好奇心で家族なおすすめアニメランキング 8

あにこれの全ユーザーがおすすめアニメの好奇心で家族な成分を投票してランキングにしました!
ランキングはあにこれのすごいAIが自動で毎日更新!はたして2024年04月24日の時点で一番の好奇心で家族なおすすめアニメは何なのでしょうか?
早速見ていきましょう!

79.3 1 好奇心で家族なアニメランキング1位
本好きの下剋上~司書になるためには手段を選んでいられません~(TVアニメ動画)

2019年秋アニメ
★★★★☆ 3.6 (513)
2041人が棚に入れました
現代の日本で生活している「本須麗乃(もとすうらの)」 は、念願である図書館への就職が決まったその日に亡くなってしまう。もっと多くの本が読みたかった、そんな未練を抱いたままの彼女は気が付くと異世界の幼女マインとしての身体を持って意識を取り戻した。物語の舞台となるのは 魔法の力を持つ貴族たちに支配された中世のような異世界の都市エーレンフェスト。厳格な身分制度の中、現代日本の知識を持つ少女マインが、本を手に入れるために奮闘する。

声優・キャラクター
井口裕香、速水奨、中島愛、折笠富美子、小山剛志、田村睦心、子安武人、日野聡、前野智昭、内田彩

takato さんの感想・評価

★★★★☆ 3.5

ハウス名作劇場風だが…。

中身について詳しくは他の方が書いているだろうから私は書く必要はないと思います。それより、私としては「なろう系」に限らずラノベなどに見られる始まる前から胚胎している問題が本作にも見れる、という点を指摘したい。具体的には、スタート時点で主人公が飲み込みづらい、更に自然で必然的な話の流れというより作者が引いた絵図に無理矢理に話を持っていこうとする、という2点である。


前者の問題は、作中でも少し触れられてるけどマインの元々の人格が消えちゃってるということだ。魔法のせい、ってことにしているけど、そのことにあまり主人公を気にしていない、家族に対して申し訳ない気持ちがほとんど見られない。別に、二人の人格が併存しても成り立つ話だし、そっちのが面白そうなのに。


そもそも、この話って転生する必要ある?とか、魔法っている?とか、前提から話に乗りづらくする要素が多い。転生にしたのも、魔法の要素を入れたのも作品を面白くするのに必然の要素だったというより、流行りだから、そのほうが導入が楽だからくらいの気持ちしか伝わってこないし、雑味になってしまっている。


これがゲーム的な世界観ならまだそこまで気にならないが、ハウス名作劇場的な地に足のついた世界観だから余計に気になる。要するに重要な導入の部分で、何も考えずに楽だから、という理由で電車に乗るみたいに安易な方法を採用するといきなり最初から尻まづくことになるのである。


後者の問題は、本作りがやりたい、という前提ありきで無理に話を持ってこうとするからタイトル詐欺になってる点。本がない、本を作ろう!って時点でいやいやいや、そうはならんやろ!とツッコミ入れたくなる。この世界ならタイトル通り、貴族の、あるいは王族の私設図書館の司書になろう!ってのが必然な流れでしょう。本が読みたいだけなら製紙革命を起こす必要はない。


そもそも、本が読みたい、本が読みたいっていうけど、本好きな人間なら言わせてもらえば具体的じゃなく、不特定多数の本が読みたいとはならないだろう。マインはどんな本が好きなのか、こんなに本が拘るなら単に本好きレベルじゃなく人生において本に助けられた部分が多そうなのに、そういうのが見えてこない。故に、そういう設定なんです、くらいの浅さしかかんじない。だから最初から飲み込みづらいのだ。


この話って、例えば不登校で図書館で生活しているような少女が過去のヨーロッパにタイムトラベルして~というジュブナイル物で教育テレビでやっても不思議はないし、そっちのが必然性がある気さえする。


ところで、話は変わるが私のリアルタイム名作劇場は「七つの海のティコ」と「ロミオの青い空」です。前者は今だと豪華声優に驚くし、後者は正に名作の風格な傑作で腐女子の方ならホモォ~的にも楽しめるだろう。どっちもオススメです。

投稿 : 2024/04/20
♥ : 27
ネタバレ

ぺー さんの感想・評価

★★★★☆ 3.7

足らぬを知って言い訳にしない

原作未読


既刊23巻をもって第4部までひとまず完結しているとのこと。原作の人気ぶりがうかがえます。
全14話で最終回が1月1日。1クールものにしてはボリューミーなのが特長。視聴動機は交流あるレビュアーさんからの好意的な評です。

たしか異世界転生ものが壮大に爆死したのは2019年夏期。遡ること2019年春期までの惨状をもって私は視聴優先順位を下げました。夏期は一つも観ておらず、自身の選球眼の良さを独り誇った夏。
一転して今期(2019年秋期)は『慎重勇者』『けものみち』『私、能力は平均値で…(のうきん)』そして本作とけっこうな量を観てます。どの作品も異世界転生ものが持つ悪名に一石を投じる作品群でした。トレンドが変わるターニングポイントとなるクールだったのかもしれません。


本作の評価に戻ります。
死んでも転生先で本に囲まれた暮らしがしたいとの願望を持って現世での生を終えた女子大生が異世界で奮闘する話。
ファンタジーの基本設定よろしく中世ヨーロッパなわけでして、そりゃあ紙は無いわ、な世界。本は高価で貴族の持ち物。されど転生先は平民だったという元女子大生が!というところがタイトルの“下剋上”に繋がってるんだろうと想像させる導入です。


そんなこんなで本作での石の投じられ方について

・元世界と転生先世界との繋がり+αがある

 {netabare}+αすなわち“葛藤”が描かれてるんですね。これ新鮮でした。いろいろ便利だった元世界と不便な転生先。行動や思考に昔のクセが出てくるわけですが、文明差を利用して俺TUEEE一直線とはならず、むしろそのことで人間関係の軋轢を生んだりと一筋縄ではいきません。{/netabare}


・腑に落ちる感覚がある

 {netabare}:初めて街に出ての一言が「臭い」。下水道完備はここ100年くらいの話なわけでそりゃそーだ。{/netabare}
 {netabare}:たしかヨーロッパはイスラム経由で紙が伝わっていたかと。だいぶ後進世界だったはずなので“紙がない”にまず納得。そこからの文字を残す手段として四大文明からトレース。転じて本を作るためにまずは紙を!との目標設定。紙を生成するためのあの手この手の実現手段がおそらく以前書物で得た知識からだろうと思わせるのに十分な描写。{/netabare}


本作の主役マインちゃんの戸惑いと現状を受け入れていく過程や心情の変化を楽しむ作品でした。
派手さはなくむしろ地味です。むしろ無い無いづくしのところからの地道な積み上げに終始してました。高度成長期を知る世代は懐かしく感じるかもしれませんね(適当)。


 {netabare}「無いものは作ればいい!」{/netabare}


それほど冗談でもなくアニマルスピリットを鼓舞する主人公に勇気づけられる部分もあるやも。良き仲間たちや家族との絆なども含めて当初想定より見応えのある作品でした。
なお、視聴前は転生先世界の図書館内で大活躍する話を想像してましたが、一切そんなシーンはありませんでした。そのへん既刊23巻のペース配分なのかもしれません。続編が確定しております。

遅まきながら秋期作品もだいぶ観終わってきましたが、「2期作成決定!」「劇場版公開決定!」等々 coming soon ものばっかりだったなと振り返り(笑) 今クールの風潮でしたね。



総じて安定してましたし、話もしっかりしていて良かったと思います。EDの中島愛さんの曲もよい。
しかしながら趣味嗜好といいますか、なんとなく苦手だったのが最後まで気になってしかたありませんでした。喉にひっかかった小骨みたいな違和感ですね。
それは…


 {netabare}主人公が幼女というのがどうもダメっす{/netabare}


こればっかりはなぁ 
…お話はほんと面白かったです



視聴時期:2019年10月~2019年12月 リアタイ  

------
2020.02.25 
《配点を修正》+0.1


2020.01.25 初稿
2020.02.25 配点修正
2020.07.17 修正
2020.12.02 タイトル修正
2021.03.13 修正

投稿 : 2024/04/20
♥ : 69
ネタバレ

イムラ さんの感想・評価

★★★★★ 4.6

観るたびに面白さが少しずつ増していく

<2019/10/4 初投稿>
第1章観ました。
見始めなので評点はデフォルトの3.0です。

原作未読。
なろう系の異世界転生もの。
と言っても俺つえーではない方のようです。

なろう系が苦手なことの多い私ですが、
一方でアニメや小説で読書に熱中する登場人物が出てくる作品は相性が良いのです。
(そうなる理由はいろいろあるのですが長くなるので割愛)

例えば「図書館戦争」「 ビブリア古書堂の事件手帖」「R.O.D」「ダンタリアンの書架」「GOSICK」とか

本作も主人公マインは本を愛しています。
活字中毒。
そんな彼女が転生した先は{netabare}中世ヨーロッパのような文明・文化の世界。まだ活版印刷が発明されておらず本はほとんど流通していないという活字中毒には酷な世界でした。{/netabare} そこで彼女は・・・というお話。

これから先、お話はどのように展開していくんでしょうか。
例えば「本ってなんだろう?」「文字ってなんだろう?」なんてことに想いを馳せてしまうような展開ならかなり面白くなりそうな気がします。

異世界の建てつけもなかなか面白い。
しっくりくると言った方がいいかな。

声優さんもマインは阿良々木暦くんの下の妹でお馴染み、井口裕香さん。
キーマンになりそうな神官はベテランイケボの速水奨さん。
他にもベテラン・中堅の腕の良い声優さんが揃ってるようで安定感抜群です。

ただキャラクターデザインはなんか古いというか名作劇場というかNHKというかそんな感じ。
しかも原作の画像検索したら小説の挿絵とはかなり違いますね。
まあでも慣れちゃいそうな気もしますけど。

良作になってほしいなーと期待。

でもタイトルに「下剋上」とか残念そうなワード入ってるしなー。

あんまりハードル高くしてがっかりするのも嫌なので暫くは薄目で見るようにしておきます。

1話を観た今期純新作は今のところこれと「けものみち」
なんか変な感じ 笑

<2019/10/10 追記>
第2章です。

この作品、やはりかなりの曲者ですね。
観るのに想像力が必要。

例えば本の記憶。
その世界では本がどんな位置づけなのかをマインが知らなかった、というくだりが第1話にあります。
自分の住んでいる世界の当たり前の事情のはずなのに、なぜマインは知らなかったのか。

その世界では本はめったに見かけるようなものではなく
文字も買い物の値札くらいでしか見かけない。
そんな世界で5歳児が本のこと知らなくて当たり前。

つまりこの異世界はそういう世界なんです。
私たちが生きる現代社会とは全く常識の異なる世界。
おそらく実際の中世ヨーロッパも日本の戦国時代以前もそんな感じだったのでしょう。

第2話でもそうした点は多々見受けられました。
また単なる情報だけではなく、いきなり異世界に放り込まれてしまったマインの気持ちも丁寧に描かれてます。

この物語の楽しみ方は、視聴者がマインになったつもりでその世界の中で置かれた状況をいろいろあれこれ想像しながら・・・というのが一番な気がします。

裏を返せば流し見してたら全くつまらない曲者アニメ(褒め言葉です)

