浮世絵で時代劇なおすすめアニメランキング 3

あにこれの全ユーザーがおすすめアニメの浮世絵で時代劇な成分を投票してランキングにしました!
ランキングはあにこれのすごいAIが自動で毎日更新!はたして2024年04月20日の時点で一番の浮世絵で時代劇なおすすめアニメは何なのでしょうか?
早速見ていきましょう!

84.5 1 浮世絵で時代劇なアニメランキング1位
サムライチャンプルー(TVアニメ動画)

2004年春アニメ
★★★★☆ 4.0 (1648)
8868人が棚に入れました
天涯孤独のフウはだんご屋でバイトをしながらもいつか向日葵の匂いのする侍を探すために旅に出ようと考えていた。
そんな中、フウはムゲンとジンに出会い、だんご屋が燃えてしまったことを契機に、その2人を用心棒に旅立つ決心をする。物語はそんな三人の道中を描いたものである。


声優・キャラクター
中井和哉、川澄綾子、佐藤銀平

color さんの感想・評価

★★★★★ 4.4

フウがたまに太ります

茶屋でアルバイトをする身寄りのない娘フウ。
琉球からきた傍若無人な浪人ムゲン。
口数少ない流浪のメガネ剣士ジン。
何のつながりもない三人がある日起こった事件をきっかけに、
フウの長年の目的「向日葵の匂いのするお侍さん」を探す旅に出ます。

時代劇にヒップホップを組み合わせ英語や若者言葉も当たり前な世界観。
一見めちゃくちゃな設定ですが実際観てみると想像を裏切られる骨太時代劇に嬉しくなりました。

時代考証を指摘するなんてナンセンスと言わんばかりの演出のわりに、
時代劇好きがニヤニヤする本格派のストーリーときたもんだ。
チャンバラのかっこよさに萌えるもよし市井ものの侘しさに涙するもよしと、
変幻自在に違う色を魅せる脚本こそサムライチャンプルーの本質です。

旅先の土地ごとの史実をさり気なく織り交ぜたり要所を押さえた専門用語の使い方も好印象。
これはもう立派な時代劇です。
足抜け、御庭番、公儀の意味がわかる方は観て損はないでしょう。
時代劇が苦手な方は本作で興味を持ってもらえたら幸いです。

投稿 : 2024/04/20
♥ : 21
ネタバレ

takumi@ さんの感想・評価

★★★★★ 4.5

現代的なものがミックスされても違和感のない不思議

全26話ながら、17話までを1期、18話から26話を2期としている。

音楽はHIPHOP中心。
監督は渡辺信一郎氏で、制作はスタジオマングローブ。
綿密に計算されたスタイリッシュなアクションが
テンポよく繰り広げられ、観ていてとても心地良い。

舞台は江戸末期で服装も和服ベースだけど、主人公たちは現代風な着こなし。
「ひまわりの匂いのする侍」を捜し求めている天涯孤独なフウと、
喧嘩早くてめっぽう強いが女には弱いらしい赤い羽織を着たピアス男、ムゲン。
寡黙で冷静沈着、繊細そうで気は優しい細身のメガネ侍、ジンの着物はブルー。

この3人が、ひょんなことで知り合い、フウの人探し旅の用心棒として
全国を旅するロードムービー。

だが、底抜けに明るくて大食らいで人懐っこいフウは、
何かと事件に巻き込まれやすく、ジンとムゲンの2人は
その度に彼女を救出しながら一緒に旅を続ける。
この2人、本当にどこをとっても対照的。

時代考証とか言葉遣いとか、いい加減そうに見えても
時代劇特有の専門用語など、押さえるところは押さえてるし、
ハチャメチャな展開であっても、脇役の隅々にまで細かなキャラ作りが
成されており、案外こちらのほうがリアルなのかも?と思わせてくれる。

特に、昔の日本女性らしい芯の強さ、逞しさと儚さが滲み出る11話
普段は女っ気ひとつないジンが、{netabare}女郎屋に売られてしまった人妻に恋をし、{/netabare}
珍しく気持ちを素直に言葉に出したり、ある大胆な行動に出た「堕落天使」が
個人的には強く印象に残り、好きだった。

