友達でトラウマなおすすめアニメランキング 9

あにこれの全ユーザーがおすすめアニメの友達でトラウマな成分を投票してランキングにしました!
ランキングはあにこれのすごいAIが自動で毎日更新!はたして2024年04月25日の時点で一番の友達でトラウマなおすすめアニメは何なのでしょうか?
早速見ていきましょう!

74.0 1 友達でトラウマなアニメランキング1位
かがみの孤城(アニメ映画)

2022年12月23日
★★★★☆ 3.8 (109)
318人が棚に入れました
学校での居場所をなくし部屋に閉じこもっていた中学生・こころ。

ある日突然部屋の鏡が光り出し、

吸い込まれるように中に入ると、そこにはおとぎ話に出てくるようなお城と見ず知らずの中学生6人が。

さらに「オオカミさま」と呼ばれる狼のお面をかぶった女の子が現れ、

「城に隠された鍵を見つければ、どんな願いでも叶えてやろう」と告げる。

期限は約1年間。

戸惑いつつも鍵を探しながら共に過ごすうち、7人には一つの共通点があることがわかる。

互いの抱える事情が少しずつ明らかになり、次第に心を通わせていくこころたち。

そしてお城が7人にとって特別な居場所に変わり始めた頃、ある出来事が彼らを襲う――――

果たして鍵は見つかるのか?なぜこの7人が集められたのか?

それぞれが胸に秘めた〈人に言えない願い〉とは?
ネタバレ

ato00 さんの感想・評価

★★★★★ 4.7

鏡の国の赤ずきんちゃん

赤ずきん、狼、鏡、絶海の城等々。
至る所にファンタジーミステリー要素を散りばめた青春SF作品です。

主要登場人物は中学生の男女7人。
それぞれに何かしら心に秘めているような。
鏡を通して孤城に集められ、鍵探しにより願いを叶える。
その暁には、記憶を失うという。
一見単純だけど、それぞれの想いが交差して気になるストーリーでした。

{netabare}最大の謎は、何故この7人が集められたか。
ラストに明かされるその答えが、意外性のあるものでした。
それはともかく孤城での集いは楽しいようで、次第に打ち解ける面々。
しかし、各人が抱える問題も根深く、己のことは話したがらないようです。

現実世界と孤城との行き来により、様々な事件が発生します。
そんな中で少しずつ互いの素性が明らかに。
そして、タイムリミット直前の大事件。
それは、偶然を装って置きながら、仕組まれたことのように思えました。

記憶の消える直前の、狼さまの「善処する」
その口元がすべてを物語っているのでしょう。
結局、こころとリオンの物語だったのかな。
後味の良い感動に包まれて心地よかったです。{/netabare}

投稿 : 2024/04/20
♥ : 15
ネタバレ

101匹足利尊氏 さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

いつだって皆ガラスのハートで狼と戦ってんだ

【物語 4.0点】
アニメ大好き原作者・辻村 深月氏。悲願のアニメ映画化作品。

原作は学校に関しては訳ありな思春期中学生7人らが織り成すSFファンタジー設定ありのミステリー風味の青春群像劇。

ウリの1つである謎解き要素。
アニメファン。特にアドベンチャーゲームの深夜アニメ化作品などを完走した方や、
セリフや作画に醸し出される違和感を捉え考察できる方なら、
割りと序盤でネタは読めると思います。

これを陳腐と感じるかは気分次第なのでしょうが、
私は原作読んだ時、辻村氏は本当にアニメが好きなんだな~。
この作品は是非、実写化ではなくアニメ化してあげて欲しいと好感したので、私にとっても念願の劇場鑑賞でした。


ヒロインの心の葛藤と成長。
孤城の謎の解明と解決。
青春とファンタジーがリンクするのも典型的ですが精巧なプロットで歯車の噛み合わせは良好。

極論、孤城で最初に7人が出会った時に、心を開いて語り合えば1日(上映時間5分)で終わるお話。
だが、それができれば苦労はない不登校生徒。
設定、シナリオの穴となり得る部分も無理に塞がずに、
この嫌なことは嫌だと本音を言えずにグズグズしている感じ。
これこそが青春さと良い意味で開き直り、人間ドラマに仕立てて、
謎と解答の小出しに都合を付ける所が、原作小説の巧みなところ。
劇場版もこの妙味を上手く引き出せていたと感じます。

文量的に映画1本で全編詳述は不可能。
そこは原 恵一監督らスタッフがヒロイン中心に再構成してまとめ上げる。
ただ、私は、できれば1クールの青春群像劇でアニオリ含めて各キャラを掘り下げた構成も観てみたかったとは思いました。


【作画 4.5点】
アニメーション制作・A-1 Pictures

原作を凝縮した構成上、表情描写で心情を語ることが必須な本作。
キャラクターデザイン・佐々木 啓悟氏(『七つの大罪』など)が設定した瞳も、
相変わらず他者への恐怖などを雄弁に語ります。
不登校生徒らが感じる、押し潰されそうな空気感を好再現し、胸を締め付けて来ます。

この辺りの心の取り扱いは『あの花』などでも勝手知ったる同スタジオ。
ずっと戦ってきたでしょ?とのカウンセラーの励ましが琴線に触れるヒロイン心情への共感も、作画による支援があってこそ。


ファッション、小物にも考察を誘う伏線としての役割が求められますが、そこも上々の仕事ぶり。


【キャラ 4.0点】
ヒロイン・こころ他、孤城の7人は心に触れちゃいけない地雷を抱えたキャラばかり。
その地雷原を惚れっぽいKYも交えて全力で踏み抜く少年がウレシノw彼の言動は物語の起爆剤にも。
起爆剤と言えば、“願いの鍵”は如何にも裏切り者を出しそうな火薬庫設定。
そこも7人の心の扉の開放率から考察すれば、あぁ、やっぱりそうくるのかと納得。
明快と言えば明快だし、ありきたりと言えばありきたり。

主人公・こころにより集約した構成ゆえ、その他のキャラ解像度も彼女の周辺が高めに。
真田は映画でも相当なサイコパスでした。
{netabare}自宅を包囲する真田たち。{/netabare}私の夢にも出てきそうなトラウマです。
あれを軽く考える担任。私もないと憤ります。

こころ不登校のある意味での導火線ともなった友人・東条萌。
友を見捨てて追い込んでしまった側の葛藤も好表現。 
{netabare}東条宅に招いた、こころと和解し、真田グループに愛想を尽かして酷評する。{/netabare}
あの痛快シーンが何気に私のベストシーンだったり。
娑婆に巣食う獣(ケダモノ)共と戦う勇気を貰えます。


【声優 3.5点】
主演のこころ役には俳優・當真 あみさんをオーディションで選出。
7人の中でこころに近いサッカー少年・リオン役には北村 匠海さん。
アフレコ経験ありなし様々ですが、キャストは若手俳優中心の布陣。

“ちゃんとした声優”の濃厚なキャラ提供よりもナチュラルなボイス素材を求める
実写とアニメの中間志向にはよくある音響方針。

ですが、かと思えばウレシノ役には梶 裕貴さん。
ゲーム少年・マサムネ役にはベテラン・高山 みなみさん。
バリバリの声優起用もあり統一感はない気もw
ただキャスティングの方向性がバラバラなのも、
このキャラ設定、シナリオならアリかもしれません。

7人を孤城へ案内するオオカミさま役の芦田 愛菜さん。
この方のアフレコ作品も何本か観てますが、
同世代よりロリ幼女属性の方が圧倒的に上手い。
根っからの子役なのでしょうね。

こころのカウセリング担当の喜多嶋先生役には宮崎あおいさん。
セリフは心の痛みを包み込む繊細な言い回しなのに、
相変わらず淡々とした掴みどころのないボイスw
ただ、このキャラに関しては、あまり掴みどころがあり過ぎてもつまらないので、
これも、アリと言えばアリなのでしょうか。


【音楽 4.0点】
劇伴担当・富貴 晴美氏。
心情描写中心で外面は地味な本作。
繊細なピアノ~大仰な金管による心情曲で感情の起伏を捉えて山場に寄与。

ED主題歌は優里「メリーゴーランド」 
表層は、これアニメ関係あります?って感じの、トレンドを押さえた、すれ違い系ラブバラード。
ただ深層まで咀嚼してみると逢いたくても逢えない部分などから作品要素が滲み出てきて、強ち的外れでもない感じ。

まぁ、どうせこの曲も、世間にこの映画主題歌と認知しない人が多数いたとしても、またヒットするのでしょうねw
至る所で曲でネタバレ流されてもアレだから、作品シンクロ率はこれくらいでも良いのでしょうかw


【付記】
先読み簡単だよ?と吹かしながら未見の方に問題出して遊びたくて仕方がないしょーもない私w
一応レビューにヒントは散りばめたつもりなので、鑑賞後、しょーもないなと思ってみて下さいw

投稿 : 2024/04/20
♥ : 22
ネタバレ

nyaro さんの感想・評価

★★★★★ 4.2

「テーマ」も「謎」とてもいいですが、なぜオオカミ?なぜルール?

 2回目を見られたので少し感想を整理します。以前のものもそのまま残しています。原作は既読です。

 まずこの作品の特徴として、映画館とパソコンで印象がかなり違います。映画館で見たときはかなり物語世界に入り込めました。が、パソコンで見た方がサラリとしたストーリーの印象でした。ですので、映画組とパソコン組だと評価が分かれるかなあ、という気がします。

 それともう1つ。自分が過去、この問題についてどれくらい関心があって、関連書籍を読んでいたか、考えたか、自分・身の回りで類似例があるか、で印象が変わる気がします。

 もちろん、アニメ作品ですからこんな単純な切り分け以外の評価の要素はあるでしょうが、この2点は実生活に近いテーマなだけに視聴環境による集中度合と、視聴サイドの蓄積で変わる映画=万人向けではない気がします。

 ですので、感想や評価が合わない人がいても、それがこの映画の特徴かなという気がしました。なお、2回目みて、1回目よりも理解が少し進んだ気がしたので、ちょっと評価点をあげています。3.9→4.2です。

 
で、内容です。

 いじめ、不登校というテーマをそれこそ真正面から取り扱ったのはとてもいいと思います。この点では、本当に優れていたと思います。

 決して頭がいいとも思われないグループの理屈で教室が支配される。その中心的な少女の教師への媚びと、面倒をさけクラスの自治を、カーストのトップグループに任せてしまう教師の事なかれ主義、エゴ。
 親の学校に行かないのは「おかしい」という思い込み。仮病ではく本当にどこかが痛くなる少年少女の身体と精神の密接な関係。そして、陰湿ないじめの実態。

 その一方で、どうやってその状況と向かい合うか、打破するかと言う提示もありました。特にまず子供の話を聞くということ、学校がすべてではないということ、学校の他のコミュニティーが十分に子どものコミュニケーションの場になること。

 全体としてこういうことが非常に丁寧に取り扱われており、個々の少年少女の状況も、いじめだけでなく、毒親、性的な虐待、仲間外れもリアルでした。



 やはり引っかかるのが、なぜかがみの孤城なのか?おおかみの意味は?その黒幕の思惑は?ルールはなぜ存在する?というところです。

 まあ、牽強付会なところはありますが、ちょっと考えたところです。ネタバレしないと語れないので隠します。

{netabare} 少年少女の救済の物語と、「狼と七ひきの子ヤギ」の内容です。「オオカミ」=「大人」に「騙されて食べられた子ヤギ」=「社会の犠牲になった子供」でしょうか。
「お母さんが帰って来て、狼から助けてくれる」=「カウンセラー、モノが分かっている大人、あるいは直接お母さん」

 ただ、この図式だと救済者はやはり大人だけになってしまいます。やはり自力救済としての、かがみの孤城の意味が必要になるのでしょう。

 そしてひっかかり、理解に苦しむのが、オオカミそれ自体は、本来は敵になる存在です。そしてルールの存在。

 ルールからはみ出した子供たちを、更にルールで縛ることの意味です。オオカミに食べられるという恐怖は必要か?なにより連帯責任だと不登校の子供にマイナスにならないか?そして、このルールと恐怖はかなり物語のおおきなポイントとなります。

 物語としてのルールの意味は病院の規則でそこしか面倒が見れないような意味があったり、学校に行っている時間と合わせている、という意味はありそうです。あるいは弟が日本の中学生と会える時間に設定したとよめなくはないです。

 が、そもそも病気の少女の弟が学校に行ってほしいという願いが、かがみの孤城を作ったとして、少女自身がおおかみに扮する意味がわかりません。まあ、ヒントが自分自身だよ、というオチことかもしれません。

 ですが、やはり、ルール+城主の少女と子供たちの救済の関係がよくわからないし、この童話の意味性が物語上のアイテムになっている気がします。
 まあ、普通ならそこはよく考えた話だね、でいいのかもしれませんが、そういうレベルの内容ではないので、すべてに意味性が付与されるべきだと思います。


 次に、かがみの意味です。鏡というのは、自分を映すもの。外部からの視点なのか、鏡に入る=内面に入るのか、あるいは両方の象徴なのか。

 孤城は子供だけの閉じたコミュニティは逃げ場である、ということでフリースクールとつながってくる感じです。そこに集まる子供たちはなぜ集められたのか、という意味においては納得なんですけど、孤城です。
 物語的な意味は、ある人物の関係者にまつわる話で、それは分かります。ですけど、少年少女の救済の場としての孤城ですね。


 この城内に自分の生活上で一番関心がありそうなことが設置された個室が与えられます。やはり自分自身という感じはします。自分のやりたいことを見付ける…なら、かがみと合わさって意味性はでてきます。

 ゲームにしても、恋愛マニアにしても、皆かなえたい願いを持っているということもあって、も、まあ、キャラ付けにはなっていますし、彼ららしさではあるんですけど…だったら、鏡というのはそれを見付ける話の方がふさわしい気もします。

