古典文学おすすめアニメランキング 7

あにこれの全ユーザーがおすすめアニメの古典文学成分を投票してランキングにしました!
ランキングはあにこれのすごいAIが自動で毎日更新!はたして2019年12月10日の時点で一番の古典文学おすすめアニメは何なのでしょうか?
早速見ていきましょう!

64.4 1 古典文学アニメランキング1位
かぐや姫の物語(アニメ映画)

2013年10月1日
★★★★☆ 3.8 (253)
1079人が棚に入れました
原作:「竹取物語」、原案:高畑勲 監督:高畑勲 製作:氏家齊一郎、脚本:高畑勲/坂口理子、音楽:池辺晋一郎

声優・キャラクター
朝倉あき、高良健吾、地井武男、宮本信子、高畑淳子、田畑智子、立川志の輔、上川隆也、伊集院光、宇崎竜童、中村七之助、橋爪功、朝丘雪路、仲代達矢、三宅裕司
ネタバレ

ろき夫 さんの感想・評価

★★★★★ 4.1

かぐや姫の物語に想いを寄せた一人の翁

学校で習ったことはありますが、大昔のことなのでぼんやり。
大方のあらすじを覚えてる程度、詳しくは把握してません。
まぁ、でも大丈夫な作りになっているでしょー。一応、ジブリだしw
てな感じで見に行きました。

けど、十分楽しめました。それで良かったということなのかな?

冒頭、竹取物語お馴染みのフレーズから始まるのが、とても懐かしい気持ちにさせてくれます。
全体的に忠実に再現されていて、見ていく内に原作の内容が頭の中に蘇っていきました。

原作をベースにした刺激的なアレンジなどを期待するような内容ではありませんでしたが、かぐや姫やその周囲の人々の心情を細やかに描くという+αの要素は加わっています。
人々の交流の温かみを、幻想的に心豊かに表現するのが高畑作品の魅力だと思います。
心を解きほぐすかのような墨画テイストの柔らかい絵はそんな雰囲気を出すのにピッタリでした。
でも、斬新さを求めると拍子抜けだし、退屈な部分も多いので万人受けとは言えない気がします。


いきなりですが、高畑勲という人物像に思いを馳せたことはありますか?
高畑作品って苦手な人も多そうなので、どこに魅力を感じているのか自分なりに紹介したいと思います。


割とストレートなメッセージ性を込めて作品を作ってきた人。
という、イメージでしょうか。

説明的な表現が作中に多くあり、宮崎駿作品と比べるとそれが露骨に伝わってくる。
自然を、家族を、心のゆとりを慈しみなさい。そんな言葉が。どの作品にも共通して。
別に意識して尖った見方をしなくても、向こうが意識させてくる。
それを言いたいがためだけに題材選んでるでしょ!そーでしょ!w なんて、言いたくなるような。
言ってることが間違ってるわけじゃないけれど…上澄みだけで底の泥には触れてないような。
少し一方通行な胡散臭さが拭いきれないもんだから、余計鼻についてしまう。
一生懸命そんな考えを振り払おうとするのですがw

けれど、そんな不満を抱えつつも、結局いつも見てしまう。
それはやっぱり映像面・演出面で、良いものを見せられたとき「面白いっ!」
って感じる気持ちの方が強いからなんだろうなぁ、と思う。
もちろん説明的で退屈な部分や、掘り下げたりない部分、ツッコミどころも多い。
でも、ここが見せ場だ!ってなるときの極上の映像にはそんな不満が些細なことのように思えてしまう。
頭の中でごちゃごちゃ考えていたことがすべて吹き飛んで、物語に一気に引き込んでくれる!
それが高畑作品を見る上で快感でもあります。キターッ!ってなるわけですw
(こういうことを書くと、通ぶったヤローだと思われてしまい抵抗があるのですが・・・
気持ちに嘘は付けないから仕方がない!w)


でも、これまでの作品からすると今作の表現は相当控えめだったように感じます。
悪くはなかったはずですが、印象的なシーンが見当たらない。
「うわぁ、すごい良いなぁ」が、けっこう連発するはずなんですが・・・。
もっと挑戦的なものを期待していた分、正直、ちょっとがっかりしました。
高畑監督の年齢を考慮するとだいぶ挑戦的ではあるんですがw

そんな期待はずれな映像に・・・
この作品を、どんな意図があってこのタイミングで映像化したのか?
なんて、心の片隅あった想いが案の定、暴れだしてしまいましたw

「この人がこんな忠実にかぐや姫を映像化するわけないっ!」
「マジかよー、これなら観るの映画館じゃなくても良かったかな?」
「評判良かったから友達も誘ったのに・・・。寝てないかなー?」
「50億もどんな使い方したんだろう・・・。言い訳くせぇ墨画だなぁ」
「これなら…パフィーも出るゾ!ひまわりのかぐや姫だぞ。の方が面白いわっ」
「原作としっかり見比べてみようかなぁー」
・・・
なんて心の声が次第に増えてきて、集中が続かなくなっていくのが分かりました。
高畑作品にこんな感想を抱いてしまったことに自分で驚いてしまいました。

いや、多分いつものことだったんです。
この作品も例外ではありませんでした。

ラスト20分あたりからでしょうか。

{netabare}かぐや姫が、幼い頃に育った故郷を訪ね、そこで捨丸と再会する。
このとき、彼女の思いがグッと溢れ、彼を抱きしめるわけです。
そしてそのまま、二人は宙へと舞い上がり、つかの間の愛を確かめ合う。

この幻想的な映像に、あっという間に引き込まれてしまったのです。
その瞬間・・・
「あ、そうか。これはやっぱり彼女の物語なんだな」
って思わず、ハッとなった。

彼らが宙へと舞い上がったのは、かぐや姫の持つ不思議な力のおかげなんかじゃ決してない。
あれは彼女の強い想いが生んだ幻想だったのだ。
(だから、厳密に言うと捨丸は浮気していないハズw)
実は何度か、そういったシーンが見られる。
彼女が「かぐや姫」という名前を頂いた際に催された宴の席。
そこでも彼女は、現状に不満を募らせ、古里に向かって屋敷を飛び出す。
凄まじい形相で無我夢中に走る彼女。
けれど、馴染みの仲間たちの姿はなく・・・。
「また春が来るよ」その言葉が彼女を安心させた。
目が覚めると、結局屋敷の中。

そう、彼女は決して自分勝手に屋敷を飛び出したりはしていなかった。
今まで、ただの一度も。

特別な力など、本当はなにも持っていなかったのだ。

父の言うことをよく聞く、母の言うことをよく聞く、器量の良い、とても良い子。
当時の時代背景もあって、自分の想いを押し殺して生きていた。
そうすればそうするほど自由を願う想いが強くなっていった。
けれど、想うだけで結局何も叶わなかったのだ。

月よりの使者が自分を迎えに来てくれて、きっと自由にしてくれる。
ついにはそう考え、助けを求めるようになった。この世は罰なんだと。
冥土の闇に輝く月が、限りなく眩しく見えたに違いない。
そして身を絶ってしまった。

最後のシーンで、使者が菩薩の姿をしていたのは、そういうことなんだと思う。
悲しい別れにも関わらず、使者たちはそれを気にかける様子もなく楽しげに音楽を鳴り響かせる。
それは、決して待ってはくれないあの世への旅立ちを無情に鳴り響かせているようにも見えた。
かぐや姫の両親が眠りから覚め起き上がり、宙に浮きあがってまで彼女を追いかける姿。
未練を断ち切れずにこの世を去ってしまった彼女の、最期に見た幻想だったのかと思うと悲しすぎて泣けてくる。

つまり、最初から最後まで彼女の精神世界を描いた。「かぐや姫の物語」だったのだ。

しなやかな竹から生まれ、山や野を愛し、身分にとらわれず、一人の男性を想い続けた。
そんな女性像に憧れを抱き、月に想いを寄せた、か弱き少女の描いた儚く悲しい物語。{/netabare}

・・・原作者が不明なのをいい事に色々と想像しまくりなのですがw
大昔に、その想いをこのような美しい作品に仕上げた人がいたのかと思うと感慨深い。
そういった意味で、今作によってこの物語への理解をより一層深められた気がする。

これを映像として完成させた高畑勲はやっぱりすごいなぁーとしみじみとていたら、抱えていた不満もいつの間にか綺麗サッパリなくなっているのでした。
これだよ、これ!なんてw

そんなわけで今回の作品も期待に十分応えてくれているので、
この監督の作品が好きな方にはオススメできるんじゃないかと。
退屈な部分もありましたが、無駄なシーンは無かったように思います。
基本的に、映画館に行くと「時間とお金を無駄にしたくない!」などの思いから、
映画を最大限楽しもうと努力するので、良く見すぎていて客観的じゃない部分もあると思います。
なので、この文章が参考になっている自信はかけらもありませんw

別に上から物言ってるわけではないけれど、高畑作品ってそんなもんだよなぁー、という
心構え?みたいなものを持っておくと怪我せずに済むような気もします。
どっか抜けていて、手放しで絶賛できるようなものではないけれど、魅せるときは魅せる!
そんな振り幅がクセになってしまっているのかもしれません。
ホントは全シーンにわたって、そうあって欲しいのですがw

ただひとつ・・・
{netabare} 「姫の犯した罪と罰」というキャッチコピーには疑問を感じますね。

劇中そこまでそれについて掘り下げられなかったし、強調されていません。
視聴後にこのキャッチコピーを目にしたので、違和感しか感じませんでした。
周囲の情報にとらわれるよりも、素直に受けとって見れた方がより集中できて良いかもしれません。
現に、一緒に見に行った友達は、高畑勲はおろか原作に関しても全然知りませんでした。
けど、期待していたよりも良かった。感動して泣いたと言っていました。

あー、だったら我慢せず自分も泣いときゃ良かったなぁ・・・。チクショウ!w{/netabare}

ここまでお付き合い頂き本当にありがとうございました!

