米津玄師おすすめアニメランキング 5

あにこれの全ユーザーがおすすめアニメの米津玄師成分を投票してランキングにしました!
ランキングはあにこれのすごいAIが自動で毎日更新!はたして2024年03月29日の時点で一番の米津玄師おすすめアニメは何なのでしょうか?
早速見ていきましょう!

80.1 1 米津玄師アニメランキング1位
3月のライオン(TVアニメ動画)

2016年秋アニメ
★★★★☆ 3.9 (966)
4845人が棚に入れました
主人公は、東京の下町に1人で暮らす17歳の将棋のプロ棋士・桐山零。深い孤独を抱える彼が、あかり・ひなた・モモの川本3姉妹と過ごす時間や、さまざまな棋士との対戦を経て、失ったものを少しずつ取り戻していく様が描かれる。

声優・キャラクター
河西健吾、茅野愛衣、花澤香菜、久野美咲、岡本信彦、井上麻里奈、細谷佳正、三木眞一郎、杉田智和、木村昴、千葉繁、大川透、櫻井孝宏

えたんだーる さんの感想・評価

★★★★★ 4.6

シャフトらしくないかも(主に作画が)。ちなみに良作です。

ヤングアニマル掲載マンガが原作で、まだ終わっていない作品のアニメ化。既刊分の原作単行本は全部持っています。

第1回目を視聴しましたが、けっこう原作の画の感じが残っていました。背景もシャフトらしくない柔らかい感じの原作に近いタッチの画で、どこが制作かなんて気にしてない原作ファンは安心したかもしれないです(笑)。

通して最終回まで観る予定なので、レビューはそのあとになる予定。あと、評価の星は暫定ですが良い意味で作画に裏切られたので、あえて5をつけておきました(笑)。

2017.4.25追記:
視聴を終わって更新しそびれていました。原作準拠で穏当なアニメ化でした。原作者の羽海野チカ先生も原作既読のファンも満足できたアニメ化だったのではないでしょうか。

「ぼっちスパイラル」に嵌る零くんを見ていると切なくなりますが、それ以上に川本家の人たちや林田先生の暖かさ、そして対局解説中なのに「桐山~!」と叫びだす二海堂くんの熱さなどが心地良い作品です。

二海堂くん開発「ニャー将棋」のネタは原作マンガにもあったのですが、歌まで作ってしまったのはさすがのNHKでした。最終話の最期に2017年10月からの2期目の放送もアナウンスされ、まずは順風満帆といったところ。

あー、写真加工した静止画での次回予告とかドラマ『傷だらけの天使』へのオマージュっぽいスミスの朝食シーンとかはシャフトっぽいです(笑)。
(でも、あれも一応原作にそれっぽいシーンはある…。)

2017.10.4追記:
原作最新巻(13巻)が出たのでさっそく読んだのですが、OP主題歌「ファイター」のメーキングというページがありました。そこに書いてあったのですが、あのOPアニメーションのコンテ切ったの羽海野先生ご本人だったんですね!

そして間もなく2期目が開始になります。楽しみです。

2017.11.5追記:
2期目が始まってだいぶん経っています。原作通りだと、2期目中盤はしばらく「高校生らしい」零くんが観られるはず。
(以後、レビュー更新は2期目の方でする予定。)

投稿 : 2024/03/23
♥ : 70
ネタバレ

明日は明日の風 さんの感想・評価

★★★★★ 4.3

少年棋士の心の葛藤と心の成長を描いた作品、作者と制作会社とTV局が一体となった良作

これほど原作が読みたくなった作品は久しぶりのような気がします。終わるまでまとうか、読んでしまおうか、葛藤中です。

シャフトっぽさを消しているようで、ところどころやっぱりシャフトだと思わせるような描写がチョコチョコ見られるのが良いです。特に場面転換で不要じゃね?と思わせるようなカットを入れてきて、それがまた綺麗だったり、インパクトがあったりとするところなんか、シャフトだなと感じてしまいます。ただ、「シャフ度」と言われる首の角度が抑え気味なのはやっぱり寂しいかも(?)

NHKが、しかも総合で流すのですから、力入れているのはよく分かります。まだ前半も途中ですが、引き込まれっぱなしになっています。主人公である零の歩んできた人生の重さ、その重さを少しずつ解放する三姉妹と二海堂との掛け合いの面白い事。

二海堂のモデルは将棋好きの人なら知らない人はいないくらい有名な村山聖なんでしょうね。となると、太っているのは病気のせいであり、あかりが「むっちり」で喜んでいるのはどう解釈したらよいか戸惑いました。このあと二海堂は病気が重くなっていく展開になるんだろうけど、つらいな…

三姉妹は本当にキャラがいい。声も完璧だし、流石としか言いようがありません。話の展開も良く、たぶん、最後まで面白く見ていくことができる作品だろうと思います。すでにお気に入りに入れてもいいように思っています。

【前半を終えて】
結局終わるまで待てず、原作を読んでしまいました…。面白い、何故にこれまでスルーしていたのだろうと思います。前半は零の置かれた状況を表現していた感じです。零が何故に将棋をしているのか、零がどうして三姉妹と関わりを持ったのか、二海堂と零のライバル関係、零と香子の関係等々をシャフト独特の表現でうまく繋いでいた感じです。
とあるコラムニストがシャフトっぽくないのが良いと書いていたのですが、どこを見ているのかと。零の気持ちを表現するときや香子とのシーンはシャフトそのものでしょう。シャフト特有のズルいイメージ(個人的な感想)ふんだんに盛り込んでます。原作のイメージがそのままシャフトっぽいですし、シャフトなら良いと言ったらしい作者の感覚がすばらしいと思います。
三姉妹は癒しそのもの。に対して香子の危うさと言ったら…。香子の声も良いです。老倉育を見て井上さんに決めたらしいのですが、本当にぴったり。

後半はもっと将棋に突っ込んでいくのではないかと思います。また、三姉妹の関わり、零を囲む周りの人々の動きなど、楽しみです。

【後半の中盤】
後半に入り、零の気持ちがどんどん重くなっていきました。そこを救うのが三姉妹であり、先生であり、二海堂であり、島田八段であり…とにかく零は人に恵まれました。回を追うごとにその事が分かります。
将棋に関する話も濃くなってきたのも後半の面白いところです。鍵となる島田八段は飄々としているのに、プロの厳しさを零に伝えてくれます。そしてとうとう出てきた宗谷名人。まさに怪物に相応しい佇まい。アニメになると、その事がいっそう強調された感じです。
零と香子の微妙な関係も相変わらず。が、三姉妹と香子の絡みとか、実は可愛らしい一面もあるところとか見れて良いです。
それから、今の季節に合わせたような進行具合も非常に良いです。これからラストに向けて零がどう成長していくのか楽しみです。

【一期終了】
零のちょっとずつだけど、成長していく感じが見てとれました。
「11年もボッチだったんだ」いう台詞の重みから解放されていく過程を描いたのが一期だったと思います。ゆえに、展開は重く、零の台詞もなにかぱっとしません。耐えられない人はそれでこのアニメはお仕舞です。
零は周りに恵まれました。それは零が成長するための起点になっていきます。二海堂であり、三姉妹であり、林田先生であり、島田八段であり、科学部の面々であり、そういった人々と交わることによって、重く押しかかっていた零の心が開かれて、次のステップへと進んでいきました。見直すと、中盤までの零とは明らかに違う人間になっているのがよくわかります。

この作者は人と人とのつながり、心の葛藤や解放へ向かうまでの描き方が上手だと思います。重くなり過ぎそうなときはわざとデフォルメさせたり、ちゃちゃを入れるような場面を入れてほぐします。これが嫌味に感じないところがまた良いのです。せっかくなので、ハチクロも見てみたのですが、作品は違っても、描き方は同じでした。
それと、ハチクロを見て思ったのが、シャフトで良かったということです。ハチクロも悪いわけではないのですが、ライオンを見た後だと何か足りません。零や香子みたいな人物が多く出演する、心の葛藤を中心とするような作品を作らせたらシャフトは上手です。ちょうど同じ時間帯にAT-Xではefを放送しており、ライオン始まるまでの10分間は視聴していましたが、シャフトの右に出るものはないなとさえ思いました。

二期が決定したので万歳です。二期は{netabare}宗谷とひなが大きくかかわってくる話になると思いますが、この話がどう描かれるのか{/netabare}楽しみでしょうがありません。

少年棋士の心の葛藤と心の成長を描いたこの作品、2クールゆっくりと描かれているので、ドラマ性を求めている人にお勧めです。

投稿 : 2024/03/23
♥ : 53

nyaro さんの感想・評価

★★★★★ 4.8

才能の残酷さを描くことで、人の内面の弱さを表現しています。

 ハチミツとクローバーで恋愛ドラマの仮面をかぶって、才能の残酷さを見せてくれた羽海野チカ。さすがですね。人の愛憎や執着、孤独や過去などのヒューマンドラマの中に、しっかりと才能というものの恐ろしさを見せつけてくれます。
 ただ、ハチクロよりも進化したと思うのが、義姉ですね。あの義姉のキャラがあるから人の内面描写に深みが出て、才能の残酷さは他人にも劣等感という形でつきつけますが、己を傷つけ孤独にする部分も描かれていました。

 才能があるからこそ、居場所が出来た半面、人の居場所を奪ってしまった。周囲の人を巻き込み歪ませる。義姉の態度のコンプレックスの表現は女性作家ならではの迫真のストーリーですね。おしいことにコミック版ほどの禍々しさの中に見える圧倒的な劣等感の表現には至っていませんが、この義姉がいるからこそ、主人公の居場所の無さが浮き彫りになるし、3姉妹との交流に意味が出てきます。

 一方で将棋という特殊な世界にのめり込む男達の心の交流もありました。島田の研究会もそうだし、何よりあの二海堂くんですね。どう考えても村山聖ですよね。聖の青春という小説にもなった羽生善治の少年時代からのライバルです。ちょっと身体の事も村山をなぞっているので、いろいろ心配してしまいますが、詳しくは小説かWIKIで。
 彼がいたからこそ、将棋に向き合うことができたような気がします。良くいる真っ直ぐなおバカキャラに見えて誰よりも将棋に真摯で、主人公のこと…というより主人公の将棋の才能を純粋に愛していたような気がします。(それから学校の先生もですね)

 なお、羽生善治はタイトル99期、史上初の7冠棋士、永世7冠という圧倒的な将棋の天才でので、二海堂=村山だとしたら、主人公が羽生なのかなあと思ったら違いましたね。宗谷でした。宗谷が目指すべきラスボスっぽかったですね。

