2022年度の武士おすすめアニメランキング 3

あにこれの全ユーザーがおすすめアニメの2022年度の武士成分を投票してランキングにしました!
ランキングはあにこれのすごいAIが自動で毎日更新!はたして2024年04月18日の時点で一番の2022年度の武士おすすめアニメは何なのでしょうか?
早速見ていきましょう!

62.0 1 2022年度の武士アニメランキング1位
オリエント(TVアニメ動画)

2022年冬アニメ
★★★★☆ 3.1 (97)
237人が棚に入れました
鉱夫になるための学校に通う少年・武蔵は、武士になる夢を持っていた。しかしそれを周りに言えずにいた。なぜなら武士は「150年前まで日ノ本を支配していた“化け物”」とされていたため。一方、鬼は神と崇められていたが、鬼こそが人間の世界を支配する“化け物”であり、鉱夫は鬼の食べ物である金属を死ぬまで堀り、奉納する仕事だったのだ。武蔵はそれを知っていたため、鉱夫として鉱山に内定後入山し、鬼と対面。鬼退治を宣言。周りにも正直な夢を告げることができたのだ。武蔵の幼馴染の少年・小次郎も「鬼鉄騎」でアシストに現れ、5年間こっそりと修行していた武蔵は「千旋烈斬剣」で鬼を倒す。武蔵は小次郎に、2人で幼少期に誓った「武士団の結成」を誘う。しかし、小次郎の中で武士になりたいという夢は薄れかけていた。武士の血の流れる小次郎は昔から迫害されてきたためである。そんな時、鬼の親玉、鬼神「炎獄天狗」が5年ぶりに降臨し、金属である小次郎の刀を食そうとする。刀を奪われることに、喪失感を感じた小次郎は、自分の中にある武士としての誇りを自覚する。刀は一度鬼神に食されてしまうが、鬼神の腹部の硬い表皮を武蔵が割り、刀は取り戻され、小次郎は今度こそ武蔵と共に「最強の武士団」を作ることを誓うのであった。

声優・キャラクター
武蔵:内田雄馬
鐘巻小次郎:斉藤壮馬
服部つぐみ:高橋李依
武田尚虎:日野聡
犬飼四郎:下野紘
犬坂七緒:和氣あず未
小雨田英雄:羽多野渉
真田青志:石谷春貴
山本春雷:大西沙織
鐘巻自斎:小西克幸

テナ さんの感想・評価

★★★★☆ 3.4

出だしはこんなもんかな

マギと同じ作者で普通に面白い作品です。
ただ、個人的にはオリエントは序盤のアニメ化された部分は盛り上がる為の準備段階と良いイメージです。
仲間を固めて登場キャラに顔を出させて鬼を知り父の武士としての過去を匂わせたり。
そして、戦う為の力をつける。

だから、個人的には結構退屈なんですよね。
ただ、ここから面白くなります。
2期からですね。
しかし、最終回が正直必要なかったかな……11話で最終回にした方が良かった気がします。

ここから物語は長編に突入します。
12話はその冒頭であり、これは2期の淡路島激闘編であるスタートライン。
それなら2期と合わせて見たかったです。

原作ストック的には淡路島激闘編のラストがアニメの最終回だと思っていたのですが、分割されるんですねw
1期のここまでは退屈ですが、2期は私は割と好きなエピソードです。
最終回で出ていた「みちる」がメインの話なんですが、この淡路島編のラストを見て好きになったキャラです。

投稿 : 2024/04/13
♥ : 10
ネタバレ

yuugetu さんの感想・評価

★★★★★ 4.1

奇を衒わない丁寧なアニメ化

2022年冬アニメ。原作は大高忍の漫画作品。全12話。

原作はちょうど1クール目終了まで読んだことがありました。確か5巻程までだったと記憶しています。
このアニメ化一番感じたのは愚直なまでの「丁寧さ」ですね。


【声優・音楽】
OP、EDの曲は可もなく不可もなく。
音楽はもう少しバリエーションが欲しいというか、戦闘曲で同じ曲が毎回かかるのは気になる…。
声優さんは皆上手な人なので期待通りでした。ただ、武蔵と小次郎は声の高さがもう少し違うと聞き分けやすそうかな…。
つぐみがちょっと気が抜けるような真面目なような、可愛らしい演技でとても良いですね。