投稿 : 2019/12/07
♥ : 16
ネタバレ

タナボソ さんの感想・評価

★★★☆☆ 3.0

見方間違ったかな…

とりあえず2ch見にいったら賛なレス目立つのが少し驚きでした。

新しい解釈に期待したせいなのか、
「姫の犯した罪と罰」なるコピーに煽られて真に受けすぎたせいなのか。
正直、肩透かしを食った感じ。

まんま『竹取物語』だし、罪と罰に関しては
{netabare}かぐや姫が地上で生活したいと願ったことが罪で、罰として地球に降ろされた、{/netabare}って別になあ…。

{netabare}かぐや姫にとっては罪で罰にあたるにも関わらず、求めてやまない、
喜怒哀楽に身を焦がして、愛別離苦の情に振り回され、生老病死に苦しめられながらも、
この世界で生きることは尊いのだと言いたいらしいのだけど…。
いや、そりゃ無味乾燥な月世界で生きたいなんて思わないよ。でも…

この世は生きるに値する、ってテーマがどうも。
そのテーマけっこう見る気がするし、うーん…。
そもそも、みんなそんなに生きる価値ないと思ってんの?
或いは作り手は生きる価値ないと感じてる人が多いと思ってるんだろうか?
ピンと来ないおれがズレてるだけなんだろうか。

この手の話に触れるにつけ、もし自分がお話作る立場だったら、
生きる価値云々てより、お前ら夢ばっか見て高望みしすぎじゃね?、
今の現状をありのまま受け入れて楽しみを見出だせよ、
もし気に食わないんだったら努力せいよ、って話にするなあといつも思うんですよね。
とりあえずぼくアニメ観るの楽しいですぅ(゜▽゜)叛逆の物語観に行くの毎回楽しいですぅ{/netabare}


登場人物は生き生きと描かれてたと思います。
すごく良く動いてたし、翁も媼も楽しそうに見えました。
子供がいる方なら楽しく見られるのかもです。
子供を得ることによる喜びの部分で共感できそう。


しかし私的にあまり好ましく映らなかったキャラがいたのもまた事実で。
かぐや姫、ただのわがまま娘じゃないですかね。

予告編に着物脱ぎ捨てながら猛疾走する場面ありましたが、
そんな理由で鬼の形相でダッシュしたんかとツッコミ不可避ですわw

それ以上にアカンと思ったのが捨丸。
{netabare}劇中2回盗みを働くわけですが、肯定的とも取られかねない描写、どうなの。
露見して捕まってもボコボコに殴られただけ。
時代背景、状況がまるで違うことを百も承知で書きますが、
人のモノ奪ったり傷つけたりして、損害を負わせる行為を
自慢する輩が現れて問題になる現状的に、いかがなものかと。

で、突然再開した幼なじみのタケノコ=かぐや姫と愛の逃避行。
妻子をほったらかしにして、ですよ?
いない設定にすれば全く問題ないのに。
空を一緒に飛び回っていったいナニをしてるんですかねえ。{/netabare}


もし竹取物語知らない人なら楽しめる可能性は高まるだろうし、
竹取物語の映像としては決定版と言って良さそうな気がしました。
画は凄いですよね。演技も良いと思いました。
故ちいさんも熱演。「ひーめ、おーいで!」「ひめー!!!」
て実際見たら微笑ましいと同時にうざいだろうけどw
電車で孫と一緒になってアイス持ってはしゃぐ爺さんのエピソードがある町田康の小説思い出した。


映画館で鑑賞して良かったと思えたか:3/5
設定・世界観の好悪:2/5
OP曲の好悪:2/5
ED曲の好悪:2/5(二階堂和美 / いのちの記憶)
(2013/11/25初up)



直接の関係はないのでタグ使って『夢と狂気の王国』の感想
{netabare}
ジブリを題材にした実写ドキュメンタリー映画。
『風立ちぬ』のネタバレがある、と言うか鑑賞してないと
いまいち解らないのはまず注意。


期待値めっちゃ低かったんですが、意外や楽しめました。
だって最速上映イベ行ったら宮崎駿のそっくりさん芸人いるんですよ。色物だったのかよと。
そのイベのチケット取れたのも、自分が開催に気づいた時点で
チケット発売日から丸二日経ってたけど普通に席空いてたからだし。
ニコ生でも配信されたトークセッションでは即完売ムード醸してたけど、半ば嘘ですw

で、その意外や楽しめた本編、
まず、時折差し込まれる風景など映像が綺麗だし、音楽(高木正勝!)が良い。
ドキュメンタリー作品全般あまり観たことないんですが、
表層部分だけでこんなに楽しめるとは、ドキュメントなんて退屈だろ的先入観を壊してくれました。

猫の牛子がドアの向こうで半身を見せて覗き込んでいるように見せる描写を
挟み込むユーモア、ほっこり感も良くて、いや、実際この猫、人の話聞いてるらしいのですけど。
押しつけがましさがあまり無くて、スタジオジブリの空気感を捉えることに
注力してるのも好印象でした。

スタジオジブリってヘンみたいです。
一見普通のおじさんおばさんなスタッフが沢山出てくるけど、少なくとも精神年齢はみな年齢不詳。
パンフ掲載の高木正勝によれば学校、ってことになるけど、
それだけじゃなくて。
例えこの映画の中だけの作りごとだとしても、すげえなと思いました。


文字通りジブリの夢と狂気を描いているわけですが、狂気成分は少なめ。
例えば宮崎吾朗のシ-ンが狂気だったらしいけど、取って付けた感ありありだし。
前触れもなく唐突に出てきてプロデューサーにキレて狂気でござい、ってそれはうーん。
詳細解らなくてもどんな話してるかはまあ判るけども別になくていいような。
もっと金の話すればよかったのに。鈴木Pが暗躍するドロドロのマネートーク。
宮崎駿が語るところの創る自由には金が必要なんだし。

しかし同時に金の話はこの映画には必要ないとも思うんですよね。
上映前、鈴木Pが0時予定時刻を押してまで語るところに、
この映画に真実はない、とのことだけど、まあキレイゴトが多すぎではありながら、
それで良いと思えてしまいました。
少なくとも宮崎駿が自分のために映画を作ってるのではない、人のために作っているのだ
と信じていることには真実味を感じました。

興味深いネタも色々ありました。
↓『夢と狂気の王国』以外に『風立ちぬ』のネタバレもありm(_ _)m
{netabare}
『風立ちぬ』は宮崎駿自身の自叙伝でもあった、とこの映画では描いてる。
「生きて」は反戦派でありながら兵器を愛してやまず、
呪われた仕事とした映画作りに従事するなど様々な矛盾を抱えながら
「生きねば」で、鑑賞会で自身観て泣くのかとも思うわけですがw

一方、鈴木Pと庵野秀明との車中での会話では、
庵野自身にとってもっと生きて、もっと良い作品を作らなければ、
とのエールとして受け取ったと思しきやりとりもありました。

最初思いついたラストと真逆のラストにしたってエピソードには驚き。
当初は菜穂子にこちらに来て、と言われて天国に導かれる結末だったらしい。


高畑勲は謎。
私が知らないだけとは言え宮崎駿が良くも悪くもよく話題にする。
もの凄く影響を与えた人物として語られる割に
結局、本人登場は実際の唐突な出現時を捉えたシーンのみって言う。

あと駿、身内映像ぽい中宴会かなんかで浪々と歌い上げてたけど、
やっぱサービス精神あるんだなあとか。

つうか、引退会見の直前、ホテルの窓から外を眺めて、
建物の屋上を渡ってあるく空想から作品創りに繋がるような話をするとか
ホント引退する気あるんか?って感じ。
{/netabare}

映画館で鑑賞して良かったと思えたか:3/5
設定・世界観の好悪:3/5
OP・ED曲の好悪:記憶に薄く判断出来ず
{/netabare}

投稿 : 2019/12/07
♥ : 4

ようす さんの感想・評価

★★★★★ 4.2

日本の文化が生み出すもの。古典もアニメも、こんなにも美しい。

「竹取物語」を原作とした、
高畑勲監督による、2013年公開の映画。

制作期間8年という、膨大な時間をかけて作られたそうです。

かぐや姫のお話は幼いころに慣れ親しんだ人も多いと思います。

しかし、観る前の「竹取物語と言われてもそこまで興味ないなあ。」
という考えは大間違いでした。

竹から生まれて、月へ帰るお話?
いやいや、そんな単純な中身じゃないのですよ。

ストーリーは知っているはずなのに終盤は大号泣でした;;


● ストーリー
「今は昔、竹取の翁(おきな)といふ者有りけり。
 野山にまじりて竹を取りつつ、よろづのことに使ひけり。
 名をば讃岐造(さぬきのみやつこ)となむ言ひける。
 その竹の中に、もと光る竹なむ一筋ありける。
 あやしがりて寄りて見るに、筒の中光りたり。」


学生時代に暗唱した人も多いのではないでしょうか?笑

ストーリーはオリジナル部分もあるものの、
ほぼ原作通りに進んでいきます。

かぐや姫の成長は普通の人よりも早いため、
赤ちゃんの成長を早送りで観ているようです(笑)

「ハイハイした!」「おお、立った!」という感動がほぼ同時にくるので、
なんだか忙しかったです(笑)


時間や季節の移り変わりは、背景の植物たちが教えてくれます。

季節の植物に詳しかったら、もっと味わい深く観れたんだろうなあ、と
自分の一般常識のなさを嘆いていました(笑)



≪ 「家族」とは ≫

竹取物語のテーマを明確に「これ」と言うのは難しいと思いますが、
私は強い「家族の役割」を感じました。

かぐや姫を竹の中から拾い、
大事に大事に育てたのは翁(おきな:讃岐造)と媼(おうな)です。


・翁(父親)は、家を大きくし、娘の幸せをひたすらに願い続ける。
 (ただし、娘の気持ちに反した独りよがりであることも多い。笑)
・媼(母親)は、娘の気持ちに寄り添い、一番の理解者であり続ける。

