童話アニメ映画ランキング 6

あにこれの全ユーザーがアニメ映画の童話成分を投票してランキングにしました!
ランキングはあにこれのすごいAIが自動で毎日更新!はたして2024年04月17日の時点で一番の童話アニメ映画は何なのでしょうか?
早速見ていきましょう!

72.7 1 童話アニメランキング1位
銀河鉄道の夜[グループ・タック](アニメ映画)

1985年7月13日
★★★★☆ 3.9 (115)
519人が棚に入れました
宮沢賢治の同名小説をますむらひろしがマンガ化し、それを原作として映画を制作したファンタジー。登場人物のほとんどが猫の姿で描かれている。監督は杉井ギサブロー。音楽を元YMOの細野晴臣が手掛けた。まだ小さいジョバンニは苦しい家計を助けるために、学校が終わってから町の印刷所で働いている。遠洋漁業に出ている父が帰らないこともあり、クラスの友だちからいじめられたりもしている。星祭りの夜、ジョバンニは届かなかった牛乳をもらうため、町はずれの牧場へ行き、そこで夜の空から突然降りてきた行き先の分からない汽車“銀河鉄道”に乗ってしまう。汽車にはすでに幼なじみのカンパネルラが乗っていた。ふたりは廃墟の駅“白鳥ステーション”で古代の動物の骨を発掘している現場を見たり、氷山に衝突して沈んだ豪華客船の乗客だった少女らに出会ったりしながら、不思議で幻想的な銀河の旅を続ける。だが、巨大な十字架の前を通り過ぎたとき、カンパネルラが思わぬ告白を…!?

声優・キャラクター
田中真弓、坂本千夏、堀絢子、一城みゆ希、島村佳江、槐柳二、八代駿、新村礼子、大塚周夫、菊池英博、渕崎ゆり子、中原香織、梶哲也、青野武、倉崎青児、仁内建之、納谷悟朗、金田龍之介、常田富士男
ネタバレ

文葉 さんの感想・評価

★★★★★ 4.8

幻想的なFantasy

今まで金曜ロードショーで観ようとすると終わりの10分前だったということが2回あり、初めて最初から最後まで観ました。
(スカパーキッズステーションの映画特集ありがてぇ・・・)

序盤の30分がイマイチ集中出来なくて、
「何故登場人物ネコなんや・・動物ばかり・・あ、いつの間に人間いた」
なんて、感じで観ていましたが、これでジョバンニやカンパネルラが人間で描かれてたら少し生々しくなるかなと思いました。(これで良かった)

銀河鉄道の夜の影響を受けた”輪るピングドラム”に影響され視聴しましたが、他にも影響を受けた作品が沢山あるほど、影響力のある作品だと存じます。
感情の起伏や物語の起伏、展開が激しい作品ではなくて、
あまりに感動して号泣するとかは無いかもしれませんが、
不気味ながらも幻想的で優しいBGMから始まり、別れを激情的に描きながらひっそり静かに終わるストーリーが心に焼き付きます。

紅い苹果が出てくるシーンを見てあまりにも美味しそうで、途中中断してスーパーに買いに行って苹果を切って齧りながら観たほどです。
{netabare} やけて死んださそりの火のエピソード(蠍の火)や車窓に現れた石炭袋、ジョバンニに別れを告げるカンパネルラのシーン、胸に迫るものがありました。{/netabare}

プラネタリウムで”銀河鉄道の夜”を楽しめるそうなので近々行ってみます。

投稿 : 2024/04/13
♥ : 26

キスショット☆ さんの感想・評価

★★★☆☆ 3.0

今見ても

宮沢賢治、原作。
しかし、作者逝去のため未定稿の作品。

初めて見たのは、幼稚園のころだったと思う。

そう思うと、約20年以上前に観た時の印象は、
わけわからない!
暗くてこわいし、
結局、友達のカムパネルラは、死んじゃったってこと??

だったと思う^^;


最近、猫が列車にのる映画なんだったかなぁと、思い出したのが銀河鉄道の夜で、再度観ました。

が、子供のころの印象と何もかわらなかった・・・(私が成長してないのかな?笑)

というか、よくわからない描写だらけで、理解にくるしむ。

結局、友達がテーマなのか、孤独・死・幸せ。のどれもがテーマなのか、深いとも言えるし

分け分からない感じにして、人によって、様々なことを読み取ってほしい。ということなのか。

なんとでも考えれる作品といえるかなぁと

明治、昭和の時代の小説家は、有名な人が多いけど、私としては、何が言いたいのか、よくわからないことが多いので、これもその一つかな。


余談。
現代と、100年ぐらいしか違わないのに、使ってる言葉は、ちょっと違ったり、言葉の意味が違ったりと、それだけで色々考えさせられるって、なんか、おもしろいですね!

