に意味があったわけで、
良改変だったと個人的には思う){/netabare}

SFの部分では突っ込みどころが多く、
アニメが終了した後にSNSなどで大論争が巻き起こり、
作者が降臨する事態にまで陥った。
ある意味、SF要素のある人気作の宿命だ。
ただ、この作品はSFを見せようとするものでないことは
明らかで、批判する人の気持ちは分かるが、
そこについて深く突っ込み過ぎるのは違和感がある。
この作品において、SFのリアリティは枝葉の部分に過ぎない。

では、どこを重視しているかというと、
9人の子供たちが抱えている問題と、
その悩みを解消するために、仲間が相手のことを
思いやり、本当に大切なものを得ることについてだ。
9人の子供たちは、それぞれ幼少期から、
大きな喪失感を抱えながら生きてきた。
旅を続けるなかで、一人ひとりが体験してきた背景を
各々が理解しながら、解決していく構成になっている。
9人もいるキャラクター全員の過去について、
しっかり語っているため、彼らが失い続けてきたものに
思いを巡らせることができる。
だから、そこから彼らが何かを獲得する様子に
カタルシスを感じられるのだ。
それがこの作品の最大の見どころだろう。

舞台装置としては、孤島の閉鎖空間での
ミステリーと同様の形を取りながら、
それだけに止まらない群像劇として、
最初から最後までしっかりとまとめられている。
{netabare}特に11話『CONFESSION』での回想から
カナタの怒りにつながる流れは素晴らしい。
カナタ役・細谷佳正の演技は、抜群の説得力がある。
反重力シューズを履いてきて、
ワームホールを飛び越すという展開からの
決着の付け方も完璧だった。
この回は、夏クールの私が観た全話のなかでも
出色の出来だったと思う。{/netabare}

9人の少年少女たちは、数ヵ月の旅の間に、
自分の支えになる原点を獲得することができた。
アストラ号で過ごした日々は、
何事にも代えがたい時間として
今後の人生の支えになるに違いない。

引きこもりや親子断絶などが、
もはや当たり前になった現代において、
子供たちの心に響く物語に思える。
ここではないどこかに行けば変われるかもしれない。
行動すれば誰かとの出会いによって、
人生が動くかもしれない。
親から愛されない境遇にあったとしても、
生きていていいのだ。

そして、人は絶対に変わることができる。
(2019年10月19日初投稿)

投稿 : 2024/04/13
♥ : 93
ネタバレ

ぺー さんの感想・評価

★★★★☆ 3.9

判別可能なキャラ達と金太郎飴的な惑星群

原作未読

漫画の評判がいいから、が視聴動機。
全12話ただし初回と最終回が1時間枠だったので実質14話分のボリュームです。
序盤はもの珍しい細谷佳正さんのハイテンション演技を堪能することから。SF興味なくともこの一点で “ 買い ” かもしれません。2~3話経過してからはBパートの引きが良く毎話楽しみながらの完走です。

ざっとあらすじ:子供たちだけでどっかの惑星で5日間自活してこよう!スケール大きめの林間学校に意気揚々と出発したらトラブルに巻き込まれて帰ってこられなくなりました的なやつです。

キャストは多め。性格ははっきりとキャラ毎に別れており、キャラ回というよりキャラパートを設けてあまり尺を使わずにさらっと紹介。それでいて不思議と名前は覚えていられました。
{netabare}みんな多かれ少なかれ境遇は一緒だよ、との本作の特徴を活かしこのへんばっさり切りましたね。英断だと思います。{/netabare}


カナタ・ホシジマ(CV細谷佳正):リーダー 十種競技選手 アツい!
アリエス・スプリング(CV水瀬いのり):天然ドジっ子に見えて意外と有能
ザック・ウォーカー(CV武内駿輔):頭脳明晰鉄面皮 キトリーと幼馴染
キトリー・ラファエリ(CV黒沢ともよ):医者の娘 フニシアの姉 基本ガヤ
フニシア・ラファエリ(CV木野日菜):最年少 キトリーの妹 パペットマペット
ルカ・エスポジト(CV松田利冴):政治家の子 僕っ子亜種「オイラっ子」
シャルス・ラクロワ(CV島﨑信長):貴族出身 なんというかムツゴロウさん
ユンファ・ルー(CV(早見沙織):国民的歌手の娘 超内向的隠れ美人
ウルガー・ツヴァイク(CV内山昂輝):教頭の息子 本人はアウトロー志向

ポリーナ・リヴィンスカヤ(CV生天目仁美):ゲスト ポリ姉


途中経過時点ではおおむね今期多かった中間層上位 ( 自分比 ) の作品という見立て。完走は苦にならずそこそこ面白いが一皮むけてないといった「惜しい!」作品の一つ。
ただしそれは物語の全容が明らかになってくるまででした。起承転結の転から加速しきっちりまとめてゴールイン!一気に観るのがいいと思います。

引っ掛かったところ先に述べとくと、全12話のけっこうな部分を占める各惑星描写についてもっとエンタメに振り切って欲しかったな~ということですかね。


※各惑星の簡易説明

{netabare}惑星マクパ:当初目的地
惑星ヴィラヴァース:最初に訪れた惑星。肉食恐竜みたいなのとにょっきーん植物が脅威
惑星シャムーア:脅威のない草食動物。毒胞子まき散らすポールツリーが脅威
惑星アリスペード:リゾート惑星。地震と津波が脅威
惑星イクリス:自転してない過酷な環境。超獰猛な可動性植物が脅威
惑星ガレム:最後の惑星。わりと平和

一覧すると、植物らしきものが脅威だよというパターンが被りヴァリエーションに乏しい。{/netabare}

いきなり遠くの宇宙空間に放り出され、かくかくしかじかで食糧の備蓄量を見据えながら惑星を中継して帰還するという一大作戦決行中の若者たちです。

 未知の惑星にどんなものを持ってくるか?

これがいってみれば想定の範囲内。観てるこちら側の斜め上をいくようなタイプの惑星が登場してたら、

 本当に生還できるのか?

SFサバイブもののドキドキワクワク感はさらに増したことでしょう。
{netabare}そしてサバイバルパートが際立てば際立つほど第9話「全容見えてきました!」回との目線ずらしが奏功してたと思います。サバイバルと見せかけてサスペンスでしたの落差で評価は爆上がりしてたことでしょう。{/netabare}


この引っ掛かり以外は気にならず、中盤までゆるやかに右肩上がりで面白くなっていくストーリーだったと思います。サバイバルという題材と+αの謎{netabare}(「裏切者は誰だ?」){/netabare}を早々に提示してくれたおかげで、なにがなんだかよくわからないまま後半に種明かしみたいな不親切設計でもありませんでした。
起承転結の構成も手堅く、転からの終盤はオチも含めて意外性と納得感のある内容。このへん詳細は本編で!

ジャンプ連載だったわりには、下手に引っ張らず撒いた伏線を回収して短くスッキリと終わらせた構成にも好感を持ちました。良作です。



■物語の構成について ※ネタバレ

{netabare}出来過ぎなくらいハッピーエンドでしたね。それが嫌らしいと感じませんでした。
物語は以下の順で明らかになっていきます。

1.アストラ号メンバーの共通項
2.刺客はこやつ
3.この世界の秘密

序盤から2.は提示されていて視聴者の興味を引っ張る材料になってました。そして2.が明らかになれば当然「どうして?」がでてくるわけで、その説明が1.と思ったわけです。
これで1クールでも充分だったと思いますがおかわりがありました。3.です。期待値の一段上をいってました。{/netabare}


■優しい人たち

これは雑感です。人間の善意を信じようという作者の意図が根底にあったのだと思います。
{netabare}・ユンファのライブ会場に押し入ろうとしたキトリーと警備員とでひと悶着。直後、隣にいたアリエスのとある報告に控えめに拍手を送る警備員さん。さっきまでもめてたのにw
・アリエスの母ちゃんに連絡を取ろうとした時に、だれも疑わなかった。普段ならご都合とか平和ボケみたいに感じたろうにこの時はクルーの絆みたいなのをより強く感じました。不思議なもんだねぇ
・ピンポイントでしか覚えてなさそうなカナタが本を執筆できるわけなかろうもん。きっと隣にいた超絶記憶力の持ち主がサポートしながら書き上げたんだろうね、と妄想。{/netabare}




■(余談)カナタのアストラ

冒頭に戻るわけですがハイテンション細谷佳正さんが個人的にはイチオシです。
アツい!とにかく勢いがあるキャラでした。そして、彼は脳筋一歩手前の絶妙なバランスで好感度を保っていると思しき立ち居振る舞いをします。行動に根拠がある。よって知性も感じる。

モデルは武井壮?と思った人他にいないかしら。

なかやまきんに君でも春日でもないんだよなぁ 
武井壮なんだよなぁ



視聴時期:2019年7月~9月 リアタイ視聴

-------


2019.09.20 初稿
2020.04.07 修正

投稿 : 2024/04/13
♥ : 78

〇ojima さんの感想・評価

★★★★★ 4.7

ボッスン(スケット・ダンス)の宇宙物語

原作既読でした。
なので物語もわかっていましたが知ってても楽しめる作品でした。
でも、内容を知らない方が格段に楽しめますので、是非ネタバレ情報なしで楽しんでください。この作品、一気見タイプです。

設定は未来の高校生8人と10歳1人の計9人で惑星に行ってキャンプをするようです。
主人公はカナタ・ホシジマ。
運動能力とサバイバル能力に長けています。
どうやら他の高校生達も能力に特徴があるようです。。。


原作者はジャンプでスケットダンスを連載していた篠原先生
本作品もスケットダンスのギャグセンスそのままです。
篠原先生は東日本大震災直後に応援メッセージを作成して被災者に元気を与えたことを記憶しております。
ボッスン、カナタ達が人助けをするのは篠原先生自身の当たり前の気持ちなのでしょうね。

元気を与えてくれる作品。おすすめです。

原作は全5巻と読み易い作品なのでアニメ視聴後に楽しんでください。

投稿 : 2024/04/13
♥ : 72

82.6 2 2019年度の友情アニメランキング2位
この素晴らしい世界に祝福を!紅伝説(アニメ映画)

2019年8月30日
★★★★☆ 4.0 (477)
2262人が棚に入れました
交通事故(!?)によりあっけなく人生の幕を閉じるはずだったゲームを愛するひきこもり・佐藤和真(カズマ)は、ひょんなことから、女神・アクアを道ずれに異世界転生することに。「RPGゲームのような異世界で、憧れの冒険者生活エンジョイ!めざせ勇者!」と舞い上がったのも束の間、転生したカズマには厄介なことばかり降りかかる。トラブルメーカーの駄女神・アクア、中二病をこじらせた魔法使い・めぐみん、妄想ノンストップな女騎士・ダクネスという、能力だけは高いのにとんでもなく残念な3人とパーティを組むことになったり、借金で首が回らなくなったり、国家転覆罪の容疑で裁判にかけられたり、魔王軍の幹部を討伐したり、たまに死んだり……。そんなある日、駆け込んできた紅魔族の少女・ゆんゆんの爆弾発言にカズマたちは凍りつく。「私、カズマさんの子供が欲しい!」事情を聞けば、めぐみんとゆんゆんの生まれ故郷「紅魔の里」が、滅亡の危機に瀕しているという。里を救うために旅立ったゆんゆんを追いかけて、紅魔の里へ向かうカズマたちだが――!?カズマたちパーティを襲う最大の危機!平凡な冒険者カズマが過ごす、異世界ライフの未来はどっち!?

声優・キャラクター
福島潤、雨宮天、高橋李依、茅野愛衣、堀江由衣、豊崎愛生
ネタバレ

ぺー さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

なんだろねこの安定感

原作未読 1期2期視聴済

“伝説”ってここ30年くらいで一気に安っぽくなった単語じゃないですかね。にょろにょろ伝説…って見ただけでプークスクス不謹慎な私。
知らんうちにTV版があにこれランキングのTOP5位以内に。まぁそのうち収まるところに収まることでしょう。乱高下しているあにこれの歴代順位はどこ吹く風。外野の喧騒をよそにわりと堅実に作られたコメディの劇場版90分です。

2期まで放送済。その間、主人公カズマはフル稼働。パーティメンバーはそうでもないらしい。2期ではダクネスとアクアをしっかり掘り下げて、やや薄めむしろ一発芸担当だっためぐみん(CV高橋李依)が今回の主役。しっかり段階を踏んでますね。
めぐみんのペアというか同族のゆんゆん(CV豊崎愛生)もTV放送にて慣らし運転を完了するレディーパーフェクトリーぶり。彼女らの一族は紅魔族(こうまぞく)と呼ばれる魔術に長けたチート集団という設定。その紅魔族の皆さんは…


 {netabare}俺が見えないのか すぐそばにいるのに{/netabare}


あ、悲壮感みたいなのはありませんよ。隣人すら見ないか見えてないのかとにかく自由過ぎる人達でした。事前に楽しみにしてたのは3点、

1.声出して笑うところ1個でもあればOK

 ⇒ありました。充分×2

2.密かに進んでるアレはどう?

 ⇒{netabare}魔王軍の腹心がうっかり討伐されてるお約束。物語は匍匐前進してます。{/netabare}

3.劇場版ならではの…

 ⇒きっと映えますよね。爆裂魔法の作画。素晴らしかった。
 ⇒さらに舐めたようなぐだぐだな画を劇場で!と。この点は微妙…


ファン必見の劇場版でしょう。
パーティメンバーで今回めぐみんに白羽の矢があたりこれで仲良くみんな掘り下げられました。今後はアクア、めぐみん、ダクネスとその掘り下げられてきた人物像・家族・過去を使ってコントを作っていけばよいと妙に安心できる良作でございました。

おそらく今後はマンネリとの闘いになると思います。
そういえばTV版のレビューで、『このすば』は古典で王道のお笑いルールを踏襲、と述べてました。


 マンネリか? それとも 定番なのか?


やや後者寄りだと思ってます。「飽きたー」とかいいながら無ければ寂しい。知らんうちに紅…じゃなかった、、、『このすば』に染まってるのです。
そうやって染まったあなたをなぐさめるやつはもう…(自主規制)



※閑話休題

■受け継がれる駄女神

豊崎さんここで修行して『慎重勇者』に繋げたんだろうなぁ(適当)



視聴時期:2020年4月

-----


2020.05.16 初稿
2020.08.12 修正
2020.12.08 修正

投稿 : 2024/04/13
♥ : 69
ネタバレ

フィリップ さんの感想・評価

★★★★☆ 3.5

伝説の始まりは、紅い目とともに

アニメーション制作:J.C.STAFF、
監督:金崎貴臣、脚本:上江洲誠、
キャラクターデザイン:菊田幸一、
音楽:甲田雅人、原作:暁なつめ

めぐみんとゆんゆんの故郷・
紅魔の里が危機にさらされている。
魔王軍の幹部から攻め込まれ、
被害が出ているという手紙がゆんゆんの元へと届き、
里を守るためにカズマたちが奔走するストーリー。
ほとんどのキャラが総出演する
まさに映画的な内容の作品だ。

ダクネスファンの私としては、
活躍の場面が少なかったので、
もの足りない部分もあったが、
コンビ?ともいえるバニルも登場して、
一緒に戦ってくれるのが楽しい。
今回は、それよりもアクアの出番がかなり少なく、
ファンにとっては物足りなかったかも。
ただ、このすばで、最も人気の高いめぐみんが
中心の作品なので、多くの人が満足できる
内容になったのではないだろうか。

物語の中心は魔王軍幹部・シルビアとの戦い。
いつもと同じパターンを踏襲する形だが、
そこに紅魔族の人々の特性や秘密が語られることになる。

いちばんの見どころ?は、{netabare}カズマとめぐみんが
一緒の布団で寝るところになるだろうか。
90分という限られた時間のなかで、
このシーンが2度も出てくるのは笑ってしまった。
それとは別にシルビアの胸に
挟まれるのもサービスかもしれないが、
客観的に考えるとドン引きのシーンだ。{/netabare}

紅魔族のルーツが明らかになる部分は、
もうひとつのこの作品の見どころ。
TV版からの長いつながりや、
ある人物の影響力の強さに失笑してしまう。

全員がお約束のネタを持っている
吉本新喜劇のようなパターンのため、
登場人物が多いほど、割かれる時間が長くなる。
ウィズ&バニルに加え、ベルディア&ハンスという
これまでの魔王軍幹部も総出演するなど、
TV版のファンをかなり意識した内容。
しかし、その分、ほかの描写が短くなって、
紅魔族のキャラが薄く感じる。
あるえ、ふにふら、どどんこの同級生トリオなどは、
ほぼ最初の紹介だけで終わってしまっている。
めぐみんの父母もそれほど目立った感じはなかった。
ただ、こめっこは原作で今後も大活躍するキャラのようで、
映画でもかなり重要な役どころにはなっている。

軸はめぐみんとゆんゆんの友情になるのだろうが、
やはりメンバー全員の見どころを描かなくてはならず、
全体的に焦点が定め切れていない感を受ける。
観ているときは、それなりに面白いのだが、
思い返してみると、ぼんやりした印象になる。

この作品を観ていて思い出したのが、
押井守初監督作品の『うる星やつら オンリー・ユー』だった。
TV版を好きなファンを意識して制作された作品は、
ファンはもちろんプロデューサーも満足する内容だったが、
ひとつの作品として考えると、お約束を並べた
TV版の延長でしかなかった。
同時上映だった相米慎二監督の『ションベン・ライダー』を
鑑賞した押井監督が、自分の作品との大きな違いに
愕然としたというエピソードは有名だ。
アニメの枠にとらわれない面白い作品を
目指していた押井監督らしい話といえる。

このすばには、しっかりとした原作があるので、
ほとんど当てはまらない話だろうが、
映画版と比較してどうだったのだろうと想像してしまう。
いずれにせよ良くも悪くも、ファンを大いに意識した
サービス満載の映画化といえるのだろう。
(2020年8月1日初投稿)

投稿 : 2024/04/13
♥ : 56

元毛玉 さんの感想・評価

★★★★★ 4.1

こ・の・す・ば(大音量)

原作既読
アニメ化前から原作読んでます。
ギャグが自分的には波長が合うのか凄くツボっす。

お話のざっくり概要
前世で壮絶な死を遂げたサトウカズマ
美しい水の女神アクア様によって異世界に転生される事に
心優しい女神様は自ら進んでサトウカズマについていった
そして、魔王軍幹部ですら吹き飛ばす最強の魔法を操る
アクセルの町随一の大魔導士めぐみんと
高潔な貴族でいかなる攻撃にも屈しないクルセイダーの
ダスティネスフォードララティーナ18歳
を仲間に加え、魔王軍幹部を次々に撃破する快進撃
…というのがウソなのは本編を視聴すれば分かりますw
おバカ駄女神と中二病問題児とドM変態バツイチ処女の
3人と外道カズマの一行はゆんゆんの元に来た手紙から
紅魔族の里へ向かう事に…
ってな感じ

結論からいうと、能登かわいいよ能登
能登さんが出ているという話を聞いて
居ても立っても居られないと思い劇場に足を運びました。
うん。やっぱり能登さんの声たまんないわw

物語は概ね原作通りで一部アニオリです。
作画は劇場版だからといって特別良い訳ではなく
いつも通りっす。
声優もいつも通りフリーダムです。能登さん最高です。
音楽は…確かに大音量のエクスプロージョンは大迫力。
キャラはめぐみんの母親が最高でした(ry

えーと、、、
このすば劇場版は失敗じゃないかなーと思った次第
だってだって、思いっきり笑えないし
カズマに「このへたれ!さっさとやれよ!」
とかヤジ飛ばせないし
ビールは飲めるけど…なんか、自宅のこのすばと比べて
全力で楽しめなかった…いつも通り凄く面白かったけど
笑いをこらえないといけないのはなんか違う…
やっぱり、このすばは自宅でビール片手に
ヤジを飛ばしながらゲラゲラ笑って視聴するに限りますね

本編視聴が大前提なので誰でも楽しめるという訳ではなく
思いっきりこのすばファン向けの内容です。
本編が大好きな方は間違いなく楽しめますけど
劇場だと爆笑できないのが辛い所です(苦笑)
とにかく能登さんは最高です(*´Д`)ハァハァ

投稿 : 2024/04/13
♥ : 43

76.3 3 2019年度の友情アニメランキング3位
ソウナンですか?(TVアニメ動画)

2019年夏アニメ
★★★★☆ 3.5 (541)
2015人が棚に入れました
家もない…。食べ物も、水もない…。女子高生4人組は、どこかもわからない無人島でソウナンしてしまい大ピンチ! …のはずが、けっこう元気です! なんにもないから、なんでも作る! なんでも食べる! 知恵と勇気の無人島サバイバル!

声優・キャラクター
M・A・O、河野ひより、安野希世乃、和氣あず未、大塚明夫
ネタバレ

ぺー さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

括約筋肉少女帯

なんでもかんでもJK出しときゃいいと思ってんと違いますか?

・・・大見得を切って昨今のJK花盛りな風潮を揶揄した自分を殴っていただいて構いません。
えーあのー、、、JKいいね ボソッ

ここ2,3クールの15分ものの中では一番好き。


 タイトル 『ソウナンですか?』

Q なるほど。遭難した時に役立つサバイバル知識満載の教育系アニメですね?
  ↓
A そうなんですけどちょっと違います

Q となるとそのまんま愛でたり鼻の下を伸ばしたりするアニメなんですね?
  ↓
A いやほんとまぁそうなんですけどなんかちょっと違います


 {netabare}恥じらいを捨てた{/netabare}

 {netabare}または恥じらいの皮を一枚ずつ剥がす途上にある{/netabare}

 {netabare}若い娘さんの生命讃歌に目を細めるアニメです{/netabare}


修学旅行中の飛行機事故という絶望的な経験をしたのにクラスメイトや先生の話題なぞどこ吹く風 (笑)
原始的欲求と文明的理性との狭間でユルく葛藤する遭難者4名の観察日誌です。ちなみに原作は未読。


 それでも生きていかざるをえない!


かつてオーケンはダメ人間に向けそう語りかけました。
無人島サバイバルのような原始的環境において、恥じらいや見栄は不要であるとの現実。
昆虫食も尿による水分補給も肯定されちゃうのです。
だって生きていかざるをえないんですもの。

これがもう少し歳を取って分別のある大人になってればエロチシズムを感じたのかもしれませんが、親の庇護下にあるだろう女子高生たちから感じるのは、守られてる身分からの自立の胎動です。
・・・実際はだいぶユルイです。悲壮感がないなどとことさら目くじらを立てるほどではありません。アニメですから。


アイディアの勝利でしょう。
普段なら眉間に皺をよせてしまうデリカシーのない表現は置かれてる状況が免罪符となりました。
突発的なえっちい描写もそうは言ってもしゃーないだろうよと説得されてしまう環境下に生きる彼女たちであります。

 {netabare}とってつけた感がないのです!キリッ{/netabare}

よくあるラッキースケベやお約束水着回などに飽きがきてる方でも許すことが出来ちゃう仕様です。


なおメンツはこちら ↓

 鬼島ほまれ(CV M・A・O)
 鈴森明日香(CV河野ひより)
 天谷睦(CV安野希世乃)
 九条紫音(CV和氣あず未)

ダントツでほまれですね。遭難歴複数回のエキスパートの彼女。心地よいのは行動 / 言動になんら躊躇がないこと。即断即決は頼もしかったりギャップボケを生じさせたり、かといって他の三人に歩調を合わせる柔軟さもある。プランAで同意を得られないならすかさずプランBと次善策を講じます。そのプランBは周りの意見を咀嚼した上での最適解なのでいったんここでアクションに移れます。ズルズルと第3第4の案に流れたり話し合いでループすることもありません。
自称脇役マニアの私には珍しく主役鬼島ほまれが最も魅力的なキャラクターに映りました。


ついでに、回想に出てくるほまれパパ鬼島丈一(CV大塚明夫)とほまれとの掛け合いもじわじわくる。

{netabare}「いいか?ほまれ」で始まる回想 @ どこぞで遭難中
ここから丈一によるほまれへのサバイバルチュートリアルが展開される。例外なく自信満々である。なんというか屈託がない。
対するほまれのリアクションは一定。「うんっ!」その瞳はきらきらと輝いているのである。{/netabare}

手を変え品を変え繰り返される親子の会話シーンも毎週の楽しみでした。
OPEDの印象は薄いかも。サクッと15分の手軽さ。毎度次週が待ち遠しかったです。



※最終回ネタバレ

{netabare}私、何かを失った?
いえ、ちがうわ。
命をつないだだけよ。
うん。
きっとそうよ。
だって{/netabare}

それでも生きていかざるをえない、な満足の全12話でした。
置かれた状況がシビアであればあるほど、そこからの落差でお笑いが映えてくるものなんです。
徹頭徹尾シリアスに振れずギャグで貫き通した点も評価が高い一品です。


{netabare}紫音がひと皮むけて躊躇なくウ〇コハンドクリーム塗ってたらさらに点数上げてましたね、きっと。{/netabare}




■(余談)鬼島ほまれを雇いたい

仕事でも頼れるリーダーとして能力を発揮してくれそうです。
仮に彼女をヘッドハンティングできなくても育てる手というのもある。新人研修にはほまれ父を招聘し1年くらいどっかに放り込むとか。研修コストは飛行機代くらいだし。
雇用なので給与支払義務は生じるとしても帰還後の伸びしろに期待できそうです。
従業員も税法上 “ 非居住 ” 扱いで納税額を減免されますし、手をつけてない1年分の給与所得が口座に振り込まれてるわけですから、それほど悪条件ではないと 勘違いしてくれるかもしれません。
もちろんそんな会社に応募があるかどうかはまた別の話です。



視聴時期:2019年7月~9月 リアタイ視聴

-------

2019.09.18 初稿
2020.04.06 修正

投稿 : 2024/04/13
♥ : 60
ネタバレ

フィリップ さんの感想・評価

★★★★☆ 3.6

遭難時の心得

アニメーション制作:Ezo'la、
監督:長山延好、シリーズ構成・脚本:待田堂子、
キャラクターデザイン:西尾淳之介、音楽:立山秋航
原作:岡本健太郎、さがら梨々

「なめくじは決して生食してはダメだ」
「ヘラジカの睾丸は生食できる希少な部位だ」
「パパ、タマ臭いよ」
という衝撃的なセリフからスタート。
修学旅行中に飛行機事故で遭難してしまった
女子高生4人が島に辿り着き、
そこでサバイバルする物語。
こう書くとかなりシビアな内容に思えるが、
実際には、遭難したときの豆知識と、
エロ描写&コメディ満載のストーリーとなっている。

トビウオを捕まえてからつぶして
内臓や血などから水分を補給する方法や
海に漂流しているときに見えている水平線は、
せいぜい4~5キロ先までなどということなど、
1話目から色々な豆知識を披露する。
{netabare}水分を分けるために殿様バッタを食べた口から
唾液を口移しで流し込むという笑い満載の展開。
また食べられるものかどうかを判定するために、
実の部分を切って断面を皮膚に押し付けてみるというのは、
万が一のときに役に立つかも。
こういうシーンで尻に実を押し付けるなど、
あざとい描写が色々あるが、観ているうちに
あまり気にならなくなってくる。{/netabare}

ところで、これを観ていて思い出したのだが、
私も子供のころにヤドカリを食べたことがある。
アウトドアに詳しい親戚の叔父さんと海に出かけて、
貝類とともにヤドカリも食えるということで、
浜辺で焼いて食べた。
気持ち悪さだけが記憶に残っていて、
味はあまり覚えていないのだが…
そういえば、私は食べてないのだが、
兄はその同じ親戚の叔父さんとヒトデを
食べたと言っていた。
今では浜辺で貝を焼いて食べていると、
すぐに監視員が飛んできそうだが、
昔はそういうのも大らかな時代だった。
潮干狩りに出かけても今ほど重量に
厳格ではなくて目分量のチェックだった気がする。

子供のころは海にもよく潜って遊んでいたが、
さすがに水深が10メートル以上もあるような場所では、
潜っているうちに恐怖感が強くなる。
しかも私が泳いでいたのは瀬戸内海だったから、
それほど海も綺麗というわけではなく、
ある程度潜ったら、真っ暗で遠い海底が見えて、
底まで行くのには、かなりの勇気が必要だった。
あれは、スキューバダイビングなら、
怖くないのだろうか。
私が暗所恐怖症なのかもしれないが。

動物を捕らえるときのトラップは、
ゴールデンカムイと同じような「くくり罠」が
紹介されていた。輪を針金なようなもので作り、
そこを通った振動によってトリガーが作動し、
吊り上げられるという仕組み。
リスは癖がなくて旨いらしい。
さすがに食べたことはないが…

それとウサギ実食の回では、
動物を仕留めたとしても気温が高い場所だと
1時間くらいで肉が腐敗してしまうことなども
しっかり描いている。
捌くのは普通は難しいが、
名人であるほまれの存在がリアリティを持たせてくれる。
サバイバル系のテレビや映画などで、
狩りの様子などを見たことがあるが、
しっかりとした処理をしていないと、
小さな虫がどんどん寄ってきて
すぐに大変な状態になってしまう。
せっかく食物を確保しても、
虫が湧いたグロテスクな有様を目にして、
生き抜こうとする心が折れてしまうのだ。

そういえば、子供のころにウサギのソーセージを
食べた記憶があるのだが、どんな味だったかは
覚えていない。普通に美味しかった気がする。
7話で登場する海岸に生えている
ハマボウフウという多年草が食べられるという。
漢方薬としても使用されるそうだ。
世界中のどこにでも生えているというのも
また興味深い情報だった。

キャラクターとしては、サバイバルの専門家である
ほまれを中心に、明日香、陸、紫音の性格が
それぞれ個性があって面白い。
特にストーリーが退屈にならないよう
紫音の我儘を上手く使っている。

最終回の衝撃の展開は、
おそらくほとんどの人が驚いただろう。
こういうやり方があるというのは、
知識としてもとても面白い。

ヤンマガでは現在でも連載中。
{netabare}そこでは、未だ遭難生活を続けている。{/netabare}
アニメのラストでほまれの父が
救助に向かっている様子が描かれたのだが、
彼女たちが家に帰れる日は来るのだろうか。
(2019年10月5日初投稿)

投稿 : 2024/04/13
♥ : 59

えりりん908 さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

女子高生4人、ゆる~くソウナン中ですww

なんか毎回、
新しい発見とか体験とかを、
遭難初心者3人が、
遭難マスターの女子高生にリードされて、
だんだん一人前の遭難者に育っていく、
そんな感じのギャグアニメでしょうか。

遭難したときのウンチクも出てきます。
でも普通、人は、
一生無人島で遭難生活したりしないから、
何かの役に立つとは思えませんww

そこが、何だか楽しいです!

だって、人は、ゆるキャン観て面白かったって、
実際には女の子のソロキャンプなんて、
危険だから、出来ないじゃないですか。

だから、無人島生活だって、
実際には出来っこないけど、
それをギャグっぽくアニメで描いて貰えるのって、
凄く贅沢なアニメ仮体験だぞ!って思います。

こういうのを、シリアスに描かないからこそ、
楽しく観れるんだと、思います(^^)



最終回まで楽しく視聴しました!
最後の2話で、ちょっとシリアスな感動展開?
って思ってたら、全然違ってましたwww
生存のために必要だっていう言い訳、
凄く便利ですよね( ̄▽ ̄;)
スゴいインパクトで、
下品大好きな私、シリアスなことだと思ってても、
笑いを堪えられませんでした(≧▽≦)

投稿 : 2024/04/13
♥ : 42

81.4 4 2019年度の友情アニメランキング4位
ちはやふる3(TVアニメ動画)

2019年秋アニメ
★★★★☆ 3.9 (340)
1636人が棚に入れました
クイーンになる夢も、将来の夢も諦めたくない! この一瞬に一生を懸ける―――――高校2年生の夏、新入部員と共に全国大会へ出場した千早たち瑞沢高校かるた部。団体戦では常勝校・富士崎高校を破り瑞沢高校が念願の初優勝、個人戦ではB級が太一、そしてA級では新が優勝を果たす。千早は団体戦で負傷した右指の手術も無事成功し、太一と共に富士崎高校の夏合宿に参加する。顧問の桜沢先生によるスパルタな指導にもめげず、名人・クイーン戦に照準を合わせ練習に励んでいた矢先、出場が危ぶまれるある事実を知ることに……一方、チームを持つことでかるたへの可能性が広がることが知った新は、かるた部創設に向け動き出していた。新たなるライバルの登場、これからの進路、クイーンになる夢……等身大の高校生によるひたむきでまっすぐな想いと情熱が溢れ出す第3期が開幕!