 その前に後藤ですか。彼の性格の意味は現段階ではちょっとわかりませんね。素の性格なのか、やっぱり宗谷に対比した時にコンプレックスがあるのか。
 ただ、この後藤の態度を見せることで、初めは憎たらしいだけの義姉に対する気持ちが和らぐから不思議です。うまいですよね。結果的に才能の世界の周辺に生きている人たちの惨めさを上手く表現しています。

 そう、義姉が重箱のお稲荷さんを食べるだけで、このキャラに対する見方が全然変わっていました。ここが少女マンガの凄さですね。直前の3姉妹の敵のように見せていて、胃袋で篭絡されてしまう。これで義姉の人間的な内面が表現されて憎めなくなります。ちょっと男の作家には描けないでしょう。ここが一番本作のすごいところだったのかもしれません。

 そしてこの3姉妹ですね。どうも傷があるようです。母性の塊のような長女の内面が見えてこないことが不気味です。この作者が単なる良いおねえさんキャラを出すとも思えませんが…どうなんでしょう。菩薩…で終わるのか違うのか。以前原作10巻まで読んでますが…無かった気がします。

 で、主人公ですね。この構造って、やっぱり主人公がラスボスと対決するために周囲を顧みず…みたいな話になるのでしょうか。ハチクロを見るとそんな気もしますし、3姉妹との交流でそうにはならないのかもしれません。

 将棋の世界の話だけに限定すると、ストーリー展開はちょっとヒカルの碁っぽい感じがありますが、似たような世界ですからね。

 とにかくきれいごとではない人間の内面、特に劣等感を描かせると、羽海野チカは最高ですね。決して「いい話」ではありませんが、特殊な世界をデフォルメすることでヒューマンドラマとして、人間の本質を見せてくれています。この辺りはハチクロのやり方を踏襲している気がします。


 3月のライオンはどちらかと言えばコミック版の方がコマ割りとかモノローグとか少女マンガらしいテイストが話にあっていました。アニメはその点がちょっと表現できていませんでしたね。



 追記 少女マンガ的表現ができていない、といっても、演出で内面描写、モノローグの時は少女マンガらしいエフェクトをいれて頑張っていました。ただ、少女マンガの文法はやっぱりあの独特のコマ割り=時間の使い方と客観主観のシームレスな切り替え、エフェクト=心の動きじゃないと。ここは媒体の特性もあるのでやむを得ないでしょう。

 追記2 水というモチーフは浮かんでいれば羊水のような心地よさがあります。が、泳いだ時のねばりつく水の抵抗は前にすすむ困難、もぐったときの息苦しさは思考が暴走している感じ、音が無くなるような感覚は棋士の集中力ですね。ハチワンダイバーとかにも通じます。

 それと川ですね。川は流れ、広がりなどで原風景のような心落ち着く光景になります。滔々と流れる広い川は、人の営みのアナロジーでもあるでしょう。それを岸から眺めるという意味ですね。また、街の移り変わりを映すことで表情を変えてゆきます。あるいは自分自身の人生そのものでもあるかもしれません。
 また、川岸ですね。これが不思議な効果をだしていました。漠然とした東京の下町の表現というより、俗世界から切り離された特別な場所として機能していました。
 これが演出というだけではなく、内面の重層的な表現に効果的に機能していいたと思います。ただ、とにかく象徴的・抽象的なので何を表現していたかを考察するのではなく、画面から感じるのが作法だと思います。

投稿 : 2024/03/23
♥ : 18

78.9 2 米津玄師アニメランキング2位
チェンソーマン(TVアニメ動画)

2022年秋アニメ
★★★★☆ 3.8 (633)
1807人が棚に入れました
『チェンソーの悪魔』ポチタと共にデビルハンターとして暮らす少年デンジ。親が遺した借金返済のため、ド底辺の日々を送る中、裏切りに遭合い殺されてしまう。薄れる意識の中、デンジはポチタと契約し、悪魔の心臓を持つもの『チェンソーマン』として蘇る──。
ネタバレ

素塔 さんの感想・評価

★★★★★ 4.2

契約の悪魔

著名作品のアニメ化には賛否両論がつきものだが、
本作をめぐっては制作陣が志向する映画的・写実的な表現コンセプトが
主に原作ファンからの批判に曝されているようだ。本稿を書くにあたり、
自分もアニメがカバーしている範囲を一読してみて、成程、と思った。

個人的な印象に過ぎないのだが、アニメでの主人公デンジは
設定とバトルシーンのインパクト以外、存在感が希薄なのではないかと感じた。
主人公でありながら、深い部分で物語と同期できていないような気がして、
むしろ早川アキたち公安のデビルハンターの側に力点をおいて観ると
自然にストーリーに入っていかれる感覚があった。

デンジのキャラクターは多分、原作のユニークな作風と不可分なのだろう。
そのため、デンジの生きた躍動感がアニメではあまり感じられず、
映画風のリアリズムとも相性は良くないようだった。その一方で、
アキたち公安サイドのシリアスなドラマを描いた部分に関しては
それなりに見応えがあった。この主観的な見地が本稿の出発点になる。

本作の物語にはデンジとアキ、二つの対立する極が内在している。
それが作品深部の、人間と悪魔の対立の構図に対応しているわけだが、
自分の印象では、主人公デンジが中心から退いて"周縁化"する力学が
作品の構造自体に内包されているように思われた。それを確かめようとしたのが
以下の、限りなく独り言に近い作業である。参考にはなりません。



Ⅰ 夢と動機

{netabare}主人公デンジの初期設定は、インパクトが強烈なだけに注意が必要になる。

"持たざる者"である彼の唯一の拠り所であり、アイデンティティでもある
「夢」が、「貧困」によって規定されている状況、そんな風に要約できるだろうか。
彼が夢見たのは、食パンにジャムを塗り、毎日風呂に入れるようなごく普通の生活。
そんなささやか過ぎる夢を、彼の最底辺の生活と結びつけて受け取ることで、
何かを理解した気分にさせられてしまう、そこが危うい。

一生を通じて、ただ見るだけで満足して終わるはずだった彼の「夢」。
それが現実にもなり得ることを知ったとき、彼の内部では革命が起こった。
「見つけたぜ…俺の本気!俺のゴール!それは…!・・・胸だ!!」
胸を揉みたい―。ただその一心で地獄のような死闘を繰り広げてみせる
第4話の"夢バトル"に、彼の「夢」の本質が表れている。

目的と手段とのあまりの落差に、いじましさを感じてしまうのは自然だが、
その時点で、デンジ本人の尺度を見落としてしまうことになる。
彼は、自分の「夢」を低俗な欲求として見下す連中に向かって
これまで虐げられてきた怒りを爆発させるのみならず、そこには
自明とされた価値の序列を力任せに覆そうとする獰猛な破壊衝動が発現している。

デンジの「夢」は多分、「動機」や「目的」とは異質なものだろう。
この生活を続けるために戦う、とは言うが、それは動機や目的とは呼べない。
「夢」を邪魔するものはぶった斬る。煎じ詰めればただそれだけのことだ。
いわば「動機」にまつわる人間的で高尚な"ストーリー"を
剥き出しの本能的な欲求によって相対化し、無効にする凶暴な"力"。
それがデンジの「夢」の本質である。

バトルの最中、彼は狂気のようにおのれの力に酔い痴れる。
精神的ないし心情的な理由付けなどとは無縁の、直接的な力の行使として
夢とバトルは一体であり、夢とは、バトルなのである。
生温いヒューマンな"ストーリー"を拒絶し"解体"する者。それがチェンソーマンだ。
デンジというキャラクターの本質はここにあると自分は考える。

shinoさんが最近提唱された「ポストヒーロー」という刺戟的な言葉を、
自分はポストモダンの文脈に絡めてこう理解したいと思う。
"大きな物語"に終焉をもたらした何物かを、ある"力"として客体化した時に
個々人の"ストーリー"="小さな物語"をも解体するほどに凶暴な存在が出現した。
ポストヒーローとは多分、善悪その他の相対的な価値づけを無効にすることで、
「正義」という曖昧な"ストーリー"を解体する、そのような絶対的な"力"である。
新しいヒーローとは、凶暴で剝き出しの、純粋な"力"そのものだ。

そしてそれは、彼の貧しく悲惨な生い立ちをめぐる"ストーリー"にも及ぶ。
その種の残像に浸りがちな我々の夢想もまた、解体されるべきなのだろうか。
メタレベルで"夢バトル"を挑まれているのは、私たちなのかも知れない。


デンジの「夢」について注意したいのは、それが更新される局面である。
マキマの飼い犬になった結果、人並みの生活をする夢は叶ったのだが、
第5話のマキマとの「契約」によって、この初期設定は更新される。

「もしもデンジ君が銃の悪魔を殺せたら、私がキミの願い事なんでも一つ叶えてあげる」。

本作の主要な登場人物は全員、何らかの契約を結んでいるのだが、
優越的な立場を利用して有利な条件を呑ませる点にマキマの本質が覗いている。
ヒエラルヒーを想定すれば、頂点に位置するのはマキマに違いない。
彼女から漂う不穏な気配はあたかも、"契約の悪魔"の存在を予感させるようだ。

この局面で重要な点はさらにもう一つ。
デンジの「夢」の対極には、殺された家族の復讐というアキの「動機」があるが、
この両者が、銃の悪魔という同じ目標を結節点として交差することである。
「俺はもう夢にゴールしちまってるからなあ。あいつはまだ追いかけてんだ…」
デンジのこの言葉が予告していたとおり、ここでデンジの「夢」は前景から後退し、
代わってアキを中心とした公安のデビルハンターたちの"動機の物語"がせり上がってくる。

物語全体を俯瞰すると、二つのフェーズが重なり合っているように見える。
仮にそれらを「人間圏」、「悪魔圏」と呼んでおくとすると、
デンジのドラマは「悪魔圏」に属しおり、デンジとマキマの間で潜在的に進行する。
一方、本作は公安サイドを中心に、ほぼ「人間圏」の枠組みの中で展開している。
要するに、本当の物語はまだ始まっていないのである。{/netabare}


Ⅱ 悪魔と人間

{netabare}デンジとマキマが新たに契約を交わす第5話には、
「人間圏」のドラマの出発点となる場面も含まれている。
こちら側のメインキャラである姫野とアキとの最初の出会い、そして
岸辺が初登場するシーンが、姫野の回想のかたちで挿入されている。

そのシチュエーションはとりわけ注意を引く。
そこは無数の十字架が果てもなく大地を覆い尽くす、広大な墓地の中だ。
悪魔との際限のない戦い。犠牲になった人々。殉職した仲間たち・・・。
そうした濃密な"意味"を凝縮させた、一種の「トポス」とも言える場所であり、
それぞれの「動機」と結びついた、彼らの心象風景をそこに重ねることもできる。

