2021年度の宗教おすすめアニメランキング 2

あにこれの全ユーザーがおすすめアニメの2021年度の宗教成分を投票してランキングにしました!
ランキングはあにこれのすごいAIが自動で毎日更新!はたして2024年04月25日の時点で一番の2021年度の宗教おすすめアニメは何なのでしょうか?
早速見ていきましょう!

66.6 1 2021年度の宗教アニメランキング1位
異世界魔王と召喚少女の奴隷魔術Ω(TVアニメ動画)

2021年春アニメ
★★★★☆ 3.2 (254)
980人が棚に入れました
ゲーム内の姿で異世界へと召喚されてしまったディアヴロ(本名・坂本拓真)は、「私こそが召喚主」とお互いに主張するシェラ、レムの2人とゲームにそっくりな異世界での日々を過ごしていた。エルフの王国の精鋭部隊と戦ったり、魔族と戦ったり、復活した魔王クレブスクルムを従わせたり。「我はディアヴロ。異世界の魔王であるッ!」と魔王演じながら、強敵に立ち向かっていくディアヴロは、ときには美少女たちに翻弄されつつも、確かな信頼関係を築き上げていた。──そんなある日。湖東の森に出かけたディアヴロたちは、ボロボロになったひとりの少女と出会う。「か、神様……、なのですか?」それは聖騎士に追われた、教会の大主神官・ルマキーナだった……!コミュ力ゼロの魔王(演技)が、絶対的な強さで突き進む!異世界魔王と召喚少女たちが繰り広げる“夢いっぱいの異世界冒険譚"、再び!

声優・キャラクター
水中雅章、芹澤優、和氣あず未、伊藤美来、古賀葵、内村史子、赤﨑千夏、原由実、大久保瑠美、加藤英美里、種﨑敦美、森嶋優花、千本木彩花、置鮎龍太郎

NEKONYAN さんの感想・評価

★★★☆☆ 2.3

1期は☆5、今作(2期)はあまりにも酷い

アニメ作るの下手糞かよ
制作会社とキービジュアル発表時点からの嫌な予感が当たってしまった。
作画が悪いことは他の方も語っているので、それ以外の点にも大いに触れつつ、ネタバレを避けて原作ファンの視点から酷評しようと思います。

不満点1つ目
あらゆる面で主人公軽視
戦闘描写がしょぼいのは100歩譲って我慢できる
でも、それだけじゃなく普段の日常シーンから明らかに主人公だけ作画の力抜いてるよね?原画が悪いとかでなく、リソースの振り分けがムカつくっていってんの
加えて作画以外でも主人公軽視が目立つ
カットしていい会話とそうじゃない部分の判別がついてない
例として、8話の教会幹部(白面)の不正を知ったルマキーナとディアブロのやり取りをあげる
原作ではアニメでもあったルマキーナの悔しいという言葉の後に
「ディアブロ様……人はなぜ……?朝、起きて食べるパンがあるのに、どうしてそれ以上を欲するのでしょうか?」
(中略)
「人とは上を目指すものだ。今に留まることなく、誰も到達してない境地を目指す。全員ではないぞ?むしろ極めて少ないが……満足を知ることなく、意欲とか渇望とか根気に溢れて、常に向上を求める者が存在するのだ。それは人の可能性であり、進歩であり、挑戦である。しかし、その精神が間違った方向へ行くこともある。既得権益を悪用し、他者を貶め、奪い、苦しめる。枢教院の悪党たちも、魔王に立ち向かう勇者たちも、ある意味で”無限の意欲”を持つ者なのだ」
「わかりません……それでは、ディアブロ様は枢教院の行いを悪ではない、と?」
「いいや、悪だ。胸糞が悪くなる。だが連中は”罪を犯した”から悪なのだ。朝のパンがあることに満足しなかったからではない。向上心は罪ではない。罰するべきは、賄賂を受け取り、教会を私物化したという罪なのだ―そこを履き違えてはいかん」
(むらさきゆきや(著)、鶴崎貴大(イラスト)、「異世界魔王と召喚少女の奴隷魔術6」、講談社、2016年、pp133-135)
というやり取りが続く、これは主人公やメタ的にいえば作者の思考を表す重要な会話にもかかわらずアニメではカットされた
その後の祈らせてくださいもなぜ信者たちが熱心に祈ろうとするのかをちゃんと説明してなかったしあれなら祈りの下りはバッサリカットして、上記の会話にちゃんと尺を使えと思う。
一期はむしろシナリオ構成によく原作をまとめてるものだと感心したくらいなので2期のクオリティにはあらゆる面でがっかり