声優・キャラクター
瀬戸麻沙美、細谷佳正、宮野真守、茅野愛衣、奈良徹、代永翼、潘めぐみ、入野自由、坂本真綾
ネタバレ

フィリップ さんの感想・評価

★★★★★ 4.6

時は流れゆく、波は砕け散る

アニメーション制作:マッドハウス
監督:浅香守生、シリーズ構成:柿原優子
キャラクターデザイン:濱田邦彦、
音楽:山下康介、原作:末次由紀

2008年に講談社の少女漫画雑誌
『BE LOVE』で連載を開始して10年以上。
現在では、コミックスが45巻まで刊行され、
累計発行部数は2500万部を超える。
その影響力は、全国に伝播し、
かるた競技人口を大幅に押し上げた。

私は2期が始まるタイミングで
アニメ1期の再放送を視聴し、
物語世界の虜になった。
2期の放送終了時には諸々の理由で、
アニメ化が当分は難しいことが確定していたため、
コミックスを全巻購入。現在も追いかけている。
ちなみに実写映画は未視聴。
映画ヒットの恩恵もあってアニメ化につながったので、
実写化が宣伝として大いに役立った好例だ。

綾瀬千早、綿谷新、真島太一という
幼馴染の3人が物語の中心。
それに加えて部活のメンバーや
ライバル、先生、主人公たちの家族までを
深く掘り下げて描写しているのが最大の特徴だ。
まさに、微に入り細を穿つという言葉が当てはまる。
もちろん、競技かるたの魅力も
余すところなく表現しており、
ポイントを分かりやすく解説。
勝負の分かれ目における思考法や作戦、
必殺技?までを描くことで、
地味と思われていた競技を魅力的に見せている。

3期における最大の見どころは、
これまで楽しく過ごしてきた日々や関係性も
永遠には続かないことを
多くのキャラクターが自覚することだろう。
特に3人の関係性はモラトリアムの状態が
長年続いていたが、決着をつけなければ
ならない時期が迫っていた。
作者がこの物語世界を終わりに向けて
動かし始めたことがはっきりと感じられる3期だった。

競技かるたによってつながった幼馴染3人は、
それぞれに競技に打ち込む理由がある。
千早は競技かるたに対する一途な気持ち。
強さを渇望し、遠くにいる好きな人を近くに感じながら、
クイーンの座を目指している。
新は永世名人の祖父の才能を受け継ぎ、
幼少から積み重ねた努力によって
祖父が辿った道を歩んでいる。
太一は、かるたとの決別を常に意識しながらも、
複雑な想いを胸に抱いて競技を続けている。
才能の面でふたりより大きく後れを取る太一だったが
競技かるた特有の「感じ」とは別方向の
記憶力と洞察力に磨きをかけて覚醒し、
千早を脅かすほどの実力を発揮する。

原田先生の活躍や猪熊遥の登場が、
このクールのもうひとつの大きな見どころ。
両者は膝の痛みや母乳の出る体を抱えた状態で、
年月がもたらす残酷さを何度も味わいながら
懸命に戦っていく。
原田先生は、千早と太一に対して、
いつも含蓄ある言葉を投げかけてくれる存在。
その戦いぶりに、特に太一は心を動かされる。

人は時間経過の必然として変わっていく。
高校卒業後の進路はもちろん、
3人の関係性も、ずっと同じではいられない。

太一は、小学生のとき
千早が好意を持っていた新にかるたで勝利するために
新の眼鏡を隠すという行動に出てしまう。
そのときの自身の暗い感情とずっと対峙しながら、
千早や新のような真っ直ぐな生き方を目指した。
そして、仲間とともに競技かるたに青春をかけてきた。
「青春全部懸けたって、新より強くはなれない」と
思っていた太一は「懸けてから言いなさい」と
原田先生から窘められる。
この言葉が、ずっと太一の心の奥にある。
千早のことが大好きで、ずっと一緒にいたい気持ち。
太一にとってのかるたを続ける理由。
それは千早の存在だけだと思い込んでいる。

{netabare}告白の前に開催された太一杯。{/netabare}
原作を読んでいたときは、
あまり必要のないエピソードだと感じていたが、
アニメで改めて観ると、
ある意味、このクールでいちばん重要な話だと感じた。
ここで行われた源平戦が3人の原点。
競技かるたが人生を豊かにしてくれるのだ。

{netabare}そして、太一の退部後にその気持ちに対して
千早が想う源重之の歌。
「風をいたみ 岩うつ浪(なみ)の おのれのみ
砕けてものを 思ふものかな}
(風が強くて波が岩に向けて砕け散るように、
私だけが心が砕けんばかりに、
あなたを思い悩んでいる)
「私が岩だったんです。岩で粉々に砕いていたんです。
太一の気持ちを。ずっと、ずっと」と
千早は言葉を絞り出す。
千早は太一のこれまでの気持ちを深く想像していた。{/netabare}

太一の行動と決断は、どのような結果をもたらすのか。
かるたを好きな人々の感情と
仲間に対する想いを掬い上げながら、
物語はいよいよ終盤に向かっていく。

3人の関係性の変化とともに、
クイーン・若宮詩暢と名人・周防久志の
生き方にもスポットが当たる。
新は、競技かるたに対しての深い理解を求めて、
千早や太一から1年遅れでチーム作りを始める。
競技かるたがもたらしてくれた大切なもの。
それはどんな形となって現れるのだろう。

感情が解き放たれるクライマックスが近い。
(2020年4月25日初投稿)

15年の連載を終えた原作
(2023年4月2日追記)

{netabare}昨年末に最終巻の50巻が発売され、
完結を迎えた『ちはやふる』。
実は読了したのは、つい最近のことだった。
最終巻のコミックスは購入していたのだが、
ずっと放置して、読めずにいたのだった。
それは終了するのが名残惜しいというよりも、
終わり方については、おおよそ想像ができていたので、
敢えてすぐに読まなくてもいいだろうという思いだった。
もちろん、そこには終わってしまう一抹の寂しさもあったのだが。

そして読了したあと、
納得できる部分も多かったし、驚かされることもあった。
改めて末次由紀氏の温かさに触れたような気にもなった。
この作品は、小倉百人一首のかるたを広く全国に広めて、
競技人口を増やすことに大きく貢献した。
また、読み手やトップの競技者、競技かるたを楽しむ
多くの人々の想いにもスポットを当てた。
競技に対する深い理解も作品のなかで表現した。
最終回を迎えるにあたり、作者が思っていたことは、
おそらく競技かるたとそれに関わる人々に対する
「感謝」だったのだろう。
いや、ある意味、当然のことかもしれないが、
15年間の連載を通して、マイナーな競技かるたに
関わった作者は、コミックスの登場人物のような人々と
ずっと交流してきたのだろうという気がした。
私がちはやふるを読んでいて、いつも感じていたのは、
登場人物たちの圧倒的なリアリティとそこにある深い理解だった。
どのキャラクターも、まるでそこにいるように、
楽しんだり、悩んだり、苦しんだり、そして仲間たちと
喜びを共有していた。
私にとっては、それは奇跡のようにも思えた。
人の気持ちに寄り添うというのは、
こんなにも辛いものなのだと思いもした。

そんなことを含めての最終盤。

作者が行き着いたもの、
選んだもの。

それが凝縮されているように感じた。
長年にわたる競技かるたの世界との関わりで
着地したところは、深い感動を与えてくれた。
ぜひ、アニメで最後まで表現して欲しいと願う。{/netabare}

投稿 : 2024/04/13
♥ : 66
ネタバレ

shino さんの感想・評価

★★★★☆ 3.8

青春の色は匂へど

原作末次由紀、制作マッドハウス。

強豪富士崎高校指導者桜沢の招きを受け、
強化合宿に参加する千早と太一から始まる。

強くなりたい動機は人それぞれですが、
追い込まれた経験のないものは強くは成らない。
集中し葛藤し理想の自分へと近づいて行く。

ちはやふるが称賛を受けるのはここであろう。
自分に期待する力、そのことの清々しさ。
燻り続ける青春とは対照的に、
全力であることの真っ直ぐさが心に響く。
それにしても宮野真守は独白が上手な声優だ。
そして林原めぐみの気怠い声が最高に美しい。

18話視聴追記。
文化系競技にしてこの緊迫感が凄い。
{netabare}応援、期待、全てが雑音だと、
孤独にかるたと向き合うもの、
いつだって全盛期だと自身を鼓舞するもの、
白熱した試合を通じ成長するのは、
技術だけではなく、心技体全てであろう。{/netabare}

最終話視聴追記。
{netabare}私の好きな王座2人が活躍し、
概ね満足なのですが、やはりこの物語は、
千早の葛藤と飛躍が主軸なのでしょう。
脇を固めるキャラの陰影が色濃く演出され、
緩やかに形になり始める恋愛模様少々、
大人の群像劇としても楽しめましたね。{/netabare}

立ち止まればそこで悩み学びなさい。
こうやって私たちの月日は流れていくのだ。

投稿 : 2024/04/13
♥ : 59
ネタバレ

ぺー さんの感想・評価

★★★★★ 4.7

普通どこかでダレてくるもんですよ

原作既読 1期2期視聴済み

『アニメ3期決定!』

1期放送が2011年。2期2013年。ざっくり7年ぶりなわけであります。
この吉報は多くのファンから歓迎の意をもって迎えられました。自分も高揚感がハンパなかったっす。
聞けば、実写映画ヒットとメディアミックスでの収益化。福井での細く長いファンのバックアップ。単純に「原作のストックが…」というわけにはいきません。商売面でも企画を通すだけの材料が揃っての3期ということで大げさでもなく奇跡的な続編となりました。ひとえに感謝感謝です。
なお、どんな内容でどんなキャラがいてみたいな説明はばっさりカットであいすみません。
競技かるたに取り組む高校生らの奮闘記です。

 {netabare}方言指導 安済知佳{/netabare}

アニメに限らず映画『上の句』『下の句』『結び』もなんですかね。名も知れた華のある声優さんが裏方に回り後方から支援にあたる。細谷さんのセリフ部分を録音して毎度提供してたりしたんだとか。
福井南雲会と藤岡東高校。そこに確かな“福井”があった裏に福井人あり。
起用の経緯までは存じ上げませんが、このクレジットから役職や知名度に関係なく「良い作品作るぞーっ!」という熱のようなものが伝わってきます。
作品そのものも以前と変わらぬ熱量をもった安定の名作でした。

 ・質の高い原作
 ・継続したスタッフ
 ・変わらぬモノづくり

正直これ以外ではパッとしない『99RadioService』の継続起用もそうだし、2クールものでの楽曲使用では一般的な手法。1クールで曲交替をせずに2クール通して同じ楽曲を使い続けるやり方も1期2期そしてこの3期も変わることはありません。
1期から9年経過してるわけです。
キャストだってキャリアを重ね現在、皆一線級の活躍をされてます。監督さんはじめクリエイターさんだってそう。9年の蓄積を糧に色気を出したくなるのが本音でしょうに見事なまでにそのまんま。継続は力なりを実践されてますね。古典に向き合う上での“型”や“作法”を大事にしてるともいえます。

 {netabare}“作品制作の熱量”{/netabare}

 {netabare}“変えない勇気”{/netabare}

1期からの視聴者は変わらぬ様式美を堪能できます。
原作の信頼とそれを活かす勝利の方程式を知り尽くしたスタッフが仕上げる逸品にハズレはなしです。


 とかいって実は3期ってマンネリなん?


これがまた違うんですな。同じことやってても現状維持も覚束なくて“劣化”と捉えられることも少なくないシリーズもの。
瑞沢高校の面々。間違いなく本作の中枢を担う高校生たち使ってきっちりと掻き回してくれます。ざわつきの原因はしっかり1期からの流れを汲むもので納得感もある。本作の源泉、ちはや・太一・新のかるたを通じた三角関係のことです。
そしてこの三人が作品の根として、瑞沢高校かるた部を例に、同級の机くん・肉まんくんは第二波。1期25話で定評を得てからの第三波で筑波くん・花野菫。登場順で分けられると思うのですが…
想像してみてください。人気作であればあるほど通常は一→二→三と後続のキャラになるにつれ思い入れは浅くなってきます。『SLAM DUNK』みっちーやリョータ『俺ガイル』いろはすのように後から出てきてきっちり中枢に入り込んでくる事例は複数あるものの、けっこう難しい作業なはずです。
そんな『ちはやふる』3期は花野菫のターン。{netabare}この一年間過ごしたかるた部での時間が彼女を人間的に成長させました。“人間的に”です。未だ見ぬ4期ではかるた的な覚醒にも余地を残してたりします。筑波くんは変わらず筑波くん(笑){/netabare}


安定感のみならず、本流でしっかり動きをつけてきたわけでマンネリとも無縁な良作といって差し支えなく、これまで1期2期と視聴されてきた層が視聴を躊躇う理由は皆無と思われます。
ここまでで失速らしい失速も感じませんのでご新規さんも1期25話ずつとボリューミーではありますがこれらを安心材料とみてぜひこの世界に飛び込んできてくれたら嬉しいですね。お待ちしてます。



※ネタバレ所感

■この作品の恐ろしいところ

1.{netabare}もの凄く高いレベルで安定{/netabare}

これまで上のほうで書いてきたやつです。引退間際のイチローだって並の選手と比べれば高いパフォーマンスを残してたのにどうしても比較対象がイチローとなってしまうくらいには我々もマヒしてる。
ここではジョージ・シスラーの年間安打記録を更新した頃と変わらぬパフォーマンスを数年後も保っていて「いやー、良いシーズンだったね」と日常を楽しんでるのに似てるくらい普通の出来事。それでいて「内野安打減ったのは年齢じゃね?」とか無責任に放言してたりもする。
キープするための努力は確実にある。振り子足の幅が狭くなったことやサイズアップといったマイナーチェンジは言われてみないと気づかないレベルなんです。
 

2.{netabare}じじいと子持ちママを主役に!{/netabare}

まさにこの選択をできてしまうのが『ちはやふる』という作品の凄みだと心の底から思います。このレビューで一番訴えたいこと。
高校選手権の比重の高かったこれまでのシリーズからその上流工程、名人戦クィーン戦に重きを置いた3期でした。そして各々絶対王者に挑む挑戦者にこの人選。あり得ない(褒め言葉)。

{netabare}原田秀雄(CV三宅健太)猪熊遥(CV坂本真綾)両名のことです。
片や爺さん。初の名人戦。元々ナイス脇役の原田先生を無理に表舞台に乗せたところでという不安。
片や出戻り。3期初登場の元クィーン。坂本真綾さんで話題作り。はいはい分かりますとノーマーク。

ひとつ冷静になって、爺さんと出戻り以外の選択肢はなかったか?
例えば名人対綿谷新にしとけば新VS太一を活かした展開に容易に繋げられます。強い男子は他にもいます。須郷みたいな若手でも坪口(白波会)や村尾(南雲会)みたいな中堅どころでも不思議はありません。
そんな男子と比べて女子側。こちら対クィーンは新キャラで穏当だった気もします。めぐむたんやまさかの桜沢先生も選択肢としてはなくはないんですけどね。
挑戦者確定で思ったこと。原田先生は想定外。猪熊さんは桜沢先生との絡みも楽しく、とはいえ両名ともかませ犬ポジションを大きく逸脱しないだろうくらいで構えてました。

結果、

 {netabare}誰ぞ二人をかませ犬と誹ることができようか?{/netabare}

周防名人にとって初めて本気で闘わないと勝てない相手だったのが原田先生。
詩暢ちゃんにとって自分以上に札に好かれてるかもと思わせしめた相手だったのが猪熊元クィーン。
鉄面皮と言ってよい圧倒的な個性持ちだった二人の心をぐらつかせる激戦は本作のクライマックスだったと思います。それでいて、千早・新・太一ら若人の物語ともがっつり繋がっているというね。{/netabare}


あと超絶に好きだった猪熊さんのこの台詞。

{netabare}「やっぱりお腹の子、女の子だと思う。お願いしたのよ。男の子でもいいから勝たせてくださいって」

母になると○○ちゃんママの呼称を受け入れて折り合いをつけてく過程が生じます。この子には自分が必要だと思う母性の発動で徐々に消えてく個性や本人の意思。要は諦める作業です。
そんなして一度切り替えたスィッチを再度切り替えるのは旦那の協力があっても困難極まりないことでしょう。復帰するにしても自分なりのルールを決めて。とても納得感がある心の動きです。
そんな思いをして復帰して、マイルールをしっかり守って、でもやっぱり限界はあって子供にも負担をかけて、とクィーン戦を前にして無理がたたってるのも見え隠れしてきた猪熊遥。思い出できたからと気持ちが切れてもおかしくありません。彼女にとってあくまで日常は普段の家庭生活なんです。
そんな彼女がクィーンへの執着を示した精一杯の願い事が上のセリフ。男子三人はマジたいへん。ガキンチョの叫ぶ「一生のお願い!」とは比べ物にならない重みがあります。イマイチ理解できてなさそうな未婚の桜沢先生の表情もいい。{/netabare}



■名人戦クィーン戦に向けて

・名人戦
対立構図や対比がシンプル。
周防名人に新と太一が絡むのでまだ読めないところはある。

{netabare}「青春全部かけてから言いなさい」
を地でいき、かるたに人生を賭けた男と、かるたにしか人生を見いだせなかった男の対比だったのが原田VS周防でした。
全部かけて運命の女神は微笑んだか?運命戦の結末が一つの答えでした。
それでも試合後の清々しい先生の表情が素晴らしい。{/netabare}

{netabare}未来の挑戦者/太一と新はそれこそ一つに絞れないほど多くの場面で、行動言動の比較があったり、同じだったりしてました。その中で一つだけ印象的な場面を挙げると、周防名人のインタビュー場面。
名人を引き留めた新と名人の引退を望んだ太一がどうしようもなく二人らしい。
「真島 おめぇ 卑怯なやつやのー」
引退を望んでることが卑怯とはならないでしょうが、名人につっかかる新を目の当たりにして思うところがあったんだろうなとみられる後の展開です。
卑怯な奴である自分を克服するストーリーが太一自身には必要ですからね。{/netabare}

・クィーン戦
けっこう同じもの同士。

{netabare}若宮詩暢と綾瀬千早に絞られたと思われる。{/netabare}




そもそも最初のアニメ化の時点で紆余曲折があったものらしい。曰く、“売れなそうな商品”。
「セールス的な期待値は低いがアニメ化する意義ある作品」と関係者が企画を通し結果ヒット。

その後、ペイできる実写版がもう完結したし、3期をやる旨味がほぼほぼ無かったろうところをアニメ続編実現にこぎつけたことが至極ありがたい話です。
4期やってくれるかな!?根拠なく全幅の信頼をこの関係スタッフに置いときます。宜しくね!


最後に原田先生役での石塚運昇さんと宮内先生役での藤田淑子さんの訃報に際しあらためましてご冥福をお祈り申し上げます。
後任を見事に務めた三宅健太さん鳳芳野さんお疲れ様でした。



視聴時期:2019年10月~2020年3月 リアタイ

-----
2020.05.06
《配点を修正》-0.1


2020.03.30 初稿
2020.05.06 配点修正
2020.10.23 修正

投稿 : 2024/04/13
♥ : 54

70.5 5 2019年度の友情アニメランキング5位
コップクラフト(TVアニメ動画)

2019年夏アニメ
★★★★☆ 3.5 (324)
1169人が棚に入れました
一五年前、太平洋上に未知の超空間ゲートが出現した。その向こうに存在したのは、妖精や魔物のすむ奇妙な異世界「レト・セマーニ」だった。「サンテレサ市」。二〇〇万を越える両世界の移民が住む都市。雑多な民族と多彩な文化。そして持てる者と、持たざる者。ここは世界で最も新しい『夢の街』。だがその混沌の影には、数々の犯罪がうごめいていた。麻薬、売春、武器密売。それら凶悪犯罪に立ち向かう刑事たちが、サンテレサ市警察に存在していた……。刑事マトバ・ケイと異世界人の騎士ティラナ、性別も性格もそして「生まれた世界」も違う二人が出会うとき、事件は起きる。二つの世界 二つの正義 その先に-バディポリスアクション開幕!

声優・キャラクター
津田健次郎、吉岡茉祐、折笠富美子、浜田賢二、高橋良輔、鶴岡聡、中原麻衣、井上麻里奈、高木渉、ボルケーノ太田、大塚芳忠
ネタバレ

ぺー さんの感想・評価

★★★★☆ 3.7

良きバディものの足を引っ張るなにか

原作未読

既刊複数の小説が元ネタ。全12話(+閑話休題的な1話)通してみて筋の通った脚本であったと思います。

視聴動機を思い返したところ、今期(2019年夏期)は“なろう”(の異世界転生系)と距離を置くと決めてたものの、蓋を開けてみたらなろうもの花盛り(笑)
観るものが無くなってたところに雰囲気良さげな本作に白羽の矢があたった、みたいな動機でした。


 期待してなかったわりにはけっこう面白い

 悪くはないんだけどいまいちしっくりこない


中途半端な感じがするんですよね。
ある日太平洋上にぽっかり異世界の扉が開いちゃってドンパチが起こり、以後日向に陰に人的交流が生じてしばらく経った後の世界。こっち(地球)の刑事さんであるケイ・マトバ(CV津田健次郎)とあっちからとある案件を追ってやってきたティラナ・エクセディリカ(CV吉岡茉祐)のバディものです。


 設定は好きです
 キャラも好みです
 OPはルパンのばったもんみたいなイントロがちょっと嫌
 二人の関係も悪くないむしろ楽しい
 作画は基本気にしない人

 
バディを組む主役ら関係の変化はすこぶる良いです。はじめはぶつかりあっていた二人が次第に信頼度合いを深めていった王道展開。 性格の凸凹はもちろんのこと、そもそも住む世界が違うわけですから両者の文化風習の違いなんかも衝突理由になったりして新鮮味もあったのでした。

お互いの考え方の背景となるようなキャラ掘り下げもされていて、それで相手をより深く知るといった描写もあったり手堅い部分もありました。渋みのある枯れたおっさん上司を含めて同僚にも恵まれていたと思います。そして切りのいいところで終幕。ですから、


 期待してなかったわりにはけっこう面白い


となるわけです。ただしどうももやっとしたものが晴れません。
理由を考えてみたらけっこうシンプルで、あっさり物事が片付きすぎてたからなんですね。

 {netabare}妖精の兵器転用で一儲け企んでたデニス・エルバジも{/netabare}
 {netabare}古代の生き残りでめっちゃ強そうだった吸血鬼も{/netabare}

煽りに煽ったわりにはあっさり片付いちゃって消化不良を起こします。
前段の盛り上げが良くいい空気を引っ張ってきたのに見せ場を省くか無くしちゃってto be continuedみたいな回が複数ありました。
例えるなら、印籠出すシーンが無くて気づいたらみんな平伏している水戸黄門。居眠り小五郎パートを省いたコナン君みたいな収まりの悪さと言って間違いはありません。作画カロリー削って動画の手を抜いたからかしら?の弊害を感じます。よって、


 悪くはないんだけどいまいちしっくりこない


答え合わせです。
ヒロインの作画は終始安定してたりもするので、この作品の大幅に落ち込んでる部分を流せる方であれば私のように楽しめるんじゃないかと思われた佳作です。




※異文化との付き合い方に関する雑談

昨今のトレンドでしょうか? 移民問題を扱っている作品が散見されます。
本作は異世界の “ セマーニ ” 人をメタに用い、もともと住まう地球人とセマーニ人との軋轢を描いてました。政治的な内容を多分に含んでおります。
興味が薄ければスルーでしょう。敏感ネタなので料理の仕方を間違うと視聴者の反感を食らいます。このへん作品のメッセージ内容に絞るとしたら、私は肯定的な立場です。


{netabare}1.選挙はベストな選択をするのではなくよりマシなのを選ぶ(ケイ)
⇒真理ですね。実生活の応用としては「ここがダメだからこいつは全部ダメだ」と言う輩の発言を信用しないことです。{/netabare}


作中ですと、あくまで市レベルなので矮小化されてます。実生活の県政や市政(区)だと人となりがわからないことが多いでしょうから、WEB検索ちらっとしてから投票に向かえば良いと思います。
「こいつはダメだからこっちよろしく!」な人に対して「じゃあお前はどうなんだ?」と考える習慣はついてる方多いのではないでしょうか?


{netabare}2.開かれてしまった以上ゼロには戻せない云々(ティラナ)
⇒これまた事の本質ですね。ある以上は仕方ない、で地道に改善していくのが良いと思ってます。グレートリセットは革命家/テロリストの発想ですから論外。ついでに○○人は帰れ!と吠えるだけとか、正統性をぼやいて静観するのも賢明とは思えません。


あなたならどうしますか?の思考訓練です。ご興味あれば以下ネタバレ開いてどうぞ!
※私案ならこちら↓

{netabare}⇒異文化はどこまで受け入れて何を切り捨てるかのコンセンサスが肝で、私なら「切り捨てアリ」の前提で合意形成を図ります。今ホットなネタを例に挙げればこんな感じ

第一段階:敵対行為にならないギリの線で国内準備する
・ビザフリーの停止。外国人土地取得の制限。不法滞在者強制送還の法に基づいた運用徹底。武装難民(便意兵)船舶の臨検ないし撃沈を可とするなど各種法整備をすすめる。
・外務省に予算を与え、カウンタープロパガンダを仕掛ける。人事評価に反映させればやる。

第二段階:多国間調整と二国間調整
・逆恨みは消えないだろうからスケープゴートを用意。候補は向こうが言うところの「善良な日本人」らが最適。有事には後ろから撃ってくる輩だし分断しとく。
・大陸のアキレス腱握っときたい。5Gだったり天然ガスだったり。むしろ半島よりこっちが重要。介入を限定的にさせるなど根回し要。
・有事の際の在留邦人安全確保のための取り決め。(※只今先方は日本の働きかけを絶賛黙殺中。人質とるぞ!の意思表示だと自覚したほうがよい)

第三段階:勝てない戦はしない
これは書かない。{/netabare}{/netabare}


あくまで自国の国益が最優先。無自覚な受け入れは将来的にはさらに大きな衝突を生みます。ヨーロッパはその繰り返し。学習してるようでしてません。

アンジーみたいに養子もらいまくりならその思想信条は置いといて傾聴に値しますが、多くは「自分のとこで雇わない」「自分の居住区近辺には入れない」言行不一致ポジショントークで安全なところから適当に耳障りの良いことを言って濁しております。差別だとかヘイトだとか言っとけばそれ以上ツッコまれないのです。


ドナルド・キーンだったか誰だったか


「日本人がしっかり日本人してればいくら来ようが問題ねーよ」


一定数超えてしまえば無理です。「郷に入ったら郷“が”従え」の連中相手に全て受容したら溶けて無くなるでしょう。あまり考えないかそれでもよいと考えてる方にとっては些細な話でしょうが、私はご免こうむりたい。

とは言いつつ“日本人がしっかり日本人してれば”の箇所は一利ある発言です。要はポリコレの変なのを潰しとけばそれ自体が抑止力になって増長できないのです。
そのようにして、一度開いた扉とはお付き合いを続けていかなければならず、じゃあやーめたとするには撤退戦略を練って実践する必要があるのだと私は思うのです。




さてさて、いつも通り脱線しましたが、最後に話を作品に戻して、、、
終盤のメタ移民問題に対する作品のスタンスは私が思う限り真っ当でした。手を取り合う未来目指して試行錯誤しながらお互い頑張りましょう!ってところです。

{netabare}当初、犯人をぶった斬ったティラナを諌めたケイが、ラストでティラナの剣を用いて思いっきりぶった斬ってたりしたのが象徴的でした。

おまえの言い分もわかるよ、と。{/netabare}


だからこそもったいないんですよね~
好きなんですよこういうの。。。



視聴時期:2019年7月~9月 リアタイ視聴

-------
2020.04.13 追記

上記【※異文化との付き合い方に関する雑談】ではお隣の半島を想定してます。


2019.10.06 初稿
2020.04.13 追記

投稿 : 2024/04/13
♥ : 53

えたんだーる さんの感想・評価

★★★★★ 4.2

賀東節は健在? おっさん刑事と異世界からの来訪者(美少女)とのバディ物!

== [下記は第5話まで視聴時のレビュー: 以下、追記あり] ==
このレビューを書いている時点では第5話まで視聴済みです。

原作は読んでいないのですが、賀東招二原作作品にありがちな原作者自らシリーズ構成を担当するスタイル。

太平洋の孤島カリアエナの近くの洋上に、我々の地球と異世界「セマーニ」とをつなぐ超空間ゲートが出現して15年。異文化の接点となった島には両世界の出身者が居住するサンテレサ市が構築されて極めて特殊な異文化交流都市として発展していた……、といった感じの中々魅力的な設定の本作です。

本作はそんな特殊な都市での警察的な組織に身を置くケイ・マトバと、セマーニから妖精が関わる犯罪を追ってやってきたティラナ・エクセディリカ(本当はもっと長い名前)によるバディ物です。

武器や戦闘に一家言ある感じの演出は賀東招二原作っぽくはありますね。4話で1エピソードのキリがついて、4話の引きから次のエピソードに入っています。1クールで3、4エピソードくらい消化される感じなのでしょうか。

今のところ楽しく観ています。
== [第5話まで視聴時のレビュー、ここまで。] ==

2019.9.20追記:
第10話、R.I.P.メッサーシュミットKR200…。
(さすがにKR175じゃないよね…!?)

今のこの、市長選挙のエピソードでシリーズを締めるのかな?

2019.10.1追記:
第12話(最終回)まで視聴終了。お話の切れ目としてはきれいに終わりましたね。作画はところどころ残念でしたが、ティラナに関してはまあまあ頑張っていたと思います。

ストーリー的に海外ドラマっぽい感じがありましたね。好き嫌いはわりとはっきりと分かれそうです。『91Days』(← オリジナルアニメーションですけど)とかもそうですが、ストーリー的には実写ドラマっぽさがあっても、いざ映像化するとなるとアニメの方が圧倒的に安くつく作品ですよね。

ケイとティラナがコンビとしてお互いを信頼していく過程が描かれたお話でした。毎回二人を叱りながらも案外良くしてくれる上司のジマー主任をはじめとして他の特別風紀班の面々や検視官のセシルも良かったです。

お互いへの信頼は、最後の戦闘場面にもしっかりと出ていましたね。作中で数多の名車たちが壊れましたが、それについては痛ましいです。

主題歌はOP/EDともに良かったと思います。特にOPは視聴の度にスキップせずに聞いていました。オーイシおにいさん、凄いです。

投稿 : 2024/04/13
♥ : 40

scandalsho さんの感想・評価

★★★★★ 4.9

ケイとティラナの軽快な掛け合いがツボ

原作未読。最終話まで視聴。

ケイ・マトバとティラナ・エクセディリカ。
地球人と異世界人。
刑事と騎士。
育った環境も正義に関する価値観も異なる2人がバディを組む、刑事アクション物。

最初の頃はお互いに反発し合うが、徐々にお互いの力量を認め合い、絆を深めていく。
そんな、ケイとティラナの軽快な掛け合いがツボです。

脇役も魅力的な人物が多いのが特徴。
2人の上司に当たる黒人警部なんて、最高にイカしています。


ただ、最終話がねぇ・・・。
ラスボス戦とか、もう少し何とかなりませんでしたかねぇ・・・(笑)。

投稿 : 2024/04/13
♥ : 36

66.5 6 2019年度の友情アニメランキング6位
八月のシンデレラナイン(TVアニメ動画)

2019年春アニメ
★★★★☆ 3.2 (250)
765人が棚に入れました
市立里ヶ浜高校に入学した有原翼は、野球部のないこの学校に「女子硬式野球部」を立ち上げる。そこに集うのは、野球にはじめて触れる少女や、一度はプレーをあきらめた少女、高い壁に挑み続ける少女……。時にぶつかり、競い、支え合って、里高女子野球部は青春を駆け抜ける!世界で一番あつい夏がはじまる――

声優・キャラクター
西田望見、近藤玲奈、南早紀、井上ほの花、花守ゆみり、緑川優美、高木友梨香、山下七海、佐伯伊織、白石晴香、八島さらら、立花理香

えたんだーる さんの感想・評価

★★★★☆ 3.8

意外にもガチで野球をやる……、のか!?

== [下記は第1話視聴時レビュー: 以下、追記あり。] ==
スマホゲームアプリが原作らしいです。

あまり真面目に観る気はなかったのですが、意外と悪くないかも?

・男子の野球部すらない詳細な理由は不明だが共学校。
・最初に部員募集していた子は少年野球経験者らしい。
・キャッチボールで握り方や投げ方からちゃんと教えてる。
・人数が足りなければ三角ベースでもやろうとする野球への意欲(笑)!
・最初は部員が足りず同好会からというスポ根もののセオリー通り。

意外と普通のスポ根ものとして観られるのかもしれません。前クールの『サークレット・プリンセス』かそれ以上には楽しめるかも。過大な期待は抱かないもののとりあえず視聴継続します。

補足: 男子の硬式野球部がない点については、作中で「元女子高だからじゃない?」といった感じの生徒の台詞がありました。ただ、世の中にはそれで甲子園出場まで果たしている愛媛の済美高校(共学化から3年目で春(初出場で優勝)/夏(初出場で準優勝)ともに甲子園出場)などもあるのでそれだけでは何とも言えませんよね。
== [第1話視聴時レビュー、ここまで。] ==

2019.7.16追記:
最終回まで視聴終了しています。楽曲的には「どんなときも。」(槇原敬之: 1991年)や「世界でいちばん熱い夏」(PRINCESS PRINCESS: 1987年)のカバーが使用されるなど、30年近く前の歌が出てくる「懐メロ」仕様でしたね。

そして第二次世界大戦でのメジャーリーガーの不在などをきっかけに創立された女子プロ野球リーグを題材にした映画『プリティ・リーグ』(1992年)を彷彿とさせる市立里ヶ浜高校女子硬式野球部のユニフォーム。

そして部活の内容は野球ということで、これらを懐かしく思える年代というと40代後半以上ということになりそうですが、そんなターゲットの狭さはさておきストーリーは部活物としてはわりと王道でそんなに悪くなかったとは思います。

ただ、作画面に関しては終始不安を感じさせる不安定さでした。ただ、可能な作業量を計算し尽くした結果なのか決定的な「作画崩壊」を迎えるには至らずなんとか全話乗り切った感じです。
(それでも「残念」な感じはありますが。特に比較的キャラクターデザインは良かったと思うだけに、なおさら…。)

ということで個人的にはそこそこ楽しめましたが、セールス的には厳しいみたいですね。私自身、本作の円盤やグッズに一銭も使っていません…。

投稿 : 2024/04/13
♥ : 45
ネタバレ

元毛玉 さんの感想・評価

★★★★☆ 3.1

もう少し丁寧に作って欲しかった…

原作未プレイ

女子野球物って初めてだったので期待して視聴しました。
アニメが良かったら原作プレイするかなーと思ってて
未プレイ…つまりはそういう事です(苦笑)

お話のざっくり概要
中学時代に全国優勝経験のある翼が、
一時期はやめていた野球を高校に入って、復帰
だけど高校には女子野球部は無かった
ほぼゼロスタートの女子野球部立ち上げ活動
未経験者をざくざく集めてついに野球部設立!
(あ、トライアウト落ちた経験者も一人いるよ)
女子野球部として練習に励み、全国を目指す…
って感じ

■物語
ストーリーは割と王道です。
作画と演出、構成としての魅せ方をしっかりやれば
十分面白くなったと思われます。

ストーリーが王道な分、構成は少しひねった方が
味が出たと思います。
例を挙げると
{netabare}
レギュラー落ちの所とか、時系列変えた方が
興味も惹くし、展開的にもしまったかな…と

先にベンチから応援だけしているシーンと
くやしさを滲ませる部分を先に描いて
その暫く後にレギュラーメンバーの所持ってくる
{/netabare}
とか

工夫でもう少しメリハリつけれたと思うのですが
終始淡々と展開していきます。

■作画
うーんと、、、まぁ微妙です。
ちょいちょい崩れてたり色指定が間違ってたり
女子野球部って事で、野球の動きの良さか
女の子の可愛さかは頑張って欲しかったけど
どっちも微妙という感じで残念。。。
せめてどっちかが良ければもう少し擁護したけど
両方だと厳しいなぁ…
CMでみたゲーム原作の絵は女の子可愛いですw
どうしてこんなに差が…(苦笑)

■声優
作画レベルに合わせたのか、原作からの作風なのか、
音響監督の好みなのか、分からないのですけど
あまり気持ちのこもったような演技では無かったです。
良くも悪くも重くならず全体的に軽い演技
作画や構成と相まって、より淡々とした単調な印象に…
全体のメリハリの弱さが浮き彫りになっています。
ゲームならそれでも良いかもですけど、
スポーツ物アニメだと勿体ないなぁ~と

あ、一応擁護しておきます。
キャストはあまりメジャーな人は少ないですが
何人かは知ってて、本来もっと巧い演技できるはずで
どう考えても、そういう演技指導があったと思います。

■音楽
OPはそこそこ良かった
EDは有名曲のカバー
BGMは記憶にもう無いぐらいなので、
まぁそんな感じです(苦笑)

■キャラ
個性的なキャラは一応一通り揃っているのかな
まぁ若干個性的すぎる気もしなくもないですw

ただ、魅力あるキャラクターとしてどうか?
となると、ちょっと弱い気がします。
自分はそのキャラクターをずっと見ていきたい
応援したい とかそういった感情が沸いた
(ファンになった)キャラを魅力的としています。
それは一人もいなかったです。
キャラが悪いとも言い切れず、
構成・演出次第で磨けば光る物は合ったかと…

他のレビュアーさんに「名前全員言えますか?」
って言われて…「う、無理っす」って思ったw
もう調べないとほとんど名前出てこないw
自分の記憶力がやべーw

■その他
B級ハンターとして認定しますが、ややB級です。
B級ランカーとしてはまだまだって所です。
{netabare}和尚さんの{/netabare}エピソードは中々にレベルの高いB級
そこだけで全体を釣り上げたのは凄い。

(。´・ω・)ん?何の話をしているのかって?
なぜかB級アニメ好き認定されて
「ハチナイはイケルっしょ?」ってなこと言われ
うーん、、、そこまでB級じゃないと思ってたので
あえてB級度を評価しましたw

自分の中でのB級の定義は「意味不明」につきます。
「ぶっちゃけこのキャラクターいる?」
「え?このエピソードいるの?何なの?」
って素で思えるのがB級ランクが高いのです。
二流≠B級 が持論なのでw

基本的にキャラクターもストーリーも展開も
そんなに奇をてらったものはなく、
極めて王道だと判断しました。
{netabare}ただ和尚さんの下りだけはガチでB級だったw{/netabare}

《B級に関する全く関係ない余談》
{netabare}
B級話題を振られて真っ先に思い出したのが
{netabare}
デニスフェルドマンのキツイ刑事(英タイトルはREAL MEN)
{/netabare}
こういうのがガチ勢のB級っす。
マジで意味不明だったなぁw
監督の頭の中が宇宙人だろ!!って思ってましたw

設定が既に意味不明、展開も読めない。
どうしてそれが必要なのかが全く理解できない。
全体的におかしい。ツッコミどころしか見当たらず

それがB級っす。
{/netabare}

《作中で思った超どうでもいいこと》
{netabare}
レギュラー落ちエピソード入れたかったんだと思います
でも11人いるし、8月のシンデレライレブンじゃね?
って思ったっす。

野球やめてサッカーにすれば皆レギュラーで
皆試合に出れて幸せ♪目指せなでしこジャパン!
とか不心得な感想を抱きながら視聴してましたw
{/netabare}

構成を練って、作画をしっかり書いて
全体的に丁寧に女子野球を描けば
良作になった可能性を秘めていた作品です。
それだけにちょっともったいないなと思いましたー。

投稿 : 2024/04/13
♥ : 37

えりりん908 さんの感想・評価

★★★☆☆ 3.0

頑張ってほしかったんだけど・・・

かなり評判、よくないみたいですね~
て言うか、
すでに埋没しちゃってるかも(>_<)

ほとんどが素人の女子高生たちが、
「野球やろう!」って集まって、
同好会を結成して、練習場所を確保して、
学校にも部活動として認められて。
今度は、「公式戦に出よう!」って頑張っている、
そんな前向きな青春ストーリーなんです。
なんですが・・・

野球に対する打ち込み方が、
情熱的に描かれてないから、
スポーツアニメじゃないよね?
楽しい部活アニメ?って感じになっちゃってます。
それで大会に出ようとか、
いかに女子高野球がレベル高くないと言っても、
さすがにそれはないでしょ?
ってなっちゃうのは、しょうがないのかな。