ドラマは主に姫野の視点で切り取られ、アキとの関係を軸に進行する。
メインのプロットに並行してやや間接的に、控えめに語られるそのスタイルを、
自分は「ミニマムな群像劇」、そんな捉え方ができると感じた。
こうした手法が可能なのはおそらく、キャラクターに共通する何らかの条件が
先行して物語の"磁場"を形成しているからで、それが「契約」なのではないかと思う。
それは抑制された心情を浮かび上がらせる、一種のフィルターのように機能する。


デビルハンターたちは悪魔と契約して悪魔と戦う。
力で劣る人間が必要に迫られて選択した、合理的な対抗手段であり、
契約の対価も「魂」ではなく、身体の部位を差し出すという現実的なものである。

「力を借りる代わりに、体の一部を狐に食わせる契約だ。今回は皮膚を食わせた。」
「公安でこいつと契約している人は二人。一人は寿命半分、
 もう一人は両眼と味覚、嗅覚を差し出しています。・・・」

何気なく語られる「契約」の非情な代償。そして、その非情さに麻痺した心。
「契約」は彼らの重い軛であり、自らの命を侵食するものですらある。
常識的には全く引き合わない職務であって、余程の覚悟がなければ遂行できないだろう。
だからこそ、彼らの内部にあるモチベーションは葛藤を孕みながら強く迫ってくる。
それが作品全体を貫く、どこか沈鬱なトーンとなっているように感じられる。

「契約」のフィルターをとおして見えてくるもの、それは、
自らの「動機」と死への恐怖との狭間で葛藤する、"普通の"人間たちの苦悩である。
岸辺の人格の破綻も、頭のネジをストイックに緩め続けた結果であって、
デンジたちに情が移り、それを言ってしまうあたりに彼の人間性は覗いている。
姫野のはっちゃけぶりも、絶望から目を逸らすために演じられたキャラであることは
遺された手紙からごく普通の、心優しい女性像が窺えることからも明らかだ。
第7話の墓地の場面では抑え切れずに、血を吐くような悲痛な叫びが漏らされる。
「嫌だ、嫌だ、嫌だ・・・。」

一見クールな雰囲気を装いつつ、内面に潜むこうした痛切なドラマを掬い取り、
表現する手法としては、映画的なリアリズムは有効だったように思われる。


姫野の最期は二重の意味でドラマのクライマックスと呼べるものだろう。
自らの身体の全てを契約の対価に差し出し、死体すら残らない壮絶な死にざまは、
「契約」の極限的な帰結以外の何物でもない。まさに"契約のドラマ"の極致だ。
その死はまた、"動機の物語"の完結をも意味している。
彼女の「動機」はいつしか、アキという存在の中に集約されていた。
次々に先立って行ったバディたちの死が心に重くのしかかる彼女にとって、
アキの"普通さ"は絶望の中の救いであると同時に不安の種でもあった。

「アキ君は死なないでね・・・私が死んだ時さ・・・泣いてほしいから・・・」

アキを死なせないこと。その一念を貫き、敢えて引き受けた悲惨な最期によって、
彼女の「動機」は貫徹されたのである。

これに続く最終盤のバトルが本来のクライマックスなのだろうが、
姫野の"復讐"が果され、アキの「動機」の一部が成し遂げられたという意味では
姫野の"動機の物語"の延長戦と見ることができる。その点でこのアニメの結末は、
公安サイドのドラマの結着となっていると言っていいだろう。

その戦いの最中にアキが死の危機に瀕するが、その直後、
彼の前にゴーストの手が差し伸べられる。開かれた手のひらの上には一本のタバコ。
このとき差し出された"右手"は確かに、姫野自身の右手だったのだろう。
「私の右目を食べさせた代わりに、ゴーストの右手を使えるってわけ。」
彼女の「契約」は最後に、彼女の「動機」を助けたわけである。

 Easy revenge!(気楽に復讐を!)

このメッセージの意味は、ここまでの文脈に即して
姫野がアキの「動機」を肯定し、背中を押したもの、そのように解したい。


「人間圏」のドラマの中でデンジが周縁化するメカニズムも、
同じフィルター越しに説明できるのではないかと思う。

初期設定のデンジは「契約」の犠牲者とも言うべき存在である。
「腎臓が120万、右目が30万。キンタマ片方売って、いくらで売れたっけ・・・」
その彼が悪魔になることで、起死回生の大逆転劇が生じる。
死んでも元通りに生き返るのであるから、もはや身体の欠損など問題にならない。
自力で悪魔と戦える彼は公安の人間たちに対して圧倒的に優位な勝ち組である。
逆説的ではあるが、この特権性のゆえに彼は「人間圏」の中心から外れ、周縁に退く。
初期設定が解消された後のデンジの捉えにくさは、ここに起因するようだ。

結局のところ、デンジのキャラクターについては複雑なのか単純なのか、
現段階ではそもそも判別がつかないことになっている。
例えば、仲間が死んだことに涙を流すアキを見て、自分は泣けないと感じ、
「心臓だけじゃなく、人の心までなくなっちまったのか…?」と自問するシーン。
並みの主人公ならば、この葛藤がストーリーへと展開されるところだが、彼いわく、
「ま、シリアスな事は考えなくていっか!
 楽しくねえ事考えても楽しくねえだけだからな!」・・・これがデンジだ。{/netabare}



デンジのキャラクターは現段階では未分化の状態にある。
・・・これが相応に時間を費やした挙句の、結論らしからぬ結論である。

ただし、直観に過ぎないものだが、付け加えておきたいことが一つ。
Ⅰ章で指摘したとおり、彼は価値の序列の破壊者であり、かつ、その存在が
善悪、あるいは悪魔と人間の境界で、両義性と媒介性を体現している点で、
そこには「トリックスター」の本質がベクトルとして認められるのではないか?

特に示唆的だと思われるのは、本作ラストの{netabare}"キン蹴り"{/netabare}のエピソードだ。
この悪ふざけが彼一流のリベンジであることによって、
アキのシリアスな"復讐"をコミカルに反転させた戯画になっている点が、
秩序を撹乱するいたずら者であるトリックスターの要件に合致するのではないか。
何にしても今後の展開によって、彼の正確な像が定位するのを待つしかないのだが。

あるいは本作の演出の意図も、作品が孕む二極性を踏まえた上で、
第1部「公安編」を文字通りに、公安のデビルハンターたちの物語と捉える
ややイレギュラーな視角から作品にアプローチした結果なのではないだろうか?
・・・などと想像してみたが、これはおそらく考え過ぎだろう。

ところで本稿の作業中、参考のためにWikiを開いたところ、
いきなり強烈なネタバレを食らってしまった。・・・くれぐれも注意されたい。
お蔭でマキマさんの正体も含め、衝撃的な展開がこれから待っていること、
このアニメはいわば前座に過ぎず、本当の物語はこの先にあることが確認できた。
二期が制作されないうちは、トータルな評価は時期尚早と言うべきだろうか。


2023.1.20 投稿  2.6 補完

投稿 : 2024/03/23
♥ : 24

takato さんの感想・評価

★★★★★ 4.1

売れないと叩く流れは嫌い。「ルックバック」の映画化とかマジかぁ!。

 本作もそろそろ終わりそうなので内容にはあまり触れず、「チェンソーマン」という作品の総評を書きたいと思います。


 「チェンソーマン」のまず目につく基本的な要素はアンチジャンプ、即ちクール&ドライなエモさの排除にあるでしょう。ある時期からのジャンプの王道は、能力バトルの連続+過去回想を多用した押し付けのようなエモさという面がありました(何事にも例外はありますが)。


 ジャンプだけに限らず、長期連載のエンタメバトルものなら敵も味方も重要キャラは手間をかけて感情移入させるのが基本ですが、本作は違う。もう大根の叩き売り如くポンポンと人が切られ撃たれ死んでいく。重要キャラと思った人でも次の話ではアッサリ死亡。こうなるともうシュールギャグに近いレベルで


 これは全くのアンチではなく、従来のファーマットに乗ってるように見せかけつつ、それを相対化するという手のこんだより高度な脱構築といえるでしょう。本作におけるグロや死は正直重たいものではなく、漫画のキャラクターの死ですから、という距離をとったドライさがある。アニメではそういった本作の世界を、映像の表現の仕方で巧みに構築している「雰囲気の魔術」が見事と言わざるをえない。


 映画でもあらすじではなく、それをどう台詞に頼らず映像で表現しているか重要なタイプの作品に近い。昨今の作画自慢バトル系作品で平場のシーンはなんの工夫もなかったりするが、本作はそちらこそ本気というくらいキマってる。マキマが着替える後ろ姿だけでエロい!。


 故に、とにかく引っ張るのが特徴だったジャンプ作品において、本作はそういった流れを皮肉るようにサクサクと物語が進行していく。エモさと引っ張りのコンボ、更には薄っぺらな良きことの押しつけににいい加減ウンザリしていた世代や人々にとって、「チェンソーマン」は痛快な皮肉をぶつける象徴としてヒットしたのは当然だと思います。


 では、「チェンソーマン」はアンチジャンプを目指した脱構築のみの作品かと言うとそれだけではなく、それこそ「タツキ」の本質である映画愛からくる、バトルの連続を描きたいのではなく、短い中でキッチリとした結実したドラマを描きたい、ドラマという形でテーマを展開したいという作家性がより大切だと思います。


 そういったどちらかといえば青年誌的な傾向をジャンプでやるためにフォーマットは借用しているに過ぎない。故にタツキは能力トンチバトルにも、「敵にもこんな悲しき過去…」的な展開にも全く興味も関心もないように思えます。ジャンプで売るためというより、ヒットさせてみんなに読んでもらうために戦略的に編集さんと組んで「チェンソーマン」は書かれているでしょう。「ルックバック」や「さよなら絵梨」の作家が喜々として従来のジャンプ漫画を書くわけがない。


 ではそのクール+ドライな先に何があるかというと、後のレゼ編のように短い中で見事に結実したドラマが齎す押し付けがましくない余韻を残す切れ味、或いは最終章編のようにドラマという形で現実に繋がっているテーマが上手に展開された時に齎される、言葉で語られるより遥かに心に突き刺さるテーマ性といった、それこそ素晴らしい映画が齎す言葉や説明に頼り過ぎない力に近い喜びこそが「チェンソーマン」、タツキ作品の本質だと言いたい。


 サムライソード編までは、ジャンプで枠を確保するための段階ですからアニメはまだまだ助走段階でしょう。しかし、こっから例えばレゼ編を映画でやって、そっから最終章までをこのクオリティーで映像化してくれると思うと今からワクワクが止まらないゼ!。「チェンソーマン」のテーマの部分はネタバレ無しには書けないので完結した際にその部分は書こうと思います。「ルックバック」や「さよなら絵梨」も映像化して欲しいなぁ。