【キャラクター】
武蔵、小次郎、つぐみの3人を好きになれるかどうか、応援する気持ちで見られるかどうかが評価の分かれ目かもしれません。私は3人にはずっと楽しく仲良くしてて欲しい(笑)。
大高先生はトリオの描き方が上手くて、アニメでも丁寧にやってくれたのは嬉しいですね。


【作画】
演出はわかりやすいけれどもう一声!と感じました。
作画は頑張ってくれていて好き。頑張っているというのは、基本的に大事なシーンにリソース振っているという意味です。
具体的には、戦闘シーンとキャラクターの感情を描くシーンに注力してるんですよね。この作品で見て欲しいのはここですよ!とはっきりしている。
長期シリーズとなるかも知れない作品ですから、この割り切りは必要なことだと思います。
{netabare}
実は原作者の絵柄の再現も大事なシーンでやってくれていて、そこもなんだか嬉しいです。
大高先生は単純化やシンボライズが特徴的で独特の歪み方があって、その妙にクセになる部分が再現されている。なかなか大変な作業ではないかと思われます。
多分アニメ版ゲッターロボアークで原作の絵柄の再現が嬉しいと言ってたファンの気持ちってこんなだったんだなあと。確かに嬉しい。 {/netabare}


【物語】
{netabare}最初はなかなかゆったり進行で、ペース配分が合わないかも…と思ったりもしたのですが、中盤からは各話の最後の引きをよく考えてあって少し安堵しました。
原作はちょうど1クール終了くらいまでは読んだことがあるのですが、だいぶ前なので細かい所は記憶が曖昧で、新鮮な気持ちで楽しみました。
おそらくほぼ改変せずそのままかな…?

この1クールでは、家族(コミュニティ)との関係と、上位者や理不尽な仕打ちに対する反骨精神と下剋上が描かれています。
「鬼に対する反抗」と「コミュニティ内での歪んだ関係性への反発」が”人間としての自立”という同じテーマに帰結するのですね。

本作の設定では武士団の基礎は血縁の繋がりです。
けれども武蔵達の武士団は発足したばかりで、メンバーの3人は血縁ではありません。疑似家族ではありますが、同時に縛り付けられた関係ではなく個人が受け入れられる場所であり、そこにいたいという心で帰る場所。大きなポイントになっています。

血縁や幼少からの家族関係が必ずしも良いものではないことは、つぐみと小雨田武士団のエピソードでしっかり描かれています。
つぐみは養父から自尊心を削り取られて依存してしまっており、つぐみに裏切られたと思った瞬間に養父もつぐみに依存していることが表面化する。武士団のみんなが好きだから寂しい離れたくないとゴネるつぐみは、まだ今は自立しているとは言えません。
この関係性に親離れ、子離れは描かれるでしょうか。(親離れのみ為されて、子離れが為されない可能性もありますが、それはそれでリアルですね…) {/netabare}

大高先生の作品の良い所は、若者が自分の足で立つのを大事に描いてくれること。リアルにし過ぎず、コミカルに明るくエンターテインメントに仕上げてくれます。
アニメでもそういったシーンを脚本で削らず、作画リソースを割いている。きっと2期でも丁寧に進めていってくれるのではないでしょうか。
秋の2期が楽しみです。
(2022.4.11)

投稿 : 2024/04/13
♥ : 9

Ka-ZZ(★) さんの感想・評価

★★★★☆ 3.9

俺たちにも譲れねえものがある

この作品の原作は未読です。
実は第1話を視聴してから第2話を視聴するまで、暫くの時間を要しました。
理由は第1話の掴みがあまりにも琴線に触れなかったから…^^;