私、この作品は、
下着とかお風呂とかいった、エッチーな見せ方を一切しないとか、
登場キャラが全部女の子なのに、
きららみたいなユリっぽい展開まったく入れないとか、
凄く真面目に、こだわって作ってるって思いますし、
そういうところが、とてもいいって思うんですけど・・・

そういう作り方だから、男性視聴者には興味もって貰えないというのもわかりますけど。

例えば、「風が強く吹いている」みたいに、
強烈な目的意識とリーダーシップの持ち主がいて、
素人チームをぐいぐい引っ張ってレベル上げて…
なんていう展開に出来なかったのかな?って
今さらですけど、
思ってしまうんです。

今からでも遅くない!ホントはもう遅いかも知れないけど。
ちゃんとスポーツアニメ、して!
頑張って!って思うんです。


――――――――‐_‐――――――――――

終わっちゃいました、
何の盛り上がりもなく・・・

面白い題材だったと思うし、
しっかりと野球を描けることが出来れば、
もっとずっと盛り上がったと思うのに(>_<)

文芸部とか奉仕部とかとは違う、
運動部ならではのところ、
見せて欲しかったなって思います。

やっぱりスポーツなんですから、
そこを描かないと、
観てて、共感も応援も
出来ませんでした(ー。ー#)

投稿 : 2024/04/13
♥ : 37

64.9 7 2019年度の友情アニメランキング7位
Fairy gone フェアリーゴーン 第2クール(TVアニメ動画)

2019年秋アニメ
★★★★☆ 3.3 (124)
476人が棚に入れました
かつて妖精は、“兵器”だった―。 この世界には、動物に憑依することで不思議な力を宿す、妖精が存在していた。 妖精が憑依した動物の臓器を摘出し人間に移植することで、妖精を分身として出現 させ、兵器として扱えるようになる。妖精を戦争の道具として自在に操る兵士た ち、彼らは『妖精兵』と呼ばれた。長きにわたる戦争が終結すると、彼らはその役 目を終え、行き場を失う。あるものは政府に、あるものはマフィアに、あるものは テロリストに。それぞれの生きる道を選択する。 戦争から9年の歳月が経つ。主人公のマーリヤは、妖精に関連する事件を捜査・鎮 圧する、違法妖精取締機関『ドロテア』に配属されたばかりの女の子。 未だ不安定な政治情勢の中、戦争によって受けた傷や過去を持つ犯罪者が現れ、 復讐のためテロを起こす。 これは、無秩序な戦後に抗い、それぞれの正義を求め戦う 『妖精兵』たちの物語―。

声優・キャラクター
市ノ瀬加那、前野智昭、福原綾香、細谷佳正
ネタバレ

shino さんの感想・評価

★★★★☆ 3.7

Knockin' On Heaven's Door

P.A.WORKS制作。
妖精×戦記傭兵ファンタジー。

かつて妖精は兵器だった。
この世界には動物に憑依することで、
不思議で強力な力を宿す妖精が存在する。

設定過多な傾向がある戦記ものですが、
ここで簡単に整理しておこう。

<<ポイント>>
先の大戦で軍事利用された妖精兵は、
戦争が終結しその役目を終えるはずが、
その強力さゆえに闇社会で流通し、
時の政府に反旗を翻す陣営では、
未だに強力な兵力のままである。
人には過ぎ足るこの「力」をどう扱うのか。
主要人物の幾つかの視点で語られていく。
物語の軸はこういったものだ。

物語は中盤を迎え、
{netabare}マーリヤ・ヴェロニカ・ウルフラン、
そしてレイドーンの過去が見え始める。{/netabare}
前クール視聴が大前提となるが、
この立ち上がりでようやく整理出来ましたね。

7話視聴追記。
歴史の深部が垣間見え真相が露わになる。
{netabare}アインツ教団なる古代宗教組織の暗躍。{/netabare}
最終決戦に向けて物語が加速されています。

最終話視聴追記。
勢いにやや陰りを見せていますが、
P.A.制作のダークファンタジーも、
一定の完成度にはなってきたと感じています。
{netabare}神獣による文明の一掃、世界の浄化。{/netabare}

世界観に興味がある方はお試しあれ。

投稿 : 2024/04/13
♥ : 34
ネタバレ

ぺー さんの感想・評価

★★★★☆ 3.5

北アルプス幻想(ファンタジー)

※注)少年はみんな明日の勇者オーイェー、とは一切関係ございません

オリジナルアニメ 分割2クールの後半


昨夏(2019年)初めて富山県に足を踏み入れて、たしか南砺市でも一泊したと思う。言わずと知れたP.A.WORKSさんの本拠地であります。
だからといって本社はもちろんのこと、金沢含めてこの近辺を舞台にした作品をことごとく未視聴の自分は聖地巡礼は一切せず。風光明媚な北陸やアルプスを観光したわけでございます。もちろん山海の幸も堪能しました。つい最近現物を目に焼き付けた以上、自信をもって言えることがあります。


 {netabare}作品で描かれた背景の山々が立山連峰っぽい{/netabare}


前半12話。この度の後半12話。の全24話を観終わって、{netabare}最終回で目に飛び込んできた{/netabare}山々が綺麗なこと綺麗なこと。本作で最も印象に残った風景です。

サブストーリーもメインストーリーも“結果”だけ見ればそこそこ良くて、しかし“過程”がまるでダメという作品。あまり印象に残りません。
このご時世。画が最初から最後手前まで綺麗だったことは敢闘賞に値しますし、原作無しの中世近世を舞台にしたオリジナルファンタジーできちんと結論を出しての終幕というのも評価できます。割いた労力に見合う評価を取ってほしかったがもったいないっすね。



■噛み合わない物語

お話が面白ければOK!辻褄が合って納得できたり、隠されてたものが明かされたり、があれば良かったのですが…

{netabare}・「妖精憑き」が敵の手に渡ることの阻止。マーリヤは任務でありヤバさも重々承知してたはずが、レイ・ドーンをかっさらうグリフを追う気配すらない。死体を引きずっての撤収だからそんなに早く現場を離脱できるとは思えないのに。

これは一例。正確にはキャラの多さも相まって、目の前で起こっていることを追うので手一杯。「あの時こうだったからだよね。なるほど!」とピースがかちっとハマる感覚に乏しいのです。{/netabare}


一方で行動結果だけみれば物語的に良かったともいえるところがあるのでなんとも言えん。

{netabare}・レイ・ドーン公が改心してヴェロニカたちに謝る
・ヴェルの妖精原体がマーリヤに取り込まれるのはアツかった
・なんとか教が破滅に向って一直線というのにぶれてないところ

理由は不明でも、「やってること」「やったこと」だけみればなんとなく合点がいくのです。{/netabare}



■前に出てこないキャラたち

お話の整合性が乏しければ、キャラの魅力で強行突破!という方法も残されてたとは思うのですが…

{netabare}・黒の妖精書を求める理由も希薄なのはご愛嬌。特異な魅力のあったスウィーティーとパトリシアのコンビがフェードアウトしてったのは残念。
・戦争大好きビーヴィー・リスカーも中途半端。リスカーに惚れてる副官もそのきっかけみたいなの触れてれば深みが出てたかもしれないのに。

なんかしら作中でキャラはいろいろやらかすわけで、その行動の説明なりをキャラの口を通してでも回想でもアウトプットがあれば、感情移入も出来たのに。
“キャラの掘り下げ”がない印象。登場人物多くて覚えきれないのも足を引っ張りました。{/netabare}



なんとなく最後まで観たけど面白いというのとは程遠いです。しかしながらイラッとくるのとはまた違う流し見しがちなやつ。
よく分かんないので段々と集中力が削がれていき、とはいえ綺麗な絵だったりするのでついつい点けっ放しにしたまま最終回まで来ちゃった感じでした。

あとマーリヤ役の市ノ瀬加那さんのキャスティングは大正解だったのでは?
自信なさげ女子の演技では頭一つ抜きんでている気がします。




※オマケ

極めて私的なところなので以下は流しちゃってもらって良いのですが、個人的にはアイキャッチや妖精出す時の胸掴んで出す『ドクン』って音でしょうか。
ちょうど放送期間中に心臓に関わる領域で病気を患って入院してたこともあって、気が気でない音でもありました。こっちが“ドクン”とくるがな!みたいな。
また、普段でしたらマーリヤのような『命どぅ宝』を全面に出したキャラって苦手だったりするのですが、受け止め方ちょっと変わったかもしれません。

命あってのものだねですな。
どうぞ皆さん楽しいアニメライフを!



視聴時期:2019年10月~2019年12月   

------


2020.01.26 初稿
2020.02.29 タイトル修正
2020.07.27 修正

投稿 : 2024/04/13
♥ : 33

えたんだーる さんの感想・評価

★★★★☆ 3.9

ある意味、十文字青脚本っぽい「放り出し」感

オリジナルTVアニメですが、脚本は『灰と幻想のグリムガル』原作者だった十文字青先生です。

第1クール(あにこれの作品登録だと無印の『Fairy gone フェアリーゴーン』を観ていないとまったく意味不明で、話数も第1クールからの連番となっています。いわゆる「分割2クール」という奴ですね。

ということで「どんな感じの話か」というあたりについては第1クールのレビューをご覧いただければと思います。

物語としての主人公はマーリア・ノエルで、その重要な同僚であるフリー・アンダーバー、そしてマーリアと同郷のヴェロニカ・ソーン、フリーの軍人時代の同僚のウルフラン・ロウといったあたりがOP映像で強く目立つようになっています。

一応マーリアのカウンター・パートがヴェロニカ、フリーのカウンター・パートがウルフランというストーリー構造にはなっているのですが、ストーリーのほとんどがマーリア側というかドロテア視点で進んでいるのであまりこの構造が活かされた脚本ではなかったような気がします。

ヴェロニカはまだしもウルフランの心境の変化が良く分からなかった点と、ラストを「神獣」で力業で締めた感じがあるので評価としては「おしい、もう少し頑張りましょう」という感じではあったのですがキャラクターデザインがわりと好みにあっていたので、まあまあ楽しく観終えることができました。

ただ、他人に視聴を勧めるかというと微妙な感じの作品となりました。それでも変な総集編とかなく破綻なく全話が放送されたので、作品としてのある程度のレベルは保てていたといえます。

作画も人物の顔などが「ちょっとこれは…?」という回がありはしましたが、概ねある程度のクオリティーは保たれていたので作画が原因で視聴を断念するということにはならないと思います。

投稿 : 2024/04/13
♥ : 28

92.4 8 2019年度の友情アニメランキング8位
約束のネバーランド(TVアニメ動画)

2019年冬アニメ
★★★★☆ 3.9 (1111)
5355人が棚に入れました
母と慕う彼女は親ではない。共に暮らす彼らは兄弟ではない。ここグレイス=フィールドハウスは親がいない子ども達が住むところ。至って平穏なこのハウスでささやかながらも幸せな毎日を送る三人の主人公エマ、ノーマン、レイ。しかし、彼らの日常はある日突然終わりを告げた…

声優・キャラクター
諸星すみれ、内田真礼、伊瀬茉莉也、甲斐田裕子、藤田奈央、植木慎英、Lynn、河野ひより、石上静香、茅野愛衣、日野まり、森優子、小澤亜李
ネタバレ

フィリップ さんの感想・評価

★★★★★ 4.6

幸せな一生

アニメーション製作:CloverWorks、監督:神戸守、
シリーズ構成・脚本:大野敏哉、
キャラクターデザイン、総作画監督:嶋田和晃
原作:白井カイウ、出水ぽすか

森の中に佇む、グレイス=フィールドハウスという孤児院。
そこでは12歳までの子供たちが楽しく暮らしていた。
周りとは隔絶された世界。
外部とつながっている場所には鉄製の大きな門。
そのほかは深い森に囲まれている。
優しいママのいるハウスは子供たちの楽園。
里親が見つかった子供たちは、
定期的にハウスから去っていくのだった。

タイトル名はよく考えられており、
ふたつの言葉を合わせたものだろう。
旧約聖書の創世記12章に記されている、
イスラエルの民に神が示した土地である「約束の地」。
そして『ピーターパン』で、
森林の奥地に住み、親のいない
年をとらなくなった子供のいる国「ネバーランド」。
物語のストーリーをイメージしやすくなっている。
「ネバーランド」というと、
マイケル・ジャクソンの邸宅も思い浮かび、
その内実を思うと、さらに印象深い。

主人公のエマ、ノーマン、レイの3人がいい。
ストーリーはもちろんだが、このキャラクターたちが
物語のなかにどんどん引き込んでくれる。
真っ直ぐな性格で頭が良く、運動神経に優れるエマ。
ずば抜けた頭脳を持ち、正しいことを知るノーマン。
冷静な判断力と鋭い観察眼、卓越した記憶力を持つレイ。
彼らの動きや考え方を見ているだけでも楽しい。
いわば、小学生のときのクラスにいた、
何かするたびに驚かされ、私たち凡人を
いつもワクワクさせてくれる同級生たちを想起させる。

3人が互いに想いをぶつけ合い、理解し、
不可能なことをやり遂げようとする。
そして、それぞれに対する複雑な感情を抱えたまま
自らが信じた道を選び取ろうとする。
この関係性の妙が、作品の最も優れている部分だ。

1話からの構成力も見事。
原作の良さはあるのだろうが、
アニメスタッフの力も大きいことが分かる。
大きな流れを1話目で理解させ、
そこから各話ごとに盛り上げていく展開力は出色だ。

良質なハリウッド映画を観ているような感覚。
時代を象徴するような物語も含め、完成度が高い。

幸せな一生とは、どのような人生なのか。
子供たちやママの一生を考えさせられる。

{netabare}最終回でのイザベラの描写が秀逸で、
この時点で物語は完結している。
後のことを描くことが蛇足にならないかのほうが不安だ。{/netabare}
ここまでで実写映画を作っても十分に成立するだろう。

※EDのCö shu Nie 「絶体絶命」がお気に入り。
ピアノの打ち込みとベースが抜群にカッコ良い。
(2019年4月19日初投稿)

投稿 : 2024/04/13
♥ : 97
ネタバレ

ぺー さんの感想・評価

★★★★★ 4.5

生きていくんだ それでいいんだ

それは田園 こちらは農園 ・・・ふっ

・・・あ、ちょっと待って、{netabare}いやっ、行かないで~、、、{/netabare}な全12話。


原作も未読であれば、ジャンプももう何年も読んでませんね。週刊少年ジャンプの人気連載作品ということで、子供とTV前で待機。
第1話を観終えて彼らは静かに去っていきました。お子様と一緒に視聴するにはご注意ください。我が家でR12指定となった “ほんとに少年向けなんかいな?” な世界観です。


いやぁ毎週面白かったですね。なにせ間髪入れずもう一周しましたから。
導入良し→つなぎも良し→締め最高、、、と1話1話退屈せず、連載継続中ながら12話の尺で綺麗にまとめたことも好感です。結末を知って価値に気づきがちな序盤~中盤を面白く仕上げてもらってほんとにありがとう。2018年冬期の作品群の中でもトップクラスの出来でありました。
続きのある物語に対し早々に2期が決まったことで、今後の楽しみが一つ増えた幸福感もあります。


幕明けの舞台はグレイスフィールド(GF)ハウスと呼ばれる孤児院から。ママ・イザベラのもとで上は11歳までの子供たち30余名が一緒に暮らしてました。
ロケーションは大草原の小さな家。孤児院と聞けばあしながおじさんや若草物語のようなものを事前には想像してました。違うんだけどね。
そこの子供たちのうちエマ(CV諸星すみれ)、ノーマン(CV内田真礼)、レイ(CV伊瀬茉莉也)の3人が物語の主役。・・・それと彼らのみならずハウスの子供たち全員が主役の物語だったのでは?と思えるお話。
6歳から12歳までの間に里子に出されるとママから聞かされている子供たち。うち一人コニーとのお別れの日。別れを済ませた後、ぬいぐるみを忘れてることに気づいたエマとノーマンがコニーに届けようと後を追って。。。

そこから物語は一転。第1話ラストから最終12話までノンストップな子供と大人の心理戦?サスペンス?スリラー?またはホラー?が展開されます。
詳しくは本編で。農園の意味は早々にわかりますので、そこからハラハラドキドキを楽しみましょう。私的今期(2019年冬)のベストでした。


以下、思ったことを五月雨に。※ネタバレ

■ホラーやスリラーではなく心理戦でした
猟奇的な世界観で色濃く印象的だったのは、エマら子供たちとママ・イザベラ(CV甲斐田裕子)、シスター・クローネ(CV藤田奈央)の大人らとの駆け引きです。この腹の探り合いに集中できたのは不要なホラー演出を削いだからなんじゃないかと思ってます。
{netabare}例えば、子供らが謀議している最中に物陰からニュッとママやシスターが登場するような演出は皆無でした。双方に企みを盗み聞きしたり直接知るような描写がありません。状況証拠や間接的な言動からの探り合いに絞ってました。{/netabare}
{netabare}ママもシスターも元はと言えばフルスコア。さらにトレーニングを積んで派遣され実地で鍛えられた猛者です。直接でなくてもなんでもお見通し、一筋縄ではいかないラスボス感を十二分に引き出す効果がありました。{/netabare}


■絶望からの分岐
絶望を知った後にどう分岐していったか?の対比が好きです。
{netabare}言うまでもなくエマ、シスター・クローネ、ママ・イザベラの3名です。
エマ:抗う人。もちろんそこは主人公。けっこう身も蓋もない世界なのにエライよこの子!
シスター:堪えられなかった人。躁鬱の躁。壊れてましたね。選ばざるをえなかった道もイバラの道。自分♂ですがシスターやママやってたら正気を保てる自信がありません。
ママ:受け入れた人。ってまんまですが、シスタークローネが壊れてた分余計に底の知れぬ深い絶望を受け入れたことがわかり、そのことが最終盤効いてきましたね。{/netabare}
{netabare}一周めはノーマン、レイ、エマの3人を中心に観てました。最終回を見届けて今度はエマ、クローネ、イザベラの3人に焦点をあてて。けっしてクローネはネタキャラではないのです。{/netabare}


■イザベラ
{netabare}マンドリンの少年(レスリー)の曲が印象的な本作。イザベラにとってどういった意味を持つのか?
第1話コニーを門まで送る時の鼻歌が初出。第10話ノーマンとの別離。第11話でレイが火をつけた時。せめてもの手向けなのかレスリーの記憶を留めておきたかったからなのか。
ハウスで過ごした記憶の欠片を手離してなかったことに意味があったんじゃなかろうかと思います。{/netabare}

{netabare}「絶望に苦しまずに済む一番の方法は諦めることよ。抗うから辛い。受け入れるの。楽になれるわ。簡単よ。」

{netabare}かつてのイザベラが現在のエマだっていうのが、これまた切ないのでした(語彙力)。頼れる仲間がいたかどうかの差なんです。{/netabare}{/netabare}


■声優さんの演技
あらためてやっぱり声優さん凄いな~と思いました。
ノーマン役の内田真礼さん。ギルダ役のLynnさん。演技の幅って無限に広がるんですね。
それと短いセリフに込められ感情の豊かさでしょうか。※特定シーンのため閉じます。

{netabare}・「うん」エマ
ノーマンと別れの際、絞り出した「うん」その数8回。その短い言葉一つ一つどれも違っていて、ないまぜの感情が伝わってきた名演です。{/netabare}

{netabare}・「いってらっしゃい 気をつけてね」イザベラ
絵と音の力ではないと思うんだよな~。憑き物が取れた嘘偽りない「私のかわいい子供たち」に聞こえました。ダメねこういうの(T_T){/netabare}



次が気になる展開、裏をかいてまたその裏をかいての緊張感の続く化かし合い。
その根底で「絶望」との向き合い方で道の別れた3人に強いメッセージ性も感じました。
OPEDも作品に合った良いチョイスですね。


{netabare}・識別番号は連番ってことはなさそう。意味はあるのか?
・2期は頭脳戦からサバイバルみたいになるんだろうね。趣きはだいぶ変わりそう。
・イザベラ処分されるんだろうな。
・てかノーマン{/netabare}

きちんと謎や伏線は残したまま2期へと繋がるわけですが、もやっとした感情は無く、終わり方含めなんともすっきりした全12話でした。


それにしても、、、
{netabare}ヒーロー願望というか、男は死にたがるというか諦めが早いというか自意識が強いというか。女性の胆力の強さをまざまざと見せつけられた気分になりました。{/netabare}



視聴時期:2019年1月~3月 リアタイ視聴

-----
2019.09.17追記
《配点を修正》 +0.1

その後他のレビュアーさんとのやりとりでもやっとしたとこが解消しました。あざまーす!
2期前提ではあるものの、そこへの繋ぎ方と一作品としてのまとまり具合に嫌みがないこと。他の作品とのバランスを考慮し加点しておきます。



2019.04.13 初稿
2019.09.17 追記/配点修正
2022.01.30 修正

投稿 : 2024/04/13
♥ : 83
ネタバレ

scandalsho さんの感想・評価

★★★★★ 5.0

原作既読組にとって、この手の作品は・・・?

原作既読。最終話まで視聴。

週刊少年ジャンプは40年近い愛読書です(笑)。
連載開始当初から、緊張感満載のこの作品はお気に入りの作品でした。
お気に入りの作品のアニメ化なので、本作も、とても注目していました。

【原作既読組にとって、この手の作品は?】
原作既読組は、当然、先々の展開を把握しています。
そんな状況の中で、この作品の一番の魅力である『緊張感』を楽しめるかどうか?
そこが、この作品の評価の分かれ目だと思います。
{netabare}
言うまでもなく、私も先々の展開を把握しています。
それでもハラハラドキドキが止まりません。

力のこもった作画。
巧みな演出。
映画のようなカメラワーク。
声優さんの熱演。

全てが上手くかみ合った本作は、『名作』に分類されるべき作品だと思います。{/netabare}

【正直、原作と比べるとかなり話が省略されているんだけどね・・・】
{netabare}全ては、大感動の11話~12話へ繋げるため。
ここから逆算して、必要最低限の物語を紡いでいったという印象です。

エピソードはもっとたくさんあるんだけど、あえて必要最小限のエピソードに絞った。
第2期に回せるエピソードは第2期に回す。

そんな制作陣の苦渋の選択が伝わってきます。{/netabare}

【食用児・・・って、凄い単語ですよね】
{netabare}この単語だけで、この物語の世界観が凝縮されている気がする。
エマをはじめ、子供たちの必死さが伝わってくる。
何かが狂った世の中であることが、ひしひしと伝わってくる。{/netabare}

【ところで、各話のタイトルの意味って分かりました?】
{netabare}各話のタイトル、例えば第1話なら『121045』。
これの意味って分かりました?
{netabare}あれって、『日・月・年』なんですよね。
『121045』=『2045年10月12日』という意味。{/netabare}
要するに、1話から9話までは20日余りしか時間が経過していませんが、9話と10話の間だけでも2か月以上に時間が流れていることが分かります。

この間、エマたちはママだけではなくレイの目も欺き続けたことに・・・。
だから、11~12話にかけて、レイは驚きっぱなしだったんですね。{/netabare}


第2期も期待しています。

投稿 : 2024/04/13
♥ : 78

80.3 9 2019年度の友情アニメランキング9位
ワンパンマン(第2期)(TVアニメ動画)

2019年春アニメ
★★★★☆ 3.7 (618)
3365人が棚に入れました
趣味でヒーローを始めた男、サイタマ。3年間の特訓により無敵のパワーを手に入れ、あらゆる敵を一撃(ワンパン)で倒すヒーローである。ひょんなことから弟子となったジェノスと共にヒーロー協会で正式なヒーロー活動を開始する。 怪人発生率が異常に高くなる中、大預言者シババワが遺した「地球がヤバい」災害の可能性があると対策に乗り出そうとするヒーロー協会。そこに怪人に憧れるガロウが現れる。

声優・キャラクター
古川慎、石川界人、梶裕貴、安元洋貴、早見沙織、緑川光、松風雅也
ネタバレ

ぺー さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

大事ヲ成スニ志ナカリセバ 煩悩ニ澱ミテ 毒林檎食ラフベシ

原作さわりだけ


息子の中学で流行ってたらしく、思春期の息子と一緒にゲラゲラ笑いながら観ることが出来ました。という極めて私的な理由で高得点。シンプルに楽しめる良作です。
OPの作詞が森雪之丞氏だったりJAMだったりで胸アツなのとサイタマ役の古川慎さん歌ウメェ~のEDだったりと主題歌が極めて優秀でございました。

全12話。作中では1期から継続しての13話~24話の扱いです。1期見逃したところで途中からでもついていける仕様だと思います。

肝心の中身は、1期と変わらずというかよくキープできたなという印象。
なぜなら宇宙最強を倒し、パワー系でインフレするなら自ずと限界が訪れると危惧していたからです。
2期ではそうならず、サイタマやジェノス中心だった物語から、別のヒーローたちの各々の立ち位置やお悩みといった視点から見るサイタマ像へと変化を加えてきました。
1人称から3人称への変化とでもいうべきでしょうか。
・ヒーローでもS級A級B級C級といったクラスの違いによる意識の差
・武道家/剣士といった協会所属してない猛者たちの思惑
・怪人を名乗る人間{netabare}。ガロウ(CV緑川光)良かったっす。{/netabare}
これまた個性的な面々で退屈しないのとモブに近いキャラすら一癖あったりでした。中心軸は怪人らで結成された“怪人協会”とヒーローを中心とする人間たち“ヒーロー協会”との闘いです。やや群像劇の装いで、深みといいますか拡がりが出たのではないかと思います。


ただし拡がりは諸刃の剣。あらためて1期の自分のレビューを読み返してどこに着目してたのかおさらいしてみました。見どころは概ね以下2点としてたみたいです。

1.事前の煽りにクスクスしよう
2.ワンパンを見逃さない

世間的には2.で名を馳せた名作と言われています。バトル作画の迫力に魅せられる、ということ。
ややふんわりとした群像劇ならばサイタマの登場機会は減るわけなのであります。それはワンパン数の減少と同義。制作会社の変更の影響は言わずもがな、前作ファンが本作に期待するところとのズレはどうしても生じてしまいます。このへんのさじ加減は本当に難しいことが理解できる2期でした。
さて、世間的には…としたのは自分が重きを置いてたのが1.だったから。思いの外影響は軽微だったのが幸い。
{netabare}前口上は前作以上。前座を務めたゴウケツ(CV乃村健次)戦でのスイリュー(CV松風雅也)。もはやプロ前座といえる大怪蟲ムカデ長老(坂東尚樹)戦でのジェノス(CV石川界人)。今回も楽しませてもらいました。{/netabare}


もう一つ1期レビューからの引用。本作のテーマについて

 “ヒーローってなんだろう?”

“夢”ではなく“志”の不足が気になってた1期です。「ヒーローになってサイタマはなにを成したいのか?」
今回出番少なめのサイタマは、その答えを探している描写が多かった。そして周辺キャラにも多くを語らせます。志無き者はアダムの林檎{netabare}(怪人細胞){/netabare}を手にしてしまうのです。ここを見逃すともったいない。林檎を手にした者はいってみれば「ヒーローになりたいだけ」の面々でした。

{netabare}志については奇しくも第18話で蛇咬拳スネック(CV三木眞一郎)がスイリューに語りかけます。
「お前のようなたいして志ももってなさそうなやつに!」
・・・巡り巡ってスネックらの志の高さにスイリューも感ずるものがあったようですね。良いシーンでした。{/netabare}


原作も続いているようですしなんとも中途半端な終わり方ではありましたが、私自身の中断は無くなりました。
“サイタマがヒーローになってなにを成したいのか?”を見届けたくなった2期です。



※オマケ
■気になったところ
{netabare}「オ兄チャン 名前ヲ決メテ!」
脳内再生けっこうな量に(笑)
結局キングは『どきどきシスターズ』をプレイできたのだろうか?{/netabare}

{netabare}腹こわしてしまった“音速のソニック”は怪人になり損ねてましたね。こういう小ネタがいちいち面白い。
お仲間の“疾風のウィンド”“業火のフレイム”なにげに里の命名規則を遵守しております。{/netabare}


■兄だけではなく
「S級ヒーローの小学生みたいな人、コナン君の声に似てない?」
と娘からの指摘。その通りだ、わが娘よ。もしかすると声豚属性があるのかもしれない。
そして小学生みたいな人のヒーローネームについては・・・言葉にするのはさすがに憚られました。


視聴時期:2019年4月~6月

-----


2019.07.07 初稿
2019.07.27 修正
2020.02.02 修正

投稿 : 2024/04/13
♥ : 51
ネタバレ

元毛玉 さんの感想・評価

★★★★★ 4.1

特番●ンパンマン

原作未読

特番の戸田恵子…あんた、●ンパンマンやんけ!
絶対狙ってるキャスティングでしょこれ。

というか、

「新品顔●ンパンチ≒マジ殴り」(確かに一撃で倒してるし)

として考えると、●イキンマンって結構強いな~
バイバイキーンってセリフしゃべる余裕があるなんてやるやん
特番の話はさておき、2期のあらすじは…ワンパンマンって事ですかね。

2期で出てきた新キャラ
{netabare}
■ガロウ
{netabare}
なんか一番主人公してた気が…w
怪人になりたい人間らしいっす。緑川さんの超イケボっす。イケボすぎて惚れそうw
チョップとかキックとかでパンチ受ける事なくサイタマに敗北した事すら気づいていない…
さすがにちょっと弱すぎるので続編では怪人細胞食べるのかな?
それでもマジ殴りまでは引き出せない気がする…
{/netabare}

■スイリュー
{netabare}
「武術とはなんか動きがカッコイイもの」
そうかもしれないwww
パンチどころかヒップアタックで瞬殺されてしまった。
さすがにボロスとかに比べると弱すぎる。
ヒーローにはなれない気がする…サイタマ目指すならやめとけって伝えなきゃ…
{/netabare}

■フブキ
{netabare}
姉と違って、B級とかなり差が出来てるみたい。
タツマキは成長の全てを超能力に全振り
フブキは美貌とか身長とか胸とかにバランスよく振ってしまった
って所か…極振りしてもサイタマには及ばないので(彼にはパラメータの概念すらなさそう)
胸にはもう少しふっといた方が良かったんじゃ…ア、タツマキサン、スンマセンヤメテー

わりとちゃっかりサイタマの家に上がり込んでるし
メインヒロインポジ狙ってるんだろうか?
{/netabare}

全体的に弱いキャラばかりで強敵は出てこなかったですね。
まぁサイタマに勝てないのはしょうがないとしても
もう少し強いキャラ出しても良かったのかも?
{/netabare}

タイトルから分かる通り、俺TUEEEE系というか
そういった分類を超越した所にある作品ですね。
所謂ご都合ではなく、予定調和って感じ
サイタマのパンチは水戸黄門の印籠みたいなもんなんで
出すまでのお約束を楽しむ感じですね。

ジェノスとキングについて
{netabare}
しかし、弟子の鬼サイボーグことジェノス…
完全にかませすぎてw可哀そうになってきましたw
しかも師匠のサイタマの事を一番分かってないと来たもんす。

S級で最強と名高いキング…
サイタマとの対戦では接待でわざとギリギリの勝負にみせるという
梅原大吾ばりのエンターテイナーw
ステは幸運とゲーム技術に極振りかな?

だけど、割とサイタマと相性良いみたいです。悩み相談受けてたし…
一番サイタマの強さを分かってて信頼してるのがキングですね。

鳴り響くキングエンジン、襲い掛かるムカデ長老
自分の命をすべてサイタマにベットしたキング…かっこよすぎ!
絶対にサイタマが一撃で倒すと信じて無いとできない行為ですよね。

戦闘の余波ですら死ぬ可能性あったのに、確実に一撃で倒すと見越してたんでしょう。
一番、強さの見極めが出来てるのかも知れませぬー
{/netabare}

なんというか2期もちゃんとワンパンマンしてましたー。
{netabare}お腹を音速で下す{/netabare}ソニックも見れてほっこり。(彼もかませが身に沁みついてるね)

強さとは何なのか?
ヒーローとは何なのか?
この退屈は晴れるのか?
髪の毛は復活するのか?
3期切望です!!!

投稿 : 2024/04/13
♥ : 33
ネタバレ

剣道部 さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

伝家の宝刀は、抜いたら終わり。抜くまでが勝負。

[文量→中盛り・内容→感想系]

【総括】
とにかく、最後まで観て。それから、「ワンパンマンか否か」を判断してほしい。

1期に比べればそりゃそうだが、全然悪いアニメには思えなかった。私的には、ギリギリで、ワンパンマンです(笑)

《以下ネタバレ》

【視聴終了(レビュー)】
{netabare}
序盤こそ、劣化ワンパンマンだったが、終盤に取り返し、なんとかカタチになった。

とにかく作画力に(1期との)差があり、微妙だった序盤。だけでなく、ギャグの切れ味も悪く、サイタマのワンパンの敷居が低くなり、その価値を下げてしまった序盤。そのまま終わってしまっていれば、制作会社は死ぬほど叩かれただろう。私もそのつもりだった。

しかし、中盤の天下一武道会wでやや取り返した。サブキャラを用いて熱い展開を演出し、どうしようもなくなったところで、「先生」が登場するのが、ワンパンマンの王道パターン。そこは上手くやれていた。

終盤は、圧巻。

ガトリング達VS牙狼のバトルは、ほどほどに魅力があったが、なにより、牙狼の格好良さ。

イジメが怪人を生み、怪人によるヒーロー退治を通して、「ヒーローアニメのくせにヒーローを否定する」あたりは、いかにもONE先生っぽいシナリオ。牙狼の魅力がグッと高まった。

そして、対ムカデ長老編。熱かった。

ジェノスやファング、キングでがっちり演出しといての、満を持してのサイタマのワンパンチ。これこそ、「ワンパンマン」。

とにかくこのアニメは、「ワンパンで終わる」ことは視聴者全員が分かっているので、それまでにどれだけの下処理をするかに全てが懸かっている。

正に、伝家の宝刀。簡単に抜いてはならない。

最終の2話に関しては、何の文句もない。素晴らしい。

ただし、1期はこのクオリティが12話を通して観られた。また、ギャグの切れはあきらかに、2話になって低下している。

そういうことで、1期より☆を1つ落とさせてもらったが、それでも十分に面白いアニメだった。まあ、同期のレベルの低さに助けられた感もあるけど。
{/netabare}


【各話感想(自分用メモ)】
サイタマにワンパンは食らいたくないんで、一期に引き続き、各話感想を全て20字以内でまとめてみました(笑)

{netabare}
1話目 ☆3
新展開。全ては前フリだがw

2話目 ☆3
作画落ちたな。止め絵は綺麗でも動かない。

3話目 ☆3
ハゲマントの、ワンチョップ(笑)

4話目 ☆3
サブキャラで、繋ぐだけでは無理がある。

5話目 ☆3
恋人が来ていない、セーフは笑ったw

6話目 ☆3
S級の、強さがイマイチ、わからない。

7話目 ☆4
武術とは、なんか動きが格好良い(笑)

8話目 ☆4
これがワンパンマン。ワンパンまでの盛り上げ。

9話目 ☆4
最強ではなく最高のヒーローに。

10話目 ☆3
連携バトルも、なかなか面白い!

11話目 ☆5
もう、ガロウが主人公でいいやん(笑)

12話目 ☆5
イジメから、怪人に。ワンパン、キターー!
{/netabare}

投稿 : 2024/04/13
♥ : 24

85.3 10 2019年度の友情アニメランキング10位
女子高生の無駄づかい(TVアニメ動画)

2019年夏アニメ
★★★★☆ 3.9 (831)
3313人が棚に入れました
ちょっと残念な女子が集う、さいのたま女子高校を舞台に、とてつもないバカ・田中(通称:バカ)、アニメや漫画を愛するオタク女子・菊池(通称:ヲタ)、いつも無表情でロボットのような少女・鷺宮(通称:ロボ)を中心に、個性豊かで魅力的な仲間たちが、女子高生というキラめきに溢れた青春を無駄に浪費していく抱腹絶倒のJK学園コメディが今、幕を開ける!

声優・キャラクター
赤﨑千夏、戸松遥、豊崎愛生、長縄まりあ、富田美憂、高橋李依、佐藤聡美、M・A・O、興津和幸
ネタバレ

イムラ さんの感想・評価

★★★★★ 4.1

ひらひらと神が舞い降りた第七話

<2019/7/6 初投稿>
原作未読。
観始めなので評価はデフォルトの3.0

今1話観ました。
モテたい、彼氏を作りたい
そんなことばかり考えてる女子高生が主人公。
ボケ役です。

つまりコントアニメ。
主人公のボケ役の子は個人的には好感度高く、割と面白い。

しかし。
おしむらくはツッコミが弱い。
ツッコミは大事。

ヒナまつりの新田さん並みのツッコミ役がいれば化けるのにな。

<2019/7/16 追記>
錦織を圧倒したフェデラーを
最後の最後、精神力だけで打ち倒すジョコビッチ
ジョコのメンタルはどうなってるんだろう?

