地球で恋愛なおすすめアニメランキング 2

あにこれの全ユーザーがおすすめアニメの地球で恋愛な成分を投票してランキングにしました!
ランキングはあにこれのすごいAIが自動で毎日更新!はたして2024年04月19日の時点で一番の地球で恋愛なおすすめアニメは何なのでしょうか?
早速見ていきましょう!

74.8 1 地球で恋愛なアニメランキング1位
デッドデッドデーモンズデデデデデストラクション 前章(アニメ映画)

2024年3月22日
★★★★★ 4.1 (23)
71人が棚に入れました
東京で女子高生ライフを送る小山門出と中川凰蘭。学校や受験勉強に追われつつも毎晩オンラインゲームで盛り上がる2人が暮らす街の上空には、3年前の8月31日から、突如現れた巨大な宇宙船「母艦」が浮かんでいた。異様な光景は日常に溶け込み、当たり前となっていたが、ある夜、東京で悲劇が起こる。
ネタバレ

101匹足利尊氏 さんの感想・評価

★★★★★ 4.4

クソやばい地球人の青春に遭遇した宇宙人には同情を禁じ得ません

3年前“8.31の悲劇”以来、宇宙からの“侵略者”の巨大<母艦>に覆われる東京。
その下でハイテンション女子高生ライフを送る主人公少女らの日常と、
<母艦>という非日常が混ざり合う中で、やがで開示されていく真相と共に、日常と世界の破滅が示唆される同名コミック(未読)の劇場アニメ化作品の前半部。


【物語 4.5点】
作風は青春の一頁が世界の一大事とシンクロするセカイ系の再生産。
2014~2022年連載作ということで東日本大震災後、コロナ禍の世相も取り込んだ人間&世界模様が描かれる。


大抵のセカイ系でイタいのは主に思春期主人公の周辺になりますが、
本作の場合は災害、事故での犠牲者ニュースをも、スマホゲーのイベントと並行してコンテンツとして高速消費して、飽きたらもうオワコンだと使い捨てていく情報過多社会の病理。
マスコミを不信する余り、ネット上の陰謀論界隈に沼る母親。
個体ごとの正義を絶対化し、SNS上でマウントを取り合うまででも十分イタいのに、武器を持って傷つけ合うまでエスカレートする人類の異様。
など、東京及び日本、地球全体がイタくて終わってる感が、痛いトコロをマシンガンのように撃ち抜く台詞回しによって醸し出されています。

大体、宇宙からの“侵略者”として<母艦>に防衛利権の匂いをプンプンさせながら、大仰なレーザー兵器で攻撃を仕掛けているわけですが、
彼らの目的が侵略かどうかなどは真剣に議論されることはなく。
そもそも実は{netabare} “侵略者”が直接手を下した犠牲者はゼロなのでは?とすら思います。
8.31の被害は<母艦>を<A爆弾>により攻撃した米軍によるものですし、
作中での犠牲者も小型&中型船への“防衛行動”の巻き添えを食ったものなのではないでしょうか。{/netabare}
リスクをあると決め付けた人間社会のおぞましさ、滑稽さの炙り出しも上々です。


人間視点のSFとして挑むと、全体に日常がとっ散らかった感、
後半、主人公少女2人の青春が事の発端と結びついた回想という、世界がひっくり返るシナリオ転換などに振り回される危険性もあります。

が、私の場合は冒頭から、これは地球人を観察する宇宙人の視座で俯瞰した方が折り合えると割り切って観たので何とか付いて行けました。

特に産業革命以後、200年程度という宇宙から見れば瞬きする間に、
文明を急発達させ、爆発的に増殖し、地球を壊す勢いで戦争や大量虐殺(ジェノサイド)を繰り返して来た人類。
この原爆を持ってしまった猿の如きキモい地球人。
果たして心の成熟は伴っているのだろうか?
ちょっと“イソベやん”の“内緒道具”を渡して裁定してみよう。