ですが、もう2,3話視聴すると面白さが軌道に乗ってきてしっかり視聴できましたけれど…
この作品、序盤で切るには勿体ない作品だと思います。


時は戦国時代、日ノ本。

突如現れた“鬼神”により、覇権を争っていた戦国武将は
ことごとく討ち死にし、人の世は終わりを告げる。

それから150年、鬼神による支配に抗い、自由を求めて戦い続ける者たちがいた
――その名は“武士団”。

幼い頃、小次郎の父から聞かされた武士の姿に憧れた武蔵と小次郎は、
“最強の武士団”結成の夢を誓い合う。

しかし、鬼を神と崇める町で、人々にとって武士は悪とされる存在。

武蔵は周りの空気に合わせ「武士になりたい」と声に出せず、
小次郎もまた武士の子として人々から疎まれていた。

自分の生き方に葛藤を抱えていた武蔵がある日、目にしたのは
無感情に人間を引き裂く鬼の姿。

その真実を前に、武蔵は小次郎との夢を叶えるため、
圧倒的な力を誇る鬼に立ち向かう…!


公式HPの第1クール「安芸旅立ち編」のあらすじを引用させて頂きました。

面白さが軌道に乗ってきた個人的な理由…
まず一つは、第1話の構成だと思います。展開に勢いはあるのですが空回りしている感じ…
あまり物語が頭に入って来なかったんです。

そして二つ目は序盤は物語に「華」がないこと…
武蔵と小次郎の二人旅だけだったら、中盤でお腹一杯になっていたかもしれません。

だけど、「華」はちゃんと用意されていましたよ。
りえりーボイスが聞こえた時、目の前がパッと明るくなったような気がしました。

華はりえりーだけではありません。
さおりん、日笠さん、和氣さんに桑島さん…
そして出番は少しでしたがトドメにきよのん…
いやぁ、嬉しくなる布陣じゃありませんか!

物語の展開と相まって面白さ増しましでしたよ。
気になる方は是非本編でご確認頂ければと思います。

オープニングテーマは、Da-iCEさんによる「Break out」
エンディングテーマは、羽多野渉さんによる「ナニイロ」

1クール全12話の物語でした。
最終話に新たな展開が差し込まれたと思ったら、続編制作前提だったんですね。
安芸を出発した武蔵らは、次の鬼神討伐を目指して淡路島に向かうようです。
きよのん演じる「猿渡みちる」も、今後どの様に物語に絡んでくるのか楽しみです。
続編は、今年の夏アニメで放送されるようです。
放送を楽しみにしています。
しっかり堪能させて頂きました。

投稿 : 2024/04/13
♥ : 9

77.2 2 2022年度の武士アニメランキング2位
平家物語(TVアニメ動画)

2022年冬アニメ
★★★★☆ 3.9 (343)
1067人が棚に入れました
《祇園精舎の鐘の声、諸行無常の響きあり 娑羅双樹の花の色、盛者必衰の理をあらはす》
平安末期。平家一門は、権力・武力・財力あらゆる面で栄華を極めようとしていた。
亡者が見える目を持つ男・平重盛は、未来(さき)が見える目を持つ琵琶法師の少女・びわに出会い、「お前たちはじき滅びる」と予言される。
貴族社会から武家社会へ―― 日本が歴史的転換を果たす、激動の15年が幕を開ける。
ネタバレ

shino さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

すべて枯れゆく

山田尚子&高野文子、
制作、声優、条件が揃いすぎている。

平家の人々と琵琶を持つ少女びわ、
時代に翻弄されながらも懸命に生きる人々、
貴族社会から武家社会へ、激動の時代に揺れる。

諸行は無常であること。

羊文学の主題歌が美しく、
平家の栄華を描いたものであれ、
その日常に、その風景に、
無常観という魔法がどこか揺蕩い、
ここに生きた人々が愛おしくなる。

{netabare}亡者が見える重盛に、
亡者は何を語るのでしょう!?{/netabare}

やがてくる没落か、己の死か。

最終話視聴追記。
{netabare}水面に沈む平家の赤旗、叫べども届かず、
長門の潮の流れ、あまりにも美しい夕凪、
生者必滅、渦に身を投じ、ここに散る。{/netabare}