これって模範的な家族の形なのではないでしょうか。

竹取物語が書かれたのは平安時代とされていて、
今から千年以上前に書かれた物語です。

この頃から「家族とはこういうものだ。」と考えられていたのかと思うと、
何とも感慨深いものがあります。



≪ 月から迎えがやってきて、かぐや姫を連れていく ≫

お伽話の中でも、感動的で印象的なこの場面。

「泣くとしたらここかなあ。
 いやでもよく知っているシーンなのだし、今さら泣けないだろう。」
というのが視聴前の私の考え。

  ↓↓ 実際は、

このシーンで涙が止まりませんでした;;

別れのシーンが丁寧に描かれていて。

特に、翁と媼がどれだけ娘のことを大事に大事に思っているか、
痛いほど伝わってきて、

今思い出しても涙が溢れてきます;;

遙か昔から語り継がれてきた物語が、
現代最高のクオリティをもって新たな命を吹き込まれたようだと、
心から感動しました。



≪ かぐや姫は幸せだったのか ≫

生まれた山を出て、都で暮らすようになったかぐや姫。

高貴な男性達から求婚されるも断り続け、
日々の暮らしに窮屈さを感じている描写が多いです。

山に住んでいたころは明るい笑顔が絶えなかったのに、
都で暮らすようになってからその笑顔はぐんと減り。

客観的に観ている私からしても、
かぐや姫が幸せな暮らしを送る未来がどうしても思い描けませんでした。

しかし、月には帰りたくないと、
地球に残ることをかぐや姫は強く願います。

翁や媼のように大切で愛する人がいるから、
というのも大きな理由だと思うのですが、

たとえ辛くて嫌なことばかりでも、
人はこの世界を愛さずにはいられないことが
謳われているようにも感じました。

これも竹取物語のテーマの一つなのかもしれないですね。


● 作画
この作品は、ストーリーを楽しむこと以上に
アニメーションを味わうための作品だと思います。

手書きの絵をパラパラとめくっていくような動画。
そこには温かさを感じます。

きっと「ここお気に入り!」という場面が見つかると思います^^

私は
金の粒が控えめに輝いているところと、
木を彫って器を作るところと、
田んぼが夏から秋へ移り変わるところと、
夕日に照らされた屋敷の部屋ところと、

とにかくたくさんありました。笑


そうそう、話題になっていた帝のあごは確かにインパクトありましたwww
もう帝はあごにしか目がいかないですwww


● 音楽

【 「いのちの記憶」/ 二階堂和美 】

しんみりすーっと入ってくる心地よい歌声と

物語のその後のかぐや姫の心情をふと考えてしまう歌詞。

いい曲です。しみじみ。


【 BGM「天人の音楽」 】

天人がかぐや姫を迎えに来た時のBGMです。

かぐや姫たちの心情とは正反対の、
リズミカルで明るい曲調。

シーンに関係なく、
この曲単体でもずっと聴いていたくなります。

天人の心の余裕と言うか、
月は幸せな場所であることに何の疑いも持っていない姿勢を
伺わせる一曲だと思いました。


● まとめ
慣れ親しんだ話だけれど、描かれる風景の美しさと、
山場のシーンが心に訴えてくる力強さは圧巻でした。

子ども向けではないと思います。

子どもが観ても理解はできると思うけれど、
途中で飽きてしまうと思います。笑

この作品を観れば、竹取物語をただのお伽話と
見過ごすことができなくなるはずです。

千年前に作られた話とは信じられない。

竹取物語の偉大さとアニメーションの完成度に拍手です。
こんなに素晴らしいものを作り出せる日本の文化を誇らしく思いました。

投稿 : 2019/12/07
♥ : 27

75.4 2 古典文学アニメランキング2位
巌窟王 -がんくつおう(TVアニメ動画)

2004年秋アニメ
★★★★☆ 3.9 (556)
3128人が棚に入れました
パリの青年貴族・アルベールは退屈な日常に飽き、刺激を求めて、親友のフランツとともに、カーニバルで賑う月面都市・ルナを訪れていた。
そのころ、ルナの社交界では東方宇宙からやって来た謎の紳士、モンテ・クリスト伯爵の話題でもちきりだった。オペラ座でモンテ・クリスト伯爵の姿を見たアルベールはその存在感に圧倒され、成金とも怪人とも呼ばれるその紳士に興味を引かれる。やがて、モンテ・クリスト伯爵との交流を深めていったアルベールは、伯爵の妖しい魅力の虜となっていく…。
ネタバレ

Ballantine さんの感想・評価

★★★★☆ 3.8

本当に残念だ… 隠れた名作

これだけでも無くせばかなり良かったと思う点
・ホモ臭+女装少年{netabare}(ペッポ){/netabare}
・女性向けを狙ったのかと思わせるキラキラ演出
・23話の {netabare}エドモン・ダンテスへのキス{/netabare}
・テクスチャを使った作画

兎に角ストーリーは素晴らしい出来。
まぁ過剰なホモ演出というか実際ホモは一人でガチホモしいのは無いので男でも十分楽しめる。
ってかちゃんと女の子のヒロインいるので安心して下さい。

ただ如何せん前半のスローペースがキツイかもしれないが
平和な日常→謎が少しずつ判明→後半からの怒涛の結末への流れ
もう兎に角後半の怒涛の流れが面白い。
我慢すればそれだけの見返りはあると思います。
後クズ大人の権力争いやら仮面夫婦やら不倫やらでドロドロします。昼ドラみたいです。総じて親はクズです。ただそこが面白いんですけどね。
後は上記の事柄かな。

もっと突っ込みたい点
・無駄に長くて覚えにくい名前
名前を覚えるのがめんどくさいがまぁフランス人だもんね。
・やたら出演人数が多い
顔と名前と人間関係を覚えるのがry
・人間関係が整理しにくい
まぁ人間ドラマだからしょうがないけど度々wiki見て確認して誰が誰と家族で誰が誰と不倫してるとか確認してるうちにややネタバレ食らったのは痛かった。見てない人は見終わってからwiki見ましょう。


疑問点
{netabare}・なんで少年の女装設定にした?素直に少女じゃダメなの?
・なんで23話でキスした?ハグだけで良かったのでは?これのせいでなんか冷めちゃったんですが…
・なんで23話で親父を置き去りにした?まぁ助けなくても良かったけど母親助かるなら助けたほうがスッキリしない?むしろ親父だけ死ぬなら母親も死んでも良かったのでは?
・23話どうして天井が崩れて崩壊したの?まぁ演出なんだろうけど
・なんでテクスチャとかいうの使った?まぁ後半には慣れてたから気にならなかったけど慣れるのに12話位はかかった。
・どうしてホモ要素を取り入れた?原作もそうだから?フランスなら普通なの?どうして日本風にしなかった?
・フランスってホモ多いの?ほっぺにキスは挨拶なの?
・どうして男のキラキラ演出を入れた?女向けにしたの?それとも煌めいたらいい男に見えるの?
・なんでニューヨークに一緒に駆け落ちしなかった?やっぱホモだったの?伯爵とケリを付けたいからって事でいいのかな?
・前半やたらダレてないか?十数話にまとめたほうが面白かったのでは?
・つかみが足りなさ過ぎない?
・10年程度でのし上がれるのか?
・金の亡者のおっさん何処行った?
・やっぱりペッポは主人公が好きだったの?
・このアニメって知名度高いの?売り上げ上がったの?
・このアニメをダメにした犯人って
友情デザイン - 小林誠?
・巌窟王のフランス語わかんないんだけど?{/netabare}

何はともあれ見どころは後半の怒涛の流れですねぇ~
本当に凄いです。一気にフラグ回収していきます。
そこまでがダレて長いし顔と名前を覚えるのが大変で残念なんですが、8話から解決編へ!12話でムネキュン!頑張って18話まで見れれば泣けるかも?もうその後は怒涛の展開です。
時間があれば是非ともお勧めしたいかもしれない隠れた名作でした。
それからEDマジかっけぇ!

投稿 : 2019/12/07
♥ : 13
ネタバレ

Etzali さんの感想・評価

★★★★★ 4.8

人は愛するが故に笑い、泣き、そして憎む…。それでも僕は…

(2012/9/9:1週目)
{netabare}1話~9話までは引き込まれるように観ていましたが15話までは少し中だるみ感が個人的にですがありました(^_^;)それ以降は食い入るように観れたので良かったです!

フランツの言葉で印象に残ったのは、「愛しさと憎しみなどは人を思う感情から生み出される」ですね。
モンテ・クリスト伯爵の復讐は人を想うが故に起こった事なのかもしれません…

良い作品でした!まだ観たことがない人はぜひ一度観てください(^・^){/netabare}

(追記:2012/11/30 2週目)
25年前、無実の罪を期せられた伯爵が25年後に復讐相手の家族を巻き込みながら復讐を成し遂げる物語です。

内容は復讐劇だけあって、かなり濃いですが主役は伯爵ではなく、アルベール子爵です。

伯爵の復讐ですが、{netabare}「他人の恨みや妬みと言うものは本人の預かりしらぬ所で密かに成長していくものです。本人が幸せであればあるほど」{/netabare}からもわかるように憎しみを強く抱いています。

ですが、{netabare}ダングラールに復讐を果たす際,伯爵(巌窟王)は毅然とした顔をしていたのに対しエドモンは泣き顔だった{/netabare}ので、憎しみだけでなく友人に手を掛ける事に対する悲しみもあったのでしょう。

そんな伯爵の最大の復讐相手であるアルベール子爵に送った言葉が{netabare}「待て。しかして希望せよ」{/netabare}でした。
なぜ、この言葉を送ったのか?{netabare}「悲しい時に想いが相手に届かず、愛が憎しみに姿を変える時もあるだろう・・そんな時は子供のころを思い出してほしい。傷ついても傷ついても真っ直ぐにしか愛せなかったあの頃を」{/netabare}から思うのは、かつての伯爵はアルベールのような真っ直ぐな性格だった事が窺がえます。

復讐事態は伯爵メインで進みますが、もう一つの復讐(伯爵の大きな復讐の過程として利用された)で観られるカヴァルカンティ候(CV:関智一)の演技力にも目を向けてみて下さい。