不満点2つ目

7話のエンドカードが酷い
内容は朝凪先生が担当したエミールが夢の中でヒロインたちを裸で侍らせるというもの
この同人のノリを採用したアニメ制作会社はあたまおかしいんじゃないか
NTRっていう人を選ぶものを取り上げた事よりも、エミールっていう愛されキャラを竿役にしたのが不愉快極まりない
ちゃんと原作読んでたらエーミールは愛されキャラだってわかるはず
2期の監督陣は読んでもそれがわからない貧相な感性の持ち主かそもそも原作読んでない人ってこと
物語を作る仕事にかかわるのやめてくれ

作画もコンテ切ってる構図も微妙
声優さんも一期からの人はいいけど、二期からの声はあってない人多すぎ
音響監督さんは変更ないはずなのに、演技指導や、そもそも新キャラの声質が原作とイメージ違うのは監督の差かなって思ってる。


5話だけは唯一作画とシナリオ構成や構図よかった
ただしキャラ作画のみ
戦闘シーンはあまりにもお粗末
それでも手塚プロにしてはよくやったんじゃないかな(笑)

追記
8話の挿入歌演出があまりにも酷すぎて怒る通り越して呆れて見るのやめてましたが、アニオリで閉めたと聞いて10話まで見てきました。
9,10話はよかった、アニオリ入れても綺麗にまとめるあたり流石筆安さん、原作者が脚本やってる回も良かった。原作者がアニメに口出しした方が切れにまとまるって珍しくね。
作画も戦闘も日常もよかったと思う。
文句なしで面白かった。
最初から9,10話のクオリティ維持してくれれば…1期の星5評価とまではいかないが4.5くらいはつけれたし、批評することなくもっと純粋にアニメを楽しめたと思う。

今回も魔王VER出るらしいのでそちらでの修正に期待

投稿 : 2024/04/20
♥ : 10
ネタバレ

鰺鱒 さんの感想・評価

★★★★☆ 3.1

残酷なことをするもんだな

1期視聴済み。
続き物の2期目なので、1期の視聴が大前提です。
1期は結構評価したし、今でもたまに見ている作品だったりします。

さて、第2期の今作、感想を一言にまとめると「残念」。
付け足すならば「1期と比べて残念」。
1期と異なるプロダクション、監督に任せた意図は何だったのでしょうか。

Wikiを見ると、アニメ1期、2期の制作体制が表の形でまとめられていて、あっちが誰でこっちがどこでが実にわかりやすい。これは残酷な比較だと思う。テレビ局も意地悪なことをする(・・・おわかりいただけると思いますが制作責任を持つ側に対する皮肉です)。

物語:{netabare}引きこもりゲーマーがゲーム準拠の異世界に召喚され、その召喚主たちを隷従させてしまった・・・が1期の始まり。今作は、そんな面々がさらに冒険を重ねていく段階のお話。

正直に言って面白くはなかったです。

2期にとって前提から不利な条件だともいえる。異世界召喚ものの面白い部分って、召還直後の変遷だったりハーレム形成過程が結構大きなウェイトを占めていると思います。今作は「それを踏まえての次」にならざるを得ず、どうしても1期に比べて盛り上げるのが大変な部分はあるんだと思います。

そう考えると、オバロってやはり凄いな。{/netabare}

作画:{netabare}キャラクターデザインは1,2期とも同じ方なんですね。ってことはスタジオの技量か・・・

何ともまぁ残念。静止画としても、動画としても残念。

レムが絶妙に不細工になってて、絶句しました。動画としては、中の下といったところ。かなり厳しい。シェイクシェイクに拡大縮小のオンパレード。

胸揺れを映すなとは言いませんが、やり方ってあるでしょう。
やっていることは1期、2期で大差ない(むしろ「穴」案件があるぶん、1期の方が下品ともいえる)のに、2期の"ファンサービス"は全体的に下品に感じました。むしろ1期はファンサービスカットがしっかりと構成に入っていて、かつ、「はい、ファンサービスカットはいりますよー」が明白に示されていた分、それ以外のシーンで余計なことをしなくてすんでいたのかもしれない。{/netabare}

声優・キャラ:{netabare}分けて書きづらいのであわせて。

音監、構成は1,2期共通。演出はスタジオ付きの方々という感じなのかな?