というわけで2話観ました。

今週のツボ
「足が曲がらない病気」
なんか昔、そんな話聞いたことある 笑
下手な少女漫画あるあるだったかな

ところで作者はヲタに自己投影してますね。
ヲタのエピソードの時、やたら生き生きしてました( ・∇・)

<2019/8/5 追記>
5話まで見たんですけど。
主人公のバカ、割と好きなキャラなんですけどねえ。
笑いがつまらない。

周囲のキャラの方が面白いんだよなー。

ところで毎回出てくる公園とか通学路、妙に雰囲気が良いっすね。
実在なんでしょうか。

<2019/8/16 追記>
第7話
街ブラ番組なんかで定番の顔を嵌める観光地の"あれ"
実際やってみるとさして面白いわけでもない"あれ"

そんな"あれ"で奇蹟的に笑いに包まれてしまった。
それは笑いの神がひらひらと舞い降りた瞬間。

このアニメ、たまに一発入る。
侮れないっす。

<2019/8/24 追記>
8話、水着回。

確かに水着回だったけど、笑いのツボはフジツボでした。

秋田だったか青森だったか
食用フジツボの養殖やってますね。
食用は結構でかい。
高級和食店で出されてるそうです。
一説では精力剤だとか。

まあでもフジツボと言えばやはり
「膝の皿の裏側にびっしり」
の都市伝説が定番で私はちょー苦手です。
群体恐怖症の気があるのかも

<2019/9/16 追記>
11話

今回はぴーなっつPの話(ウソ)笑
それにしても落合福嗣さんはモグゾウといい凡田夏之介といい、良い味出してます。

今回は「何も知らない{netabare} お父さんが突然客で来てうろたえるキャバ嬢{/netabare}」みたいな話・・・であってますか( ・∇・)?

主役はヲタですが
ヲタ回はやっぱり作者の情感こもってる気がするなー。

もうすぐ終わりなのでとりあえず評点つけてみました。

ワセダとミロの区別がつかなくなりつつあるのは私だけでしょうか?

<2019/9/22 追記>
最終12話

最終話は初心に戻って「バカのボケ」と「ヲタのツッコミ」そして「ロボの放置プレイ」

こう書くとこの3人、
最近人気のお笑いトリオ「四千頭身」と同じ構成なんですね、
ということに気がつきました。

それはさておきネタ自体はかなり面白かった。
原作だったらおそらく大爆笑してたと思う
読んでないから想像だけど

ところが自分にはヲタの声がどうもダメでした。
ツッコミのリズムもさることながら、「元は綺麗な声した女性が無理矢理低い声出してる」感がどうも苦手。
普通のトーンの女性の声でも十分だったのにな

原作が大好きな場合を別にすると、「声優の声が合わなくて困る」って自分はほとんどないんですよ。
記憶にない。
もしかしたら過去レビューでどっかの作品にそんなこと書いてるかもしれないけど少なくとも今は思い出せない、くらいない。

↑の方で「バカのキャラは好きだけどボケがつまらない」なんてこと書きましたけど、バカのボケがどうこうというより、ボケへのツッコミの方がどうも自分の中ではハマってなかったようです。

それがなければ評価プラス0.3ぐらい上がってたかも。

でも他の方のレビューではヲタの声×って全くないからたぶん自分が合わないだけなんでしょう。

<2019/9/24 補足>
ヲタの声が苦手、というのは正確に言うと「ヲタのツッコミの時の声が苦手」というかなりマニアックな苦手です。

投稿 : 2024/04/13
♥ : 61
ネタバレ

scandalsho さんの感想・評価

★★★★★ 5.0

残念なJKたちのくだらない日常

原作未読。最終話まで視聴。

個性豊かなJK8名と担任教師の、日常系学園コメディ。
少し(?)残念なJKたちの、くだらない日常に、笑いが止まりません。

個人的なお気に入りは、{netabare}バカがヒラメキで考えたあだ名が、クラス中に浸透してる{/netabare}点。

豪華声優陣によるテンション高めかつ、テンポの良い演技が本作の魅力です。

あと、ワセダも良いですね。
ヤマイと真面目に向き合っているシーンとか最高です。

投稿 : 2024/04/13
♥ : 58

えたんだーる さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

ラブのないコメディ。個人的には好みかも。

==[下記は第2話目まで視聴時レビュー: 以下、追記あり。]==
第1話開始時に別件にハマり視聴スタートしそびれていましたが、続けて第2話まで観終わりました。2話観た限りでは、たぶん漫画原作(未読)を読んでも楽しめそうに思います。

舞台は女子高。小学校が一緒で高校入学を機に再会した田中望(たなか のぞむ: バカ→バカ)、菊池茜(きくち あかね: オタク→オタ)、鷺宮しおり(さぎのみや しおり: 表情が乏しい→ロボ)の三人がメインキャラで、他に一奏(にのまえ かなで: 何事にも生真面目→マジメ)、桃井咲久しい(ももい さく: 外見が幼い→ロリ)、山本美波(やまもと みなみ: 中二病的行動→ヤマイ)といったキャラによる日常系コメディです。

台詞の言葉遣いなどには、伝え聞くところの「女子高の生徒」らしさを感じます。実際のところを知りませんが、作者は女子高出身なのかもしれませんね。

この手のコメディ枠でありがちな「バカキャラがどうやって入試に合格できたのかわからないレベルでバカ」という問題があるのですが、それは作中でも触れられつつサラっと流されていて謎のままです。

作画は、作中キャラの作画をネタにできるレベルで安定はしていると思うのでそんなに悪くはないですね。

会話や人間関係に重きを置く人には向いていて、作中にイベントを求めるタイプの人には向いていないという意味でまさに「日常系コメディ」だと思います。

個人的にはこういう作品は好きなので、今後も期待して観るつもりです。
==[第2話目まで視聴時レビュー、ここまで。]==

2019.9.21追記:
第12話(最終回)視聴終了。シリアスなエピソードを挟んで「良い話」方向に進みかけても、最終的には「続いても続かなくてもいいや」的なテキトーな雰囲気で終わるのはこの作品らしさかも。

ただ、一応「最終回」らしいお話ではありましたね。そして魔女、あんな怪しげな薬を作れるあんた何者だ(笑)。

最後まで面白かったです。

投稿 : 2024/04/13
♥ : 56

85.7 11 2019年度の友情アニメランキング11位
Dr.STONE(TVアニメ動画)

2019年夏アニメ
★★★★☆ 3.8 (753)
3291人が棚に入れました
全人類が、謎の現象により一瞬で石化して数千年――。超人的な頭脳を持つ、根っからの科学少年・千空が目覚める。「石器時代から現代文明まで、科学史200万年を駆け上がってやる!」。絶体絶命の状況で、千空は仲間を探し、世界を取り戻すことを決意する!

声優・キャラクター
小林裕介、古川慎、佐藤元、中村悠一、市ノ瀬加那、沼倉愛美、前野智昭、村瀬歩、上田麗奈、高橋花林、河西健吾、麦人
ネタバレ

ぺー さんの感想・評価

★★★★★ 4.2

はーすげー!へーすげー!の連続

原作未読


JUMP案件全24話。
謎の石化ビームで人類が活動を止め3,700年。いにしえの時を越えて石化が解けた一握りの人類が科学の途絶えた地球でその科学の知識を駆使して失地を回復していく物語。
主人公はどんだけ幅広く深く網羅してんのよ!なスーパー理系高校生の石神千空(CV小林裕介)。見た目は下仁田ネギを擬人化してオーケンのメイクをしたような感じ。ジャンプっぽいデザインです。そして同級生の高校生ら数名。

『戦国自衛隊』だと現代兵器を信長時代に持ち込んで大暴れとなりますがこちらは持ち込み不可。3,700年ほったらかしだとさすがに文明は絶えて石器時代以前の原始時代かのよう。
同期の『本好きの下剋上』のように現代の頭脳を持ったまま後進文明に乗り込んで「無ければ作ればいい」を試行錯誤するのに似てます。『JIN』も同系統でしょう。そしてさらに文明がないところからスタートするのが本作なわけですからこのテのものでは最難関ハードル。ちょっとワクワクします。

それと自分幼稚園の時でしょうか。世界名作劇場『ふしぎな島のフローネ』から漂ってきた匂いと同じものを感じます。OPもEDも覚えてます。木の上の家は憧れでした。
つまりあぁそういうことか。原体験からくる刷り込みがどうやら自分にはあるようです。
イキリ主人公が教育上どうかとは思われど、少年少女が“科学の面白さ”に触れる良い機会になるやも。


 {netabare}オイラ文系でラッキー?{/netabare}


化学ならびに物理の理系科目に不案内なため、アニメで描かれている試行錯誤の産物が乾いたスポンジに水が浸み込むようにすーっと入ってきます。

{netabare}パクチーとライムなんかでコーラ作れんの?マジでスゲー!{/netabare}

信じるかどうかは俺次第 キリッ なんす。

そして前半のOP「Good Morning World!」がすこぶる良い。なにが良いかって作品にばちっとハマる感覚。久しぶりです。ピストルさんっぽい声質もしっくりくる良曲です。


障害ももちろんありますよ。
文明を起こそうという主人公らを妨害するのは野生の肉食動物や自然の猛威だけかと思いきやそう簡単ではありません。
アンチ文明の敵対する勢力もわりと序盤から登場し、主人公らの前に立ちはだかります。まあバトル要素ですね。


 科学の試行錯誤+バトル要素


このバランスが崩れず2クール完走でした。原作が続いているので続編期待な感じでの終幕。
大袈裟でしょうが“人類の叡智”の触りを感じるのにちょうどよい良作です。ごちそうさまでした。



※オマケ

■“霊長類最強の男”獅子王司ってどうよ?

あらためてこうして見るとすごい名前ですね。さてこの方について
好きですか?嫌いですか?どんなキャラだと思いますか?
私はちょっと受けつけないですね。作者の術中にはまってるのかもしれません。

1.{netabare}動くゴールポスト

敵視する対象が最初は“我欲にまみれた汚い大人”。ピュアな若い連中のみ石化解除しようともちかけ、それを千空に拒否されることで対立の芽が生じました。描かれてませんが、「お前らが年くったらどうすんだ?」と疑問符が浮かびます。
それがいつの間にか“科学を信奉し文明を起こそうとする者”へと。考えが深化したとみるよりゴールポスト動いてんじゃんとみてます。でさっそく作中でツッコミが入りました。途中出会った集落の科学?青年クロムについて千空が言及「俺を殺しても次が出てくる」と。まさにその通りなんですよ。
そのため獅子王司の目指す未来は破綻が約束されてるようなもんです。{/netabare}

2.{netabare}ポル・ポトと変わらん

毛沢東と迷うところですがこっちかな。最初は知識階級だけだったのが順次粛清対象が拡大して…
力で押さえつけるしか方法がないので、この世界で肉体での戦闘力に秀でた司が首領ポジションにいるのがしっくりきます。原作未読の戯言ですが、司陣営でそのうち粛清が始まることでしょう。{/netabare}



■スイカ役の高橋花林さん

超個人的なつぶやきです。
この方1年前の迷作『ソラとウミのアイダ』で主役張られてた方です。すでに多くの方の記憶から消え去っているかもしれない作品ですね。
新人でおそらく初めてゲットした主役級の配役があれでと。そのことをもって高橋さんの今後を案じる旨をレビューで書く、という余計なお世話極まりないことをした記憶があります。
こうして、再会できたのはなによりです。ぜひ頑張ってください。



視聴時期:2019年7月~2019年12月 リアタイ  

------


2020.02.07 初稿
2020.07.19 修正
2022.01.30 修正

投稿 : 2024/04/13
♥ : 68
ネタバレ

shino さんの感想・評価

★★★★☆ 3.7

悲しき熱帯

トムス・エンタテインメント制作。

地球上の全人類が石化する怪現象が発生。
生き残った少年少女は科学を頼りに、
再び、原始生活から歴史を歩み始める。

語り口が一風変わったサバイバル冒険譚で、
舞台の西暦を聞き、楽しいかもと確信した。

主人公は科学を信奉する合理主義者で、
偶然であれ必ずそこに合理的な理由があると、
数々のトライ&エラーを繰り返しては、
仲間とともに町を発展させていく。

太古から始める生活も、
{netabare}石の時代、火の時代、動力の時代と、
小さな一歩ではあるが、
確実に文明の灯を社会は宿し始めていく。{/netabare}

敵側の集団には少年ジャンプらしい、
主題を持つキャラを配置されていますが、
私はむしろ敵は居なくても良かった。
探索・発見・発明、仲間との友情、
やがて未曽有の危機に瀕した地球の秘密を知る。
そんな物語であってもいいなと思います。

本来、科学とは心まで豊かにするものだ。
人類は心まで実りある社会を取り戻せるのか。
私たちの武器は想像力と好奇心である。

続編が楽しみなアニメですね。

投稿 : 2024/04/13
♥ : 62
ネタバレ

イムラ さんの感想・評価

★★★★★ 4.3

悠大で悠久な物語

<2019/12/22 追記>
全24話見終えました。

面白かったー!

科学の蘊蓄だけでなく、
文明がほぼ原始の世界というだけでなく、
現代に在る科学の凄みだけでなく、
逆転の発想で「今は過去からつながっていて、そして未来に続いていく」ことまでも実感できてしまう。

『悠大で悠久の物語』

ハリウッドが狙ってきそう 笑。

ここは無理があるんじゃないの?という部分ももちろんありますが、そこは架空のお話。
気にしないで見れたモン勝ちです。

二期があるとのことで今から楽しみです。

<2019/7/11 初投稿>
観始めなので評点はデフォルトの3.0です。

原作未読。
あにこれのあらすじ紹介だけで期待値上げてた作品ですが・・・面白いやんけ( ・∇・)

ざっくり言うとタイトルの通り
「ララーシュタインのような髪型した少年が科学でファンタジーに挑む」
と言う感じかな。

ララーシュタインってなに?と言う方は是非、画像検索してみてください。
ついでに言うとこのララーシュタインさんが登場する作品。
OP曲はグラムロックの名曲ですよ。

閑話休題

さて本作、ちょっと変わってる印象です。

普通、物語の分類で
ファンタジーと言えば「科学的裏付けの全くない空想」作品で。
SF(Science Fiction)と言えば「科学的裏付けがあったり、あるように思わせる空想」、 つまり科学と空想が入り混じった作品なのですが。

ところが本作はどちらとも言い切れない。
強いて言えば
「Science(科学) &(そして) Fantasy(空想)」
で「SF」かな

科学的裏付けが全く感じられない現象に対して
めちゃくちゃ地味な科学的考証の積み重ねで立ち向かう。
ScienceとFantasyの二つが融合せず、お行儀よく隣り合ってる印象です。

地味なウンチクも多い。
そう言うの好きな人にはぴたっとハマると思います。

例えば理系のアニオタの私とか( ・∇・)♪

自分は今期、「ヴィンランド・サガ」「炎炎ノ消防隊」「コップクラフト」と並んで注目しております。

<2019/7/15 追記>
2話目観ました。

炭酸カルシウムの4番目の使い道が意味ありげで気になるー笑。

そして新キャラ登場。
獅子王さん。
濃いですねぇ。
{netabare} 空飛んでる鳥を木の上から飛びかかって捕まえちゃったよ、この人 笑。
チート武力{/netabare} 担当だそうです。

さあこれで3人。
人間、3人集まると派閥が生まれるというような言葉がありますが、もしかしたらこれからはそんな展開なんでしょうか。

獅子王さんの発想は昨今の{netabare} 世代間の断絶{/netabare} のようなものを表してて面白いです。

でも、それを是としたら{netabare} ジャンプのような商業誌には載せられなくなってしまいます。
というわけで主役のララーシュタイン、もとい千空さんはかっこよく反発して、{/netabare} 引きへ・・・

でもですよ。
ちょっと思うんです。
もし{netabare} 獅子王さんの考え方に千空さんが同調して物語が進んだら・・・
結局、若い世代同士が新しい利権を奪い合って理想郷なんてできないってことがわかってEND{/netabare} とかSFっぽくてそれもありかなーなんて 笑。


ところで全く話は変わりますが。
他の方のレビュー拝見してて{netabare} 「石化してるのが表面だけならなんで中身の生物は何千年も生きてるの?」{/netabare} というような疑問を複数見かけました。

そこはファンタジー部分だから、と私は飲み込んでおります。
それ言い出したら、{netabare} 石化したら息できなくて数分で死ぬじゃん、という話だし。
仮に呼吸できたとしても水も食料もなければ一週間ももたないし。{/netabare}
そこら辺はファンタジーなんじゃないですかね。

<2019/9/3 追記>
9話まで観ました。

アニメでも映画でもドラマでもなんでもそうですが。

登場人物に対して「なんでそこ気がつかないの?」とツッコんでる自分いませんか?
それは俯瞰して見てる視聴者だからこそのツッコみな訳で。
物語を進める上での重要な部分ほど気がついてくれない。
それが物語の面白み。

ところが、たまにそういうのが極端に少ない作品もあります。
デスノートとかそうですよね。
登場人物が賢いので先の先、裏の裏まで読む。
ところがそれでも裏かかれちゃう。
で、そこが面白かったりする。

本作もデスノと同じ匂いがします。
千空さんはもとより、獅子王さんもかなり思慮深く用心深い。
お互いに裏の裏の裏を掻きあってもう痒いところもないくらい。

もしかしたらデスノの系譜と言える作品なのかもしれないですね。

デスノのようなイケメンいないので女性人気は覚束ない感じですが、理系男の私はハマってます。

投稿 : 2024/04/13
♥ : 53

87.2 12 2019年度の友情アニメランキング12位
ヴァイオレット・エヴァーガーデン 外伝 ‐永遠と自動手記人形‐(アニメ映画)

2019年9月6日
★★★★★ 4.3 (517)
2551人が棚に入れました
……大切なものを守るのと引き換えに僕は、僕の未来を売り払ったんだ。良家の子女のみが通うことを許される女学園。父親と「契約」を交わしたイザベラ・ヨークにとって、白椿が咲き誇る美しいこの場所は牢獄そのもので……。未来への希望や期待を失っていたイザベラの前に現れたのは、教育係として雇われたヴァイオレット・エヴァーガーデンだった。

声優・キャラクター
石川由依、寿美菜子、悠木碧、子安武人、内山昂輝、遠藤綾、茅原実里、戸松遥
ネタバレ

ぺー さんの感想・評価

★★★★★ 4.4

シリーズ最高傑作 ※当社比

「届かなくていい手紙なんてないのです」

 そして

「私は…愛を知りたいのです」

作品を紐解くキーワード。
TV本編は一話完結型。一話一話の質は高いが全体の繋がりに欠ける。アラカルトだったら美味いのにコース料理になるとまとまりが悪い。私の『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』評です。

裏を返せば、事前に劇場版に対する不安はありませんでした。なぜか?

 本編と切り離した外伝だし
 一話完結なら得意領域でしょうよ

作品のファンならまだしも、アニメファン全般いや普段アニメを観ない層の方でも劇場に足を運ぶ理由ができてしまった作品です。もし仮にTV本編がかみ合わなかったことを理由に躊躇っている方でもあまり心配しなくてよいでしょう。

本編と独立していることは初見さんいらっしゃいでもあります。人物背景を知らなくとも楽しめると思われます。ぜひご家族・ご友人誘って一緒に劇場でガン泣きしましょう。

私が鑑賞したのは平日夜の時間帯ということで、半分ちょっと上回るくらいの入りだったでしょうか。ソロの方以外でも、娘さんと一緒のお父さん。学生同士。年配の方は少ないようでしたが万遍ない層が足を運んでおりました。なんかいいですよね、こういうの。女性もけっこうな割合。作品の持つ美しさのなせる業だとブランド力も感じたところです。



さて、『ヴァイオレット・エヴァーガーデン 外伝 ‐永遠と自動手記人形』であります。
TV本編で何回かあった良回をさらにその4倍以上の尺を貰ってじっくり描いたと言うべき劇場版でした。
映画全体はAパートBパート構成でもあり、TVっぽさを感じもしました。
前半の主役はキービジュアルにある眼鏡をかけた女性イザベラ・ヨーク(CV寿美菜子)。
後半はテイラー・バートレット(CV悠木碧)。
豪華ゲスト声優のお二人とも当たり前のように作品に馴染んでおります。もう凄いのに慣れてしまって麻痺してますね。

実際観ていたら、前半部分だけでも話としては纏まっており、「あれ そろそろ終わりかな?」と軽く勘違いしそうでした。
この前半部分。公式にもある通り、良家の女子ばかりが通う寄宿学校を舞台に物語は進むわけですが、イザベラの心象を表すかのように沈鬱な雰囲気で統一されてます。
それとは対照的なときおり差し込んでくる光の表現がとても印象的でした。窓から差し込む太陽の光。木々を通り抜けた光の筋。月明りに照らされた夜。こういうのこそまさに「劇場に足を運ぶ価値がある」作品ということになるんだと思います。

後半以降は劇場でお確かめくださいませ。※視聴済の方用にネタバレ感想を後述


細かいところでは、エンドロールで流れる茅原実里さん作詞・歌の主題歌『エイミー』が物語に合っていてかつ物凄く良い曲だったのが嬉しかったです。プレッシャーもあっただろうに。そう、物凄く良い曲だったのが嬉しかったのです。
※注 これでも私、『みちしるべ』は作品の世界観に合ってたと思ってる人です。

キャストのどなたかが言ってたと思うのですが、この作品はTV本編後を描いているとのこと。
戦後の混乱から復興。新しい時代の息吹を感じながら、いつものそして新たな一面を見せるヴァイオレットちゃんにあなたも会いに行ってみませんか?


観終わってひとこと・・・

{netabare}「やっぱ届かなくていい手紙なんてないよなあ」{/netabare}




※ネタバレ感想~軽め~

{netabare}■動かしたヴァイオレット 繋げたベネディクト(CV内山昂輝)

起床時間。昔の夢を見たエイミーは寝ぼけ眼で目の前に佇むヴァイオレットにテイラーの姿を重ねる。
また別の場所、別の時。過日のエイミーと同じように今度はテイラーがヴァイオレットにエイミーの姿を重ねる。

一方は心の奥に閉じ込めた想いを、また一方はおぼろげな記憶に小さく留まってた想いを手繰り寄せるきっかけをくれたのはヴァイオレットちゃん。

「手紙を書いてみてはいかがでしょうか?」

エイミーに両の手を握られたヴァイオレットは初めて人の手の温もりを知る。巡り巡って今度はテイラーがヴァイオレットの両手をその小さな手で握り満面の笑みを見せる。

自動手記人形が心と心を結ぶ装置なんだなあ、をあらためて気づかされる場面でした。
物理的に繋ぐのは郵便配達人のベネディクトさんだったりするわけで、ドールと配達人の両輪あってやっと手紙が届くわけですね。

同じ目的「届かなくていい手紙なんてない」を共有している仲間という感じがして、ちょっとばかりお仕事アニメ風な展開にぐっときました。{/netabare}


{netabare}■二人ともよかったね

公式サイトではイザベラとテイラー表記だったのが、エンドロールでは

 エイミー・バートレット 寿 美菜子
 テイラー・バートレット 悠木 碧

と仲良く並んでいました。キャラクターへの気配りが行き届いているところにいつも感心します。{/netabare}




■藤田春香監督

初監督作品とのこと。
TV放送当時にたまさか石立太一さんと藤田春香さんへのインタビュー記事を拝見しました。
冠は石立さんですけど、作業の大半を権限移譲している印象をその記事から受けました。
そして今回。人材育成というキーワードが飛び交っていた制作会社で一つの具体例を目の当たりにした気分です。
調べてみたら別作品ですが、『響け!ユーフォニアム』1期の第8話の演出を担当されてもいますね。言わずもがなファンの間では語り草になっている記憶に残るエピソード回です。

こうして新たな才能が出てきたことはファンにとっても喜びです。と言いますか、初監督作品でこのクオリティはないわー(褒)

外伝は好評のうちに期間限定上映を終えるでしょう。次は正規ルート石立監督の続編です。

 {netabare}“ 鋭意制作中 ”

 座席の下で小さくガッツポーズ!{/netabare}



視聴時期:2019年9月 劇場

-----
2019.10.09追記

二回目行ってきました。三週間期間限定の当初予定が延長されたのです。
初見より、“手紙に込められた想い”を見逃すまいと作品に集中できてよかったです。

{netabare}髪の束は二つでは結べない、と三つ編みをテイラーに施してあげるヴァイオレットが素敵でした。

想いを結ぶ人(配達人やドール)の重要性がわかる演出です。
ふむふむ、なるほど、と。さすが二回目はいろいろと見えてくるものです。


そしたらエンディングで

「編み続けた 願いが 叶いますように」

と詞が耳に入ってきてあえなく撃沈しました。
こんなん泣くやろが(T_T)

二重三重に攻めてこられると防衛しきれません。{/netabare}



2019.09.11 初稿
2019.10.09 追記
2021.08.09 タイトル修正

投稿 : 2024/04/13
♥ : 84
ネタバレ

フィリップ さんの感想・評価

★★★★★ 4.2

卓越した美意識と愛おしさの表現と

アニメーション制作:京都アニメーション
監督:藤田春香、監修:石立太一、
シリーズ構成:吉田玲子、脚本:鈴木貴昭、浦畑達彦
キャラクターデザイン・総作画監督:高瀬亜貴子、
音楽:Evan Call、原作:暁佳奈

平日の夜の上映で580席のスクリーンが満席。
上映が始まると、全員が一心に前方を見つめた。
2ヵ月前の事件によって大きな損失を被った
京都アニメーションを応援したいという気持ちや、
素晴らしい作品を存分に味わいたいという期待感。
多くの人々の想いが館内に充満している気がした。

全寮制の女学校にいる心を閉ざした少女、
イザベラ・ヨークの元に教育係として雇われた
ヴァイオレット・エヴァーガーデンがやってくる。
イザベラは何かを諦め、
世界に敵意を抱いているように見える。
そんな希望を失った少女に対し、
ヴァイオレットは真っ直ぐな気持ちで接し、
完璧なサポートをするだけでなく、
大切なことを気づかせる。
やがて、イザベラは心を開き、ヴァイオレットに
ひとつのお願いをするのだった。

TVシリーズのときから感じていたが、
作画のクオリティの高さは凄まじい。
これはほかの京アニ作品とも一線を画すほど。
草木のさざめき、陽光のきらめき、
中世ヨーロッパ風の荘厳な建築物、
美しく深みのある調度品、
清楚できらびやかな衣装。
一つひとつに徹底的なこだわりが見られる。

そして注目すべきは、この作品が
構図と絵だけで人の心を動かすほどの
魅力を湛えているということだ。
そういう感覚は、普通は写真や絵画に
対して感じるものだが、この作品には、
表現者が芸術としてこだわるような凄みがある。

私がいちばん気に入ったのはダンスシーン。
俯瞰や横からのアングルでの見せ方が美しい。
そして、おそらく実際のダンスの動きを
しっかりと参考にしているため、
アニメーションとは思えないリアリティがある。
私はこのシーンでベルナルド・ベルトルッチ監督の
『暗殺のオペラ』という映画を思い出した。
ベルトルッチ監督の美意識というべきものが
全体に散りばめられていて、
いちばん気に入っているのがダンスシーンだ。
その色や動きの美しさといったら
芸術そのものだと感じさせた。
そんな映像がすぐに頭に浮かぶほど、
この作品でも心に残るシーンだった。
作画だけでなく、構図という部分でも目につくシーンが多い。
これは、監督の藤田春香の特徴かもしれない。
序盤でのヴァイオレットとイザベラが鏡のある部屋で
話す場面でも徹底したこだわりを感じさせる。

藤田春香は京都アニメーションに注目している人なら
多くの人が知っている演出家だろう。
特に有名になったのが『響けユーフォニアム』の
神回ともいえる8話で演出を手がけたこと。
後半の葉月の展開や大吉山での見せ方も素晴らしかった。
今後も、色々な作品で活躍してもらいたい。

{netabare}物語はイザベラとテイラーが
心を通わせながらも別離せざるを得なかった
悲しみとともに人を恋しく想う気持ちに
焦点を定めて丁寧に描いている。
ただ、個人的にはこの描き方に描写不足を
感じる部分もあった。
ふたりの心の動きや出来事をもう少し
分かりやすく、そして象徴的に構成できれば、
もっと感動したのかもしれない。
この辺りはTVシリーズでも同じように感じてしまった。{/netabare}

{netabare}それでも、姉妹の心の交流を
手紙を通して描いたストーリーや作画の
素晴らしさによって、十分に満足させてくれた。
映画が終了するころには、
涙を流している人もあちらこちらで見られたほど。{/netabare}
多くの観客の心を動かす作品であることは間違いない。
(2019年9月15日初投稿)

※シリーズのバランスを考慮して点数変更しました(4.1→4.2)

投稿 : 2024/04/13
♥ : 78

でこぽん さんの感想・評価

★★★★★ 4.7

幸せを運ぶ人と幸せをつくるお手伝いをする人

この映画には良い意味で2回裏切られました。

一つ目は、外伝なのに、これほど感動するとは思ってもみませんでした。
それならば本編は、どれほどのものだろうか…。今から期待しまくっています。

二つ目は、前宣伝でヴァイオレットが教育係になると知らされたので、手紙は今回無しなのか…と、諦めていたのですが…、
途中から手紙がメインの物語に変わったではありませんか。

やはり、この映画は手紙に込められた愛情を伝える物語でした。
私は、これを待っていたのです(^_^)。


この映画では、貴族の娘であるエイミー(イザベラ)と孤児のテイラーが主人公です。
ヴァイオレットは脇役に徹しています。

エイミーとテイラーは昔、姉妹のように仲良く暮らしていました。
生活は貧しくとも二人は幸せでした。
だが、ある事情で二人は離れ離れになります。

でも数年後、手紙により二人は再び心を通わすことができたのです。

テイラーは郵便配達人を『幸せを運ぶ人』といい、憧れます。
その言葉だけで、テイラーの気持ちが良くわかります。
幼くしてエイミーと別れたテイラーが、エイミーからの手紙をどれほど嬉しく感じたのかが伝わってきます。

今回、幸せを運ぶ人はヴァイオレットの友達のベネディクトでした。
そして幸せをつくるお手伝いをしたのがヴァイオレットです。

ヴァイオレットがいなければ、エイミーは手紙を書くこともなかったし、テイラーがエイミーに返事を書くこともなかったでしょう。
ヴァイオレットの仕事である自動手記人形サービスは、まさに幸せをつくるお手伝いです。
それはとても素敵な仕事だと思います。

エイミーの手紙もテイラーの手紙も、一行か二行の簡単な文章でした。
でも、愛情がこもっています。だからお互いに幸せを感じることができたのです。



昔、私が家を離れて一人暮らしを始めたとき、母へ感謝の手紙を送ったことがあります。
それはつたない文字で書いた数行の手紙でした。
でも、母はその手紙をとても喜んでくれて、ずっと大切にしていました。


今ではLINEやe-mailがあるので手紙を出す機会はあまりありません。
たまには自筆で遠く離れた人へ手紙を送るのも良いと思います。
ときとして、手紙は宝石よりも大切な宝物になる場合があります。

投稿 : 2024/04/13
♥ : 62

82.6 13 2019年度の友情アニメランキング13位
まちカドまぞく(TVアニメ動画)

2019年夏アニメ
★★★★☆ 3.9 (650)
2386人が棚に入れました
15歳のある朝、封印されし「魔族」の力に目覚めた吉田優子の任務は、ご町内に住む「魔法少女」を倒すこと!? ツノと尻尾は生えたけど、力は普通の女の子以下な優子が“月4万円生活の呪い"解除めざして奮闘する、逆転マジカルヒロインストーリー!

声優・キャラクター
小原好美、鬼頭明里、高橋未奈美、高柳知葉
ネタバレ

フィリップ さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

細かいネタに癒される、魔族と魔法少女のゆるふわコメディ(※2期制作決定!)

アニメーション制作:J.C.STAFF
監督:桜井弘明、シリーズ構成:大知慶一郎、
キャラクターデザイン:大塚 舞、音楽:櫻井美希
原作:伊藤いづも

魔族と魔法少女の戦いというスタイルをとった、
きらら枠の日常系ゆるふわコメディ。
魔族の末裔の一家である吉田家の優子は、
角と尻尾が生えたシャドウミストレス優子となり、
魔族にかけられた呪いをとくために
魔法少女の血を魔族の始祖の邪神像に
かけることが使命となる。
しかし、ある日出会った魔法少女の
千代田桃から命を助けられ、
ご飯までもらってしまうのだった。

{netabare}個人的には始祖の邪神像がドアストッパーとして
カモフラージュされていたことに虚を突かれ、
この時点で大好きな作品になってしまった。{/netabare}
魔族のスタイルになっても普通に学校に行く設定も斬新。
また、千代田桃が魔法少女になるときの
秒数(0.01秒!)が表示されたり、変身のコンパクトの中に
500円玉やネジが入っていたりという
地味なコメディも気に入った。

魔族の優子と魔法少女の桃は、
本来なら対決をする関係性。
しかし、身体能力が低すぎる優子は桃の相手になるレベルではなく、
強力な能力を持つ桃がなぜか優子を鍛えるために
特訓を考案するのだった。
その一方で桃は、お菓子とインスタントご飯と
菓子パンしか食べない食生活。
家が貧乏でいつも家事を手伝っている優子は、
料理も得意なため桃のためにご飯を作ったりする。

そんな日常生活?を追いながら、
優子のポンコツぶりや桃の孤高の様子を
面白可笑しく描いていく。
このコメディの方向性が微笑ましく、
時おりツボにはまることもあり、
飽きさせずに観させてくれる。

特異な部分は、魔族と魔法少女という
相容れない立場ながら、交流によって
欠けている部分をお互いに補い合って
大切な存在となっていくことだろう。
そんな様子が、コメディと上手く絡み合って
心を癒してくれるような作風になっている。

先祖と交流できる邪神像の扱いが秀逸で、
ポイントごとに色々と笑わせてくれる。
{netabare}不思議なホムンクルスによって足をつけられて
虫のようにカサカサ動くシーンなどには
吹き出してしまった。{/netabare}

{netabare}最終回になってようやく魔法少女と魔族との因縁、
特に優子の父と桃の姉との関係性が明かされる。
それにしても、優子の父が部屋に置いてある
テーブル代わりに使用している段ボールの中に
封印されているという設定は素晴らしい。
段ボールは、鉄板や土鍋を載せたり、
時には踏み台として使用している。
ご先祖様をドアストッパーにしていたのと同じ方向性で、
大切なものを日用品として何気なく手荒に使用していて、
後に気づいて衝撃を受けるのだ。{/netabare}

毎回、細かいネタを積み重ねることによって、
たくさんのの笑いを生み出している。
楽しさに溢れた、きらら系異端のゆるふわコメディだ。
(2019年9月29日初投稿)

(2019年10月4日追記)
コメディだけでなく、ストーリーも楽しめる予感

コメディ中心で展開する作品だが、
その裏側にある謎も実はとても興味深い。
{netabare}魔族と魔法少女が共存している多魔川の街。
優子は魔族の血を強く受け継いだことが原因で、
生まれたときから体が弱く、
命をつなぎとめるのが難しい状態だった。
そんなときに手を差し伸べたのが、
桃の義理の姉で魔法少女の桜だ。
優子の父であるヨシュア(吉田)は、
桜に相談して一族の呪いに干渉してもらうことになる。
桜が頭を捻って導き出したのが、
一族の金運を優子の健康運に変換することだった。
優子が健康になった代わりに、
吉田家は1ヵ月4万円の呪いを受けることになる。
それによって桜は魔力を大幅に減らしてしまい、
街を守ることが難しくなり、ヨシュアをみかん箱に
封印することになったのだった。

魔法少女は魔力を消費しすぎると形が崩れて
エーテル体となってしまう存在でもある。
桜はどうなってしまったのか。
現在は、桃の力で街を守っているが、
このバランスが崩れたらどうなるのか。
そして、本来この街では魔族と魔法少女は
結界の影響で偶然に出会うことはないようになっている。
だから、桃と優子が出会ったことは、
運命的な不思議な力が働いたとしか思えないのだった。
それは、メタ子が桃の夢の中での優子に対して
桜の気配がすると話したことと関係がありそうだ。{/netabare}

丘の上の桜の木の下。
桜と桃が好きだった場所で、優子と桃は想いを告げる。
皆がここで笑い合うときが来るのだろうか。

(2019年10月11日)
※全体のバランスを考慮して評価を変更しました。(3.8→4.0)

(2020年8月29日)
2期の制作決定という嬉しいニュースが飛び込んできた。
個人的にきらら系のコメディではとても好きな作品。
2期を切望していたので楽しみだ。

2期決定を記念して、ABEMAとニコニコ生放送で、
1期の一挙配信が決定した。
詳細は今後、公式サイトなどで発表される予定だ。
未視聴の方はこの機会にぜひどうぞ。

投稿 : 2024/04/13
♥ : 77
ネタバレ

元毛玉 さんの感想・評価

★★★★★ 5.0

これで勝ったと思うなよぉ!!