<2019/10/19 追記>
第3章まで観ました

お話はずーっと同じリズムだけど不思議と飽きがこない。
絵も慣れてきました。

自分、結構はまってきてるのかも。

<2019/11/9 追記>
第六章まで観ました。

一歩ずつ踏みしめるように物語が進んでいくのは気持ちいいですね。
そういったところは往年の4クール長丁場のファミリー向けアニメをやはり彷彿とさせます。

一方で一番奥底のベースの部分にファンタジーを敷いているので観ていて不思議な気分になります。
毎回ちょっとずつ新しいトピックが入ってくるところも◯。

古くて新しい、珍しい作品なんだと思います。

さて「身喰い」なんてのが出てきました。
この先、お話はどのように転がっていくのでしょうか。

<2019/11/14 追記>
第七章です。

やっべぞ!
本格的に面白くなってきた。

良い具合にファンタジーもあるとか、びっくり!
契約のシーンはかなり好きです。

そして、マインの身体のことも。

入念に練られたストーリーに思えてきました。

とりあえず評点は中間評価ということで。

<2019/11/29 追記>
第九章まで。

途中から一気に面白くなったり、
急に減速したりする作品は多いですが、
毎話、少しずつ面白さが増していく作品というのは本当に珍しい。

お話自体は淡々と進んでいくのにね。

でもマインとルッツの関係とか
マインの罪悪感とか
ややもすると見過ごしてしまいそうなところを一つ一つちゃんと拾っていく。

これは凄いアニメなのかもしれない。

ということで評価UPです。

<2019/12/5 追記>
第十章まで。

相変わらずゆっくりと、お話は進んでいきます。
でも退屈は全くせず。
なぜか見入ってしまうのです。

マインとルッツは見ていてやはり微笑ましい。
ルッツは子供なのに真っ直ぐで素直で優しい、よくできた少年です。
そして男としての覚悟も。

14話で終了なのだそうですが、この先どうなるのか。
そしてやはり二期が欲しい。

<2019/12/12 追記>
第十一章

ちょっと泣いてもた。
やはり本作、只者じゃないですね。
物語の厚みが素晴らしい。

原作派の皆さんはアニメのキャラクターデザインに違和感あるようですが。
ここまで観て、アニメではこれぐらい軽い感じの方がちょうど良いように思えてきました。
原作未読なのでそう思えるのかもしれませんけど。

名作の類かもしれない。

<2019/12/27 追記>
最終14話まで観ました。

これは良い作品ですよ。
何が?って、とにかくちゃんとしてる。
少しずつ意外性を盛り込みながら、ちゃんと面白い方向に話を転がしている。

マインの怒りのシーンはスカッとした。
源蔵のジャーマンよりも。
つか、神殿長は源蔵にジャーマンで投げられろっ!
とか思った自分がいました 笑。

足腰のしっかりした物語ですね。
これは原作読みたくなりました。

マジ二期期待!!

投稿 : 2024/04/20
♥ : 56

84.9 2 好奇心で家族なアニメランキング2位
おおかみこどもの雨と雪(アニメ映画)

2012年7月1日
★★★★☆ 3.9 (1824)
9949人が棚に入れました
いまや全世界が待望する、細田守監督の最新作は「母と子の物語」。おとぎ話のような不思議な恋をした女性・花は、おおかみこどもの姉弟、"雪"と"雨"を育てることになる。「親と子」という普遍的なテーマを、人間とおおかみの二つの顔をもつ ≪おおかみこども≫ というファンタジックなモチーフで描く。いまだかつて誰も見たことがない傑作が誕生する。

声優・キャラクター
宮﨑あおい、大沢たかお、黒木華、西井幸人、大野百花、加部亜門、林原めぐみ、中村正、大木民夫、片岡富枝、平岡拓真、染谷将太、谷村美月、麻生久美子、菅原文太

魔女旅に出る さんの感想・評価

★★★★★ 4.1

おおかみ?にんげん?どちらとして生きるか?それを見守るお母さん!

おおかみ男と結婚した女性から生まれた子供はおおかみと人間のハーフでした。子供は2人いて一人は活発な女の子、もう一人は引っ込み思案な男の子。その二人の子供を育てるお母さん。この三人が主人公です。小学校高学年になった少女と少年はおおかみとして生きるか人間として生きるかを決断します。それを見守るお母さん。どうなるかは実際にご覧ください。自分で道を決めることに大切さや子育ての楽しさや苦しさを観ることができる作品です。

投稿 : 2024/04/20
♥ : 79

お茶 さんの感想・評価

★★★★★ 4.3

ドラマツルギー

一人の女性が、オオカミオトコとの出会いから始まり、二人は子供を授かるが、オオカミオトコは、狼の本能なのか、寿命なのか、人間として思う事があったのか、身投げして亡くなる、そんな悲しみの只中にありながらも、残された人間と狼との間に、出来た子供を育てていく母親の物語でもあり、3人の家族の物語。

正直に言ってしまえば、この上ない悲しい物語に感じるが、本作はこの悲しさを愛で覆い尽くすかのように、家族の過酷な生き様を、本当の家に帰ったような安堵を覚えるような安心感に変換してくる。オオカミ子供を育てる過酷さ&母の強さの中に育くまれた「生きる」という中に、「シアワセ」があるという単純さを、まじまじと味あわせてくる。

観ているだけでいつ倒れてもおかしくない母の姿。オオカミ×人間の子を誰にも知られずに、ただ一人育ててゆくと決めた母の姿は、何よりも美しい。たが現実という名の風は、容赦はしてくれない。オオカミの姿を誰かに見つかってはいけない、ただそれだけでも、どれだけの神経をすり減らして暮らせばならないのだろうか。まさに綱渡りのような毎日。それは見ていて苦しい位だった。

だが、逆に子供達が成長し家族3人の笑顔を見る度に感動してしまう程で、3人の笑顔はどのカットの場面もアルバムから出てきたように、満面の笑みで「シアワセ」を感じさせてくれる。

子供達がある年齢になり、交差点に差し掛かることになる。それは人間として生きるか、オオカミとして生きるかだった。ラスト、二人が決断した道の上で、微笑む母の笑顔が本作を物語っている気がした。二人の子供達はずっとこの笑顔に守られて、自分の生きる道を見つける事が出来たからだろう。本作のような作品に出会う度にアニメのありがたさと、ドラマっていいよな、と改めて痛感する。

「そう・・・・・・、人はドラマを求めるだろう?まるで栄養でも求めるように」 by 阿良々木暦w

投稿 : 2024/04/20
♥ : 55

風紀 さんの感想・評価

★★★★★ 4.8

心がほっこりする

予想以上に良かったです。
物語の展開が今までにない新しいスタイルでとても面白い作品でした。

声優は宮崎あおいさんと大沢たかおさんということで正直、
あまり期待していませんでしたがなかなかすごい。
特に大沢さんのおおかみおとこはかっこよかったです。
カッコよさを主張するわけでもない冴えない感じがとてもキャラと合ってました。
雨と雪の声も結構、というかとても上手でした。
俳優・女優が声優に挑戦した映画の中では例外といえるほどなじんでいました。

さて、メインのストーリーはというと。
サマーウォーズのような派手さはなくて、
むしろありふれた日常を描いた作品だったように感じました。
一番近いのは「となりのトトロ」でしょうか。
もちろん、神様がでてくるわけではありませんが子供たちのやりとりがメイとさつきのようでした。
生まれてから少年期までのお話なのでハイペースで成長していきますが、
まったくはしょった感がなく自然なストーリー展開でした。

おおかみこどもを育てる大変さがとても実感できます。
都会での冷たい人間関係。
夫が死んでしまい母子家庭で頑張る花。
それを暖かく見守る田舎町のやさしいご近所さん。
特に生活の描写が丁寧で、かといって小難しくなく、
こういったところで細田監督の実力を垣間見た気がします。
子供二人の遊ぶ姿が萌えとかではなく純粋に可愛かったです。

成長するにつれて変化する二人は素晴らしかった。
半分の狼だけどやっぱり女の子な雪に、
半分人間だけどやっぱり狼な雨の考え方や人格の表現の仕方がすごい。
特に後半からの思春期の二人や親子の掛け合いがジーンときます。
狼人間なんていないけど胸を打つシーンがいくつもありました。

でも、小学生が見る作品ではないなと思います。
10代後半以上ぐらいがターゲットでしょう。
大事件やアクションシーンはないのでそういうの目当ての人には微妙かもしれません。
むしろ、童話や絵本とかが好きな人にはすごくおすすめします!

もちろん作画もいうことなし。
そこはさすが細田監督というかアニメ監督としてのプライドを感じました。
キャラデザは最初はちょっと目が離れてるなって思いましたが、
見ていくにつれとても自然になっていきました。
全体的に高水準。

ここ最近で見た映画の中でダントツ一番です。
とても感動できる心温まる映画でした。

投稿 : 2024/04/20
♥ : 20

65.9 3 好奇心で家族なアニメランキング3位
借りぐらしのアリエッティ(アニメ映画)

2010年7月17日
★★★★☆ 3.6 (661)
3142人が棚に入れました
とある郊外に荒れた庭のある広大な古い屋敷があった。その床下で、もうすぐ14歳になる小人の少女・アリエッティは、父ポッドと母ホミリーと3人でひっそりと静かに暮らしていた。アリエッティの一家は、屋敷の床上に住むふたりの老婦人、女主人の貞子とお手伝いのハルに気づかれないように、少しずつ、石けんやクッキーやお砂糖、電気やガスなど、自分たちの暮らしに必要なモノを、必要な分だけ借りて来て暮らしていた。借りぐらしの小人たち。そんなある夏の日、その屋敷に、病気療養のために12歳の少年・翔がやって来た。人間に見られてはいけない。見られたからには、引っ越さないといけない。それが床下の小人たちの掟だった。そんなある日、アリエッティは翔に姿を見られてしまう・・。

声優・キャラクター
志田未来、神木隆之介、大竹しのぶ、竹下景子、藤原竜也、三浦友和、樹木希林

hiroshi5 さんの感想・評価

★★★★★ 4.1

ここに宣言しよう、「小人姫アリエッティー」の方が絶対良かった!

二回見ました、この作品。
まぁ酷評の人が多いと思います。なんせ終わり方が、というか話全体が設定と共に縮小してしまって薄い内容になっていましたからね。

では、なぜこの作品は設定と共に縮小してしまったか、それから結末を回避することは可能だったのかを吟味していきましょう。

この作品で一番面白かったのは初めの30分でしたw
小人という設定、小さい人間から見た世界観、小人の生活スタイルなど斬新なものばかりで興味津々で見入ってしまいました。特に作画。家具など本当にリアルに描かれている部分もあれば、水(水滴)みたいなものは独特な最近のジブリらしいタッチで素晴らしいデキだったと思います。
問題はアリエッティーが子供に見つかってから。ここから小人ワールドから人間を含めた世界を描き始めます。

一つここで疑問。人間の子供を出す必要があったのか。
この作品は人間と小人が共存または敵対する世界を描いています。もしこの作品に人間を登場させなかったらどうなっていたでしょう。全体的なスケールは小さくても、その枠内で壮大な話を展開出来たのではないでしょうか。
例えば、人間を完全に敵と設定することで、もういないと思われていた別の小人たちと小人たち内だけの冒険を始める。スケールは小さくなりますが、ストーリーとしては独特の世界観を維持しながらファンタジー物語を展開することが出来ます。勿論映画としてのメッセージは完璧に変わりますが、視聴者にはこちらの方が受けたのではないでしょうか。

話を戻します。
本編が始まったのは主人公であるアリエッティーが人間の子供と接触してから。ここから映画としての方向性が見えてきて、世界観も一気にファミリアーになります。
さて、今作品での最大の問題は世界観を最終的にどっちつかずにしてしまったことです。
人間の観点から見るのか、小人の観点からこの作品を描くのか。
人間の観点になると、病で元気をなくしている男の子が小さいけど頑張っている小人から勇気を得る、生きる意味を知るといったテーマになります。
小人視点になると、人間に存在がばれてしまった事から新しい居住地を探す羽目になる。その過程で別の小人たちと出会い、生きていける可能性を見出だす、
といったものになるでしょう。
この二つをごっちゃにするから中途半端な作品になってしまい、結末も曖昧なものになってしまうのです。