主要キャラがほぼ別人かなと思えるほどに味付けが変わってしまった。違和感を感じなかったのは魔王クルムだけでした。

驚いたのはエデルガルド。1期は言葉がたどたどしいけど、格好良さが感じられたのですが・・・今期はこれただのあほの子かと思いました。まぁ、そういうお話の展開になっていなかったので仕方が無いのかもしれません。当該7話は、脚本が原作者の手によるものらしい。ということは、エデルガルドはむしろこれがあるべき姿なのかもしれませんが・・・1期のエデルガルドの方が圧倒的に好きだな。

とても残念なのが主人公ディアブロ。量産型異世界転生者になりつつあるように感じました。ディアブロは演技の声も、演技の方向性も迷子だったように思います。これは演技指導・演出のせいなのか、原作の展開のせいなのかわかりませんが、1期で感じた「コミュ障だけど好青年」な感じは一切ありませんでした。主人公の魅力が保てないハーレム構成は、観ていてしらけます。{/netabare}

音楽:{netabare}
劇伴は基本的に1期の使い回しかなと思います。

90年代Avexサウンドがお好きな方なら、この点は楽しめたのではないでしょうか。OPは ( trf + globe )/3 って感じがしました。好きですよ、これはこれで。

EDは、、6人時代のココ☆ナツを思い出しました。{/netabare}

講○社、コンテンツを1つ失ってしまったかな。残念。

[2021/06/27 v1]

投稿 : 2024/04/20
♥ : 13

えたんだーる さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

EVERYBODY! EVERYBODY!(OP主題歌)を世に送り出しただけでもこのアニメには価値がある!

『異世界魔王と召喚少女の奴隷魔術』(無印)に続く2期目の、ラノベ原作アニメです。原作の最新刊14巻はまだ買っただけで読んでいません、すみません…。

なお、アニメも原作同様エロ成分は多めです。

OP主題歌『EVERYBODY! EVERYBODY!』は音楽レーベル「avex trax」や「avex tune」が送り出してきた、1990年代後半~2000年代前半のディスコサウンドを基調とするJ-POP楽曲(アーティストとしてはTRF、m.o.v.eなど)を知る人にはとても懐かしい感じがし、かつ中毒性の高い名曲です。

TRFのDJ KOOとm.o.v.eのmotsuを迎え、メインボーカル芹沢優がi☆Risやこれまでのソロ楽曲とは違ったテイストで歌い上げる、「The avex sound」とでも呼ぶべき曲に仕上がっています。

ED主題歌『YOU YOU YOU』は、同じく「芹澤 優 with DJ KOO & MOTSU」ですが楽曲としてはアイドル楽曲っぽく仕上がっており、こちらはMVではDJ KOOとmotsuの二人も芹澤優のカワイイ動きに付き合うように楽し気にノリノリで踊っているのが印象的です。

アニメの話じゃないんですが、このユニットでアルバム作れるくらい楽曲を出して欲しいと思うくらい、天才的にハマったユニットだと思います。

なお、DJ KOOとmotsuのお二人は本編でもモブキャラとして声優としての出演を果たしています。

そしてようやくアニメ作品の話:

原作のジャンル的にはいわゆる「異世界召喚」ものなんですが、「小説家になろう」発とかではなく最初から商業出版として企画されたライトノベルです。

基本設定に関する説明は1期目に関するあにこれ公式の「ストーリー・あらすじ」を見ていただければだいたい正しいです。召喚時には自分がプレイしていたMMORPG「クロスレヴェリ」的な世界に召喚され、自分のプレイ時のキャラクターである「ディアヴロ」として召喚されます。