前章終わった段階で世界は一層波乱含みですが、
後章に向けて、命綱となるテーマは提示されていると思うので、
手応えを感じながら後半戦に挑みたいです。


【作画 4.5点】
アニメーション制作・ Production +h(プラスエイチ)

個人的に、初代『ガンダム』、今敏監督の方の『パーフェクトブルー』など、
人間の顔ってちゃんと観察すると美形一辺倒ではなく、
時に昆虫の如く気持ち悪くもある。
そこを再現できている人物デザインに対しては点数を盛る傾向にありますが、本作も同様。
私は特に、おむすび顔に円な瞳のメガネ娘・出元亜衣のデザインが好きです。

<母艦>周辺に揺らめくレタリング?が、
ゴシック体で打ち出される作中テロップの生成、解体過程でも垣間見えるのも意味深。

観察者視点に一歩引かせる地球人デザインと、テロップのレタリングが、
私を冒頭から宇宙人視点に誘導した主因。


細部の背景美術にも社会風刺などを含んだ表現が散りばめられ情報量は多め。
私の脳裏に焼き付いているのは、8.31以降は数える程しか出ていない“侵略者”への防衛行動での民間犠牲者。
それをトップニュースで大騒ぎする傍らで映し出される交番の看板。
<母艦>関連を遥かに凌ぐ数の交通事故死傷者数。
この辺りも騒ぐと決めたニュースばかり取り上げるメディアと、
反発して陰謀論に囚われるネット民という両極端を想起させられジワジワ来ます。


総じて巨大<母艦>の大技だけではない、地球人のイタい所を表現する小技も効いた刺激的な作画です。


【キャラ 4.5点】
主人公の眼鏡っ子・小山門出(かどで)
ロングツインテールの中川凰蘭(おうらん)こと“おんたん”
メイン2人に、恋愛リア充を目指す栗原キホ、出元亜衣、
無口な長身黒髪ロング・平間凛。
JK5人グループが頭のネジが外れた掛け合いを繰り広げて、
<母艦>の非日常に対峙する日常世界を構築。

例えば門出は担任教師の渡良瀬を慕っていますが、
この教師と生徒2人の会話も、ちゃんとした型に収まり切らない人間と青春を示唆していて不謹慎で面白い。

あとは、おんたんのイケメンメタボな兄で“ネット監視員”(ニート)のひろしが挑む、
SNS空間に広がる“情弱”どもの“総意”とか。

全体に、情報社会に監視されることを前提として、
火を点けられないように社会が強いた役割を仕方なく演じてやってる倦怠感が滲み出ており、
これもまた地球人のオワッてる感を濃厚にします。


【声優 4.0点】
主演・小山門出役にはYOASOBIのボーカルとしても活躍する幾田 りらさん。
相方の中川凰蘭役には、あのさん。
メイン2人にアーティストをオーディション選出して周りをアニメ声優で固める布陣。

“ナチュラル”なボイス素材を求めてのアーティストの主演起用。
確かにおふた方とも、地声が高音スウィートなアニメ声で天然素材としては上質。
ですが、私はやはり自然体を求めるにしても、演技力を磨き上げた声優にナチュラルな演技をさせるのがベストと考えるので、この点数が上限。

ただアーティスト2人でと決めた以上は、
下手に声優の枠にはめずに、2人の表現者としての感性に任せるという判断は、素材を活かす上ではベターな選択。
掛け合いシーンでは同じ歌手ならではの波長が合い、
仲良く喧嘩する良いリズムが生まれていたそうで。
声優陣も交えたJK5人組のバカ騒ぎの空気感もスムーズに出ており心地良かったです。

原作者いわく、アフレコ時は、主演おふた方とも作品世界に入るための準備はしてくれていたとあって、
宣伝目的で起用した俳優・タレントを“お客様”扱いする劇場アニメ作品よりは良好な仕上がりだったと感じました。