では、選ぶとしたらどちらが良かったのか。それは明らかに後者でしょうね。前述したように、世界観はジブリの技によって良く描けているのだから、それを利用する以外はないでしょう。それに病の男の子が誰から生きる勇気を得る、といったパターンはありきたりで斬新さに欠ける。

私がもしこの設定で話しを進めるとしたら、もうちょっと尺を長くして、さらに特殊な能力、「脳内で意思伝達できるテレパシー」なる設定でも追加して、話を一気に世界規模にします。
そうですね、タイトルは「小人姫アリエッティー」でw
初めの20分は小人独特の世界観を描いて、その後すぐ現在の居住地を人間に見つかり新たな開拓地を目指す。その旅路に新たな小人民族と出会い、そこから人間に対抗すべく長年計画を練っていた馬鹿げたシュール小人民族たちの存在を知る(まぁ勿論反乱なんか出来るわけがないんですが)。しかし、主人公の秘められたそのテレパシー能力が開花し、それにより世界中に住んでいる小人たちを集合させ・・・・
この後は想像にお任せしますw反乱するのも良し、友好関係を築くのも良し。劇的最後を迎えるのもありですねw

まぁ要は世界観は良く描けているんだからそれをベースに話を展開させた方が良かったのでは?といったことです。

ここからは二つ目の問題。人間と小人の世界観を合わせた上でのストーリー展開で、あの最後以外の最終を迎えられたのか、というよりあの最後より良いオチは無かったのかということですけど、う~ん多分難しい。
よくよく考えれば、あの終わり方はあの尺と設定にしては良く出来ていると感じてしまう。一応、二人のオチは付いている訳だし(だって後半から突然アリエッティーの旅だけを描くわけにはいかないから。なんせタイトル「借り暮らし」ですからw)、あそこからの発展は不可能。それに人間たちが全面的に協力して新しい居住地を探す旅に出るってのも無理がある終わり方。
だったら、もうあのオチで良いじゃん!ってことになる。

結論、人間と小人の世界観をごっちゃにしたのが全ての間違いだった。

うん。なんかすいません、製作者の皆さん><ホント勝手なことばっか書いて・・・汗

投稿 : 2024/04/20
♥ : 17

だわさ さんの感想・評価

★★★★☆ 3.5

美術館へ「借りぐらしのアリエッティ×種田陽平展」見に行きました。

米林宏昌監督。
2010年度興行収入邦画第1位。
借りぐらしのアリエッティ×種田陽平展(見てきました)。
アリエッティは髪おろしてるほうが可愛いのはきっと世論。

以下感想

借りぐらしのアリエッティ×種田陽平展
を見に行ったんですけど、良くできていました。アリエッティ視点での世界を体感できました。そこで気付いたのは、細かい設定のある小道具はしっかり練られた上で作られていること。これは間違いなかったです。改めてアニメを見てみると、その非常に細かい設定のある小道具をちゃんと落とし込んであるので、1回目、2回目と視聴を重ねると新しい小道具を発見出来るという、そんな楽しみ方ができそうです。

しかしそれはアリエッティ視点での世界観のファンタジー性を物語以上に前面に突出させてしまった結果になってしまった、そんな印象があります。


前半の話があまり動かなかったのはその理由にあたるところですが、後半盛り上がりのピークがなかったことはそのせいでは片付かない気がします。あえて作らなかったのであれば、あのラストには、感情変化のベクトルが自分の感覚とは違う方向に行ってしまったような違和感を覚えます。後半の流れとラストがアンバランスであることがこのアニメの弱点であると思います。

キャラにおいて特筆すべきはハルさん家政婦65歳。
このキャラにもうちょっとしつこさと名言をあげたら、歴史に残る名キャラに大化けするキャラ素材だったと思います。樹木希林さんGJ(´ω`*)ちょっともったいなかったなー


最後に小人に一言。
小人よ、借り暮らしするなら何か恩返しをしろよ。それが徳ってもんだろうよ。

投稿 : 2024/04/20
♥ : 23

大和撫子 さんの感想・評価

★★★★★ 4.1

小人の世界にワクワクです

非常に楽しい作品でした。
個人的にはジブリ作品の中でも上位に入る作品です。
なんといっても小人達の夢のある世界感が素晴らしい。

◆この作品の内容は・・・
この作品のキャッチフレーズは「人間に見られてはいけない、それが床下の小人たちの掟だった」です。
そう、この物語は人間に気付かれずにこっそりと暮らす小人達と小人達の存在に気付いた人間達のお話です。

◆タイトルの意味は・・・
タイトルにある「借りぐらし」は小人達が生活に必要な食糧や道具(なくなっても人間には気付かれないようなちょっとした物)を人間の家からこっそりと借りてくるという意味です。
人間からしてみれば物をもっていかれるのは泥棒になってしまうのですが(笑)。
でももし自分の家の床下に小人達がこっそり住んでいたら・・・。
真夜中に小人達が家の中に入ってきてちょっとした小物を借りていったら・・・。
とっても夢のあるお話ですね!

◆見どころは・・・
この作品は二つの視点から見る事ができます。
小人からの視点と人間からの視点。
ストーリーはとてもシンプルですが、この2つの視点の対比が非常によく描かれていました。
人間からすれば小人の存在は驚くべき事であり、仲良くしたいと思う人もいれば捕まえようとする人間もいる・・・人間側の視点ではただこれだけのストーリー。
ですが小人側からみれば人間に見つかる事は一大事、とても大変な出来事なのです。
作中では家政婦さんのイヤらしさと共にその事が顕著に描かれていて楽しめました。
あの家政婦さんのニヤリとしたイヤらしい笑顔が・・・( ̄∇ ̄)ニヤッ

◆ここにも注目・・・
小人の世界をまるでカメラのマクロレンズで覗いたような映像美で描写されているところもよくできてました。
そして小人目線からの人間の動きは迫力あるアニメーションで描かれていて見ごたえがありました。
また人間達の小道具をこの小人達は生活にどう利用しているのかも注目です。

◆総評・・・
他の方のレビューでも書かれている通り、この作品は盛り上がりが欠けます。
ニュアンス的には、プロローグ的な印象で終わってしまったような物足りなさがあります。
でもそれはあくまで人間の視点での事。
人間視点でみればちょっとした話ですが、小人視点では絶体絶命の話です。
そして小人のアリエッティ・・・。
無鉄砲なところもありますがとっても可愛いのです。
小人の世界感とともに彼女を見ているだけでも十分に楽しめました。

◆最後に一言・・・
もし突然、ちょっとした小物がなくなったら・・・あなたの家の床下に小人達が住んでいるのかもしれませんよ(笑)

投稿 : 2024/04/20
♥ : 28

79.1 4 好奇心で家族なアニメランキング4位
放課後ていぼう日誌(TVアニメ動画)

2020年春アニメ
★★★★☆ 3.7 (448)
1576人が棚に入れました
海野高校1年生の鶴木陽渚は生き物が苦手なインドア派。堤防を散歩中、先輩の黒岩と出会ったのをきっかけに謎の「ていぼう部」に入部させられ、釣りをはじめることに! 個性的な部員たちに囲まれて、陽渚の高校生活どうなるの!?

声優・キャラクター
高尾奏音、川井田夏海、篠原侑、明坂聡美

ニワカオヤジ さんの感想・評価

★★★★☆ 3.7

顧問の小谷先生、ゆるキャン顧問の鳥羽先生とキャラかぶりすぎ

お酒好きだけどすぐ酔っ払うだけならまだしも、普段は目が細くて酔っ払ったら三白眼になるところまで同じなのはいかがなものか・・・。

しかしそれ以外は全般的に良かったです。釣りに興味はありませんが、楽しく見られました。

視聴する前、男の趣味を女子高生にやらせる系にしては、「釣り」は昔から漫画やアニメの題材として使い古されているのでどうかなと思ってました。
しかし、
・「ていぼう」の懐かしいフォント
・登場人物の鼻の上にある数本の斜線
・主人公陽渚が青ざめる時の青ざめっぷり
など、あえて古い漫画・アニメを彷彿とさせる表現と、リアルで美麗な背景画像など現在の流行りを絡ませていて、懐かしく感じつつも飽きずに最後まで見られました。


エロい要素がほとんどないのも、この系統には珍しいと思います。
・制服の上にアウターを着て肌の露出を更に少なくする
・海水浴場が舞台でも決して水着にならない
・唯一巨乳なマコト先輩が、最後までメガネを取らない
など。

水着やらマコト先輩が溺れてメガネ取れた上におはだけするようなシーンがそのうち出てくるんじゃないかと期待していて、気付いたら最終回だったというのが最後まで飽きずに見られた正直な理由です。


※追記
毎回最後に「今日の一言」がありますが、大半が釣りマナーの啓蒙でした。
本アニメ制作スタッフは釣り好きな人が多いらしいですが、釣り好きでも釣り客にはマナーが悪い輩がいると思っているんでしょうね。本作の聖地巡礼で釣り客が集まった時に環境を汚されることがないように、「今日の一言」があったのではないかと思います。
個人的な話ですが、自宅が海に近いので堤防や浜をたまに散歩していると、釣り客の路上駐車が多いし、仕掛け等が捨てられたりしているのをよく見かけるので、釣りに対する印象は甚だ悪いです。
本作が流行って、釣り客のマナーが向上してくれることを願っています。

投稿 : 2024/04/20
♥ : 37
ネタバレ

ぺー さんの感想・評価

★★★★☆ 3.7

女子高生は世界を釣らない

4/15発表 4話以降延期 再開時期未定

3月の時点で放送そのものを見送った数作品を横目に見ながら不穏な空気でスタートした2020年春期。
いざスタートして数話してからの延期決定は私たちに事態の深刻さを実感させるに充分でした。
今なら心から言えます。貫徹ありがとう!