ディアヴロを召喚したと主張する女の子が二人(エルフのシェラと獣人のレム)いる時点でいわゆる「異世界ハーレム物」という方向づけは明らかですが、路線的に当たり前のように巻を追う毎にディアヴロの周りに女の子が増えていきます。

原作では10巻くらいまでは一応「3巻で1セット」みたいな雰囲気のシリーズ構成になっていまして、1期目は主に原作1~3巻の内容、2期目は原作4~6巻の内容がアニメ化されています。ということで、以下は1期目を観終わった人向けに書くのでまだの方はひとまずここでさようなら。



アニメ化の感じを1期目と比べると、ディアヴロが魔王として振る舞うときの演出として、1期目が「表面上は余裕だが内心ではギリギリ」という感じだったのに対して2期目は「表情にも余裕の無さが表れてしまうが周りのキャラに見られていないからバレない」みたいな感じになっています。

私個人としては1期目の描き方の方が好きで、原作のイメージに近いと思っています。

ストーリーとしては大主神官ルマキーナが登場し、ファルトラと王都以外の都市として初めてジルコンタワー市が舞台となったりしますが、1期目に比べるとラスボスが地味で見栄えがしない話になっています。

ですがここで手に入れるアイテムなどが以後の話の伏線になっていたりはするので、仮に3期以降も作られることがあるとすれば飛ばすことはできないだろう箇所でもあります。

ストーリー的に大きな改変はなかったはずなんですが、「なんか原作のイメージと違う?」みたいな違和感を抱きながら全話完走しました。

まあでも、どうせなら続きもアニメ化して欲しいとは思います。以降の敵とかもなかなかに強いし女騎士アリシアのイカれっぷりも増してさらに盛り上がりはするので…。

投稿 : 2024/04/20
♥ : 23

66.3 2 2021年度の宗教アニメランキング2位
鹿の王 ユナと約束の旅(アニメ映画)

2021年9月10日
★★★★☆ 3.4 (37)
206人が棚に入れました
強大な帝国にのまれていく故郷を守るために戦う戦士団<独角>。その頭であったヴァンは、奴隷に落とされ、岩塩鉱に囚われていた。ある夜、ひと群れの不思議な犬たちが岩塩鉱を襲い、謎の病が発生する。その隙に逃げ出したヴァンは幼い少女を助け、育てることに。一方、移住民だけが罹ると噂される病が広がる王幡領では、医術師ホッサルが懸命に、その治療法を探していた。感染から生き残った男と、命を救うため奔走する医師。過酷な運命に立ち向かう人々の“絆"の物語。
ネタバレ

101匹足利尊氏 さんの感想・評価

★★★★☆ 3.9

迷信もかき分けて真相に迫る医術

【あらすじ】
{netabare}アカファ人には罹らず、東乎瑠(ツオル)人には罹るという謎の病・黒狼熱(ミツツァル)が、
東乎瑠帝国の聖地への侵略を止めた歴史が残るアカファ王国。
帝国が再び侵攻する中、再び襲い来る病には、政治的な陰謀の匂いが。

病で壊滅した岩塩坑にて生き残ったアカファの奴隷で元・戦士団・独角(どっかく)のヴァン。
彼が守りたい、もう一人の病耐性者の幼女・ユナ。
病撲滅の鍵を握る二人には様々な勢力の思惑が入り乱れる。

帝国の天才医師・ホッサルは黒狼熱の治療法を探る中で、ヴァンたちと出会う。{/netabare}

上橋 菜穂子氏の小説(単行本版を購読済)の劇場アニメ化作品。


【物語 3.5点】
尺不足。

ストーリー自体はシンプルなので詰め込んでも破綻はしない。
ヴァンはユナを守る。ホッサルは病の真相を探る。それだけ。
だが、物語を彩る複雑な政治事情、
征服民と被征服民との間の割り切れない諸問題。
上・下巻1000頁超に広がった原作の豊潤な人間模様は取捨選択を余儀なくされる。

主題である病と人間の関係については、
被征服民には罹らない病は征服民への呪いという疑心暗鬼などのポイントは押さえて。
戦乱で傷ついた男・ヴァンを癒やす”家族愛”については、
幼女・ユナとの触れ合いに集約して、どうにかまとめ上げた感。