 かがみ、そして、孤城。こちらは、物語の舞台としての、雰囲気作りはあるでしょうが、社会から孤立した場所で自分と他の同じ苦しみを背負っている人たちと話し合う場=フリースクールの意味なんだろうなあ、と思います。

 逆に言えば、あのフリースクールは「かがみの孤城でした」という事かもしれません。

 子供が自分のやりたい事、コミュニティが学校だけでない事を理解する、場所が「かがみの孤城」、大人は原因でもあり、助けてくれるパートナーでもある。それが「かがみの孤城」+「狼と七匹の子ヤギ」という意味性はおぼろげながら見えてくる気がします。

 映画館で見た第一印象でもそうでしたが、結局城主ヒロインのオオカミの仮面の意味、病気で死ぬという物語。かがみの孤城という場を提供した理由が弟を救う。そして、狼と七ひきの子ヤギのモチーフがが孤城の仕掛けになっている点で、テーマと物語が綺麗にかさなってこないなあ、という印象は残ります。
{/netabare}

 それと大学教授の娘。あの子の使い方はもったいなかった。結局重大なヒントもくれるし、救済にもなりますが、どちらも物語を回すだけの薄い存在になった気がします。


 で、総評ですが、面白いです。ダレもなく本当に面白い。テーマも深い。謎も面白い。キャラ造形も素晴らしい。作画もいいです。

 ただ、やっぱり、なんで城主は狼でルールがあのルール?そして、かがみの孤城の秘密が〇〇と重なるの?という違和感が邪魔をしてしまいます。

 言葉を変えると、この作品でモチーフ・アナロジーになっている童話は、このテーマを描くのに最適だらか?あるいはテーマやキャラ達の物語を深めるための作品だったか?
 このモチーフの童話は正直万人が知っているとも思えません。集められた子供たちの素性とも関係ないです。よって、仕掛けとしての機能の方が強い気がしました。別に邪魔になっているわけでもないんですけど、やはり城主とルールだけはちょっとノイズだった気がします。
 



以下 一回目のレビューです。


 本作は原作の辻村深月さんはミステリ出身ということもあり、内容に謎とき要素はあります。ファンタジー要素もありますが上手く使ってストーリーを構成していますし画面も良かったです。そして、さすが直木賞を取っただけあって文学的な雰囲気もあります。

 この作品がアニメとして作られたことは非常に頼もしいと思います。2016年の「君の名は」「聲の形」は決して文学的ではないですが、しかしこの両作品の存在がアニメでこういう文学的作品が作られる下地を作ったのでしょう。
 「ジョゼと虎と魚たち」「漁港の肉子ちゃん」を初め文学的なアニメ作品の流れで、本作が作成されたのはアニメファンとしては喜ばしい限りです。

 話自体もとても面白く、2時間はあっという間でした。ですが、正直言えば全体的に消化不良というか映画で描きたかったものが曖昧になっている気がします。

 本作で失敗があるとすれば、謎ときのストーリーとテーマ性が上手く融合していなかったことです。

 イジメというか不登校、親、学校の関係がリアルで、ストーリ-への落とこみやキャラ設定は良くできており、テーマ・メッセージとしては優れています。
 イジメというのは不条理で勝手です。そして教師はイジメのトップに立っている子…特に女の子の組織力を使ってクラスの自治をしようとします。いう事聞く子供がいい子だと思い込みます。
 相手の親と話しても無駄です。そのイジメの張本人と同じ考え方だからです。学校に行かなくれもいい。親が子供の言い分をまずは聞いてあげる。そして担任ではなく校長などと話す。最終的に解決しなければ逃げてもいい。好きな事をやっていればいい。学校など3年…あるいはクラスなど1年で終わる。そういう部分はちゃんと描いていました。

 その一方で、推理・謎解きというか仕掛けの部分については、考察しようと思えば半分くらいで謎が大体わかってくるし、フーダニットやホワイダニットの部分がカタルシスにもなります。そこに至る伏線も流れも設定も悪くはないです。

 ただこの2つの優れた要素である「テーマ」と「謎解き」が上手く融合していない気がしました。謎解きがテーマを補完するような関係ならいいのですが、テーマと謎解きのが上手く融合していないような、バラバラ感がありました。
 
 オオカミさんの正体と意味合いですね。肝心なそこの部分について悪く言えば感動ポルノどまりに感じられる気がするからです。要するにオオカミと7人の子どものアナロジーが、謎の設定とか仕掛け止まりになっていて、テーマを補完するものではない感じです。

 お城のルールの意味わからないですよね。特にルール違反の罰則が意味不明です。そのルールを守ることが7人の子供たちの救済の意味として何だったのかが不明です。 {netabare}不登校たちが集まれるようにという配慮はわかりますが、なぜ食べられる?
 あるいは守らないことが前提なんでしょうか?鍵は1人以外が食べられないと見つからない感じに描かれていました。{/netabare}オオカミさんにとってそのルールを設定する意味や大切さって何だったんでしょう?あるいは不登校の子たちにとってルールを守る意味など。要するにテーマである不登校とお城の謎の設定に乖離がある気がします。

 そしてそれに気が付いたきっかけの近所の女の子。彼女は逆にテーマ的な意味はわかりますが、{netabare} その彼女の家に飾ってあった絵が {/netabare}謎に絡んでくる意味です。そこのご都合主義展開が読み取れなくてポカーンとしてしまいます。

 そうなってくると、むしろオオカミさんの謎がノイズになって、不登校やいじめ問題のテーマ部分とどう重ねればいいのかがわからず、ちょっと頭が思考的になってしまい、文学として「考えるな感じろ」が無くなってしまいました。そしてテーマがある社会派の謎解きとしても、テーマと設定の分離があり、全体的に要素がバラバラな気がしました。

 画面はお城の床の反射のエフェクトがかなりすごいので、それは見どころです。逆にそれ以外はあんまり見どころはない感じです。色彩がどんどんカラフルになって行く気がしたのは、何かの演出家もしれません。
演出も良かったです。暗い部屋で食べる鳥そぼろと鮭と炒り卵の三色弁当を出すセンス。自分の気持、親の気持、少し幸せな時間から孤独な時間。いろんな感情が錯綜する感じが素晴らしかったです。

 総評すると、テーマとそのリアルさ、謎解きの面白さ、キャラ造形の水準の高さ、など非常に良くできた部分は沢山あり2時間退屈しませんでした。ただ「テーマ」「謎とき」が上手く絡んでおらず、要するに頭でっかちで「感じる」部分の文学性が不足して、下手をすればラストの方が感動ポルノに見えなくは無いです。特にエンドロールとおまけですね。ただ、キャラには感情的に乗れるのでカタルシスはありますけど。

 途中であまり盛り上がりはないです。作品の性質上それでいいと思いますが、そういうアニメが好きな人はつまらなく感じるかもしれません。

 ということで、もう1度見ようか原作読もうか迷いって、結局映画の帰りに原作買ってしまいました。読んで思うところあれば追記します。




追記 原作読み終わりました。

 映画化は良くできていた、という結論です。途中若干説明の細かさや構成の違いはありましたがほぼ映像化できていると言っていいでしょう。文字と画面の違いを考慮してうまくアニメ化できていたと思います。と言うか話の内容からいって、映像の方が見やすいしキャラが良く描けていたのでどちらかといえば映画がお勧めです。

 やはり初見レビューで上げた謎とテーマ・メッセージが合っていない感覚は、原作でも同じでした。舞台設定というか「鏡」「オオカミさまの正体の謎」「絵本」などのフレームが機能していない気がしました。

以下 映画の内容なので見る予定の方は気を付けてください。
{netabare} やはり色んな部分が「設定」というか「道具建て」でしかない印象でした。本来アナロジーやテーマ性、関連性などで物語を分厚くする部分が機能していないと思います。ということは推理小説の手法が裏目に出た感じが強いです。
「鏡」が何を表していたか?「オオカミと7匹のひつじ」を作品の舞台にした意味合いは?東条萌とミオ=オオカミ様のつながりは?ミオの学校に行きたいという気持ちがなぜイジメで学校にいけない子たちの救済になったのか?ルールを守ると食べられる意味は?

 特にやるべきだった話として、東条萌の考え方「自分は自分」というか「学校なんて大したことない」という考えが「オオカミと7匹のひつじ」の絵本を通してミオと共有されるべきだったと思います。
 また、喜多島=アキがミオという子のどんな気持ちを通じてイジメ・不登校の救済に立ち上がらせたのかが「病気」軸ではなく他の描き方は無かったのか。病気と不登校の意味はまったく違うのに無理にそこを重ねた感じです。
 そして、ルール破りが「記憶をなくす」という作用の為だけになっている気がします。

 つまり、東条萌、喜多島=アキ、ミオ=オオカミさまを大きく関連付けるものが「鏡」「オオカミと7匹のひつじ」というフレームになっている。そしてミオの悲劇が病気ではなくイジメ・不登校を乗り越える何かになっているという描き方ができれば、本当に説得力がある話になったと思います。{/netabare}

 テーマとメッセージの重さは受け取りました。こころちゃんの救済の物語は素晴らしかったです。ただ、重要キャラ3人が肝心なのにうまく機能していなかったと思います。
 若干評価下げます。ただ、映画として見た場合の満足度はまあまああると思います。

 なお、原作は分厚くて2分冊ですが、文字が大きくて文字数がそうでもないのでそんなに時間はかかりませんでした。つまり今回批判した部分は、本が読める小学生、中学生、読書の習慣がない高校生程度でも読める配慮で複雑にしなかった可能性があります。

投稿 : 2024/04/20
♥ : 16

84.1 2 友達でトラウマなアニメランキング2位
シン・エヴァンゲリオン劇場版:||(アニメ映画)

2021年3月8日
★★★★★ 4.2 (429)
1962人が棚に入れました
 エヴァがついに完結する。2007年から『ヱヴァンゲリヲン新劇場版』シリーズとして再起動し、『:序』『:破』『:Q』の3作を公開してきた。その最新作、第4部『シン・エヴァンゲリオン劇場版』の劇場公開が決定。人の本質とは何か? 人は何のために生きるのか? エヴァのテーマは、いつの時代にも通じる普遍的な核を持っている。
 シンジ、レイ、アスカ、マリ、個性にあふれたキャラクターたちが、人造人間エヴァンゲリオンに搭乗し、それぞれの生き方を模索する。人と世界の再生を視野に入れた壮大な世界観と細部まで作り込まれた緻密な設定、デジタル技術を駆使した最新映像が次々と登場し、美しいデザインと色彩、情感あふれる表現が心に刺さる。
スピーディーで濃密、一度観たら病みつきになるその語り口は、興行収入80億円超えの大作『シン・ゴジラ』も記憶に新しい庵野秀明総監督による独特の境地。その庵野総監督がアニメーションのフィールドで創作の原点に立ち返り、新たな構想と心境によって2012年の『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q』以後、封印されてきた物語の続きを語る。
 1995年にTVシリーズ『新世紀エヴァンゲリオン』でアニメファンのみならず、アーティストや学者までを巻き込んで社会現象を起こした初出から、実に25年――その間、常にエポックメイキングであり続けたエヴァの、新たな姿を見届けよう。

声優・キャラクター
緒方恵美、林原めぐみ、宮村優子、坂本真綾、三石琴乃、山口由里子、立木文彦、清川元夢

たわし(爆豪) さんの感想・評価

★★★★★ 4.9

「否定」ではなく、「肯定」する生き方

ネタバレを極力避けて話したい。

25年前の庵野監督は明らかに「オタク」であることに対して「否定」的な立場から作品を作っていた。

アニメとか漫画とか映画とかゲームとかどうでもいいから、街に出てコミュ二ケーションしなさいと。。。

「書を捨てよ、町に出よう」ということである。

しかし、この25年間で社会は様変わりした。アニメを見ることに対しての偏見は愚か、アカデミー賞や歴代の興行収入を支えているのはアニメや漫画だし、ハリウッド製作の映画やドラマまでもが今やアニメや漫画の実写化がほとんどである。

そういった状況において、本作はそういった「多様的」な生き方を「肯定的」に捉えている。

僕の周りには本当にいろんな人間がいる。サッカーが好きな人間もいれば、ギターや音楽が好きな人もいるし、漫画でもキワモノが大好きな女性もいっぱい知っている。

はたまた、性に対してもゲイやバイセクシャルな人だっているだろうし、興味がない人だっているだろう。

そう、その全てが全て「存在」していいのである。

確かに、それぞれは言葉が通じなくお互いを傷つき合うかも知れない。

あるいは全く引き合うことすらないかもしれない。

しかし、そういう社会でお互い理解し合おうとすることがなにより大切なのだ。

それがこのシン・エヴァにとって、いや全人類にとって「大人」になる。ということであると「結論」が出ている。

確かに現実ではなく「理想論」に過ぎないが、それでも人はあの25年前に比べれば、偏見や差別と向き合う人が増えた。

そういう意味では「進歩」しているのである。

個人的には今回の「シン・エヴァ」のラストより、漫画版の「エヴァンゲリオン」の方が好きだが、そういったことはこの際どうでもいい。

庵野監督とこの作品を全力で作ったスタッフの皆さんに何よりの感謝と尊敬を。。あなた方の「伝えたい想い」は伝わりました。

お疲れ様です。そしてありがとう「エヴァンゲリオン」

人生においてここまで晴れ晴れした気持ちになったのは久しぶりでした。



追記

ラストのある「ゲスト声優」が時代を象徴していると思うし、
なにより今度の「シン・ウルトラマン」がまさにド王道の物語になることも必然だと思う。

良い意味で垢抜けた傑作になることを期待してます。

投稿 : 2024/04/20
♥ : 42
ネタバレ

sumiyaki さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

エヴァの世界はどういう世界だったのだろうか?