各話で心に残るセリフやシーンがあるけれど、この11話の中の
{netabare}「本当に悲しいときは笑うのよ。悔しいから笑い飛ばしてやるの」
っていう{/netabare}
人妻のセリフに、それまで彼女が見せていたギャップそのものを感じた。

シリアスとコミカルを交互に、1つのラストへと収束していくのも、
三人のキャラの絶妙な組み合せぶりも、
どこかチャンプルーに通じるものを感じる。

果たして・・ひまわりの匂いのする侍とは?
そしてなぜ、ひまわりなのか。
どうやらそれは2期(18話~26話)へとつづくらしい。

投稿 : 2024/04/20
♥ : 79

ジョニー さんの感想・評価

★★★★★ 4.5

日本より、、、

日本より海外での人気が高いですね。
ブルーレイもアメリカでしか発売されてません。
アニメーションとしての質、演出、トラック、全てが斬新です。(カウボーイビバップのスタッフが制作)
アクションも素晴らしく、刀を使ったアクションは必見!
主要キャラは、凄腕のサムライ2人と人探しの少女の計3人で、男達は少女の人探しに付き合い、日本中を旅をします。

この3人のボケとツッコミのトライアングルが絶妙で毎回笑わせてくれるのですが、それ以外に、旅をする中で登場する個性溢れるサブキャラが笑いや面白さに拍車をかけますw
ストーリーとして、単純で深さや感動は弱いですが、1話~2話(最後は3話)で完結するストーリーは、とてもスピーディーでダラダラ感が無く、最終回を観た後もスッキリ爽快な気分です。
この作品が海外で評価されているのは、けしてサムライ要素という理由ではなく、エンターテイメントとして求められているモノを見事に表現しているからだと思います。
萌やお色気は無いですが、最高に楽しめる作品です。



自分はHIPHOPをよく聴くので、その要素を取り入れ、違和感なく織り交ぜるどころか、相乗効果として機能させているトラックメイカーの面々を見つけ出し、起用したスタッフに脱帽です。

投稿 : 2024/04/20
♥ : 14

75.6 2 浮世絵で時代劇なアニメランキング2位
モノノ怪(TVアニメ動画)

2007年夏アニメ
★★★★☆ 4.0 (843)
4362人が棚に入れました
“モノノ怪”を斬ることができる退魔の剣を携えて諸国を巡る薬売りの男がいる。
彼が呼ぶのか、剣が呼ぶのか、薬売りの前には次々と妖異が現れる。
“モノノ怪”を成すのは、人の因果と縁(えにし)。人の情念や怨念があやかしに取りついたとき、“モノノ怪”となる。 こうして彼の行く所、様々な“この世のあはれ”が浮かんで消える……。

声優・キャラクター
櫻井孝宏、田中理恵、藤田淑子、塩屋浩三、竹本英史、沼田祐介、日比愛子

awachan さんの感想・評価

★★★★☆ 3.8

カラフルさって実は奇妙なのだね

絵と色彩が奇抜なので、勢いのアニメかと思いきや
細部まで練られている物語演出がおもしろく、引き
込まれやすい。
これは怪との戦いではなく人と人との戦いなのかも。

一見ごちゃごちゃしてそうで実はまとまった
色彩の世界がとても奇妙さを際立てている。

3話構成でひとつの事件が進んでいく。
3話に1回、水戸黄門のように決めシーンがある。
オムニバスアニメ怪ayakashiの「化猫」の続編という形。
ちなみに「化猫」も良い作品です。

投稿 : 2024/04/20
♥ : 5

U-tantan-U さんの感想・評価

★★★★★ 4.3

飛びぬけた表現力が生んだ傑作!個人的にノイタミナの代表作!

最近あの花でさらに評価が高まっているノイタミナの作品。この作品がきっかけで私はノイタミナの作品をよく見るようになりました。


まず最初に、この作品はホラーと銘打っていますが、純粋に私たちがイメージするような、ホラー的な怖さを感じさせるようなものではないです。


世界観が独特だとか、万人受けしないとかいう評価はよく耳にしますが、これほどその表現がしっくりくる作品もないと思います。おそらく観る人によって、作品の感じ方が真っ二つに割れると思います。



おおまかな内容としては、、、そう、アヤカシものなのですが、正直、文章で表現するのが非常に難しい^^;純粋にアヤカシの怖さを表現しているというよりは、アヤカシを通じて、人の業、内面の恐ろしさと醜さを表現しているのではないか、、という自分なりの解釈でした。
抽象的な表現が非常に多いので、かなり難しかったですw
何度か観てわかることも多いです。