女子高生がただただ釣りするアニメなんですけどね。そんな事情でなんか尊い。

作品が醸し出す雰囲気とCMで流れてる『恋する小惑星』から、てっきりきらら系と思ったらヤングチャンピオンでした。制作会社“動画工房”繋がりということで納得。質感はほぼ芳文社です。

ハウトゥーアニメになるんでしょうか。
キャンプ・天文・ボードゲーム・筋トレと思い当たる節がいろいろある方はその釣り版と言えばイメージしやすいかもしれませんね。
海近くの高校だから釣りを活動内容とする“ていぼう部”があって、ではせっかくだからそこでの部活動をJK使って切り取ってみましょうという内容。

釣りってヴァリエーションあってお金のかけようもピンからキリ。当然キリに近いわけです。船チャーターして300kg超えのマグロを釣り上げたりはしません。アムール川でトラに怯えながらイトウを釣ったり、盟友・梅宮辰ちゃんとアラスカの怪物ヒラメを追ったりもしません。おそらく松方○樹のグラサン代だけで部費は吹っ飛ぶことでしょう。

とどのつまり初心者向け導入アニメです。
けっこう面白く感じたのが上手くいかない描写/苦手なことや弱点の描写が随所に入ってることです。え!?何をいまさらと思うかもしれませんが、運動部やメジャー部活なら常道の手法も、キャンプや筋トレアニメでその印象は希薄なんですよね。新しい趣味の楽しさアピールに終始してた印象です。
そんな釣りトレーニングの中身は初心者とはいえ…いやだからこそ本格的。まじめにハウトゥー入れてるのがこの作品の個性となってますね。英断だったと思います。

実質1エピソード15分の構成はテンポがよく見やすくてまとまりもいいですし、それだけで尺が足りなければ必要に応じて延ばしたり柔軟に対応していて退屈はしませんでした。
なにげない日常の切り取りも巧いと感じる。ここは制作会社の力かもしれませんね。
{netabare}次回予告でプールが映り「水着回?」と思いきや翌週肩透かしくらった諸兄もそんなにがっかりしてないでしょう。{/netabare}繰り広げられる日常だけで充分面白いからです。


釣りに限らず趣味の醍醐味は結果もさることながら、あーでもないこーでもないと考えを巡らせたり試行錯誤をする過程でしょう。初心者だった主人公も全12話終わる頃にはこの領域に足を踏み込みつつあってその成長を微笑ましく感じるかと思います。

確信めいた思いがあって、こういう系統の作品って自分のなかの知的好奇心が満たされたり、実際に行動を起こしてみたりというのもさることながら、他人の趣味への理解が深まることがなによりいいことなんじゃないかと思うのです。
トークの幅が広がるだけでなく、相手方のツボ抑えやすくなりますもんね。なにより目の前で楽しそうに話してくれるのがうれしいもんです。そんな身につくよくつく日常+αアニメでした。



■今日の一言

一回一格言で計十二回。マナーと安全管理しか言ってないんですよね。大事なことです。

{netabare}ていぼうの ルール守って サビキ釣り ヒナ
気を付けよう 後方確認 投げる前 真
釣り場ゴミ 拾う数だけ 海きれい 夏海
マイ帽子 かぶって防ごう 熱中症 ヒナ
大きさと 量ば守って 潮干狩り 悠希 小清水登場
オキアミは 流して帰ろう 忘れずに ヒナ 千葉繁登場
ライジャケで 体も心も 浮かびます 真
河川釣り 釣り券買うのが 基本たい 悠希
生き物を 守るイコール ゴミ拾い ヒナ
三年後 もっかいおまえを 釣ってやる 夏海
砂浜に 置き忘れないで 針と糸 ヒナ

この海を 残していこう いつまでも ていぼう部{/netabare}


■主要メンバー

鶴木 陽渚(CV高尾奏音)1年 主人公・初心者
黒岩 悠希(CV篠原侑)3年 部長・ゴリゴリの熊本弁
帆高 夏海(CV川井田夏海)1年 主人公の相方 
大野 真(CV明坂聡美)2年 職人

1年生コンビの声優さんが新人ですね。部長役の篠原さんはネイティブの熊本人で、先の『神田川JG』での長崎弁に続き方言キャラっす。それにしても『となりの吸血鬼さん』でのハイトーンキャラとうってかわっての低体温ぶり。いつもながら声優さんの振り幅には驚かされます。

{netabare}「せからしか!」ってなんの因果かマッポの手先のヨーヨー娘ではなくて、今はHKTらしいですよ。{/netabare}



視聴時期:2020年7月~9月 リアタイ

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2020.09.24 初稿
2020.10.31 タイトル修正
2021.06.11 修正

投稿 : 2024/04/20
♥ : 65

イムラ さんの感想・評価

★★★★★ 4.5

え!もう終わりですか?

<2020/6/16 初投稿>
原作未読。
3話でコロナ禍のため中断してしまったので評価はデフォルトの3.0です。

ゆるキャン△には全く喰いつかなかった私が、なぜか本作には引き寄せられてしまう。
なんでなんでしょうね。

見ているとそこはかとなく「磯の匂い」を感じます。
子供のころ、父や叔父に海釣りに連れて行ってもらった記憶

虫が平気だった子供のころでもフナ虫は苦手だったな。
あれ、無条件で気持ち悪いんですよ。
ゴカイやイソメ、赤ジャムシや青ジャムシ、サシ虫、サナギといった釣り餌は平気なのに。
(今はたぶん全部ダメです 笑)

そんな潮臭い、あったかいの通り越してダル熱い海辺での釣りを思い出してしまう作品です。

 
物語の概要は「九州の海辺の田舎に転校して釣りにはまっていくJK」
女子だけの部活もの。
一瞬きらら系かと警戒しましたがそうではなく。

見ててすんなり楽しめるんですよね。

まぁ「うら若き乙女が釣りにはまるもんなのか?」という疑問も当初ありましたがそれも最近解決。

YouTubeで猫動画を見るのが趣味なのですが。
4月のテレワーク入りたての頃に見つけたとある「保護された子猫を育成する動画」が実はもともとは「うら若き女性による超マニアックな釣り動画」だったことに最近気が付きました。

びっくり。
実際にそういう方いらっしゃるんですね。
女子の釣りのガチ勢。

というわけで荒唐無稽な話では決してない、ということが証明されたことでさらに本作がお薦めになりました。

<2020/6/18 追記>
↑で書いたガチ釣り女子ユーチューバーの方の8ヶ月前の動画がおすすめに上がってました。
見てみると、
秋の防波堤で、
釣ったアジの頭を餌にして、
釣れた1mサイズのウツボを、
その場で締めて家に持ち帰り、
塩で揉んで滑りを取り、
ウナギのように背開きで捌いて、
骨を丁寧に取り去り、
お刺身とタタキと皮の唐揚げにして食してました。

釣った適正サイズ以上の魚介は家に持ち帰って喰らうスタンスのようです。
ワイルドでした。
世の中には凄い人がいるもんです。

<2020/9/2 追記>
7月から無事再開。
期待通りに楽しい。

描かれているのは
煌びやかとか、美しいというより「自然」な海。
そして「自然」な魚や海老やフナムシ。
これが他にない最大の魅力かもです。

↑で書いたユーチューバーさんは大分のようで、やはり近いせいか海の風景とか、釣りの方法、魚の締め方なんかがよく似ている。
良い感じに穏やかで暖かい海。
九州に引っ越して釣りしたいな。
「ばらかもん」の舞台の五島列島とかよさげですよね。

半分通り越したのでとりあえず評点つけてみました。
今期イチオシです。。

<2020/9/22 追記>
あっという間でした。
キスの天麩羅食べたい。
麦茶は沸かして、水道水で冷やして、が美味いんですよね。

延々と見ていられる良作。
コロナ禍が収まったら、来年の夏は九州の海に行きたいな。
最近、旅行してないし。

あと2期を心の底より希望します。

投稿 : 2024/04/20
♥ : 52

73.7 5 好奇心で家族なアニメランキング5位
同居人はひざ、時々、頭のうえ。(TVアニメ動画)

2019年冬アニメ
★★★★☆ 3.6 (296)
1060人が棚に入れました
他人が苦手で、人見知りの小説家・朏 素晴と人に捨てられ、過酷なノラ生活を生き抜いてきた猫。ふとしたきっかけで一人と一匹はいっしょに暮らし始めるが・・・?

声優・キャラクター
小野賢章、山崎はるか、下野紘、堀江瞬、安済知佳、中島ヨシキ、村瀬歩、津田健次郎、杉田智和、東城日沙子、豊口めぐみ、小野大輔、南條愛乃

フィリップ さんの感想・評価

★★★★☆ 3.7

哀しみと温もりのファンタジー

アニメーション製作:ゼロジー、監督:鈴木薫、
シリーズ構成:赤尾でこ、
キャラクターデザイン、作画監督:北尾勝、
原作:みなつき、漫画:二ツ家あす

昔、実家で猫を飼っていたこともあり、
猫の登場する物語は好きだ。
小林まことの『ホワッツマイケル』や
杉作の『クロ號』は楽しく読んでいた。
大佛次郎の『猫のいる日々』も持っている。
最近はそういう作品とも縁遠くなっていたため、
懐かしい気持ちになった。

両親を事故で失った小説家の朏素晴(みかづき すばる)が
両親のお墓がある場所で猫を拾って同居を始める。
人との交流が苦手な素晴が肉親を失った
同じ境遇の猫とふれ合うことで、
自分が受けていた愛情やかつての大切な日々を思い出し、
新たな道へと歩んでいく。

この作品はファンタジーの括りと言える。
素晴と猫のハルの両者の視点から物語が展開するからだ。
つまり人間と猫がそれぞれ何を考えていたのか、
どのようにすれ違っているのかが、
分かるようになっている。
ただし、リアルではなく、ファンタジー色が強い。
病気になった素晴を心配して、
ハルがエサを後回しにして素晴の元に駆け寄る描写などは、
猫を飼ったことのある人なら、
誰もが「絶対にあるわけない」と思ってしまうだろう。
猫同士や犬と会話するシーンもある。

しかし、そういうファンタジーが
この作品の最大の特徴で魅力。
特に素晴とハルが分かり合えないお互いのことを
少しずつ理解して、ゆっくりと関係を育んでいくのがいい。
ハルが名前の意味を知り、優しいものに
ふれた気持ちになって心を通わせるシーンには
気持ちが揺さぶられて驚いた。

大切なものを失ってしまったとき、
たとえ、その時には感情があまり動かなかったとしても、
時が少し経ち、思い出が蘇ってきたとき、
不意に哀しみに襲われることがある。

素晴は幼年時代に友人のいない、
本ばかりを読んでいる人生を送ってきた。
そのため、他人と心を通わせる感情が欠落している。
だが、両親が健在だったときには、
その欠落を意識しなくても、
両親からの愛情を無意識ながらも感じ、
快適に生きていくことができたのだ。

ところが、両親がいなくなると、
自分の欠落をより大きく感じてしまうことになる。
そんなときにハルに出会い、
両親がいかに自分を愛していたのかに改めて気づかされる。
ハルも姉として弟たちと暮らしていたことを思い出す。
自分たちの失ってしまった大切な者に対する気持ちを
お互いに感じ合い、人間と猫が家族になっていく。
この作品は、あまり人間と猫ということに
こだわり過ぎず、コミュニケーションのできない、
喪失感を抱えた者同士が少しずつ相手を思いやって
癒されていく話というくらいに捉えたほうが、
引っかからずに観られるかもしれない。

私たちは大人になるに従って、
何もかもが永遠には続かないことを実感する。
時間が経つごとに色々なものを失い続けるからだ。
だから、心のどこかに哀しみを抱えているわけだが、
それを知るからこそ、誰かと過ごす時間が
より大切なものだと思えるのだろう。
(2019年4月6日初投稿)

※それにしてもEDの奥華子の曲は、相変わらず素晴らしい。

投稿 : 2024/04/20
♥ : 65
ネタバレ

ぺー さんの感想・評価

★★★★☆ 3.8

同居人は昭和のオカン

原作未読


手っ取り早く視聴率を稼いでくれる3つの素材は「グルメ」「子供」そして「動物」なんだそうです。
翻って当方、この中で反応するのは「グルメ」のみ。幼少期から現在に至るまで犬や猫、熱帯魚含めて愛玩動物を飼いたいと思ったこともなければ、動物を見て可愛いと思ったことも記憶にございません。

あらすじ:とある事情で古家に一人住まいする青年“朏素晴(みかづきすばる)”とその素晴に拾われた野良猫“陽(はる)”のハートウォーミングな交流のお話です。
視聴動機が猫という方は多いでしょう。そこで冒頭で述べてるような殺風景な人間が楽しめるかどうかに興味があり、本作の視聴の動機ということになります。

結果、

 そこそこ良い

でした。動物案件に食指が動かない方でも楽しめると思います。


作品紹介で“すばる”は人間側の主人公、“はる”は動物側の主人公とありました。猫は猫で視聴者にだけわかるように感情を言葉に表わすので猫ちゃんの心情がわかる仕掛けです。また1話の中ですばる(人間)視点での前半パートと同シチュエーションを今度ははる(動物)視点で描く後半パートと対になっていて、互いの思いがすれ違ったり交錯したりを楽しむ構成になってます。