2020年8月末に序破Qを観たのが最初のエヴァンゲリオン。
まだ半年くらいの新参者です。序破Qくらいしかちゃんと観ていませんが、シン・エヴァはとても楽しみに待っていました。

自分はコアのファンの皆様とは時代・世代・年齢も違っていて、エヴァに触れてからの時間もまるで短く、ファンの方々とは感動を共有できなかったかもしれません。
ただ、庵野監督をはじめ制作に関わった皆様にはお疲れ様と言いたいです。ありがとうございました。

「庵野秀明スペシャル」 - プロフェッショナル 仕事の流儀 - 3月22日19時30分からNHK総合
https://www.nhk.jp/p/professional/ts/8X88ZVMGV5/episode/te/YV62MRRW35/
>番組は総監督・庵野秀明(60)に4年にわたって独占密着。これまで長期取材が決して許されなかった庵野の制作現場を、シリーズ完結編となる『シン・エヴァンゲリオン劇場版』で初めて余すところなく記録した。

というお知らせ、シン・エヴァをもう一度観に行くよりも、NHKの庵野特集が観たくなった私です。

アバンについて。{netabare}ここは上映前からYouTube, Amazon Primeで公表されていて、前からいろいろと妄想してしまった部分。メタフィクション的な解釈に私も傾倒しました。まるで仮想現実であるかのようなパリ市街の復活、マリが「待ってろ、ワンコ君」というときの背景の建物が実はコア化しているかのようにみえる描写。
しかしそういう解釈は後のパートでは続かず、メタフィクション的なものというより、使徒の世界とリリンの世界の重ねあわせとしてのL結界密度のようななにか、と考えるしかありませんでした。「アンチLシステム」の技術があとでも活躍しました。
そして、マリの特殊能力?が示されました。
{/netabare}
最終結末について。{netabare}世界はどのレベルに戻ったのでしょうか? この駅が東京駅だったりしたら、エヴァンゲリオン自体がなかった世界に戻ったことになる。第三村が有った辺りの駅なら、第三村がどうなったのか、そこで暮らしていた人たちはどうなったのか心配になってくる。山口県宇部の辺りだから、第三村その他も無事に復興しているだろうと推測できる。
まるで浦島太郎が玉手箱を開けたように、シンジは大人になってしまって、チョーカーもつけたままだったり。スーツを着ているのはマリと婚約の報告か何かでしょうか。
マリの印象ですが、私には何かゾッとする感覚、「悪魔」みたいな感じがしました。シンジはちょっと魂を抜かれたような感じ、いままでと違いすぎるからか。
実写の風景は結末の世界が見かけは似ているけど、視聴者の世界とは異なるものなのに同じだと思わせているのではないかとふと思います。
人類に文明を与えてくれたゼーレはどうなったのだろう。
{/netabare}
マリとは誰なのか?{netabare}
極めて重要な登場人物(綾波ユイと碇シンジ)と深く絡んでいる。
年齢の不思議。
私には「悪魔」的な印象があった。使徒が人類を滅ぼす存在ならば、「悪魔」は実は「神」のようなもの。
とすると、マリは天使か神のような存在なのでしょうか? 実は黒幕なのでは?
メタフィクション的にエヴァンゲリオンの世界をある種のゲームの世界のようなものだとすると、マリこそゲームのプレイヤーで、その他は程度の違いはあっても、ノンプレイヤーキャラクターの要素が強くなる、というように私には感じられました。
{/netabare}
エヴァの世界はどういう世界だったのだろうか?{netabare}
使徒が虚構の世界の生き物で人類(リリン)は現実の存在、そして虚構 vs 現実 の闘い、みたいな印象をもっていたこともありますが、その2つの世界はL結界を境に同時に存在、あるいは重ねあわさっていることがシン・エヴァを観て強く感じました。ちょっと量子論っぽいですね。
これは視聴者や制作側が3.11の東日本大震災の影響を強く受けたことに関係していそう。
マリがメタフィクション的な存在であるとするならば、エヴァはフィクションの世界を脱して、現実に着地し完結した。ある種のゲームのような世界だったのでは?
その辺りのことはシン・エヴァ公開直前にこちらにコメントさせていただきました。
https://gyahunkoubou.com/sin-eva-mystery-4.html#comment-33119
{/netabare}
私の受け取ったメッセージ。{netabare}
いつまでも子供でいるな、大人になれ、みたいな普遍的なメッセージが受け取れることは確かですが、私は悪く言えば少し古さを感じました。
どちらかというと、現実はそれに従うしかない面もあるけれども、フィクションのように「書き換えていく」こともあるいはできるのだ、というように受け取りました。
アニメ「正解するカド」を個人的ですが、連想というか思い出しました。(「正解するカド」のネタバレあり){netabare}
エヴァQ (2012) --> 正解するカド(2017)
Qに対するAnaswer
エヴァ(大人になれ) --> 正解するカド(私たちはみんな途中)
正解するカド(交渉でなく結局暴力) --> シン・エヴァ(暴力ではなく結局コミュニケーション)
まあ、両者には関係はありません。私の妄想です。
{/netabare}{/netabare}
その他とまとめ。{netabare}
QからVRゴーグルのようなものをしていたゲンドウ。VRあるいはMRで現実世界に別の世界を重ねて見ている、と思っていたけど、そうではなかった。

使徒は災害・伝染病・政治的攻撃(洗脳とか)の象徴なのだろうけど、「エヴァンゲリオン」の世界はキリスト教の信者からはどのように捉えられているのだろうか。

エヴァからも他作品からも引用につぐ引用をしていてそれでいてすごい独自の世界を創っている。今後はエヴァを消化吸収した新たなテーマの作品が観たい、楽しみだ。

映画館で最後まで皆は真剣にみていたのだろう、拍手をしようと思ったがためらってしまった。私のような新参者にはいまひとつ「感極まる」ところまで至らなかった。長い間ファンの皆様には長く心に残ることだろう。
{/netabare}

投稿 : 2024/04/20
♥ : 16

takato さんの感想・評価

★★★★☆ 3.8

いやぁ〜全然面白くねぇな!。ただ、庵野先生とカラーの次回作にご期待ください。

 ネタバレになるので例え話でのツッコミになりますが、「思い出ぽろぽろ」か!、スターウォーズep9か!な作品です。言わんこっちゃないとは思いましたが、スターウォーズと同じで前作でグチャグチャになった風呂敷を大急ぎで畳んでるだけだから、ドラマやエモーショナルな盛り上げにも、物語という形での上手なテーマの展開にも、キャラの描き込みにも失敗してます。


 あるポイントでわかりきってる愁嘆場みたいなのが始まった時には頭を抱えそうになったし、ゲンドウの件りでは「それ前から知ってた!」とツッコミを画面に入れたくなった。


 ロボバトルの描写としてもCGばっかで手描きの最高峰だった旧劇のような色気も艶もないし、重量感や上がるロマン描写もなし。軽そうなエヴァがチャカチャカと動くばかりで何が起こってるのかよくわかりづらい(これは本作だけに限ったことじゃないが)。


 アナクロニズムと言われようが、やはりロボは手描きの方が向いている。テレビだと今は色々あるのかもだが、映画では手描きの方がねぇ…。そりゃあ手描きじゃあ表現は無理という場合もあるが、CGだからこそのロボ表現で本当に痺れたことは今んところあんまりないかな。


 じゃあ面白くもなんともないかと言うと、ある意味で面白いところはある。それは庵野監督の大人になりっぷりである。結婚して多くの人の仕事を指揮するより大きな立場になって、もうあんな昔みたいに中二丸出しでグズグズ悩んでらんねぇよ!って庵野さんの心は確かに伝わってくる(それを物語の中で上手く消化できてるとは言い難いが)。


 絵作り的にも、CGを殆ど使ってない庵野さんのロマン溢れる部分のパートでは流石の冴えを感じたし、あのキャラが☓☓☓な件にも「あぁ…、本当に大人になったんだなぁ…」と染み染み感じ入った。


 その辺の描き方が「思い出ぽろぽろ」と同じで、少々懐古主義的、或いは理想化され過ぎな気もするが、宮台さんの動画を見たりして共同体の大切さや共同身体性の重要さについて考えさせられていた私としては言いたいことはわかる、という感じではあった。昔には戻せないから、テックを使ってアップデートは必要だが新しい形の共同体の作っていくのは急務だろう。


 それにしても、やはり映画一本に詰め込むには無理があった気がする。どうせなら決戦前の物語をテレビで1クールやるくらい必要だったかも。


 ここまで大人ぶりを見せられると、やはりエヴァから開放させれた庵野さんとカラーの次回作に期待したい。庵野さんはナウシカはやって欲しいが、あとはフリーハンドで作って欲しい。


 カラーにはTVアニメにも参戦しないとジブリの二の舞になるから、優秀なスタッフたちの才能を活かせるオリジナルでも原作付きでも年一くらいでは新作を制作して欲しい。あぁ〜やっとネタバレを心配しないでネットを見れるという安堵の気持ちのみ!。


 作品としてのエヴァは、やはりスターウォーズにおけるep4、5、6みたいに旧劇までで終わりで良かった、という新劇が作られる当初から思ってたことなので別に大きなショックも無し!(破の時点では正直期待しちゃいましたがね)。

投稿 : 2024/04/20
♥ : 34

56.1 3 友達でトラウマなアニメランキング3位
ケイオスドラゴン 赤竜戦役(TVアニメ動画)

2015年夏アニメ
★★★★☆ 3.1 (322)
1571人が棚に入れました
ドナティアと黄爛、覇権をかけて争うふたつの超大国の、冷戦によって引き裂かれた世界。
その睨み合いの只中で、独立を失った島国ニル・カムイ。
島の守護神たる<赤の竜>の異変をめぐって結成された混成調査隊のメンバーに、この島の運命は委ねられた!
ケイオスドラゴンの世界 世界を分かつのは、冷戦状態にあるふたつの大国。

一度は世界を征しながらも、いまでは衰退しつつある
軍事国家・ドナティア帝国。
もう一方は、かつては遅れをとったが、いまや旭日の極みにある黄爛国。
その中間地点には、世界の覇権をめぐって相争う大国の間で
翻弄され続けてきた島国――ニル・カムイが存在した。

声優・キャラクター
井上麻里奈、沢城みゆき、斉藤壮馬、内田真礼、石塚運昇、大塚芳忠、赤羽根健治、江口拓也、大川透、山寺宏一、古木のぞみ、渡辺はるか、照井春佳、中田譲治、藤原啓治、愛美、佐藤晴男、関智一、大原さやか、松井恵理子、白石涼子、田丸篤志

ato00 さんの感想・評価

★★★☆☆ 2.4

悲壮感漂うストーリー。メリルの存在だけが救いでした。

ファンタジーバトル色を前面に押し出した戦記もの。
赤の竜の謎を解明するために結成された3国混成調査隊が物語の主軸です。
元々設定されている世界観が広いようで、アニメは一部のエピソードなのかな。
アニメタイトルにケイオスとあるように、物語はまさに混沌。
簡単についていけないような流れになっています。
ラストもそれなりに混沌、なんかすっきりしません。

残酷な描写が多く、私には合わなかったかな。
各話最後の赤バッテン演出には気が滅入りました。
ついでに言うと、Aパートラストの説明文は10分の1も読めません。
速読技術必須です。

キャラは個性的ですが、主人公はいただけない。
すぐに涙を浮かべる悲劇的主人公にはイライラでした。

その一方、ドナティアのスアロー・メリルコンビはいいですね。
飄々としたスアローをしっかりものもメリルがたしなめる。
ちょっとした夫婦漫才的なノリがたまらない。
メリルの少し掠れた柔らかい声。
デレを極力隠したツンツン声は私の大好物です。
このアニメ、メリルを眺めるために観ていたようなものです。

投稿 : 2024/04/20
♥ : 27

Ka-ZZ(★) さんの感想・評価

★★★★☆ 3.8

何を主において視聴するかで、印象が大きく変わる作品だったと思います。

この作品で私の知っていた事前情報は大きく2つ・・・まず1つ目は、内田さん、沢城さん、井上さんといった大好きな声優さんが出演されること、そして2つ目はキャラクター原案に虚淵玄さん、那須きのこさんといった超有名シナリオライターが関係していること、でした。
この方々が組んで作品を作る・・・この事に対して期待しないなんて私にはできません。
キャラクターデザインをシナリオライターが・・・という疑問は一瞬頭を過りましたが、「凄い人達なんだから、きっと何でも出来るんだろうな」と極めて楽観的な考えの下、期待値MAXで視聴に臨みました。

物語の舞台は、ニル・カムイという2つの大きな国に挟まれた小さな島国です。
その片一方の国である黄爛(こうらん)が突如ニル・カムイに侵略を開始し、領土の3割を奪取したのです。もう一方の国ドナティア帝国は沈黙を続けたことからニル・カムイは混乱の渦中に引き込まれることを余儀なくされてしまいます。

また、それぞれの国には守り神である竜が存在し、ニル・カムイは赤の竜の加護を受けているのですが、その赤の竜が突如原因不明の錯乱状態に陥った事から事態は混沌さを増していくのです。
そこで事態を重く見たニル・カムイを含む近隣諸国は「赤の竜討伐隊」を結成し、物語が動いていきます。

ダークファンタジー的世界観とキャラデザは好みだったので、1話目からのめり込んでしまいました^^;
特に主人公のイブキの力を引き出すための対価はあまりにも大きく掴みはバッチリ・・・
と思ったのですが、視聴を重ねるうちに物語が難解になったと感じたのは私だけでしょうか^^;?