原作未読
魔法少女枠かな?完全にダークホースでした。

お話のざっくり概要
優子はある日、突然魔族として覚醒。
普通の女子には生えないものが生えてしまいました。
その後あだ名が定着してしまい、本名で呼んでくれるのは母だけ。
魔法少女から生き血を奪う為、鍛錬の日々…小遣い月500円にUP!
だが、魔法少女は片手ダンプ…その戦力差は圧倒的!!!
ドアストッパーと共に魔法少女から筋トレ指導を受けるが
夢の中で好き勝手やられたりと散々な日々
ご近所に2度見され気まずくなり回覧板デビュー待ったなし
だが、懸命に頑張る努力のへっぽこ娘「時は来た…(イケボ)」
ってな感じ

書いてるうちに混乱してきました(苦笑)
魔法少女物かな?と視聴前は少し身構えてました。
そんな必要無縁のへっぽこ娘に癒されるアニメ。

主人公であるシャミ子は、へっぽこ魔族です。
もう清々しいぐらいに。
でも、怖くても家族の為に魔法少女へ挑み続ける
…けなげ(ホロリ)すっかりファンになりましたw
モデルは多摩市。
めっちゃみた事あるような既視感を感じます。

●魔法少女(モモ)戦について
なんというか魔法少女側は命かかってるからかなり強いんですよね。
対するシャミ子は…まぁ、へっぽこです。
情けをかけられてからの「これで勝ったと思うなよぉ」コンボです。
モモは色々と言葉足りてないと思いますけど、結構シャミ子に優しい。
自己ベストは{netabare}シャミ子のソーセージ{/netabare}を救出する際に更新
…とても強い(小並感)

アルバイトの着ぐるみはバク宙からの熱々オデンらしいです。
意味不明ですけど、ちょっと見てみたい…先代はドアラさんなのか?
それにしても魔法少女みかん回(8話)は爆笑しましたw
{netabare}
「コスプレぶらり旅ですか?」「ううん、通りすがりの魔法少女」
「とんでもないざっくり系です!!!」
「早く脱いで!」「脱ぎなさない!」「脱げません!!!」
「通報しようか迷ってた」
「年いくつ?」「これで勝ったと思うなよぉ」
{/netabare}
流れと勢いが凄かったです。怒涛のジャブラッシュ。
一つ一つは威力無くても、畳みかけられるとボディに効きます。
ぶらり旅も通りすがりも少しワードを足すだけで、
超パワーワードになるという良い例ですね。
ワードセンスが素晴らしいです。
{netabare}「安心して、峰打ちするから」「拳の峰打ちはただの裏拳です!」{/netabare}
じわじわと効いてくるこのセンス…たまらないw

あと、危機管理で発覚したのですがシャミ子はすんごい着痩せします。
凄いの持ってるよこの娘。
「私シャドウミストレス優子15歳{netabare}どこにでもいる町の変質者{/netabare}」
ご先祖はすごくポンコツなご先祖です。
ただ、衣装のデザインセンスは素晴らしいですね。(よくやった!ご先祖!!)

母も妹も健気で良い家族…月4万の極貧生活は辛いですね。
点数は中間評価です。
頑張れシャミ子!負けるなシャミ子!大きな魔族になるんだ!

―――――――――――――――――――――
シャミ子の声優(小原好美さん)、完璧です。
擬音というか言葉にならないようなセリフとか
(「あじゃぱー」とか「ぽがー」とか)
あと、へたれ具合とか、勝ち誇った感じとか
器の小ささをしっかり出してて素晴らしいww

母…ご先祖にも主導権を渡さない吉田家の主
良子…デジタル盛り技術に精通した吉田家軍師
ごせん像…アイドルにしてへっぽこ家計の元凶

後から気づいた事
{netabare}
2話のモモ戦の7-1の見事な負けっぷりって
元ネタやっとわかったw
ワールドカップのドイツ-ブラジル戦かwww
「1点は入ってましたか?」
「うん。友達だからおまけで1点入れといた」
優しさが切ないwこれは目汁だ!涙ではない!
{/netabare}

モモの名言
{netabare}
「出せるか出せないかじゃない。出すんだ。出していこう」
シャミ子と一緒のツッコミを画面に言ってましたw
{/netabare}

領収書まで噛むってどういうことなんだろ?w
{netabare}
テスト答案にも、もう本名じゃないのかwww
ついでに、ご先祖も張り出されてるし
この学校カオスすぎるwそして小倉が何か怖いw
{/netabare}

1話から見直してみて、改めて面白さを確認。
気づけばシャミ子の大ファンに…
ふぐふぐ? えぐえぐ? してる顔が好み
守りたい…このへっぽこw

2019.09/28 見終わって追記
すんごい面白かった。
今まできらら枠って、割と面白いぐらいの域を出なかった
だけど、本作は凄くネタが細かくって
見れば見るほどドンドン魅力が増していき
最終的にはシャミ子のファンになりましたw

色々と思った事
{netabare}
OPのネタについて
まぁとにかくサビのカオス感は凄いw
メタ子とたまさくらちゃんの存在感!w

シャミ子がみかんに「みせろ」ハラスメントしてたけど
毎週さらっと流されてるけどOPで撃ってるよねw
超一瞬だから分かりづらい

OPのドラクエ風の部分、
ボスリリスの危機管理フォームだwww
ま:99が魔法少女LV99として
「のろい」のバステも分かるけど、まひはなぜ?

ご先祖は酒に使ってたり、隣に水筒もあったり
タコさんウインナーは顔がご先祖彫りだしw
アンリのバーではご先祖とミカンがボトルキープ
あのメタ子の写真って多分、良ちゃん提供だよね
(モモ宅で、無防備メタ子を激写しまくってたしw)
みかんとのツーショットは映画館構成だけど
後ろのフィルムに映ってるご先祖は3Dメガネかけてるし
シャミ子の体操服ランニングがバインバインだったり
本編のダイジェストが詰まってるOPだなぁ~w

露出魔族だったり、飯炊き魔族だったり、
かよいづまぞくだったりする、シャミ子です。
魔法少女を{netabare}餌付けで配下にする{/netabare}などお手の物。

すごい細かい所でネタや表現を仕込んでるので
見つけるのが楽しい
{netabare}
ご先祖の来てた服、さらっと流してしまいそうだけど
「My blood sugar level is dangerous」
⇒血糖値、気を付けてぇ!ご先祖ぉぉぉ!!!
⇒{netabare}「コーラうめぇ!」って{/netabare}血糖値の原因それじゃね??
ひじきは実は鉄分が少ないポスター
飼い主募集ポスター⇒まだあの鳥、手元にいるんすねw
補習の実施についてポスター⇒シャミ子や…(´;ω;`)
でも、ちゃんと修羅場回避の所の「これから補習なので」
に繋がってるの凄いw
モモ自宅の表札…あの余白は桜さんだったのか…細かい
リリスの辛かったこと日記⇒No.5963って多過ぎw
ご先祖テレフォン⇒ミリオネアかな?
あれ?銃の引き金ってどんなだったっけ?⇒引き金が逆w
夢の中のメモ帳⇒ゆメモ帳…ちょw細けぇw
入れたばかりの色のついてない麦茶⇒確かに薄いw
段ボールがお父さんだと分かってから
⇒それまで乗せていた麦茶を床に置く優しさ
熱にも、油にも、衝撃にも強い段ボール!⇒ずっと出演w
投げられたご先祖…封印の呪いに犬あったからそこなのか
ラスト変身バンク+ミカン呪い=ワカメシャミ子98円
⇒「余もこんなんなったぞ」超笑ったw
「今のモモは無理してるように見えます」⇒背伸びww
あの犬、「いぬ」って名前なのかよwwwネーミング雑w
スルー力がハンパナイ⇒なるほど、シャミ子通報回避w
{/netabare}

■シャドウミストレス優子
体が弱くて運動神経もダメダメだが胃袋は最強クラス
ご近所さんに二度見されるのを恥ずかしがるぐらいには
普通の羞恥心を持ち合わせている女の子
(だが、命の危機であれば、露出魔族も辞さないw)
「こ…これで勝ったと思うなよ…じゃ!」
亜種バージョンのノルマも割といいw
シャミ子はお母さんを信じるとてもいい子なんですよ。

■魔法少女モモ
はーい、肉の魔法少女だよ。
バーベル片手で何キロ持てる?
あとそのままスクワットしようか?
そんな感じw
シャミ子が「頭にササミとプロテインが詰まっている」
と評していたほどの脳筋…だが頭脳派物理少女だった。
それにしてもダンベルと同時期だったせいもあって
ダンベル700回を数日に分割払いも笑った
たまさくらちゃんの熱烈なファンみたいっす
買い支える義務感…w

■魔法少女ミカン
女の子のタイプとしては一番好み…呪いさえなければ…
状況を知らない系女子だけど、
常に相手を心配し気にかけたり、幼い子に優しく接したり
正統派魔法少女やってる(ピンクの誰かさんと違ってw)
映画館のチヨモモは呪いかと思ったけど、あれ任意装着w
「そこにアイスはやめて!呪い出ちゃうから!」
一体、どこにアイスしたんですかね???
配下になったけど、モモの被害も甚大(呪い出まくりw)
大蛇がパピコ飲み込んでるのが笑ったw
ワープして気遣いフルーツをお勧めする系女子
フルーツの盛り付けすんごい女子力高い!

■小倉しおん
倫理が壊滅的にダメな人w絶望のオーラ習得済みなの?w
草葉の陰からいつも見守ってるストーカー的な人
実験したいから友達になりたいって…それ友達なのか?w

■ご先祖(闇を司る魔女リリスさん)
「嘘だろシャミ子、正直な感想を述べてみよ。見よぉ」
ニューご先祖は面白だったw
意外に頭良いみたい。超ポンコツなのにw
最終回の色々の回想の中に入ってくんなニューご先祖w
笑っちゃうだろーwww

■吉田家
シャミ子の家、ブラウン管TVなのにゲームソフト大量w
4万円でどうやりくりしたんだろう??
お茶は7~8回は出すらしい、それほぼお湯じゃんw
お母さんは良くクルクル回ってます。超かわいいw

ちょっと待って…モモのチャンネルに入る為に
良ちゃんが撮ってると思われる枕元に置いた写真…
どうやってモモの変身シーン撮ったの?すごくね??
0.01秒の中のシャッターチャンス
ってかあんな安物だとブレブレで見れたものじゃない
はずなのにこれが魔族の力なのか…良ちゃんおそるべし

お母さん、なんでこの嘘を言う事になったんだw
「原子力潜水空母でイカ釣り」
「宇宙戦艦で空気清浄機の買い付け」
ドジっ娘成分と巨乳はお母さん譲りだったのか~w

お父さんは{netabare}このミカン箱に封印されてい{/netabare}ます!
ええええええええwwww 観ててリアルで声出たっすw


■夢の中
メタ子の見た目のインパクトが強すぎるなぁw
あと、地味に武器を想像するのって難しそう。
あの様子だと正確にイメージできないと創れないみたい
重量や質感、細かい形状まで諸々イメージしきるのは
手に持ったことがある範囲のものじゃないと難しそう
(実際、シャミ子が出したのって持った事あるやつだし)

モモの名言2
{netabare}
「今ちょっと夢が立て込んでるから起こさないで」
なんぞそのワードwみかんナイスフレンドリファイア!
{/netabare}

{/netabare}

ED曲はすんごいノリが良くって好きです~
曲としてはEDの方がOPより好き
BGMもかなり良いです!

最初見始めの頃は、結構おもろいなー
ストライクゾーン入ってるぐらいだったのが
観てる内にどんどん、自分の方が矯正されてしまい
いつの間にかストライクゾーンど真ん中になってた…

ほんと細かい所、一杯あって何周しても違うの発見します
既に5周してますw 原作買いに行く予定っすー
(円盤も買うかも)

2019.10.03追記
もう3件も探してるのに2巻が見つからないぃ(´;ω;`)
(1巻と3巻は買いました!あとラインスタンプもw)
円盤も少なくなってるらしいしはよ買いに行かなきゃ…

あ、どうでもいいですがくだらない宣伝を思いついた
{netabare}
清子「お父さんはBlu-rayボックスの中にいます!」
優子「ええええ!…ってBlu-rayってなんですか?」
良子「宣伝も頑張るお姉はやっぱり凄い!」
{/netabare}
ってCMを妄想するまでは一瞬でしたw

2019.10.16追記
原作やっとゲットできましたー 面白いです!
それでアニメも神編集・神構成だったと分かりました。
(評価変更します)

思いついた宣伝パート2
{netabare}
清子「桃さんがDVDを見る権利をくれました。拝みましょう!」
優子 \眩しい!/
良子 \眩しい!/
モモ「違います!…普通にプレイヤーで見て下さい。」
リリス「シャミコ- 早くお供えしておくれ」
{/netabare}

投稿 : 2024/04/13
♥ : 58

scandalsho さんの感想・評価

★★★★★ 5.0

これで勝ったと思うなよぉ!

原作未読。最終話まで視聴。

3期振りのきらら枠作品。
かなり期待高めで視聴開始。

シャミ子の独特な言い回しが、ツボにはまりました。
正確に言うと、シャミ子だけではなく、全ての登場人物の言い回しが独特で・・・(笑)。

『魔族』と『魔法少女』が出てくるのに、がっつりコメディという設定の面白さ。
敵対ではなく仲良くなっちゃうっていう、不思議な世界観。
尊敬されるべきご先祖様の扱いの悪さ。

笑い所満載の良作コメディです。

投稿 : 2024/04/13
♥ : 51

76.8 14 2019年度の友情アニメランキング14位
ぼくたちは勉強ができない(TVアニメ動画)

2019年春アニメ
★★★★☆ 3.6 (488)
2319人が棚に入れました
苦学の高校3年生・唯我成幸は、大学の学費が免除される「特別VIP推薦」を得るために、受験勉強に苦戦する同級生たちの教育係となることに。指導する相手は「文学の森の眠り姫」古橋文乃、「機械仕掛けの親指姫」緒方理珠といった学園きっての天才美少女たち! 完全無欠の学力と思われた彼女たちだが、苦手教科に関してはとことんポンコツだった…!? 個性的な「できない娘」たちに振り回されつつ、成幸は彼女たちの入試合格のために奔走! 勉強も恋も「できない」天才たちのラブコメディ、ここに開幕!!

声優・キャラクター
逢坂良太、白石晴香、富田美憂、鈴代紗弓、Lynn、朝日奈丸佳
ネタバレ

ぺー さんの感想・評価

★★★★☆ 3.4

うるかにしてください

お静かに!って意味合いではもちろんございません。
原作は週間少年ジャンプ連載中。いつもながら未読です。

努力型秀才である貧乏男子高校生が、大学進学に係る費用の一切合切を学校に賄ってもらえる “VIP推薦” をエサに同級生女子に勉強を教えるというお話。
主人公男子は貧乏であるにこしたことはありません。トキワ荘以来の伝統芸能です。
同級生女子は二名。得意科目はほぼ満点だが苦手科目はてんでダメというのと、進路希望・将来の夢の観点だと苦手科目を超絶レベルアップさせないと進学もおぼつかないという点が共通する二人です。

 「お勉強」 + 「ラブコメ」

あらすじや第1話からそんな話かなぁという出だしでしたが、これがまた絶妙につまらなかったです。
少し経って{netabare}(第2話){/netabare}からもう一人、武元うるか(CV鈴代紗弓)が投入されて、元からの二人である古橋文乃(CV白石晴香)、緒方理珠(CV富田美憂)の三名体制となり屋台骨が出来たことで好転していきました。

 「ラッキースケベ」 +「ハーレム」 featuring「お勉強」

早々に路線変更です。真面目に言うようなことでもありませんが、、、路線変更です!


実際にお勉強要素の配分が多いまま、まっとうに学力向上を目指す内容でしたら視聴継続はしんどかったでしょう。リアル志向でもエンタメ志向でもなくガバガバの設定でしたので。
・学校側が生徒の学力向上と進路指導の責任を放棄してる時点でOUT!(これ大事)
・文乃と理珠の出来ないっぷり描写にもいろいろ言いたいことはある
設定もそうなんですがいまさら英語の構文や数学の公式にお付き合いするのもなんだかねぇ。

{netabare}「Don't you kiss someone , NARIYUKI?」(6話)
意訳) あんた成り行きでキスまでしたんとちゃう?成幸だけに(嘘)
   {netabare}しかもあんたの名前を音読みしたら・・・きゃーっ(もっと嘘){/netabare} 

これ文法だとanyoneが正解じゃなかったっけ? うるかが必死こいて覚えた構文を頑張って使ってみたけどちょいミスがあってかわいいじゃん、と普通なら思うところなんですが、ここに至るまでに、「この作者(編集含む)は絶対まともに勉強したことなさそうだな」の説得力ない描写が連発してましたので、素直に受け取れません。なお現場ではanyだろうがsomeだろうが通じるっちゃ通じます。{/netabare}


いざラッキースケベハーレムアニメとの立ち位置が固まってしまえば、お作法に則ってすんなり観ることのできる普通の作品でした。
小学校高学年ないし中学入学したての芽生えの時期にお世話になった(かもしれない)少年誌の『お色気マンガ』の佇まいです。

 {netabare}※注)『お色気マンガ』と『エロマンガ』は違うからね。{/netabare}

ヒロインの裸を見たり接触する程度の描写に留まるのが通例で、また、何かしらのトラブルに巻き込まれてサービスカットを披露する「お約束」のアレです。

肉体関係ありの最近のマガジン案件(あれはあれで良い)と違い、こちらジャンプ案件はきちんとお色気止まりにしているのが良いですね。なんとも懐かしい香りがしていて、その雰囲気を楽しむような感覚。
自分の場合このへんのルーツは連載終盤の『やるっきゃ騎士』(※ナイトと読む)でしょうか。
少年の夢と希望とスケベ心が詰まったこういう品は、健全な少年が親に見つからないようにどきどきしながら観てほしいタイプの作品です。


最終話で3か月後の2期放送が発表されました。
私の視聴優先順位としては低いです。少し懐かしい匂いを堪能したところでややお腹いっぱいかしら。自分にとってはそんな位置付けでした。



■オマケ1
どうせなら健全なお色気ものだったらよかったのに。
{netabare}ブラコン妹が登場して、兄のふとんをくんかくんかしてましたが、アニメ向けアレンジでしょうか?
視覚的なお色気どまりだったほうが健全な気がしていて、フェチまで踏み込むと大人向け指数がアップしちゃいます。なんかもったいない。{/netabare}

■オマケ2
球技大会にクレームw
{netabare}自分が高校生の時だったら、和気あいあいの男女混合なんてありえんと思ったでしょう。
勝ちにいきたいのに遠慮が入っちゃうから。クラス対抗ならなおさら負けるわけにはいかないのです。
当方の高校時代は、クラス対抗の雌雄を決するガチ系イベントだったので男女くっきり別れてました。混合だと体力面で劣る女性がやりづらくはなかろうか。イチャコラなんて別途いくらでもできるし。
このアニメに限らずいつも思うのですが、学園ものの校内イベントって文化系の目線で描かれてることが多いですよね。自分が知りえなかった高校生活を疑似体験できるのをもって良しとすればいいのかもしれません。だがしかし、なんとなく腑に落ちないのです。{/netabare}



視聴時期:2019年4月~2019年6月

-----
2020.02.06 追記

後半2クールめのほうが好み。


2019.07.02 初稿
2020.02.06 追記
2020.07.24 修正

投稿 : 2024/04/13
♥ : 59

えたんだーる さんの感想・評価

★★★★★ 4.2

文系/理系/体育会系、ある意味「裏『人生』」!?

しかし、作中でヒロインたちの得意分野はあまり活かされないので「凸凹解決せんせーしょん」という訳には行かないのです…。

第2話まで観終わった時点で、このレビューを書いています。週刊少年ジャンプに連載の同タイトルの原作マンガは、最新巻が11巻です。

アニメ化範囲でもストーリーが進むと増えるかもしれませんが、とりあえず主な登場人物は下記の5人です。

ちなみにタイトルが『ぼくたちは勉強ができない』なのですが、開始時点ですら全く勉強ができないのはうるかだけです。

唯我成幸(ゆいが なりゆき): 主人公。母子家庭で育ち、経済的な理由から大学へのVIP推薦なる枠での進学を目指すが、その条件として女子生徒3人の「教育係」に任命される。学業的にはどの科目もわりと成績が良いオールラウンダーだが、文系科目/理系科目のいずれも校内1位にはなれない。運動は苦手。

古橋文乃(ふるはし ふみの): ヒロイン枠。国語(現代文・古文・漢文)が得意科目だが、ある思い入れから理系の進学を目指す。しかし、数学を筆頭に理系科目の成績は壊滅的で、成幸に勉強を教わることになる。

緒方理珠(おがた りず): ヒロイン枠。数学と物理が得意科目だが、趣味がきっかけで文系の進学を目指す。しかし、気持ちを読み取ったり小論文を書いたりするのは苦手で、国語を筆頭に文系科目の成績が良くない。やはり成幸に勉強を教わることになる。

武元うるか(たけもと うるか): ヒロイン枠。水泳部で好成績を残すスポーツ少女。志望の大学にはスポーツ推薦で進学できると思っていたため勉強をしてこなかったが、推薦時に英語の試験成績を問われることが急きょ決まり、成幸に勉強を教わることになる。

桐須真冬(きりす まふゆ): ヒロイン枠(?)。世界史を担当する教師。文乃と理珠の初代教育係。才能がある分野に進まないのは無駄なことだという考えがあり、二人にも得意分野に沿った進学を強く勧めるが反発され、教育係を断念する。サブタイトルなどで「前任者」と出てくる場合は桐須先生のことを指す。

成幸が女子3人に勉強を教えることでいわゆる「ハーレム物」の構図になっているのですが、本作のフックとして機能しているのが桐須先生の存在です。

当初は成幸の「ライバル」として配されたと思われる先生ですが、おそらくアニメの中盤くらいから「ヒロイン」として機能しだしてからが本作の「本番」だと思いますので、お楽しみに!

2017.7.1追記:
第13話まで視聴終了。分割2クールということで、2019年10月からの2クール目の放送予定の予告がありました。

終盤でのあしゅみー(小美浪あすみ)先輩の登場で、主な登場キャラクターは出揃った感じですので第2クールでは各ヒロイン達の肉親たちの出場機会などもありつつ、お当番回的な物が回っていく感じになると思います。

原作では真冬センセー、先生とは思えないくらいに活躍してますがアニメではどうなることでしょうか。楽しみです。

投稿 : 2024/04/13
♥ : 47
ネタバレ

scandalsho さんの感想・評価

★★★★★ 4.2

オーソドックスなラブコメ①

原作既読。最終話まで視聴。

週刊少年ジャンプは40年近い愛読書です(笑)。
そういえば、今週発売の33号で、第2回キャラ人気投票の結果が載ってましたね。
{netabare}第1位 桐須真冬  14,598票
第2位 古橋文乃   3,259票
第3位 竹本うるか  2,980票
第4位 緒方理珠   1,803票
第5位 小美波あすみ 1,488票

真冬先生、ダントツぶっちぎりで2連覇達成でした。
ちなみに、主人公の唯我成幸136票で第9位・・・。{/netabare}

分割2クールの第1期。

ハチャメチャな初期設定さえ受け入れられれば楽しめるラブコメだと思います。
個性豊かな女性陣が、揃って好キャラ揃いですからね。

分割2クールの第2期も楽しみにしています。

投稿 : 2024/04/13
♥ : 42

79.7 15 2019年度の友情アニメランキング15位
荒ぶる季節の乙女どもよ。(TVアニメ動画)

2019年夏アニメ
★★★★☆ 3.8 (602)
2244人が棚に入れました
あなたの“はじめて"を、わたしにください――。高校の文芸部に所属する小野寺和紗たち女子5人。「死ぬ前にしたいこと」という話題で沸いたある日、部員の一人が投じたある一言……。その瞬間から、彼女たちは“性"に振り回され始める。

声優・キャラクター
河野ひより、安済知佳、麻倉もも、黒沢ともよ、上坂すみれ、土屋神葉、福山潤、広瀬裕也、咲野俊介、戸松遥、花江夏樹
ネタバレ

フィリップ さんの感想・評価

★★★★★ 4.4

純潔の染まる色

アニメーション制作:Lay-duce
監督:安藤真裕、塚田拓郎、
原作・脚本:岡田麿里、音楽:櫻井美希
キャラクターデザイン・総作画監督:石井かおり、

少年少女たちの心をざわつかせる季節。
思春期特有の性的な悩みや思考を、
文芸部に所属する5人の女子高生の視点を通して
鮮やかに切り取ってみせた岡田麿里作品。

一人ひとりのキャラクターの心情を
女性脚本家らしい視点で論理的に解き明かしていく。
繊細な心理描写のリアリティは、
真似のできないオリジナリティがある。

昔は岡田麿里作品といっても、どこかぼんやりとした
「キャラに寄り添った作風」くらいに考えている人が
私も含めて多かったと思うが、自叙伝の出版によって、
作風の裏にある独自性の由来が明らかになったことで、
より作品が理解しやすくなったかもしれない。

岡田麿里の脚本は、徹底的な「他者に対する視線」と
でも言うべきものから成り立っている。
言わば、最近ブームの「なろう系」とは対極にある。
「他者」を客観視しながらも、集団のなかにあるときの
思考や交わりを丁寧に描くことで、アニメの世界にあっても
圧倒的なリアリティを感じさせる。
それは、小学生時代に「他者」になろうとした
経験によって形作られたもので、脚本家としての彼女の
原点のひとつなのだろう。

前置きが長くなったが、この作品もそういう岡田麿里の
視線が随所に感じられる。
しかも、アニメのためというよりは、
漫画原作がスタートだったため、最初から最後まで
しっかりと構成された物語となっており、
完成度は抜群に高い。
私にとっての岡田麿里作品は、細部はとても面白いのだが、
最後の締めになると、いつも何か物足りなさを感じさせたが、
今作は、ラストまでとても上手くまとめられている。

いちばんの特徴は女子高生5人全員が大人に向かって
変化する心の動きをつぶさに見せている点だろうか。
ストーリーの中心は小野寺和沙が「男子」を
受け入れられないと感じつつ苦悩し、最後にはその感情が
変化するというもの。そんななかで5人全員の
心の動きを追いながら、感情の変化を視聴者に
しっかり見せている。

例えば、文芸部部長の曽根崎り香が恋をしたことで、
眼鏡を外して、男に対する考え方が大きく変わるところや、
菅原新菜が大人ぶりながらも徐々に本心を表現していく
過程をコミカルにしかも丁寧に見せてくれる。
心の変化の機微をしっかりと描いている。

{netabare}キャンプファイヤーの影踏み、
り香に対する天城のレポート、
百々子の男を嫌いになる過程、
新菜の歪んだ感情と素直な感情、
ひと葉の野望から生まれた恋、
和沙の恋と友情の間で揺れる思い。{/netabare}
女子高生たちの心模様を実に上手く表現している。

{netabare}り香の退学を撤回させるために起こした
文芸部たちの人質立てこもり事件。{/netabare}
和沙たちは、自分たちが「青」の世界に
いることに気づく。
そこは、心地良いものだった。
「青」の中にいる少女たちは、大人になるために
自らの色を求めて必死に生きる。
時が過ぎ、環境が大きく変化したとしても、
彼女たちがこの季節を忘れることはないだろう。
(2019年11月3日初投稿)

投稿 : 2024/04/13
♥ : 81
ネタバレ

ぺー さんの感想・評価

★★★★★ 4.3

人生で最もへたくそな時期に捧ぐ

岡田麿里氏が原作から絡んで脚本やって、な作品。原作は未読です。

タイトルからして生々しく、しかも思春期男女(特に女)の心理描写には定評のある岡田氏の作品。

「岡田作品は苦手だけど荒乙は面白い」との推薦を複数いただいてて、楽しみにしてました。


作品自体は思春期の“性”をテーマに、右往左往する文芸部の女子高生5名が各々の答えらしきものを見つけるまでを追った青春群像劇です。

 吾輩は○○である 名前はまだない

整理しきれぬ名付けもできぬ感情は存在し、その多くは経験の蓄積によって落とし所が見つかるもの。

青春群像劇では私たちがかつて通過してきたであろう感情や衝動なりを作品の中に見つけて、自分の思考パターンや嗜好のルーツとなった立ち位置を確認する作業でもあります。
高校を卒業すれば進路はバラバラ。得られる経験も分岐して汎用性に乏しいことが、高校卒業以降を追った作品が少ない理由なのかもしれません。

そして汎用性があるようなないような題材が今回のテーマ。
“性”に対する考え方は個人によって差が相当あるもの。

そんな本人にしかわかり得ぬ感情。いや本人でさえわからない感情について同じようにバラバラだろう相手の感情とを擦り合わせる難儀なことを人生で初めてする作業が思春期世代の恋なんだと思います。

個人差があるのは当然で、ひとつの事象とっても男女で考え方も捉え方も違うことを想像できなかったり、違いはあると自覚しても何がなんなのか袋小路に迷い込んだり。
例えばこの連載は別冊マガジンですが『別マ』と言われて男子は『マガジン』を女子は『マーガレット』を想像し、お互いの前提がずれてる中言葉のキャッチボールを交わしてるうちに悶々としてしまう。
ほんの少し先になれば『マガジン』も『マーガレット』もあるって気づくものです。それがなかなかそうはならないもどかしさを作品で表現することは難儀なことでしょう。


前置き長くなりましたが、つまり、

 これまで数多語られてきたけどまとめられんのかいな?

好きだ惚れたから一層も二層も踏み込んで、本来同じカテゴリーなのにあえて切り離すことで物語を作りやすくしていた“性”なるものに焦点を当てちゃった本作。
個人差が激しいネタについて、きっとそんな時期を通過したであろう私たちにリアルな質感をもって届けてくれるかに着目したわけであります。

結果、文芸部員5名それぞれに異なる立ち位置を与え、かつそれぞれに対となるパートナーをあてがい、パズルのピースをはめていくようなストーリーに仕上がっていました。男はあくまで彼女たちを輝かせるための舞台装置。主役はあくまで乙女たちです。
よくパズル組めたな~。率直な感想です。一覧は以下。当然1対1とは限らないのですが詳細は本編参照。


【文芸部員】
小野寺和紗(CV河野ひより)
菅原新菜(CV安済知佳)
曾根崎り香(CV上坂すみれ)
須藤百々子(CV麻倉もも)
本郷ひと葉(CV黒沢ともよ)

【パートナー(仮)】
典元泉(CV土屋神葉):{netabare}対和沙要員{/netabare}
天城駿(CV広瀬裕也):{netabare}対曾根崎先輩要員{/netabare}
山岸知明(CV福山潤):{netabare}対本郷先輩要員{/netabare}
三枝久(CV 咲野俊介):{netabare}対菅原氏要員{/netabare}
杉本悟(CV花江夏樹):{netabare}対もーちん要員{/netabare}


実のところパズルが組み立てられた時点でおおむね満足しています。いいもの見せてもらいました。
リアルな質感があったかどうかは個人差によるものはあるでしょう。具体的にはこんなところが良かったなぁと私が思ったところは以下、


■OPを飛ばしちゃダメ

曲中に文芸部員たちの独白みたいな合いの手が入るわけですが、全OP一定ではなく変わっていきます。
作品世界をよく表したOPなので飛ばすのももったいないのもありーの、その回冒頭から集中を促す効果がありました。


■結局全員荒ぶる

キャラの掘り下げが全員できてたという意味ではなく、5名ともきちんと荒ぶってました。


■ざわつく

岡田脚本の特色なのか、円満にしときゃいーのにそれ要るかな?ってネタを挟んでおり、またそれがリアルな質感がありました。
安心安全なピュアピュアな恋愛を期待するのも野暮というほどさらりと毒を盛り込んできます。

{netabare}・部長の彼氏がちゃっかり前カノのおっぱい揉んでる事実
 ⇒経験者じゃないと曾根崎先輩を攻略する前に心が折れてたかもしれないという仮説
・あの杉本が女を連れている(最終話ED)
 ⇒地獄へ落ちろ!との視聴者の期待を嘲笑うかのようにしっかりキープ。なんだかんだ動く奴は強い
・本郷ちゃんが報われない
 ⇒いい子なのにね{/netabare}



最初はインパクトのある下ネタという飛び道具を織り交ぜながら、「おいおい大丈夫かよ」とくぎ付けになり、適度に乙女たちが荒ぶりながら最後の最後でぶつかり合ってという青春ど真ん中をいく良作でした。
端的に言えば序盤から終盤{netabare}10話{/netabare}までのわりと緻密な展開と打って変わっての後半の勢い。
慌てて畳んだ感が無くもないと言えますが、ここは『荒ぶる』感が出ていたと好意的に解釈してます。
{netabare}もう2話時点で和沙が自分の気持ちに気づくとか、5話で最も縁遠そうな部長がくっつくとか、その後どうするの?を長めに取る構成は良かったです。{/netabare}

個人差ありまくりの“性”の捉え方に関して、本作でのそれについてはノーコメント。
ただしきっと、登場キャラのうちに「あ、これ私だ!僕だ!」な子だったり言動行動が見つかるのではないか?と思えるほど網羅性は高いように見えますね。
現在進行形の方はがっつり共感して。はるか彼方の御仁は軽くキュン死しながら悶え狂いましょう。私も悶えました。おすすめです。




※ネタバレ所感

■パズルのピースについて
ほうぼう荒ぶっておきながらしっかり着地できたのって、主演女優5名と対になった野郎どもとが似たもの同士だったからではないかと思います。

・和沙VS泉
 {netabare}上半身と下半身が別の生き物同士

最終回でお互い似たもの同士だよねと分かり易く描かれてました。典型的な思春期のアンバランスさを体現した二人で主役にふさわしかったと思います。

{netabare}「泉。私ね。これからも不安になると思う。でも泉と同じ気持ちと同じ言葉、私はちゃんと持ってるんだって!分かったから…不安になっても、それを思い出せば…きっと大丈夫」{/netabare}
このセリフを言えたからこその主役でしょう。不安になると言葉に出せた時に大きな成長を感じました。{/netabare}


・曾根崎先輩VS天城
 {netabare}素直な者同士

お互い耐性ないので基本ちょろいです。考えてるようで実はそうではありません。よく言えば真面目で一途といったところでしょうか。浮気は絶対許しません。{/netabare}


・本郷ちゃんVSミロ
 {netabare}言葉先行で行動に移れない者同士

若さゆえに本郷ちゃん頑張りますが失敗重ねてるうちにそのうち諦観しそう。ミロ(三枝先生)がそのなれの果てかしら。言い訳先行でまたそれがもっともらしく聞こえるタイプ。
そんな本郷ちゃんが最も荒ぶってるように見えるというのが“荒ぶる季節”のアンバランスさを表わしてるようで心地よいです。{/netabare}


・菅原氏VS三枝
 {netabare}持てる者かつ特殊フェチ同士

周囲から羨ましがられてます。周囲からの見られ方と自身の嗜好にギャップがあるのが悩みどころ。医者や高級官僚がSMにハマるみたいな倒錯性を感じます。ちがう?{/netabare}


・もーちんVS杉本
 {netabare}相手が見えてないもの同士

自己中とも言います。杉本は言うに及ばず、もーちんもなかなかの猛者です。「なんで自分の思うとおり動いてくれないんだろう?」が先にあると恨みつらみが積み重なっちゃいますよね。{/netabare}



合ってるかどうかは知りませぬ。それは違うさーというのも笑いながらツッコんでみてください。



最後に、、、
なんだかんだ本郷先輩の今後が気になるところです。

{netabare}「止まらない電車に乗っちゃったんですよ我々は!」
ブルーハーツの伏線回収お疲れ様でした。{/netabare}

{netabare}あと真っ白になったと言い残して燃え尽きてましたが息してますよね?
自分で蒔いて自ら回収とはさすがです。

ぜったい素敵な女性になっておくれよー(^_^)/~{/netabare}



視聴時期:2019年7月~9月 リアタイ視聴

-------


2019.09.28 初稿
2020.04.10 タイトル修正/修正

投稿 : 2024/04/13
♥ : 72
ネタバレ

shino さんの感想・評価

★★★★☆ 3.8

揺れる思い、荒ぶる乙女心

原作 岡田麿里・漫画 絵本奈央。

文芸部に所属する女子高生が、
思春期特有の「性」の悩みに振り回される。
お年頃な乙女たちの青春群像コメディ。

大胆で繊細なテーマですが、
コメディタッチで描かれているため嫌味がない。
小さな共感とクスッと笑える展開が、
どこかにきっとあるだろうと思います。

4話視聴追記。
時代錯誤的に誇張された表現が微笑ましいと、
お気楽に見ていたのですが、
少女たちのあるべき葛藤が群像的に顕在化し、
ちょっと待てと…襟を正し始める。
{netabare}通過儀礼により失くしたものを問いただし、
失ったものの賞味期限を確かめているようだ。{/netabare}

これはただのコメディではなかった。

11話視聴追記。
揺れる思い、荒ぶる乙女心。
終幕に向け大きく動き始める青春群像。
{netabare}現状を維持するための行為が、
むしろ現状を理想から遠ざけてしまう。{/netabare}
青春のもどかしさが上手く表現されている。

最終話視聴追記。
新しく芽生える感情、
まだ名前も知らないその感情に、
振り回されては抗する乙女たちの純情。
全てに不器用だった私たちの青春と共鳴し、
様々な素敵な色を見せてくれる。
最後の台詞までセンスがあり楽しめました。

素敵な恋の季節の物語でしょう。

投稿 : 2024/04/13
♥ : 71

72.7 16 2019年度の友情アニメランキング16位
俺を好きなのはお前だけかよ(TVアニメ動画)

2019年秋アニメ
★★★★☆ 3.3 (478)
1920人が棚に入れました
ここで質問。もしも、気になる子からデートに誘われたらどうする? しかもお相手は一人じゃなく、クール系美人・コスモス先輩と可愛い系幼なじみ・ひまわりの二大美少女!! もちろん、意気揚々と待ち合わせに向かうよね。そしてそこで告げれれた「想い」とは――……「俺じゃないヤツが好き」っていう「恋愛相談」だった。ハハハ。……やめだ! やめやめ! 「鈍感系無害キャラ」から、つい本来の俺に戻ってしまった。でも、俺はここでへこたれない。恋愛相談に乗れば、俺を好きになってくれるかもしれないからな! そんな俺の悲しい孤軍奮闘っぷりを、傍で見つめる少女がいた。三つ編みメガネの陰気な少女・パンジーこと三色院菫子。俺はコイツが嫌いです。なのに……俺を好きなのはお前だけかよ!! 自分がモブだと気づけなかった主人公と個性的な華々しい女の子たちのちょっと刺激的な学園青春(?)コメディー、ここに始まる!?