投稿 : 2024/04/13
♥ : 13

しゅりー さんの感想・評価

★★★★★ 4.3

宮沢賢治に出会わせてくれたアニメ

宮沢賢治の童話が原作の劇場用アニメです。
私は小学生の頃にBS2で観たのですが、当時はこのアニメのイメージに圧倒されて、
「注文の多い料理店」や「よだかの星」など宮沢賢治の童話を読み耽ったものです。


このアニメは登場キャラクターの9割は猫の姿で描かれていますが、
残り1割として列車で席を同じくする姉弟とその家庭教師が出てきます。
彼らが銀河鉄道に乗車した経緯の中に現実的な描写が多い分、
他のキャラクターとイメージの対比が出来て、幻想的な世界観を
構築するのに一役買っているのではと思いました。


作画は、日常シーンは少しパッとしない感じがありますが、
銀河鉄道乗車後のシーンはセル画アニメの吸い込まれるような美しい色彩で表現されていて、
鳥を捕る人や南十字のシーンはレビュー前に観直すまでしっかり目に焼き付いていました。
劇中の音楽も映像の独特の雰囲気にしっかり合っています。


物語はジョバンニ(CV:田中真弓)とカムパネルラ(CV:坂本千夏)の二人を中心に描かれます。
全体を通して落ち着いた表現のアニメですが、命の廻りや本当の幸せがどこにあるのかを
真摯に描写しているストーリーに引き込まれました。
南十字の駅を過ぎてからのシーンはやはり涙腺に訴えかけるモノがあります。
特にジョバンニの叫びが哀しく響きます。


「銀河鉄道の夜」を知る人、知らない人問わず、オススメしたいアニメです。

投稿 : 2024/04/13
♥ : 13

57.1 2 童話アニメランキング2位
グスコーブドリの伝記(アニメ映画)

2012年7月7日
★★★★☆ 3.3 (58)
284人が棚に入れました
グスコーブドリ(ブドリ)はイーハトーブの森に暮らす樵(きこり)の息子として生まれた。冷害による飢饉が招いた一家離散、火山噴火の影響による職場の閉鎖などといった苦難を経験して育った彼は、イーハトーブ火山局の技師となり、噴火被害の軽減や人工降雨を利用した施肥などを実現させる。ところが、ブドリが27歳のとき、イーハトーブはまたしても深刻な冷害に見舞われる。火山を人工的に爆発させることで大量の二酸化炭素を放出させ、その温室効果によってイーハトーブを暖めよう。───ブドリは解決法としてそのように提案したがしかし、彼の案を実現するためには自らの犠牲を覚悟した誰か一人が最後まで火山に留まる必要があった。年老いたペンネン技師が最後の一人になろうとするが、ブドリはそれを引き止めた。そうしてブドリは、皆に黙って自分が最後の一人として残る。決死のブドリが火山を爆発させると、見事に冷害は食い止められた。イーハトーブは救われたのだった。

声優・キャラクター
小栗旬、忽那汐里、佐々木蔵之介、榎本明、草刈民代、林隆三、林家正蔵

ようす さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

雨ニモマケズ 風ニモマケズ

宮沢賢治原作の物語。

雰囲気はジブリに近いものがあったかな。

途中で何回か出てくる,「雨ニモマケズ」の詩。

これが,このアニメの主題なのかなと思います。

「そういう人に,私はなりたい。」

世界観は大好きです。

宮沢賢治独特の,意味がよくわからない世界観も感じることができました。
↑誉めているんですよ!それが好きなのです。


●ストーリー
イーハトーブの森に暮らす,ブドリとその家族。

とても幸せな家族。

しかし,何年も続く冷害によって家族は離れ離れになってしまう。

森を出て,旅をするブドリ。

あらゆる場所で出会った優しい大切な人たち…。

1人の少年の決意と勇気の物語です。


●タイトル
この映画のこと何にも知らなくて,とりあえず「宮沢賢治原作」という言葉だけで見ようと思いました。

「グスコーブドリの伝記」というタイトルだけでは,一体何の話なのかちっとも想像がつかず…。

見終わったら,このアニメにふさわしいタイトルを考えてみよう,なんて思っていました。

でもね,見終わった今では,「グスコーブドリの伝記」が1番ふさわしいタイトルだと思っています。

宮沢賢治に勝てるわけがなかった!笑

グスコーブドリ=主人公・ブドリの本名。

伝記=個人の記録。

うん,ぴったり。

そういうお話です(笑)

原作は読んでいませんが,原作のあらすじを読んでいると,どうも削られているシーンが結構あるみたいですね。

ラストもかなり省略されています。

1番印象強いだろう,と思われるところが省略されていて…。

人の生き方について1番考えさせられる場面のはずなのに。

個人的にはとても残念でした。


●キャラクター
登場人物は,全て擬人化されたねこです。

ねこが嫌いな人にとっては,見るのは辛いかもしれません(笑)

そしてあまりかわいいとは言えない…。

なんでねこなんだろう?

ちなみに,私が見た映画は2012年版でしたが,1994年版もあるみたいです。

そちらは,人間がキャラクターです。

台本も違うようなので,ぜひそちらも見たいなあと思っています。


●音楽
もうね,始まったその時から引き込まれました。

素晴らしい!!!