EDクレジットの最後には、
門出が愛読する作中漫画でシナリオにも深く関わる黒い『ドラえもん』?wこと「イソベやん」にて、
イソベやんに“内緒道具”をせびる自堕落女子・デベ子を演じたTARAKOさんへの追悼コメントが表記。
『ちびまる子ちゃん』のさくらももこ役など、だらけた演技も天下一品の楽しいお方でした。
ご冥福をお祈り致します。


【音楽 4.5点】
情報過多な東京の日常社会に溢れる生活音、
そこを切り裂く<母艦>絡みの非日常の異音、放たれるレーザー兵器の発射音など、
立体的に表現された音響は、本作劇場鑑賞の一番の意義と言っても過言じゃありません。

主題歌は主演アーティストのお二人が担当。

前章はano feat. 幾田りら「絶絶絶絶対聖域」
作編曲を凛として時雨のTKが担当。

曲調はテンション高めの無邪気な作風ですが、
歌詞世界は“地球オワタ”“地球が壊れたよ”などとシッカリ病んでいるので油断は禁物ですw

投稿 : 2024/04/13
♥ : 17

takato さんの感想・評価

★★★★★ 4.2

「終わり続ける日常」by山田玲司先生。TARAKOさんの遺作と知らずに見てビックリ!。

 まだ前編なので評価は確定できませんが、評判通りの次が楽しみな意欲作です!。


 原作は読んでないし、浅野さんの作品は弟が中2期に「プンプン」にはまっていたのを横目で見ていたくらいであんまり縁がなかったですが、本作は「地球外少年少女」を制作した新鋭のProduction +hが手掛け、脚本はお馴染み吉田玲子さんと私の興味を引く要素が揃い、信頼がおける方々の評価も高いので見に行っちゃいました(監督さんの前作が評判悪いから二の足を踏んでたのですが)。



 第一声としては、やはり「セカイ系」はこういうダークな破滅へ向かう話のがイイネ!ということに尽きます。新海さんの「君の名は」以降の作品や「シンエヴァ」も、独りよがりなくらいにセカイ=自分であるが故に現実の世界や他者に対する恐怖だったり不安だったりがダイレクトに出ていた、歪だからこその魅力だったのに作家性を捻じ曲げて無難な大衆性に着地しちゃった感が物足りなかった。


 しかし、本作はちょっと直接的過ぎなくらいだけど、社会というトンネルのカナリアとも言える作家が3.11後やコロナという不安を感知して描いた作品として非常に社会性が高い。だから立派で価値がある!なんて言いませんが凡百の作品より遥かに興味深く、かなり風呂敷も謎も広がっているのでどう収拾するのか?或いはケンイシカワの如くぶっ壊して終わるのか?。とにかく続きへのヒキが素晴らしい。


 アニメーション全般としては、浅野さんのとは少し違うかもだが背景とキャラが非常に上手く調和していて、主張し過ぎないが実に良い「雰囲気の魔術」を産み出せてるし、タレント声優ともいえる主役の二人も非常にはまっている!。デブ過ぎるがイケメンな諏訪部さんのお兄ちゃんも良かった。ただ、声優といえばまさか本作がTARAKOさんの遺作とは知らず驚きました。イソベヤン、漫画の中だと杉田さんなんだから劇中でも杉田さんの方が良かったのになぁ…ってもあります。


 まぁ、後半で力を得たあの子がああなっちゃうのはちょっと展開に無理ないか?とか、親が毒親なのもなんか作為的な毒親感で少々不満もあった。これからはわかりやすい明白な毒親より、全然悪人じゃなくて一般的には良い親なくらいなんだけど根本的に大切なことに対して無力だったり思考停止してたりするリアルな駄目親の方が描かれて欲しい。


 繰り返しになっちゃいますが、結局まだ前編なので評価は保留な感じですが、とにかくこの物語やキャラがどんな結末に行き着くのか見たくてたまらなくさせてくる作品ではあることは間違いないでのオススメです!。子供時代のオンたんだけで個人的には良し!。