伯爵の復讐は絶望、憎しみ、畏怖の念に満ちていたかもしれない。それでもアルベールは{netabare}「貴方(エドモン)のように生きたい」{/netabare}と伯爵の{netabare}死に際{/netabare}に言った。

伯爵の真っ直ぐな愛が何時しか憎しみに変わり、復讐という形で幕を閉じたとしても、それでも僕は傷つく事を恐れずに、かつての伯爵のように真っ直ぐに人を愛する…



以下、楽曲の和訳
(検索したら見つかったので勝手ながら拝借しましたm(__)m)
・OP

{netabare}心にもない残酷な言葉
そして嘘もあった

決して貴女を泣かせるつもりなどなかった

でも愛とは私達を弱くする反面
強くもするもの

そしてまもなく

私は完全に貴女に心を奪われた
貴女に溺れ

自分を見失い 貴女に魅了され
翻弄されて 私は茫然とする

すべては思うままに

だから今宵私は歌おう
全ての友への歌を

二度と会うことのない友へも

昔の友
いまでも敬愛する友たち

そしてもう一度会いたい
友の為に歌おう

貴女が私を愛してくれることを
ただ祈る そして
私を信じてくれることを

私と共に笑い 共に泣き
静かなる時を共に過ごしてくれることを祈る

永久の愛を私に

貴女と私は恋人同士だった

二人の夢が潰えたのは
人生のせいではない

そう友の裏切り

そして私達が結ばれることは
もう決してなくなった{/netabare}

・ED

{netabare}私はもはやかつての私ではない

そして、お前の目にするものは、真実と異なっている
 
私はお前に会う為に、こうして宇宙を越えてきた

未知なる物を恐れる事はない

お前は気付かないだろう

お前は気付かないだろう

私の一撃までは!
                                         
私が一人の男だった時、一人の女性を愛した

しかし今の私は過去から来た化物だ
 
復讐は時間をかけ慎重にやるのが効果的なのだ

遠からず全ては私の思惑どおりになるはずだ

お前は気付かないだろう
  
お前は気付かないだろう

私の一撃までは!

お前は気付かないだろう

お前は気付かないだろう

私の一撃までは!

エドモン

私の名を呼ぶがいい

それが私の名だ

エドモン

それが私の名だ!
                   
エドモン

私の名前なのだ!!{/netabare}

投稿 : 2019/12/07
♥ : 31
ネタバレ

文葉 さんの感想・評価

★★★★★ 5.0

良作SFミステリー

「三銃士」で有名なアレクサンドル・デュマ・ペールの小説「モンテ・クリスト伯」を元にしたアニメ。
脇役の一人に過ぎなかったアルベールを主人公にしたり、
未来のパリや、宇宙を舞台にしたりとSF色を強くしてる。

制作:GONZO 全24話

一部衣装をANNA SUIがデザインしたり、
作画は衣装や模様にテクスチャーが浮かんだり目に慣れるまで独特ですが綺麗です。
愛と復讐がテーマなので、貴族同士の泥沼満載なので人によっては視聴中ストレスが溜まるかもしれない。
精神的に不安になるような背景と効果とキャラが若干いるので、
ファミリーで観たり、お子様と観るのはオススメできないです。
一人でコッソリ嗜むのがオススメ。

衝撃の18話{netabare}
EDで有人操縦式の人型ロボット兵器みたいなのが出てたので気になってましたが、あれは「鎧」と呼ばれるようですね。
突然鎧で戦う場面見たときは「間違えて違うアニメの録画したかな??」と思うほど世界観とマッチしてなかったですw
その鎧の威圧感と不自然さに爆笑してたら、実はアルベールは一服盛られて
フランツが戦ってると気づき表情が青ざめました。

アルベールのことを「友以上に」想い、伯爵の真の姿を見破って警告していたのはフランツだったんですね。
アルベールは潜伏偵察するときも正面から行こうとしたり純粋ゆえの世間知らずでしたが、フランツのような良い友達に恵まれたことは唯一の幸運でしょう。
フランツが惨たらしい死を迎え、アルベールが叫び、唐突に迫るEDには
あまりにも恐怖を感じて・・18話を観た後は何もやる気が出ずベッドに横たわってはフランツのことを考えました。
普段アニメの内用は引きずらないはずですが、次の日の仕事の時さえ落ち込むほどにこのアニメにハマったことに気づいたのです。{/netabare}

OPとED{netabare}
OPとEDがどちらもJean-Jacques Burnelの曲。
洋楽のアニソンって珍しいですよね。
どちらもモンテ・クリスト伯爵/エドモン・ダンテスの心情を歌った歌詞でOPは「WE WERE LOVERS」最終回で和訳付きで流れるので鳥肌です。
EDは「You won't see me coming」ドラム連打から曲が始まり復讐や恨みを綴った歌で歌詞の中に何度も「エドモンダンテス」と入ってることから23話のクライマックスに繋がります。

<親愛なるアルベールへ>
(20話のフランツの手紙がメッセージ性があったので忘れないように一部記したいと思いました)

「君がこれを読む時はおそらく俺はもう傍にはいないだろう
だからプレゼントの代わりに聞いて欲しい
アルベール・・いいか 決して誰も恨むな
俺、思うんだ

愛する気持ちも、憎む気持ちも、
最初は人を思う気持ちから生まれたんだって
悲しいことに思いは時として相手に届かず愛が憎しみに姿を変えることもあるだろう
そんなときは子供の頃を思い出して欲しい
傷ついても傷ついてもまっすぐにしか愛せなかったあのころを

どうか生き続けてくれアルベール
傷つくことを恐れずまっすぐに人を愛して
お前に逢えて本当に幸せだった」

この言葉があったからこそ、アルベールは誰も憎むこともなく
ただ真っ直ぐに生きて、第一話の世間知らずな少年ではなく
誰かを懸命に愛せる人に変われたのだろう。
この作品のメッセージ性はこの手紙の中にあると思う。
予告で言っていた「待て、しかして希望せよ」の言葉の意味を
最終回のエドモンの手紙で知り、今、余韻に浸る {/netabare}

感想とまとめ{netabare}
視聴時、凄くストレスが溜まった・・
一日一話で見てると前半(特に一話目なんて)穏やかな始まりだったけど
後半に進むにつれて貴族同士の泥沼やユージェニーの両親、エロイーズに凄く腹が立った。ユージェニー可哀想すぎる・・。
アンドレア・カヴァルカンティ侯爵が外面良くしてるのに時々悪意に歪んだ表情を見せるのが素直に気持ちが悪くてスタッフの魅せ方がすごく上手いと思った。
毎回語り手がフランス語でシャレオツって思ってたら22話で語り手が巌窟王と知る。
巌窟王+エドモンダンテス=モンテ・クリスト伯爵と知るまでの過程も丁寧で面白い。
ペッポが女装の美少年という設定を途中忘れて、アルベールがユージェニー奪回する20話は心に染みた。最終回でモデルになったのは意外(笑)
最終回でアルベールが苦労の末に大使の秘書となり、ヴァランテーヌとマクシミリアンが幸せそうで良かった。 {/netabare}

投稿 : 2019/12/07
♥ : 41

64.4 3 古典文学アニメランキング3位
超訳百人一首 うた恋い。(TVアニメ動画)

2012年夏アニメ
★★★★☆ 3.6 (360)
1630人が棚に入れました
はるかな昔から、歌い継がれ、愛されてきた百人一首。 藤原定家が選定した百の和歌には、現代の私たちも共感できる 普遍的な“人の思い”がみごとに詠みこまれている。 とりわけ、「恋」の和歌にこめられた思いは、驚くほど昔も今も変わらない。 そんな百人一首の深い魅力を、恋の歌を中心に、アニメと超訳でわかりやすく お届けします。

声優・キャラクター
梶裕貴、諏訪部順一、早見沙織、遠藤綾、内田夕夜、千葉進歩、下野紘、大原さやか、遠藤大智、小林沙苗、森久保祥太郎、宝木久美、代永翼、佐藤祐四

こたろう さんの感想・評価

★★★★☆ 3.7

惚れた腫れたは時代を超える

視聴層はおそらく女性向け。
百人一首に名を連ねる歌人達の恋物語を、その歌の内容から想像して創造しているお話です。
歌や文を交わして親交を深める平安貴族の風雅で優美な色恋を綴った素敵な世界。
現実ににそうであったか史実はさておき、メロメロな愛のドラマが盛り沢山な作品となっています。


ストーリーテラーとして、百人一首を編纂した藤原定家が進行を勤めますが、特定の主人公はなく、歌人達の群像劇となっています。
あたりまえですが、各話が百人一首に読まれた歌、またはその詠み人にちなんだお話。
基本的には一話完結形式ですがが、それぞれのキャラクターには繋がりがあって、数話を繋げて1人の歌人の生き様を表現していたりで案外と凝った構成。
小野小町、清少納言、紫式部などなど、誰もが知る有名な歌人、特に女性の扱いが大きいです。

平安の時代、お堅いイメージがありますが、性に関しては結構フリーダムな時代。
加えて貴族ですから、後宮にあがったり寵姫に仕官したりの立場の方が多くて、そっち系にナマナマしいです(〃'▽'〃)
こういうお話は大人の淑女達が好むところですね。
優美で切なさも入り混じった物語となっています。


作画は独特。
線が太く、和柄の貼りつけなどが使用されており、メリハリはありますが、動きはあまりありません。
キャラデザ的にはイケメンや美女をとされるキャラを書いていますが、取り立てて綺麗という事もなくモッサリとした感じ。
嫌悪感はありませんが、決して良質とは言い難い映像です。
歌を詠むシーンなどは気合の作画を見せて欲しかったですが、そういう部分に尽力する作風でもなさそうなので、そこを期待するのも酷な気がします。
アニメというより、動きのある絵巻といった印象でしょうか。