テーマ曲がいいなー。サントラ買おうかしら…。

主題歌は,小田和正さんの「生まれ来る子供たちのために」。

これがまたいい曲。

この曲聴きながらアニメの映像見ているだけで何度もこの世界に浸ることができます。

投稿 : 2024/04/13
♥ : 13
ネタバレ

千秋 さんの感想・評価

★★★★☆ 3.1

操り人形のような無機質な猫

キャラクターは二足歩行の猫たちの世界。猫がやたらと無表情…。
ファンタジックにしたいからかなーと思いながら見てましたが、猫以外は作画が本当に綺麗なのですよ。そして音楽もきれい。それだけでも見る価値はあるかも。

内容は…どんな話かわかりません!表面的なことはわかりますが。それすらわかりづらい作り。
う~~ん、ひねり過ぎて意味不明になった、ある国の昔話みたいな。
原作は宮沢賢治の代表的な童話の一つだそうですが、だいぶ脚色されてそう。

夢でも見てる設定かな?と、意味不明のまま話は進み、各キャラの役割や行動心理は不明のまま。
{netabare} ~人攫いネコは死神みたいなものなのかな?{/netabare}
{netabare} 具体的にどのように犠牲になり、それがどのように影響したのかという事は見せず
何故か丸く収まっちゃった{/netabare}オチで更に評価下がった。
原作知ってたら言わんとすることはわかるのかな?でもそれじゃ意味無い。
この映画単体でわかるようにしてくれなくっちゃ。
この作品は良く言えば幻想的なので、意味を深く理解しようとせず雰囲気を楽しむ程度に見たら良かったかな~と、後々思った。

ちなみに主人公ブドリの声優が小栗旬。暫く気づかなかった。

投稿 : 2024/04/13
♥ : 13
ネタバレ

けみかけ さんの感想・評価

★★★★☆ 3.4

どうしても『銀鉄』や『中村監督版』との比較になってしまいますが、改めて痛感する【物語の古臭さ】 そしてネリが可愛くない;

ご存知、宮沢賢治の代表作にして賢治の作中で度々描かれる理想郷『イーハトーブ』が舞台のファンタジー
森の中の丸太小屋に住まい、暖炉の前でパンとスープを食して一家団らん・・・そんな世界観の作品です


1994年に中村隆太郎監督が手掛けた旧作は学校の道徳だか国語だかの授業中に見せてもらいました
というのもこのグスコーブドリの伝記という作品は、作家としての賢治の代表作であると同時に、勉学に励みその知識を民衆に役立てるために働いたという賢治自身の体験談が数多く残されており、また『雨ニモ負ケズ』精神に代表される自己犠牲愛が色濃く出ている自伝的な作品でもあることで有名だからです


今作は一時期、制作の中止を危ぶまれましたがお国からの支援もありナントカカントカ完成に漕ぎ着けたようです


今もなお名作と名高い『銀河鉄道の夜』(http://www.anikore.jp/anime/3243)を手掛けたスタッフが再集結
銀河鉄道の夜に引き続き、ますむらひろしがキャラデザした猫の姿をしたキャラクター達によってお話は描かれます


上記の『銀河鉄道の夜』や『中村監督版ブドリ』は率直にオススメしたい作品なのですが、今作はハッキリ言って微妙です;


擬人化された猫のキャラクター達はなんかやたらコミカル調にデフォルメされている印象
その割りに賢治独特のまわりくどい言い回しと杉井ギサブロー監督お得意のしつこい尺稼ぎだけは相変わらず健在
音楽はマーチやワルツっぽいリズミカルなものが目立ち、ひょうきんな雰囲気が醸し出されていて怖いシーンでもあんま怖くない
イーハートーブの終点駅にある近代的な街並みは、美しいCGで描かれてますが、ぶっちゃけその辺はメインじゃないしで前述の2作と違ってハリボテ感が強い;
(まあ、赤ひげのおっさんだけはアレでいいと思うんで評価しますけどねw)


おまけに桑島法子さんが演じるキャラクターが『雨ニモ負ケズ』を朗読するという、もはやネタ(http://www.anikore.jp/anime/3222)としか思えないシークエンスも平気でやってるし


なによりも許しがたいのは芸能人ゲストをメインに配した声優陣です;
ブドリ役の小栗旬はまだマシな方
ブドリの妹であるネリ役を演じた忽那汐里がもう単純に下手っぴ(´q`)
全然ネリが可愛くないぜ・・・どーゆことよ?┐(´`)┌
見た目カンパネルラに似てるしで余計イライラしますw
せっかくの桑島さんをなぜネリに使わなかったのかorz


お話自体は身に染みる教訓めいたものであるはずなのに、どうしても騙くらかされてる感じになってしまっていて、興醒めしてお話が心にまで入ってこないというのが大きなマイナスポイント


アートフィルムとしても高い評価がされている銀河鉄道の夜に対して、今作は端っから興行を意識して制作されたそうですね
(モチロン沢山の人に観てもらいたい、という思いからですが)


エンターティメントとしての一般ウケを狙うあまり、結果的に童話に回帰させたかったのか大人向けに作りたかったのかどっちつかずで最悪な印象でした;


イーハトーブの情景を映像化した作品は他にもございますが(http://www.anikore.jp/anime/3288)
中村監督版ブドリと比較するとその最大の相違点は、幻想的な世界観を最新の映像技術や擬人化で描いたことで、より『ファンタジックな映像』に仕上げたところだと思います
(中村監督版は日本の田舎風景に近い世界観をセルアニメで表現)


幻想世界美術にご興味ある方はまあ観てもいいんじゃないかなー?と


以下、結末について追記
{netabare}
原作既読の皆さんはご存知かと思いますが、この作品のラストでブドリは大寒波からイーハトーブを救うために自らを犠牲にして火山を噴火させる行動に出ます