文明レベルは、気球が浮かぶなど、もう数歩で近代に手が届きそうな中央アジア風。
病は神の意志という宗教的迷信に対して、
医師・ホッサルは微生物の感染が病を引き起こす西洋医学的な仮説に迫る段階だが、
顕微鏡で一目瞭然とまでは行かないもどかしさ。
(ラストでは{netabare}ちゃんと顕微鏡開発されてましたが{/netabare})

医療ドラマとしての魅力も映像化されるが、背景を知らない原作未読組が、
予備知識なしで放り込まれて、理解できるかどうか……。

公式HP記載の人物相関図、"玉眼来訪"などの専門用語辺りは、
ネタバレではなく、作品理解の前提条件。


【作画 5.0点】
アニメーション制作・Production I.G

精巧に再現された気候風土、生態系、文化、風俗。
文化人類学者でもある原作者による、民族の風習が核心に結び付く物語。
小物や衣装の設定一つ一つが作品の根幹であり手を抜いてはいけない。
同原作者の『精霊の守り人』TVアニメ化で勝手知ったる同スタジオが高いハードルをクリア。


圧巻なのが動物アクション。
元ジブリのスタッフも多数参加する本作の動物の躍動感は『もののけ姫』を想起。

スタッフは中央アジア風集落再現のためにモンゴルにロケハンを敢行。
下馬した人物が馬の首の下をくぐって前に出る何気ない動作に、
これは牧畜生活を相当研究したのでは?と私は背筋を伸ばされました。
暴れ飛鹿(ピュイカ)を馴致する一連の過程。
転倒した騎馬に巻き込まれた隣の騎手の連鎖的な落馬の動画。
動物の作画に関しては日本アニメ史上でも屈指の出来栄え。


セリフでさばき切れない膨大な情報量も、背景、作画が担う。
重要な伏線も作画で示唆されるため片時も目が離せない。
冒頭タイトルが出るまでの約10分、ほとんどセリフがないシーンが続きますが、
ここで作画から感じ取るピント調節ができねば、飛鹿からふり落とされるのは必定。
感性のギアを上げて喰らいつきましょう。


【キャラ 3.5点】
主人公ヴァンはゴツい中年男で妻子と死別→戦で破れ奴隷転落。
年齢と苦労を重ねた希少な主人公を堪能できるのも、この原作者アニメの醍醐味。

彼に「おちゃ~♪」と懐く幼女・ユナ。
傷心のヴァンや鑑賞者の癒しでもあり、対立を煽る政治劇への解答でもある。

もう一人の主人公の医師・ホッサル、ヴァンの抹殺を狙う暗殺者サエ。
メインについては不満もあるが、まずまずの再現度。


割を食ったのがアカファ王国の被征服民。
東乎瑠帝国の圧力を受け、面従腹背するアカファ国王。
支配を受け入れた東部アカファ人と、あくまで抵抗する西部アカファ人との温度差。
ヴァンとユナが身を寄せるアカファ集落は、
帝国により移住させられた歴史を持つが、映画では説明はあと付け。

原作では故郷を追われたアカファ人としての悲哀と、それでも今はこの移住先が自分たちの土地との諦観が入り混じった心情を詳述。
人間が呑み込んだ微生物が宿主を翻弄する≒帝国が併呑した被征服民が支配者を脅かすという構図の共鳴も相まってよい渋味を醸す。
さらには、映画ではなかったことにされた毒麦事件。
東乎瑠が持ち込んだ麦とアカファ麦との交配により生じた毒により生活が脅かされる。
西洋人が持ち込んだ病により絶滅の危機に瀕した米大陸原住民の如き悲哀。

この辺りも押さえた上なら、アカファ国王&腹心。
生き残るためなら同じアカファ人の刃も受ける悲壮が心に染みるのですが……。


【声優 3.5点】
メインキャストは俳優陣で声優経験は乏しい。

ですが私は、主人公ヴァン役に堤 真一さんと聞いた時は楽しみで仕方ありませんでした。
彼は登場人物に年輪を刻ませたら一級品の役者。
メインについては脚本の不備を声優スキルで補う無茶振りも少なく、
映画ではヴァンもさらに寡黙になったこともありw
ダメージ最小限で、堤さんの役者としての魅力を引き出せていたと思います。