絵で魅せるタイプではないので、キャラの語りと演技が重要。
この点ではベテラン声優さんが頑張っていました。
感情を荒げるような事は少ないですが、恋にまつわる悲喜交々を、気品があって情熱的なキャラとして演じきっているのはさすがです。
雅な雰囲気は決して崩さずに、それでいてコミカルな部分では肩の力が抜けた歌人達。キャラ立ちはどれも良くできていて魅力的です。


ちょっと独特な味を持ったアニメでした。
歴史ものになるので堅苦しいイメージがありましたが、百人一首や登場する歌人は我々に馴染みが深く、とっつきにくさありませんでした。
特に、第一話で詠まれた歌は、古今集より在原業平(ありわらのなりひら)の歌。
↓つまり、これ。

ちはやぶる 
 神代も聞かず竜田川
  たつたがは韓紅に
   水くくるとは

グーゼン?
いや、意識してチョイスしてますよねぇ?^^;

投稿 : 2019/12/07
♥ : 26

ようす さんの感想・評価

★★★★☆ 3.7

和歌の素晴らしさ、日本語の美しさ。ぜひ触れてみてください…^^

藤原定家(ふじわらの ていか)が集めた、百人一首。

百人一首に収められた歌が詠まれた経緯や背景を物語にしています。

なんだか受験時代の古典を思い出したよ。

私は古文、読むのは好きなほうでした。
(原文を読んで意味を理解するのは苦手だったから、テストは嫌いだった^^:)

だからかな、この作品、とてもよかったです。気に入りました。

古文嫌いな受験生にも、おすすめだよ!笑

全13話です。


●ストーリー
100人の歌人から1首ずつ選んで作られた百人一首。

そのうち、43首が恋の歌。

この物語では、恋の歌に焦点を当て、その歌が詠まれた経緯や、詠み手の恋の話が描かれています。

「あ、この歌聞いたことある!」というような有名な歌や、「あ、この人知ってる!」というような有名な歌人。

その背景を詳しく知るのは、とてもおもしろかったです。

ただ紹介されるだけじゃなくて、物語は”超訳”の名の通り、

とても親しみやすく、わかりやすくアレンジされています。

1つ1つの和歌にその人の人生、気持ちのワンショットが刻まれていて、

意味や背景を知るたびに「ほう。」と、美しものに触れた心地よさがありました。

登場人物の言葉づかいもきれいで。

美しい言葉は聞いていて気持ちがいいね。


私が高校古文の教師なら、この作品は絶対おすすめするね。

テストに出るとか古文が得意になるとか、そういうのじゃないけど、

古典の世界に親しみが持てると思うよ。

「あ、今も昔も、人間は同じなんだな。」って^^

今の時代と想いの伝え方などは違っても、

相手のことを考えると胸が張り裂けそうな気持ちは変わらない。


●音楽
音楽だけは、好きになれなかったなー^^;

あまり本編の雰囲気と合っていないように思ったよ。

映像で多少ごまかされてはいたけど…。


●キャラクター
登場人物は多いし、名前は似てるしで、覚えるのがちょっと大変でした。

でも、自分が期待していた以上にキャラがよかった!!

着物がいい!!

着物ってなまめかしいよねー。大人の色気があるよ。

<男性キャラ>

狙った女の人にぐいぐい迫るの、どきどきしちゃった(笑)

この作品で初めて、貴族萌えを覚えてしまいましたww

<女性キャラ>

自由のない時代だけど、それでもしたたかに生きる女性の凛とした強さ。

そういう生き方や魂の持ち方、憧れます。私もそういう心の強さを磨きたい。


●まとめ
視聴前の期待を良い意味で裏切る、素敵な作品でした。

今と同じように昔の人もいろんなことに悩んで、もがいていた。

そしてその気持ちを歌に込めた。

そんな歌や物語が現代まで読み継がれている。素晴らしいことですね!

古典文学にもっと触れたくなったよ^^

投稿 : 2019/12/07
♥ : 24
ネタバレ

takumi@ さんの感想・評価

★★★★★ 4.4

<最終回まで視聴完了> 恋する想いはどれほど時代を経ようとも

<最終回の感想>

百人一首の選者であり、全話を通してパーソナリティ役を務めていた定家が
今回の主人公となり、とてもきれいにまとまった最終回だった。

この作品が一番言いたかったこと。
定家自身もそう想って百人一首を選んでいたのではと
思わせてくれるような説得力があった。

また全話通して、当時の身分の差からくるせつなく哀しい想いや男女のルール、
雅やかな衣装と歌の世界を、現代語を交えた斬新なシナリオで見せ
わかりやすかったし、引き込まれたエピソードも多かった。
結局、どれほど時代が変わっても、やはり恋というものはいつの世も
同じ想いに駆られるものなのだということを、時には面白おかしく
時には親心なども交えて幅広い世代に共感を呼んだのではないだろうか。

キャラデザや作画、演出には好みが分かれるかもしれないし
最新の技術を駆使したスピード感あふれるアニメに慣れた人からは
いくらか退屈な部分があったかもしれないけれど、そのあたりは
平安の世を描いていたからこそ、逆にこれで良かったのかもと思うし
個人的には毎回楽しみにできた大好きな作品の1つになった。

残念ながら1クールだったので当然百首には叶わず、恋を詠んだ歌も
まだまだ他にあるのだけれど、仕方ない。
でも最近また、百人一首の解説本を引っ張り出して読んでいたりして、
そんなきっかけを作ってくれた嬉しい作品だった。

今回の最終回で式子が言った言葉・・・
{netabare}
「不自由さの中、歌だけが自由で、歌の中でだけは自由でいられるのです」
{/netabare}

・・・あまりにも深く共感しすぎてなんだか耳から離れない。
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<12話の感想>

せつない話が続いて今回は身分の違いから結ばれぬ運命にある2人の悲恋。
身分など考えなければ、ワイルドな雰囲気の道雅と
無邪気で明るい当子はお似合いのカップル。
しかも出会いは当子が幼い頃で、きっかけはとある約束ときた。
同じエピソードの流れを前半は道雅視点で、後半は当子視点で描き
どこでどうすれ違っていったのか、よくわかったけれど
この演出法を25分間の間で見せるのはいささか、もったいない気がした。

それに、娘とその恋人の仲を引き裂いておきながら、
娘の恋路に理解を示してやれないとかで世を墓なんで出家を
考える父親ってどうなの??
いくら天皇だからとはいえ、出家するくらいならその勢いで
娘の想いをもう少し汲んであげても良かったのでは・・などと
思ってしまうのは、半分以上現代風にアレンジされた作品だから
なのかもしれない。

さて来週は最終回のようで・・どんなお話でまとめられるのか楽しみ。

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<11話の感想>

これまたせつないお話で。
そのせつなさは、あの時代の女性同士だからこその部分もありつつ、
現代にも通じるものがあるなぁと。
「女のクセに」と言われながら才気を発揮していった香子(のちの紫式部)と
「女のクセに」と言われながらお転婆の限り腕力をふるった藤子。

「男になんか負けない」と目標を持ち、笑いあっていた年月も過ぎ、
その先に立ちはだかるそれぞれの壁。

藤子に「あなたが男だったら良かったのに」と言われ
かつて父親からも「男に生まれてくれたら良かった・・」と言われた香子が
唯一の理解者であった親友・藤子を想う気持ちは、
痛いほど伝わってきた。
そして再会を素直に喜べないまま無視してしまった藤子の想いも
わからなくはなかった。

視聴しているこちら側としては、双方の心の揺れも昂ぶりも
しっかり観れているから納得するけれども、
当の本人達は電話もメールもない時代で、心を打ち明けるとしたら
それはもう文しかないわけで。

紫式部の「めぐりあひて 見しやそれともわかぬまに
雲隠れにし 夜半の月かな」というあの歌が
焦がれ親しんだかつての友を想うものだったとは、知らなかった。
とはいえ、これは百合的に描かれたまま観るべきものではなく、
幼馴染で育ったという環境が背景にあって、なおかつ
逆境の中でお互いの才能の唯一の理解者だったということが深い友情を
生んだのだし、そこを履き違えてはいけない気がした。
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<10話の感想>

今回は百人一首の中になぜ、定子様の歌が選ばれなかったのか、そして
「枕草子」に清少納言が託した想いとは・・という2つの話だった。
一方、行成とのその後、実方のその後も描かれ、せつなかった。

また、悲運に見舞われた定子の、死の直前に詠まれた歌は
あまりにも悲しいもので。
でも枕草子には、定子との楽しかった日々のみが書かれており、
それを見た藤原定家が何を感じ取ったかは、すごく共感できた。

楽しかった思い出は前向きに今を頑張るためにある。
という言葉がとても印象に残った。

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<9話の感想>

ともに親が有名な歌人であるがゆえに和歌が苦手と言うことで
意気投合した藤原行成と清少納言のお話。
気が合う部分が多くても、すぐに恋愛に発展するわけではなく
苦手な和歌で無理やり、やりとりをするより、手紙の往復。
その文章にしても、会った時の会話にしても、なかなかスパイシー(笑)
一筋縄ではいかない関係に、周囲も無関心になっていき。。
だからなのか、すごく余裕を感じさせるし、面白かった。
でもあんな皮肉ばかり言ってる会話は、実際疲れそうだし
長い期間そんなことしてると本当に友達のままになってしまうよね(苦笑)
次回はそんな2人のゆくえも描かれるようで、すごく楽しみ。

この作品の今までの話を振り返ってみて、小野小町のエピも良かったけれど、
清少納言にまつわるエピは重なる部分や共感する部分が多いからか、
さらに心を揺さぶられてしまう・・

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<8話の感想>

前半は、後の清少納言となる諾子の兄の、遠距離恋愛の話。
信じるものが何も無い人生は死に等しい・・確かにそうかも。
けれど、信じ続ける、想い続けるのは難しく、人の心は移ろうもの。
前半の話にもけっこう共感できたけれど、少し幼い感じがして、
それゆえにか後半の話がとても大人の恋に思え、感動した。