オイラにはどうもこの自己犠牲愛で解決、ってのがいま改めてみると『古臭くて』敵わんのです


それに地球温暖化が叫ばれているこのご時勢に火山噴火によってCO2を増加させ、温室効果で寒波に対抗する
っていうのも考え方として古過ぎるし、噴煙で天候が悪化する可能性もあるので今となっては科学的根拠が薄すぎる


この点は前々から賢治の作品を研究してきた文学者や批評家の間でも通説となっておりまして、どうしても『今更のアニメ化』への疑問になってしまいます


もちろんのこと、大切に強調されているポイントはブドリの自己犠牲の精神
であるのでしょうが、そこに至るまでの過程で既に萎えてしまっていたオイラにとっては非常に残念な作品ありました


中村監督版を観た当時は、あくまで『賢治の自伝』と予習して視聴した為、このような違和感は無かったんですけどね・・・


{netabare}
ちなみに原作では再会を果たすネリとブドリですが、今作では『人さらいにさらわれて以降のネリがブドリの幻想の中にしか登場しないこと』『ネリの衰弱が食べ物を口に出来ないほど著しく激しかったこと』『人さらいの存在が超人めいてること』・・・
とまあこれらを含め【人さらい=死神】と捉えて、ネリが“さらわれる直前には既に死んでいた”
と考えられる一連の描写が、原作とは違いならがらも新しい解釈として評価してもいい
と、そう思いました
{/netabare}
{/netabare}


ただやっぱ純粋に賢治の足跡を追うという気持ちで視聴するなら、子供にも理解しやすくかつドラマチックに仕上がった中村監督版をオイラはオススメしたいなぁ・・・

投稿 : 2024/04/13
♥ : 9

68.9 3 童話アニメランキング3位
ピーター・パン(アニメ映画)

1955年3月9日
★★★★☆ 3.8 (24)
227人が棚に入れました
ロンドン郊外に住む少女ウェンディの元に、ある夜、おとぎ話のピーター・パンが妖精ティンカー・ベルと共に現れた。ウェンディ、弟マイケルとジョンは、空を飛べる魔法の粉を振りかけられて、いつまでも子供のままでいられる“ネバーランド"へと旅立つ。ディズニー・アニメの中でも人気の高い作品で、その美しい色彩と浮遊感覚いっぱいの動画が素敵だ。ピーターはじめ、フック船長やウェンディなど、愛すべきキャラクターは多いが、中でもやはり、物言わぬティンカー・ベルの存在が光り輝く。

takato さんの感想・評価

★★★★★ 4.1

教科書過ぎないクラシック

ディズニーの伝記映画を見たので初期ディズニー作品を見直したが、中でもピーターパンが一番であった。大人になってから見直すと新たな発見が、そして子供の頃に見たのと変わらない想いが郷愁に誘う、子供向の名作!。


 話やキャラクターは今更語るまでもないだろう。しかし、どいつも教科書的でキレイキレイなお仕着せ的なキャラではなく、欠点も含めて魅力的な生きているキャラなのが素晴らしい。特にフック船長とスミー君のコンビは、長いディズニー作品の歴史の中でも最高のコメディーリリーフだろう。むしろ悪役の彼らが気の毒で、愛らしくすら感じられるんだから凄い。


 ストーリー全体としても無理がないスムーズな話はこびだし、泣かせますよ~という狙いすぎな感じがないのも良い。それでいてラストの綺麗な締め方で思わずジーンとしてしまう。冒頭の飛行シーンにしても、宮崎作品以外でここまで飛翔する喜びを描けてた作品があろうか?。

投稿 : 2024/04/13
♥ : 11

シェリー さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

You can fly!!

「魔法」というのは描かれる物語によってはぞんざいに扱われてしまいます。
しかし、本作ではその可能性と神話性を最大限まで引き出し、魅了してくれました。

「ピーターパンなんていない」「早く大人になりなさい」それが大人たちのよく言うことでした。
わたしたちのことをなにも分かってない、分かろうとしてない。
どうして?お父さんやお母さんもこどものときがあったはずよ!忘れてしまったの?
彼はきっといるわ。毎朝人魚に微笑みかけて、インディアンたちと仲良く握手をして、襲撃してくるフック船長には痛い目を見せてやるの!
こうやって、「いいか!2度とこんなことするんじゃない!次はお前の体をバラバラにしてワニのえさにしてやる」ってね!
まったくどうして大人ってこうなの。このままではわたしたちはからっぽなお人形さんになってしまうわ。
そんな痛切にも似た声に応えてくれたのはピーターパンでした。「ネバーランドへ行こうよ!」
こうして子どもたちは念願のネバーランドへ行き様々な苦難をくぐり抜けそれぞれのなにかを手に入れるのでした。
そのなにかはきっとこれからの生きていく糧になりますよ。熱源となり滋養になります。それはとっても大切なものなのです。