ただ、エピソードごとにきっちりと分かれているので、そこについてはわかりやすく、様々な問題を投影している部分があります。堕胎、シングルマザー、女性差別等が取り上げられているんですかね。


そして前述した世界観ですが、圧倒的です。他には絶対にない表現力だと思います。映像美とでも言いますか、、和紙のテクスチャ、鮮やかな色彩の映像、音楽、作画等含めて、他の作品とは一線を画していると思います。たぶん普通のアニメ絵だったらこの世界観は表現できなかったのではないかなーと。これぞ日本のアニメ!和!というような主張が全面に出ていました。


ここらへんがたぶん万人に受け入れられるか、そうでないかの大きな部分だと思います。自分は見ていて、すごくキレイだと思い、ひきこまれましたが、これらを気持ち悪いと感じる方も大勢いると思います。


ダラダラと分かりにくく語ってきましたが、前述のとおり評価はやはり分かれると思います。そう、真っ二つかってくらいに。でも、他のアニメとは確実に趣向が異なるものなので、まずはこの世界観に足を踏み入れることをオススメします。そこから判断してみてください!日本がセカイに誇れるアニメのひとつだと私は思います。

投稿 : 2024/04/20
♥ : 38

takumi@ さんの感想・評価

★★★★★ 4.7

千代紙の賑やかさを懐紙が吸い取ったような、斬新で乾いた怪談オムニバス

ステンドグラスの入った大きな扉、柄に柄を合わせた天井の模様。
浮世絵と千代紙でコラージュしたような色彩と、
大正浪漫を随所に感じるインテリア、建物、服装、配色。
和紙のようなどこか乾いた感じの風合いと香りが、
ほの暗く湿った日本古来の怪談に侵食された・・そんな感覚。

とにかく美術が斬新で素晴らしかった。
日本の文化を、これまた日本らしい怪談話に絡めて
じわじわとした恐怖感を煽りつつ、惹きつけてくる。

そしてさまざまな登場人物の中、主人公である薬売りの男が
なんとも粋な感じでカッコイイ。
櫻井孝弘さん演じる彼の声が見事にマッチ。
ややもすると飽きが来てしまいそうになる怪談オムニバスの
全12話を、彼の魅力で引っ張ってくれたと言っても
過言ではないような気がするほどだ。

ほとんどが室内だったが、10~12話の「化け猫編」は
列車の中でのシーンが多い。
時折、線路や駅などの外のシーンが描かれ、
やっと呼吸を許されたような開放感を味わう。

そんなわけで、観る人を選ぶ演出であることは確かだが、
個人的にはとても好きで、趣味に合う1本だった。
こういう作品って、今までありそうで意外となかったのが不思議。
怪談にまつわる人の愚かさ、醜さ、悲しさを
アニメならではの映像でうまく表現されていたのも素敵。
それに何より、古さを感じさせない。
たぶんこれから10年経っても、それは変わらない気がする。

人の強い怨念を食らう怪(あやかし)、それこそがモノノ怪。
薬売りはその怪から、人間が生んだ怨念や情念、憎悪を
断ち斬る術を持っているという、これもまたひとつの薬のようで。
そのあたりも面白い。

この作品は、怪談の怖さを味わうことより、
アート的なこの演出を楽しむために作られたのだということは
間違いないだろう。

おそらく、時間を経てまたもう一度観直したら、
違う何かに気づけそうな気がする。
そんな余韻を残す傑作だった。

投稿 : 2024/04/20
♥ : 70

64.1 3 浮世絵で時代劇なアニメランキング3位
百日紅 Miss HOKUSAI(アニメ映画)

2015年5月2日
★★★★☆ 3.8 (67)
274人が棚に入れました
舞台は江戸時代――。庶民が好んだ、江戸の風俗を描く〝浮世絵"。それを世に放つ江戸の浮世絵師として生涯、浮世絵を描き続け一世を風靡し、3万点を超える作品を発表し、今もなお世界中を魅了し続けている葛飾北斎と、その制作の裏側で北斎を支え続け、自身も浮世絵師として後に北斎名義で大量の作品群を残したと言われている娘、お栄(のちの葛飾応為)を通して絵を描く人間たち、江戸に生きる町人たちとの交流を描いた原作を原恵一監督が大娯楽群像劇として描き出します。遥か200年の時を越え江戸と東京が、今、ひとすじにつながる、全世界待望の大娯楽長編アニメーション大作です。