 山田玲司先生のタツキ回や、Dr.マクガイヤーのチェーンソーマン回ともに素晴らしい解説なのでオススメです。

投稿 : 2024/03/23
♥ : 30
ネタバレ

nyaro さんの感想・評価

★★★★★ 4.3

作品の評価はするが冗長で飽きました。3分の2の尺でやれば…

10話 一旦断念です。原作通りすぎだし、更に間延びが凄いです。

 もともと藤本タツキ氏の作品にしては、短編と比べて密度が薄い作品です。「スタイリッシュバトルもの」みたいな呪術廻戦などと同じカテゴリにくくられてしまいました。そのせいで人気は出たのかもしれませんが、感想としては原作時点でも冗長でした。

 それでも本作原作も、普通のジャンプ系の作品に比し、メッセージ性テーマ性の密度は全然違います。
 リビドーとタナトス。名前とおっぱい。資本主義と貧困。社会の犬。恋愛の難しさ。欲望、生存、衣食足りて礼節を知る、友情…そういう要素をバトルマンガにした才能はさすがだと思います。
 銃の悪魔は社会の共同意識、印象による価値付けみたいなテーマはいいですけど、これはちょっとチープなメタファだったかなあ。うまく使えてない気がします。
 そして、全体的にストーリーの進展が余りに遅いです。氏は大胆な省略ができるのがいいところだったのに。

 衝動、悪魔性の表現、破壊者としての脅威、絶望感などでバトルは必要だと思いますが、しかし、場面が多すぎだし、長いです。興味があるのはデンジの生存欲求が満たされ、贅沢や人間関係を得ることと同時に悪魔性が強くなってゆく描写です。

 ジャンプ連載なので間延びは仕方がないし、氏のキャリア形成にもなったでしょう。そもそもマンガ家としてこういう要素もやりたかったのかもしれません。楽しんでやれるならそれが一番です。ただ、それでも11巻は長すぎです。更に続いていますし。7巻くらいにまとめたほうが、濃い作品になったと思います。デビルマンになりそこなった作品だなあ、という感じです。

 その冗長な作品を丁寧なアニメ化といえば聞こえはいいですが、正直薄味の11巻を2クールにしようと思うと、こういう間延びになるのでしょう。
 演出とか構図とか、バトルシーンの出来とか、そういう批判の前に、尺が長すぎです。半分とは言いませんが、5分の3、無理なら3分の2くらいでやればよかったと思います。
 アニメで見たら、原作の間延び感が薄まるかなあと楽しみにしてましたが、かえってひどくなった印象です。

 原作と全く同じだし、見ていて飽きてきますので、一旦断念です。あとで確認するかもしれませんけど。

 評価点は高いですが、主観では57点という感じでした。




以下 視聴時の感想です。


1話 アニメは最高の出来。普通にエロと金と友達が欲しい男の物語

{netabare} ということで、本作。もう時代の気分そのままです。普通でいいから飯食いたい。女とエッチなことしたい。働いた分なんとかしてくれ。全部ぶっこわしてー、資本主義や大衆は悪魔だ、ですね。
 子犬を助けるという古典的なマンガのスタート、ジェイソンで殺戮の象徴となったチェーンソー。すべてのアナロジーは大変わかりやすいですね。その中で主人公がどういう選択をしていくのか?というストーリーになるかと思います。
 氏の作品は、選択と選択のIFを表現している場面が非常に多いので、本作の注目ポイントは主人公の選択が非常に低レベルの欲望でありながら…ということでしょう。つまり「逆世界系」です。

 アニメの出来は、マンガよりも内容が頭に入ってくる印象です。逆に良く出来過ぎて引っ掛かりがありませんけど。ですので、やはり両方見る、が正解なんでしょうね。

 アナロジーでいえば、もちろんデビルマンは想起します。 {/netabare}

2話 「男はパンのみにて生きるに非ず。オッパイのために生きる」ですね。そして、今日も男は女に翻弄される。

{netabare} 欲望は一つ満たされると膨らみます。「衣食足りて礼節を知る」ではなく「衣食足りて欲望に目覚める」です。「隴を得て蜀を望む」とも言いますけど。
 デンジは女を夢見ることからはじまって、女に近づくことができ、抱き締められる、エロ本を得て、おっぱいを求めるようになりました。そして、マキマに面白いように操られます。

 デンジの行動原理は単純で、主義主張も思想もなく、常に欲望を満たすように動く。それが破壊の規模と全く等価ではないのが面白いです。デンジ=リビドー、チェーンソーマン=タナトスのバランスと言い換えてもいいかもしれません。

 今のところ彼にとっておっぱいにアイデンティティは求めてないですね。これが面白いところです。おっぱいであれば、誰でもいい状態です。
 彼が唯一代替の効かない個として認め合ったのが「犬」でした。

 それに、女にも2種類いますよね。欲望のままやりたい放題する女、そして自分の欲望を満たすために人を操る女。

 コミックと違って展開が遅いので、いろいろ考えてしまいますが、それもまた面白いですね。{/netabare}

追記 そういえばコミックにないマキマがデンジのネクタイ締めるシーンがありましたね。 {netabare} ~「犬になれ」と対応して首輪が付けられたということでしょうね。コミック4話の絵扉の代わりにいれたのかもしれませんが。やっぱりアニメ版はわかりやすくしていると思います。あるいは制服と合わせて「社会の奴隷になった」アナロジーでしょう。{/netabare}

3話 名前のないおっぱいはただのおっぱい。

{netabare} デンジにとってパワーちゃんはパワーちゃんでなく、ただの名前のないおっぱいですね。自分の欲望の対象でしかありません。おっぱいへの憧れであって、パワーちゃんである必要がない置換可能なおっぱいです。
 つまり性愛を知らない童貞マインドですね。日本人の貧困童貞の象徴がデンジです。

 一方でニャーコが殺せない理由はニャーコだから。ポチタが大事なのはポチタと名付けたからでしょう。名前が無い人間は人間ではなく経済価値=欲望を満たすための物でしかないということ。
 名前がある=代替が効かないものの喪失を経験したデンジとパワーちゃんは分かり合える=名前で呼び合えるのか?

 有用性は「いいね」の数か?他人をどうみるかという話もありました。名前問題の逆ですね。イメージがすなわち力である。

 デンジくんの正義=破壊のモチベーションはなんでしょう。今のところ他人の痛みです。

 第3話でテーマがどんどん出そろってきました。今週はマンガだとセリフばっかりでサラリと流してしまうところを良く描けたと思います。面白くなってきました。「破壊」と「ライトでおしゃれなセリフ回し」だけではないところを見せつけてくれたと思います。 {/netabare}

4話 デンジと早川とコウモリの悪魔、対するパワーとマキマとヒルの悪魔は、男性とそれを操る女性を表しているのでしょう。

{netabare} パワーちゃんはデンジにおっぱいを揉ませると嘘をつく、マキマさんが早川くんを薄っぺらい言葉で手玉にとっていまう。
 デンジを批判する早川くんもマキマさんの色香に迷ってますから、同列に見えるのが面白いところ。
 わざわざ、ネクタイを直すシーンを男女両方に入れたのは、マキマさんが早川くんの思考と行動を読み取りつくしているという表現でしょう。

 これがコウモリの悪魔とヒルの悪魔が男女関係だったことから、この男女の対比ですね。コウモリの悪魔という個体が好きだったわけでなく、相手が必要だったと言い切っています。だから乗り換え可能になります。
 ヒルの悪魔の女性の性的なキャラデザからいって、女性がセクシャリティを使って男を操縦することに対する強烈な皮肉を感じます。

 この第4話の部分は女性はこんなものだというミソジニー(女性嫌悪)が出ていました。男の夢の価値の有る無しを懸命に解いている早川くんもコウモリ悪魔も、女性から見たら変わらないという風にみえました。

 性欲の対象でないニャーコへの愛情との対比でもあります。あと、善意に解釈するとパワーちゃんはちょっとデンジに心を開きつつあるかなあ。

 前半のバトルシーンも後半の早川くんの性格描写と日常の平穏からの混乱も尺が長くてくどかったかなあ。もうちょっとテンポが良くてもいいかもしれません。

 なお、鬼滅とか呪術なんかと同じ系統の作品だと評価している人も多そうですけど、2重構造なんでしょう。表面上はそういったバトル作品としても派手に楽しむこともできると思います。世間の本作の評判を見る限り、今のアニメとかマンガがどういう消費をされているのか確認するのが面白いです。
 バトルとか作画と声優の事ばっかりで、しかもエロ表現が余計だというのが支配的なんでしょうか。その見方は私は想像もしてなかった見方なので面白いなあと思います。{/netabare}


5話 男の私小説?マキマさんのうさん臭いエロさとは?それにしても出来が良すぎて飽きるかも。

{netabare}  誰にでも経験というのはありますが、この作者の初モミは不幸なものだったのかなあと想像してしまいます。要するにこの辺りの描写って、自分の経験が常識と勘違いすることが多いですから。私小説?赤裸々すぎる欲望の独白はヰタセクスアリス的でもあります。

 いい風にとればパワーちゃんはバディとして友達…現段階だと遊び友達になったので、エロスを感じなくなったとも取れます。少なくともニャーコの件で妙な信頼はあります。

 ただ、私小説というだけでなく気持ちのこもらない「揉み」では、おっぱいは単なる脂肪の塊ですから、マキマさんのセックスエデュケーションと合わせて、一般的な若い男の欲望ともいえます。マキマさんのエロさすごかったですけど、一方で胡散臭いところが良く表れていました。

 一方でデンジはディープキスには反応してしまいますので、欲望のエスカレートと結局は女性たちに性欲で操作される悲しい男の性なのかもしれません。

 銃の悪魔は…テロリズムで狂いだした何かの象徴なんでしょうね。

 さて、アニメですが素晴らしい出来だと思います。セリフの一つ一つが原作通りで、かつよく動きますし。
 しかし、原作通りすぎて意外性がないのも事実です。作品の性質上ストーリーが変えられないのはわかりますけど、何か工夫しないと原作読み返せばいいになってしまう気がします。特に今回のように動きが少ない回だとなおさらです。

 原作者が介入すればそりゃあ原作通りになってしまうでしょうが、しかし、化物語という稀有な例もあります。演出を工夫するとかコミックで表現できなかった動きのあるエロスとバトル。その辺の売りの部分でいい動きというだけでなく、何か感動が欲しいです。
 その辺がないといい出来すぎて飽きてくる気配も感じます。 {/netabare}



7話 閉じ込められる=閉塞感 チェンソーマンって何?