赤の竜討伐という主題は明確・・・でもその裏で蠢く策略に対する説明が圧倒的に少ないんです。
そのため、登場するキャラの言動が唐突だったり理解できなかったり、という場面が結構あったのが少し残念に感じました。

視聴を重ねると愛着の沸くキャラが当然出てきます。今後の活躍や展開を期待したくなるキャラだっているのに、そんなキャラが意味も分からず突然ドンパチ・・・
それで推しのキャラが無事だったらまだしも、傷つくような事があるとやっぱり心が痛みます。

なぜここまで物語が難解なのか・・・どうしても知りたくなってwikiを調べてみました。
この作品の原作は、「テーブルトークRPG」というジャンルに位置付けられているそうです。
これは実際にゲームを遊び、その後その状況を記録したもの、という事のようです。
そして、キャラクター原案は実際にそのキャラを用いてプレイした方々だったようです。
つまり、虚淵さんや那須さんがプレイヤーとして遊んだ記録がアニメ化された作品という事になるようです。

作品の起点は実際にプレイしたゲームの記録でも全然構わないと思います。ただ展開に振り落とされないような説明はもう少し欲しかったのが本音です。それでもラストは綺麗に纏めてくれていたと思います。

ストーリーが難解でも目の前で起こっている出来事は十分見ごたえがあります。
沢城さん演じるエィハ・・・その一貫して一途な姿勢はとても好印象でした。ラストの展開も悪くなかったと思います^^
愛美さん演じるウルリーカ・・・密かに推しのキャラだっただけに色々と複雑です^^;
内田さん演じる婁震華(ロー・チェンファ)・・・私にとって一番行動原理の説明を欲っするキャラでした。これからどの様な道を彼女が歩むのかが気になります^^

オープニングテーマは、昆夏美さんの「ISOtone」
エンディングテーマは、エィハ、婁、メリルの「Delta Decision」
どちらの曲も無茶苦茶格好良い曲でした。どちらも好きですが、エンディングは完全に私のツボに入った曲でした。

1クール12話の作品でした。途中の展開に付いていけなかったのは残念でしたが、もう一度視聴して内容が頭に入ると作品に対する印象も変わって来るような気がします。
物語的には次期への布石も見られましたが・・・どうなるんでしょうね^^?

投稿 : 2024/04/20
♥ : 17

Yuyu さんの感想・評価

★★☆☆☆ 1.6

ここまでツマラナイなんて

豪華脚本陣って言うから期待したけど……。

これ、本当に売れると思ったの?頭悪いの?

映像作品なのに、キャラの顔一緒って気持ち悪いと思えないの?
はい、こいつら死ぬ予定です。殺しますって最初から言われて感情移入できると、本気で思ってたの?本当に豪華脚本家?小学生でも分かると思うのだけど……。せめて、キャラ立てしようよ。

キャラに愛情ないでしょ。
キャラに時間取らないくせに、やけにストーリー進行とろいし……。バカなの?

戦闘シーンまで、つまらないなんて……。何を観るアニメなの?

曲もパッとしない。

Aパート終わりの、あの長ったるい用語の説明文はなに?巨人のパクリ?
まったく世界観に興味が持てない作品で、それやると痛いだけなのに気づけないの?

投稿 : 2024/04/20
♥ : 7

72.8 4 友達でトラウマなアニメランキング4位
ひげを剃る。そして女子高生を拾う。(TVアニメ動画)

2021年春アニメ
★★★★☆ 3.4 (489)
1480人が棚に入れました
片思いした相手にバッサリ振られ、ヤケ酒をした帰り道、26歳のサラリーマン・吉田は路上に座り込む女子高生・沙優と出会った。べろべろに酔った吉田は、前後不覚のまま行き場のない沙優を一晩泊める。…翌朝、ふわりと美味しそうな香りに目覚めると、食卓には味噌汁が。「おはよう」「なんだお前!!なんでJKが俺ん家に!」「泊めてって言ったら泊めてくれたじゃん」「…味噌汁」「昨日“毎日味噌汁を作ってくれ~”って」「ハァ!?絶対言わねェ!!」家出をして行き場のない沙優を追い出すわけにもいかず、吉田は家事を条件に彼女の同居を認めることに…。こうして、家出女子高生とサラリーマンの微妙な距離がもどかしくもあたたかい、不思議な同居生活が始まった―。
ネタバレ

シン☆ジ さんの感想・評価

★★★★★ 4.4

ヤバいこれ。。とてもセンシティブでハートフルな家出少女の物語 

 
さて・・何から書いたものか。。

まず、センシティブな内容であろう事は予想してました。

ちなみに、センシティブとは・・・
(作品と直接関係ないので畳みます)
~▼{netabare}
直訳 :繊細な、敏感な
使い方:扱いに慎重さを要するコンテンツなどを形容
Twitterでの定義:
 ・写実的な暴力表現
 ・成人向けコンテンツ
 ・強姦及び性的暴行に関するコンテンツ
 ・グロテスクなコンテンツ
 ・ヘイト表現を伴う画像
{/netabare}▲~

この作品、賛否あるようですね・・
同じものを見るのでも食べるのでも、好みや観点が異なれば、評価や好き嫌いが分かれるのは当たり前ではありますが、この作品については極端な傾向があるように思います。きっと、センシティブな部分や犯罪誘導的な側面など、人によって受け入れ難いツボを含んでいるのかな、と思います。
自分は、物語としては肯定的です。

最初に作品タイトルを見て思い出しました・・
昔、家出少女が宿探しするための掲示板があるのを知り、驚いたことを。
(個人的な回想なので畳みます)
~▼{netabare}
もっとも、当時は法に触れる行為とは知らず、いい思いをする輩がいるんだ的な感覚だったと思います・・
この問題の本質、保護すべき対象を見失っていました。大いに反省しなければなりません。無知にも程がありますね。
{/netabare}▲~
今ではさすがに犯罪行為であることは承知しています。
最近ではSNSを使うんですね・・益々発覚しにくくなりゆゆしき状況かと。

そんな訳で、自分にとっては非常に興味深い題材でした。

 略称:ひげひろ
 原作:KADOKAWA系の投稿小説
 制作:Project No9
 放送:2021年春
 視聴:2021年夏 Hulu

=視聴前=

家出少女を拾う?警察に届けんとあかんでしょ・・・
お金を渡してネカフェに泊まらせるとかでもいいし。
しかるべきところに相談してもいいし。
ま、それじゃ物語にならんだろうけど。
文学性や話題性を考えれば、発想は悪くないかな。
ま、ゲスな内容じゃなければだけど。

=視聴中=

ヒロインのキャラは、めっちゃ、ストライク。
カバネリの無名に似ているような。。
妹属性も娘属性も恋人属性も感じる、稀有なケース。
声もいい。高めの声を想像してたので、最初は落ち着いた感じの声に違和感ありましたが・・好きな声優さんなので更にさらにテンションはアップw
北海道出身なら「サイカノ」みたいに「~でしょや」を使って欲しかった。。

~▼{netabare}
cv市ノ瀬加那さんはダリフラのイチゴが印象的でした。
今回のキャラは「色づく世界~」のあさぎにも似てる感じですね。
ヒロインは初かな?ようやくですね。おめでとう!

初見で惚れたと言ってもいいくらいヒロインを気に入ってしまいました。
チョロくてすみませんが、もう感情移入しまくりです。
きっとこんなコ泊めたら・・自主規制は無理でしょうね。

そんなお気に入りのヒロインが放つ、衝撃的なセリフが胸に刺さる・・
(かなりセンシティブなのでさらに畳みます)
~▼▼{netabare}
『やらせてあげるから泊めて』
『ね、やらなくていいの?』
『え?普通にやるけど』
『今までの人は・・私とHしたがったよ』
『色んな男の人の家を渡り歩いてきました・・カラダを使って』
『数日の宿のために簡単にカラダを許してました』
『男性から求められる事に少しだけ喜びを覚えるようになったり』
『前にあの人とやったの。何度も。何度も。いっぱい、いっぱいしたの』
『初めての相手の名前も覚えてない』
『一度受け入れたら後はその繰り返し』

頑張ってるなあ・・ベッドシーンまで・・
でも静止画で良かったマジで。

しかし数日で捨てられて半年間ってことは、いったい何人と・・
憧れのヒロインが意に反して寝取られる、この感覚・・

くやしさ・・?
いくら同意であるとはいえ・・
そうせざるを得ない状況に追いやった大人たちや環境がやるせない。
そういう思いは吉田に共感。

でも・・
ぶっちゃけ、こんなS級美少女と毎日・・そんな状況に妬ましさすら覚えて・・
{/netabare}▲▲~

うぐ・・これはキツい。胸が・・胃が・・ココロが・・
くるしい・・
せつない・・

●キャスト
後輩の三島ユズハ・・どんなキャラ。
イケイケかと思えば一歩引くとか。。
cv石原夏織さんは主役級もそれなりにやってますが「色づく世界~」では市ノ瀬さんと共演してましたね。
今回ED曲も担当。カラオケでの泣きシーンはグッときました。。
ユニット解散は・・触れない方がいいかな(触れとるやん)
その後のご活躍、なによりです。

上司の後藤さん・・なんてキャラww
好きな男に告られて引き延ばすとか、こんな美人で未経験とか。
(ユズハの「後藤さんはブキミです」が言い得て妙w)

バイト先の井口・・憎いけど・・でも・・いややっぱ憎い。
サユはお金なくてあまり遠くに行けないだろうから、過去の男とバッタリなんてこともあるんじゃ?とツッコもうと思ってたらすぐ出てきた。
ヤサ男なワリに「バラされたくなければ・・」でカラダを条件としないところとか変にズレてる・・というか作者の良心?

ヒロインの親友、結子・・また石見舞菜香さんとお会いできました。
泣きのセリフはもうなんとも。。(フルバを観たばかりだもんで)

●展開
花火回、フラグでなく無事に終わってホッとした・・アニメの観過ぎかな。。

終盤、風呂敷の畳み方が気になったけど、北海道について行ったこと、良識的なところに着地したことは良かった。

ただ母親を説得するくだりは、山場のワリに期待ほど盛り上がらず。
セリフがあまり響かず。
特に母親の猛省を促せずモヤモヤ。

吉田、後藤さんをフッたんかい。。サヤを待ってんじゃん。

そして高校を卒業したサヤが電柱の下に・・うぐぅ

でもさ、「今度はあなたの家に泊めてよ❤」・・・
コレはないでしょや。。
無理やりこれ差し込んだ感が満載。
{/netabare}▲~

終盤はちょっと意外性に欠けたけど、いい終幕だったかと。
(まさかEDで視聴終了してないですよねw)

友人たちが本当にいい人。
(犯罪加担者とのご意見はごもっともですがw)

展開や演出も意外とハートフル。
声や演技も相まって胸に刺さりました。。


=視聴後=

やはりセンシティブではあったかと・・

性欲というものは、古今東西、良くも悪くも歴史や社会や文化に影響を及ぼしてきたワケですが・・理屈だけでは語れない、欲情も含めた人情をうまく描いたように思います。(チョロいと言われればそれまでですが)

「下半身だけは別人」とか、「女は子宮で考える」などの言葉があるように、地位や知識や見た目がしっかりした人でも、色欲が絡むと人が変わるなんて事もあるのが世の中。
~▼{netabare}
どう考えても、サユをそのまま街に解き放つのは、自分の中ではあり得ません。

連れ帰ってしまったら・・手を出してしまい、捕まるかも。
でもサユをスルーorリリースしたら・・助けられなかったことや、矢口のような輩にいいようにされてしまうことをモンモンと考え、一生後悔するでしょう。それよりは捕まるリスクを賭してでも保護した方がいい。
そうですね・・サユのためというより自分のためかも。

でもそれは、あくまでサユの場合。
可愛いからというのももちろんあるけど、立ち直る可能性を大いに持っている。可哀想と思った時点でブレーキは効かないかも。

あ・・これはあくまで物語上の妄想ですのであしからずw
実際には、サユのような家出少女との遭遇はまず起こり得ないでしょう。
起こってしまったら?ワタシヨクワカリマセン。

てか、この物語通りの展開になったら後藤さんを選ぶかもw
でも、もし後藤さんにOKしていたら電柱の下でのラストシーンは・・
後藤ルートはなしですねw
{/netabare}▲~

いや~筆が止まらないですね。
色んな考察、妄想など全て書いたらキリがないw

これ、ただゲスな物語ではなかったですね。

それどころか、色々考えさせられるし、楽しさもある。
胸をギュッと掴まれるような切なさ、やるせなさもあるけど、
繊細な問題を重くなり過ぎずに絶妙なバランスにして慎重に物語を紡いでいる感じがします。。

う~ん・・なんか褒めすぎ?w
少なくとも冷静に観られなかったのは確かですね。

いい話じゃないですか。


それでも、やはり・・

■言いたいこと
作り話であることは重々承知。
けど吐き出さないと精神衛生上よくないのでw
~▼{netabare}
<さゆ>
 親とうまく行かないだけで生活投げやり・・ってどうよ(設定的に)。JKを拾ったらデメリットしかない?なにそのズレ感。拾った方は超ラッキー感覚だと思うが。女性にも性欲があるのはわかるけど自分を安く見過ぎでしょや。
 衝動的に家を出るのはわかるけど・・いい家のお嬢様で頭良くてこんなにカワイイのに体を使ってまで放浪続けるやつがあるかー!しかも優しいお兄さんが支援してくれてるのに絶望感て。。担任はなにしてる!(ちなみにここで北海道の実際のいじめ事件のニュースが。。)
 母親への説明でサユ「本当は自分のしてる事がイヤでイヤでたまらなかった」。きっと・・サユは、少しは相手を選んで泊まっていたんだよね?育ちはいいワケだし根っからのビッチでもないし頭も悪くないから。そうだ、そうに違いない。精神衛生上、そう思うことにしよう。。
<吉田>
 えらい。本当にサユがキミに出会えたのはまさに僥倖(ぎょうこう=偶然に得る幸福)。サユファンとしては手を出さなかったのもエライけど(ある意味、揶揄)、何よりサユを立ち直らせてくれたことは大賞賛、大感謝。
しかも犯罪行為であることを知り、危険を賭してまで。
 これが、初めからサユに魅力を感じて鉄の意志で手を出さなかったという設定だったら、どうだろう・・ギャグアニメになるかw
<結子>
 親友の前で飛び降りるってなに・・抗議や腹いせのために恨む人の目の前で、が普通じゃないかな。ここは特に設定上の無理やり感が否めなかった。
<いじめ>
 またそれ・・フルバ視聴直後なので食傷気味。
<必要とされてるのが嬉しい>
 またこれ・・もうさ、その辺のメンタル面、つまり、「アナタは生まれて来て良かったんだよ」とか、「存在していいんだよ」とかを、義務教育内でしっかり植え付けた方がいいんじゃないかな!(大真面目)
<サユの母親>
 手を上げちゃダメでしょや。。と言っても通じないんだろうな。その歪んだ性格、ヒステリー、一体あんたナニを失ったん。言わなきゃわかんないでしょや。んでもって「親はあんたしかいない」の一言だけで改心?薄いわー。バカなの?
 ま、サユの家出のきっかけだから中途半端な嫌われ役にはできないのはわかるけど。悪役ごくろうさん。
{/netabare}▲~