曲解ではありますが大体はこんな感じのお話です。
今日の漫画などでは簡単に描かれてしまう魔法でありますが、この作品ではそれがすごく魅力的に映ります。
「魔法ってすごい!」と思わせてくれます。「You Can Fly!」をバックに空を飛ぶシーンは最高です!
それと魔法とは関係ないけれど僕が個人的に好きなシーンは
ピーターパンにネバーランドへ誘われた際の長女の独り言がすごく綺麗で好きです。上で僕が書いたのはそのオマージュです。
我慢しきれないワクワク感や女の子らしさが良く表現されています。ここはぜひ耳を澄まして聞いて欲しいです。

それとは逆に暗の部分です。
びっくりしたのが子どもたちが「インディアンを捕まえに行こう!」と言うんです。
そんなん言っていいの?聞いた瞬間に血がサッと引きました。それで実際に行くんですね。これまたびっくり。
でも逆に捕まってしまうけれどピーターパンのおかげで仲直り。んー、わからん。
それと何気なくフック船長は船員の1人を殺します。銃でばーんと。
ちょこちょこそういう部分を描いていることには戸惑いを隠せませんでした。もっと綺麗な世界だとばかり思ってました。
まあディズニーらしいと言えばらしい。案外そういうことは作品の細部に反映されてます。差別的なこととか。

それでもこの作品が子どもたちに、さらには大人たちに訴えかけるものは強く、意味があります。
本作は子どもの夢を叶え、それが永遠のものであることを伝えると同時に
主人公の女の子の自立にひとつ力を貸した結果になる展開は見事としか言いようがないです。
最終的には長女は「おとな」の階段を1つ上がるのです。不思議です。でもなんとなく分かる気がします。

さあ!魔法という無限の可能性と「こども」と「おとな」の曖昧な言葉への挑戦に向けて、ネバーランドへ!

投稿 : 2024/04/13
♥ : 10

前田定満 さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

フックとスミーとワニのコント!

1953年に公開された、ディズニー第1黄金期の作品の一つです。
これはすばらしい名作です。
誰もが知っているピーターパン。
お話もコメディー要素が多く、笑えるシーンが多く、
「You Can Fly!」
「Following the Leader」などの名曲も存在します。

子どもの頃はピーターパンを応援してましたが、
大人になって観るとフック船長を応援したくなります。
最近観たらピーターパンってこんなにも悪ガキだったかなと思わされました。

自分が思うこの映画の好きなキャラは以下の3人です。
フック船長のキャラ。
フックの腹心スミーのテキトーさ。
このふたりはすばらしいコンビです。
またワニのキャラもすばらしいです。
僕が最高に好きなワニのシーンは
インディアンの姫タイガー・リリーをフックとスミーがとらえ洞窟に向かうところ、
その後をワニが尾行するシーンがあります。
そこでワニが俺は尾行しているんだとカメラ目線になるシーンがあります。
一度観てみてください。感動するくらいかわいいです。

フック、スミー、ワニ!
この3体か同時に登場するシーンは本当に面白いです。
腹が痛くなります。

投稿 : 2024/04/13
♥ : 4

67.9 4 童話アニメランキング4位
岬のマヨイガ(アニメ映画)

2021年8月27日
★★★★☆ 3.5 (40)
131人が棚に入れました
居場所を失った17歳の少女。彼女が辿り着いたのは、どこか懐かしさと共に温かみを感じさせる、海の見える古民家“マヨイガ"だった。それは、“訪れた人をもてなす家"という、岩手県に伝わるふしぎな伝説。血のつながりがない新しい家族たちとの、ふしぎだけどあたたかい共同生活が、新しい居場所“岬のマヨイガ"でいま始まる――。
ネタバレ

nyaro さんの感想・評価

★★★★★ 4.2

心がざわつく優れた映画だと思います。青少年へのメッセージかな?

 他人が集まることで家族となる疑似家族ものの一種ではあります。東日本大震災の後の復興の一面を切り取ったような話でもあります。さらに、あらすじ通りではない部分もあるので、ネタバレとしておきますが、{netabare} 妖怪大戦争もの{/netabare}でもあります。

 これらがご都合主義的に組み合わさって、比較的派手な絵もなく音楽の無い場面も多く淡々と話が進みますので、退屈する人はするでしょう。

 ですが、この2人の少女が不幸を背負った原因を考えたときに、果たしてそんな単純な話なのか?と気が付きます。震災という大きな大きな不幸と、家族に起こった世間から見たら個人的な不幸。そのどちらも人々にとっては逃げ出したい現実になります。

 その中で自分は誰といたい、どうしたいという気持ちと向き合いましょうと。そして、誰を守りたい、どこで暮らしたいと言えるようになると、不幸から脱するきっかけと新しい何かがみえてくるよ、という風に見えました。

 この3人を助けてくれるのはなんといっても {netabare} 土着の妖怪 {/netabare}たちです。つまり、土地であり共同体です。これは人間も一緒でした。人間は弱いので、辛いもう離れたいと思う気持ちが出てきます。それが地域を滅ぼすことになるという事だと思います。

 本作については、見て欲しい対象年齢を少し低めにしていると思います。それは不幸な現実とどう向き合うか、ということを分かりやすく伝えたいからなのかなあ、と思います。
 震災の不幸も初めは少々デオドランドして、見やすくしすぎでは?と思いました。が、震災の不幸をクローズアップしすぎないように、そしてそこの嫌悪感恐怖感で映画が伝えたい「不幸」の本質を見失わないようにするためかなあと思いました。
 そして、なぜそうしたのかを考えると、逃げる=自殺とか考えてしまう少年青年に対する何かなのかなあ、という気がしました。