抜け出せないというのは日本の閉塞感でしょうね。
分けられる食べ物は少ししかない。貧困の象徴でしょう。
頭がぶっ飛んだ人間しか生きて行けない。まともな奴は死んでゆく。
デビルハンターは制服でネクタイというのも大事でしょう。つまり搾取される労働者・学生でしょう。新入生歓迎もしてますし、会社辞めちゃう問題もありました。
彼を殺された人間が姫野をひっぱたく。的外れな感情のぶつけ方。
コベニちゃんは兄の大学のために「デビルハンターか風俗」
コベニちゃんがウザくて私のせいじゃないと言う。面倒ではっきりものが言えない。
コベニちゃんは迷わず、自分が良ければ人は殺していいという判断をする。
キスについては、ある種の女性にとって、自分の肉体は男を操る道具。
コベニちゃんと姫野の描き方…他の女性キャラもそうですけど、作者のミソジニーでしょうね。あるいは女性嫌悪と性欲の二律背反でしょう。
あるいは大衆・概念としての女性の肉体の「経済性」と、個人としての女性の「代替の無さ、愛情」みたいな視点。
結果としてコベニちゃんは身勝手な女性の象徴でもあり、女性の生きづらさの象徴にもなっている感じです。
タバコより「ノーベル賞」という意味のないもの、「消費税」とか悪いもの…もっと他に辞めるべきものがあるだろう?
人間の集合体が悪魔として襲ってくる。そして最後はもう殺してくださいという。
契約は絶対。

 
 ゲロチューはなぜ、姫野先輩とのチューはゲロの味だったのかは、前回のおっぱいの比較の繰り返しかなあ。まあ、上に列挙した女性との関係性の矛盾が現れたということだと思いますけど。

 チェンソーマンって、バトルマンガとして見るとアニメ化は失敗なんでしょうかね。生きづらさ、閉塞感をどうやってデンジがぶっ壊して行くのかという視点で見ると、アニメ化にあたってクローズアップするところは正しいと思います。
 特にこの6,7話はチェンソーマンとは?をわかりやすく表現されていたと思います。

 原作からいってこの作者にしては、ジャンプ向けにちゃんとわかりやすく、かみ砕いていると思います。それにエンディングテーマで丁寧に視点を教えてくれているので、そこを拾って行くと面白いですね。今回はゲロチューです。

 それにしても原作準拠すぎでしょう。もうちょっと何かないんでしょうか?もうEDとエロシーンだけ見ればいいのかな?

投稿 : 2024/03/23
♥ : 23

81.7 3 米津玄師アニメランキング3位
僕のヒーローアカデミア(第2期)(TVアニメ動画)

2017年春アニメ
★★★★☆ 3.9 (559)
3446人が棚に入れました
ある事件をきっかけにNo.1ヒーローのオールマイトと出会った“無個性”の少年・緑谷出久は、その内に秘めるヒーローの資質を見出され、オールマイトから“個性”ワン・フォー・オールを受け継いだ。出久はオールマイトの厳しい訓練を経て雄英高校に見事入学し、爆豪勝己や麗日お茶子らヒーロー科1年A組のクラスメイトたちと互いを高め合う切磋琢磨の毎日を過ごしていた。そんな中、日本全国から注目されるビッグイベント「雄英高校体育祭」の開催が迫る!ただトップだけを見据える爆豪、家族を想って強い意志で挑むお茶子と飯田天哉、そして、ある男を“否定する”ために優勝を狙う轟焦凍。さらにヒーロー科1-Bをはじめとする新たな顔ぶれも…。雄英生徒の全員が闘志を燃やす中、出久も決意を新たにする。「僕も本気で獲りに行く!」最高のヒーローを目指す彼らの“個性”と力、そしてプライドがぶつかり合う戦いが始まる!!

声優・キャラクター
山下大輝、岡本信彦、佐倉綾音、石川界人、梶裕貴、悠木碧、広橋涼、増田俊樹、井上麻里奈、細谷佳正、畠中祐、諏訪部順一、吉野裕行、小桜エツコ、犬山イヌコ、高戸靖広、稲田徹、三宅健太、桑野晃輔、真堂圭、喜多村英梨、西田雅一、三好晃祐、古島清孝、名塚佳織、奈良徹、内山昂輝、藤原貴弘、大塚明夫、天崎滉平、小笠原早紀、沖野晃司、真坂美帆、桜あず、羽多野渉
ネタバレ

kakelu さんの感想・評価

★★★★★ 4.6

いつまでも弱者じゃいられない! 生徒達が成長する物語

0話の感想 ★★★ 3.0
1期のまとめ
{netabare}
1期のまとめなんで見なくても良かったんだが、面白いから最後まで見ちゃった!
やっぱ、熱いわこの作品は。
王道が1番!!{/netabare}

1話の感想 ★★★★ 4.0
うららかさんの目標
{netabare}
お金のためであっても、親を楽させるためなら凄く立派だよな
そろそろ出久も強くなっていってほしいな{/netabare}

2話の感想 ★★★★ 4.0
体育祭、開催!!
{netabare}
轟くんが強いね!!
個性も明らかにチート級だしな!
爆豪も昔とは心持ちが違うねー
いやー、既に熱い!!{/netabare}

3話の感想 ★★★★ 4.0
第一種目の行方は…
{netabare}
出久は本当に運がいいね。流石、主人公!
個性を見せないのはアピールとしてはダメだけど。
でも、一応は目立てたからオッケーなのかな?{/netabare}

4話の感想 ★★★ 3.0
第二種目、開始!
{netabare}
現状、周りのメンバーに助けられてるって感じか。
それにしても、出久は能力全く使わんな〜笑
出し惜しみしすぎじゃない??笑{/netabare}

5話の感想 ★★★☆ 3.5
第二種目、決着!!
{netabare}
ようやく出久が個性を使ったね〜
ただ、今回は決着の割には盛り上がりに欠けていて淡々と終わった印象があった。
個人的にはもっともっと熱い展開を期待!{/netabare}

6話の感想 ★★★☆ 3.5
轟くんの背景
{netabare}
轟くんと出久の環境の違いようが凄いな!
轟にくらべれば出久は全てにおいて運がいいな。
そして、開始早々罠に引っかかるなんて。
これで無策ならもう終わりだな。{/netabare}

7話の感想 ★★★★☆ 4.5
個性に恵まれなくても…
{netabare}
めっちゃ感動した!!!
心操くんの能力はどう考えても悪役だし、嫌われる能力。だけど、正義のヒーローに憧れる。
雰囲気はクールだけど、心はピュアで熱い!
こういう展開は泣ける!{/netabare}

8話の感想 ★★★☆ 3.5
対戦、対戦、対戦!
{netabare}
今回は対戦がいっぱいだったね。
その中でも、八百万さんは可哀想だった。
推薦で実力者なのに何も出来ずに敗退なんて…
それと、次回の爆轟と麗日さんの試合がワンサイドゲームになりそうで心配…{/netabare}

9話の感想 ★★★★☆ 4.5
麗日 vs 爆豪
{netabare}
いい試合だった。
爆豪をヒヤッとさせれたお茶子凄いよ!
圧倒的に不利な能力なのに。
父との電話は泣ける。
次は、大本命!
轟くんとの戦いだ!!{/netabare}

10話の感想 ★★★★★ 5.0
緑谷 vs 轟
{netabare}
超かっこよかった!!
どの試合よりも迫力があった。
緑谷、あんなに強くなってたんだな。
轟に右手を使わせれたし、ヒーローって意味では轟に勝ってたな。
轟の能力は本当にチートだよ。{/netabare}

11話の感想 ★★★★ 4.0
準決勝と動き出す闇
{netabare}
爆豪も強いね〜
強い能力に勝つための努力。
強いやつが努力したら、追いつけないよ。
そして、飯田くんのお兄さんがヒーロー殺しにやられた。
ヒーロー殺し、言動から無個性な気がするな。{/netabare}

12話の感想 ★★★★☆ 4.5
轟 vs 爆豪
{netabare}
迫力ある戦いだった。
しかし、轟は悩んでいたせいか全力を出し切れなかった。
だけど、最後にはけじめをつけるために動き出すことが出来た。
また、緑谷も新たな戦い方を模索するきっかけとなった。
2人は凄く良い日になったな。
飯田くんのシーンは泣けたよ…
お兄さん、かっこいいな。{/netabare}

13話の感想 ★★★★ 4.0
体育祭後
{netabare}
一躍、ときのひとになっな〜
まぁ、テレビで放送されてたらそうなるか。
勘違いする奴とか出てきそう。
コードネームを決めることになるが、デクって…
オールマイトと比べると、見劣りするしゴロが微妙。
職場体験も決まり、次に進む感じがする。{/netabare}

14話の感想 ★★★★ 4.0
オールマイトの先生
{netabare}
持たざるが故にその力を特別視しちゃってたんだな。
普通は生まれ持った個性だからそこまで特別感がないからな。
でも、緑の閃光を纏ったかっこいい姿に!
飯田くんが少し心配だか、安全に職場体験を終わることができるのか!!
……たぶん無理だよねー{/netabare}

15話の感想 ★★★★ 4.0
次のステップへ
{netabare}
1日でものにするとは、緑谷の成長速度すげー!
これが主人公になれる器か。
次はヴィランとの実戦形式!
東京へと飛ぶつもりが巻き込まれてしまった。
しかし、職場体験2日目でもう事件とは早くない?{/netabare}

16話の感想 ★★★★ 4.0
ヒーロー殺しとの戦い
{netabare}
緑谷、めちゃくちゃ強くなってるやん!
たった少し、コツを教えて貰っただけなのにここまで強くなるのか。
轟くんも変わったな。
吹っ切れたって感じだ。
あとは飯田の目が覚めれば最高なのに。{/netabare}

17話の感想 ★★★★ 4.0
ヒーロー殺しとの決着
{netabare}
飯田くんも復活し、見事に捕まえる事ができた。
出来たんだが…
ヒーロー殺しは純粋な犯罪者というよりも、社会のために行う改革犯だった。
悪者だが惹かれる魅力があった。
1本の芯があった。{/netabare}

18話の感想 ★★★★ 4.0
ヒーロー殺しの影響
{netabare}
確かにカリスマ性はあった。
前回、私も同じことを考えてしまったから。
しかし、それが今後の火種になるとは…
ヴァラン連合のトップは頭いいな。{/netabare}

19話の感想 ★★★☆ 3.5
みんなの職場体験
{netabare}
みんなに焦点が当てられた話だった。
メインはフロッピーかな。
1番、ヒーローに近づいたんじゃないか?
おそらく、声がかかるだろうし就職確定か?
{/netabare}

20話の感想 ★★★★ 4.0
ワンフォーオールの成り立ち
{netabare}
そういう過去があったんだな〜
本当のチート野郎はそのオールフォーワンを持つ男か。
そいつ強すぎやろ。
オールマイトは自分のことについて語れなかったがその事を緑谷が気づくのはいつになるだろうか。
そして、次は林間合宿?{/netabare}