会話での意思疎通ができないこの両名がどう関係を築いていくのか?
お互いの共通項みたいなのがあって少しずつ共感していくことで距離を縮めていきます。共通項とは“痛み”。
{netabare}お互い大切な人(猫?)を亡くした経験があり、蓋をしててもふとした瞬間に後悔の感情が顔を出し暗い影を落とすのです。{/netabare}

すばるにしてもはるにしても同情すべき事情があり、そこに囚われて序盤はお互い前を向けません。
言葉を交わせないからこそ、ゆっくりとそれこそ全12話かけて、時には停滞しているような場面さえ大事な時間に変えながら関係を築いていくのでした。とても優しい作品です。


周囲も善意のキャラばかり。
OPEDにも優しさが溢れてます。奥華子さん作曲、南條愛乃さん作詞・歌のEDはウチの娘のお気に入り。
そうです。子どもと一緒に安心して観れるのも良いところですね。


猫ちゃんかわいい!が自分は薄めですが、傷ついた者同士の「取り戻す」物語はなかなか見どころがありました。


ただし、主人公への共感は意見が別れそうです。私の場合こんな感じ↓

■昭和のオカン“はる”
昭和初期?いや大正?のご婦人かしら。。。
食糧難を経験している世代はとにかく
「食べてるか?」
「しっかり食べるんだぞ?」
と口酸っぱく言ったものらしい。私自身も大正生まれの祖母から同じような印象を受けた一人です。
本編視聴済の方はいかにこの猫が昔ながらのオカンみたいだったかはご理解いただけることでしょう。


■“良い”ではなく“そこそこ良い”となった理由
主人公のすばるがイマイチ。
極度のアガリ症。対人関係が苦手ということですが、挨拶くらいしようや。
{netabare}三日月先生サイン会にて、目を合わせない、返事をしない、極度の対人恐怖症ぶりを発揮。作家に奇人は多かれどファンをないがしろにする作家さんは斬新でした。他人が目に入らなさすぎ(笑){/netabare}

このキャラ造形じゃないとダメだったんだろうか?このすばる。周囲の優しさに触れても反応薄いし、むしろ迷惑だぐらいで思ってるし、
普通に考えたら「お前なんか知らん」というくらいのレベルじゃなかろうかと。

本作は、幼少期からの内向的すぎる性格が土台にあり、両親との素っ気ない関係を経ての不慮の事故による追い打ちだったわけで、物語成立の条件みたいなところもあるので一概に否定できないのがつらいところです。



猫が喋るファンタジーっぷりより、周囲の人が例外なくすばるに優しいことがファンタジーと感じたため、とても惜しい作品という位置付けです。
すばるは無理せんでゆっくりでいいから傷を癒していってくれとは思います。
{netabare}第一話と最終話を見比べると彼の表情明るいですからね。{/netabare}


遅まきながら、ペットが人間にとって大事な存在たり得ることが少しばかり理解できた気がします。それが一番の収穫かも知れません。



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2019.08.30追記


視聴時期:2019年1月~2019年3月リアタイ視聴




2019.04.21 初稿
2019.08.30 修正

投稿 : 2024/04/20
♥ : 54

えたんだーる さんの感想・評価

★★★★★ 4.3

人見知りミステリー作家と猫の愉快(?)な同居生活

== [下記は放送開始前レビュー: 開始後、追記あり。] ==
※放送開始前なので評点は「ALL 3.0」のままです。

「COMICポラリス」連載の漫画原作は現在5巻まで出ています。たぶんアニメ放送中に6巻が出る感じなんでしょうか。

主人公はミステリー作家である朏素晴(みかづき すばる)、そしてそのすばると同居することになる猫のハルです。

素晴は小説家なので引き籠っていられますが極度の人見知りで外出も苦手、動物を飼ったこともないのですが、図らずもそんな素晴と猫のハルの同居生活が始まってしまいます。

そしてハルとの同居生活がきっかけで素晴の生活や執筆作品にも変化が表れて……、といった感じのお話です。

当然のように人間の素晴と猫のハルの間でお互いが考えていることは言葉で伝わったりはしませんが、少なくとも原作では一つの事象がそれぞれの視点でどう見えているかが描かれるのが見どころかと思います。アニメでその辺り、どう表現してくるか…?
== [放送開始前レビュー、ここまで。] ==

2019.1.11追記:
第1話を視聴。素晴の身の上の説明とハルとの出会い、そしてハルが素晴の家に居着くことを決意するまでが描かれました。

原作ほどハッキリと分離されてはいませんが、やはり素晴の視点とハルの視点の両面でストーリーを進めるみたいですね。

基本は素晴側の視点で時系列を進めて、後からハル側の視点で補足するみたいな感じでしょうか。原作のように丸々両側の視点での話をすべてアニメでやってしまうとうまくないとは思っていたので、この進め方なら安心です。

2019.4.1追記:
最終話まで視聴終了してましたが、レビュー更新が遅れていました。

押守(おうかみ)さんの天然癒し系な感じは、わりと良く出ていたと思います。「原作の◯巻のエピソードまで進んだ」って言いにくい感じですが、原作無視な感じではなかったですね。

最終エピソード(前後編)は、アニメオリジナルエピソードだと思うのですが、これも原作を踏まえた良い物だったと思います。大翔(ひろと)の妹の渚ちゃんはもう少し出番があったと思います。もし2期目が作られれば本格的に関わってくるでしょうね。

ということで、良いアニメ化おつかれさまでした。

投稿 : 2024/04/20
♥ : 52

73.3 6 好奇心で家族なアニメランキング6位
赤毛のアン(TVアニメ動画)

1979年冬アニメ
★★★★☆ 4.0 (136)
637人が棚に入れました
高畑勲と宮崎駿がスタッフとして参加した最後の世界名作劇場。モンゴメリの名著である原作を忠実に映像化している。働き手の男の子を引き取る予定だったカスバート兄妹の元へやってきたのは、なぜかアン・シャーリーという女の子だった。手違いから起きたこととはいえ、感情表現豊かな彼女と共に暮らすことを決めた兄・マシュウと妹・マリラのふたりは、やがてかけがえのない家族の一員としてアンを愛するように…。

声優・キャラクター
山田栄子、槐柳二、北原文枝、麻生美代子、高島雅羅、坪井章子、京田尚子、井上和彦

Tnguc さんの感想・評価

★★★★★ 5.0

【お気に入り】 この世の中にたくさんある「好きなもの」のひとつ

~
 孤児院から引き取られた少女・アンは、お喋りと空想に命をかける暴走気味な女の子で、そんなアンが巻き起こす日常に始めは戸惑いを見せる養母のマリラと養父のマシュウでしたが、次第に2人にとって掛け替えのない存在へと変わっていく様子が全50話の中で暖かく描かれています。アンは孤児、マリラとマシュウは兄妹同士という奇妙な関係。3人の間には何一つとして親子の関係が成り立っていませんが、グリーンゲイブルズ(アンたちの家)の中ではまるで本物の家族のような絆が描かれていて、さらに、アンのユーモアとイマジネーションに弾けた物語も合わさり、万人に感動を与えるだけの温もりがあります。ただ、そんなグリーンゲイブルズの微笑ましい日常の裏で、この作品では人生の重みも描かれていて、と言うのも、人生というのは楽しいことがあると同時に辛いことや悲しいこともあって一概に順風満帆ではありません。それはアンたちの人生もまた同様であり、普遍的な一生が儚くも強く描かれています。そのため、グリーンゲイブルズで流れる時間には、楽しい日常を映し出すだけではなく、子供が成長する裏で老いていく大人の様子も描かれていて、それが物語に深みを与えています。過ぎていく時間は残酷でどこかやりきれない気もしますが、それと同時に、人生の希望や尊さを慈しむことができると思います。そして、どれだけ姿が変わろうとも親子のあいだに宿る愛情だけはいつまでも変わることがないことをこの作品は丁寧に示してくれています。 世界的に有名な児童文学の名作を、監督・高畑勲(たかはた・いさお)、レイアウト・宮崎駿(みやざき・はやお)、絵コンテ・富野由悠季(とみの・よしゆき)、そして、キャラクターデザイン兼作画監督・近藤善文(こんどう・よしふみ)たちの手によって素晴らしいクオリティーで制作され、アニメ史にも名を残す雄編(ゆうへん)となりました。原作の発行から100年が経った今でも、きらめきの湖のように光輝くグリーンゲイブルズの温もりは人々の心に寄り添いながらいつまでも愛され続けています。

個人的評価:★★★★★(5.0点)

投稿 : 2024/04/20
♥ : 12

さざぼう さんの感想・評価

★★★★★ 5.0

ほんとうに名作

なんて素晴らしいアニメなんだろう。
見終わってすぐにまた1話から見直すほど、このアニメを好きになってしまいました。
見終わった今は、夢の中にいるような心地よさを味わっています。

主人公の性格は、悲しいことが起きればわんわん泣いて嘆き悲しむし、嫌なことをされればかんかんに怒って手が付けられなくなります。
しかし、どれもこれも決して尾を引くものではなく、時が経てばけろっとして立ち直り、大好きな空想に耽っては世界を愛おしく想うことのできる、たいへん明るい部分も持ち合わせています。
そういう喜怒哀楽の激しさに加え、両親から受け継いだであろう才能も生かしつつ、人間関係をこじれさせるたびにそれを正し、周りの人たちと共に生きるということができる素晴らしい人間性を持っています。
また、友情の楽しさや心強さ、頼もしさをよく垣間見ることができ、それもこのアニメの重要な見所であると感じます。

とにかく、このアニメの登場人物は欠点だらけで、酷く脆い部分はそのように、強く美しい部分もそのようにと、人間という人間が臆面なく表現されており、そこに共感せずにはいられない、そんなアニメです。

投稿 : 2024/04/20
♥ : 3

野菜炒め帝国950円 さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

そうさのう・・わしは視聴したほうが良いと思うが・・

全50話。
世界名作劇場。

孤児である主人公アンがグリーンケイブルスの老兄妹のとこに引き取られて成長していく日常系。
名作劇場は、どっちか言うとお子様向けのイメージが強いが、コレに限ればガキの頃に見ても良さがいまいち分からんのではないかと。個人的には大人向けの地味な名作という印象。
そう地味であるが故にこのレビュー数の少なさなのか、それとも単純に古いからか。名作なのに寂しいもんだ。

主人公アンは、駿の爺さんも裸足で逃げ出したくらいの妄想癖逞しい女の子。
それでいて古美門弁護士に負けないくらい機関銃のように捲し立てる。しかも短気というおまけつき。
かなり賛否分かれるキャラだろう。

しかし思うのは正統派美少女。それでいて性格もおしとやかなんて無難で面白みの無い主人公で無く癖が強く好みも分かれるだろうが、当たればでかい主人公を持ってきたというのは恐れ入る。
自分は正統派より癖のあるほうを好むんでアンという主人公を比較的容易に受け入れることが出来た。

全50話中36話までが少女時代。以降ある程度成長した後のアンの物語。
個人的には少女時代の話のが好きだ。成長後も勿論いい話、泣ける話も多いが見ててなんか寂しくなる。
この辺りは見て貰えたら同じ感覚を味わえることだろう。多分。

この物語を語る上で外せないのがアンを引き取ることになった兄妹。
夫婦では無く兄と妹というところがミソなのだ。
アンにどこまでも甘く、女性が苦手な兄のマシューとアンを厳しく教育しようとするが実は愛情深い
妹のマリラ。
この兄妹のバランスが最高だ。アンとこの2人の交流こそが最大の見所だろう。

特にマリラは自分的には一押しキャラで、このマリラとアンの絡みはどれも大好きだ。
彼女(マリラ)は早すぎたツンデレなのだ。時代が彼女に追いついていなかった。
もし赤毛のアンが今この時に放映されていたならば世のツンデレ好きから歓喜の声で迎えられていただろう。
このマリラがたまに見せるデレ。愛情、優しさが堪らなく可愛いくもあり微笑ましいのだ。