生きることは、語り継ぐことなのでしょう。
正しく喪に服し、亡き者に祈りを捧げる。
人の世にある苦しみを乗り越えるための祈りを。

沙羅の花、儚く美しく。

合掌。

投稿 : 2024/04/13
♥ : 64
ネタバレ

ぺー さんの感想・評価

★★★★★ 4.2

雰囲気の功罪

そのまんまお馴染みの古典をモチーフに山田尚子氏がメガホンをとり、複数作品でタッグを組んだ牛尾憲輔氏が音楽を担当。さらにシリーズ構成/脚本に吉田玲子氏を迎えるとなると期待せざるを得ません。声優陣も盤石な配置。
一方でこれだけ化物級の古典となると、史実との辻褄合わせもさることながら合わせて原本とダブルでの整合性を求められる難しい側面もあったりするのが悩みどころです。

 エンタメとの両立ができるか?

長年読み継がれてきた原典はその事実をもって価値ありと断言できましょう。面白みは最高の素材をどう作り手が咀嚼してるか次第です。面白いとなっても以下のような受け止め方になろうかと思います。
 第一形態:辻褄はともかく単体で面白い佳作
 第二形態:元ネタの匂いを感じる良品
 最終形態:原典へのリスペクトを感じる名作


もともと『平家物語』作者は信濃前司行長とされてますが、琵琶法師の口伝が元ネタとの論も根強く、本作で琵琶法師の少女びわ(CV悠木碧)が観察者視点で物語に関与している点は小町…じゃなかった、、、ペー的にポイント高いです。
細部はともかく源平の顛末を知らない人はさすがにいないでしょう。結末を知ってる上での全11話を終えての感想。古典で答えに窮した時の模範解答↓

 {netabare}趣きがある{/netabare}

冒頭の答え合わせをすると“第二形態”となりましょうや。
結末を知っているのは我々だけではなくびわも一緒という設定。平家視点で描かれる群像劇は彼らに肩入れしながら知っていてもなにもできない無力感とセットです。琵琶を鳴らしながらの悠木さんの芝居も素晴らしい。納得のキャスティングでした。ヒロイン的な役どころは早見さん担当になるのでしょう。品が出ますね。
また良い意味での雰囲気お化け山田監督の映像に芝居させる手法も健在。やや平面的なデザインは絵巻物のようでこれまた趣きがあるといったところでしょうか。平家カラー赤色の椿が千々になるカットが幾度挿入されるのも印象的です。沙羅双樹の花の色は一説では白味がかった黄色と聞きますが、楽器琵琶の黄色味と語り手びわの白髪との配色で盛者必衰の理をあらわしてたのかもしれません。
{netabare}びわといえばやっと見つけた母が呼んでた実名“あさぎ”にも感慨深いものがあります。≪浅葱≫はやや青みがかった色を指し、母と同じオッドアイの着色と一緒。そんな母との繋がりを成り行きからか未来視できる己を疎んだかびわはあさぎ呼びを否定しますが、口とは裏腹に浅葱色の眼を平家の行く末を語り伝えるために使うと覚悟を決めたのはこの再会からでした。さらにあさぎ呼びを拒絶し「お達者で」と母と今生の別れを済ませながらも肌身離さなかった琵琶は≪浅黄≫薄い黄色すなわち沙羅双樹の花の色でもあったのです。うーん、掛詞。{/netabare}
映像だけではありません。今期OPとED双方を早送りしなかったのは本作のみでした。世が乱れようがきっと「世界は美しい」と歌いあげてる羊文学さんの曲も読経のようなスチャANIさんのも本作に合ってるのですよ。