21話の感想 ★★★★ 4.0
期末テスト
{netabare}
林間合宿の前、期末テスト!
今回はその中の筆記試験がメインだった。
爆豪、意外と頭いいのな。
努力してるのか元々頭がいいのか。
でも、何とかなったぽいな。
次は実技だ!{/netabare}

22話の感想 ★★★★ 4.0
実技試験
{netabare}
ロボットじゃなかったな。
自分の苦手な相手との戦い。
難しそうだ…
でも、轟くんのチーム、ケロちゃんチーム、飯田くんのチームはやってのけた。
この流れに乗れるのか!!{/netabare}

23話の感想 ★★★★ 4.0
実技試験、後半戦
{netabare}
みんな頑張ってるな〜
意外とクリアしてる人が多い中、落ちた人は凹むだろうな…
次はいよいよ、緑谷の番!{/netabare}

24話の感想 ★★★★ 4.0
オールマイトの試練
{netabare}
仲悪いな〜、2人とも。
幼馴染なんだから、もうちょっと仲良くできないもんかな。
オールマイトはほかのどの先生よりも暴力的というか本気というか…
めちゃくちゃするな〜
怒られてもしゃーないよ。{/netabare}

25(最終)話の感想 ★★★★ 4.0
林間合宿にむけて
{netabare}
まさかヴィランとデパートで会うとは、ついてないな〜
しかし、緑谷は敵にまたしても塩を送ってしまった。
敵まで救わなくてもいいのに。
今回はこれで終わり!
3期からはヴィランの攻撃が激化しそうだ。
最後に、芦田さん意外とかわいい。{/netabare}

投稿 : 2024/03/23
♥ : 14

トロロ~サンキュー~ さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

おせっかいはヒーローの本質

始めはそんな面白いと思わず見始めたんだけど不思議な魅力ではまりだしましたね。

いまとなってはジャンプの看板になりつつあり、ジャンプの努力・友情・勝利を忠実におさえている。
王道っちゃ王道なんだけど見応えはあるアニメ。
弱くてダメダメな主人公がだんだんとたくましく強くなって、ヒーローになる夢をおいかける物語。
同じクラスの友達たちにもよく物語の焦点があてられていて、活躍や成長がわかります。
敵も魅力的で、3期が待てない展開です。
徹底した世界観、個性の使い方、相性。そこらへんも織り混ぜて私はこの作品はなかなかに面白いと思います。
3期があるらしいのでそちらに期待!
opは人気沸騰中の米津玄師とamazarashiです。

投稿 : 2024/03/23
♥ : 16
ネタバレ

▒▒▒ ⇒ムフ♪ さんの感想・評価

★★★★★ 4.5

キャラがエロいのです(*´д`*)ハァハァ

何故かワタスの性癖をくすぐられるキャラが多い(*´д`*)ハァハァ
推しメンは蛙吹梅雨ちゃん♪
エロガエルなワタスにはたまらない(*´д`*)ハァハァ

出久を見てると「キャプテン」の谷口君を思い出してしまう。
このアニメは今時じゃない熱血アニメだと思う。


OPは大好きなAMAZARASHI( *´艸`)
BONESがいつか使いそうだったけど、ヒーローアカデミアに あってるのかな?!


ステインや死柄木弔の発言に今の現実社会やネット社会で考えさせられる事がある
{netabare}
ステインの思想はだいたい
「ヒーローとは見返りを求めず、自己犠牲をもって得られる称号でなくてはならない。現代のヒーローは英雄を語る偽物が多いため粛清を行う。」だが……

若い時に選挙の手伝いをやってて思ったのが、政治家も最初は理念や思想があったけど、自分の事しか考えない市民の話を多く聞いてると、嫌気がさして私利私欲になってしまうかと思った。

政治家がヒーローとは言えないけど、自己犠牲でやってる人はなかなかいないと思う。

嫌な政治家を粛清したいとステインみたいに思うけど、愚民の方がなぁ……と思ってしまう。

これは政治家だけじゃなく学校の先生、医者、企業のトップにも多くあてはまる。

モンスターペアレント、クレーマー患者、だらけた社員を守る労働組合やクレーマーなどが力が強い世の中……

私はこういった愚民の方が腹が立つ!
もし、信念を持って自己犠牲でやってる人がいたら何か力になれたらと思う!

愚民どもを片付けるかww

わたし自身が愚民なのだけども(ヽ´ω`)トホホ・・


次に最終話の死柄木弔が出久に
「見てみろよこいつら、いつ誰が個性を振りかざしてもおかしくないのに、なんで笑って群れている?法やルールってつまるところ個々人のモラルが前提だ。
するわけねぇと思い込んでるのさww」

私は以前やってたコミュで同じような事があった。
無限増に増やせる垢のために、アク禁になっても蘇ることができるコミュだったのです!
さらにブロック機能が約立たずだった。

結果、イカれた奴はイカれたままに、やばいエゴを持ってた奴は理性を失いエゴをだしまくり、いつもコミュは荒れてしまっていた。

運営に何度訴えても、個人の責任として何も対処もせず、コミュを無理やり閉鎖して逃げた。

私のフレもモラルがない奴は…と嘆いていたが、無法地帯ではモラルは意味が無いと思った。

こういった公なコミュの場では、ある程度運営がしっかりしないと、理性が無くなった人は歯止めが効かなくなる。

あにこれも複数垢が作れそうだが、ここまで使いにくいと荒れにくいかもしれないww
知らないところで起きてるかもしれないが……

6年前からアニコレを見てるけど、ほとんど仕様が変わってないんだよなぁww

もう、どっかに身売りすればいいのにと思ってしまう( ゚ー゚)ウ ( 。_。)ン
{/netabare}

こんな長文アップできるんだ!
語り過ぎてしもたなぁww

見られると恥ずかしいので、見ないでぇ∑(´□`;) ヤメテー!!

念の為にフォロワーへの通知はオフにしておこう( 。・ω・。)ノ 凸ポチッ

初期投稿:2017.12.03

投稿 : 2024/03/23
♥ : 3

68.9 4 米津玄師アニメランキング4位
打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?(アニメ映画)

2017年8月18日
★★★★☆ 3.3 (461)
1769人が棚に入れました
物語の舞台は、夏休みのある一日。花火大会をまえに「花火は横から見たら丸いのか?平たいのか?」の答えを求め、町の灯台から花火を見ようと計画する少年たち。一方、クラスのアイドル的存在・なずなに想い寄せる典道は、時間が巻き戻る不思議な体験のなかで、なずなから「かけおち」に誘われることに……。何度も繰り返す一日のなか、なずなと典道を待ち受ける運命は? そして、果たして花火は下から見ても、横から見ても丸いのか?

声優・キャラクター
広瀬すず、菅田将暉、宮野真守、松たか子、花澤香菜、浅沼晋太郎、豊永利行、梶裕貴
ネタバレ

YwJje43950 さんの感想・評価

★★★★★ 4.1

打ち上げ花火 ”もしも玉”

{netabare}”もしも玉”というものが時系列的に一番最初に確認されたのは、なずなの、死んだ父が海で手に持っていたところだったと思うんです。
取り敢えず1回観ただけなんだけど、この”もしも玉”とは何だったのか、というのが掴めない。メタファー的な意味でね。
それがあると、最後の方の、歪んだ、されど理想的なあの空間と、その崩壊・消失に意味を持たせられる気がするんだけれど。
頭良い人に何かしら、良い感じのをこじつけて貰いたいところだ。皮肉じゃないよ。
より良い解釈を示して欲しいという、頭の良い他人の頭で感動したいという、楽したいという気持ちです。いちから解釈するには、少々難解な部分の多い作品だからね。

岩井俊二が脚本の会議段階で提案した”もしも玉”というアイデアは、元々のオムニバステレビドラマにおいて前提とされた『If もしも』という、物語の基礎の説明という役割を担わせるという目的があったようだ。
パンフレット内の”もしも玉”に関しての言及といえば
『いろんな人たちの”もしも”っていう思いが凝縮された何かなんだろうっていうところに固まっていって、玉ということで花火と対極としてひとつのシンボルにもなる...』
というものと、他には劇中のあらゆるキーワードの紹介をしているページ。
私としては、最終的に2人が行き着いた閉鎖されている感のある例の歪んだ世界では、まるで”もしも玉”の中にいるかのようではなかったか?と思ってたんですけど、その【キーワード集】を読むと、制作側もやはり、なずなと典道の行き着いた歪んだ空間のデザインは、”もしも玉”の中に居るようなイメージでコンテを描いたとのことだ。
ただ、『(そうすると)きれいかなと思って、...』という、文脈なんですけど。
花火と対極的な玉の形をもって、”もしも”という思いが凝縮された、”もしも玉”。
なずなの父は、生前使っていたのかな。
それとも、父の思念的なものが生んだのかな。
劇中、これに関してヒントはあったのだろうか。
ここまで書いておいてなんだけど、1回観て分かるほど私は頭よくないよ?


ところで、あの歪んだ空間は、まるで”もしも玉”の中であるかのようだったけど、あの町を囲うドーム状の歪んだ壁は、典道の空想・妄想の限界なのではなかろうか。
言い換えれば、典道の”もしも”の限界だったのではなかろうか。
町の外の事を、子供の彼らはまだ何も知らないからね。
そういうふうに意味付けるとどうだろう。
出来事の順番を忘れたけど、どこかのタイミングでドーム状の歪んだ壁は消失した。
彼は、周りより一歩先に大人に近づいたという事かな?
だから最後のシーン、クラスに典道は居なかったのかもしれない。
追記:海中のシーンで、2人の顔が大人になってるというツイートを見まして、確かめたい気持ちが強まりますよ〜。
あと、コレうろ覚えだったもんで書かなかったんですけど、劇中、電車に乗って、海の上を走って、結果何処へ行きましたっけ?
何処にも行けずに戻ってきたと記憶しているのですけれども...。
これってやはり、上で書いた”もしも”の限界によるものではないかなと思うのです。
”もしも玉”が砕けて、彼らに降り注ぐのは外へ飛び出していった彼らの可能性。
やっぱりあの夜って、彼らが大人になる劇的な瞬間だったのでは?
あぁ、記憶力よ。もどかしい。
追記2:”打ち上げ花火”と同じくシャフトの作品である、”まどかマギカ”の、劇場版、”叛逆の物語”ってあるでしょう?
{netabare}劇中の、ほむらの生んだ魔女空間と、”もしも玉”の空間とは似てるっていうレビューを読んで、正直、あまりピンときてなかったんですけどね、コレの意味が遅ればせながらようやく分かりました。
そういえばアレも、バスに乗って街の外へ行こうと試みて、行けなかったんですよねぇ。
何故なら、ほむらはその行き先の街並みを知らないから、再現のしようもないという。
たしかに、”もしも玉”空間とそこは同じですよね。
{/netabare}

打ち上がった”もしも玉”が花火のように破裂して、その欠片に、選択によってはあり得た”もしも”の世界が映り込む。
その一欠片を手にした事で生じるのは何だったか。
海の中での一連の出来事の意味は?
今作品の最初のほうのシーンで、なずなが玉を拾ったのと、歪んだ空間内のラストとが同じ場所であることは何を意味するか。
あの脱ぎ捨てた服だって、思い返すと最初のほうに伏線があった気がするぞ?
いやぁ、うろ覚えだ!1回観て語れるようなものではないわ!