さてそろそろまとめに入ろう。
人は選ぶが間違いなく名作だと思う。男が見ても普通に楽しめる(ただし大人)はずなんで未視聴なら1度は見て損はないだろう。
流行の最新アニメもいいが、たまにこういう古くてもいいものを見直してみるのもまた乙なもんだ。

投稿 : 2024/04/20
♥ : 29

62.3 7 好奇心で家族なアニメランキング7位
タイムトラベル少女~マリ・ワカと8人の科学者たち~(TVアニメ動画)

2016年夏アニメ
★★★★☆ 3.4 (128)
514人が棚に入れました
中学2年生の早瀬真理は、何事にも一生懸命で元気な女の子。
3年前に失踪した世界的科学者である父・永司からもらった ペンダント・アーミラリーコンパスをいつも大切にしている。
ある時真理は、親友の水城和花の兄・旬の部屋で、 かつて永司の研究室で見かけた本(『磁石と電気の発明発見物語』)を見つける。
真理は開いたその本からあふれたゆらぎに包まれて、タイムスリップしてしまうのだった。
アーミラリーコンパスが示すタイムスリップの先々で、 真理は様々な科学者たちと出会い、和花や旬と共に行方不明の永司の足跡を追ってゆく。
そこへ、同じく永司の行方を追っていた実業家・御影丞の動きが影を落とす。
現代での永司失踪をめぐるドラマが縦軸に、 過去で真理たちと科学者が繰り広げる発明・発見に関わるドラマが横軸に展開され、 それらが次第にシンクロしていく。

声優・キャラクター
豊崎愛生、寿美菜子、木島隆一、森川智之、坪井智浩、戸松遥、井上喜久子、山下大輝、高垣彩陽、福緒唯
ネタバレ

ブリキ男 さんの感想・評価

★★★★★ 4.1

家族揃って、お茶の間で楽しく学べる科学アニメ

土曜の朝7時からテレビ東京で放映されている科学アニメです。

科学をテーマの中心に据えたアニメというのは意外な事にとても珍しく、NHK教育では過去にエレメントハンターとかマリー&ガリーなどがありましたが、それ以来?という印象を受けました。

方位磁針の針の色の付いた部分が常に北を指す理由を詳細に説明出来る人は日本中あるいは世界中にどれだけいるでしょうか? そもそも地球の組成って何? とか、そんな私達の身近にありながら、見落としがちの科学的疑問を、考察の余地を残しながらも丁寧に解説していくアニメの様です。

科学技術とは切っても切り離せない生活を、当たり前の様に、吸っては吐く空気の様に受容している私達にとって、知るべき事、知らなくてはならない事は沢山あると思います。なぜならそれらは全て、何かを犠牲にして贖われているものなのですから‥。残念ながら、それらの事は学校で全て教えてくれる訳ではありません。なのでこの様なアニメの視聴をきっかけにしてでも、少しでも多くの人が、そんな身近な不思議を不思議と捉えて欲しい。化学好きのブリキ男はそんな風に思ってしまうのでした。

とは言え、お勉強アニメとしての色合いはそれほど強くありません。幼馴染との友情や恋、お菓子作り、失踪したお父さんの謎、※悪の組織?による陰謀などの王道設定が、タイムトラベルという冒険を交えてすいすいと展開される見やすいアニメです。家族揃ってお茶の間で視聴出来る、楽しい科学番組になっているのではないでしょうか?

第1集(1話+2話)はウィリアム・ギルバート、次回はベンジャミン・フランクリンのお話です。

以下は各話の感想。

3話 ベンジャミン・フランクリン
{netabare}
フランクリンのお話は1話で終了。欲を言えば前回と同じく2話欲しい所でした。でも宗教、奴隷制度の問題にもちょこっとだけ触れながら物語が描かれており、充実の内容と言えました。1話にあった本編終了後のおまけコーナー「マリワカのクイックサイエンス」が復活していたのも良かった。来週はボルタです。
{/netabare}
4話 アレッサンドロ・ボルタ
{netabare}
アレッサンドロ・ボルタの回。ボルタと言えばボルタ電池、学校とかでレモン電池とか作った人もいると思いますが、あれの始祖に当たる電池のお話です。

今回は活劇描写などが多めに入っていたせいか、科学解説の部分についてかなり物足りない印象を受けました。電解液とか、イオン化とかの説明をちょっとだけでも入れて欲しかった所です。

あとタイトルにマリ・ワカと入っているのに、4話になってもワカの活躍が殆ど無いとはこれいかに? 2人揃って過去に行けば、科学の不思議に対してそれぞれが別々の疑問を提示する事も出来るかも知れないので勿体無い気がします。

そしてこれもタイトル関連ですが、タイムトラベルについて、古典的な付け足しルールによるタイムパラドックスの回避のアイディア(大宇宙の謎の法則が過去の自分自身に出会う事を許さないとか‥)は論理性に欠けるので量子論を概念的にでも説明する方が説得力があった様に思います。

でも次回に期待。
{/netabare}
5話~6話 マイケル・ファラデー
{netabare}
ファラデーの電気と磁気を同じ力の別の相とした功績は科学界の一大事件と言えます。さらにそれに光子を加えた理論の構築に至るまでには、光電効果を発見したアインシュタインの登場を待たねばなりません。

未来から来たワカの活躍でデイビー卿の心が動き、ファラデーの未来が変わる? 量子論では現在(いま)が観測されると、過去が決定すると言われていますが、過去を変えても、※枝分かれした無数の未来に向かうだけという解釈があります。ファラデーの歩む未来はワカの帰還する未来とは違う未来になるでしょう。なればマリのお父さんはタイムトラベルを通じて何を行おうとしているのでしょうか? 出来れば何らかの科学的解釈を与えて欲しいと期待してしまうブリキ男なのでした。

また今回のお話では、前半にクイックサイエンスのコーナーがありました。子供もこういうコーナーは喜ぶと思うので、なるだけ毎回やって欲しいものですね‥。(ぜ~たくな希望)

今回を持って、ワカも晴れて"タイムトラベル少女"となりました。今後の活躍に期待。

※:量子論の概要が直感的に感じ取れる"ファインマン・ダイアグラム"を見る事を推奨。量子論を扱う一般書では大抵載ってます。
{/netabare}
7話 サミュエル・モールス
{netabare}
今回はワカは置いてけぼり。マリだけで過去へ飛びます。何というか‥いつもマリ一人でタイムトラベルしてるけど不安じゃないのかな‥。

さておき、私、モールスが画家で点描画を描いていた事はこのアニメ観て初めて知りました。どんな経験も無駄にはならず、何らかの形で昇華されていくものなのだなぁと感慨深いものを受け取った次第。点描からモールス信号、繋がるんですねぇ‥。

そしてエピローグのシュン兄ぃの「人はね、みんな、解らない事だらけなんだよ‥」に始まる台詞について、知識の蓄積と視野の拡張を相転移になぞらえて説明されている所に大いに共感出来ました。一見無駄に見える様な、気の赴くままに貪った知識も、いつか繋がり合い、より高い認識へと成長していく過程を巧みに表す表現でもあり、一足飛びに結果だけを求めるきらいのある競争社会に釘を刺すありがた~い言葉でした。あっぱれ。

今回も科学考察は急ぎ足な感じでしたが、科学延いては勉強全般に対する謙虚な姿勢を示す意義のある回だったと思います。

初回では悪者の印象が強かった御影さんも、前回あたりから茶目っ気を披露。秘書のさつきさんも面白キャラである事が判明して安心。どちらかというと子供向け番組ですものね‥。

次回も楽しみです。
{/netabare}
8~9話 グラハム・ベル
{netabare}
別荘でバカンスを楽しもうとクルマを走らせるマリワカ家族。そこに都合良く(わざとらしく)現れた、御影さん。クルージングへのお誘いからの焼肉奉行コンボに大笑い。この流れを終始クールにやってのけるとは中々の度量。何かたくらんでいるし底知れぬ人だけど、どこかしら間が抜けているし良い人なのでは?とか思ってしまいました。そんな御影さんの誘惑をはねつけるマリのお母さんはそれよりも強し、凛とした態度が素敵でした。

続くお約束のタイムトラベル。今回は図らずもマリだけが過去へ飛びます。1876年のアメリカ、フィラデルフィアの万博会場近くの噴水広場にスク水+パーカー姿で! 普通に考えれば事件になりそうな事態でしたが、マリパパがすぐ近くにいたので何とかなりました。なけなしの所持金をはたいてパパが買ったワンピースにご満悦のマリ。同時代のイギリスのサンドレスと比べると、かなりラフな感じのデザインでした。やはりアメリカ?

後半、万博会場でのベルによる公開デモンストレーションの様子が少しだけ描かれました。

音波というのは磁力や光と少しだけ違って、空気を振動させる事で生まれるもの。水中で体を動かすと波が出来るのと同様に、空気中でも体を動かす事で波が生まれます。その波の振動を感知出来るのが私たち生物の耳です。

宇宙空間の真空と比べて、地球の大気は実は重い物質だらけのどろどろのシチュー状態、見方によっては海の中とほんの少ししか変わりません。このどろどろのシチューを声帯の振動で圧して波を発生させるのが声、その波を我々は音と捉えます。

グラハム・ベルはその空気の振動を、昨今の様にデジタルデータを仲介をせず、そのまま電気信号に変換しました。その電気信号を導線で伝え、その先で音声に再変換する、これが電話です。

さておき、今回も身近な不思議への疑問や興味を触発させるありがた~い台詞が‥「運命の中に偶然は無い」とか「興味を持った事を調べてごらん。それが好きの入り口だ‥。」とかマリパパ、カッコ良いですね。ワンダフル!

お話と全然関係ないけれど、OPのシュン兄ぃのフェンス飛び越えアクションに毎回笑ってしまいます。何やっても絵になる人なのは確かなんだけど、何となくセンスが70~80年代‥でもシュン兄ぃだから許せる?
{/netabare}
10話 ハインリヒ・ヘルツ
{netabare}
今回はヘルツのお話。

前回は有線通信のベルで、今回は無線通信のヘルツ、密接な繋がりが見られます。初回から脈絡のある電磁気に関する発見のお話を連ねているマリワカですが、通しで見た時にはさらに記憶に残りやすくなる事請け合い。良い構成だと思います。

今回のお話では過去の科学者の人たちに「あなたの研究は決して無駄にはならない」と未来人の立場から勇気付けるのがマリパパの目的の一部である事がはっきりとしてきました。これは過去に生きた全てものたちに言うべき言葉なのかも知れません‥。

一方で、これまでちょくちょくとギャグパート?もこなしていた御影さんですが、今回は初回近くの悪者然とした雰囲気に戻りました。ニセの警官(本物の警官を懐柔してるとかだったら、かなりコワイ)まで使って企み事を巡らします。でも目的は未だ不明、タイムマシン(物質転送装置)を手に入れて何をするつもりなのでしょうか? でもOP見る限りではこの人、悪人には見えない‥。失意のエジソンの肩に手をやって優しげな表情を浮かべているし‥。

電気のお話を中心に着実な歩みで綴られてきたマリワカも、残すところ後2回、急展開になりそうな予感です。

次回のお話はトーマス・エジソンです。

※36歳の若さで亡くなったヘルツの死因は多発血管炎性肉芽腫症という名称の病気で、当時は不治の病に近いものだったらしい。

Wikiによればヘルツは自らの実験について「それは何の役にも立っていない……単にマックスウェル先生が正しかったことを証明しただけの実験だ。我々の肉眼では見えない不思議な電磁波は確かに存在する。しかし、単に存在するだけだ」という言葉を残しているという‥。結婚して2人の娘もいたのに不遇過ぎます。
{/netabare}
11~12話 トーマス・エジソン
{netabare}
エジソン回、目的はやっぱりビジネスの為、マリパパを探し出すためにマリを人質に取る形で過去へ飛んだ御影さん。