子供を愛せない実の親ってよく見る設定だけど、実際にもあるみたいですね。
なんだかやるせないです。親やその関係者によるDVや性犯罪も絵空事ではない現実で、感受性が強く精神的に未熟な未成年は逃げ出すのも一つの解決策であるべきですが、その最良の方法は家出ではないはず。。

■家出について(作品とは関係ない実社会の話)
(説教くさいので畳みます)
~▼{netabare}
作中でも触れてますが現実では主人公の行為は犯罪です。
羨ましいとかいい出会いだったとかいうのは、現実の世界に持ち込んではいけません。
でも、現実でも家出があるのは事実・・
つまり、それを救う必要があるのも事実。

物語としては吉田は結果的に人を救い、褒められてしかるべきと思います。
でも現実ではそんな人間がめったにいないことも、そんな人間と会える僥倖が見込めないことも、真実。

児童センターがあるように青少年の相談先もちゃんとあります。

<家出のデータ>
10代の家庭を原因とする行方不明届者はH29年で約1.5万人とのこと。
行方不明者全体の男女比から推察すると、その内女性は4500人程?
さらにその内可愛い女性は適当に見積もって1000人位?
(とある調査では自分を可愛いと思う10代女性は4割らしい)
まあ、可愛い家出少女自体は実際存在するだろう事は想像に固くないかと。

いえね・・主人公を見習いましょうとか言うつもりではないです。
むしろその逆です。
こういう娘たちを狙う輩は、実際いるんでしょうねって話です。
{/netabare}▲~

ヒロインのような娘はそれなりにいそう。
けど、主人公のような人は、めったにいないでしょう。
まして、実際には善意であっても犯罪。

で、保護対象を守る方法は既に用意されている。
ならば広く周知し運用しましょうよって話です。

大人も子供もそれを広く知っていれば、一人でもその悲劇を減らすことができるのではないかと。

この作品を機に、そういった機運が高まって欲しいものです。。

<知識として>
■16歳少女を家に泊めて逮捕・・・「善意」でも犯罪なの?
http://news.line.me/issue/oa-bengo4com/qy4h1cjnubfm

■本人の同意があっても「未成年者略取」になる? 誘拐との違いを解説
https://shinjuku.vbest.jp/columns/criminal/g_other/4472/

■都道府県警察の少年相談窓口
https://www.npa.go.jp/bureau/safetylife/syonen/soudan.html

■厚労省、児童相談所虐待対応ダイヤル。
「いちはやく」=189(キャッチさんありがとう)

=最後に=
物語では、石川五右衛門のように犯罪者がヒーローたり得ないなんてことはないかと。

でも、現実社会ではいくら家出娘が可愛くても可哀想でも連れ帰っちゃダメ。寄り添い、相談に乗ってあげましょう。惚れたんなら立ち直ってから恋愛すればいい。家族が守ってくれないなら、社会で守る。そんな世界であってほしいですね。

なんだか熱くなってしまいました・・
それほど、自分にとって心に残る作品となりました。

【追記】
1点、視点を忘れていました。
『この作品は、家出少女の家出ハードルを下げる』のではないか・・
正直、そう思います。だから、最後のテロップはあり得ない。
ラブコメだからって「てへ」では許されない。
そこはちゃんと、大人として189紹介などのメッセージを出すべきでした。少なくともR指定はすべきかと思います。
 

投稿 : 2024/04/20
♥ : 31
ネタバレ

ぺー さんの感想・評価

★★★★★ 4.1

拾うか?届けるか?正直悩む

原作未読

物か人かで事情が変わるのよね。

『ひげを剃る。そして女子高生を拾う。』

指摘するまでもなく釣りタイトルでしょう。そしてパクっと釣られる私。
セクシャルな要素入れ込むとわりと賛否別れるのよね。そんな作品です。

神待ち女子高生荻原沙優(CV市ノ瀬加那)を26歳IT企業勤務の吉田(CV興津和幸)が酔った帰りに拾う出だし。そこからの同居生活すったもんだを描くラブコメ。
沙優役一ノ瀬さんのこれまでって、気弱さの中に芯がある配役が多い印象でややビブラートかかり気味な発声が好みの役者さんです。『色づく世界の明日から』あさぎ役と『キャロル&チューズディ』チューズディ役の人って感じ。大事に育てられてるお嬢さん、決してお姉さんにはなれない声です。
それがトーンそのままなのに設定はもろセクシャル。このギャップでおなか一杯になる変態は私だけでしょうか。とどのつまり

 それ(市ノ瀬姐さん熱演)だけでよくね?

と釣られたまま完走です。異論は受け付けます。

そして本題。

 おー未成年略取か…そうかそうか

犯罪の匂いどころかこれあかんやつです。保護するでも児相ならOKで一個人ならNGな法律の建て付け。結局、ここでリリースしたらこの子にとってあかん!と吉田が思ったわけで古き良き昭和のお節介みたいなもんでしょう。それを良しとするか否か。
基本的に家出娘なんて頭のネジぶっ飛んでたりするもんなのに、けっこうな常識人に見えるところがむしろリアリティに欠けるのでツッコミどころはそこでした。設定そのものが許容範囲の内か外かで出だしの評価は分かれるでしょう。

私はわりと寛容的です。
法律を守るのは前提。さりとて現状に則してない法律がわんさかあるのはどこの法治国家だって一緒。近々のコロナでは、ロックダウンして私権制限しようにも法律がその建て付けになってないし、それゆえ制限と引き換えの補償も根拠薄弱で運用でカバー。法の整備を待たずに「主権制限しろ!」と主張してる方々と吉田の行為との根っこは同じ。「現状を良くするための具体的な方策はこれ」という意識なんだと思います。良し悪しは別としてですよ(笑)

 見ず知らずの他人に手を差し伸べるか否か

ぶっ壊れそうな娘を放り出せるか?って自問したのでしょう。
この最初のハードルをクリアできればそれなりに楽しめるんじゃないでしょうか。“違法行為”に目くじら立てるよか“違法行為しちゃう心の動き”に焦点を当てたい。そこはまずまず。拾う動機はわかるんだけど吉田は拾うにあたってもっと葛藤して良い。

その上でセクシャルなの取り扱う作品っておおむね3択だと思います。

1.『D×D』や『エグゼロス』みたいなアニメらしい能天気なやつ
2.とりあえずおまえら○○見たいんだろ?なあからさまなやつ(僧侶枠あたり)
3.山本直樹的な文芸作品(希少)

意外や意外。3.の雰囲気を感じました。全体の展開は中途半端な箇所も散見されますが時折光る部分があるんですよね~。私好きですよ。
1クールでスッキリまとめてラブコメらしい帰着をしており、手の出しやすい良作だと思います。
主人公が娘に出を出すかどうかは見てのお楽しみではあります。



※ネタバレ所感

■その時折光るやつ

・{netabare}バイト先で沙優と再会した矢口くんの一挙手一投足

 ややモブ的立ち位置な彼。これ普通のアニメなら嫌な役回りのキャラにしてお終いでしたよ。そうはなってません。登場からフェードアウトしてくまでの一連の所作が腑に落ちる感じがするのは私だけでしょうか…{/netabare}

・{netabare}自殺しちゃった娘と沙優との関係

 沙優の何もできない感じと自責の念とで堕ちていく感覚はわかるよね。{/netabare}


あっ!でも…
 {netabare}社内でマルチタスクする気にはなりません。こっちが真のリスクかと。{/netabare}



視聴時期:2021年4月~2021年6月 リアタイ

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2021.07.03 初稿
2022.05.28 修正

投稿 : 2024/04/20
♥ : 49

さんの感想・評価

★☆☆☆☆ 1.0

同居の家出少女に誘惑されても手をださない俺SUGEEE

風俗嬢に説教する親父みたいな主人公

善人なら警察に通報または保護してもらうと思うがこいつはなぜか手元に置く 無意識な偽善で尚更たちが悪い
さも倫理観があるっぽく振る舞い、清廉潔白ぶってるけど未成年泊めてる時点で倫理もクソもないしその状態で手をださない俺SUGEEEEEしてよいしょしようとしても好感度が上がる訳がない

魅力のないゲロカスがなぜかもててハーレム形成するというキャラに人間味無しの中身薄っぺらいアニメ

普段こういう妄想をしてる人なら楽しめるんじゃないかな^^

投稿 : 2024/04/20
♥ : 11

75.8 5 友達でトラウマなアニメランキング5位
フルーツバスケット [トムス・エンタテインメント版](TVアニメ動画)

2019年春アニメ
★★★★☆ 3.7 (342)
1405人が棚に入れました
高校生の本田 透は、唯一の家族だった母親を亡くしてから一人でテント暮らしをしていた。ところが、テントを張ったその場所は由緒正しい『草摩家』の敷地内だった!草摩紫呉に家事の腕を買われた透は、学校の王子様的存在の草摩由希、そして由希を敵視する草摩 夾と一緒に住むことに。しかし、透はまだ知らない。『草摩家』が何百年も前から忌まわしき呪いに縛られていることを……。

声優・キャラクター
石見舞菜香、島﨑信長、内田雄馬、中村悠一、釘宮理恵、潘めぐみ、興津和幸、古川慎、櫻井孝宏、坂本真綾、種﨑敦美、佐藤聡美、沢城みゆき
ネタバレ

ぺー さんの感想・評価

★★★★☆ 3.6

全63話お付き合いする所存です

2019.08.11記 ※1~18話までの途中感想


{netabare}原作未読 前のアニメも未視聴


視聴動機は話題作に食いついてみましたってところです。それとアラサー+-10歳くらいの女性との雑談ネタになるかもねくらいで。

事前情報はこれくらい。
1.原作の少女漫画はイケてるらしい
2.2001年アニメもイケてたらしい
3.全63話予定。今回放送分は25話を予定しているらしい

超人気漫画。前回アニメでは連載途中だったこともあり途中までだったのをスタッフ・キャスト一新して最後までやることになりました。
1.2.に関しては私の場合比較する対象がないですし、原作者の高屋奈月先生が下記のように仰られてもおりますしフラットな姿勢で。


「すべて新しいメンバーで作ってください。です。すべて。すべてをです。閉じた幕をもう一度開けたいというのならば、新しく、新しいすべてで世界を再構築してくださいと」
「前作へのリスペクトを忘れる事なく、その上で、一人でも多くの方に新たな思い入れを抱いてもらえるような作品を構築していってくださることを願っております」


3.に関してがポイントでして、長編確定している作品への視聴態度。5クール目安で第一弾は2クールであり、その後間をあけて3クール。その3クールも分割する可能性が高いでしょう。
冗長さや話に動きがない時間帯も出てくることを織り込んでいく必要があります。
普段の1クール2クールとは勝手が違うこととはつまり、具体的に1クールものでラスト3話で話が動きだすとした場合に、極端に言えば今回は40話くらいまで起伏がないかもしれないのを受け入れることと同義になります。

切り取りと違って原作丸々アニメ化するプレッシャーで製作陣が下手なことできないだろうよ、という意味での期待はあります。それに、

 だって原作面白いんでしょ?

見切るとしてもタイミングはかなり後方にずらす前提で視聴することにしました。



内容です。あらすじは省略。

こ、これは…継続して良いんじゃないでしょうか。
悪いとこ先に言っとくと、ヒロイン本田透(CV石見舞菜香)の無自覚な善意の押し売りがどうにも受けつけません。はい。苦手なタイプのキャラ設定です。
周囲が性善説で動く人間ばかりでないと成り立たない(生きていけない)キャラには現実感がないのです。

言ってしまえばそれくらい。あ、あとたまに挟むギャグが笑えない。
物語と割り切ってしまえば透くんが存在し得る社会は優しさに包まれたユートピアであるともとれて、現実に無いからこそ没入できる側面もあるんだと思います。
それに現実感のないことには作中でしっかり触れてあり良い意味で作為的なキャラ設定なのだと思います(たぶん)。
 {netabare}※草摩紅葉(CV潘めぐみ)が優しすぎて最後は死んじゃう子の逸話を披露してました(第11話)。単にウケるからではなくてストーリーに透くんの性格を組み込んでいるんだろうと察することができます。{/netabare}


そして案の定、少なくとも自分にとっては起伏に乏しい展開が続いております。はじめに全63話と聞いてたから耐えてる感あり。拠りどころとしてるのは


・淡い印象のOPから一転、第14話からのアップテンポなOPへ。長丁場だからこそこういった目先の変え方は好感。大塚愛のチョイスも2000年代前半を想起させ良いと思う。
・核である十二支全部揃ってないが着実に増やし、ゆっくりとキャラ掘り下げをしている。
・十二支外の透の親友も掘り下げを行っている{netabare}(第16~17話のうおちゃん回とか・・・ついでに透おかんもです)。{/netabare}。
 ※魚谷ありさ(CV種崎敦美)と花島咲(CV佐藤聡美)の声優さんのお名前も今しがた(注:2019年8月)感慨深いのもありますね。
・垣間見える草摩(そうま)家の闇。
  {netabare}第7話:草摩はとり(CV興津和幸)の悲恋話。第14話:紅葉の出生話。{/netabare}
 ※草摩あきと(CV坂本真綾)の黒幕感が今のところ凄い。


今後もどこかで草摩家(最低でも13名)、親友2名、透とおかんで2名にスポットは当たるわけでして、そんな多人数での相関に変化を加えてきた時の気持ちよさは期待できそうです。

 だって原作面白いんでしょ?