保元・平治の乱以降、福原京への遷都そして屋島・壇ノ浦そして{netabare}大原御幸{/netabare}までをこの尺で取捨選択しながらやるのは至難の業だったと思われますが程よくまとまっていたと思います。
視点を平家に置いて浮気せず、平○盛ら盛々シリーズを程よく拾いながら徳子(CV早見沙織)を彼らより少しばかり前に出して平家方の“迷い”と“覚悟”を語らせる。ここがブレません。安徳天皇の故事をここで知って歴史に興味をもつなんてこともありそうです。


■まとめ:第二形態の理由

今クールの中でもトップクラスに良い作品。
抒情的な演出が得意な監督の芸風に沿った全11話とも言えます。作り手の咀嚼っぷりも魔改造してなくて一安心。そりゃ個別では首傾げるとこありましたが『平家物語』と銘打つ以上独自解釈に思いっきり舵を取るのは危険と判断したのでしょう。
その一方で抒情性に身を委ねたいわりにはどうしても故事(事件)の挿入っぷりが叙事的であっさりしていること。「○○があった」以上以下でもないと見えるのは良し悪しでしょうね。これは好みだと思います。いちいち拾うものなら資盛と徳子に仕えてる伊子(建礼門院右京大夫)のネタだけで3~4話できますもん。白拍子三人娘の片割れ(静御前)なんかもそう。モブが豪華すぎるのが悪いです。



※閑話休題

■はるばる壇之浦

数年前に壇ノ浦古戦場訪れた時紙芝居やっていました。演目は『耳なし芳一』。おじさんの迫真の芝居とプレイヤーから流れる琵琶の音色で娘がガン泣きしたのは良い思い出です。
今思えば安徳天皇陵ある赤間神宮行っておけばよかったです。隣接してる春帆楼には行ったのに。



視聴時期:2022年1月~3月 リアタイ

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2022.03.29 初稿

投稿 : 2024/04/13
♥ : 60
ネタバレ

フィリップ さんの感想・評価

★★★★★ 4.5

目を開いて祈ること

アニメーション制作:サイエンスSARU、
監督:山田尚子、シリーズ構成・脚本:吉田玲子、
キャラクターデザイン:高野文子(原案)、小島崇史、
音楽:牛尾憲輔、原作:古川日出男訳『平家物語』

無常観が物語の根底にある。
見ることしかできなくても、
現実をしっかりと見て、今を生きていかなければならないという、
自身への励ましのようにも思える。

諸行無常―――
全てのものは変化し、移り変わっていくもの。
変化したことをいくら嘆いても、そこには空虚しか残らない。
仏教的な無常観というらしい。
『平家物語』のなかで、山田尚子監督は「びわ」という
架空の琵琶法師を生み出し、自身を重ね、
「見ることしかできない」と語らせる。
栄華を極めた平家の一端を目にし、
そこにも気の良い人々や現実に苦しむ人々を見る。
美しいものもたくさん網膜に焼き付ける。
{netabare}壇ノ浦の戦いでは間近で戦場を目にする。{/netabare}
最初は「見たくない」と目を塞いでいた
びわが最終的には全てを見ようとする。
目を塞いでいるだけでは、何も変わらないし、
何も変えられないのだと気付く。
最後には「祈ることだけができること」と悟る。
それは、武士の社会で生きた女性の多くが
やがて出家をする境地に似ている。
{netabare}徳子のように。{/netabare}

山田尚子監督が作品でいちばん重視したもの。
平家の世で生きた人たちが普通の感覚を持つ人間だったこと。
心のある現実感のある人々だったということを
描きたかったのではないかと感じた。
平家物語としていつまでも語り続けられた
特殊な時代であっても、そこにはごく普通の
人たちが必死に、そして楽しく生きていたのだということ。
京都アニメーションもまた普通の人々が
楽しく、しかし必死になって生きていた。