投稿 : 2024/04/13
♥ : 10

nyaro さんの感想・評価

★★★★★ 5.0

衝撃作です。青春と正義と災害を描いた壮大な日常系本格SF。

 インデペンデンスデイ、ニーアアンダー7、ヒドゥン、デスノート、マイケルサンデル、ゴジラ、時をかける少女、311、機動戦艦ナデシコ、タコピーの原罪、ドラえもん…の要素が入った日常系です。
 他にもあるでしょうが、要するに要素が多いです。それぞれの視点で分解する難易度は高くないです。

 いや、すごかったですね。上映時間120分らしいですが、体感時間は80分くらいかな。情報量は180分くらいのが圧縮されている感じです。ジェットコースターの様でいてのんびり女子だけ(ではないですが)青春ものでもあります。

 浅野いにお氏の作品は「うみべの女の子」が好きで何度も読んでいますが、それ以外はどうも性が合わず本作も1話を試し読みかにかをして切っていたと思います。ただ、本作を見てやはりマインドは一緒かな…と。読んでみたくなりました。結末は違うと公言されているみたいですし。

 大人になる意味、現実社会に生きる思春期の精神の中身といえばいいのでしょうか。進路、恋愛、性、親、天才と凡人、いじめ、正義、友人…そういうものが襲い掛かってくる小学校から高校時代の生きづらさをSF的表現で見せたような感じです。

 災害のオマージュとして、日常と非日常のシームレス感あるいは断絶感が同時に存在するような作品ではありますが、一方でこの思春期に襲ってくる精神的なクライシスのオマージュとも見えます。

 テーマは結末を見ないと何とも言えませんが、ストーリーとしての結末は分かりませんけど、思春期の落としどころになるのかなあ、という気はします。

 特筆すべきは映像がすごい…というと語弊がありますかね。2次元アニメ的なアニメ表現ですが明らかに3DCGですよね。見やすいのなんの。エフェクトだよりでなく、戦闘シーン頼りでもないです。それでいて構図はいいんです。

 脚本も詰め込んだなかに映像表現で上手く補完しているので、結構頭を使わなくても話の筋は素直に読めます。伏線とか考察とかそういうのを無理にする必要がない分かりやすさです。考察系とエンタメ系の要素のいいところが上手く組み合わさっています。演出も面白さと迫力と緊迫感と上手く表現できていたと思います。

 むしろ頭を使うのは別のところですね。頭がクラクラします。SFと書きましたけど表題がデーモンなので…まあ、それは後半ですね。

 稀にみる名作になる可能性を秘めています。後半次第ですけど。私は絶対に行きます。
 で、映画で一儲けした後でいいので、120分×2で240分です。つまり20分×12で1クール行けますよね?広く世間に公開してはどうでしょう?

 私平日に見ましたが、サービスデイなのに2人しかいませんでした。この作品が埋もれるのはもったいないです。

投稿 : 2024/04/13
♥ : 9

76.6 2 地球で恋愛なアニメランキング2位
機動戦士ガンダムSEED FREEDOM(アニメ映画)

2024年1月26日
★★★★★ 4.3 (41)
134人が棚に入れました
C.E.75、戦いはまだ続いていた。
独立運動、ブルーコスモスによる侵攻……
事態を沈静化するべく、ラクスを初代総裁とする
世界平和監視機構・コンパスが創設され、
キラたちはその一員として各地の戦闘に介入する。
そんな折、新興国ファウンデーションから、
ブルーコスモス本拠地への合同作戦を提案される。
ネタバレ

101匹足利尊氏 さんの感想・評価

★★★★★ 4.1

とても楽しい劇場版『クロスアンジュ』?でしたw(※錯乱してますがw褒め言葉です)