今のところ18話まで観終わっており、クールが終わる頃にまたまとめたいと思います。それでは!{/netabare}



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2019.09.24 視聴後追記


{netabare}残り7話で正直微妙だったところをぐーっと底上げして前半終了しました。
透くんがなんかすごそうな人に見えてきたのです。これは、花島咲エピソードと草摩夾エピソードによるところが大きいです。

断念理由にも成り得た本田透くん♀の性格がまんざらでもないかも…と思える好展開で前半ハーフタイムに突入できるのはありがたいことです。
見切りのタイミングをだいぶ後ろずらしにした判断がおそらく間違ってなかったのだろうと確信に近いものを得られました。

そうなると後半も引き続き、迷いなく視聴継続です。


もし、序盤で躓きそうになって、私と同じ透くん起因の理由でしたら少しこのことを気に留めて貰えるとよろしいかもしれません。
全63話です。原作も前作も未体験で結末は知る由もありませんが、たぶん大丈夫だろうと思えたのが25話終了時点と普段と比較したら異例ではありますがそうなんです。

長編は面白いもんですね。そんなことも楽しみながら後半を待ちたいと思います。{/netabare}



視聴時期:2019年4月~9月 リアタイ視聴

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2019.08.11 初稿
2019.09.24 完走後追記
2020.04.10 修正
2022.06.04 修正

投稿 : 2024/04/20
♥ : 51
ネタバレ

ねごしエイタ さんの感想・評価

★★★★★ 4.1

以前放送されたフルーツバスケットは一体?

 学校行っていたころ見ていた「フルーツバスケット」が、リメイクされたです。あのころの本田透の声優さんは、羽川翼や今だと、白猫プロジェクトのアイリスとか当てているほっちゃんだったです。このレビュの時点で、18年たったのだろうか?です。声優陣、OP、ED、主題歌も一新されていたです。

 とある事情で、テント暮らしをしていた本田透が、しぐれ、クラスメイトのゆきと暮らすことから始まる、日常のお話です。

 しぐれ、ゆき、きょうと十二支の生き物変身能力を持った個性的な草摩家の面々とも関わることになる展開も楽しかったり、意味ありげだったり、など様々です。
 友人のヤンキーなうおちゃん、どこか不思議な花ちゃんとのやり取りも面白いです。うおちゃんの家や、うおちゃんの弟を初めて見た気もするです。

 どこか天然で、ドジなところもある透のキャラがどことなく好感が、持てたりもするです。母親との思い出エピソード、また、友人を思いやる心の声や、しぐさも良いです。

 以前放送された「フルーツバスケット」よりも、どこか違うキャラ、雰囲気?がかわらずとも新鮮さを感じたです。見たことあるお話も、同じようでどこか雰囲気違うか?な感じもしなくもなかったです。

 私の記憶が確かならば、以前のフルバでは、草摩家の当主アキトが存在感が最終回にもあって、透たちが乗り込んで、アキトが暴れそうなったのをしぐれ、ゆき、きょうたちが止めた覚えがあったです。
 今回は、アキトが小出しに出てきた感じな印象で、あれでもまだおとなしい感じだったです。

 また今回では、最終回も含めて記憶にない展開もあり、{netabare}平穏に終わるかと思いきや、「1st season 終幕」という直前で新キャラも登場し、十二支の呪いの謎について今後何かあるという含みを持たせたところが、{/netabare}「私、気になります!」だったです。

投稿 : 2024/04/20
♥ : 14

ato00 さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

リメイク版としては完璧だけど・・・

もうずいぶん前だなあ、リメーク元アニメを観たのは。
内容はほぼ忘れたけれど、感動して高評価したのは覚えています。
特に主題歌の「Forフルーツバスケット」。
ゆっくり流れるメロディーが、このアニメに独特の味わいを与えていました。

リメイク版の本作は原作最後まで描かるということでワクワクしていました。
結論を先に言うと、私の評価はそれほど高くありません。
二度目の慣れか?私が変わったためか?
元作を再視聴し比べればいいのですが、そんな気力もなく・・・
でも少なくとも、主題歌ロスがその原因のひとつだったことは確かです。

ヒロイン本田透が天涯孤独&宿なしで始まる物語。
どういうわけか、呪われし草摩一族の一員に。
ひたすら真っすぐ純真で前向きな透に影響力され、周りが変わっていくという話。

人は誰しも闇を持っているもの。
それを乗り越えるには?
そんなことを考えながら観ていました。
理想と現実とか。
自分ではどうしようもない持って生まれたものとか。
宿命を背負って、いかに前に進むかとか。
現実における自分と他者との関りを考えれば、理解できるかもしれません。

1st seasonは元作と同じところまで。
2nd seasonは新たなストーリーに踏み出します。
多分きっと、これからが本番。
2nd seasonは期待せず、平常心で視聴しよう。

投稿 : 2024/04/20
♥ : 23

71.9 6 友達でトラウマなアニメランキング6位
ワンダーエッグ・プライオリティ(TVアニメ動画)

2021年冬アニメ
★★★★☆ 3.6 (313)
1001人が棚に入れました
「高校教師」「家なき子」「高嶺の花」ほか話題のドラマを多く世に送り出した、脚本家・野島伸司さんが初めてアニメ作品の原案・脚本を手掛けるオリジナルアニメーション。監督は「22/7 あの日の彼女たち」キャラクターPV、「僕はロボットごしの君に恋をする」アニメーションPVの監督他、数多くのアニメ作品に携わる気鋭の演出家・若林信さん、アニメーション制作は「空の青さを知る人よ」「約束のネバーランド」などのCloverWorksが手がける。2021年1月より日本テレビほかにて放送予定だ。

声優・キャラクター
相川奏多、楠木ともり、斉藤朱夏、矢野妃菜喜

takato さんの感想・評価

★★★★★ 4.2

残念ながら「まどか」や「ウテナ」にはなれないかな…。作画は最高だけに勿体ない。

 最初の5分ぐらいでこのアニメは半端ない…ってわかるクオリティー。やはりキャラクターデザインと総作監が一緒な作品はレベル高い。内容は野島脚本らしい痛みがある話を、イクニさん的な象徴的な物語として描く感じかな。最近あんまりないタイプの作品なので期待大。


2話になっても作画は緩まず!。というか、戦闘シーンの作画も凄いし、背景との調和も見事。そして物語の流れを上手に作る演出があるからこそそれらが活きている。クライマックスで表情をあえて隠すとかわかってるぅ〜。opedのセンスも良い。


 ほんまに作画すげぇ…。単に端正なだけじゃなくイマジネーション爆発の勢いとオリジナリティーあるセンスが半端じゃない。本作で連想するのは個人的にはやはりウテナである。


 象徴的なテーマ性、人間のダークさが活きているストーリーの味わい深さ。それでいてエンタメな要素もしっかりしていてゲーム的な独特のバトル、美しくて立っている一筋縄じゃないかないキャラといった甘味もしっかりしてバランスを取っている。なにより不穏なエロスの予感が匂っているのが近年なくて良い。


 3話まで来ての予感だが、真ん中あたりで「まどか」における魔女システム判明みたいになってうぁ…ってなるか、小糸ちゃんの真意がわかって絶望のズンドコ展開になりそう。最近は低反発枕な作品が多すぎて食傷気味だったが、やはりハードもないとね。


 10話まで見て、残念ながら序盤に予感された広がりには至らない感じかな。SFとして割と小さくまとめちゃいそうだし、「まどか」の脚本の緊密さや、「ウテナ」のヤバさや象徴性の深淵さには至らないかな。


 今回の話を5、6話、遅くても8話くらいにやらないともう時間がない感じかな。総集編も一回挟んじゃったし。まぁ、今回は第一弾としてこの方向性でオリジナル作品をもっと突き詰めてくれるなら大歓迎である。


 

投稿 : 2024/04/20
♥ : 25
ネタバレ

take_0(ゼロ) さんの感想・評価

★★★★★ 4.3

普遍的な名作になり得たかもしれないのに・・・。

タイトルのとおり、普遍的な名作となり得るスペックと可能性を秘めた作品と感じた。
が、最終的にアリはアリだが、もう少し深掘りできた可能性を活かせなかった印象。
ただ、それでも全体的な雰囲気と作品のスペック自体は相当高い。

私は、相変わらず某アベマなTVでまとめて放送されたものを視聴しての感想なのだけれども、
この作品、とある方のyoutubeを拝見すると、最終話の放送回を遅らせて、特別編として放送する旨を告知の上、実際に特別編が放送されたとのことだ。
で、そのお方も仰ってられたように「なんで延長した最終回の半分を振り返り回にしたんだよ」との印象は私も持った。
とてももったいない時間の使い方と感じた。
その30分があれば、もっと物語を深掘りできただろうに・・・と言う意味でだ。

以下、今から、オッサンがネタバレの要素と自身の妄想も含めたきもい表現をします。
{netabare}
この物語、ある意味非常にデリケートでセンシティブな話題「自○」と言うものをキーとしているポイントがある。しかも、対象となっているのはいわゆる「少女」たち、そしてその自○の原因として描かれる理由もまた、様々(物語的には、本当の「理由」があるとされるが)。
この自○の理由となるエピソードも、この現代では望ましい事ではないが、確実に存在し、これもまたセンシティブでデリケートで胸糞悪いものだ。

さらにメインの主人公たちもまた、いわゆるところの「少女」たち。
この少女たちが、自身の現状に悩みながら、さらには戦う理由にも迷いながら、それでも自分の生き返らせたい人の為に、どこかの魔法少女のように戦いに巻き込まれていき、さらには、昨今流行りのAIネタまで登場してくる。

これらを物語の流れの中で「ワンダーエッグ」をキーツールとして繋げていく。
この多彩な要素を含む物語を終盤までは、いや、一応最終盤までも何とかまとめていたのは大したものだと思う。
途中までは「これどうまとめるんだ?話数足りるのか?映画でもつくんのか?」と本気で思っていたくらいだし、私的に。

そもそも、これらのセンセーショナルなワードを多く含み、その主人公たちが「少女」となれば、丁寧につくれば大抵の場合興味をそそる物語にはできると思う。
男女平等、ジェンダーフリーが叫ばれる中で、こういう表現はいかがなものかとは思うけれど、
いわゆる「思春期の女性」の持つ、幼さ、大人と子供の間の不安定さ、ミステリアスさ、はかなさ、力強さ、微妙な色気、美しさ、可愛さ、etc・・・。
この時代の女性を表現する言葉は数えきれないほどあるだろう、
オジサンの今もってしても、当時の自身からみても「そういう季節の女性」が大変魅力的にうつるのは否定しようもない。
これは、洋の東西、古今を問わずこの年代の女性が主人公となった文学、映画作品などに名作がある事からも明らかだろう。
そういうテーマとして扱いたくなる素材であるという事だ、
そういう、魅力的な素材を使っているのだから、そこにこれだけのエッセンスをぶち込めば、良くも悪くも興味深い作品にはなるものだ。

と、素人的には思う。


{/netabare}

この作品、
物語は本当に心が苦しくなるシーンもあったが、ユニークで面白かった。

この辺りは野島伸司が脚本となれば、納得のいくところ。
この彼が、いつからかドラマにも「コンプライアンス」が侵食して、僕のような物書きは翼をもがれた感覚で、より自由度の高い場所を模索していました。今回、アニメの世界を描く場をいただき、本当に久しぶりに楽しかったです。
と語っていることから、こういう意味でもドラマよりも少し羽を伸ばして脚本を書いたことがうかがえる。

これどうなるんだろうという興味がそそられたし、実際、進んでいく物語の中で主人公の少女たちの成長(使い古された安易ないい方だなぁw)が見て取れる。
実際は、成長と言うより「(気持ち、目的を含めた上での)変化」と言う方が印象に合っている気はするけれど。
途中から、物語の裏(真相)のエピソードが語られると、なお一層この先に興味がそそられた。

そして、作画は本当に綺麗に丁寧に描かれており、美しかった。
クオリティとしては映画並み、と言ってもいいのではないだろうか。
私的には、キレイな作画が視聴の原動力となるケースが結構あるので、そういう意味では素晴らしい求心力を持っていたと思います。

声優優さんたちも、キャラに合っていて素晴らしかったと思う。

また、音楽もノスタルジックな雰囲気をもちつつ、作品の世界観とはほんの少し、意図的にずらした感じ(う~ん、EVAで翼をくださいが流れた感じ?)がギャップが活かせていたと思う。

キャラもそれぞれが、それぞれの思いと影と明るさと・・・闇、色々な表情、個性を持っていて魅力的でした。
それぞれがそれぞれの意見と行動をし、それでも友達になれてよかったと言っている姿がほほえましかったです。

だからこそ、最終話でもうひと頑張りをしてほしかった。
どうすればよかったのかはわからないんですが、やはり振り返りTIMEで時間を費やしたのはもったいなかった。
ここで、少し手を抜いた感が・・・いや、頑張りきれなかった感が生まれてしまったのはもったいなかったと、本当に思います。


この作品、ジャンルは違うかもしれませんが、
「マギカ」のように名作の一つとして記憶に残る作品になり得た作品ではないか、と私的には思っています。
作品のクオリティとしては十分そのレベルには達していると思うのです。
現在の終わり方でも、それは揺るがないとは思うのですが、もうひと頑張り、もうひと頑張りしていただければ・・・と言う思いが残ったままなのは残念です。