京アニ放火事件によって、
とんでもない災厄に見舞われた山田尚子監督。
多くの仲間が亡くなり、
もうアニメを制作するのはやめようと考えたに違いない。
しかし、見事に復帰を果たしてくれた。
復帰第一作として『平家物語』の話が舞い込んだのは、
ある意味、必然だったとも思える。
また、山田尚子監督の決意を表していると感じる。
彼女にとって哀しみを受け止めて「祈ること」とは、
「アニメを、作品を制作すること」なのだ。

消えゆく栄華、流れゆく煙、散りゆく花。
美と無常観が画面上で流れていく。
今回は、歩んでいく人々の「足」は、
あまりクローズアップされない。
生きとし生けるものは全て滅んでしまうという感情が
物語自体の根底にあるからだろう。
しかし、山田尚子監督の表現として残されたものがある。
それは「鳥」だ。
序盤から頻繁に登場する鳥。
これはおそらく『リズ鳥』で山田尚子監督が
イメージしたものが表現されている。
監督に僅かながら残っている「未来」への感情。

飛び立つもの。
向かうもの。

何に向かっていくのかは分からない。
しかし、彼女のなかにある世界は、
現段階ではもう「諸行無常」だけではないのだ。
それが、この物語のいちばんの救いなのかもしれない。
(2022年4月23日初投稿)


山田尚子監督と音楽(2022年6月25日追記)

山田尚子監督といえば、音楽好きで知られている。
実際、作品のなかでどう考えても
山田尚子監督が引っ張ってきているだろ、と思わせて
本当にその通りのことがかなり多い。

例えば、『リズと青い鳥』のHomecomingsや
ダブル・ルーリードの表現。
『平家物語』の羊文学『光るとき』と
agraph『unified perspective』。
どれもいかにも山田監督らしい。
羊文学はいかにも山田監督が好きそうなロック。
どこかHomecomingsに通じる透明感のあるサウンドが魅力で、
これは誰が聴いてもその良さは分かるだろう。
より山田尚子監督の特異さを思わせるのはエンディングだ。

彼女は、フュージョンやテクノにも造詣が深く、
学生のころから電気グルーヴやヨーロッパのテクノを
聴いていたそうだ。
そんな趣向があるのは知っていたが、
スチャダラパーのANIをフィーチャーした
牛尾憲輔のひとりユニット、agraphの曲を
エンディングに持ってきたのには驚かされた。

音を絞ったエレクトロサウンドにANIのラップが
静かに響き渡る。
ラストの高揚感から一気に終息に向かう展開と
アニメーションが物語と劇的にシンクロしているようで、
「音」自体に意味があるように感じさせるのはさすがだ。

先日発売されたユリイカ7月臨時増刊号の
湯浅政明監督と山田尚子監督の対談を読んだ。
ふたりとも牛尾憲輔を重用しているところが
ひとつの共通点。湯浅監督は、牛尾憲輔に
「僕と山田さん、どっちが大事なんだ」と
冗談でよく問い詰めていたそうで、
ある日、酔っていたときに牛尾氏が
「僕は山田派です!」と言っていたことを
山田尚子に告げて、いじっていたのが面白かった。
湯浅監督からすると、自分は音楽について、
それほど深くは知らないので、
山田尚子監督と牛尾憲輔がツーカーなのが
少し羨ましいらしい。

山田尚子監督と劇伴を務める牛尾憲輔氏。
このふたりのコンビが、これからもどんな
化学反応を見せてくれるのか、期待しかない。

投稿 : 2024/04/13
♥ : 58

58.2 3 2022年度の武士アニメランキング3位
ブッチギレ!(TVアニメ動画)