【物語 4.0点】
諸々、輪廻する宿命を愛とネタ方面に突き抜けて自由を掴みに行く快(怪)作

前作『~DESTINY』の二年後の世界を舞台にした新作劇場版。

内容は著しくファン向け。
かつて宇宙世紀の『ガンダム』サーガを締めくくった『逆シャア』同様、
事前の振り返り説明等も一切無く、いきなり状況が開始され、
予習復習は推奨ではなく大前提。

その上で、複雑な政治的駆け引きも含めて、一見しただけでは完全理解が困難な程の情報量を詰め込む。
さらには、やっぱり不可能を可能にするあの男のディフェンスや、
“100発100外し”の艦隊が演出する匿っていたわけじゃないアピールをするオーブの政治茶番劇など、
前作から20年待ったファン向けに小ネタも多数仕込み、回収のための周回鑑賞へと誘う。
(以上のことから劇場版『ガンダム』の興行収入記録更新はかなり濃厚だと思います。初日、劇場もほぼ満席でしたし。)


サブタイトル『~FREEDOM』には、2つの意味が内包されていると思われます。

一つは主人公キラ・ヤマトらが背負った果てしない戦いの輪廻という宿命からの脱却。
前作で、戦争で疲弊した世界を統治する案としては正論だったデュランダル議長のデスティニープランを、
勢いで打ち捨てた是非への葛藤は今シナリオでも軸となります。

もう一つは『SEED』シリーズが“21世紀のファーストガンダム”として背負った『ガンダム』シリーズ再生産・再消費の宿命からの解放。
前作『~DESTINY』でもザクが配備され、グフだのジェットストリームアタックだのが復活。
加えて今回はギャンだのゲルググだの。
挙げ句、{netabare} アスラン専用の赤いズゴック(しかも{netabare} 宇宙戦対応w{/netabare} ){/netabare} だの宇宙世紀のMSが多数リバイバル。
富野御大がどれほど嘆こうとも「人は忘れる、そして繰り返す」『ガンダム』も繰り返すw


これらの宿命に従うならば主人公・キラ・ヤマトの運命も『逆シャア』と同じ道を辿る。
すなわち、{netabare} 変わらない人類への諦観を囁くCV.池田 秀一さんに引き寄せられて、
現世から虹の彼方にでも旅立つ他ない。{/netabare}

ただキラにはララァを引きずっていたアムロ・レイらとは異なり、愛しのラクスがまだいる。

この点からも、ラクスに関する過去と設定追加と、彼女の強い意志の発現によるヒロイン覚醒から、
絡まった輪廻の打破を図るのは必然だったと私は捉えています。


が、にしても本作のラブは想定以上にドロドロw
クライマックスのバトルで花開いたネタは百花繚乱でハチャメチャでしたw

でも、そう言えば『SEED』ってえげつない戦争と平和に関する思索の材料だけでなく、
ラブやネタも多数提供して楽しませてくれたシリーズでした。

大体、キラみたいに眉間にシワを寄せて、根詰めて世界の行く末について苦悩したって、
初代『ガンダム』以来の鬱シナリオの引力からは逃れられないでしょうし。

よって非合理なロマンスや笑いありで、合理的に世界変革を叫ぶ黒幕をいなす本シナリオ。
私は是としたいです。


【作画 4.5点】
アニメーション制作・サンライズ

『SEED』本編シリーズ初。終始、崩れる心配がない作画が実現。

多種多様な武装が乱舞するモビルスーツ&艦隊戦で作画カロリーを大量消費しても、
日常場面のソースが枯渇することはなく、
二人の時間が中々作れないキラやラクスなどキャラ心情も好表現。

ド派手なモビルスーツ戦よりも熱かったのが、
{netabare} ラクスを寝取られた!?といじけるキラと、そんなキラ“修正”してやると殴りかかるアスランとの肉弾戦{/netabare}
という点からして人間ドラマへの作画の寄与度は上々でした。