少々、心に苦しい要素も含む作品なのですが、
観る価値はある作品だと思います、機会がありましたら、ぜひご覧ください。

好きか嫌いか?はい、好きな方の作品でした。

投稿 : 2024/04/20
♥ : 20
ネタバレ

shino さんの感想・評価

★★★★☆ 3.8

卵をめぐる冒険

野島伸司原案・脚本。

学校で疎外される少女アイは、
深夜の散歩で出会った謎の声に導かれ、
不思議なエッグを手に入れる。
それはまた違う世界と繋がる鍵であった。

幾重にも謎が散りばめられているが、
その1つ1つをどう解釈するのか、
さすがは時代と格闘した作家でしょう。
思春期への問題意識や性の匂い、
社会的倫理への眼差しは健在である。

現実と非現実をファンタジーで繋ぎ、
キャラも美術も美しい描写が高水準で続く。
謎で牽引する物語への引きが抜群ですね。
{netabare}卵に書かれた数字の意味は!?
どのような条件で彫像化するのか!?{/netabare}

願わくば続々と才能ある方の、
アニメへの参入を奨励したいです。

最終話視聴追記。
もう語るべきものは語られている。
{netabare}死の誘惑にどう抗するかと言うことだ。
少女から大人への境界線上で、
脆くも躓く人たちに向けた優しい眼差しである。{/netabare}
繊細な題材を通して聖なるものを照射する、
相変わらず、ご健在で何よりです。

特別編視聴追記。
作家の問題提起に大いに共感が持てるが、
{netabare}その点に於いては達成されたものが、
安易に物語だけを語ると何も解決してはいない。
結末は少々、残念な印象ですが、{/netabare}
私としては肯定的な評価で終わりたい。

投稿 : 2024/04/20
♥ : 51

75.0 7 友達でトラウマなアニメランキング7位
であいもん (TVアニメ動画)

2022年春アニメ
★★★★☆ 3.7 (300)
893人が棚に入れました
夢を追って上京するも、父の入院を知らされ実家の和菓子屋・緑松を継ぐこ とを決めた納野和(いりのなごむ)。しかし店には跡継ぎ候補で看板娘の少女・ 雪平一果(ゆきひらいつか)が、納野家に居候をしながら働いていた。 和は一果の親代わりを任されるも、一度は跡継ぎを断ったことを理由に冷た い態度をとる彼女と働くうちに、ある一面を知ることに…。 京都を舞台に心温まる絆の物語。
ネタバレ

Witch さんの感想・評価

★★★★★ 4.4

コンセプトはいいが「八方美人」でいろいろと惜しい →もっと上を目指せたのでは

【レビューNo.111】(初回登録:2024/3/10)
コミック原作で2021年作品。全12話。
作中で紹介されていた「下萌え」という和菓子をようやく見つけ、食すこと
ができたのでその記念にw

(ストーリー)
老舗和菓子屋「緑松」の一人息子・納野和(なごむ)は、大学卒業後にミュ
ージシャンを目指して家を飛び出し、10年間東京でバンド活動していた。
しかし現実は厳しくバンドは解散、そこに父・平伍が入院したことを知らさ
れ、店を継ぐ決心をして実家に戻る。
しかし、店では雪平一果(いつか)という少女が看板娘として働いていた。
一果は1年ほど前に父親に捨てられ、納野家に居候している10歳の少女。
(常連客の父親に緑松に預けられた後、父親は消息不明となった)
そして一果は、平伍からは緑松の跡継ぎとして認められており、和に跡継ぎ
の座を譲る気はないと宣言するだった。
そんな状況下で和は緑松で見習いとして修業を始め、一果にも父親代わりと
して接するよう試みるのだが・・・

(評 価)
・コンセプトはいいが「八方美人」でいろいろと惜しい感じ
 この作品、コンセプトは本当に素晴らしいなっと。
 ・「和菓子」の世界を季節の変化に合わせ彩よく魅せる
 ・少し水彩画っぽい「和」が映える綺麗な作画
 ・一果という幼い少女のキャラクター造形
 ・家族や店員たち等とのハートフルな絆や様々な出会い
 ・これらを縁(えにし)という言葉がピタっとハマる「京都」を舞台に魅
  せるという――
 そういう意味では、もっと大化けしてもいい作品かなっと思うのですが、
 全体的に「優等生」って感じで小さくまとまってしまっているという印象。
 例えば「和菓子」の世界を扱っている作品って珍しいので、ここにもっと
 重きを置いていれば、作品にも尖った感じがでてかなり面白くなったので
 はと思うのですが、原作者が描きたいのは「縁」や「絆」の方のようで。
 それらもソツなくできているが、あと一歩尖ったものがあればという。
 作品自体はよくできているとは思うのですが、素材がかなりいいので、も
 っとの上を目指せたのではという感じがして、なんとなく「八方美人」で
 留まっている現状が非常に惜しいなと。

・一果のキャラ造形は素晴らしい
 ・10歳の少女らしさが活きる愛らしいキャラデザ
 ・それでいて10歳の少女らしからぬしっかりものキャラ
  → その裏には「役に立たなければ居場所がなくなるのでは」という
    父親に捨てられた時のトラウマが・・・
 ・やはり10歳の少女らしく父親を恋しく思う子供心
  → 時々父親を探しており、京都駅で間違えて和の手を取ったのが2人
    のファーストコンタクト
  → 和のことは邪険に扱いつつも、どこか父親の面影を重ねている
 作品のキモとなるだけに、一果のキャラ造形は本当に素晴らしいなと感じ
 ますね。
 ただ・・・
 ~以下重要ネタバレ~
 {netabare}幼い頃に別居し、現在はフランスで仕事をしている母親が一果の所在を突
 き止め、一果を引き取るために緑松にやってくるのですが、一果の選択は
 「緑松の皆が家族扱いしてくれ、和菓子のことをもっと知りたいから」
 ということで母親との暮らしよりも、緑松に残ることにしたのは、ご都合
 主義が過ぎると感じたかな。
 (とはいえ、母親のことをいつまでも描かないのは不自然なので、やむを
  得ないところではあるのですが。
  それにその辺を突くと、そもそもの「『一果の居候設定』に無理がある
  やろ!!」って話になるのかなw){/netabare}
   
・和のキャラがこの作品を象徴
 一方の和ですが
 ・名の通り場を和ませる独自の空気を持っている
 ・コミュ力が高く、相手の懐に入るのが上手い
 その半面
 ・ノリと勢いに流されがちのお調子者
 ・緑松では見習いということもあり、ポンコツ扱い
 ・一果にも距離を詰めようとするも(表向きは)邪険な扱い
 ということで、和が絡むと良くも悪くもコメディや緩い空気になるんです
 よね。
 まあそこがこの作品の味でもあるんですが。
 ただ個人的にはあと一歩上にいけないのは、和のキャラの影響が大きいの
 かなっと。やはり主人公が締まらないので、ちょっと作品が安っぽく見え
 てしまうというか・・・

「惜しい」と書きましたが、タイトルにこめた思い「であいもん」
 ――京言葉で「食材同士が合わさることでお互いの良さを引き出す、
   取り合わせの良い食べ物」という意味――
からすると、原作者が変に「売れる」とか欲張らず、等身大で描きたいもの
を描いている感じもするので、原作者のお人柄もあり、これはこれでいいの
かも。
いうても、他のキャラは2人に絡んで皆いい味出してるしね。
今のままでも十分な面白さはあると思うので、ハートフルな作品をご希望な
らば、かなりオススメの作品ではあります。
(他のレビュアー達さん曰く、N●Kの連続テレビドラマっぽいというのは確
 かにそうかも)
あと原作は今だ連載中ということもあり、話としては「これからだ」END
って感じですね。
~以下重要ネタバレ~
{netabare}特に一果の父親のことはモヤモヤしたままで終わります。
(まあ正体はバレバレですがw)
また原作では一果は中学生まで成長しているようです。
個人的には「原作買ってもいいかなあ」って悩んでいる感じではあります。
(恐らく2期はないでしょうし){/netabare}

OP「菫/坂本真綾」
・坂本真綾の自作詩に「くるり」の岸田さん(この方も京都の人だなw)が
 曲をつけるという、今でも定期的に聴いている良曲。

(追 記)
・個人的にはなんやかんや感化され、(普段は洋菓子派ですが)一時期和菓
 子に目覚め、「下萌え」以外にも「若鮎」や「関西風月見団子」等作中で
 紹介された和菓子を中心に土産に買って帰ってたなあ(笑)
・「下萌え」も最初お店にいったら、「材料の百合根の入荷が例年より遅れ
 てる」って言われて、「本格的な和菓子っぽい」って逆にちょっと感動w

投稿 : 2024/04/20
♥ : 22

pH さんの感想・評価

★★★★★ 5.0

ただ↑いま〜by一果

さては一果、毎話「ただいま」って言ってるな?

神アニメの中の神アニメ。
一果ちゃん可愛すぎだし和との関係が尊すぎる。いとあはれ。あはれみが深すぎる。
最終話とか絶叫しすぎて呼吸困難で病院に搬送されるかと思った。
とにかく心温まるし和は面白いしぽっと出の小梅ちゃんも衝撃的に可愛いし一果ちゃんはもっと可愛いし…
1話からずっと面白かったな。最高の作品でした。
最も良かった日常系アニメの一つ。
続編来ないと許さない。

投稿 : 2024/04/20
♥ : 11

Ka-ZZ(★) さんの感想・評価

★★★★☆ 3.9

ゆっくり歩いていこう。

この作品の原作は未読です。
正直最初は視聴するかを迷いましたし、1,2話見ただけでは継続するかの判断も難しいというのが率直な感想です。
ですが、視聴を進めるうちにどんどんハマってしまい、気が付いたら毎週の視聴が楽しみになっていた作品です。


2016年に「ヤングエース」で連載開始。
珠玉のハートフルストーリーコミック「であいもん」が2022年にTVアニメ化!

夢を追って上京するも、
父の入院を知らされ実家の和菓子屋・緑松を継ぐことを決めた納野和(いりのなごむ)。

しかし店には跡継ぎ候補で看板娘の少女・雪平一果(ゆきひらいつか)が、
納野家に居候をしながら働いていた。

和は一果の親代わりを任されるも、一度は跡継ぎを断ったことを理由に
冷たい態度をとる彼女と働くうちに、ある一面を知ることに…。


公式HPのINTRODUCTIONを引用させて頂きました。

知っていましたか?
「であいもん」という言葉自体は、京言葉で「食材同士が合わさることでお互いの良さを引き出す、取り合わせの良い食べ物」という意味を持つんだそうです(wikiより)
正にこの作品のタイトルにピッタリの言葉だと思いませんか^^?

「キャラデザ」や「作画の緻密さ」というアニメーションの技術を、この作品は追い求めていませんし、私たちもこの作品に要求すべきモノではありません。
とは言え、物語に登場する和菓子なんかは、メッチャ繊細に描かれていましたけれど…

個人的見解ですが、この作品で一番大事にしているのは、ハートフルな物語そのものです。
特に日常における人と人の関わり合いや接し方が、本当に温かな視点で描かれているんです。

設定もなかなかです。
一果ちゃんは納野家に居候していますが、どうして居候することになったのか…
まだ小学生なので、親に甘えたい盛りだと思うんです。
それでも一果ちゃんは居候という選択肢しか選ぶことができませんでした。

跡継ぎ候補で看板娘という立ち位置…
それも一果ちゃんが自力で掴み取った実力と周囲からの信頼の証だと思います。
ですが、小学生の女の子の選択肢として、これが最良だったかどうかは分かりませんけれど。

それでも、和が戻ってきて緑松の雰囲気が変わったのではないでしょうか。
和が戻ってくる前のお店の雰囲気は良く分かりません。

ですが、和のノリと勢いは時として人を笑顔にするんです。
時には眉間に皺が寄るときもありますけれど…
和が見習いとして頑張った分だけ周りが温かくなっていったような気がします。
そしてそれを如実に感じているのは一果ちゃんで間違いありません。

でも和の周りにいる女性は一果ちゃんだけではありません。
東京に住んでいた頃の元恋人が、会社を退職して京都にやってきたり、緑松の中にも女子高生のアルバイトがいたりと、これに関しても結構色々あるんですよ。

まだ、現状がしばらく続きそうな予感がしますがどうでしょうか^^;?
気になる方は是非本編でご確認頂ければと思います。

オープニングテーマは、坂本真綾さんによる「菫」
エンディングテーマは、ayahoと曽我淳一さんによる「ここにある約束」

1クール全12話の物語でした。
今期は心の温まる作品が多いのではないでしょうか。
しっかり堪能させて頂きました。

投稿 : 2024/04/20
♥ : 26

71.9 8 友達でトラウマなアニメランキング8位
フルーツバスケット 2nd season(TVアニメ動画)

2020年春アニメ
★★★★☆ 3.6 (180)
753人が棚に入れました
親を亡くした女子高生の本田透が、縁あってクラスメイトの草摩由希やその親戚のたちと暮らすことに。しかし、"十二支の物の怪憑き"である草摩家には、「異性に抱き着かれると、憑かれた物の怪に変身してしまう」という秘密があった。その秘密ゆえの、家族からの極度な愛情や拒絶、学校でのいじめなど、草摩家の人々を、透は目の当たりにすることになる――。

声優・キャラクター
石見舞菜香、島﨑信長、内田雄馬、中村悠一、釘宮理恵、潘めぐみ、興津和幸、古川慎、櫻井孝宏、上田麗奈、大地葉、河西健吾、豊崎愛生、坂本真綾、森川智之、種﨑敦美、佐藤聡美、沢城みゆき、江口拓也、加隈亜衣
ネタバレ

ぺー さんの感想・評価

★★★★☆ 3.4

今のところ眠れる獅子です

相変わらず原作は未読


全63話予定。現在位置は↓

 1st season 25話
 2nd season 25話←今ここ
 Final (仮) 13話

踊り場の2nd seasonなので軽めにいきます。

正直しんどい。
まず2つの道があると思うんです。リアタイ追うのと終わってからまとめてドン。一応ここは前者の意見ということであらかじめご承知おきをば。言うても2nd最後まで観たところで結論には至らない。立ち上がりだった1stはうろ覚え。そして共に2クール分とボリューミー。まとめての視聴をお奨めします。

しんどい理由はそれだけではない。
いわゆる“障害”と思しきものが特殊過ぎるのです。現時点で“障害”とは“草摩の家に生まれついた宿命によって縛られてる何か”しか分かってません。なにを根っこに苦しんでいるのか掴めないのでキャラの感情を拾えないのです。よもや表層なぞってあははうふふしてるだけじゃ名作とは言われまいて。なにかしら“障害”を乗り越えるなり打ち克つのだろうと想像できるのですが現時点では私が絶賛迷子中。きっと終盤にネタ明かしがあるのでしょう。

{netabare}草摩家当主の慊人(あきと)が嫌キャラとして描かれてはいるが絶対事情あるよね?{/netabare}
{netabare}なんで高校卒業したら夾(きょう)は幽閉されるのか他の道いくらでもありそうなのに?{/netabare}
{netabare}親に愛されてない子が多いね。変身しちゃうだけが理由だったらひどくない?{/netabare}

目の前でめっちゃ苦悩してるんですけど、十二支を苦しめてるものの正体がうっすらとしか分からず、なんか良く分かんない理由でイラついたり絶望したりする物の怪憑きの皆さんに菩薩モード全開で寄り添うヒロインという構図。


 理由の如何によらず苦悩している人にただ寄り添えるか?