追記:あにこれのレビューを改めて読んでいたら、ストライクさんの、今作のラスト、典道がクラスに居ない事についての解釈、良いなぁなんて思いました。
”男の典道は、願望の世界に浸るロマンチストなのかもしれない。”
でも、それだとハッピーエンドでは無いよなぁ...
典道のほうはその夏の恋に囚われちゃうって事でしょう?
"秒速5cm"的な関係でしょう?言いたいこと分かります?
やはり私としては、”もしも玉”空間の壁が砕けて外の世界へ飛び出していった彼らの可能性が降り注ぐあの演出を思い出すと...
でもね、いずれにせよ私の中で正直、未だに完全に納得いく解釈は得られてないんですよね〜。
まぁ、このよく分からない感じも好きですけどね、夢見心地で。

グダグダと書きましたが、この作品について簡単な感想としては、
シャフトには向かない題材ではないか、という事。
これは正直観る前から思っていた。
だからある程度、滑る覚悟はしていたりもした。
実際、賞賛するようなものでは、たしかに無かったと思う。
話が難しい以前に、例えば不自然なCG。冒頭の自転車等の動きなんか気になってしまった。
元の作品の人気、アニメとしての粗もところどころ見えてたし、また、分かりやすい感動!の物語を求めていた、脳の動かない人の多さも、大衆に向けた広告があっては仕方なく。
批判の多さも妥当かと思う。
でもね、ネット上のこの作品に対する批判はどうも(この作品に限らないけど)誠実でないものが多い。
後半の展開が原作と違うという点がお気に召さず、ただ叩きたいだけの価値のない批判をしてるブログが、少なくとも今、私がこの文を書いている時は検索上位にあったりして、嘆かわしい限り。{/netabare}

投稿 : 2024/03/23
♥ : 13
ネタバレ

101匹足利尊氏 さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

蠱惑の球面

元ネタである岩井俊二監督のスペシャルテレビドラマは視聴済み。

球とは実に不思議な形をしています。
どの角度から見ても見える形は同じですが、
見えてる面は視点によって全部違う。

その上、光の加減まで考慮すると球はさらに神秘的。
特に例えばガラス玉のような透過性の高い球体ともなれば、
光の屈折まで加味されて見る視点によって輝き方が目まぐるしく変わる……。
そして、その透き通った球体は、あらゆる光を集めると共に、
球の境界を隔てた人々の視線や思念、願望をも惹き付け誘惑するのだ……。


本作は原作にもあった花火の見え方のウンチクによる好奇心刺激に加え、
シャフト作画によって全編に散りばめられた円柱、球形への違和感、興味。
それらが心を浮つかせる夏の空気、ヒロイン少女の魅惑的な美しさ等により加速され、
常識や倫理の壁をも超越して行く、真夏の青春アニメ映画。

主人公少年らと共に気持ちよくジャンプするには、
映像全体が醸すムードに憑かれることが必須で、ハードルはやや高めですが、
私としては夏に劇場鑑賞チャレンジした甲斐があった作品でした。



本作は単純に興味を持って観る。のとは別に色々な動機での鑑賞があり得る作品ですが、
以下、それぞれの立場からの見え方を想定してみると……。


①岩井俊二監督作のリメイクを期待して本作を観る。

……これは正直かなり失敗するリスクが高いと思われます(苦笑)

{netabare}私が思うに原作ドラマは脚本、シナリオ等により賞賛されているだけでなく、
90年代当時の子供の世界。その再現性によるノスタルジーにより、
年々、思い出としても美化され続けている作品。

(例えば{netabare}本アニメ映画だと少年宅でプレイされるゲームは『キラキラスターナイトDX』という
2016年発売のファミコン用新作レトロゲームという恐ろしく懐古狙いなマニアックぶりですがw
原作ドラマではスーパーファミコンの『スーパーマリオワールド』という大衆向け定番作 {/netabare})

それら当時の流行も取り込みつつ、しょーもない冗談や下ネタを言い合うw
ガキの会話あるあるな掛け合いが醸す、子供の世界にリアリティや説得力があります。
こうした子供の世界に背伸びしてる感を纏わせつつ、
大人の都合と対峙させることにより、物語の推進力と共感度をアップ。
さらに当時15歳の美少女だったヒロイン役・奥菜恵さんを画面に閉じ込めた希少性と相まって、
今なおタイムカプセルのような輝きを放ち続けている原作ドラマだと思います。

対して本作は後世、思い出となり得るような同時代性の強調は控えめ。
(例えば{netabare} スマホが出て来ない時点でタイムカプセルにはなり辛いですし、
松田聖子さんだの観月ありささんだの叫んでいる時点で
原作の時代に対するオマージュの方が勝っています{/netabare})

むしろ本作は花火の見え方というSFファンタジー世界展開の着火点により注目し、
そこからオリジナル要素も広げていくシャフト作品。

加えて本作では何故か主人公少年らを原作ドラマの小6から中1に設定変更していますが、
原作の掛け合いの流れも引きずっているためでしょうか?
少年少女たちの言動が今風でない感じがするだけでなく、
微妙に小学校卒業してない感じが、
原作ドラマ視聴後だと目につきやすく、それらがストレス要素になりかねません。{/netabare}

いずれにせよ、リメイク期待組とのキャッチボールは波乱含みのようです。

もしも原作ドラマ未見で、ドラマ観てから本作観に行こうと検討されている方がおられたら、
私としては是非、そのまま、よそ見をせずに映画館に直行することをオススメします。


②『君の名は。』川村元気氏のプロデュース作として、前年の感動再現を期待して観る。

……これも大分、失敗するリスクが高いと思われます(苦笑)

{netabare}特に『君の名は。』を気軽なエンタメ作品として楽しんだ方は、
それを期待して本作を観ると事故る可能性がいっそう高まると思われます。

『君の名は。』は何となく観ていても状況は説明してくれるライトな作品でありつつも、
深読みしても得るものがあるコアな作品でもあった、
間口の広いヒット作だったと私は考えていますが、

本作の場合は作画や表情、ちょっとした台詞の違いなどを深読みしに行かないと、
状況すらも把握し難く、物語の迷宮入りと共に、失意の途中下車に追い込まれかねません。

逆に些細な違和感から考察を巡らすことができる方なら価値を見出せると思います。{/netabare}


③シャフト、新房昭之監督のファンとして本作を観る。

……これはまだ割と期待できそうです。

{netabare} そもそも背景絵等が醸すムードが作品を牽引する構造である以上、
まず本作でも相変わらず癖がある作画、構図等に興味を持って鑑賞し続けることが、
作品と折り合うための必須条件。

何じゃ!?このワケわからん絵は~~wとなるか、
あっこれやっぱりシャフトだ(笑)イヌカレーだ(笑)とニヤニヤできるかは、
本作でも満足度を左右する重要な分岐点になると思われます。

但し作画レベルは背景画等については良好ですが、
人物描写、特にキャラ造形の安定度等については標準レベルなので、
至高の劇場版作画を求める等の過度なハードル上げはオススメできないと思います。{/netabare}



以上、色んな角度から長々と書いてしまいましたがw

簡潔にまとめると本作は普段あまりアニメを観ない層にはあまりオススメできませんが、
コアなアニメファンや、あにこれユーザ等には、
合う合わない、好き嫌いも含めて、是非、感想、考察を聞いてみたい作品だと思います。

例えば核心部分について、私見を述べると……

{netabare}あの夏、最後、典道は平行世界に飛翔したまま戻って来なくなった。
なずなは元の世界に戻って転校し、典道を待ち続けている……。
というのが私の解釈と言うより願望?ですが、如何でしょうか?

典道も平行世界から一応、戻っては来たけど……という見解が多そうかつ、
妥当性も高そうなラストではあったのですが……。
「もしも玉」と平行世界の妖しさに取り憑かれた私としては、
あっさり元の世界に戻って来るのは何か勿体ない感じもするんですよね……。{/netabare}

みなさんの評価、感想……お待ちしております♪

投稿 : 2024/03/23
♥ : 41
ネタバレ

明日は明日の風 さんの感想・評価

★★★★★ 4.3

名作ドラマのアニメ化…心揺さぶる青春恋愛ファンタジー

【視聴前】
この夏の楽しみ、それは終物語の続編とこの映画です。共通点は「シャフト制作」というところです。

岩井俊二の名を世に広めたことで知られるこのタイトル。もう20年以上前になるわけか…。衝撃だったのは主演の奥菜恵。こんな可愛い子がいるんだ…というくらいビックリしたのを覚えています。あれから…時は残酷であるの見本としか言いようがありません。

名作映画のアニメ化というと、時かけを思い出しますが、あれは原作ありでさらに中身は全く違うものになっています。これは作品をなぞりながらだというのでこれまでにはないパターンと言えるかもしれません。予告編見ましたが、絵がシャフトだなと感じます。というより、主人公、どこからどう見てもガハラさんだよね…。それもそのはず、キャラデザインは同じ人だった。作中、首を変な方向に曲げたら…。

新房×シャフトなので内容も絵も心配はしていません。自分好みの面白い作品のはずです。が、心配なのは中の人、主役の二人です。予告編ですでに「あれっ?」となっています。特に広瀬すず。すでにキャラデザインと声が合っていないし…。

【視聴後】
この映画を見る前にもう一度実写を見たいと思いレンタル探したけど、もう20年以上前の作品だけになかなか探しきれず…。諦めかけていた時、偶然にもスカパーの日本映画チャンネルで放映していたのでじっくり見ることができました。そしてこの作品を鑑賞。実写を丁寧にオマージュしているなというのが最初の感想でした。アニメ化にあたって、スタッフは実写を細かく分析して、アニメでも通じるところはそのままに、また、原作のイメージを壊さないことを念頭に置いていたのかなと思います。そして、その上で現代の言葉や風景、風俗に当てはめていたと感じました。面白かったのは{netabare}スラムダンクをワンピースにしていたのに、なぜか「観月ありさ」は残したところ。今なら「広瀬すず」でも良いじゃないかと思いますが、これはスタッフの遊び心か、なんなのか判りかねます。{/netabare}