ラクス様が愛情込めて作った手料理も飯テロレベルで再現。
キラも仕事ばっかりしてないで早く帰りなさいと言ってやりたくなりますw


20年を経てさらに加速した表現萎縮も意に介さず?
大量破壊兵器により虫けらのようにジェノサイドされる人体破壊描写など、
グロの踏み込みも相変わらず。

裸のヒロインのイメージが心の支えになる演出や、
{netabare} ヒルダ姐さんに無自覚にラッキースケベを働いてしまうシン{/netabare} など、
エロ方面でも時代の空気を読まない姿勢は嬉しかったですw


【キャラ 4.0点】
キラとラクスの愛が突破口。
となれば立ちはだかる黒幕には恋のライバルも担ってもらうのが必然?
というわけでラスボスの新興国・ファウンデーション宰相・オルフェは、
(※核心的ネタバレ){netabare} ラクスと対となって人類を導くよう生成されたコーディネーターを超える種“アコード”{/netabare} 云々などという、
宿命の寝取り属性を装備してキラの前に立ちはだかる。

彼の言動と、欲しても手に入らない愛を渇望して足掻く末路を見ていて私は、
『SEED』シリーズの福田 己津央監督が2014年にクリエイティブプロデューサーなどとして関わった、
B級アニメ『クロスアンジュ 天使と竜の輪舞』のエンブリヲ様を思い出して笑い堪えるのに必死でしたw

『クロアン』観てる当時は私も、福田監督もこんなフリーダムもどきの機体も出て来る“汚いプリキュア”で道草食ってないで、
早く劇場版『SEED』作って下さいよ~と愚痴りつつ、いいぞもっとやれ(笑)と笑って楽しんでましたがw

今にして思えば福田氏も『クロアン』で汚いとは言え、愛とロボットに関与してひと叩きしたことが、
『~FREEDOM』にも生かされたのでは?と邪推します。

本作のラブとネタを見た『ガンダム』ファンの方々の中には、
もっと真面目にやりなさいと反感を覚える方もいらっしゃるかもしれません。
ですが『クロアン』の洗礼受けた私にとっては許容範囲。
むしろ『クロアン』観てなかったら私も本作と折り合えたかどうか自信ありませんw

{netabare} ぴっちり白スーツで出撃した{/netabare} ラクスの尻に欲情したあなたや、
寝取り型ラスボスの無様な芸当に興味を持ったあなたや、
『Z』のエマVSレコア戦も彷彿とさせるルナマリアVSアグネスの恋愛男性観も交えた激闘を目撃して女って怖くて面白いと色めきだったあなた。
『クロアン』もご覧になっては如何でしょうかw


敢闘賞をあげたいのはシン・アスカ。
前作の主人公交代劇の屈辱そのままに本作でも序盤は、
相変わらず何も分かってないガキンチョぶりでルナマリアにも呆れられていましたがw
終盤では何も考えていない、それでいて闇も深いからこそ、
{netabare} 精神に干渉するブラックナイトの攻撃を無効化する{/netabare} 最凶メンタル戦士として汚名返上の大活躍♪
{netabare} ルナマリアに死ぬ程ぶたれたってw{/netabare} シンはヒーローです。

同じく『~DESTINY』では散々な目に遭ったアスランも面目躍如。
全体に弱さを曝け出して株を下げたキラを挽回した周囲が支えるキャラ相関でした。


【声優 4.0点】
カガリ役の進藤 尚美さんから森 なな子さんへのキャスト変更。
本シリーズはこれまでもニコル、アイシャ、ラスティなど本編から総集編で声優が変わった事例はありましたが、
メインどころの変更は初めてで私も衝撃を受けました。

「物事には裏と表があるんだ」と修羅場をくぐって来たカガリを深く理解していないと雰囲気が出せないセリフに関しても、後継した森さんはしっかりと対応できていたと思います。


ファウンデーション王国の首魁・アウラ役には田村 ゆかりさん。
幼女の皮を被った化け物を演じさせたら彼女の右に出る者はいませんねw
例えファウンデーションは滅びても王国は永久に不滅です。
実はこのキャスティングも福田監督と『クロスアンジュ』のヒルダ役での信頼からだったそうで。
深い因縁を感じますw