 とはいえ、大の大人が見ても、見ている途中で心がざわめく映画ですし、視聴後感はハッピーエンドではありますがこれからもいろんな不幸が起きるけど、戻るべき場所、共同体があるから頑張れるんだ、という風に見えました。

 なお、初めの狛犬のシーンはここでは述べませんが2つの見方ができますね。
 そして、飼われるのが三毛猫です。必ずメスですからあの家には女性しかいません。つまり巫女という風にも取れましたね。

 アニメーションとしての技術的なところは、超一流ではないかもしれません。評価点が平凡なのもそのせいです。が、作品としては、脚本とメッセージ、演出などで良くここまで仕上げたなあという印象でした。青少年向けという前提でいえば、100点中88点くらいつけてもいいかもしれません。

 ということで、隠れた名作だと思います。1回しか見ていないので、もうちょっといろいろあるかもしれませんが、1回集中して見たのでかなり疲労感があります。つまり、出来が良いということです。
 刺激とキャラ萌えを期待すると退屈かもしれませんが、視聴中そして見終わったあと、心が動く映画です。いい映画でした。

投稿 : 2024/04/13
♥ : 8

テナ さんの感想・評価

★★★★☆ 3.3

古いけど色々と良い家じゃん

見に行くか、見逃すかを悩んだ作品です。
でも、せっかくなら見に行こう!と見て来ました。
最初は岬の上にある家が頭上から映し出されるシーンの私の感想は。

森と草ばっかり、景色めちゃ綺麗じゃん、絶壁じゃん落ちたら死ぬ、家の庭めちゃデカいじゃんでしたw

私はユイとひよりは姉妹かと思って居たら違うのですね。
元々は他人同士だった2人をお婆ちゃんが引き取りマヨイガで生活する事になります。

ひよりは両親を居眠り運転の車に衝突され失ってしまいます。
きっと、それが原因?で喋れないのだと思いますが、その辺の説明がなくて……多分。

ユイは両親が離婚して父と二人暮しです。
父は、母が出ていったのはユイのせいだと言います。
挙句の果てに、ユイが用意していたご飯を、いきなりキレだして机から弾き飛ばすし。
自分が辛く当たるのは、全てはお前の為だ!と言う始末……

明らかに、奥さんが出てったのは貴方のせいですよ。って思いました。

作中で私が良いシーンだと思ったのは、ラストのユイが偽物の父に無理やり連れていかれそうになるシーンです。
ユイは父が怖くて何も出来なくて何も言えなくて……ひよりも助けようとするけど何も出来なくて……

でも、ひよりにとって、お婆ちゃんとユイと3人は家族だから、新しい家族を二度と絶対失いたくないから、彼女は声を出す!
両親を失って無くした声だけど、姉を失わない為に出した声……血なんて繋がってなくても、出会って数日でも間違えなく家族で大切だから、守りたいって気持ちから出た声。


後は、お婆ちゃんのピンチに駆け着けた、ひよりが、お婆ちゃんの「自分に出来ることを」って言葉から考えて行動したシーンが凄く良かったです。

さて、作品としては面白いと思います。
原作はもしかしたら面白いかもしれません。
でも、映画で見たら……設定がイマイチ理解しにくかったり視聴者側が想像で補わないとならない点が多すぎる気がします。

キャラの心情のヒントが少なすぎて感情移入が出来にくく、最後まで見ても消化不良って感じが残ってしまいます。
うーん、面白くはなくはないですが……普通くらいかな……

声優さんも余り上手くはないかな?
なるほど、ゲスト声優さんですか……
私はアニメでは物語が1番楽しめるポイントで物語が良かったり、キャラに感情移入しやすければ、あまりも酷くない限りは言わないのですが、物語も中途半端と感じる部分もあり。
そちらが更に浮き彫りになって感じたりもしました。

声優さんで言うと、座敷わらし役で、ナナニジの藤間さくら役をしてる天城サリーさんが出てます。
私のアイコンもナナニジの佐藤麗華ですが、ナナニジのアニメはともかく、ナナニジの音楽も聞くし、計算中も見てて好きなので、その辺も楽しみにしてましたが、セリフ少なっ!w(*꒪꒫꒪)

作中には、座敷わらし以外にもカッパや雪女など妖が沢山出てきます。
実は、私は妖怪が割と好きです。
理由としては父が妖怪などが好きで小さい頃から、妖怪番組やら本やらを見て育ちました。

だから、その辺も気にしてましたが、あれだけ妖怪居て殆ど山火事を消す方に回って出番と言う出番もなくw

面白いのは面白いとは思うし作品のメッセージ性も伝わりはしましたが、オススメしますか?となれば話は変わってくるかな?とは思ってしまいます。
好きな人は好きになれそうな作品かな?と思います。

お婆ちゃんの昔話の語りは面白いしわかりやすかったと思います。
作風をガラリと変えてくるのもいいですねꉂ(ˊᗜˋ*)ヶラヶラ

あっ、冒頭の山道の作りもすごく良かったです。
私の母方の実家がド田舎なのですが、山道の再現が凄く良かったです。
後は、落ち葉や枯れ草の種類や葉の色や道の色もリアルで上手く再現してるなぁ〜って少し懐かしい気持ちになりました(ˊo̴̶̷̤ ̫ o̴̶̷̤ˋ)