2022年夏アニメ
★★★☆☆ 2.9 (58)
145人が棚に入れました
侍が日本を支配していた時代…… 新選組は何者かの手により一人を残して全滅してしまう ―― 新選組の替え玉として選ばれたのは7人の罪人 京都の治安を守るため 極秘の替え玉作戦が実行される 咎人よ、誠を背負え――

レオン博士 さんの感想・評価

★★★★☆ 3.6

新選組BASARA

【紹介】
仮面を被った謎の悪党集団に滅ぼされた新選組メンバーを咎人を替え玉にして再興して復讐のために戦うオリジナルアニメ

【感想】
結構面白かったけど、評判がイマイチなのも仕方ないのかなーって思います

キャラは戦国BASARAを新選組にしたような感じだけど、やることはマジメっていうなんか中途半端な作品、どうせ新選組をここまで砕けさせるならシナリオもぶっ飛んでていいのに

個性的なキャラクター達と雰囲気はとても良くて面白くなりそうな感じはしたけど、タイトルやキャラクターの勢いの割にマジメで勢いがなくて、バトルシーンが地味なのとシナリオが盛り上がりに欠けるかも
特に終盤のシナリオが微妙で、せっかくいい素材があったのにうまく生かしきれなかった感じ
もっとメチャクチャに暴れさせたほうが良かったような

キャラクターはいい意味で武士らしくなくて好きです

【どうでもいいこと】
砂時計の砂落ちるの早すぎませんか? 10秒で落ちそう

【音楽】
西川さんのOPが好き

投稿 : 2024/04/13
♥ : 12

ASKA さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

オリジナルアニメで、和風歴史ものとしては面白かった。

オリジナルアニメで、どうやら罪人が新選組の替え玉として頑張るお話観たいです。新選組が活躍していた頃の日本を舞台としており、主に京都で新選組の替え玉として連れてこられた罪人がメインのお話です。日本の実際の人物や歴史的事件を題材にしながらもオリジナルの設定を混ぜてなかなか面白かったです。

投稿 : 2024/04/13
♥ : 9
ネタバレ

CiRk さんの感想・評価

★★★★☆ 3.1

無難なアニオリ作品

{netabare}
新撰組の替え玉の武士たちが鬼相手に暴れる話。
これと言っていいところもなく、かといって悪くはない何とも言えない作品。

史実に沿いつつストーリーを展開していく形式の歴史モノは結構好きだけど、これは結局新撰組云々よりも、ただただ雑面の鬼という架空の存在と戦う普通のファンタジー物になってしまって、新撰組の替え玉と言う個性的な設定があまり活きていなかった感。
敵を架空の存在にするのではなく、史実通り敵を長州藩薩摩藩にしてファンタジーバトルものにした方が面白かったんじゃないかなと思う。
これだと劣化鬼滅の刃にしかなってない感。

それに、雑面の鬼たち、あんな特殊能力を持ち合わせてるなら攘夷路線も現実的に見えるし、あそこまで悪役のように描かれていたのも少し違和感があった。
桂小五郎とか、出したはいいものの結局名前を出しただけでキャラとしてあまり扱えておらず、よくわからないまま仲間になって、何がしたいのかも分からず終わっていったし。普通に仲間になるならアキラとの関係性にも面白みがない。
キャラも一番星とアキラとサクヤ以外はあまり印象に残らず。
前半の方は全員満遍なく活躍していて良かったけど、後半になるとツキトと一番星の関係性ばかり重視されて他のキャラの出番が一気に減った。

良かった点。
こういう複数人で何かミッションをこなすジャンル(こういうジャンルなんて言うんだろう)は結構好きなので何も考えずに見たらそれなりには楽しめた。
戦闘もそれなりには凝っていて面白かった。
少なかったとはいえ所々、史実に絡んだ話もあったのは良かったと思います。
ツキトと一番星の対立に関しても長い話数にわたって丁寧にやっていて最後は上手くまとまっていたかなと。殺してほしくはなかったけど...。