ラクス・クライン役の田中 理恵さんは、これまでのシリーズでも、
戦争や平和について人々に語りかけるセリフが多かったのですが、
本作ではスクリーンを越えて我々に愛についてナレーション同等に語りかけて来ます。
{netabare} 愛の反対は憎悪ではなく無関心。{/netabare}
同意できてもできなくても課題として傾聴したい所です。


【音楽 4.0点】
主題歌を一任された西川 貴教さんが楽曲提供を依頼したのは小室 哲哉氏。
かつてTMNの一員として『逆シャア』のEDを締めた小室氏がというのも宿命を感じます。

完成した主題歌「FREEDOM」は時代に逆行したコテコテの小室節。
いきなりサビでキャッチーな短尺の曲をリスナーの耳に流し込むトレンドには目もくれず、
1分間ジックリとイントロで助走を付けて、テクノサウンドとギターソロの融合、
アンチにいくら叩かれてもやめなかった小室氏自身による男声コーラスなど、
旧世紀に消費し尽くされたTKサウンドを時代の空気を読まずに投げつけて来る。

私はTKサウンド、特に売れていた時代よりも時代と折り合いを欠いてもがいていた頃のサウンドが大好物なので、本曲はどストライクでしたが、
好き嫌いはハッキリと分かれると思います。

ただ、この時代と齟齬(そご)をきたしている曲風は、
冒頭、同じく理想通り行かない時代との間で苦闘するキラのカットにはマッチしていたと感じました。


その他、EDには梶浦 由記氏✕石川智晶氏のユニット・See-Sawが19年ぶりに復活しラブバラード「去り際のロマンティックス」を提供。
会いたい気持ちが昂ぶる場面では中島 美嘉さん歌唱のバラード曲も挿入される。
引き続き劇伴を担当した佐橋 俊彦氏は優雅なピアノやストリングスも交えて修羅場にも対応しつつ、
随所に過去作のテーマ曲のイントロも散りばめる。

そして何よりぶち上がるのがクライマックスで帰って来た{netabare} T.M.Revolution「Meteor -ミーティア-」{/netabare}
総じて音楽も20年待ってくれたファンへのご褒美が嬉しい楽曲構成。

投稿 : 2024/04/13
♥ : 16
ネタバレ

nyaro さんの感想・評価

★★★★☆ 3.8

ルナマリア最高だけど、人妻パワーの勝ち?ファン以外非推奨。

 ああ、シードだったなあ…というのが感想です。要するに内容は無いです。一応、愛だと差別だの僕は無力だ的な何かはありますが、それはシードっぽい何かの為の味付けだと思ってください。
 シードということで遺伝子云々とかありますけどね。そこまでやっちゃうとお話の為のお話という感じです。

 したがって、はっきり言えば、ガンダムシード、ディスティニーを肯定的にとらえているファンじゃないとお勧めはしません。内容的には酷評の嵐でしょう。
 ですが、逆にファンなら最高に「面白い」です。感動とか感心ではないです。これはスタッフが意図的に面白く作っていると思います。なつかしさもありますね。

 そして、TV版と同じく設定とかモビルスーツとしてのガンダムは私にとってはどうでもいいですね。やはり「女」の描き方が本当に面白かった。

 やはり最高なのはルナマリアです。もう…こうやって思い出しただけでニヤニヤが止まりません。ルナマリアの開き直りというか女の強さというか…ぜひルナマリアの日常をスピンオフでやって欲しいなあ。そして、TV版のルナマリアの役目を新キャラのアグネスが引き受けます。この2人が本当に良かった。
 なお、この2人の関係はスカートで読み取れます。ルナマリアがフレアミニからタイトミニへ。どっちにしてもミニなのがたまりません。そしてアグネスがフレアミニです。ここは意図していると思います。