声優・キャラクター
山下大輝、戸松遥、白石晴香、三澤紗千香、内田雄馬、三上枝織、東山奈央、斉藤朱夏
ネタバレ

ぺー さんの感想・評価

★★★☆☆ 3.0

ゲスを気取ったヘタレに需要無し ※酷評注意

原作未読


うーん、、、小道具の“ベンチ”だけが面白かった作品。
なんならベンチにスポットライト当ててヘンデル『ハレルヤ』でも流せば上方修正してたかも。

原作小説はアンチ学園ハーレムが執筆動機っぽいのですが、少なくともアニメでは「どこが?」って感じでハーレム色は濃かったように思えます。

他のレビューでも吠えてますし、あらためて自分の嗜好を言っとくと、ラブコメはキャラの行動言動で“キュン”と出来るかが評価基準。キモくてもしゃーないです。
二次元の外見に惹かれたり「かわいいからまぁいっかー」となることはまずない。
その視点で本作を捉えると、、、面白くないです。
いくら可愛い(という設定の)女子を逐次投入されたところで「そこじゃないんだよ!」となるわけです。

女子の中ではメインの三色院菫子(CV戸松遥)/パンジーの魅力に引っ張られ完走することはできましたので、需要はゼロではないと思いますよ。以下、ダメな理由。


■取り巻きの女子がちょっと…

パンジー以外浅い。考えたり悩んでたりしてる形跡なしですよね。ビッチだとかアバズレだとか主人公くんに形容されてキャラ付けの努力はしてたのでしょうが、それ以前の問題で思考が現実の女性とは乖離し過ぎていてついていけません。
ひまわり/コスモス/あすなろ/ツバキ/サザンカ等々記号的な存在を超えないため、パンジーとの三角関係発展すら想像だにできなかったし、ひまわり/コスモスに至っては早々に私はモブ扱いしてました。
ラブコメのメインストリームを担える女子がいませんでした。


■ゲスではなくヘタレ

ジョーロがしょぼい。
1.{netabare}その発想はないっしょ
 恋愛マニュアルに沿った行動して、それすら能動的に女の子にアクションをかけるものではない。そのくせ、意に反した反応を女の子がとれば“ビッチ”“アバズレ”認定してしまう典型的な童〇思考。
 実践なきヘタレ野郎っぷりが第1話から展開されてたので正直きつかったです。そう第1話からさっそく無理ゲーでした。{/netabare}

2.{netabare}終盤でもそうなん?
 ホースの進撃からいったん身を引いて土壇場で反転攻勢!への共感ができないできない。
 本件に限らず「あなたは勝てますよ」と他人に担保してもらわないと動けないのはヘタレ以外の何者でもないのであります。{/netabare}


主人公のジョーロくんが策士っぽい設定だったからこそ、それとの乖離が気になった次第です。


■最近の流行なのかもしれませんが…

{netabare}TV放映分での結論が出てません。
終盤の重要キャラ“ホース”の登場も最終話手前の第11話。収拾つけるのは難しいしつけませんでした。{/netabare}

{netabare}“気になるので続編wktk”となるか“は!?だったらみねーよ”となるか。迷うことなく後者ですね。さようなら!{/netabare}



「実践」に勝るものは無し。もちろん書籍から得る「知識」だって糧となることを否定はしません。
リアリティをもって感情を揺さぶる筆力のある者か、エモさ全開でエンタメに振れる筆力のある者の作品を商業ベースでは主流にしてほしいもんです。
たまたまなのかアニメ化されるラブストーリーないしラブコメってこんなのばっか。

童貞か引き籠りが妄想で書いた自己満の作文見せられてるようで耐え難い。浅くて薄くて時間の無駄。


奇しくも自己満足作文ばかりを読んで育つとこうなりましたみたいなのが主人公ジョーロくんと言われればとてつもなく説得力あるんですがどうなんでしょうね。



視聴時期:2019年10月~2019年12月   

------
2020.07.11 追記

最終回後、原作者がラジオで「原作知ってれば1クールで収まることないのわかりきってたことじゃないですか」と仰られてたとか。
…たぶんこういうところなんだと思います。


2020.01.08 初稿
2020.07.11 追記

投稿 : 2024/04/13
♥ : 55
ネタバレ

ninin さんの感想・評価

★★★★☆ 3.3

俺を好きなのはお前だけじゃないのかよ

原作未読 全12話

花に纏わるあだ名がついた高校生男女の恋愛を描くハーレムラブコメ作品です。

キャラ原作はブリキさん、「僕たちは友達が少ない」や「電波女と青春男」を思い出しました。女子は可愛く描かれていましたね。

3話まではなかなかドキッとする展開で面白かったのですが、その後はよくあるハーレムラブコメ作品になったのは残念でした。

また、お話が何故ここでという感じで、中途半端に終わっています。

OPは斉藤朱夏さん、EDは主要メンバーの女子3人が歌っています。

最後に、{netabare}ホースとジョーロの結末はOVAみたいですね〜{/netabare}作品名と同様に残念です。

投稿 : 2024/04/13
♥ : 25

Ka-ZZ(★) さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

「俺は、すべてのすべてのラブコメを過去にする」

この作品の原作は未読ですが、キャラデザがブリキさんと知り視聴を決めた作品です。
それにハルカス、白石晴香さん、三澤紗千香さんに奈央ぼうと、これだけ役者が揃ったら視聴しない道理はありません。
この作品も期待値MAXで視聴に臨みました。


ここで質問。もしも、気になる子からデートに誘われたらどうする?
しかもお相手は一人じゃなく、クール系美人・コスモス先輩と
可愛い系幼なじみ・ひまわりの二大美少女!!
もちろん、意気揚々と待ち合わせ場所に向かうよね。
そしてそこで告げられた「想い」とは…

…「俺じゃないヤツが好き」っていう「恋愛相談」だった。ハハハ。
…やめだ!やめやめ!「鈍感系無害キャラ」から、つい本来の俺に戻ってしまった。
でも、俺はここでへこたれない。恋愛相談に乗れば、俺を好きになってくれるかも
しれないからな!

そんな俺の悲しい孤軍奮闘っぷりを、傍で見つめる少女がいた。
三つ編みメガネの陰気な少女・パンジーこと三色院菫子。
俺はコイツが嫌いです。なのに…
俺をすきなのはお前だけかよ!!
自分がモブだと気づけなかった主人公と個性的な華々しい女の子達の
ちょっと刺激的な学園青春ラブ(?)コメディー、ここに始まる!?


公式HPのINTRODUCTIONを引用させて頂きました。

この作品…登場する女の子の可愛らしさが半端ありません。
キャラデザがブリキさん、という影響も多分にあるのですが、ちょっとした仕草など細やかな部分も配慮しているのが伝わってきます。

そして何より声優さんの演技が堪らないんです。
今回序盤から色々持って行かれたのはパンジーこと三色院菫子役のハルカスの演技でした。
今まで聞いたことの無い声質…
あの声質で「寂しいわ…」とかジョーロみたいに傍で囁かれたら、卒倒してしまうかもしれません^^;

私は専門家じゃないので詳しいことは分かりませんが、声優さんの完璧な演技って、きっとこういう作品の事を言うんだろうなぁ…とか思ったり。

今、公式HPのトップページを見ながらこのレビューを書いているのですが、物語の中での彼女たちの言動が、頭の中でフラッシュバックの様に蘇ってくるんです。
ジョーロへのアプローチの仕方は人それぞれ…
だけどどのキャラも素直に愛おしく感じれるんです。
パンジーさんには色々持っていかれたので推しキャラとしては頭一つ分抜きん出ていますけれど…

そういえば、先ほどこの作品のwikiをチラ見した時に、面白いことが書いてあるのを見つけました。
「本作はラブコメディ系のライトノベルではあるが、本作はライトノベルでありがちな主人公が複数のヒロインに好意を持たれる(落ちもの・ハーレムもの)という設定は否定的に描かれている。」

「落ちもの」って何かな…と思って調べたら、「ストーリーの導入部分において、平凡な主人公のもとに魅力的な異性が突然現れるところから物語が始まるというもの。」なんだそうです。登場する女の子は次第に増えていき、殆どの出会いはいつも突然だったように記憶していますが、確かに誰も空からは落ちてきてはいませんね。

ついでに「ハーレムもの」についても調べてみました。
主人公である1人の男性(女性)キャラクターに対して多数の異性キャラクターが対置され、多くの場合は大勢の異性が1人の男性(女性)に対して好意を抱く。
また、主人公はハーレムを構成する異性に対して好意を持っていて平等に接することも多い。

…この作品の作風とハーレムものとの違いが分からないです^^;
確かに「ハーレムを構成する異性に対して好意を持っていて平等に接する」という部分では違いがあるかもしれません。
でも疑念が残ります…
この違いがフェイクという路線がどうしても捨てきれません。
というより、捨てちゃいけない気がします。
何故なら、その展開を一番望んでいるからです。

主人公が誰の事も好きにならず、誰も選ばないのだとしたらハーレムの構図は不成立となります。
でもジョーロがこれを選択するでしょうか…そもそもの目的から完全に逸脱してしまいますよ。
個人的にはハーレムものは嫌いじゃないので、その違いへの拘りが理解できないんでしょうね。
これらを差し引いても十分魅力的な作品だと思います。
気になる方は是非本編でご確認頂ければと思います。

オープニングテーマは、斉藤朱夏さんの「パパパ」
エンディングテーマは、パンジー、ひまわり、コスモスによる「ハナコトバ」
エンディングの発売が12/25って遅くありませんか?
エンディングはまだちゃんと聴けていないので評価は止めておきたいと思います。
オープニングのノリは好きでしたよ。

1クール全12話の物語でした。
全体的に面白かったと思います。
後半登場したホースには登場キャラ同様に違和感を感じましたし…
唯一残念なのは幕の引き方でしょうか。
最終回のラストに「あともうちょっと続く」と言うのは、発売日未定のOVAの前振りだったんですよね?
これをOVAにしちゃいますか…というのが率直な感想です。
確かに「TVシリーズの完結編、ジョーロ(モブ)とホース(主人公)の決着を描くOVA」らしいので、気にもなりますし売上枚数もきっと伸びると思います。
でもできるなら気持ちの熱いうちに全13話として描き切って欲しかったのが本音です。
まぁ、後日発表される詳細に期待しましょう。

投稿 : 2024/04/13
♥ : 22

87.5 17 2019年度の友情アニメランキング17位
劇場版 響け!ユーフォニアム ~誓いのフィナーレ~(アニメ映画)

2019年4月19日
★★★★★ 4.3 (398)
1856人が棚に入れました
昨年度の全日本吹奏楽コンクールに出場を果たした北宇治高校吹奏楽部。2年生の黄前久美子は3年生の加部友恵と、4月から新しく入った1年生の指導にあたることになる。全国大会出場校ともあって、多くの1年生が入部するなか、低音パートへやって来たのは4名。一見すると何の問題もなさそうな久石奏。周囲と馴染もうとしない鈴木美玲。そんな美玲と仲良くしたい鈴木さつき。自身のことを語ろうとしない月永求。サンライズフェスティバル、オーディション、そしてコンクール。「全国大会金賞」を目標に掲げる吹奏楽部だけど、問題が次々と勃発して……!?北宇治高校吹奏楽部、波乱の日々がスタート!

声優・キャラクター
黒沢ともよ、朝井彩加、豊田萌絵、安済知佳、石谷春貴、藤村鼓乃美、山岡ゆり、津田健次郎、小堀幸、雨宮天、七瀬彩夏、久野美咲、土屋神葉、寿美菜子、櫻井孝宏
ネタバレ

ぺー さんの感想・評価

★★★★★ 4.6

京都アニメーションについて

はじめに注意書き

本稿は 劇場版 響け!ユーフォニアム ~誓いのフィナーレ~ の要素をそれほど含みません。予めご留意くださいませ。


-------------

※本作に関する評価は評点にて

実は公開直後の2019年4月に本作品を劇場で鑑賞し、なにかしら書こうと思ってましたが筆が進みませんでした。

 「この続きの物語を早く観たい」

真っ先に沸き上がった感情がこれで、それ以上でも以下でもなかったことが理由です。

鑑賞後の感想が「続編早く観たい」だったので、その後の続編発表はなによりの朗報でした。無名の大学生の小説を発掘し素敵な物語に仕立て、数年かけて育ててきた魅力的なコンテンツ『響け!ユーフォニアム』。拙稿のTV版のレビュータイトルは1期2期を通じて “ モブはいない ” としております。
コンテンツの歩みは仕上げの工房から始まり、地方のハンデを乗り越えながら三十年以上かけて築きあげてきた実績と、一人一人輝きを見せるキャラクターたちは誰一人として欠けてはいけないクリエイター集団としての京都アニメーションという制作会社の実像とイメージを同じくするものでした。



2019年4月。
「劇場版 響け!ユーフォニアム~誓いのフィナーレ~」の公開前後、京都府宇治市にある京アニショップの店頭ボードにはこのようなメッセージが添えられていました。


{netabare} 劇場作品を一本作り上げるには、すべてのスタッフが
一丸となって取り組まなければ乗り越えられません。
 クリエイターが、日々真摯に作品の制作に向き合うの
は勿論、制作を支えるスタッフも、クリエイターが自分たちの
作業に集中できるよう、最適な環境を整えてくれました。
 全てのセクションが毎日細かな情報まで共有し、遠く
離れたスタジオにいるスタッフでも、まるで隣の席にいるか
のように感じることができました。そして、時間との戦い
になっても、一人として諦めることはありませんでした。
 最後は、各スタジオのスタッフが一ヶ所に集まり、この作
品の完成を一心に目指しました。あの時の高揚感は忘
れることができません。一人として欠けては、この作品が
皆様のもとへ届くことはなかったでしょう。

 「劇場版 響け!ユーフォニアム~誓いのフィナーレ~」には、
京都アニメーションとアニメーションDoの“いま”を余すこと
なく詰め込んでいます。映画を通して、私たちの想いを
感じていただければ幸いです。
 
 そして、ここから続いていく劇場作品もまた、同じように
大切な想いが詰まっていて、『京アニ映画year』はそうし
た想いが寄り集まって始まります。

 私たちの想いが、皆様に響きますように-----。

    京都アニメーション・アニメーションDo一同 ※原文ママ{/netabare}



届きました。響きました。


しかし、ここから続いていったであろう大切な想いが詰まった作品たちは現在足踏みまたはゆっくりと歩を進めている状況です。
「今暫く、時間をください。」「必死に戦っていきます。」公式コメントで誓われてる以上、我々は再起を信じて待つほかありません。


次は自分たちの番だと思ってます。


 『一人でも多くの人に京アニの作品を知ってもらいたい』


“ 夢に向かって一生懸命な人たちのプロの仕事を紹介する ” とのスタンスで普段はアニメを観ない層へ働きかけています。けっこうな方が実際の作品を観て感想を寄せてくれました。

『らき☆すた』『CLANNAD』『涼宮ハルヒの憂鬱』『けいおん!』『氷菓』『中二病でも恋がしたい!』『Free!』『響け!ユーフォニアム』『聾の形』『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』etc
アニメに興味のない層はこれらのタイトルを知りませんから、技術的なことや内容よりもクリエイターのモノづくりへの想いに言及することで一般層の琴線に触れる場合が多いと感じております。


あにこれはレビューサイトです。
レビューを書くことは抽象的な映像作品を言語化するというやっかいな作業です。そのやっかいな作業を質量関係なくおこなった経験が皆さんにはおありです。
一介の在野レビュアーごときの世迷い言に少しばかりでも共感してくれて、どこかで思い出して行動に移していただけるのなら望外の喜びです。



願わくば、地上波のゴールデンタイムで京アニ作品が流れるその日まで。



世間の話題に挙がらなくなっても京アニの必死な戦いは続きます。
私たちも決して希望を捨てることなく、また、アニメファン一人びとりがこれからも長く心を寄せ、京アニ再興の道のりを見守り続けていきましょう。


令和元年九月七日 記


※本稿に関するサンキューには御礼メッセージを控えさせていただきます



-------------
2020.03.20追記

○周忌や月命日でもないなんともない日にあらためて更新です。
レンタルなり配信が開始されたのでしょう。レビュー新規投稿なりサンキューをいただく機会が増えました。劇場公開からそろそろ一年。

何かの折にコンテンツに触れられることはありがたいことです。
一方で、消費される宿命にあるのもコンテンツの事実。
忘れない。想い続ける。いざやろうと思っても四六時中というわけにはいきません。


さて、実績報告となります。
事件後、普段アニメを観ることのない4名の知人に京アニ作品を鑑賞していただきました。反応は様々でしたがそれでいいかなと。

引き続き、各々が現実世界で動いていく。
今後更新するかはまったくの未定です。


2019.09.07 初稿
2020.03.20 追記

投稿 : 2024/04/13
♥ : 75

でこぽん さんの感想・評価

★★★★★ 4.7

ただただ感無量

いやー凄く良かったです。
黄前ちゃんをはじめとして、麗奈、葉月、緑輝、などの懐かしい人達に会えることができました。
この短い映画の時間で、よく一年間をまとめられたものだと、製作スタッフの方々に感謝します。

最初に 「響け!ユーフォニアム」が聞こえてきたとき、
胸がジワーとこみ上げてきました。
あの名曲は、あすか先輩から黄前ちゃんに、しっかり受け継がれていました。

この映画では、黄前ちゃんは2年生。彼女はいつも、巻き込まれキャラです。
今回は、一年生の悩みにいろいろと巻き込まれます。

誰も悪い人はいないのに、悩み、涙を流す一年生たち。
そう、みんな一生懸命生きているからこそ、悩むのです。
奏ちゃんやさっちゃん、みっちゃん、それに求。
一人一人の悩みは違います。でも本人にとっては真剣な問題です。

そんなとき、黄前ちゃんみたいに、気軽に相談できる人がいたら、安心します。
話しを聞いてくれるだけでいいのです。それだけで、安心するのです。
自分は一人じゃなかった。そう感じて安心するのです。

でも、黄前ちゃんは、話しを聞いてくれるだけじゃなく、納得できるまで追いかけてきます。決して手を抜きません。
そして、ときには厳しいことを言って叱ります。
一見、人畜無害そうに見える黄前ちゃんに叱られると、誰もが驚いてしまいます。
でも、それは、相手を思いやって叱っていることに、すぐに気付きます。
だから、みんなは黄前ちゃんを好きになるのです。

ところで、今回も立派だと思ったのは、中川夏紀の行動です。
一見怖そうに見える彼女は、本当に立派な副部長です。
自分に不利になると分かっているのに、あえてみんなのために頑張っている。
一年前も彼女はそうでした。彼女の心は、とても清らかです。

こんな人たちがいる吹部は、素敵ですね。

最後に、あすかのお父さんがつくったあの名曲を、後輩の奏ちゃんも受け継いでほしいと思いました。

投稿 : 2024/04/13
♥ : 72
ネタバレ

フィリップ さんの感想・評価

★★★★★ 4.3

想いはつながっていく

製作:京都アニメーション、監督:石原立也、
シリーズ構成:花田十輝、
作画監督:池田晶子、原作:武田綾乃

久美子が高校2年生に進級した
原作の2冊分をまとめた作品の映画化。
ただ、希美とみぞれの関係性を描いた部分は、
『リズと青い鳥』で映画化されたので、
それ以外の部分ということになる。

物語は黄前久美子と塚本秀一のシーンに始まり、
桜が舞い散る新入生入学時に
吹奏楽部員がパフィーの『これが私の生きる道』を
演奏して歓迎するところからから描かれる。

物語は最初から最後まで
久美子と新入生のユーフォニアム担当・
久石奏との関係性が軸になっている。
これはある意味、映画『届けたいメロディー』と
同じような構成だ。
ただ、今回はそれに加えて、久美子の脳裏には、
卒業生のあすかの姿がいつも思い浮かぶ。

2年生になった久美子は、
トランペットの加部ちゃん先輩とともに
1年生指導係となり、後輩たちの面倒を見ることなる。
低音パートには、チューバの鈴木美玲と
鈴木さつきのW鈴木とコントラバスの
月永求、ユーフォニアムの久石奏が
新たに加わり、波乱を巻き起こす。

部活において「頑張るとは何なのか?」と
いうのが、大きなテーマのひとつ。
効率良く技術を上達させていくことか、
それとも部内の皆と仲良くして
溶け込んでいくことなのか。
難しい問題だが、どちらも正解というのが
正しいのだろう。ほかにも正解はあるだろうし、
また、部内の状況によっても変化する。

純粋に正しいことと間違っていることだけで、
部活内は割り切れるものではない。
時には間違っていたと思えることでも、
人間関係によっては
正しいことになることもある。
無理をして何かを合わせなければ
いけないこともある。
久美子はそれらを踏まえた上で、
現在の北宇治において「頑張る」ことに
ついて、踏み込んだメッセージを奏に送る。

{netabare}奏は過去の経験から、部内の人間関係を鑑み、
自分自身の演奏を諦めることを決断した。
そんな奏を諭すために久美子たちが
連れ出した場所は、あすかを説得するときに
利用したのと同じ校舎裏のゴミ収集場だった。
かつて、あすかに跳ね返されたのと
同じ場所だったことは、その時の出来事と
関係性をしっかり対比させる制作陣の意図だろう。
(当時は、あすかも演奏を諦めていた)
1年前、久美子は同じ場所で自分の他者に対する
距離感をあすかから思い知らされることになるのだが、
今回は、距離感を詰めて雨中に飛び出した奏を追いかける。
「気になって近づくくせに、
傷つくのも傷つけるのも怖くて、
なあなあにして、安全な場所から見守る。
そんな人間に相手が本音を
見せてくれていると思うの?」と
あすかから言われた自分から脱却するために行動する。
「本音」が知りたいと久美子は奏にはっきりと問う。
そして自分の経験から本心で
「頑張ることは無駄ではない」ことや
「頑張っている奏のことを
自分たちは見ている」し、
「奏のことを守る」ことを伝える。

かつて麗奈から教えられたように
頑張ったからこそ、コンクールがダメ金で
「死ぬほど悔しい」と思うことができる。
結果が出なくて死ぬほど悔しいのは、
頑張ったことで得られる本物の気持ちなのだ。
あすかや麗奈から久美子に、
そして、久美子から奏、そのほかの部員へと
想いがつながっていく。
今回の物語で監督がこだわったのは、
そういう何かを受け継いでいくことなのだろう。

雨に濡れて、次第に久美子の天然パーマが
ストレートになっていく様や、
あすかに対したときのような熱のこもった
説得シーンには引き付けられた。
これは、奏への説得と同時に
1年前のあすかに対しての久美子の回答でもあった。
そしてコンクール当日にあすかが現れ、
名残惜しそうにする久美子に絵葉書を渡していく。
わざわざ映画で原作のこのシーンを入れたのは、
続編で回収するつもりだろうと考えたい。

時間を短くまとめるために、奏との関係性と
そこから垣間見えるあすかに対する想いを
強調したことで、久美子の成長を軸にした
1本の作品としてまとまっている。
初見のときは、観賞の直前に
また原作を読み返していたこともあって、
展開に無理があると感じていたが、
100分という時間制限を考慮すると、
最初から最後まで計算され尽くされている構成だと思う。

ただ、奏と夏紀の関係性についての描写が薄いため、
問題が起こって解決するまでの経緯が
今ひとつ腑に落ちない感覚に陥ってしまう。
また加部ちゃん先輩との関係性も
積み重ねられていないだけでなく、
先輩の努力などもあまり分からないため
その重大な決断が心に響かない。
時間がないので仕方のないことだが、
久美子が部長になる際の優子や夏紀との
やりとりや黄前相談所創設の説明も
全くなかったことは残念だった。
(黄前相談所創設は、久美子が後輩から
信頼を得て、スムーズに部長として活動できるよう
優子が1年前から計画して行ったことだった)

これらを考えると、本来は2期で入れるべきところを
敢えて無視した秀一との関係を無理して入れる
必要があったのだろうかと感じた。
しかも秀一と別れる理由が原作での
部長に指名されたからということなら分かるが、
映画では曖昧にした上に、
秀一が納得しているのも気になってしまう。
ただ、この関係性を描くことは
石原監督のこだわった部分だったようで、
しかも、秀一との会話を入れることで、
奏と夏紀の関係性や求についてのこと、
麗奈との友情の機微などを表現できているので、
物語全体に深みを持たせられたとは思う。
また進路に悩むということで、原作にはないのに
敢えて久美子が父と将来のことを話すシーンまで
入れている。そこには父の姉に対する
後悔の念も滲んでおり、父親も何かに迷う
ひとりの人間であることを示しているのが面白い。{/netabare}

初見のときは、原作との違いや描写不足から
細部に不満を感じたが、何度か観ると、
限られた時間内での完成度の高さが目に付く。
しかし、やはり描写不足が拭えないのも確かで、
できれば最終章はテレビ放映することを願う。
音楽は相変わらず聴かせてくれて、
部員それぞれの動きも迫力があった。
(2019年5月26日初投稿)

投稿 : 2024/04/13
♥ : 68

70.5 18 2019年度の友情アニメランキング18位
私、能力は平均値でって言ったよね!(TVアニメ動画)

2019年秋アニメ
★★★★☆ 3.3 (439)
1691人が棚に入れました
とある事故をきっかけに異世界へ転生してしまった人よりちょっとだけ「できる子」だった女子高生・栗原海里(くりはらみさと)彼女がその新しい世界で望んだものは…「わたし、普通に友達をつくって、普通の生活を送りたい―」

声優・キャラクター
和氣あず未、徳井青空、内村史子、田澤茉純、羽多野渉、河野ひより
ネタバレ

ぺー さんの感想・評価

★★★★☆ 3.4

異世界転生モノのわりには、という枕詞

原作未読


デキる子でぼっち。
現世では優等生だからこそ周囲と距離が出来ちゃったと思い込んでる娘さんが、転生先では平々凡々なパラメータ配分を願ったもののそうはいかず、と俺TUEEEの亜種みたいな異世界転生もの。
視聴動機はあにこれのレビュアーさんが本作を注目作に挙げてたから!


冒頭での『ローマの休日』パロディよろしく全編通してどこか既視感のあるメタなネタを惜しげもなくぶっこんでくるのが特長でしょうか。
{netabare}パロディの元ネタも主人公の親の影響が濃かったり、実は現世での家族の結びつきは希薄というわけではない。現世否定と現実逃避が幅を利かすこのジャンルでは変化球と言えましょう。
だいたい主人公のみで家族の影なぞ微塵も感じないのが私がこれまで経験してきた異世界転生ものだったのですよ。{/netabare}

主人公(仲間も含めて)を女性にしてコメディータッチな作風となってます。
転生先でイキリだす男主人公を見慣れた私たちにとっては不快指数は低めです。猫も杓子も“異世界転生”な昨今の制作状況では充分に選択肢の一つに成り得ます。


ただし、、、
良い悪いではなく気になる点も。アンチ異世界転生派みたいな一定層へ媚びてるような気がします。
いまや自分を含む一部で悪評高き“異世界転生”もの。
本作では主人公マイルちゃん視点で、テンプレ転生展開を腐すシーンをけっこうな頻度で目にします。

{netabare}・そんな“俺TUEEE”なんて望んでませんから~
・ほらキタお約束!こうなると次はこうくるのよね{/netabare} 

これいらなかったかなぁ。そのうち慣れたけど。

やってることは典型的な転生ものなんですが、不思議と嫌な感じはしませんでした。
評価はあくまで可もなく不可もない凡作。異世界転生もののわりには良いほう、って立ち位置かと。



視聴時期:2019年10月~2019年12月   

------


2020.01.07 初稿
2020.07.11 修正

投稿 : 2024/04/13
♥ : 54

えたんだーる さんの感想・評価

★★★★☆ 3.4

おっさんホイホイ(第6話: うーん。これ、あかん奴や…。)

== [下記は第1話視聴時レビュー: 以下、追記あり。] ==
「小説家になろう」掲載 → 書籍化という流れの原作のアニメ化です。実は「小説家になろう」での更新もまだ続いています。

ということで、第1話を観ました。とりあえず第1話を観ればタイトル回収されますので、能力は平均値でうんぬんという話にはこのレビューでは触れません。

原作では栗原海里(くりはら みさと)→アデル・フォン・アスカム(ブランデル王国の子爵令嬢)へ転生→王都にあるエクランド学園を出奔してマイルを名乗りハンター資格を取得という流れを経ています。

しかし、アニメ第1話ではこの辺りをすっ飛ばして優秀な新人ハンターを育てる目的のハンター養成学校への入学のために、ティルス王国の王都にやってきたところからのスタートとなっていました。

ED主題歌ではエクランド学園時代の同級生3人の姿も見られたので、ハンター養成学校入学までの過去については作中でもそのうち何らかの形で触れられることにはなると思います。

原作ではマイルとメーヴィス、レーナ、ポーリンたちとの出会いは学校の寮でしたが、入寮前に出会う形にしてアニメオリジナルの事件によりそれぞれの人となりが分かるように改変されたようですね。

おそらくハンター養成学校卒業までは巻き気味にストーリーが進むものと思われます。

作画は、まあ良かったんじゃないでしょうか。

そこかしこにパロディー、小ネタが挟まれているのは原作由来と言えますね。「ドラまた」とか、とても古いネタもあって転生前は高校生だったはずの海里はいったいどのように育ったのか疑問です。原作でもはっきりとそのような記述はなかった(匂わす程度)と思いますが、もしかして親から英才教育を受けている可能性が…(笑)。
(原作を読んでいると、作者は50代以上なんじゃないかと思うことも…。)

※第1話の映画『ローマの休日』ネタは、きっとアニメオリジナルですね。
== [第1話視聴時レビュー、ここまで。] ==

2019.10.29追記:
想定通り第3話で早めにハンター養成学校を卒業してからの第4話。

原作では「格子力バリアー」と書かれていたけど、アニメでは読みだけなので「光子力バリアー」と区別がつかず。マイル、恐ろしい子…。

合体ゴーレム「ゴ・キーン」は『鋼鉄ジーグ』のジーグの外見と『マグネロボ ガ・キーン』の名前が元ネタ。マイルの「チェンジ、サイボーグ!」のポーズまで出てきましたが、あんな物は原作には出てこないんじゃよ…。

というか原作の世界観準拠ならあんなものを魔術師が操れてはいけません。第3話までは「原作改変」のレベルにとどまっていましたが、この第4話で本作の原作からの大幅乖離が決定的になりましたね。

もう、これは「原作とは別物」として観ないといけないです。

2019.11.5追記:
第5話まで視聴終了。メーヴィスはさておき、レーナ、ポーリン、マイルの面倒な過去語りをよくぞこの1話に押し込んだ(笑)!

第4話のゴーレムと魔術師は未だに納得していませんが、大幅に下げた評価はちょっとだけですが戻したいです。

2019.11.12追記:
第6話まで視聴終了。再び評価大幅下げです。

原作ではマイルはついうっかりなだけで頭は悪くなく日本の高校の優等生並みの社会・歴史・経済・科学の知識はありますし、メーヴィスもお人好しなだけで貴族だけに政治・経済・軍事の知識レベルは高いです。

それに4人とも「依頼達成や仲間を守るためにどうしようもなければ躊躇なく人を殺すけど、殺さないですむくらいに己の力量を高めよう」という姿勢でした。

戦闘自体も戦闘後の処理も、原作の『赤き誓い』から考えると知能レベルが大幅劣化しています。

私は原作改変にそれほど口うるさくしようとは思っていないつもりですが、本作の原作理念を大きく変える脚本・演出には異論が多々あります。いや、一応今後も観ますけどどうしたものかな…。

2019.12.24追記:
最終話まで視聴終了。ラスト2話で、なぜか原作エピソードに帰ってきました。ということでウェンス、シェララ、ベレデテスが登場!

それまで散々オリジナルエピソードでつないでいたんですけどね。このラスト2話をやるなら、やっぱりアニメ第4話はやっちゃダメな奴だった。なぜダメかというと(禁則事項です)。

あ、キャラの評価はアニメに対してのもので、原作のキャラは大好きですよ。あと、CMにも使われていた戦闘時などにかかるBGMは好きでした。

投稿 : 2024/04/13
♥ : 49
ネタバレ

元毛玉 さんの感想・評価

★★★★☆ 3.6

懐かしいパロネタ満載。これ…どこ需要?

原作未読

原作はなろうらしいです。割と楽しめましたー
頭からっぽにしてみる系の
内容は特に深くないアニメですね~

お話のざっくり概要
平均よりできる女の子が日本で死亡して転生
平均的にして欲しいと神様に願う…
神様はおバカで平均の算出の仕方を知らなかった
(いや、おかしいよ!あの計算w)
目立たないように平均的に生きようとするが
困った事に同室のメンバーは全員トラブルメーカー
そんなこんなでパーティ(赤き誓い)を結成
…そ、そんな感じ?

結構、この作品って説明しづらいのね。
酔った勢いで書きながら文章がフラフラしたw

神様…母数とか単語知ってますか?
そして、なぜ{netabare}胸のサイズ{/netabare}を
平均値にしてあげなかったんですか?
本人、凄く気にしてますよ?(´;ω;`)


……
…………
最強÷2が平均っておかしいだろぉぉおお!!
神様マジでバ●じゃないの?
まぁ、赤き誓いのメンバーも全員おバカだけれどw

それにしてもやたらと古いパロネタが多かった
年齢層高めな人は、なろう系好みじゃない
年齢層低めな人は、元ネタが全く分からない
ぶっちゃけどこ需要なのさ?
と思いながら観てました。

(。´・ω・)ん? 私は超マイノリティですから…
なろう系楽しめて、元ネタ分かる奇行種ですw

OPはなんか妙に耳に残る曲ですねー

ちょいちょい重めの話もあるけど
みんなおバカなので割とぽいっと投げ捨てる感じで
次々と話が進んで行きます~
サクサク見れてちょうど良かったですー

投稿 : 2024/04/13
♥ : 37

81.8 19 2019年度の友情アニメランキング19位
ハイスコアガール II(TVアニメ動画)

2019年秋アニメ
★★★★☆ 4.0 (416)
1690人が棚に入れました
少年は好きだった、ゲームが。少女は出会ってしまった、ゲームと。勝利への渇望と、技術の探求心と、個人の自尊心が渦巻くゲームセンターで生まれ、育まれていく友情と恋。友人や家族、そしてゲームキャラクターに支えられ、少年少女たちは強く、大きく成長していった。あきらめなければ無限コンティニュー?ハルオ、晶、小春が挑むファイナルステージの行方は!?