あるべきでないもの同士がひと所に集まる事によって起こる時空の歪み、タイムパラドックスの解釈については、初回近くから懸念していた事ですが、結局明確な説明はありませんでした。頭脳明晰なシュン兄ぃも今回は「分かりません」と言う回数が多かった様子。分からない事を分からないと答える事も知性の一つのあり方です。

理論上可能性が認められていても、観測した人がいない問題について無理に説明しようとすると、ファンタジーになりかねないので妥当な判断だったと思います。

「出来たものを消費するだけのあなたなんかに、彼ら(科学者達)の事を侮辱なんてさせない。」マリの言葉には力がありました。

科学の歴史は無数の人々の聖人の如き努力、あるいは狂人の如き情熱の上、その積み重ねで作り上げられてきました。科学の恩恵を受けるばかりで、その重みを痛いほど知っているはずの私達は、過去に生きた人たちへの畏敬の念を決して忘れてはならないと私も考えます。

脱線から戻ってアニメのお話。過去に置き去りにされた御影さんの扱いがかなり不遇でした。取り決めに従って行動していただけなら悪人にはならなかったはずなのですが、人をだまくらかして懐柔しようとしたり、暴力とか強引な方法に頼って権利を行使しようとしたのが罰を受ける原因だったのかも知れません。

エジソンも努力の人でもあるけれど、自らの利益の為に※悪どいプロパガンダ活動をして科学を踏みにじったり、とある映画を権利者に無断でコピーして売却して暴利を貪ったりと悪人としての一面もある人。

エジソンと御影さん、両者が良きパートナー同士となるという顛末をみると、複雑な心境です。歴史が変わってしまいそうな不安を残しました。

それとお父さんの規約違反とナポレオンから贈られた黄金杯の件は全然清算されていなかったのも気になる‥。

エピローグは未来のお話。ここにもやはり原因不在のパラドックスがありました。この部分はパラレルワールドと割り切ってみるべきなのかも知れません。

今回のシリーズでは電磁気のお話に焦点が当てられていましたが、電磁気の本があるなら同じ様な他の分野の本も‥とか思ったり‥。もし続編が作られるなら、数学とか物理とか天文とか生物とかテーマは無数にありそうです。タイムトラベルの問題も消化不良だし、続編を期待するついでにそんな事をちょっとだけ想像してしまいました。

※:直流送電と交流送電、どちらが理にかなった送電方法であるかを問う、トーマスエジソンとジョージ・ウェスティングハウス・ジュニア、ニコラ・テスラの間に起きた抗争"電流戦争"の名で知られる事件の中で、エジソンは交流電流の危険性(ウソ)をアピールする為に何の罪も無い野良犬や野良猫、家畜の豚、牛、馬など多くの動物を殺しました。象まで‥。電気椅子の開発とこれによる死刑執行もコマーシャルの為。エジソンは偉い人かも知れないけれど、酷い人でもありました。本作ではそんな彼を過度に美化する事を避けている様にも見えます。
{/netabare}

科学は世界を見るための唯一の方法ではありませんが、人類の歴史を通して、常に反証可能な方法であった事は認めなければならないのではと思います。言い換えるならば、一つの見方としては確立したものであると評価出来ると思います。でも科学一辺倒の思考に陥ると、多分偏屈人間になってしまうので、幽霊とか魔法とかもあるかも知れないと考えられる様なイイ加減な人間になりたいものです。


※:御影さんが美女?をはべらせてウイスキーをロックであおってるシーンには閉口(汗)。バブル時代ですか!?


[おまけ~ことばが通じる不思議について~]
{netabare}
先ずマリのアーミラリーコンパス(天球儀状のペンダント)の中身について説明をば、この中にはCPU、RAM、翻訳ソフトと音声読み上げソフトを書き込んだメモリ、電池、入力、出力としてマイク、スピーカーが内蔵されていると思われます。(PCに似てます。)

マリが聞く時
1.英語とかをマイクから入力。
2.入力した音声を翻訳ソフトで解析し、日本語に直す。
3.音声読み上げソフトを介してスピーカーから日本語を出力。

多分直前に聞き取った日本語以外の音声言語(例えば英語)を読み取って、フォーマットが行われ、以後、マリの方から喋る際にも英語に翻訳される様になるのだと思います。もしそうならペンダントのマイクがイタリア語を聞き取ったらマリの声もイタリア語になります。言語解析の為、最低でも1フレーズ位は音声を入力しなければならないかも知れません。

マリが喋る時(フォーマット"英語"の場合)
1.マリの発した日本語をマイクから入力。
2.翻訳ソフトで解析し、直前に聞き取った言語"英語"に直す。
3.音声読み上げソフトを介してスピーカーから英語を出力。

音声読み上げソフトには入力された声紋に従って声のトーンを決定、調整するプログラムも含まれていると思います。

でも言語の種類によって文法が異なるので、マリワカ作中の様な同時翻訳は、上の方法では不可能です。タイムラグを経て翻訳される形式を取る事になりそうです。(こういった言語翻訳機は現代でもほぼ実用化されてます。)

もう一つ考えられるのは恐縮ながらブリキ男の創案した"脳波を読み取る方法"(もしかしたら既出のアイディアかも知れません。)

これは相手が脳に思い浮かべた言語の概念(脳波)を電気信号としてペンダント内の受信機で読み取り、日本語に変換するというもの。マリが喋る場合はマリの脳波を読み取り、他言語に変換する。

脳波は微弱で、現代では頭に電極刺したり、電極の着いた帽子を被ったりしないと読めないので難しいかも知れませんが、超高性能な受信機があれば不可能ではないのではと思います。

でも同時翻訳だと二つの言語(翻訳前と翻訳後)の音声が同時に発せられてしまい、聞き取り辛くなる事が難点です。

問題を解消する方法の一つは、スピーカーから翻訳音声を発すると共に、聞こえなくとも良い翻訳前音声と逆位相の音声も発し、※ノイズキャンセル効果を使ってそれを消してしまう事です。脳波は音よりも先んじて届くので理屈の上では可能だと思います。多分‥。

またペンダントにはタイムトラベルをする際、位置情報を確認する為の電波送受信機(ケータイとかスマホみたいな)も内蔵されていると思います。でも実際にタイムトラベルに必要な、現在と過去を繋ぐワームホールに相当するゲートを生成するのは大きさからして、実験室の方の機械だと考えるのが妥当でしょう。元いた世界に戻る際、位置情報の確認は必須なので、電波を送受信する現在と過去を繋ぐ素粒子レベルの大きさのゲートは常に開いているのかも知れません。

科学が進歩すればタイムトラベルは可能になるのか?という問題については理論上の問題なので、ブリキ男でも本当の所は全く解りません。しかしながらアニメを見てこういった考察出来るという事自体、とてもぜいたくな楽しみと言えます。なるほど‥これが愉悦か‥。

※:かんたんに言うと音で音を消すという事。作曲の仕上げなどに用いられる波形編集ソフトとかには、こういう機能が使えるものも多くあります。音の波長を表すギザキザの、山になっている部分に同じ大きさの谷をぶつけると無音になるのです。これによって雑音を綺麗に消せます。
{/netabare}

以下は作品本編とは殆ど関係ない面白実験コーナー。
{netabare}
[面白実験その1 これで君もレールガン?]
空気の乾燥した冬の日などに毛足の長い毛布などを掌で撫で擦ると静電気が生じて小さな小さな稲妻が出来ます。湿気が多い時期は水にエネルギー(電気)を奪われるので出来ません。真っ暗な部屋でやってみると青白い火花が確認出来て綺麗ですよ。(ちょっと手がちくちくするけど)セーターとかでも出来るので色々と実験してみるのも面白いかも?
{/netabare}

投稿 : 2024/04/20
♥ : 18
ネタバレ

剣道部 さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

昨日は今日になり、今日は明日になる。全てが繋がって、今になる。

[文量→大盛り・内容→考察系]

〈2016夏 個人内ランキング 6位〉

録画溜めといたんですが、キャッチさんの影響で視聴開始w

【総括】
子供向けアニメと思い、侮ることなかれ。かなり優秀なシナリオに、度肝を抜かれます。タイトルや絵柄だけで敬遠してはいけないアニメの代表格かと。

科学や科学史に詳しい方にとっては当たり前すぎる内容なのかもしれませんが、私のような文学畑の人間にとっては初めて知ることもあり、純粋に知的好奇心も刺激された。楽しいし学べるし、ホントにNHKで流してほしいw

《以下ネタバレ》

【視聴終了(レビュー)】
{netabare}
なんだこのアニメ? かなり面白いぞ!

確かに子供向けで、あざとい部分や安易な部分はありましたが、それを補って余りある良シナリオ(特に2話目)。電気の発見から製品化まで、あっさりしっかり学ぶことができました。

力のある大人が本気で子供向けアニメを作ったらこうなった、という感じ。

自分の中では2016夏アニメのダークホース。

この作品の主題は、「現在の生活は、過去の偉人(科学者)達の挑戦の上にある」ということ。すべてが繋がって、今がある。きちんと大人が観られる子供向けアニメでした!(強いて言えば、最終回の一部にだけは不満大)

最終回は、ある意味で10話が伏線になっていて、だからこその感動がありました。どこまでも科学者に優しいアニメで、全体としては良いです。

一点だけ気になったのは、マリ達が御影を過去に置き去りにした行為は、故意ではないとはいえ、結果的に御影を「殺す」に近い行為なのに、マリ達のリアクションが軽いこと。子供に対し、勧善懲悪をイメージさせたかったのかもしれませんが、御影はそこまで悪い奴じゃないと思います。実際、科学の研究には莫大なお金がかかるわけで、そのお金を出しているのは、実用化された時には支出以上の利益があると踏んでのこと。別にボランティアで研究費を出しているわけではないでしょう。だから、御影の言葉にも一理はあって、商人と科学者は、時には対立し、時には共存共栄する密接な関係にあると思います。「このアニメだからこそ」そこには深く切り込んで欲しかったし、出来たと思います。まあ、御影がエジソン一味となって成功したことを示すのが救済になっているんだろうけど、だとしても、せめてその写真を見るまでは落ち込んだり悲しんだり、なんとか過去に戻って御影を助けようとする姿勢を見せるべきでした。御影がいなくなった(現代人からすれば死んだも同然の)中、当人を慕う部下(おそらく恋人か片想い)には「仕方ない、もう手遅れだ」とアッサリ言い放ち、自分達だけは家族の久々の再会を泣きながら喜ぶマリ達……ちょっと怖かったです。御影にだって、家族はいたでしょうに。

ただ、この作品がタイムリープ系には珍しく、「パラレルワールドオチ」にしなかったのは偉いと思いました。「orange」なんかまさにそうだけど、パラレルワールドってアニメにするには都合が良いんですよね、誰も傷つかなくて。でも、「マリ・ワカ」では、過去も同じ時間軸にあって、全てが繋がって今があるというのは主題なので、(んじゃ現在の改変はどうなるの?というツッコミどころもありつつ)必要な設定でした。

ラストのラストである未来編は、個人的には好印象。マリがお婆ちゃんになっててショックでしたwが、過去が今になるように、今は未来に変わっていくのだから、同然であり自然な姿なんだと思います。思いは受け継がれ、発展していきます(どうせなら、旬兄もお爺さんになって、一緒にいるところを観たかったです)。私たちのような萌え豚野郎に配慮しないところが素敵でした(笑)
{/netabare}

【各話感想(レビュー含め)】
{netabare}
第1話
AED、何度か講習受けたけど、かなりリアル(笑) 学習アニメ×女子中学生……「もしドラ」的な感じなのかな? 初めの科学者がギルバートか、(エジソンとかじゃないところが)渋いね。でも、マリを見てすぐに「東洋人」って、ギルバートが活躍した時代、日本は戦国時代とかでしょ? すんなり出たワードに(まあ中国とかもあるけど)歴史的にやや違和感w 私は文系なんで、理系の話は知らないことだらけで楽しみ♪

第2話
マリが、ちゃんと(良くも悪くも)中学生くらいの知識量ってとこが、徹底されてるね。地磁気とケーキとAEDが繋がってるところが上手いね! 科学って、人類の歩みって繋がってるんだな~と思った。ギルバートの理論も全ては地球が球体であるってことが前提なわけだし、それ自体が科学者の発見なわけで、こうやって人類が1歩ずつ歩を進めてきたってことが伝わる、良シナリオ!