のちの清少納言となる諾子と藤原実方との恋の行方。
彼女の才能を何よりも愛した彼の決断と、その本音。
自分の出世より彼を愛する想いを優先させたい彼女の気持ち。

記憶と重なるセリフや想いに、観ていて思わず
心揺さぶられてしまった。
そして今回、実方の表情が特に繊細に描かれていて素晴らしかった。
気づいたらボロ泣き。
それに今回、前半と後半の2つの話の組み合わせ方が秀逸。

{netabare}
在原業平と同様、光源氏のモデルとも言われた彼、藤原実方。
意地悪な見方をすれば、プレイボーイらしい別れ方なのかもしれないが、
自分が見込んだ彼女の才能が開花した華々しい姿を見届けるために
あえて一緒にならない道を選ぶことや、予想通り羽ばたいている彼女の
成功をみつめながら冗談を交わすそのひそかな愛情は、とても切なく、
そんな身の焦がし方は大人の恋ならではと感じた。

想うままに自分の傍に引き寄せることばかりが愛じゃなく、
あえて突き放したあと、男女の友情を成り立たせてしまう。
実際はそのほうが長続きする関係も多い。
さすがだわ実方様(笑) 鮮やか過ぎて何も言えへん~
{/netabare}

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<7話の感想>

リアルタイムで観た時、ちょっと酔っていてうろ覚え。
2回目観て共感しながら後半爆睡。
3回目観ながら和歌を堪能、もう一度確認したくて4回目視聴。
なぜかこの7話だけ4回も観てしまった(笑)

対照的な男性2人だけれど、どちらもなかなか魅力的。
前半の源保光の娘の素直なしとやかさも良かったけれど
後半の高階貴子の結婚に対しての固定観念がなかなかリアルで
興味深かった。
どっちの結婚が幸せかなんて野暮なことは考えないけれど
観終えた後でじわじわ、いろいろ考えてしまう回だった。

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<6話の感想>

いやはや、番組間違えて録画してしまったかと思ったよw
今回は完全なるパロディ回。
G1だったり、徹子の部屋や新婚さんいらっしゃいだったり、
ホストクラブやカジノも登場~で、設定はしっかりしてるのがミソ。
なかなか盛りだくさんな構成でいながら、よくまとまってたし
最初から最後まで笑い通しだったせいもあり、あっという間に終わったw

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<5話までの感想>

百人一首の中でも、主に恋にちなんだ短歌をテーマにした
コメディ・タッチのストーリー。

平安時代の歌の世界観や人物たちの会話の中、「オタク」や「コスプレ」
「聖地巡礼」や「スルー」などといった流行語や現代語を交えた言葉や
現代訳が登場するので、古典を本格的に楽しみたい方からは賛否両論
あるかもしれないが、間違った解釈はしていないし、現代人にはとても
わかりやすく共感しやすくなっている分、親しみも感じやすい。

OPやEDの音楽も、百人一首の世界を意識した歌詞でありながら、
あえて現代の先端をいくような音楽にしていることに意味があるというか。
短歌という限られた文字数の中に想いを含ませ、恋する気持ちや
自分の本音をしたためた平安時代も、根底に流れている想いは現代と同じ。
時代がどれほど変わっても、恋する想い、愛する気持ちは変わらない
ってことが言いたいのだろう。

恋をすると誰しも、詩人になったりするしね。
また、今の世に名と作品を残している平安時代の歌人もまた、
現代の詩人や作詞家と同じように、歌を自分の居場所とし
形あるものとして残していくことに、自分の存在意義を感じていたのだなと
そんなことを思えると嬉しくなる。

なので史実に基づいた忠実な再現ドラマにするのではなく、
ある程度は資料を基にした関係や事実だとしても、今風に置き換え、
最終的には百人一首を深く理解していれば良いのだと思う。

構成も見やすく、毎話・・その回に登場する詠み人を主人公に
それぞれエピソードを展開ながら想いや交流を描いている。

監督は『ハチミツとクローバー』や『のだめカンタービレ』などで
おなじみのカサヰケンイチ氏
シリーズ構成は『うたプリ』などの金春智子さん。
キャラクターデザインは『君と僕。』『ちはやふる』
『銀河へキックオフ!』のつなきあき氏。
ってことで、スタッフ見ただけでも観る気満々だったが
キャストのほうも、以下の通り豪華な顔ぶれ。
もともと古典は好きだし、もう観ないわけないやんって感じで
今現在、第5話まで視聴済み。

個人的には2話の「貞明と桜子 陽成院」に、ちょっと泣けてしまったり
3話の「宗貞と吉子 僧正遍昭」の、幼馴染であった吉子(小野小町)と宗貞の
兄妹のような関係にせつなくなってしまったり、
5話「東下り 小野小町」での老いてしまった小野小町の想いに
つい共感してしまったりと、毎回飽きることなく楽しめている。

というわけで最終話まで何度か、感想を更新しながら編集していく予定。
なので☆評価はそれまでの間、暫定です。

藤原定家 - 梶裕貴
在原業平 - 諏訪部順一
藤原高子 - 早見沙織
小野小町 - 遠藤綾
良岑宗貞 - 内田夕夜
文屋康秀 - 千葉進歩
宇都宮頼綱 - 下野紘
式子内親王 - 大原さやか
在原行平 - 遠藤大智
弘子 - 小林沙苗
陽成院 - 森久保祥太郎
綏子内親王 - 宝木久美
紀貫之 - 代永翼
喜撰法師 - 佐藤祐四
藤原義孝 - 石田彰
高内侍 - 平田絵里子
藤原道隆 - 楠大典
清少納言 - 茅原実里
藤原実方 - 子安武人
藤原行成 - 寺島拓篤
藤原斉信 - 曽世海司
藤原公任 - 岸尾だいすけ
清原元輔 - 中博史
清原致信 - 豊永利行
末の松山 - 南里侑香
源保光の娘 - 潘めぐみ
中宮定子 - 折笠富美子

投稿 : 2019/12/07
♥ : 47

62.7 4 古典文学アニメランキング4位
怪~ayakashi~Japanese Classic Horror[アヤカシ](TVアニメ動画)

2006年冬アニメ
★★★★☆ 3.6 (175)
866人が棚に入れました
本作はそれまで少女漫画原作のアニメ(「ハチミツとクローバー」など)を放送していたノイタミナ枠の路線とは打って変わり、日本古来の怪談の中から著名な三話『四谷怪談』、『天守物語』、『化猫』を元に、俊英クリエーター達が原作を独自に解釈、あるいは新規にストーリーを書き起こして現代的な視点・様式を加味し、原作既読者も新鮮な感覚で視聴できる前衛風味の強い異色作となった。(その後のノイタミナ枠作品は、再び少女漫画原作ものアニメ路線に戻った、)
それぞれの三話はオムニバス形式として制作され、それぞれの作品にストーリー上の繋がりは特に無く、制作スタッフも別チームが行なった。この事により、各作品は全く別の作風に仕上がっている。作画もまったく異なる。

ワドルディ隊員 さんの感想・評価

★★★★★ 4.2

日本怪談の3話を元にしたオムニバスホラー

このアニメはオムニバス形式のホラーである。

1~4は四谷怪談、5~8は天守物語、9~11は化け猫
と3部構成になっている。

四谷怪談
伊右衛門やそれを取り巻く人間達の都合により、
命を落としたお岩さんが伊右衛門に対し、
祟りをなしていき追い詰めていく幽霊物。
いわば、お岩さんの復讐劇である。
原作が非常に有名な物語であるのもあいまって、
見ごたえのある作品ではないかと思う。
4話終盤から四谷怪談ができるまでの背景や、
上演後におこった事件を語る形式に展開していく。
個人的には不必要ではないかと感じた。
だれてしまったからだ。伝えたいことはよくわかるのだが
無理やり埋め込んだ印象。出来は良かっただけに
非常に残念な所である。

天守物語
白鷺城の天守には、忘れ神が住んでおり城を守っていた。
天守の主富姫は鷹探しにやってきた図書之助と出会ったことで
その後の運命が大きく変わっていく。
いわば、忘れ神と人間のラブストーリーである。
この中ではホラー要素は一番少ない。ラストも切ない。
主人公は浮気しているため、好感を持てないが。
恋は盲目とは正にこのことだろう。

化け猫
とある武家屋敷において、殺人事件が発生した。
武家屋敷を訪れた薬売りは、物の怪の仕業であると確信し、
物の怪を退治するために道具を駆使して
武家屋敷に起こった過去の歴史を捜査していく。
基本はホラーだが、サスペンス要素も多い。
人間の業をよく体現した作品だと思う。
他のエピソードと比べても作画や演出が卓越しており
芸術作品を見ているかのような錯覚に陥る。
癖が強いので苦手な人もいるかもしれないが、
3つの中では1番出来がいい。
ホラー作品が好きなら見ることを推奨する。
個人的には傑作の域だと思う。

他のエピソードも面白かったが、それ以上に化け猫は
もう1回見たくなるほどの素晴らしい作品であった。
化け猫は名作の域に達する。

投稿 : 2019/12/07
♥ : 6
ネタバレ

ワタ さんの感想・評価

★★★★☆ 3.8

四谷怪談6点、天守物語5点、化猫9点

※採点は10点満点

初期ノイタミナ。3つの怪談話によるオムニバス形式の作品。


●四谷怪談(全4話)

怪談話としてメジャーだが、最低限の知識しかなかったので新鮮な気持ちで観れた。
{netabare}終盤で四谷怪談に纏わる歴史を語る方向に話はシフト。
「観客自身が祟る事を望んでいる」という台詞には、なるほど、と唸らされるものがあった。{/netabare}
ただ、尺の大部分を四谷怪談の物語そのものに費やしていて
いかにも低予算で作った感のあるヘボ作画や
チープ感が漂う演出(一部、恐怖を煽る演出は良かったけど)含め、正直微妙な出来。
本作の内容をよく知る人にとっては、アニメ化の意義を感じられないという感想を持つかも。


●天守物語(全4話)