投稿 : 2024/04/13
♥ : 7

さんの感想・評価

★★★★☆ 3.6

夏休みの妖怪映画

妖怪ウォッチが下火になってきたはずが、まさかの妖怪映画バブルが到来しましたねえ。
震災後の岩手が舞台という事で、どんな闇の深い映画なんだろうと気構えていましたが、心配していたような事はなく、10歳未満でも安心して楽しめる物語になっていました。良かった。
だからそうだとは限らないのですが、緊迫感は薄めです。大人が見るにはやや退屈に感じる場面がありました。
じゃあ、面白く無いの?
いえ、そうではありません。流石のデイビッドと思えるだけの作画良さがありました。
(マヨイガのCGはもう一歩踏みこんで欲しかったですが)
作画で楽しめるオタクならそこそこ楽しめるんじゃないでしょうか。

投稿 : 2024/04/13
♥ : 6

61.3 5 童話アニメランキング5位
注文の多い料理店(アニメ映画)

1993年8月3日
★★★★☆ 3.3 (19)
124人が棚に入れました
 童話作家・宮沢賢治の同題作品をおよそ20分弱の短編アニメ化。アニメーション作家・岡本忠成が5年の歳月をかけて製作し、その途中で急逝したため、美術作家の川本喜八郎らが岡本の意思を継いで完成に至らせた。 猟に出たのはいいが、山奥で道に迷ってしまった二人のハンター。霧の中、二人は「山猫軒」という西洋料理店にたどりつく。これで一息つけると安堵した二人だが、店内に入るや「身なりをきれいにしてください」や「銃と弾をおいてください」などの細かい注文を次々と要求されることに。さらには「牛乳のクリームを体に塗ってほしい」と注文される二人だったが。 本作は全編を通じて絵画を思わせる陰影の濃密なアニメーション映像を創造。文化庁優秀映画作品賞をはじめ多くの賞を獲得している。その作画には奥山玲子や泰泉寺博ら古参のアニメーターが多数参加した。

takumi@ さんの感想・評価

★★★★☆ 3.3

世にも奇妙な物語

アニメーション作家・岡本忠成氏が5年の月日をかけて制作し、
その途中で急逝されたため、美術作家の川本喜八郎氏が
意思を継いで完成させたという作品。

全体通して、コーヒーブラウン系の落ち着いた色合いの
色鉛筆画のような繊細なタッチの作画のせいか、
読んでいた絵本の中の挿絵が動き出したような感覚がある。

物語は、原作である宮澤賢治の童話『注文の多い料理店』そのもの。

山の中の林へ迷い込んだ猟師2人が、
霧の中から現れた山猫亭という西洋料理店に入り、
誰にも会わないまま次々指示される通りに店内を進んで行くと、
衝撃的な事実を目の当たりにする、というホラーめいたお話なのだが、
セリフがないまま、ほぼ効果音と映像だけで進行していくので、
静まり返った誰もいない店の不気味さがすごく伝わってくる。

山林を吹き抜ける強い風の音、
薄くたなびく霧や静寂を打ち破る突然の鳥の鳴き声、
音程の狂ったアンティークの大きなオルゴール、
ほの暗い廊下や窓がひとつもない店内の閉塞感。
これから何かが起きるぞ的な期待感はバッチリ。

でも結果的には単純な話なので、期待しすぎは禁物。
この物語自体、結末までの演出を楽しむ作品だと思うので。
20分という短さはちょうど良かったのではないかと感じた。

投稿 : 2024/04/13
♥ : 36

Baal さんの感想・評価

★★★☆☆ 3.0

まあよくできているんじゃない・・・

有名な小説家宮沢賢治の注文の多い料理店

を20分弱の短編映画にした作品です。

原作は結構怖かったが、この短編映画は

その感覚を見事に再現してくれていました。

このセリフのない感じが際立たせている

ように思いました。

投稿 : 2024/04/13
♥ : 15

大和撫子 さんの感想・評価

★★★☆☆ 3.0

身震いする恐怖が・・・

かの有名な宮沢賢治の作品を約20分のアニメ化した作品。

◆この作品の内容は・・・
山奥で狩りをしていた二人の男がとある料理店で恐怖を体験するホラーアニメです。

◆怖いです・・・
セリフは一切なし。
この演出と寂しいBGM、絵画調の作画がこの作品の雰囲気を薄暗く身震いするような怖さを引き出していました。
森の中での動物達の鳴き声・草木を踏む音・風が木を揺らす音などが山奥の寂しい雰囲気を良く表現し、霧の中から突如不気味な建物が現れます。
その建物に入った二人の男の運命は?
下手なホラーアニメよりよっぽど怖いかも・・・。
((((;゚Д゚)))ガクガクブルブルブル
夜中の3時頃などに視聴すると夢に出てきそうな作品ですね。

投稿 : 2024/04/13
♥ : 14

65.7 6 童話アニメランキング6位
長靴をはいた猫(アニメ映画)