声優・キャラクター
天﨑滉平、鈴代紗弓、広瀬ゆうき、赤﨑千夏、新井里美、興津和幸、山下大輝、伊藤静、チョー、御堂ダリア、中村悠一、植田佳奈、井澤詩織、鈴村健一、寺島拓篤、諏訪部順一、小野賢章、安元洋貴、三宅健太、武虎
ネタバレ

ぺー さんの感想・評価

★★★★★ 4.4

舞台も時代もやや被りな俺氏

※骨格となる作品評価は1期レビューにて。本稿では主に差分を記載


共感できるラブコメとは、肩入れできるキャラの有無といえるかもしれない。
その意味で本作はどっかしらに共感できる“誰か”がいるのであります。
さらに切り取った時代の空気を感じることのできる仕上がり。

 “良質ラブコメ+高い時代の再現度”

あたかもスープは豚骨と魚介系の合わせ技。両方レベルが高いため行列ができてしまうラーメン店。
このへんの魅力にほだされた諸兄は2期も四の五の言わず黙って鑑賞していることでしょう。
そして、最終話終わってリピートすると見える景色が変わる仕様。物言わぬヒロイン大野晶視点で軽くキュン死できます。


2期は見せ方が上手かったですね。
2019年3月リリースのOVA3話分(#13~#15)を先行放送し、そのまま2期9話(#16~#24)です。
1期の後日譚的意味合いのOVA3話も気合入っていて珠玉のエピソードであることはもちろんのこと、OPとEDが1期と一緒。嬉しい振り返りでした。


2期は高校1年生~2年生時代のお話。1995年~1996年と今から25年くらい前の時代を切り取ってます。
1991年小学生時代を起点に地ならししてた1期。日高小春が恋愛のスイッチ入れるまででした。当然ながら続編で“ラブ”要素が増すことは想像の範疇だったかも。かくしてその通りの展開です。


 あくまでゲームで語る


このへんが徹底してるので話がとっ散らかりません。

『星に願いをかけたりしない』

との2期ED。引き続きやくしまるえつこさんです。
{netabare}#18 渋谷で朝を迎えたハルオと小春、そして晶が鉢合わせするシーンからのEDへのカットイン。
あーなるほど!目を避けてばかりでは修羅場は乗りきれませんね、と。ハルオくんの成長を後押ししたいEDだと思えば味わいも深くなります。人生“待ち”ガイルは通用せずとの暗喩に見えてなりません。{/netabare}


物語は力強い冒頭3話から凹凸ある王道ラブコメ展開へと突入し、大事なことに気づく頃には不穏な空気が流れてからのさてさてどうなるかの最終話。1期と合わせて全24話。満足の一品です。



■日高さんMVP?
1期はささやくような声出しが心地よい印象だった日高。CV広瀬ゆうきさんを認知した作品でもあります。2期では、泣いて笑って嫉妬して激昂してーと幅広い表現を求められてしっかりこなされてました。

{netabare}たぶんどっち派とかじゃないんですよね。日高にも晶にも幸せになってほしいと思ってしまう駄々っ子みたいな私です。負けヒロインとしては近年トップクラスのお仕事ぶりでした。{/netabare}


■余談
私が大学進学を機に上京したのが1995年。本拠地は渋谷です。渋谷にほど近い田園都市線に居を構え、のちに溝の口に引っ越してたりします。
何言いたいかというとつまり、年代も場所もビンゴでたぶん冷静な評価は無理筋なんです。そんな私のピンポイントで胸を鷲掴みにされたところ。

 {netabare}多摩川の水面はマジでまぶしい!{/netabare}

渋谷に限らずでしょうが始発待ちの頃合いになるとネオンはあらかた消えて吉野屋くらいになって、日の出ちょい前なこともあって案外薄暗かったりします。渋谷の始発時間はだいたい薄暗い。
そのまま始発待ちで地下の乗り場へ。そしておそらく田園都市線だけだと思うのですが、多摩川のギリ手前まで地下を走る路線はこの路線のみだったかと。その手前の駅/二子玉川駅に着く頃には、薄暗かった空が明るくなっており、地下を抜ける瞬間に太陽光が一気に差し込んできてまぶしさに眼がやられる感覚に襲われたことがある方は私だけではありますまい。
渋谷でる頃には薄暗かったのから一転。多摩川のきらきらした水面を横目に見ながら、「あー朝まで飲んじまったよ」と爽やかな景色と対照的な自分によく嫌気がさしたものです。

用賀駅を越えてトンネル抜けて地上に出る時の一気に光が差し込んでくる感じが#19はよく出てるので、田園都市線沿線在住の方はチェックされてみてください。



視聴時期:2019年10月~2019年12月   

------


2020.01.06 初稿
2020.07.28 修正

投稿 : 2024/04/13
♥ : 59

shino さんの感想・評価

★★★★☆ 3.8

いつだってゲームがあった

J.C.STAFF制作、原作押切蓮介。

当時の平凡なピコピコ少年の青春を、
コミカルでありながら、
ヒロインとの恋人未満の微妙な関係まで、
誠実に描いた前編は小さな驚きでもあった。

舞台は96年、
街には進化したアーケードゲームが溢れ、
プレステ・セガサターンは家庭に普及し、
出荷台数は100万台を突破。
日陰に生きる少年たちの薄暗い青春も、
それはそれで輝かしい時代であった。

毎日をがむしゃらに生きていれば、
擦り傷だってどうってことないのでしょう。
しかし誰もが自分を偽り疲弊して生きている。
空振りしてしんどくなったら逃げ出す場所、
それが春雄や晶にはゲームセンターなのだ。

緊張感に耐え切れず、
安易な選択肢を選べば敗北が待っている。
恋もゲームも一緒である。
コマンド入力をミスれば終わりだ。

最終話視聴追記。
誰の目にも触れない小さな人生の断片、
その断片にはありったけの物語がある。
ハイスコアガールが良質なコメディであるのは、
誰もが体験した歴史を見せてくれるからだ。

泣けて笑える青春をぜひ。

投稿 : 2024/04/13
♥ : 52
ネタバレ

〇ojima さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

ガイル)春雄、2期なってゲーム愛が減ったのではないか。

今回の物語は、ほぼ恋愛物語。
{netabare}ゲーム愛はずいぶんと減ってしまいました。
この作品の特徴だったのになぁと原作未読なので勝手に思ってしまいました。
ゲームがないと普通の恋物語。
ゲームがあるときの春雄のポジティブ思考は楽しかったのに今期は春雄のネガティブ思考ばかりなので暗い物語となり、今一つ魅力に欠けました。
もっとガイル先生にアドバイスをもらえば良かったのに(笑)


最後の姉からの預かり物の件ですが
男として普通、指輪を返されたらは「さようなら」の意味だと思います。
これを「会いに来て」とは小春に言われなきゃ判りません。
女心はとっても難しいのね。真逆の答えだもんね。

その後小春の「ムカつく」はかなりの名演技でした。
私の中で一番印象に残ったシーンです。


最後はキャラクター達に助けられて晶に会うことができた物語はこの作品ならではの流れなので良かったですが、2期としては、1期ほどグッとは来なかったです。。。 {/netabare}

投稿 : 2024/04/13
♥ : 43

74.8 20 2019年度の友情アニメランキング20位
ひとりぼっちの○○生活(TVアニメ動画)

2019年春アニメ
★★★★☆ 3.6 (401)
1527人が棚に入れました
極度の人見知りの女の子・一里(ひとり)ぼっち。中学校でクラス全員と友達にならないと、小学校の唯一の友達と絶交しなければならない!! 友達ってどおしたらできるの!? 絶体絶命友達つくろう作戦始動!

声優・キャラクター
森下千咲、田中美海、鬼頭明里、黒瀬ゆうこ、市ノ瀬加那、小原好美、高橋未奈美
ネタバレ

shino さんの感想・評価

★★★★☆ 3.6

シンクロときめき

コミック電撃だいおうじ連載。

人見知りのぼっち少女が「脱ぼっち」を誓い、
クラスメイトとの交流から、
緩やかにまた1人、また1人と、
友達になっていく様を描くハートフルコメディ。

主人公一里ぼっちの新中学生活。
人見知りを克服するため、
ともだち作戦ノートを作成し新しい自分になる。
広げようともだちの輪、森田一義アワーだ。

優しくてどこか温かい物語ですね。
苦手なキャラものでしたが、
ぼっちの不器用な一生懸命さに、
時折、笑えて、癒しのある作品になっています。
気弱な女先生が良い味を出していてお気に入り。

主題歌もED曲も物語・世界観を、
上手に補完している。
これは素晴らしい楽曲ではないでしょうか。

心を伝えることが大切、出来るだけ誠実に。
誰もがみんなどこか寂しがり屋で不安なのだ。
どうしようもない孤独を抱えているのだから。

{netabare}前向きな演出が良い最終話でした。
少女のささやかな成長を感じることが出来る。{/netabare}

クオリティが終始安定しているので、
推奨印のハートフルコメディだと思います。

投稿 : 2024/04/13
♥ : 53
ネタバレ

scandalsho さんの感想・評価

★★★★★ 4.9

この主人公、かなりヤバいです!

原作未読。最終話まで視聴。

この主人公、かなりヤバいです。
見ればわかります(笑)。

序盤は、極度の人見知りであがり症でネガティブ思考な主人公にイライラすると思います。
私はそうでした。

だけど、徐々にこちらが慣れてきます。
全くブレない、ぶっ飛んだ主人公に、徐々にハマっていきます。
私はそうでした。

主要な登場人物も、個性的で良い人ばかりです。
彼女たちも、かなり笑えます。

クオリティの高い日常系コメディです。


第6話の{netabare}「爆笑ボッチ塾」{/netabare}は笑ったなぁ。
『わっはっは~』

投稿 : 2024/04/13
♥ : 44
ネタバレ

元毛玉 さんの感想・評価

★★★★★ 5.0

ライバルは友達に入りますか?

原作未読
やばい。超面白いw 笑いのツボにクリティカルです。

お話のざっくり概要
中学の友達に絶好宣言されて友達がいない「ひとりぼっち」
コミュ障の主人公がクラス全員とお友達になる話
そんな感じ

登場キャラクターがどれもこれも立ってて凄く面白いです。
ただ、主人公の「ぼっち」はいくら何でも
親…ひどい名前つけるなぁ…かわいそ過ぎますw

なこ、アル、ラキターも全部魅力的で可愛いです。
アルの残念さは特にツボっす。

んでもって、先生…すんごい美しい…{netabare}直角三角形w{/netabare}
この先生、すごく好きw

キャラの絵も凄く可愛くて、テンポも良くて楽しいです。
学校は共学っぽいけど男の友達も作るのだろうか?気になる…

2019.06.08追記
{netabare}
かこ…中々手ごわい
それにしても「ライバルは友達に入りますか?」って
バナナがおやつかどうかみたいな名言w
でも、やっとEDに加わった~♪

ソトカちゃん、ついに免許皆伝!
なんかすごくほっこりしました~
{/netabare}

配点修正しました。
OP/ED共に映像&音楽含めてすごい好きです。
特にEDの一人ずつ増えていく演出は特に良いです。
OPも楽しい映像なんですけど、頑張る妖精はいまだに良さが分かりませんw

2019.06.29追記
最後まですっごく楽しく見てました。
最終的に一番好きになったキャラはソトカちゃんですw
もう忍者でいいよね?最終回めっちゃ笑ったw

今まで忍者好きの外人設定は好きじゃなかったのに
ソトカちゃんはめっちゃいいなーと思ったっす

でも、どの子もいいキャラで、「友達になりたい」って思えるキャラばかり
ほんとに癒されるアニメでしたー(先生とも友達になりたいw)

投稿 : 2024/04/13
♥ : 41

77.5 21 2019年度の友情アニメランキング21位
BEASTARS(TVアニメ動画)

2019年秋アニメ
★★★★☆ 3.8 (351)
1525人が棚に入れました
肉食獣と草食獣の共存する世界。食肉が重罪とされるなか、名門校・チェリートン学園で演劇部の生徒が食い殺される“食殺事件"が起きる。犯人は見つからず、不安に揺れる生徒たち。そんな中、演劇部では死んだ生徒の代役を巡っていさかいが起きる。次期『ビースター』候補とささやかれ、演劇部のカリスマ的存在であるアカシカのルイに、逆恨みをした肉食獣の部員が襲いかかったのだ。それを庇ったのは、照明係の二年生・レゴシ。『鋭い爪』や『大きな体』など、強そうな外見とは裏腹に、心優しく無口で不器用なオスのハイイロオオカミだ。だが、当のルイはそんなレゴシを偽善的で気に食わないと言い、強引に夜間練習の見張りに任命する。夜。誰もいない講堂裏の裏庭で、ひとり見張りをしていたレゴシの前に現れたのは―――小さな白いドワーフウサギの女子生徒・ハル。その匂いを嗅いだ瞬間、レゴシの体を本能が駆け巡る。我を忘れて襲いかかり、気付いた時には、彼女を両腕に抱きすくめていた。腕の中で聞こえる鼓動が自分のものか、彼女のものかもわからない。しかしこのハルと、そして自分の本能との出会いが、静かで穏やかだったレゴシの人生を大きく変えていく。彼女へのこの感情は、恋なのか? それとも食欲なのか?オスとメス、肉食獣と草食獣。それぞれの痛み、そして強さや弱さに直面しながら、悩めるレゴシの青春がいま始まった―――

声優・キャラクター
小林親弘、千本木彩花、小野友樹、種﨑敦美、榎木淳弥、内田雄馬、大塚剛央、小林直人、下妻由幸、岡本信彦、落合福嗣、虎島貴明、渡部紗弓、室元気、井口祐一、原優子、兼政郁人、大内茜、山村響、あんどうさくら、大塚明夫、星野充昭、堀内賢雄

フィリップ さんの感想・評価

★★★★★ 4.1

本能に抗え

アニメーション製作:オレンジ、
監督:松見真一、脚本:樋口七海
キャラクターデザイン:大津直、
音楽:神前暁(MONACA)、原作:板垣巴留

しょう油顔、ソース顔という
男性の顔の方向性を表現する言葉があった。
「顔」は、ある意味、その人そのものであって、
私たちは一生逃れることはできない。
自分の顔が気に入らなくて整形を繰り返す人もいるが、
結局は自分自身を覆う「何か」は、
死ぬまで付いて回る。

そして「草食系」「肉食系」という
人間の生態や性格を指す言葉もある。
これは、努力によって変えることが
できるものかもしれないが、
もしそれが動物のことなら、
遺伝子レベルのものから逃れることは不可能だろう。

BEASTARSは、動物を擬人化した物語。
登場人物は全員が動物の設定のため、
本能から逃れることはできないはずだ。
しかし、それでも自分の想いを実現させようと
抗い続け、挑戦し続ける者たちがいる。
これは、何かの業に縛られた者が、
「想い」の力によって大切なものののために
本能を飛び越えようとする
信念の物語ともいえるだろう。

物語の中心は演劇部に所属する
ハイイロオオカミのレゴシとアカシカのルイ。
彼らは、自分たちの宿命から逃れるために
想いを募らせていく。
レゴシはドワーフウサギのハルを好きになったことで、
自分の本能について深く考えるようになる。
一方、ルイは肉食、草食という動物社会における
地位の格差について変革を起こす野心を抱いている。
これは人間社会に置き換えるなら、
民族主義的な部分で将来を嘱望されている黒人と
ずば抜けた才能を持った白人によって繰り広げられる
戦いの物語という構図になるのかもしれない。
ただ、これに動物の「本能」という宿命を
付加させることで物語を興味深いものとしている。

レゴシとルイのそれぞれの葛藤を演劇によって表現した
3~4話で物語の深みに引き込まれる。
草食獣の代表として地位を掴み取ることが
悲願であるルイ。そして、オオカミの本能と
自身の平時における性格の違いに戸惑うレゴシとの
対比が実に上手く描かれている。
さらに、ほかの動物たちの思惑も絡み合い、
複雑な様相を呈しているのは、
まさに人間社会そのものだ。

学園内で起こった重罪とされる食殺事件、
動物社会で草食獣が「BEASTAR」に選ばれる意味、
肉食獣、草食獣が共存する世界における
政治家たちの思惑と現実、
レゴシの内面を覆いつくす真っ直ぐな想いと
正しい行い、そして恋心。
さまざまな要素が溶け合って、
あまり今まで味わったことのない
複雑な感情が湧き上がってくる。

人間たちの奥底にある様々な感情を
分かりやすい形で炙り出した群像劇。
続編も決定しており、まだまだ途中なので、
高評価するには早い段階だが、
起承転結のある優れたシリーズ構成によって、
挑戦的な作風を1クールでしっかり見せてくれた。
ジャズを意識した劇中曲やOP、
そして数種類用意されたEDも聴き応え十分。
これまでにない新しいアニメーションを
紡いでくれるのではと期待できる。

草食獣と肉食獣が共存する新しい地平。
それは、どこかにあるのだろうか。
(2020年3月7日初投稿)

投稿 : 2024/04/13
♥ : 54
ネタバレ

shino さんの感想・評価

★★★★☆ 3.7

人間の条件

板垣巴留原作、制作オレンジ。

擬人化された動物たちの物語が、
メジャー少年誌の看板になる。
その時点で物語に一定の力があるのだろう。

17歳、肉食獣のハイイロオオカミ、
身体は大きく繊細な心を持つ主人公レゴシ。
彼は肉食獣としての生き方に葛藤している。

興味深いのはよくある、
少数・多数や、勝者・敗者の関係性ではなく、
肉食と草食で対比している点だ。
この気持ちは「恋」なのか!?の後に、
それとも「食欲」なのか!?が配置されている。

当然、共存する社会の在り方や、
本能の抑制、倫理の確立が問題となる。
僕は単純に擬人化された物語は苦手である。
しかしながら擬人化した理由があるはずだ。

4話視聴追記。
人の持つ機敏な「感情表現」が、
あまりにも豊潤に表現され伝わる。
演劇内演劇の入れ子構造が様々な仕掛けを生む。
{netabare}捕食する側と捕食される側の論理。
否が応でも「他者」を考えさせられる。{/netabare}

最終話視聴追記。
レゴシに称賛を贈らねばならない。
落ち着いた声が素晴らしくキャラに馴染む。
肉食に・草食に生まれた存在意義、
その中で他者とどう分かり合えるのか。
レゴシはきっと見つけたのだ。
本能にも勝る偉大で崇高な感情を。

ここからが勝負どころである。

投稿 : 2024/04/13
♥ : 52
ネタバレ

ぺー さんの感想・評価

★★★★★ 4.3

いろいろと生々しいのよ

原作未読


原作者の方。『バキ』を描いてる漫画家の娘さんらしいですね。すげー!
どうやら“動物の本能”を突き詰めたい血筋は変わらないようです。

“本能”を突き詰めすぎてもはやギャグ。荒唐無稽さを楽しむ良質なエンタメ作品を輩出している父。

対して本作『BEASTERS』では

“本能”を突き詰めたついでに社会の矛盾も浮かび上がらせる深みとコクを醸し出す娘。

サムネから想像するに、見た目重視。ケモナー優先。各動物の特性をなぞるかのようなキャラ設定。鳥獣戯画に毛の生えた擬人化ものを想像してました。とりあえず二足歩行させてやることは人間と一緒!みたいなやつです。

全然違いました。もちろん良い意味で、です。
草食動物と肉食動物を擬人化させて、彼らの特性を残しつつもそこに共存している世界を描いた作品。
食物連鎖をガン無視した統治機構を作り、そのための教育を施して理性キープしてますよという表部分と、蓋をしていても肉をどうしても食べたいという本能が見え隠れする裏の部分。その間で揺れ動くハイイロオオカミのレゴシ(CV小林親弘)が主人公です。揺れ動くのはレゴシだけでなく、肉食も草食も関係なく登場キャラたち軒並み葛藤している模様。そもそも本能に蓋をした社会は不健全であり、一見平和な世界そのものが揺れ動いている。そんな不穏さを孕みながら物語は進行します。これが大枠の背景。

そんなシビアな背景を原動力として、肉食動物の中でもそこそこ強い部類らしいハイイロオオカミとは対極の最弱の草食動物ドワーフ種ウサギのハル(CV千本木彩花)との恋物語がメインのストーリーです。一応この世界の恋のルールだったりその他常識については本編でお確かめ下さいね。
とりあえず二足歩行させてみた的な浅さとは程遠いと感じた次第です。


動物もの!?は無条件でパクッと喰いつく層以外でない、むしろ逆で安易な擬人化ものに辟易しているかもしれないあなた! …いいですよこれ。
やりとりされる会話の生々しさは2019年秋期もので断トツです。リアル世界に近いものがあります。そして、肉食と草食の両動物のフィルターを通した独自の世界観は新鮮に映ります。もの凄くファンタジーな世界で繰り広げられる生々しいやりとりと心の機微のリアルさ加減で充分楽しめるかと思います。

本能と理性という二項の対立/葛藤/調整なんて定番のネタでもあったりするので、いい感じでリアル世界の暗喩的なあれやこれやも感じる良作。
言い忘れてましたが、OPは音とアニメーション両方ともこのクールベストかも。ジャズファンク調リズムに乗った手のかかってそうなパペットアニメの組み合わせが素敵な一曲。
これは良いです(小並感) 2期決定したようなので今から楽しみですね。



※ネタバレ所感

■本能を無視すりゃ破綻しますよ

ナチュラリストを無条件で礼賛するほど極論には振れませんが、“自然”の対義語は“不自然”であるという常識(笑) 
この歪んだ世界は変わらずにいられるのでしょうか?

{netabare}レゴシと同族のジュノは「(対肉食への差別が)中学はそんなにひどくなかった」と高校に上がって社会の抱える歪みのひとつに直面。さらに別のシーンでは高校を卒業すれば闇市にも自由に行けることも。
人間と一緒。「お友達みんなと仲良くしましょう」の幼稚園時代から始まって徐々にやっかいな現実に触れていき、社会に出る頃には幼少期のそれは幻想と知る。段階を経て現実を知っていくのです。
ところがどっこい、BEASTERSの世界では幼稚園時代の理想がまかり通る世界。ライオン市長もいろいろ無理して“ライオンは怖くない”イメージ形成に成功したようですが、シシ組との棲み分け等々…蓋をしないとどうにもならないものを抱えざるを得ません。
“みんなと仲良くしましょう”という理想の実現のため歪みが肥大化しきって爆発しそうなのです。{/netabare}

{netabare}「メスは争いが嫌いです。(ジュノ)」に返す刀で「君ほど強欲なメスは違うだろ。(レン)」
矛盾を孕んだ世界を喝破する表現は随所にあるわけでした。{/netabare}



■ロミジュリを凌駕するほど二人を隔てる壁が

{netabare}「捕食者の本能があれば被食者の本能もある」{/netabare}
{netabare}「然るべき関係は体が一番知っている」{/netabare}

最終回で流れたテロップが示唆するところは?

{netabare}肉食草食同士、仲良くやろうという社会の中で、肉食草食同士の交合はご法度という世界観。
前者ですら危うい綱渡りをしているのに、さらにハードルが上がりもはや禁忌の世界。これを打ち破る可能性を秘めてるのがレゴシとハルの関係性ですわな。{/netabare}

どう畳むんでしょう。楽しみでしかありません。



視聴時期:2019年10月~2019年12月   

------


2020.01.23 初稿
2020.07.16 修正
2022.01.23 修正

投稿 : 2024/04/13
♥ : 51

61.3 22 2019年度の友情アニメランキング22位
異世界チート魔術師(TVアニメ動画)

2019年夏アニメ
★★★☆☆ 2.7 (387)
1416人が棚に入れました
どこにでもいる普通の高校生・西村太一と、運動神経抜群でモデル体型の美少女・吾妻凛。平和な高校生活を送っていた二人はある日突然、不思議な魔法陣の光に包まれ、見知らぬ土地へ迷い込んでしまう。そこは恐ろしい魔物が生息し、獣人やドワーフ、エルフといった多様な種族が存在する、まるでファンタジーのような世界。異世界へと導かれた太一と凛は、ここで生き抜くために「冒険者」になることを決意するが、その適性検査で、二人が“チート"な魔力を持っていることが判明して……。

声優・キャラクター
天﨑滉平、高橋李依、田中美海、大原さやか、久保ユリカ
ネタバレ

scandalsho さんの感想・評価

★★★☆☆ 2.1

【酷評注意】召喚されたのが凛ひとりだったら、もっと面白かったんじゃ?

原作未読。最終話まで視聴。

高校生が異世界召喚されて、最強でハーレム・・・。
初期設定から面白くなさそうな雰囲気が・・・。

主人公の少年の言動が常識外れで滑稽というか、不愉快に感じることもある。
普通の高校生が、異世界召喚され、チートな能力を与えられただけなのに、何故だか偉そうな言動。
これでは共感が得られない。
『おじいさんが常識を教えるのを忘れていた』初期設定が活かされている・・・、
いや、これは違う作品の初期設定か!!!(笑)

作画はとてもひどい。

物語としては、第6話まではそこそこ面白い。
本当はかなり面白いんだと思うけど、主人公の少年の言動が、ね・・・。
かなり足を引っ張っちゃう。
主人公なんだから、足を引っ張るなよ!!

第7話はヒドイ回だったな・・・。
かなり重要な回だったと思うんですけど、バトルのテンポが悪い。
無駄に多過ぎる会話!(特に太一の無駄口が多すぎる)
そして、意味不明の展開・・・。
{netabare}フードの男に何か言われて、フラフラと太一のところに行ってしまうアナスタシア。
太一の邪魔をするのかと思えば、太一の所に行っただけで、すぐに正気を取り戻す・・・。

双頭竜のブレス攻撃の際、アナスタシアに助けられる太一。
はぁ・・・。大したチートだわ・・・。

で、アナスタシアは双頭竜に殺されて・・・。
風の精霊エアリアルと契約を結んだ太一。
対するは、明らかに手抜きする双頭竜。
はぁ・・・。大したチートだわ・・・。

結果、太一は双頭竜を倒せない。
アナスタシアの仇である双頭竜を・・・だ。
はぁ・・・。全く、大したチートだわ・・・。

そして、地下から現れたはずの双頭竜は大空高く飛び立っていく・・・。
いやいや、せめて地下に戻れよ・・・。{/netabare}
原作がこうなのか、シナリオでこうなったのか知らないけど、これはひどすぎる。

これ以降、更にグダグダの展開が続く。
物語が佳境に入ると、見ているこちらは、だんだん盛り下がっていく・・・。
そんな不思議な作品。

主人公の少年の無駄口が多過ぎで、バトルのテンポが悪い。
バトル物としては、これは致命的。
{netabare}敵の大群(というほどでもないかな?)に取り囲まれているのに、太一は国王の弟と呑気に無駄口。
制作陣は『緊張感』という演出をどう考えているのでしょうか?

凛たちも敵に襲われる事も無く、無事に太一に合流。
『殺さず』の凛たちが、敵の大群を払い退けながら太一の元へ・・・。
ここが見どころの一つだと思うのに、ここは全く描かない。{/netabare}
ひたすらこんなことに繰り返し。
自分たちで盛り上げておいて、バッサリと切り捨てる。
原作がこうなのか、シナリオでこうなったのか知らないけど・・・。

ツッコミどころ満載で笑える『異世界スマホ』の方が、『笑える』だけマシだった?

投稿 : 2024/04/13
♥ : 31

えたんだーる さんの感想・評価

★★★★☆ 3.1

「チート」が言うほどチートでもないせいで、爽快感が得られない作品。

原作とは、テレビCMと書店店頭で売られているのを見かけた以外に特に接点がありません。そして全話観終わった今、特に原作を読もうという気持ちにもなっていません。

この作品で見るべきものといえば「主人公(男性)が異世界に転移する際に異性の幼馴染みを巻き込む」という点に若干のオリジナリティを感じるくらいだと思っています。

その巻き込まれた幼馴染みにしても主人公と知性的に同レベルなので、ほぼ全ての問題対処が力押しかつ思慮が浅いものになっています。まあ「高校生だからこんなものだ」と言ってしまえばそれまでですが、それにしてももう少し何とかなって欲しい気はします。

1クール観終わっても作中の「あの方」の思惑が「主人公を転向させたいのかな?」程度にしかわからなくてストーリーへの興味が続かないという構成上の問題もあるかもしれませんが、主人公の現地民に対するアドバンテージがせいぜい戦闘力くらいしかないという辺り、逆になろう作品をはじめとする近頃の異世界冒険物を好きな層からも注目されないことになりそうに思えてなりません。

数ある異世界物の中でも主人公が頭を使わないことにかけては最右翼ともいえる作品であり、だからといって戦闘場面の描写が優れているわけでもないし常に相手を圧倒して勝つというわけでもありません。
(例えばいせスマくらい常に相手を圧倒するなら、それはそれでアリな気がするわけなのですが…。)

ということで、お付き合いで完走はしましたが「物語の評価」は私の採点としてはかなり低いものになっています。途中で断念する方が多数いるのも理解できますし、無理に観なくても良いのではないでしょうか。

投稿 : 2024/04/13
♥ : 30
ネタバレ

剣道部 さんの感想・評価

★☆☆☆☆ 1.0

なろう以下

[文量→中盛り・内容→雑談系]

【総括】
どんなアニメかは、レビュー読まなくても、本作のタイトルで分かるでしょう。大量生産のお手軽異世界物語です。

てか、冗談抜きで、作者は中学生なんじゃ?

今までアニメで見てきた、他のなろう系作品は、(私も素人ですが)「素人の中では文章(構成)力ある」と思っていましたが、これが原作をちゃんと表現しているなら、マジで、(普通の人の中でも)中の下。正直、仕事やめて時間作れば、自分でも書けちゃう程度のクオリティに感じました。

あと、「なろう系」は大半がチートですが、それを開き直ってタイトルに入れてくる感じのセンスが、なんか嫌ですね、私は。

《以下ネタバレ》

【視聴終了(レビュー)】
{netabare}
ちなみに私は、「小説家になろう」自体を、良いとも悪いとも思っていません。ただその中に、良い作品と悪い作品があるというだけです。

そして、「なろう」と言われるのは、「小説になろう原作アニメ」で、「低クオリティ」の作品です。

ただ、本作は(私の中の基準ですが)、「なろう系にすらなっていない駄作」です。

(ちなみに小説家になろうにログインしたこともないんですが)私の中で、「なろう系」の特徴だと思っているのは、

【既存の世界観+1アイディア】

です。「オバロ→ファンタジー+アンデッド」「このすば→ファンタジー+ギャグ」「異世界食堂→ファンタジー+料理」「ナイツマ→ファンタジー+ロボ」みたいな感じ。

そもそもが、「小説家になろう」とは、素人が気軽に小説を投稿し、気軽に読むことが出来るサイトなのだと思います。その中には有象無象の作品が数多あり、人気が出た一握りの作品だけが、文庫化やアニメ化までたどりつけるんでしょう。

でも、、、この作品も、その1つなの???

私は昔、「RPGツクール」というゲームにハマり、いくつかゲームを作っていました。自分の中では「オリジナルゲーム」だと思っていましたが、結局は「FF」「ドラクエ」「ロードス島戦記」など、自分が好きな創作物をごちゃ混ぜにしただけのものでした。

それと同じ様なこと(小中学生がする妄想遊び)を、大人になってもガチでやり続けているのが、「なろう」なんだろうと思っています。

既存の世界観を使うことは、パクりでもなんでもなく、「しょうがない」ことです。自分で世界を丸ごと創造できるような人なんて、ごく僅かでしょうし(まあ、そういう人をクリエイターやアーティストと呼ぶんでしょうけど、本当は)。

既存の世界観を使うメリットもあります。

最も大きいのが、「説明不要」だということ。例えば、「スライム」が出た瞬間、「ザコキャラ」だと認識したり、「冒険者」と一言書くだけで、「ギルドに属していて、依頼を受けて魔獣を討伐する等の行為で金銭を得る存在」だと分かるのは、読者(視聴者)の側に、同一の世界観(価値観)に触れてきた経験が豊富にあり、その部分に依存しているということです。

「既存の世界観」とは、作者と読者の共通言語みたいなもの。

表現する方からすれば、いちいち説明をしなくても済むし、新しいことを考えなくても良いから楽です。また、読む方からしても、自分の知識や価値観の枠内で物語が紡がれるので、大した読解力も求められないし、ストレスフリーで気楽に楽しめます。

でも、やはりそれだけでは、名作にはなり得ない。分かりやすいだけでは、超えられない壁がある。

そこで、なんとか目新しさ、オリジナリティを出そうとしたのが、(アニメ化された)過去の「なろう系」だと思っています(+ワンアイディアの部分)。

本作はなにか、「そのワンアイディアを考えることすら放棄している」ように感じられて、、、。

「やってできなかった」ならまだしも、「やろうとすらしていない」という感じを受け、このような厳しい評価にしました(まあ勿論、私がそう感じてしまったというだけではあるのですが)。

ある意味で希有だと思ったのは、「ただのパクリの集合体をなんの恥ずかしげもなく自分の作品だと堂々と発表できるメンタルの強さ、鈍感さ」です。

ていうか、開き直ってるのかな?むしろ。「異世界転生で、チートで、魔術師ですけど、なにか問題でも?」みたいな。

この作者の個性って、何なんだろう? スマホ太郎ですら、(あんまり使ってないけど)一応、スマホっていうワンアイディアを付け加えようという程度の工夫はあったのにさ。

これよりつまらない、低クオリティのアニメも、いっぱいあります。でも、「上手くいかなかったけど、やりたいことや頑張りは伝わった」って作品には、不快感はありません。が、本作は、なんか「作者が見えない」んですよね。「血が通ってない」ように感じてしまい、そこが☆1の最大の理由です。
{/netabare}


【各話感想(自分用メモ)】
{netabare}
1話目 ☆1
もうなんか、一工夫すらないんだね。なろう以下って感じだな。

2話目 ☆1
ガスを燃やす、、、それ、賢者の孫でも観たな。

3話目 ☆2
食パンとサンドイッチの食卓(笑)

4話目 ☆1
本来、めっちゃ凄くてレアな二属性同時魔法の凄さが、まっっったく伝わらない。このへん、NARUTOの血継限界とかは上手かった。どう考えても、スピード強化して、術師を一刀両断でしょ。体術かい。みんな大好き、粉塵爆発(笑) ダサい(笑)

5話目 ☆1
みんな知っているような知識を自慢気に出されても。なんならもう、核融合ぐらいしたら?

6話目 ☆1
この辺は、寝オチ。

7話目 ☆1
寝オチ2。

8話目 ☆1
お手軽チョロいん1名追加。

9話目 ☆1
雨を降らせて雷魔法で感電。スゲースゲー、斬新だわー。

10話目 ☆1
「そんなもの、理由になりませんよ。戦いは、常に手持ちの札でなんとかするもんです」って、キメ顔で言ってましたが、いや、ついさっき、「このままじゃ勝負にならないから、自分と同じ魔力量にして」って、タイチの魔力封じたの、お前やん。持っている魔力量も、そいつの手持ちの札じゃないんかい。ギャグなん(笑)?