↓1話毎メモ
{netabare}
1話 ☆6
新撰組か。 朝倉っぽいキャラいるな。水落は生存フラグ。上弦の鬼?
てか主人公側にこんなクソジジイが。このじじい絶対好きになれんわ。
金髪から刀受け取ったら仮面暴徒化するのね。分かりやすい。そんな簡単に戦えんのかよ。実写並みの作画。ボカロ臭いED
親殺された回想あっさりしすぎなのと、1話から早速何も無く剣扱えるのも王道としては物足りないかな。
お面と初めてであった時の反応も親の仇ということが感じられない。

2話 ☆7
佐久間象山w 本名そのままか。有能SP キャラデザが寒いわ。
これファンタジーものと思ってたけど、幕末ものがしたいのか?
時代劇として結構いいな。

3話 ☆7
簡単とはw 写真が残ってる人物の話となると最近感があるな。
似てねえ。ハゲ。トモダチゲームでみた。わざと誘き寄せたのか。
てなると桂は替え玉? 桂小五郎死ぬの? さすがにね。

4話 ☆6
新撰組こそ奇襲してんだろw 矛盾してね?
拷問ぐらいこの時代なら普通だろ。変に美化せんで欲しいわ。
鬼滅狙いかやっぱ? そういや鬼がどうこうの設定あったな。
お前らも利用したよな? あんまり面白くはないな。やっぱ兄かよ。

5話 ☆6
鬼滅かな? 誰やこいつ。この頃まだ隠れキリシタン滅んでなかったんか。
結構やばいことやってて草。幽霊さん。
仲良くなってるじゃんこいつら。今更だがEDクソダサいな。

6話 ☆5
このじじいとデブ寒いからいらんわ。
やなんでこいつら置いておいてどこかに行く? ガバガバかよ。
1話じゃさすがにこいつに感情移入できんわ。草。
せっかく新撰組の替え玉という面白い設定があるんだからそれにもっと重きを置いて欲しいな。

7話 ☆6
銀髪の子やっぱ可愛いな。じじいとデブ結構影薄いな。
お母さんかよ。痛そう。ペラペラ喋る。池田屋事件

8話 ☆6
死にません言ってるわりに助かる率低くて草。
池田屋突入もっとちゃんとやれ。火薬しょぼいぞ。
こいつら禁断の恋してるんかよw そして部下を見捨てるw
作画回かな? 唐突に庇うの草 そんな流れなかったじゃん、見せ方下手だわ。雑だわ。兄は何がしたかったんだ。

9話 ☆7
褒められてよかったと言っても火事止められてないよね。
桂と完全に馴れ合ってるの面白くないなあ。
この時代ならそれが普通だよな。まあ殺そうとしてたなら仕方ない。
誰やねんこいつ。そういやおったな。こ
の立ち位置を坂本龍馬ではなく佐久間にしてるのは評価する。草。

10話 ☆8
いきなり歴史物っぽくなったな。発音酷すぎて共感性羞恥あるわ。
you are demonww アメリカ船襲ったって事実どうもみ消す?
いや速すぎんだろ。下関戦争かな?
長州雑面双方に策略あって面白いね。兄弟の話も面白くなった感はある。
けど他国に対応する為と言うなら雑面も別に悪くないのでは?

11話 ☆6
この力あるなら欧米と渡り合えるだろうし攘夷もありやろw
特に何も無く仲間になってしまう桂さん。ツキトなんかギャグみたいで草。
蔵面達が完全な悪役のように描かれてるのが少し違和感ある。

12話 ☆7
この骨なんか草。蛤御門の変? 謎に死ぬ金髪。
将来的にこいつら敵対するだろ。

OP「1番光れ! -ブッチギレ-」☆7
ED「断罪デモクラシー」☆4.5
{/netabare}
{/netabare}

投稿 : 2024/04/13
♥ : 7
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