1969年3月18日
★★★★☆ 3.6 (24)
93人が棚に入れました
フランスのシャルル・ペローの同名童話が原作。脚本に井上ひさしが参加。石川進、藤田淑子がそれぞれぺロ、ピエールの声を演じている。全編にあふれるユーモアとギャグが光り、「びっくりしたニャ」の主題歌も印象的。長靴を履いた猫ペロは、ネズミを助けたことから“ねずみを仕留めない罪"でボス猫に死刑を宣告されてしまう。それ以来、ペロはちょっとマヌケな3匹の殺し屋猫に追い回されていた。そんなある日、ぺロは二人の兄にいじめられている少年ピエールと出会う。家を出て町まで来た二人は、お城のローザ姫がおムコさんを捜しているという貼り紙を見つける。ペロは心やさしいピエールとローザ姫を結婚させるため、いろいろな作戦を計画。ピエールの真心がローザ姫の心をとらえ、あと一歩というところでお姫さまが、ライバルの魔王ルシファにさらわれてしまう。ペロのお姫さまを助ける大活躍が始まった!

ato00 さんの感想・評価

★★★☆☆ 2.8

びっくりしたニャン、びっくりしたニャン、びっくりしたびっくりしたびっくりしたニャン♪

ペローの童話「長靴をはいた猫」原作の1969年上映の劇場アニメ。
文部省推薦だけあって、明らかに子供向けアニメです。
基本ドタバタ展開で、どの登場人物もどっか抜けています。

この作品は原作にほぼ忠実なようですが、ラストが若干凝っています。
ラストの魔王城でのオールキャスト総出の追いかけっこは、何も考えなければ純粋に楽しめます。
子供が見ると相当楽しいのではないでしょうか。

なお、このアニメは宮崎駿氏がかかわっています。
そのためか、後のカリオストロの断片を少々垣間見たような気がします。

余談ですが、隣の部屋で嫁さんが、レビュータイトルの主題歌を口ずさんでいました。
何か気に入ったようですよ。

投稿 : 2024/04/13
♥ : 15

takato さんの感想・評価

★★★★☆ 3.8

年を経てわかるようになった東映動画の力。

 新人だったパヤオ、その師匠である大塚さん、SHIROBAKOの杉江さんの元ネタであるスーパーアニメーター森さん、脚本は井上ひさし、といったスタッフが実は恐ろしい面々な古い作品。


 昔のディズニーのフルアニメーションもだが、昔は少々古臭いクラシックな作品としか思っていなかったが、年を経てアニメーターのわかりやすいだけじゃない凄さを知るようになってから見てみるとトンデモナイことをしれっとやってるんだなとわかってきた。論語の言葉ではないが、新しくなるほど酷くなっているとは一概に言えないが、古くても尊い物は永遠に尊いもんだ。コウモリが鳩に変わるシーンとか凄い。


 それにしても、ロリ姫を金に物を言わせたオッサンが嫁に強引に取ろうとするってプロットは「カリオストロの城」と同じやな。あと、お姫様がロリなのにボイスは意外と老けてるのは「太陽の王子ホルスの大冒険」と同じガッカリ感。

投稿 : 2024/04/13
♥ : 6

セレナーデ さんの感想・評価

★★★★☆ 3.7

極限まで贅肉をそぎ落とした主人公紹介

最初のセリフ2つでこの作品の質の高さを確信。ビビっと来ました。「お前はネズミを助けた」と怒りを覗かせる裁判長に対し、「月がとっても青かったからね」と返す主人公ペロ。この会話だけでペロのキャラクターがまるっと見えてくるのがすごい。ならわしやルールに囚われず己の欲求に従って行動できる正義感を持ち、危機的な状況でも悲観せずユーモアを発揮できる楽天的気質を備え、いかなるピンチも切り抜けられるという強い自信を秘めた性格がまざまざと浮かんできます。

実際その後の振る舞いは、家を追い出されたピエールに「世界は広いよ」とのんきな言葉を使って励ましたり、とっさの機転で幾多のピンチをかいくぐったりと、予感したキャラクター性を裏切りません。

極限まで贅肉をそぎ落とした、見事な主人公紹介です。

これほどまでスマートな導入を描いてみせた作品の本編が面白くないわけがない、というわけで、その本編も楽しい一本に仕上がってて、いいんですね。心に残るはやはり、スリリングな城内の逃走劇。来たるべきフィナーレに向けてキリキリとテンションが高まっていく逼迫感から、最後はやっぱり塔のてっぺんに限るよね的なクライマックスへと繋がるカタルシスがとても爽快。それこそ夜明けを迎えたような晴れ晴れとした余韻を残します。

主人公ペロの立ち回りも絶妙。最後にはピエールに主役の座を譲るのだけど、決して主人公格を失わないのよね。比較的イケてるとは言えない容姿の主人公が、図らずして若人の美男美女を引き立てる立ち回りは、なにやら寅さん第一作を初めて見たときの感触を思い出すものがあったりして、妙な安心感を覚えます。

子供向けとしてかなり濃度の高い作品なので、どうしても激しく好き嫌いは生まれそうだけども、冒頭を筆頭とした人物描写の手腕も鮮やかで、ラストが一番盛り上がるという単純明快な面白さを見事に描ききった傑作と思います。

ダッシュの描き方は宮崎駿テイスト丸だし。

投稿 : 2024/04/13
♥ : 5
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