ユナ役も子役・木村 日翠(ひすい)さんでまずまずの幼女ボイス。
サエ役も杏さんも凛とした声でそれなりに。

ただ医師ホッサル役の竹内 涼真さんはもっとベターな選択肢が……。
それ以前にホッサルさんってこんなにイケメンでしたっけw


サブは"ちゃんとしたベテラン声優陣”で固め、
ラスボス役の西村 知道さんらが掘り下げ不足のキャラをスキルでカバー。


【音楽 4.0点】
劇伴担当は富貴 晴美氏。
大長編の原作を一本にまとめる無謀な企画でも、
要素を捉えて大河ドラマ感を付与する仕事で実績のある実力者。
本作でも雄大なオーケストラに各地の民謡もアレンジして押し切る。

ED主題歌はmilet「One Reason」
ヴァンとユナの絆を思わせる英語歌詞メインの壮大なバラードで大作感の余韻を残す。


【感想】
やっぱりこれ2クールアニメで観たかったですw

投稿 : 2024/04/20
♥ : 14

でこぽん さんの感想・評価

★★★★☆ 3.3

原作は大変素晴らしいのですが…時間が…

このアニメは、上橋菜穂子さんの小説『鹿の王』を原作にしています。
『鹿の王』は2015年に本屋大賞を受賞した素晴らしい小説で、上橋さんの世界観がにじみ出ています。

但し、その内容は、分厚い上下巻の二冊分。とても映画の2時間以内に圧縮できるものではありません。
例えるならば、同じ上橋菜穂子さん原作でNHKで放送された『獣の奏者エリン』50話分を2時間に収めるようなものです。
だから無理があります。どうしても原作どおりではなく、途中から時間配分を考慮したオリジナルストーリーにせざるを得なくなります。
おそらく監督さんは、そこに大変悩まれたことでしょう。

原作と違えても、同じ世界観であれば良かったのですが…、私には上橋さんの世界観ではなく、風の谷のナウシカの世界観のような気がしました。
そして、なじみのない言葉が頻繁に使用されますが、その説明が時間の都合で一度しかない。または文字だけでの説明のために理解しずらく、結果として感情移入しにくい映画となってしまったようです。

原作だと主人公ヴァンと狩人サエの卓越した能力とお互いが魅かれ合う様子がしっかりと描かれていましたが、それもあまり描かれていません。
逆に人間では起こしえない妖怪(怪獣)のような原作には無い力が多く描かれていたのが残念でした。

原作では実は、主人公は二人います。ヴァンだけではなく、もう一人、天才医師のホッサルも主人公でした。
映画ではホッサルの熱意や努力、あくなき追求心は、原作と変わりなく描かれていました。
伝染病の対処方法をつきとめるべく努力する様子は見ごたえがあります。

最後に、ヒロインのユナですが、もう少し可愛く描かれていたならば、この映画はもっと魅力がでたと思います。

投稿 : 2024/04/20
♥ : 17

薄雪草 さんの感想・評価

★★★★★ 4.2

無題。

映画化のお話を耳にしてから、原作を読むのを控えていました。
ですから、これから読もうと思います。

そうでないとなんだか気持ちがふわふわして、収まりが少し良くありません。



劇場を後にした印象は・・・「思っていた以上に "硬派" だった。」です。

どちらかというと、もう少しエモーショナル寄りのワクワク感みたいな期待感があったんです。

でも、お話が進むにつれて、何度か見立ての違いが生じて、視点を切り替える作業に迫られました。

誰に寄せるといいのかな?
何を拾うのがいいのかな?

なんだろう・・・?

世界観設定が読み切れなかったのかな?

キャラの相関関係が整理できなかったのかな?

主人公たちが、内省に向かうキャラ設定だからかな?



クリエイターの意図に辿りつけなかった。

何かを気づけないままでいる。


というわけで、これから表紙を開いて、じっくりと浸ってみようと思います。

投稿 : 2024/04/20
♥ : 9
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