声優・キャラクター
杏、松重豊、濱田岳、高良健吾、美保純、清水詩音、筒井道隆、麻生久美子、立川談春、入野自由、矢島晶子、藤原啓治

けみかけ さんの感想・評価

★★★★★ 4.7

【死んだら地獄へ行くよ】江戸の四季、江戸の風俗、江戸の恋、江戸に生きる女を描く傑作【半鐘の音が聞こえると、じっとしていられねぇのさ】

『クレヨンしんちゃん』や『河童のクゥ』でお馴染みの日本を代表する名監督、原恵一の最新作
アニメーションとしては『カラフル』以来5年ぶり
間に挟んだ実写映画『はじまりのみち』からは3年ぶりのご帰還
1年前には『ARISE』にいた筈のProductionI.Gに太いパイプを持つアニメタがこっちにいたりで、原監督には初めての現場なのに色々凄いことになってます


原作は監督自身がファンだと公言している若くしてこの世を去った漫画家、杉浦日向子の代表作
江戸時代の浮世絵師、葛飾北斎の三女で葛飾応為こと“お栄”を主人公に彼女の視点から江戸の情緒や北斎を取り巻く人々を描いた時代劇です


主要キャストは本職の声優ではなく、これまた杉浦作品のファンであると言う杏がお栄を演じます
北斎(本名、鉄蔵)には何の因果か杏の父親役を度々演じる松重豊
北斎の弟子の一人で北斎やお栄と同居する若者、善次郎には原監督作品のファンだと言う浜田岳


これら俳優陣の演技は声優初挑戦ながらとても素晴らしく、特に杏はこの『百日紅』という作品をよく知っているだけあって気合の入れ方が凄かったようで、アフレコに着物で来たとか


また、アニヲタ的には矢島晶子と藤原啓二がカメオ出演しているのも面白かったのでぜひ探してみてほしいです


元々いくつかの短編を集めたものとして描かれている原作なので、この映画でも小さなエピソードの連続と共に移り変わっていく江戸の四季や登場人物の心情変化を描写しています
ココが今までの原監督作品と違うところなんです!


北斎とお栄の浮世絵師という仕事は現代で言うところのノンジャンルのイラストレーターに相当するもので様々な依頼に合わせて有象無象、虚実混濁、抽象、風景、人物問わず絵にしていきます


龍の水墨画、妖怪絵巻、地獄絵図、仏画・・・
それらに合わせて描かれる江戸の風景が大変美しい
時代考証に裏打ちされた両国橋や吉原の丁寧な描写は外国人に「これが江戸時代です!」と言い張れる完成度
さらにところところで画面レイアウトが【そのまんま北斎の代表作と同じ】になっているという遊びをそれとなく入れてくるのはニクイ


細かいエピソード毎の区切りが小気味良いテンポとなって原監督特有の「さぁ、泣いてください!」という湿っぽい雰囲気やあざとさを感じさせず、杉浦作品のドライな世界観と調和して高次元でバランスしていると感じました


そしてお栄が最も得意としていた春画(エロ絵)
北斎や江戸の浮世絵師を語る上では欠かせない春画、ですが年頃の娘であるはずのお栄(劇中では23歳)がなぜエロ絵を描き続けたのか
生涯未婚だったという彼女の青春に何があったのかを合わせて描く恋模様エピソードも見逃せない


そして物語全体の軸となるのがお栄の妹、そして北斎が無意識に避けてしまっている四女、お猶とのエピソード
じつはこのエピソード、原作の単行本ではクライマックスなんですが文庫版だと後日談が付け加えられてしまっています
これを原監督は蛇足と考えたのか、あえてこのお猶ちゃんを最後に持ってくることで原監督には十八番の“涙で〆括る”という体裁を取っていて、まあそう来るだろうとは薄々わかっちゃいましたがこれがまた自然な仕上がりですっかり乗せられました
いや、率直に素晴らしかったです