名作と言われる原作ではなかなかアニメになりにくいです。あれは素の子供たちがそのままの姿で演じ、幻想的な部分になり勝ちなところは現実の描写で伝えようとしているとこが良いわけです。が、アニメにするならさらにプラスアルファが必要と思っておりました。そこをうまくファンタジーでまとめたと思います。{netabare}原作では典道となずなは駅舎から帰ることになります。ここからなずなが引っ越すのか残るのかは曖昧なままで終えることになります。アニメでは駅からが本番になっていきます。でも終わりは原作のように曖昧なままで終えるのですが…。{/netabare}それから原作と決定的に違うのは恋愛要素を強めた点。典道となずなの関係は原作では恋しているのかなんなのかをなずなの表現だけで想像させる作りになっています。{netabare}祐介と典道に水を掛けるシーンでのなずなの表情がまさにそれ。アニメでも見事に表現されていました。{/netabare}この辺りは「君の名は。」の影響が大きいような感じもしましたがさて…。

作画はきれいなシャフトという感じです。シャフトの不可思議な描写は控えめにしてます。感心したのはとにかく水の描写がきれいです。ホースからの水の出方が美しすぎて見とれました。それと、なずはどっからどう見てもガハラさんです。ガハラさん好きの自分が言うのだから間違いありません(苦笑)。シャフ度ぎりぎりに抑えた首の角度にしびれました。でも…中学一年生には見えない…。とはいえ、原作のなずなは小学6年生で奥菜恵だったからなぁ…あれも小学生には到底見えなかったし…。それと問題の中の人。広瀬すずは声質はなずなに合っていたと思います(視聴前の前言撤回します)。例え棒でも声が合っていれば納得してしまうので個人的にはOKです。心配していた典道は…う~ん、頑張っていたと思います。でも中学一年生の声ではないよね。周り固めたのがシャフトでお馴染みの方ばかりなので、劣ってしまうのは仕方ないです。

個人的にこの作品は気に入りました。シャフト好きな人(特にefのような作品が好きな人)には合うのではないかなと思います。できれば原作も見ておくとより楽しめるのではないかと思います。

投稿 : 2024/03/23
♥ : 43

71.0 5 米津玄師アニメランキング5位
海獣の子供(アニメ映画)

2019年6月7日
★★★★☆ 3.7 (128)
526人が棚に入れました
光を放ちながら、地球の隅々から集う海の生物たち。巨大なザトウクジラは“ソング"を奏でながら海底へと消えていく。 <本番>に向けて、海のすべてが移動を始めた―――。 自分の気持ちを言葉にするのが苦手な中学生の琉花は、夏休み初日に部活でチームメイトと問題を起こしてしまう。母親と距離を置いていた彼女は、長い夏の間、学校でも家でも自らの居場所を失うことに。そんな琉花が、父が働いている水族館へと足を運び、両親との思い出の詰まった大水槽に佇んでいた時、目の前で魚たちと一緒に泳ぐ不思議な少年“海"とその兄“空"と出会う。 琉花の父は言った――「彼等は、ジュゴンに育てられたんだ。」 明るく純真無垢な“海"と何もかも見透かしたような怖さを秘めた“空"。琉花は彼らに導かれるように、それまで見たことのなかった不思議な世界に触れていく。三人の出会いをきっかけに、地球上では様々な現象が起こり始める。夜空から光り輝く流星が海へと堕ちた後、海のすべての生き物たちが日本へ移動を始めた。そして、巨大なザトウクジラまでもが現れ、“ソング"とともに海の生き物たちに「祭りの<本番>が近い」ことを伝え始める。 “海と空"が超常現象と関係していると知り、彼等を利用しようとする者。そんな二人を守る海洋学者のジムやアングラード。それぞれの思惑が交錯する人間たちは、生命の謎を解き明かすことができるのか。 “海と空"はどこから来たのか、<本番>とは何か。 これは、琉花が触れた生命(いのち)の物語。

声優・キャラクター
芦田愛菜、石橋陽彩、窪塚愛流、稲垣吾郎、蒼井優、渡辺徹、富司純子
ネタバレ

shino さんの感想・評価

★★★★★ 4.1

人新世の到達点

STUDIO4°C制作。

圧倒的画力で支持を受ける絵師、
五十嵐大介、彼もまた天才の系譜であろう。

多様な生命と自然界への畏敬を下地に、
14歳の少女琉花は不思議な兄弟に出逢う。
海と空に交わり導かれるままに、
琉花は水の中で身も心も自由になっていく。
色彩豊かに生命誕生の物語が動き始める。
素晴らしき海洋冒険譚であろう。

宇宙、そして広大な海の数式、
生命の躍動と神秘的な未知の世界。
サピエンスの偉大な旅、
そこには数々の螺旋状の記憶がある。

地質学では完新世から人新世へと、
観るものを圧倒する映像美と音楽、哲学。
素晴らしいアニメがまた1つ誕生した。
これは「鑑賞」ではなくもはや「体験」である。

生命はどのようにして誕生したのか。
原初の海はどのような形をしていたのか。
{netabare}パンスペルミア仮説を物語の背景とし、
隕石は精子、海は子宮、命の誕生祭が描かれる。{/netabare}

{netabare}大きく弧を描くザトウクジラの飛翔に、
生命の偉大さと美しさ、尊さを見る。
海の底で起ころうとしている奇跡に、
クジラたちのように声を合わせて歌おう。{/netabare}

美しく壮大な映像を前に、言葉はいつも足りない。

投稿 : 2024/03/23
♥ : 68

四文字屋 さんの感想・評価

★★★★★ 4.8

言・語・道・断!

レビュータイトルの語意は、
近代、誤用が定着してしまったネガティブな慣用句としてではなく、
この熟語本来の意味と捉えていただきたい。
すなわち、
「言葉に、ならない」

そこにあったのは、
圧倒的映像体験。
これは鑑賞ではなく、祝祭なのだ。
哲学ですらなく、爆発する情動なのだ。
いや違うな。
凄まじい映像美に包み込まれ抱かれる、生命と神秘への賛歌・・・

これじゃ駄目だ、何を言っても、正しく言葉には出来ない。

ぜひ、劇場で。
体験していただきたい。

そうとしか、
言えない。

投稿 : 2024/03/23
♥ : 28
ネタバレ

ぺー さんの感想・評価

★★★★★ 4.2

空と海と風と

「私は…空を飛べる」

護岸の堤防を駆ける少女はまるで風のようである。名は“琉花(ルカ)”。
そんな彼女とジュゴンに育てられたとされる少年二名が織り成すファンタジー。
少年らの名は“海(ウミ)”と“空(ソラ)”という。


映画館で観たかった!ってその通りなんですけどちっこいモニターはモニターで味がある…かもしれません。ほぼ負け惜しみですが。
画面に引き込まれる感覚はそれほど大差ないでしょう。映画館を想像するに時計やスピーカーが目に入らなくなって、袖の幕すら気にならなくなるような感覚。できれば劇場の大画面と言わずプラネタリウムで観てみたいな、と無理難題が思いつく。そんな映画でした。


 映像凄いよー


2019年は劇場作品が元気で、そのやり取りの中で他のレビュアーさんからのご推薦があった作品です。
この際、地上波で見かけなくなったゴローちゃん目的でも、某『永遠の○』ヤーさん役の凄みで全俺の涙をさらった田中泯さんが目的でも構わないっす。劇場オリジナル作品の中でもなにかしら爪痕を残してくれそうなおとぎ話。

で、不肖このわたくし。さっぱりとまでは言わないまでもよく分かってません。
ただ母なる海とでもいうのでしょうか。生命の神秘みたいなのを感じるのであります。


 青 蒼 藍 碧


作品全編通して画面を支配する色。光の加減で顔を変える海の色彩。月明りに照らされることで漆黒の闇から開放された海岸。まるで東山魁夷の絵画のような色使いです。
そしてなにせジュゴンに育てられた少年らです。海と一体化したかのようなシーンはてんこ盛りでした。まるで『グラン・ブルー』のジャックマイヨールみたい。


そうまさに海に抱かれてα波出てるんじゃないかしら?な中盤まで。作品タイトルやキービジュアルから期待しちゃいそうなところは期待しちゃって良いと思いますよ。


一転して中盤からのイメージはときおり差し込む赤。

{netabare}「海が赤く見えるのは夕空のせいだけではない」
「夜になればわかる」

夕焼けで赤く染まる海を指してルカに何か嘯くソラくんです。海オンリーから宇宙にまで舞台が拡がっていくに従って重要な色合いとなってきました。{/netabare}

少しばかりスクラップ&ビルドな概念が思い浮かんで、ハイビスカスの花の色から、隕石衝突だったり、原初の炎だったり、闇を照らす火だったり、はたまたビッグバンのようなものを想像してしまう私。

なんか生命の神秘とかビッグバンとか何言っちゃってるんでしょうね?私。未見でこの感想読んでる方は「お薬増やしておきましたからねー」とつい言いたくなっちゃうんじゃないでしょうか。


 母なる海から宇宙まで


2時間くらいでこれらを提示するってこと自体すごいことなんだろうと今は納得しております。

壊して作って。斃れて起ち上がって。死んで生まれて。繋がって断ち切って。

α波出てると油断してたらいつのまにやら宇宙の神秘に両足突っ込んで戻ってこれない傑作です。



※余談中の余談

■これはどうでもよいのよ

『空と海と風と』
Wikiにも載ってないフュージョンバンド。ツアーのサポートメンバーや収録など縁の下の力持ちとしての歴のほうが長いかなぁ。
本作の主役名から真っ先に浮かんできたこのバンド。もしご存知でしたらある意味すごいです!

{netabare}そんな彼らとけっこうコラボしてたのが『SING LIKE TALKING』

本作のポイントとなる鯨の“うた”とは“語り”でもありました。
祭の始まりを告げる号砲は語りかけるように歌うその声です、というシンクロニティ。{/netabare}

{netabare}「私は…空を飛べる」
風のような少女は、終盤では植物の種子を遠くへと運ぶ風の役割をも担ってました。
作品は次第に母なる海から母なる地球を舞台へとスケールアップしていきます。少女はその象徴。
それと連なるように青味のあった世界に取って変わらんとする鮮烈な赤色。地球の風と炎です。

まさに『アースウィンド&ファイヤー』!!って悪ノリが止まりません。好きな人ごめんなさいね。
だって終盤の美術が『黙示録(邦題)』のジャケ絵みたいなんだもん。{/netabare}



視聴時期:2020年3月

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2020.05.14 初稿
2020.12.06 修正

投稿 : 2024/03/23
♥ : 45
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