愛し合ってはならない人間と神、異種族間の悲恋を描いた物語だが
その定型フォーマット通りの展開で、やや物足りなさを感じた。
四谷怪談同様、作画も演出も低調。
心理描写が不足しているためか、メインの男女に全く感情移入できない。
ただひたすら身勝手で傍迷惑な2人だなーとしか思えなかったです。


●化猫(全3話)

散々言われてるけど、これは凄すぎる・・・別格。
質感たっぷりの和紙に浮世絵を描いたような、独特で美的センス溢れる背景。
カット割やカメラワークも印象的で、思わず画面に釘付けにされる。
特に化猫目線によるカメラワークは秀逸で、とてつもない緊張感を醸し出している。

物語の内容や構成もよく練られているし、ミステリアスで色気のある薬売りのキャラも良い。

陰鬱な空気を吹き飛ばすクライマックスの殺陣シーンがまた素晴らしく
ありえない程よく動くしエフェクトも派手で見栄えたっぷり。思わず何度も見返してしまった。

物悲しくも救いを感じさせる結末含め、全てにおいて文句なしの出来栄え。
アニメーションの持つ多様性を示してくれた傑作です。


なお、3作に通じて言えるのは声優陣の豪華さ。
特に四谷怪談でのお岩さん演じる小山茉美の恨みのこもった演技や
天守物語での桑島法子、化猫での櫻井孝宏による艶やかな演技は絶品。

そしてOPの謎ラップ・・・hey yo チェキラ!的なノリに最初は戸惑ったけど
化猫に関してはマッチしていると言えるかもしれない。(単に慣れただけ?)
hey hey yo yo! 魑魅魍魎!

投稿 : 2019/12/07
♥ : 32
ネタバレ

ポール星人/小っさ さんの感想・評価

★★★★☆ 3.9

全体としては悪くないと思います

全て見終えたので更に追記

四谷怪談
定番の怪談で有りますし、殆どの映像化が不幸なお岩さんへの同情と無念を晴らしての成仏で作品として組み立てててる筈です。
私も、この作中の四谷怪談もその方向で泣かせに来ると思ってたんですよね。
でも、それにしてはチョット心情に訴える部分がイマイチだったもので、天野善孝デザインが売りでは有るもののありきたりな凡作だなと思ったんです。そしたらこのエピソードの語り部である東海道四谷怪談の原作者鶴屋南北が語る訳です。
{netabare}
これは創作物語であると。
しかし初演以降、現代に至るまでこの作品に携わった方々を不幸が襲う。これは呪いである。
では誰の呪いなのか?
作中の鶴屋南北は、この作品を観た者の呪いだと結論付けるんですよね。
お岩さんへの観客たちの同情は、物語の中の伊右衛門の復讐の完結だけで納まらず彼女への共感として今も影響を与えているんだと言う訳です。

来ましたよ、ミーム説w
lain観てる最中にこう来ると、俄然評価UPの自分の浅はかさ嫌になります。また難しい概念に翻弄されちゃう俺、踊らされ過ぎ(汗)
{/netabare}
という事で、途中退屈なんですけどラストで ほぇ? となって中々でした。

んで、天守物語
まぁ・・・以前も感想描いてるのでw
30分4話に無駄に広げなくて良かったのにと今でも思います。
どうせなら、高野聖か天守物語+夜叉ヶ池で4話使えばよかったのにとか。

んで、化け猫
 も前に書きましたのでね。
モノノ怪が好きな方は是非~という事で。

結局総体で観るとまずまずの四谷怪談とイマイチな天守物語が、素晴らしい出来の化け猫の足を引っ張った感じで微妙かなと思います。



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 そういえばモノノ怪の原型であった化け猫の部分をまだ視ていなかったなと思い出したので視聴しました。
モノノ怪の方の最終エピソードの化け猫と違って、こちらの方は海坊主とかのっぺらぼうの様な悲しくて泣ける話ですね。私は泣いちゃいました。
とてもイイと思います。
 まだ四谷怪談は観てませんが、確かに制作側がこの化け猫という作品をこのままで終わりにしちゃ勿体ないと思ったのも納得のクオリティです。
オサレアニメとかホラーだとか、そういう色眼鏡でコレを観ないでおくのは絶対勿体ないです。この化け猫の部分だけでも観る価値有ります。
この化け猫だけの評価なら私は4つ星以上付けたいです。
・・・天守物語がちと残念な出来ですしねw
とりあえず暫定で評価上げます。

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他の方のレビューで、この作品の中盤が天守物語をアニメ化してると知りましてソコだけ見ました。
泉鏡花が好きなもので、ちょっと期待してたんですが・・・まぁ天守物語原案と言う程度で別物ですね。

 原作の天守物語はもっとシンプルで短いお話ですが、30分×4話にするが為に話広げてます。
私の原作のイメージって、表現難しいんですが原作ってもっと富姫とお付の者ものんびりした怪異というか人間臭いイメージなんですけどね。冒頭は遊んでたりしますし。このアニメだと面妖且つガッツリ殺す気満々な雰囲気でして。まぁここら辺は読み手側のイメージの話ですので、アニメの様な表現でもいいんでしょうけど。

 んで、違和感有るのがヒロインの富姫が原作は"夫人"な訳ですが、どうもアニメの富姫は"婦人"に思えるんですよね。まぁ実際富姫は神様みたいな古よりの存在ですから実年齢は高いんでしょうし、まぁ長い年月には色々とアレもあったんでしょうが。
でも泉鏡花が夫人って書いてるんだから、そこ位はアニメも準拠すればいいんじゃないのと思うんですが・・・そこはアニメとしてヒロインは夫人ではイカンという政治的判断だったんでしょうかね。

原作レ〇プと言われても仕方ないかなと思う作りですが、原作から離れて見て見る分にはオッサンの中の乙女心くすぐる恋のお話で御座いますw
ただ正直に言わせてもらえば、せっかく30分×4話ならば高野聖をアニメ化した方が良かったんじゃないの?と思います。

全12話で1~4が四谷怪談で9~12話が化猫という事ですが、似たような作りならばちと表現も雑そうであまり食指動かないかなという感想です。

投稿 : 2019/12/07
♥ : 8

60.2 5 古典文学アニメランキング5位
源氏物語千年紀 Genji(TVアニメ動画)

2009年冬アニメ
★★★★☆ 3.5 (53)
318人が棚に入れました
時は平安時代。桐壷帝とその寵愛を受けた桐壷の更衣の間に、光り輝くように美しい皇子が誕生した。「光る君」と呼ばれる彼は、幼い頃から類稀なる美貌と才能に恵まれていた。やがて光る君は、病で亡くなった母に生き写しという父帝の妃・藤壺に出会い、彼女を慕うようになる。その気持ちはいつしか恋に変わるが、元服した光る君は藤壺と会うことはできなくなってしまう。満たされぬ恋慕の気持ちを埋めるように、彼は数多の女性達と契りを結んでいくようになる……。

声優・キャラクター
櫻井孝宏、玉川砂記子、遠藤綾、平田絵里子、鶴ひろみ、杉田智和、藤田淑子、堀内賢雄

もんぶらん さんの感想・評価

★★★☆☆ 3.0

えっ?って終わり方

学校で習ったこともなく、物語の概要くらいしか
知らない状態で鑑賞しました。

物語を男性視点で描いたのでしょうか?
光源氏のプレイボーイっぷり、これほどまでに
突っ込みどころ満載の物語を初めて見ました。
浮気症もここまで来ると逆に清々しいものを感じますね。

見ていて凄く面白かったし、テンポも良かったと
感じましたが、ものすごく中途半端なところで物語が終わって
しまって残念でした。
尺が圧倒的に足りないのかな?

女性視点の源氏物語も見てみたいものです。

投稿 : 2019/12/07
♥ : 0

じぇりー さんの感想・評価

★★★★★ 4.8

日本古来の文学作品を学ぶという意味でも非常に有意義

平安時代の紫式部が書いた名著「源氏物語」そのもの。
何の設定変更もなされておらず(若干端折っているエピソードもあるが)、ほぼ忠実に描いている。

それが古来の難解な文学としてではなく、アニメになっているのだから、日本の文学作品を学ぶために見るというだけでも十分に価値のある作品と言える。

ただし、源氏物語自体は54帖にも渡る超大作(主人公光源氏の幼少時代~光源氏没後の子供たちの物語)なのだが、さすがにそこまでは網羅されていない点に注意。

とはいえ、個人的には最もドラマチックで面白い序盤の「須磨(12帖)」までの内容が盛り込まれており、ここまでを見るだけでも十分に「源氏物語」の世界を知ることはできるだろう。

単なる平安期にブイブイ言わせたプレイボーイの女性遍歴の話ではなく、政治的要素や当時の貴族たちの生活やしがらみを知ることができる…源氏物語はつくづく奥の深い物語だと思う。

あと、エンディングテーマになっている、中孝介の「恋」もなかなかいい曲。CDを借りてしまった…

投稿 : 2019/12/07
♥ : 7

あーこ さんの感想・評価

★★★★☆ 3.9

タイトルなし

ハイパースペックな皇子が悠々と女遊びをする様を楽しむアニメです。
物語自体は古典の教科書にも載っているし、「あさきゆめみし」が有名です。

原作は女の情念を描いていて素敵な王子と結ばれてハッピーエンドで終わるなんてのは甘い夢ってのをこれでもかというほど書いてあり、そこが源氏物語を名作たらしめているというような事を学生時代に習った気がします。

それがこのアニメでは綺麗なままで終わり、ただただ源氏が遊びまわっているように見受けました。
源氏の声優さんは色っぽくてはまり役でした。

投稿 : 2019/12/07
♥ : 0

58.9 6 古典文学アニメランキング6位
HAPPY★LESSON THE TV (TVアニメ動画)