エンドロールには生前の杉浦が好んで聞いていたという椎名林檎が歌う主題歌
ただでさえ男尊女卑の時代を生きたであろうお栄という逞しく地に足着いた女性の姿を通して、作品全体に仄かに漂う女性応援歌の香りがこの曲で裏付けられます


江戸文化の丁寧な描写という面で観ても世界に発信するに相応しい一作でありつつ、流石に吉原とか遊郭が出てくるので小さいお子様連れ向けとまでは言わないが老若男女楽しめるエンターティメントに仕上がっている思います
文字通り傑作ですよ、これは








お猶ちゃんマジ天使、な

投稿 : 2024/04/20
♥ : 24
ネタバレ

さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

芸術作品

原作未読。映画館で視聴。

この作品は彼女達の生き様を示したいくつかのエピソードを連ねて纏めた物語となっていた。
雰囲気はサブカルとしてのアニメというよりも、伝記的な芸術という表現という感じ。北斎は誰でも名前くらい聞いたところがあるだろうが、娘がどんな人間なのかは知る人も少ないだろう。
ところどころで現れる有名な北斎の絵と、ただの伝記にはさせないファンタジーらしさがスパイスとなって物語をかざっている。
淡白だけれど、見応えのある映画になっていると思った。

病人を遠ざける北斎と、悩みどころの多いお栄と、目は見えないけれどいろんな事を悟っているおたるのやり取りが、人として重なる部分も多くて、突き刺さる部分も多かった。

声優は有名人を多用していたけれど、お栄を除けばとても自然な演技だった。
お栄役の杏さんは抑揚はついた喋り方ではあったが、役になりきるという点でもう一歩かなと思った。まあ、生い立ちをみればこれ以上の適役はいないと思う。

絵については、
制作がプロダクションIGということでどれだけ派手な動きが見られるのだろう!と期待していたのだが、北斎の絵を利用した絵は印象的であるが、ほぼ特別な動きはなくて少しだけ残念だった。
おそらく、日常の動きの再現度は高いのだろう。自然すぎて気付かないということはよくある。

【10/2の番宣を観て補足】
終盤のお栄が走るシーンは背動だそう。
あの物量と滑らかさは当然CGだと思ってたら、まさか、だった。
また、おたると男の子が雪で遊ぶシーンについても、粉雪を手描きで一粒づつ描いているそう。現状のアニメなら、CGで粉を出していることだろう。
やろうと言った原監督と雪のシーンを担当した井上俊之さんの力量は、完全に常軌を逸していると思った(褒め言葉)

劇中歌はロックできめて、かっこいい雰囲気を醸し出している。
主題歌は好き好みの問題だと思うが、個人的には微妙だった。まあ椎名林檎が好きならば良いのではないか

ところで、私にはこの物語に対する疑問が二つばかりある。
{netabare}一つは、おたるが逝ってしまったあと、北斎の作業場に吹いた突風に対して北斎が「一人でこれたじゃねえか」と行った理由。
お栄とのやり取りはまるで北斎がおたるを腫れもののように扱っている様に見えたのに、その言葉で北斎の人柄が分からなくなってしまった。本当はおたるを気にかけていたとでもいうのだろうか。

二つ目は、物語の最後に時が経って東京になったというくだり。日本の歴史を知らない外国人に対する説明だとしても、あまりに唐突で「え、だから何?」と思わずにはいられなかった。
{/netabare}
最後の最後で躓いてしまったが、全体的にみれば満足な内容だった。
一部エロいシーンがあるので小学生以下にはおすすめしないが、絵に少しだけ興味がある人、もしくは本数を見てきたアニメファンにはおすすめできる一本であった。

投稿 : 2024/04/20
♥ : 7

takato さんの感想・評価

★★★★☆ 3.8

小味の効いた一品

小味の効いた一品。明確な起承転結も、クライマックスもないけどれど、しみじみとした味わいがある。キャラデザ、色彩、美術、キャラクター全てが派手なさも、気取りもないが、温かさと愛情が感じられるのが実に良い。お江戸版日常系作品といっても過言はないだろう。


最後に一人の死が描かれるが、それもサラリと静かに描かれている。しかし、大仰なポーズはなくてもその死を自分なりに受け入れる主人公の姿は見事。それにしても、江戸の話しを見ていると、稚児さんや男娼の文化についてちゃんと描かれている本でも、物語でも見てみたい。

投稿 : 2024/04/20
♥ : 13
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