 で、カッコイイのはマリューラミアスですね。中盤から終盤までは主役級でした。特にセリフと声がカッコイイんですよね。

 ラクスは唇ぽってりで人妻感がありました。話としてはNTR?まあ、その辺はまだ開示しない方がいいですね。しかし、この人は駄目女だな…と思っていたら最後の人妻パワー…{netabare} ラブラブ石破天驚拳がでるのかと思いました。そして、あの痴女パイロットスーツ最高でした。亡国のアキトでレイラがロケットに乗るときのエロスーツに似てます。 {/netabare}さすがサンライズ。

 で、シンとアスランって女関係ってどうなってるんでしたっけ?そこでそんな事思っちゃうんだ?という場面がありましたけど…そこもちょっと笑ってしまいます。アスランの搭乗機…そして…がまた笑えます。

 で、キラはどうでもいいです。

 という感じで女性たちを愛でつつ、不遇キャラシンとアスランの活躍を見る作品でした。

 CGキャラはやはり違和感はなくはないですが、かなり緩和されている感じはします。ですがやはり劇場版は手書きでやって欲しいかな。

 戦闘シーンの迫力はすごいですが、モビルスーツ戦よりもマリューの戦艦での戦いが素晴らしかったです。

 声優さんはこの作品は本当にいいなあ…特にルナマリアとマリューの2人は声優さんの魅力も大きいかも。

 2回目迷いますね。正直「デデデデ」の予告編の方がすごかった気がしますし、私は特典にはまったく興味ないですが、ルナマリア…もう1回だけ見たいかな。
 見るなら劇場ですね。小さい画面で落ち着いてみるとアラしか感じないと思います。劇場でごまかされるのがいいアニメでした。

 画面比がスクリーンの端まで広がるサイズではなく、モニターと同じ16:9だと思いますので前の方で見た方がいいかも。


 客観的には点数は低いですが、シードファンなら損はないと思います。私は初日に行ってよかったと感じています。

投稿 : 2024/04/13
♥ : 9

ゆん♪ さんの感想・評価

★★★★☆ 3.9

面白かった!音楽いいよね!!

SEED=西川さん だよねやっぱり!
ちょうどいい所でバンッ!とかかる音楽、最高!

上映後舞台挨拶を観に行けた~
石田くんと保志くんの掛け合いが漫才みたいで楽しかった~^^

2024.2.18
イベント上映
本編でずっとオーディオコメンタリーやってくれたの初めてだった!
1回は見てたので面白かったけどこれが初見の人は話が入ってこなかったのでは?ってちょっと心配になったよ。(て言うか自分、本編でコメンタリー流しっぱなしってことを知らなかった)
総勢15名が何人かのグループに分かれてネタバレや裏話ありのコメント。

以下キャラ名と中の人名が入り乱れます
・コンパス組(キラ、ラクス、シン)
・女子チーム(ルナ、アグネス)・・・コンパス組が次のチーム紹介の時鈴村さんが「次は僕の奥さんが出ます」ゆってたw
・アコード組(オルフェ、シュラ)・・・なんかのコメントでゆうきゃんが「なめぷ」って言ってて二人でウケてたw
・アダルト組・・・アコード組が「次はアダルト組で…なんですかそのエッチなチームは」って紹介してて笑った
・ザフト組(イザーク、ディアッカ)・・・チイチと笹沼さんのモビルスーツの知識差が面白かった^^
・メイン4名(キラ、ラクス、アスラン、シン)・・・石田さんの「アスラン・ザラ出る!」でノックアウト!大御所はラストに出るのね!!(違う理由があったみたいw)ラストコメントメンバーなのでおのずとアスランの妄想攻撃(笑)の話になったり、石田さんがラクスを”ラスク”とマジ間違いしてツッコミたくても突っ込めない周りのメンバーとか、ラクスとカガリの名前も言い間違えてましたよ。石田さん!おかし可愛かった~


西川さんの熱唱も熱かった!!

投稿 : 2024/04/13
♥ : 3
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