2002年春アニメ
★★★★☆ 3.2 (30)
269人が棚に入れました
ゲーム美少女キャラクター専門誌「電撃G'sマガジン」に連載されていた読者参加企画を元にアドベンチャーノベルとしてゲーム化された人気作品の、オリジナルビデオアニメ版に続いて製作されたTV版。
天涯孤独の主人公チトセと突然同居することになった5人の先生は、校内でも評判の美人教師。
それぞれとっても個性的で魅力的なその5人が、家に帰ってくるとママとしてあれやこれや世話を焼いてくれるからもう大変。でも一緒に暮らしてることはもちろんみんなには内緒の話。
なお、アニメ版のWEBページでは、HAPPY☆LESSONと記述されていた。連載開始前に掲載された予告編での仮題は「流行少女通信」であった。略称はハピレス。

saccho さんの感想・評価

★★★★☆ 3.3

感想

両親を亡くし,施設で育った男子高校生が主人公。立派な大人にするため,主人公が通う高校の女性教師5人が母親がわりになるべく,主人公と同居するというお話です。親子の愛とか家族の絆とかメインテーマになりますので,ラブコメ度は低いです。感動的なエピソードもありますが,それが完全にふっとんでしまうくらいにドタバタしてます。とにかくドタバタ感が半端なく,話のテンポもお世辞にもいいとは言えませんので,万人受けする作品ではありません。ただ,5人の先生はみな個性的で,魅力的ではあります。気に入ればそれなりに楽しめるかもしれません。興味のある方は是非。

投稿 : 2019/12/07
♥ : 0

浩平 さんの感想・評価

★★★★☆ 3.7

「かつての怪物アニメ(比喩的表現)シスタープリンセスに唯一、対抗馬と為しえた作品」

原作は電撃G'sマガジン連載の読者参加企画である。
内容としては、天涯孤独の身である主人公と5人の先生(当初は2人)との同居生活を、読者がハガキで投稿しストーリーを進めて行くという企画である。
同じく「シスター・プリンセス」も同様の企画から始まり、様々なメディアミックス展開を行いヒットを重ねた。


あらすじ
幼い頃に両親を亡くした高校3年の主人公は、天涯孤独であり唯一残された家も一人で暮らすには大きすぎた。
彼は学校にてクラス担任の一文字むつきをはじめ、5人の女性教師と出会った。
主人公の身の上を知った彼女たちは、それぞれの理由で主人公のママになることを決意する。
そして誰も待っていない我が家に帰った主人公は目を丸くすることになる。
なぜならば、そこには学校で出会った女性教師5人が待っていたのだから・・・。


ストーリーとしては、本作であるTV版の前にOVAシリーズ5巻があります。
しかし、TVで放送するにあたってOVAを観ていない視聴者にも配慮してOVA1巻の内容を再編集してTV版の第1話を放送しました。

主要な登場人物であるママ先生5人と血のつながりのない姉と妹、そしてクラスの委員長については、名前に旧暦の暦が入っているため旧暦の暦を覚えることができました(笑)

5人のママ先生に萌えるもよし。たとえ血のつながりがなくとも、家族の絆は確かにあるのだということを知った作品でした。
この作品は私の人生観を変える出会いでしたね。

投稿 : 2019/12/07
♥ : 6
ネタバレ

ヒロトシ さんの感想・評価

★★★★☆ 3.5

ごにんの びじんままが あらわれた!

シスプリに代表される電撃G'sマガジンの読者参加型企画から生まれたラブコメ作品のテレビアニメ化。天涯孤独の主人公仁歳チトセの前に、突然5人の先生が現われて、チトセの母親として世話をしていくという、真面目に考えても、考えなくてもツッコミせざるを得ない急展開から始まるラブコメ作品。ちなみにテレビアニメ1話はOVA版1話とほとんど一緒で手抜きなんじゃないかなと思うのはここだけの秘密だったりなかったりする。ブレイク前の水樹奈々もチトセの義妹の六祭みなづき役で登場したりもしていた。

ちなみに主要登場人物は

一文字むつき
二ノ舞きさらぎ
三世院やよい
四天王うづき
五箇条さつき
六祭みなづき
七転ふみつき
八桜はづき

と数字を模した苗字と名前に旧暦が入っているのが特徴。私のぞっこんはパイオツカイデー巫女装束17歳ボイスのさつき先生であり、他の先生はアウトオブ眼中だった。当時、古典文学を学んでいたイチ高校生の僕はこれのおかげで日本の旧暦の呼び方を完全にマスターし、小テストで満点を取れた思い出がある。古典の旧暦が覚えられない人には是非ともこのアニメで好成績を修めて欲しい。

{netabare}前半はママ先生のキャラを掘り下げていき、後半は先生との同居を疑う七転ふみつきと仁歳チトセを軸として話が展開していく。{/netabare}典型的なラブコメ作品なので、キャラ萌えをしつつ、鑑賞していくのが本作を楽しむコツだ。キャラデザをしたささきむつみさんのファンだった事と基本的に年上好きの僕には中々楽しめるアニメだちた。OPとEDも雰囲気に合っていて、意外に良曲である事も忘れてはいけない。テレビシリーズのみならずHAPPY★LESSONシリーズは歌は全部良いのが多いけど。

古い作品だが、ラブコメに飢えている人には自信を持ってオススメしたい。作画が酷いとか話がつまらないとかそういうマイナスを気にする人には辛いだろうが、キャラが魅力的だと感じられるようになれば、最後まで鑑賞に耐えうる作品には仕上がっていると思う。

投稿 : 2019/12/07
♥ : 11

計測不能 7 古典文学アニメランキング7位
紫式部 源氏物語 [1987年](アニメ映画)

1987年7月1日
★★★★☆ 3.8 (6)
33人が棚に入れました
美貌と才知に恵まれた光源氏は父・桐壷帝の計らいにより、臣下に身を置いていた。源氏は持って生まれた美貌のため、数多くの女性から慕われていた。愛しくも複雑な過去を持つ夕顔、六歳年上で一人娘のいる六条御息所、正妻の葵の上。しかし、光源氏がもっとも心を痛めていたのは、桐壷帝の妻であり義母の藤壷への想いだった。秋に光源氏は藤壷の姪で祖母に育てられていた少女の紫を引き取った。

takumi@ さんの感想・評価

★★★★☆ 3.7

古典の世界、たまに浸ってみるのも良いかも

25年近くも前のアニメ映画だが、紫式部原作の「源氏物語」という
古典文学を扱った内容ながら、光源氏がピアスをしていたりとちょっと新しい雰囲気。
時代考証どうこう、と言うより、現代に置き換えてわかりやすく
見せようとした意気込みが、演出のあちこちに見受けられる。
そこが好みの分かれるところかもしれないけれど
個人的にはまったく違和感を感じなかった。
むしろ、去年放送していた『超訳 百人一首 うた恋い。』のほうが
ぶっ飛んだ演出入れていたし、あの作品はあの作品の良さがあって大好きなのだが
こちらはかなり抑え、幅広い世代に観て貰いたいっていう真面目さは伝わってきた。

物語は、原作の「源氏物語」全五十四帖のうち、
夕顔との出会いから須磨までが描かれている。
源氏と関わる女性達のそれぞれの美しさや性格や、したたかさなどはもちろんだが
作中、光源氏についての人々の噂で様々な光源氏像が一人歩きしている一方、
彼自身の真意を知る者は少なく、素直なままの想いはなかなか周囲に受け入られずに
実際は孤独・・そんな姿も見どころのひとつではないだろうか。
そういった、表に出しているやや軽めのノリとは違う別の秘めた恋心にも
個人的にはけっこう感情移入できた。

監督は「銀河鉄道の夜」の杉井ギサブロー氏。
音楽は細野晴臣氏。この音楽がまた幽玄の世界を醸し出すような素敵さがあった。
声の出演は、光源氏を若かりし頃の風間杜夫が務めるなど、俳優も起用されていたが
野沢那智、大塚周夫、納谷悟朗などベテラン声優が脇を固めていた。

作画などはどうしても古い作品なので、今風にとはいかないが
決して色褪せないものを感じることができたのは嬉しい。
個人的には、源氏物語を題材にした作品の多くが、この須磨までの内容なので、
その後を描いたものが観てみたいなと思うのだが、なかなか難しいのだろうかね。

投稿 : 2019/12/07
♥ : 22

橙色夜想曲 さんの感想・評価

★★★★★ 4.9

いつまでも残して欲しい逸品

質・量ともに中古文学のみならず、日本文学史上に燦然と輝く、最高作品のアニメ化です。

眩暈すら覚えそうになるこの大きな仕事を前にして、
スタッフは相当思慮を重ね構想を練ったのでしょう。

源氏物語を実写化したものには、物語のテーマである「あはれ」を離れ、
宮廷における性描写にばかり焦点を当てた、興味本位で低俗なのものもありますが、
本作は決してそうではありません。

物語は桐壺~須磨までの序盤に絞り、
亡き母、桐壺の幻影を追い求めるように、数々の女性と愛を重ねる光源氏の青春を、
桜の舞い散る美しい映像と、細野晴臣のシンセサイザーによる心に染み入るような音楽に乗せ、
儚くも幻想的に描きます。

ストーリーの進行はかなり駆け足な印象ですが、無理もありません。
国文学科における中古文学の講義ですら、
須磨・明石のみを1年かけて学ぶような世界です。
桐壺~須磨となると一本の映画に収めるには厳しい分量ですが、
源氏物語全体の流れの中では、良い切りどころだったと思います。

源氏と交錯し愛を紡ぐヒロインは、葵・夕顔・藤壺・六条御息所・朧月夜。
どの女性も、身震いするほど美しく、素敵です。
最大のヒロイン、紫の上の成長した姿が描かれる続編が生まれなかったことが、
とても惜しまれます。

原画は、現代の竹久夢二と称される林静一。
ピアスをした源氏が話題になりましたが、決して原作のイメージを破壊するようなものではなく、
程好い現代アレンジが魅力的です。
素敵な原画集も、発行されました。

源氏物語のビジュアルな入門編には、
大和和紀による漫画界の大傑作「あさきゆめみし」がありますが、
本作もまた、源氏の世界へ誘われるきっかけとして、
いつまでも残して欲しい逸品です。

投稿 : 2019/12/07
♥ : 3
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