第3話
ちょっと驚いたのは、科学との対比のためとはいえ、宗教をここまで正面から否定的に描いた教育アニメってのも珍しい(第2話も含め)。でも、当時の科学者にとっての最大の敵だったということですね。凧の実験は死者も出てるし、ガチで危険。良い子どころか、悪い子も絶対に真似しちゃだめだよ(汗)。

第4話
のオーストリアが台頭してくるあたり、歴史を感じますな~。今回は「電池」の発明者の「ボルタ(ト)」ですが、科学の恩恵というよりは、違う面を見せたかったのだと思います。それは、「科学の戦争利用」(防弾チョッキやスタンガンはその比喩)。この時代以降、科学と戦争は切り離せないものになっていくしね(ノーベルが鉱山夫の安全の為に作ったダイナマイトの戦争利用。アインシュタインの基礎研究を基に作られた核爆弾とか)。前回は科学の発展の為の宗教批判、しかし、今回は科学そのものの負の側面を見せてくるあたり、真面目ですな~。

第5話
欧州サッカーの目標が、プレミアやリーガじゃなくて、セリエかリーグ1って、意外と堅実w お~、マンネリ化しそうな辺りで、ちゃんと展開変えてきたね~(拍手)♪ 出会う科学者も、「電気」という関連性が強い方ばかりで、色々欲張らずに、good!

第6話
これまであまり活躍のなかったワカにスポットを当てた2話でしたね♪ ワカのツンデレは安定してますw これまで、冒頭の現代での発言や行動を伏線にし、過去の科学者との出会いにより、マリやワカが成長し、終末の現代で伏線回収するという、良シナリオに感服しています。

第7話
電気が少しずつ進化していき、ついに通信まで。胎児が母体の中で一気に進化の過程を経験するように、このアニメの中で電気が一気に進化している感じ。旬君、良いこと言うね~。有名な話ですが、ドラクエの作曲家「すぎやまこういち」さんは、ドラクエの序曲をわずか5分で書き上げたそう。それをインタビュアーに、「どうやったら5分で名曲を生み出せるのですか?」と問われ、「あの曲は、54年と5分で作ったのですよ」と答えたらしい(当時すぎやまさんは54歳)。これ、大好きな逸話なんです! とっさの判断や閃きに見えても、そこには人生の全ての時間の過ごし方が濃縮されたいる。つまりは積み重ねることの大切さ。旬君が言ったのもそういうことですね♪ 科学を学ぶだけでなく、タイムトラベルものとしても、楽しめる内容になってきましたね!

第8話
出だしが「コナン」っぽいのだがw「それ文法違うから~(違うから~)」は、可愛かった♪ 珍しく日常回、緩急が効いてるね。

第9話
お父さんは、どこから来て、どこに帰るのかな? 今回のマリワカのクイックサイエンスは面白かった(し、分かりやすかった)。光ケーブルの仕組み、初めて知ったw

第10話
例えばエジソンのように、電球や蓄音機などを「発明」できた人は、自分の功績が世の中を変えていく様子に出会えて幸せなのだろう。でも、その「発明」を支える基礎研究に生涯を捧げた「科学者」は、幸せを実感できたのだろうか……という部分に光を当てた回。救いがありました。現実世界でもいよいよ、盛り上がりをみせてきましたね♪

第11話
正論vs正論。この作品の作風上仕方がないかもしれないけど、歴史変換による影響に対する危機感が皆無なんですよね、皆が。まあ、良いんだけどね、タイムトラベルは一種の装置であって、伝えたいのは科学の仕組みだからね。なんか急にSFになりましたね(いや、今までもSFでしたがw)。

第12話
御影の、「研究のよろこびなんて下らないセンチメンタリズムだよ」って発言は、このアニメを根底から覆そうという問題提起であり、1つの真実。また、「自分達(商人)がいてこそ、科学は価値をもつ」というのも、ある意味正論。それに対してマリの「出来たものを消費するだけのあなたなんかに、彼等のことを侮辱なんてさせない!」って反論……ぐうの音も出ませんな。
{/netabare}

投稿 : 2024/04/20
♥ : 22

ato00 さんの感想・評価

★★★★☆ 3.9

ああ~ 川の流れのように♪

電気の実用化の歴史を辿るサイエンスノンフィクションアニメ。
とはいえ、タイムトラベルマシンで過去に遡るため、基本SFです。
早朝放送の子供向け教養アニメ。
Eテレ放送と見紛う程、真摯な内容です。

女子中学生マリがタイムスリップして、過去の科学者と会う、全12話。
基本1~2話完結で、時系列順に電気にまつわる発明発見の歴史が紹介されます。
ストーリーは行方不明のマリ父を訪ねて三千里的な・・・。
そこには、ある本が関わっていて・・・って、なんてご都合主義。
まあ、その辺は気にしないで起きましょう。

このアニメで言いたいことは科学のすばらしさだと思います。
人類の生活を劇的に向上させた電気利用。
これは、科学者のたゆまぬ探求心のたまもの。
それは世のためというより、自身の好奇心を満たすためだったかもしません。
でも、それが各時代の科学者に受け継がれ、川の流れのようになります。

ラスト、エジソン編でサイエンスとビジネスの関係について述べられます。
科学による技術革新を組織的に事業化すること。
それが人々の暮らしを豊かにしたと、この作品は説いているのではないでしょうか。

投稿 : 2024/04/20
♥ : 24

69.5 8 好奇心で家族なアニメランキング8位
怪奇ゾーン グラビティフォールズ(TVアニメ動画)

2012年秋アニメ
★★★★★ 4.3 (18)
67人が棚に入れました
ディッパーとメイベルのパインズ兄姉は、夏休みの間だけ、オレゴン州のグラビティフォールズに住む大叔父さんのスタンのもとで暮らすことになった。

しかし、スタンは観光客相手に詐欺を働いており、その上2人が宿泊することになるスタンの家"MYSTERY SHACK"では、奇怪な事件がほぼ毎日発生するのであった。

文葉 さんの感想・評価

★★★★★ 4.6

ブラックユーモア×ディズニーのコラボ 新ジャンルの開拓

個人的には好きな作品(なので、今回参考にならないかもしれませんw)

あらすじ
12歳の双子の兄妹ディッパーとメイベルは、グラビティフォールズという謎の多い町に住む観光客相手に詐欺を働いているスタン叔父さんと夏の間過ごすことになり、仕事を手伝ったりするようになる。
そんな中、「指が6本ある3の数字が描いてある奇妙な本」を拾ってしまう。
そこに記された超常現象やモンスターに好奇心をくすぐられ事件に巻き込まれたりするミステリーアドベンチャーコメディ

フィニアスとファーブやアメリカンアニメやディズニー好きならハマるかもしれない。
作画はアメリカ特有のキャラデザや絵のスタイルだけど慣れてしまえば楽しめる。
ブラックジョークが効いていて、「ホントにこれ、ディズニーなんですか?こんなことして良いんですか・・」と心配して聞きたくなるようなジョークもある。
伏線の貼り方が上手く、後になって「前にこんな伏線があったんだ!」と驚いた。子供にはアドベンチャーコメディ。大人には小さい頃の懐かしい夏の出来事を思い出しながら観れるブラックユーモアと少し奇妙でシンプルな心温まるストーリーに映るかもしれない。
大体前半は一話完結だけど、若干繋がってる。クライマックスは壮大に話が繋がってるので一気観推薦。

一話30分枠のシーズン2で40話ほど。海外ではクライマックスが相当盛り上がったらしい(いいなぁ・・!)
最終回も伏線は全てではないけれどだいぶ回収された爽やかなラストだった。
製作者がFOXに行ったらしく、続編は有りそうで無い模様だけど大きくなったディッパーとメイベルが見たい。というか、会いたい。

投稿 : 2024/04/20
♥ : 23

平尾町愛好会 さんの感想・評価

★★★★★ 5.0

本当にハマったカートューン(アメリカン)アニメでした‼︎笑いとスリル、そして感動をありがとうございました‼︎

とにかくとても面白いです‼︎(ですが、ディズニー作品とは思えない位に内容はかなりブラックユーモア色が強いですが…。ですが感動出来るシーンや意外な展開・バックボーンも沢山観られて、かなり造り込んだ、一度観たらクセになる位に面白く、とても見逃せないアニメです‼︎本当にオススメです‼︎)日本でもはやく新作(北米版でいうとシーズン2の中盤あたりのエピソード)が観たいです‼︎
2016年6月21日レビュー追加:最終回、観ました‼︎お世辞抜きで、本当に感動して、見終わった時、思わず涙しました…‼︎グラビティフォールズと言うとても素晴らしいアニメを世に出した、スタッフ・キャストの皆様、本当に感謝の気持ちでいっぱいです‼︎本当に笑いとスリル、そして感動をありがとうございました‼︎グラビティフォールズに関わった全ての皆様の更なる飛躍を強く願っております‼︎

投稿 : 2024/04/20
♥ : 13

たぼろ さんの感想・評価

★★★★★ 4.8

え、これ本当にディズニーなのか…!?

◯一言で表すと?

 『良い意味で』ディズニーとは思えない
 ストーリー展開の凄みがある。


◯このアニメの魅力は…

 展開は、SCPのような異常現象を相手に、双子の子供が
 周囲を巻き込みつつ、『なんとかするアニメ』です。
 面白い…というのは、どんな作品でも同じですよね。

 この作品の突出した魅了は、
 「ほぼ全ての伏線を、必ず回収して物語が進んでいく」という点です。
 
 なんとなくあのシーンに写り込んでいた"アレ"が後々重要な役割になっていたり、
 ちょっとした下らない言動が、後で重要な展開の引き金になっていたり…と
 誰もが予想しなかったものが、2周目に見返してやっと気づくものまであります。

 もちろん、ギャグ路線もかなりお気に入りです。
 OP曲だって、かなり気に入ってます。

◯お気に入りキャラクターについて

 どのキャラクターにも個性があり、最初から最後まで、個性がキープされてます。
 私は、そのなかでもスタン大おじさんが好きですね。

 最初はただの悪役堅物オヤジにしか見えない大おじさんですが、
 物語が進んでいくと共に
 バカで、客を騙すほどお金に目がなくて、自分勝手で…
 でも実は誰よりも寂しがり屋で、やさしくて、家族思いで…
 そんな大おじさんが作品では大好きです。

◯最後にひとこと

 海外初のアニメですが、日本語化がうまく出来ており、見入る程面白いアニメです。
 「カートゥーンアニメはちょっと…」という方!
 私もそうでしたが、このアニメを見れば「ちょっとナメてたな…」となりますよ!!

投稿 : 2024/04/20
♥ : 1
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