11話目 ☆1
あなた、誰ですか? の、連打(苦笑)

12話目 ☆1
結局、俺たたエンドかい。ぶん投げだな。全話観たから、気兼ねなく1をつけられるな~。
{/netabare}

投稿 : 2024/04/13
♥ : 28

76.7 23 2019年度の友情アニメランキング23位
この音とまれ!(TVアニメ動画)

2019年春アニメ
★★★★☆ 3.7 (372)
1384人が棚に入れました
廃部寸前の時瀬高校箏曲部。一人になってしまった部長のもとを訪れたのは不良少年とその友達、そして箏の天才少女だった。それぞれの箏の音が紡ぐ青春学園物語―

声優・キャラクター
内田雄馬、榎木淳弥、種﨑敦美、細谷佳正、石谷春貴、古川慎、井口祐一、松本沙羅、浪川大輔、蒼井翔太
ネタバレ

ぺー さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

正月限定だけではもったいない世界

原作未読


視聴動機はまさにあにこれ内での交流から。たしか『ちはやふる』好きならこんなんありまっせ!と。
分割2クールの前半13話で、後半は3か月後の放送とのこと。分割の場合ゴール設定が先となるわけですからどの辺でお話を区切るかが難しいわけでありますが、今回放送された前半クールは「次が観たい!」と思える中締めと感じましたのでおおむね成功だったと思います。
{netabare}ただし前半最終話のブツ切り感は評価が別れると思う。私は嫌。3ヶ月後覚えてられる自信がないから。{/netabare}

質担保の側面もありましょうが、できれば通しでやってほしかったかなあ、が正直なところでした。


廃部寸前の筝曲部に新入生らが集って全国目指すストーリー。弱小校のジャイアントキリングなるか?
手垢のついたテーマとはいえ“箏(こと)”題材の面白さと定番の中に本作ならではの物語をどう紡いでいくのか楽しみにしながら視聴開始です。

時瀬高校筝曲部メンバーは7名。
 久遠 愛(くどお ちか)1年:CV内田雄馬
 倉田 武蔵(くらた たけぞう)2年:CV榎木淳弥
 鳳月 さとわ(ほうづき さとわ)1年:CV種﨑敦美
 足立 実康(あだち さねやす)1年:CV石谷春貴
 水原 光太(みずはら こうた)1年:CV井口祐一
 堺 通孝(さかい みちたか)1年:CV古川慎
 来栖 妃呂(くるす ひろ)2年:CV松本沙羅


“文化系スポコン”+“音楽”

これまで成功を収めた作品をうまくトレースしてます。

■文化系スポコン
だいたい以下の4点をおさえておけば良いところ、濃淡はあれど各々描かれています。
1.努力型と天才型との対比
 {netabare}さとわと愛が雛型。{/netabare}※1後述
2.自校に有能な指導者がいる
 {netabare}滝浪涼香(CV浪川大輔)は柏葉英二郎(タッチ)を彷彿とさせる良キャラ{/netabare}
3.ライバルの存在
 {netabare}出揃ったかと思うところで前半終了。{/netabare}
4.敗戦を描く
 {netabare}これは今のところなし。後半に期待。{/netabare}

※1 天才型のさとわが天才然としてないところが良いです。早々に自分の演奏の弱点を自覚し悩みもがくわけです。すると部員全員努力家というある種一体感が醸成されるわけですが、反面、キャラの棲み分けが難しくなることの交換条件みたいな部分も。ここはボヤけないように愛、武蔵、さとわ、妃呂に資源を集中して乗り切った感はあります。

■音楽
以下の組み合わせをどうするか。失敗率の高いCGを選択せずというのは評価します。
1.技術:運指の正確さを見せるためのCGか手書きの選択。止め絵の利用もしかり。
2.情感:心象風景や曲想のビジュアル演出、演奏者のモノローグ、聴衆の反応。

{netabare}ピークを2回もってきたのは贅沢でした。第5話「流星群」第13話「久遠」。アプローチの違いはあり、意図も伝わり、素晴らしい演奏シーンでした。ただしやや演出がパターン化されてる部分があって2回目のインパクトが薄かったです。{/netabare}


リアリティの担保という意味では、原作者本人もそのご家族も箏への造詣が深いといいますか本職の方といって差し支えなく、オリジナル曲「流星群」の仕掛けだったり、箏初心者の視聴者への手ほどきだったりと丁寧な仕事ぶりも有り難いことでした。
正月三が日に聴くような音色のイメージしかもっていなかった箏の音がこれほど躍動感があるものだったとは新たな気づきであり知らしめた功績が作品自体にはあるでしょう。
なにより、自分の血肉となっている“箏”を連載化したいとの熱意は応援したくなります。



総話数全24話~全26話くらいでおさまることでしょう。途中折り返し地点のため詳細評価は数か月後に!です。
成功作品の良トレースということは、嗜好に合えば面白さは手堅い反面、突き抜ける部分がないことの裏返しです。『この音とまれ!』ならではを後半では観たいですね。

自分の琴線に触れる音楽ものって、とある曲の以下のフレーズを地でいってるような作品がほとんど。


 “一人じゃ出せない音が あることに気づいたよ”


今のところその波動をびんびん感じます。
評価は期待値込みで甘め。今期(2019年春クール)で自分の視聴作品のうちでは途中経過ながら上位に食い込んできた良作です。



※オマケ

■部活終わりの…
パピコ!!
趣味で草野球のチームに入ってる私です。当然体を動かした後のビールというのが王道のおっさんではありますが、試合直後はコンビニでパピコというのが習慣ですね。もちろんチョココーヒー味。個人的には“下町のモカフラペチーノ”くらい思っとります。


■でもここはちょっとなあ

1.そこはちょろくなくても・・・
{netabare}さとわも妃呂も揃ってちょろいの、どっちか片方で良かったんじゃないかしら。
どうも3バカが気の毒に思えてくる。{/netabare}
{netabare}ただし、ちょろくなる前のやさぐれ妃呂とで演技の変化が自然だった松本沙羅さんはGJ!{/netabare}


2.君ィのトゥオーーン
{netabare}実は蒼井翔太が苦手。スカート似合いそうなユニセックス男子に目の前でお気に入り女子をかっさらわれまくった実体験がそう思わせる。
八つ当たりもしくは嫉妬以外の何物でもないわけですが、OPは毎回飛ばしておりましたよ。{/netabare}



分割2クールだとの事前情報はおさえてましたけど、知らんとあのブツ切れ感ってついていけるのかしら?



視聴時期:2019年4月~2019年6月

-----
2020.02.06 追記

{netabare}2期のOPも蒼井翔太だが、早送りするともったいない。良い歌というよりもアニメーション画像にヒントがちりばめられている。{/netabare}


2019.07.04 初稿
2020.02.06 追記
2020.07.30 タイトル修正

投稿 : 2024/04/13
♥ : 63

フィリップ さんの感想・評価

★★★★☆ 3.7

箏の合奏を通した成長を描く、高校生たちの群像劇

アニメーション製作:プラチナビジョン、
監督:水野竜馬、シリーズ構成、脚本:久尾歩
キャラクターデザイン:山中純子、原作:アミュー

集英社の発行する月刊漫画雑誌である
ジャンプスクエアで連載中。
この雑誌は読んだことがないが、
小説やエッセイが原作のものや、
少女漫画誌で活躍してきた作家を
起用するなど幅広い作品を連載しているという。
アニメ化された作品は、『テガミバチ』や
『青の祓魔師』、『新テニスの王子様』、
『ワールドトリガー』、『血界戦線』など多彩。
一般的にも知られているような有名作が
たくさん連載されている。

『この音とまれ』は、お箏という
これまで扱われていない題材を用いた
群像劇という形をとっている。

先輩たちが卒業してしまった箏曲部を
存続させるために、ひとりで奮闘する
高校2年生の倉田武蔵だったが、
部室は不良たちの溜まり場になってしまっていた。
そこに1年生の問題児として知られる
久遠愛がやってきて、箏の家元の娘・鳳さとわなどが
加わり、本気で全国大会を目指すことになる。

主人公の久遠愛は、周りから不良と思われているのだが、
実は根は優しくていいやつで、
箏を作っていた人物が育ての親だが亡くなっていた。
自身は箏を弾いたことはなかったのだが、
箏に対しての天賦の才を持っていた。
ぶっきらぼうだが、人を見る目にも長けた愛は
周りから信頼される存在になり、
天才奏者の鳳さとわとの距離も近づいていく。

いかにも少女漫画にありがちな構図で、
周りから評判の悪い喧嘩ばかりしている不良が
道端に捨てられている犬に優しくしている姿を
ヒロインが見て、ギャップに惚れるという
パターンを彷彿とさせる。
私はこういう構造の少女漫画が苦手で、
それが1話目から見えたので、
少々視聴のテンションが落ちたのだが、
回を追うごとに、周りのキャラの内面まで
踏み込んで丁寧に描くことで、作品の基本的な構造を
忘れさせてくれるような厚みを感じさせてくれる。

例えば久遠愛を慕って入部した
モブ3人男子ともいえるなかの水原光太にも
スポットを当てて、チームが崩れそうになったときに
立て直す役割を担っていたりする。
また、人間関係にマイナスの感情を吹き込んでいた
来栖妃呂がチーム全体を見渡して行動したりと、
一人ひとりが変わっていくさまを
しっかり見せているのが良い。

主人公だから仕方がないが久遠愛ばかりが
目立ちすぎるストーリーになっているので、
部長の倉田武蔵にも、もう少しスポットを
当てて欲しいし、活躍してくれればと
個人的には思ってしまう。
やはり天才だけでなく、
凡人の成長もしっかり描いて欲しい。

シリーズ構成を間違えたのか、
1期では突然、終わってしまい
余韻も感じさせなかったのはマイナス。
演奏シーンがあるので仕方ないのだろうが、
作画的にも若干甘いところがあるように思える。

2期は顧問の滝浪涼香との関係性の進展や
他校の桐生桜介、鳳かずさ、神崎澪などと
どのように絡んでいくのかが見どころか。
箏曲部に関わる人物をそれぞれ丹念に
描いてくれるため、物語に引き込まれる。

箏の魅力と群像劇で2期でも楽しませてもらいたい。
(2019年7月15日)

投稿 : 2024/04/13
♥ : 54

えたんだーる さんの感想・評価

★★★★★ 4.5

ひと昔前の少女漫画っぽいストーリー?

『ジャンプSQ』に掲載の漫画が原作らしいです。

高校の筝曲部(つまり箏(こと)を演奏する部活)のお話です。

「誤解されやすいけど根は優しい男の子」と「何か生い立ちに事情を抱えているっぽいヒロイン」という構図が、ひと昔(いや、ふた昔?)前の少女漫画っぽいストーリーだなと思いました。そこに「努力・友情・勝利」で少年漫画的な味付けをしてある感じでしょうか。

その意味でいうと大枠で予定調和的なストーリーになるとは思うのですが、今のところは手堅く面白いと思います。テーマ的に音楽面で手を抜いてはいけないと思うのですが、現時点では楽曲、作画とも特に問題はなさそうです。

原作を読んでいないので、このままアニメで後のストーリーを楽しもうと思います。

2019.5.13追記:
第6話まで視聴終了。来栖さんというキャラとても女性作者のお話っぽくて私は気に入りました。これ、かなり面白くなりそうですね。

2019.7.1追記:
最終回まで視聴終了。「なるほど、分割2クールですか…。」という終わり方でしたね。

時瀬高校箏曲部の演奏に対して会場では様々な反応がありましたが、具体的な評価は第2クールにならないとわからない感じになっています。まあ、これは普通に続きが気になるからたぶん第2クール(2019年10月開始らしい)も観るでしょうね。

原作を読むかどうかは悩ましいところ…。

投稿 : 2024/04/13
♥ : 44

75.5 24 2019年度の友情アニメランキング24位
キャロル&チューズデイ(TVアニメ動画)

2019年春アニメ
★★★★☆ 3.7 (395)
1286人が棚に入れました
人類が新たなフロンティア、火星に移り住んでから50年になろうという時代。多くのカルチャーはAI によって作られ、人はそれを享楽する側となった時代。ひとりの女の子がいた。首都、アルバシティでタフに生き抜く彼女は、働きながらミュージシャンを目指していた。いつも、何かが足りないと感じていた。彼女の名はキャロル。ひとりの女の子がいた。地方都市、ハーシェルシティの裕福な家に生まれ、ミュージシャンになりたいと思っていたが、誰にも理解されずにいた。世界でいちばん孤独だと思っていた。彼女の名はチューズデイ。ふたりは、偶然出会った。歌わずにいられなかった。音を出さずにいられなかった。ふたりなら、それができる気がした。ふたりは、こんな時代にほんのささやかな波風を立てるだろう。そしてそれは、いつしか大きな波へと変わっていく───

声優・キャラクター
島袋美由利、市ノ瀬加那、大塚明夫、入野自由、上坂すみれ、神谷浩史、宮野真守、堀内賢雄、宮寺智子、櫻井孝宏、坂本真綾、安元洋貴、大塚芳忠、菅生隆之、梶裕貴、蒼井翔太、東山奈央、佐倉綾音、飯塚昭三、白熊寛嗣、浅沼晋太郎、久野美咲、田村聖子、落合弘治、吉野裕行、谷昌樹、岩崎ひろし、諏訪部順一、青山穣、柿原徹也、山寺宏一、沢木郁也、林原めぐみ、木村昴
ネタバレ

shino さんの感想・評価

★★★★☆ 3.7

若葉のころ

渡辺信一郎総監督、ボンズ制作。

火星に住む、お嬢様のチューズデイは、
ミュージシャンを夢見て、家を飛び出す。
同じ夢を持つキャロルと運命的な出会いを果たし、
春に芽吹く若葉のように2人は奇跡の物語を育む。

少女の「歌」、あるいは「詩」、
世界名作劇場のように優しく始まる。
きっと肯定すべき物語だろう。
四季の美しさに、世界の美しさに、
そして未来の美しさにそう感じるままに、
五感を研ぎ澄ませ知覚したものが、
私たちの意識に宿り、それは花咲き、
色も形もない「音」という表現に多様性を見る。
朝の空気にだって、響きはあるのだ。

うん、きっと可能性の物語だ。
なんて爽快な始まりなのでしょう。

中盤を迎え。
音楽性に関してはアニメの枠では図れない。
{netabare}棄権扱いとなった決勝戦で奏でる、
孤独な人に捧げる優れた楽曲が、
静かに心に沁みて音楽の偉大さを知る。{/netabare}

最終話視聴追記。
予想していた結末とは違いますが、
{netabare}私はこれで良いと思います。
愛のない世界の中心で愛を叫ぶ、
音楽は心を通じ合わせる偉大な魔法なのだ。{/netabare}

序盤が素晴らしく、過度に期待した分、
構成や設定に疑問が残る点もありますけど、
素敵な音楽から力を授かる。
この点に於いて素直に称賛したいと思います。

投稿 : 2024/04/13
♥ : 70

でこぽん さんの感想・評価

★★★★★ 4.1

魂を揺さぶられる音楽が聴けるアニメ

このアニメを楽しんで見るこつは、音楽を純粋に楽しむことです。
そうすれば、素晴らしい歌に出会えます。魅力的な音楽を楽しめます。

実際に、このアニメで歌われる音楽で、私は魂を揺さぶられました。
音楽好きの人にぜひともお勧めするアニメです。

音楽は世界共通の言語です。
年齢や国籍に関係ありません。
ましてや文化や肌の色にも関係なく、
歌い手や演奏者の心を聴き手に伝えてくれます。感動を与えてくれます。

今回、第二話ででてきた 「The Loneliest Girl」の歌、
これが実にすばらしい。
歌詞はすべて英語ですが、キャロル&チューズデイの二人の心が、じわーっと伝わってきました。
また、オーディションの決勝戦でアンジェラが歌った「Light a Fire」も名曲です。私の心にしっかりと響きました。

そして、キャロル&チューズデイが準決勝で歌った「Lost my way」も名曲です。
単純なピアノの伴奏だけなのに、透きとおるような二人の歌声が見事に調和しています。
さらに後半のエンディングの「Not Afraid」も素晴らしい。低音部から高音部まで歌いこなせるアンジェラならではの魅力的な歌でした。
ついでにサイドニアフェスでキャロル&チューズデイが歌った「messege in the Wind」は、まさに風の妖精が歌っているような美しい音色でした。


この物語では、音楽を通じて、孤独だった少女たちが友達になり、やがて、仲間が増えていきます。
これも、音楽の力です。
おそらく孤独だったのは、キャロル&チューズデイだけでなく、アンジェラもでしょう。

世の中に、魔法というものは確かに存在します。
そのうちの一つが音楽です。
音楽は人の心を変えます。人の行動を変えます。そして、世界を変えます。
それは素晴らしいことです。

この物語は、キャロルとチューズデイの成長だけではなく、アンジェラの心の成長も描いています。
今まで我儘で世の中の厳しさを知らなかったアンジェラが、芸能界で生き残る厳しさを知り、少しずつ人間としての優しさを身につけてゆく物語でもあります。

最後にみんなで歌った「Mother」。あれはキャロル&チューズデイやアンジェラに仲間ができたことの証明です。
多くの人が一緒に歌うのは、それだけで感動します。

少々脱線しますが、
昔は交響曲と合唱とは全く別物として扱われていました。
しかし、ベートーベンの第九により、この二つが初めて融合したのです。
音が聞こえない型破りの作曲家が、音楽は何ものにも束縛されない自由なものであることを証明してくれたのです。
彼女らも、それを証明してくれました。
難民キャンプで育ったキャロルと大統領候補の娘のチューズデイ。
この二人がつくる歌は、まさに人類の輝かしい未来を象徴しています。

もし、海外の人と話す機会があれば、キャロル&チューズデイの話をしてみませんか?
それがきっかけで多くの人と親しくなれるかもしれませんよ。

投稿 : 2024/04/13
♥ : 68
ネタバレ

フィリップ さんの感想・評価

★★★★★ 4.1

トゥルー・カラーズ

アニメーション制作:ボンズ
総監督:渡辺信一郎、監督:堀元宣、
キャラクター原案:窪之内英策、
キャラクターデザイン:斎藤恒徳、音楽:Mocky、
音楽制作:フライングドッグ
原作:BONES・渡辺信一郎

西洋の油絵を彷彿とさせるようなオープニング。
女性デュオのヴォーカルに
アコースティックギターの音色が美しく重なる。
カーペンターズやキャロル・キングが脳裏に浮かぶ。
街並みはニューヨークを思わせる。

フジテレビがノイタミナとは別枠で、
より海外を意識した作品を発信することを
目的として制作される
「+Ultra(プラスウルトラ)」の第3弾。
あらゆる部分で海外のテイストが見受けられる。
そばかすのある金髪お嬢様のチューズデイと、
アクティブでサロペットパンツを着こなす黒人風のキャロル。
ふたりが火星のアルバシティで出会い、
音楽で意気投合するところから物語は始まる。
女性デュオとしてミュージシャンを目指すふたりは、
マネージャーのガスやAIプログラマーのロディーたちと
ともに音楽による表現の道を歩んでいく。

各話タイトルは、60~80年代のアメリカのヒットナンバー。
どれもインパクトのある良い曲ばかりなので、
知らない曲があれば、ぜひ聴いてみて欲しい。
総監督・渡辺信一郎の趣味が色濃いのではないだろうか。
個人的に思い出深いのは5話タイトルの
ザ・ポリスの『Every Breath You Take』。
日本語タイトルは『見つめていたい』。
アメリカ・ビルボードチャートのランキングで
8週連続1位を記録した大ヒット曲。
ウッドベースを弾くスティングを中心とした
モノクロのPVが最高に格好良くて、
子供ながらにこれは何か違うと思ったものだった。
インパクトがあって好きなのは9話タイトルの
モット・ザ・フープル『All The Young Dudes』で、
日本語タイトルは『すべての若き野郎ども』。
イアン・ハンターの気だるげで絡みつくような
ヴォーカルに泥くさいギターとキーボード、
若者の胸を打つメッセージ性のある歌詞も良い。
当時の若者のアンセムになったグラムロックだ。
解散寸前だったグループを存続させるために
デヴィッド・ボウイが曲を提供したが、
自身でも歌っていることがある。
キャロル・キングの作った曲が『A Natural Woman』と
『It's Too Late』の2曲入っているのは、
渡辺総監督の嗜好の表れだろうか。

この作品の最も特異なポイントは、
レベルの高い劇中曲を全てオリジナルで作成したことだろう。
オリジナルサウンドトラックを購入したが、
テイストの違う良曲揃いで、
何度でも繰り返して聴くことができる。

特にコンテストやライヴで披露された
アンジェラの『Light A Fire』、『Move Mountains』
『ALL I WANT』、そして
キャロル&チューデイ『The Loneliest Girl』や
『Someday I'll Find My Way Home』、
ピョートル『Dance Tonight』、
シベール『La ballade』、GGK『Gravity Bounce』などは
どれもその1曲で通用するほど聴きごたえ十分。
中でもいちばん好きなのは『Light A Fire』だ。
よくこれだけのアーティストと曲を集めたものだ。
70年代から00年代くらいまでに海外で流行った曲の
テイストが散りばめられているように思えるが、
インタビューなどを読むとかなりざっくりとした
指示しか出していなかったようだ。
それでも、どの曲も懐かしさを感じさせる。
例えばキャロチューの曲は、生音と女性ヴォーカルが特徴の
カーペンターズやキャロル・キングが基本だろうし、
アンジェラはフージーズのローリン・ヒルあたりを
意識しているのだろう。
GGKの曲は、90年代にアリーヤなどが一世を風靡した
プロデューサー・ティンバランドのチキチキと呼ばれる
サウンドを意識しているのは明らか。
幅広い魅力ある楽曲を聴かせてくれるのは嬉しい。
それにしてもアンジェラとキャロル&チューズデイ役の
アーティストのアリサや
ナイ・ブリックスとセレイナ・アンを
抜擢したのは、さすがのセンスの良さを感じさせる。

それと、キャラクターの造形や背景でモデルを想起させる。
タオ→テイ・トウワ、
キャロル&チューズデイ→カーペンターズ
(サイモン&ガーファンクル)
アンジェラ→ローリン・ヒル
クリスタル→ビヨンセ
ピョートル→ブルーノ・マーズ
OGブルドッグ→50セント
ガス→ジャック・ニコルソン(『シャイニング』)など。
事細かくチェックすれば、もっと出てくるだろう。
そういうことを想像する楽しみもある。

この作品は、基本的にはやりたい音楽をやるための
アニメと言っても差し支えない。
そもそも出発点はボンズの社長と渡辺総監督、
フライングドッグの社長によって、
本物の音楽のアニメ作品を作ろうという
コンセプトで立ち上がったもの。
世界に通用する良い音楽を違和感なくやるために、
火星という舞台が考えられたという。
これが地球だとどうしても様々な制約が
生まれてしまうからだということを
フライングドッグの社長がインタビューで語っていた。
上質な音楽を自由にやり切るために
全てが始まった企画なのだ。

さまざまな方面のアーティストに声をかけて、
幅広い有名アーティストが集まった。
フライング・ロータス、サンダーキャット、
ベニー・シングス、スティーヴ・アオキ、
エヴァン・”キッド”ボガート、ローレン・ダイソン、
コーネリアス、Nulbarich、cero、
アリソン・ワンダーランドなどのメンバー。
最近の最前線の音楽については疎いので、
私にとっては知らない名前もたくさんあるのだが、
例えば、サンダーキャットというベーシストは、
ケンドリック・ラマーのアルバム『To Pimp a Butterfly』に
参加しており、そのなかの『These Walls』という曲が
グラミー賞を受賞するなど世界的に知られている人物。
フライング・ロータスはジャズのジョン・コルトレーンが叔父で
6枚のアルバムをリリースしている親日家だ。
また、ここで初めて知ったベニー・シングスは、
作品内で多くの楽曲を手がけているが、とても質が高いと思う。
オランダ出身のプロデューサーということで、
これからさらに有名になるかもしれない。
前期OPを担当したNulbarichも初めて知ったが、
とてもセンスの良い曲で、日本人ということに驚いた。
挿入歌を手がけるアーティストは音楽のジャンルも多彩で、
映画制作でも集められないほど、あり得ない企画といえる。

ただ、そのせいでシリーズ構成や脚本を
練られなかったのは残念なところ。
当初の脚本は渡辺あやの名前で発表されていた。
これは『カウボーイ・ビ・バップ』の脚本を
TVドラマ『白線ながし』の脚本を手がけた信本敬子が
書いたのと同様に、普通のアニメにはしないために
新たな風を入れる試みだったのだろう。
しかし、スタートした時点で既にクレジットはなく、
原作とシリーズ構成を渡辺総監督自身が担当している。
テイストの違うオリジナルの楽曲を
多くのアーティストに依頼したため、
ストーリーに費やす時間が短くなってしまい、
降板する事態になってしまったと想像する。

渡辺あやは映画『ジョゼと虎と魚たち』で、
一躍有名になった脚本家。
この作品は、監督の犬童一心や
俳優の妻夫木聡、池脇千鶴などの名も高めた傑作。
とても心に沁みるラブストーリーなので、
もし未見な方がいたら、ぜひ観てもらいたい。
私は映画館で2度観て、田辺聖子の原作にも手を出し、
DVDも購入してしまった。
今度はアニメ化もされるので、
実写と併せて観るのもいいかもしれない。

話が逸れてしまったが、
そんな事情もあり、シリーズ構成や脚本に問題点が
あるのは否めない。曲に細かい指示を出せないことが
多かったらしく、曲に合わせてストーリーを
作り変えたこともあったそうだ。
物語に合わせて曲を作ったのは、
『The Loneliest Girl』だけ(12話までは)と
いうことだったので、ストーリーにはかなり苦労したようだ。
そんななか、唯一脚本が良かったと思えたのが
15話の「God Only Knows」だったのだが、
この回だけを信本敬子が担当していた。
やはりじっくり時間をかけて脚本を書いてもらえれば、
良いストーリーになったと思える。

一応、作品全体には、ぼんやりとしたひとつの流れがある。
それは人々が誰もが持っている「素晴らしい色」とでも
言うべきものだろうか。
第1話タイトルにシンディ・ローパーの
『トゥルー・カラーズ』を持ってきたことに
作品が目指したものを何となく読み取ることができる。
{netabare}それは、現在の世界情勢を反映させた、
民族主義的な火星の政治家たちの動きや、
現在、アメリカやブラジル、イギリスで起こっている
世界の流れをつなげて描いているのだろう。
しかし、ストーリーとしては、そのような民族主義に
LGBTやデザイナーズ・チャイルドなどの素材を
散りばめただけで終わってしまった。
音楽も当初はAIと人での対比で進めていたはず
なのだが、どこかへ飛んでしまっている。{/netabare}
おそらく主役をアンジェラにしたほうが、
ストーリーとしてはまとまったと思う。
全体を見渡すと、ほぼアンジェラが中心にいる
ストーリーに見えてしまう。

{netabare}最終話でミュージシャンたちがボランティアで集まり、
『We Are The World』的なメッセージを送る。
あらゆるものは、歌詞にあるような「母的」な
自分自身のアイデンティティに帰属し、
それぞれが違った美しい光を放つということだろう。
この『MOTHER』という言葉には、
おそらく「地球」という意味もあって、
常に変化が求められている時代であっても、
皆が地球という共通の「母」があるということか。{/netabare}
ラストのタイトルがサム・クックの
『A Change is Gonna Come』という差別体験について
歌った公民権運動につながる曲を使用している
ことからもそれは想像できる。
ただ、『MOTHER』を歌うことが
当初から煽り続けた「奇跡」かと問われると、
そこまでは感じられないし、
シリーズ構成が崩壊したせいで、積み重ねが弱く、
心に届くような物語にはならなかった。

とはいえ、アニメではまず集められそうにない
面子を集め、質の高い音楽を制作し、
それに合わせたストーリーを構築したのは素晴らしい。
演奏やダンスの動きもクオリティが高く、
実際に撮影をしてアニメに取り入れた、
こだわりの作品となっている。

これまで誰もやったことのない領域に手を伸ばし、
一定のレベルでやり遂げた。
それについては称賛したい。
(2019年10月26日初投稿)

投稿 : 2024/04/13
♥ : 60

72.5 25 2019年度の友情アニメランキング25位
さらざんまい(TVアニメ動画)

2019年春アニメ
★★★★☆ 3.5 (311)
1233人が棚に入れました
舞台は浅草。中学2年生の矢逆一稀、久慈悠、陣内燕太の3人はある日、謎のカッパ型生命体“ケッピ"に出会い、無理やり尻子玉を奪われカッパに変身させられてしまう。『元の姿に戻りたければ“ある方法"でつながり、ゾンビの尻子玉を持ってこい』ケッピにそう告げられる3人。少年たちはつながりあい、ゾンビの尻子玉を奪うことができるのか?!同じ頃、新星玲央と阿久津真武が勤務する交番でも何かが起ころうとしていたー。

声優・キャラクター
村瀬歩、内山昂輝、堀江瞬、諏訪部順一、宮野真守、細谷佳正、釘宮理恵、津田健次郎、伊瀬茉莉也、帝子、加藤諒
ネタバレ

shino さんの感想・評価

★★★★☆ 3.7

煌めけ、太陽肛門

幾原邦彦×ノイタミナ。
制作MAPPA&ラパントラック。

この生命も世界もきっとパロディだ。
{netabare}人の世の裏側「欲望フィールド」を舞台に、
奇想天外な物語が展開されまず興味は尽きない。{/netabare}
自閉した群衆はピクトグラムで描かれ、
素性も知れぬものたちがこの星を運行している。

少年たちが商店街の河童像を、
破壊してしまったことから物語が始まる。
その不思議な色彩の世界で、
少年たちは尻の中に太陽光線をきらめかせる。
これこそが「太陽肛門」である。

欲望を生産するのだ。
尻の中から欲望を生産するのだ。

最終話視聴追記。
娯楽性を担保し謎が牽引する物語である。
考察は必要もなく丁寧に語られています。
{netabare}人は尻子玉で繋がっている。
それを失うと世界とは繋がれない。
世界の外部へと弾き飛ばされるためだ。{/netabare}
未来は欲望を繋ぐものたちだけが手に入れる。

人も社会も、繋がれば傷付き失う、
それでも希望はその先にあるということでしょう。
始まらず終わらず、繋がらない絶望への反撃か、
世界はいつだって試されているのだから。

このエールはきっと、
始まらないあなたへ贈る太陽光線なのでしょう。

投稿 : 2024/04/13
♥ : 54
ネタバレ

ぺー さんの感想・評価

★★★★☆ 3.6

三匹が掘る!

何を?ってそれは言わぬが花。
主人公らネーミング元ネタがまんま『三匹が斬る』でした。

そもそもの視聴動機は「ノイタミナ」だからとわりとノーマーク。幾原邦彦監督作品も当方初です。


いつから芸術に哲学というものが持ち込まれたのだろう?

と思うことがあります。美術館では音声ガイドオプションが当たり前となり、クラシック音楽も“解釈”というものが幅を利かせております。
たまには小難しさより見たまま感じたままの分かり易さを求めたくもなりますが、今回の芸術作品もところがどっこいなわけであります。

・・・抽象的な作品のレビューはちょっとやっかい(愚痴)。もといおそらく解釈いろいろで面白いレビューが数多く出てきそうなタイプ、というのが視聴後印象。


本作『さらざんまい』は浅草と上野の中間合羽橋近辺の東京下町で繰り広げられるカッパのお話。
そんなスタッフの悪ノリから生まれた浅い話かと思わせといて、それこそ正真正銘の“カッパ淵(岩手県遠野)”の水深よりかは深いと思われるちょっぴり良いお話でした。


 “テーマは繋がり”


物理的に、精神的に、「繋がること」の定義も定まらない中、善玉も悪玉も大切に思う人との結びつきを求めて苦悩します。そして「繋がるとは何ぞや?」は毎話形を変えて繰り返されます。
{netabare}カパゾンビから抜いた尻子玉をケッピに転送する時の“漏洩タイム”。インターネットでも送信する時にはネットワークを繋げる必要があるわけでして、ここで繋がるということは、不必要または心を抉られるネガティブ情報にも触れることでもあるという暗喩。
「繋がること」を無条件に賛美するでもなく、それでも「繋がること」で乗り越えられる未来に希望を見い出す内容でした。{/netabare}


合わせて面白いと感じたのが、対抗する概念であると作中で位置づけられていた


 “愛と欲”


このへん踏み込むと長くなってしまうので、今回は、皿っとサラッとさらざんまいでぃっしゅ 
※注 シラフです
{netabare}結局のところ両者を明確に分かつことはなく、むしろ一緒だねというミスリードでした。{/netabare}


この繋がりだなんだであったり、愛と欲であったり、小難しい(っぽい)のは実は話数がだいぶ進んでから自分は気づいたよというのがお伝えしたかったこと。
伏線でもなんでもないものにしばらく気づかなかったのです。
{netabare}私みたいに後から気づいた方でも、最終盤ではこれでもかと出てくるので序盤中盤100%スルーしてても問題ありません。{/netabare}

その理由は他に気を奪われていたから。小難しい(っぽい)のなんて感づく暇もないくらい圧倒的な映像表現に目がいき、中身より見た目に気を取られておりました。


 “高揚感と生理的嫌悪感”


こちらが交互に押し寄せると言ったほうが適切かもしれません。そのへんは観りゃわかる(笑)
似たようなところで、“芸術”といえるかは微妙ながら映像表現はシュールです。醸し出す雰囲気はやや淫靡かしら。
{netabare}第2話で女装がばれたり、第3話でガチホモ展開きたり、序盤からついていけません。{/netabare}
{netabare}だいたい肛門突入からの液体ブシャーッ!なんて妄想たくましい自分には相当きついものがありました。{/netabare}
目が釘付けになるんだけれどなんか嫌っ!という感覚。



とここまできてふと感じた大事なこと。
結局のところ“哲学”なんてどこへやら、見たまま感じたままを楽しめてたことに気づきました。
哲学なんて仰々しいもんではないでしょうが考察するには楽しそうな作品。繰り返しますがかっぱ淵程度の深さです。


曲はEDがすこぶる良いですよね。FM横浜でのthe peggiesのライブをラジオ経由で聴きました。MC含めて上手に空気を作っていて、将来楽しみなアーティストさんです。
実写とアニメの融合したED映像については、深夜の人気のない都会の景色をもってくるのが通ですよね。グッときます。
例えば深夜遅くだったり朝まで飲んで家路につこうかという時。周囲に人っ子一人いない景色を見たことのある諸氏は多かろうと思います。

 “世界の中に自分ひとり”

という感覚になった経験ある方いらっしゃいませんか?自分にはあります。そこにきて曲題『スタンドバイミー』“そばにいて”です。
{netabare}毎度ED直前の「繋がりたいけど○○」メッセージを最終回で全投入してくる演出もGOODでした。{/netabare}



もう少し考える系の作品だと注意がそちらに行ってたかもしれません。
生理的嫌悪感がその他の要素を上回らない限り、このシュールなアニメーションを楽しめるんじゃないかと思います。
クールで一本くらいは欲しいかな~と私が思っている “作家性の強い作品” という位置づけです。
この目新しい感じ。好奇心という名の欲望を手離すな!と劇中からの引用で締めることにしましょう。



----
2020.01.27
《配点を修正》+0.1


視聴時期:2019年4月~6月


2019.06.21 初稿
2019.07.16 修正
2020.01.27 追記/配点修正

投稿 : 2024/04/13
♥ : 51

えたんだーる さんの感想・評価

★★★★★ 4.2

何となく目が離せない作品

== [下記は第6話まで視聴時のレビュー: 以下、追記あり。] ==
ノイタミナ枠のオリジナルTVアニメです。幾原邦彦監督作品ということで話題になっているようです。このレビューを書いている時点では第5話まで視聴終了しています。

矢逆一稀、久慈悠、陣内燕太の3人がカッパ王国第一王位継承者を自称するケッピと出会ってそれぞれの事情でカッパにされてしまい、元に戻るためには「カッパゾンビ」と戦えと言われる羽目に。

ということで毎話様々な欲望を持った人間が変異したカッパゾンビと戦うことになります。

他に主な登場人物としては毎回占いを披露するアイドル吾妻サラ、一稀の弟の春河、謎の警官二人組(新星玲央・阿久津真武)などです。

本作でもカッパゾンビの発生、カッパへの変身などでバンクシーンが多用され、毎話での新規作画が抑えられているようです。

登場人物が皆、それぞれの内面に向かい合う話になるようですが、バンクのせいなどもあって人によっては退屈に感じるかもしれません。

が、なんとなく目が離せず観続けてしまっています。でもたぶん観終わってみるまでちゃんと評価はできない気がします。そういう意味では『輪るピングドラム』なんかと似たようなところがあるかも。
== [第6話まで視聴時レビュー、ここまで。] ==

無事に最終回まで完走。

結局のところ人の縁、つながりといった辺りがテーマの作品なのだろうかと思います。私としてはわりと楽しく観られました。

EDでのミニチュアセット実写+画像処理を使った背景や、モブを記号的な人型で描くなどのシャフト制作の作品なんかでもやりそうな風味の演出がありましたね。

歌舞伎の見得のような「さらざんまい」のアクションやサラちゃんの「当世の本流とはほど遠いけどビミョーなカワイさ」など、スタイリッシュとダサさの狭間をいくような雰囲気はけっこう好きディッシュ!

挿入歌でミュージカル風に話を進めてみたり、個人的には面白ポイントは多々あったとは思うのですが、どうも「これは面白いよ」と他人に薦めるような感じの作品でもなかったなあというのが正直な印象です…。

投稿 : 2024/04/13
♥ : 38
123
ページの先頭へ