みたいなところを感じて下さい、といった雰囲気はあります。こういうのってキャラには知らせずとも視聴者にはわかるようにするもんですけどね。面白い試みですがエンタメ感は薄いかなぁ。
置かれた境遇の厳しさに理解と同情の念はあります。だからこそ背景と理由を下さいってことですね。
そういうのが無ければ別の切り口。呪いというだけで縛られるしかないというあくまで思い込みとか。これだと理由はいらないんだけどそれはなんかやだなぁ。

1期は当初苦手だった透くんのキャラが終盤になって素敵に見えた後半追い上げ型。
2期は十二支の呪いに翻弄される皆さんを追いかけながら苦悩に寄り添う現状維持型。

全部終わってからあの時この時こうだったが見えてくるのだと思います。
もしくは原作既読で顛末をすでに知ってるファンが答え合わせをする場所。

いざ完走して全貌が明らかになった時、これが1クール2クールだったら覚えてるんでしょうが、差し詰め5クール分となるとよっぽど強烈な印象を残したとこじゃないと覚えてない確固たる自信があります。
全般的にもやっとしており初見でここまで50話は正直つらい気がします。


いいところもあるよ。OPEDが軒並み作品の世界観に合っていて良かった。そこだけは胸張って言える中継ぎの2nd seasonでした。
ここまで来たら付き合うけどね。頼むぜ名作!


※メモ
{netabare}あきとが女!?そして紅野は呪いが解けてました…と。
この淋しかりやの神様に救いは訪れるのか?十二支連中も救われてほしいね。{/netabare}



視聴時期:2020年4月~9月 リアタイ

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2020.09.22 初稿
2021.07.23 修正
2022.06.04 修正

投稿 : 2024/04/20
♥ : 40

ミュラー さんの感想・評価

★★★★★ 4.1

原作の良さを再認識できる

以前のアニメ化では扱わなかった後半のスタート。
物語りのキーとなる帽子の謎も判明し、物語が佳境に入っていく。
改めてフルバって名作だと感じる。丁寧にアニメ化してくれて、感謝感謝。
このまま最後まで突っ走って欲しいです。
セカンドシーズン、9話良かったなあ。神回だなあ。
今日子さん出てくれたなあ!

この物語のキーパーソンはなんといっても本田透の母、今日子だと断言したい。
漫画での文字だけの心理描写が、声優の演技によって、よりダイレクトに入ってくるのがいいよね。
ちょっとした場面でも感動を感じさせる演出、素晴らしいです。

まだ続くみたいなので、とりあえず中間レビューということで。

2020/9/22
2ndシーズンもこれで終わりのようです。
The Finalシーズンが来年の予定のようだけど、いつになるのかな?
まだ透の父母の話が出ていないけど、やるのかな。
分量的にはもう2クールやると終わる感じ。
2期の最後も衝撃の展開でしたが、原作知っているだけに「ふーん」という感じでした。
でも漫画より何倍も面白いし、Finalも期待して待ってます。
今の世の中でも全く古いと感じない原作の面白さに感嘆します。
アニメ制作スタッフに感謝!

投稿 : 2024/04/20
♥ : 12

take_0(ゼロ) さんの感想・評価

★★★★☆ 3.4

色々見えてきて1期とは少し印象が変わった感じ

1期目は割と雰囲気のいい作品との印象だった。
2期目に入って少し印象が変わったかな・・・。

もちろん悪くなったと言う訳ではないんだけれども「いい雰囲気」が少々雑多になった印象かな。
主人公:本田透の丁寧な物言いは変わらず、その点では何とか良い印象を保てて入るのだが・・・(もっとも、この透の言い回しがキライな人もいるとは思う)、物語自体が、それぞれのキャラにスポットを当てる回があったり、レクリエーション回があったり、少々、バラエティーに富んでいて、物語の進行がスローになっている印象があったり、ブレではないけれども、一瞬それているような回がありますよね。

学園生活のわちゃわちゃ感とか・・・。

もちろんそれを余白、余裕、物語の幅として捉えれればよいのですが、今回、私は若干のノイズとして受け止めてしまった様です。

まぁ、それだけ、物語が気になってきていて「そこを知りたい!」という思いの裏返しとも言えるので、引き込まれているのだと思うのですけれどもね。

ただ、ミステリアスに感じていた部分が「意外と底が浅そうだぞ・・・」と思い始めているのも事実なので、今後に期待なのです。

2期については、ちょっとパワーダウンしているようなことも書きましたが、キャラクターが出そろってきて、それぞれのキャラを深掘りしていますし、キャラの個性も見えてきています。
そういう意味では、十分な魅力を発揮し始めていると言えるでしょう。
キャラの痛みや苦しみ、葛藤、も十分伝わってきていますしね。
今後が気になるところです。

ちなみに私の中では
無駄に声が張っていて、ちょっとトーンが浮き気味な紅葉くんと
ブレのない?個性の花島咲
ぶっ飛んだ個性の綾女(このタイプを気に入るのは珍しい事ですw)
がお気に入りかな。

で、今んとこ慊人はキライ(苦手)ですな。

物語の謎がはっきりと見えてくるのは次シーズンですかね。
まぁ、十二支と主人的な関係性は既に見えてきているので、あとは落としどころがどう落ちるのか、ってところだけかなぁ、気になるのは(ここが、少々浅く感じる点、これ以上の関係性が設定上あればすごいかもだけど)。
それと、それぞれの人間関係の終着点か・・・。

気になる方はぜひ視聴してみて下さい。
少々、キャラ関係とキャラ絵がややこしいかもしれませんがw
(オジサンには、混乱する容姿の方が多いですわ)


・・・それにしても、これ2次作品のネタになりそうな設定ですよねぇw

投稿 : 2024/04/20
♥ : 12

67.9 9 友達でトラウマなアニメランキング9位
岬のマヨイガ(アニメ映画)

2021年8月27日
★★★★☆ 3.5 (40)
131人が棚に入れました
居場所を失った17歳の少女。彼女が辿り着いたのは、どこか懐かしさと共に温かみを感じさせる、海の見える古民家“マヨイガ"だった。それは、“訪れた人をもてなす家"という、岩手県に伝わるふしぎな伝説。血のつながりがない新しい家族たちとの、ふしぎだけどあたたかい共同生活が、新しい居場所“岬のマヨイガ"でいま始まる――。

テナ さんの感想・評価

★★★★☆ 3.3

古いけど色々と良い家じゃん

見に行くか、見逃すかを悩んだ作品です。
でも、せっかくなら見に行こう!と見て来ました。
最初は岬の上にある家が頭上から映し出されるシーンの私の感想は。

森と草ばっかり、景色めちゃ綺麗じゃん、絶壁じゃん落ちたら死ぬ、家の庭めちゃデカいじゃんでしたw

私はユイとひよりは姉妹かと思って居たら違うのですね。
元々は他人同士だった2人をお婆ちゃんが引き取りマヨイガで生活する事になります。

ひよりは両親を居眠り運転の車に衝突され失ってしまいます。
きっと、それが原因?で喋れないのだと思いますが、その辺の説明がなくて……多分。

ユイは両親が離婚して父と二人暮しです。
父は、母が出ていったのはユイのせいだと言います。
挙句の果てに、ユイが用意していたご飯を、いきなりキレだして机から弾き飛ばすし。
自分が辛く当たるのは、全てはお前の為だ!と言う始末……

明らかに、奥さんが出てったのは貴方のせいですよ。って思いました。

作中で私が良いシーンだと思ったのは、ラストのユイが偽物の父に無理やり連れていかれそうになるシーンです。
ユイは父が怖くて何も出来なくて何も言えなくて……ひよりも助けようとするけど何も出来なくて……

でも、ひよりにとって、お婆ちゃんとユイと3人は家族だから、新しい家族を二度と絶対失いたくないから、彼女は声を出す!
両親を失って無くした声だけど、姉を失わない為に出した声……血なんて繋がってなくても、出会って数日でも間違えなく家族で大切だから、守りたいって気持ちから出た声。


後は、お婆ちゃんのピンチに駆け着けた、ひよりが、お婆ちゃんの「自分に出来ることを」って言葉から考えて行動したシーンが凄く良かったです。

さて、作品としては面白いと思います。
原作はもしかしたら面白いかもしれません。
でも、映画で見たら……設定がイマイチ理解しにくかったり視聴者側が想像で補わないとならない点が多すぎる気がします。

キャラの心情のヒントが少なすぎて感情移入が出来にくく、最後まで見ても消化不良って感じが残ってしまいます。
うーん、面白くはなくはないですが……普通くらいかな……

声優さんも余り上手くはないかな?
なるほど、ゲスト声優さんですか……
私はアニメでは物語が1番楽しめるポイントで物語が良かったり、キャラに感情移入しやすければ、あまりも酷くない限りは言わないのですが、物語も中途半端と感じる部分もあり。
そちらが更に浮き彫りになって感じたりもしました。

声優さんで言うと、座敷わらし役で、ナナニジの藤間さくら役をしてる天城サリーさんが出てます。
私のアイコンもナナニジの佐藤麗華ですが、ナナニジのアニメはともかく、ナナニジの音楽も聞くし、計算中も見てて好きなので、その辺も楽しみにしてましたが、セリフ少なっ!w(*꒪꒫꒪)

作中には、座敷わらし以外にもカッパや雪女など妖が沢山出てきます。
実は、私は妖怪が割と好きです。
理由としては父が妖怪などが好きで小さい頃から、妖怪番組やら本やらを見て育ちました。

だから、その辺も気にしてましたが、あれだけ妖怪居て殆ど山火事を消す方に回って出番と言う出番もなくw

面白いのは面白いとは思うし作品のメッセージ性も伝わりはしましたが、オススメしますか?となれば話は変わってくるかな?とは思ってしまいます。
好きな人は好きになれそうな作品かな?と思います。

お婆ちゃんの昔話の語りは面白いしわかりやすかったと思います。
作風をガラリと変えてくるのもいいですねꉂ(ˊᗜˋ*)ヶラヶラ

あっ、冒頭の山道の作りもすごく良かったです。
私の母方の実家がド田舎なのですが、山道の再現が凄く良かったです。
後は、落ち葉や枯れ草の種類や葉の色や道の色もリアルで上手く再現してるなぁ〜って少し懐かしい気持ちになりました(ˊo̴̶̷̤ ̫ o̴̶̷̤ˋ)

投稿 : 2024/04/20
♥ : 7

ねごしエイタ さんの感想・評価

★★★★☆ 3.7

マヨイガは、人を取り込む邪悪な魔物でなかった

 避難所でユイが、喋れないひよりと出会い、キワと出会うです。キワが孫として2人を引き取り、人里離れたマヨイガという古民家で一緒に暮らすお話だったです。

 マヨイガというと、「迷家-マヨイガ-」や見たような邪悪な妖魔を思い浮かべるけど、似ても似つかないモテナシガだったです。住む人に尽くし、喜ばせたいと思う自然の精霊??のような存在のようです。

 おかしいと思って警戒するユイだったけど、家族として三人で生活して地元の人たちと仲良くしていくうちに、マヨイガを認めるようになっていったデス。

 ふぃぎっとという妖怪と何気なくコンタクトを取ってるけど、ユイもひよりも何気ないようだったです。キワが、鬼太郎に近いものを持っているです。人と妖怪のつながりも、このお話では面白いものです。
 良い妖怪もいれば悪い妖怪もいるわけで、それが悪さをして対峙することになるのです。キワを思うユイ、ひよりが力を合わすとき、見てのお楽しみになるのです。

 昔話みたいなマヨイガをはじめ妖怪の存在があったです。お互いを大事にしたいという三人の家族として、在り方を見せてくれたどこか心の温まる要素も描いていたと思うです。

投稿 : 2024/04/20
♥ : 5

さんの感想・評価

★★★★☆ 3.6

夏休みの妖怪映画

妖怪ウォッチが下火になってきたはずが、まさかの妖怪映画バブルが到来しましたねえ。
震災後の岩手が舞台という事で、どんな闇の深い映画なんだろうと気構えていましたが、心配していたような事はなく、10歳未満でも安心して楽しめる物語になっていました。良かった。
だからそうだとは限らないのですが、緊迫感は薄めです。大人が見るにはやや退屈に感じる場面がありました。
じゃあ、面白く無いの?
いえ、そうではありません。流石のデイビッドと思えるだけの作画良さがありました。
(マヨイガのCGはもう一歩踏みこんで欲しかったですが)
作画で楽しめるオタクならそこそこ楽しめるんじゃないでしょうか。

投稿 : 2024/04/20
♥ : 6
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