西部劇でアメリカなおすすめアニメランキング 3

あにこれの全ユーザーがおすすめアニメの西部劇でアメリカな成分を投票してランキングにしました!
ランキングはあにこれのすごいAIが自動で毎日更新!はたして2024年04月24日の時点で一番の西部劇でアメリカなおすすめアニメは何なのでしょうか?
早速見ていきましょう!

71.4 1 西部劇でアメリカなアニメランキング1位
天晴爛漫!(TVアニメ動画)

2020年春アニメ
★★★★☆ 3.5 (263)
864人が棚に入れました
19世紀が終わりを告げ、20世紀の幕が上がろうとしている時代・・・天才だが社交性0のエンジニア『空乃天晴』と、凄腕だが臆病な侍『一色小雨』はある事故で日本からアメリカに漂流してしまう。無一文の二人が日本へ帰るために選んだ方法は、「アメリカ大陸横断レース」に参加すること。スタートは西海岸ロサンゼルス、ゴールはニューヨーク。自作の蒸気自動車で荒野を駆け抜け、クレイジーなライバルと競い合い、アウトローや大自然から身を守り・・・果たして二人は過酷なレースに優勝し、賞金を手に入れ故郷へ帰ることができるのか!?

声優・キャラクター
花江夏樹、山下誠一郎、悠木碧、雨宮天、斉藤壮馬、折笠富美子、櫻井孝宏、杉田智和、興津和幸
ネタバレ

ぺー さんの感想・評価

★★★★☆ 3.6

迷わずいけよ いけばアンダスタン

P.A.WORKS制作によるオリジナルアニメ

全13話完走してなお、時代設定いつ頃だろうと悶々としてました。

新政府とか言ってるから明治にはなってるよね
新右衛門さん帯刀してるし廃刀令前の明治期1870年頃か?
モブの発明王がフィラメント閃いてるっぽいし1880年頃か?
あれ!?それ{netabare}(飛行機){/netabare}って20世紀だったような…

すいませんあらすじに書いてました。以下の通りだそうです。しっかり読もう前情報!

 19世紀が終わりを告げ、20世紀の幕が上がろうとしている時代…


変わり者の科学小僧・空乃天晴(CV花江夏樹)が主人公。人情の機微を知らない偏屈科学者タイプです。となると横で振り回されるキャラが欲しくなるわけで、剣術道場の真面目そうな倅・一色小雨(CV山下誠一郎)がお目付け役となります。小雨は『一休さん』の新右衛門さんに見た目も雰囲気も似たお方。天才を引き立てる凡人代表です。
巻き込まれた一騒動から逃れるどさくさで船に揺られてロサンゼルスへ到着。アメリカ横断ウルトラク…大陸横断の自動車レースに挑むってお話です。

天晴(あっぱれ)が小っちゃい頃に蒸気船を見て目覚めちゃったというのが根っこなので、エンジニア奮闘記みたいなのをレースを題材にしてやるんだろうなぁと期待。偏屈な天晴と凡人小雨のキャラ配置は盤石そうです。
そうして楽しめたのが中盤まで。味変が生じて好みが別れそうな終盤が待ち受けてるのでお楽しみを。


味変1:キャラ変
{netabare}天晴には最後まで自己中な偏屈小僧でいって欲しかった。豆腐メンタル化して萎えた。{/netabare}

味変2:??
{netabare}レースそっちのけになっちゃった。こちらはまあOK。{/netabare}


あまり気をてらわない王道らしい作品かと思います。
早々にキャラを勢揃いさせて固定メンバーを深掘りしていくスタイル。起承転結の転があってきちんと与えられた尺で完結する。画も崩れちゃったら何言われるかわからないブランド制作会社です。バトルアクションも背景も砂ぼこり舞うレースシーンもいい感じですよ。
このルート66っぽい導線や先々の経由地で物語が動くことから『イージーライダー』的なものを想像しました。かなりおちゃらけてますがね。

ただし、エンジニア奮闘記を期待してた私はちょっと肩透かしを食らって影を落とした感じです。わりとご都合だったのであまり気にせず臨まれることをオススメします。
総じて…良さげなパーツを揃えているんだけど作り始めるとしっくりこなくて、それでもなんとか完成品の体裁を整えた感じ。でこぼこならそれで尖らせればよかったのに、となんとも惜しい作品です。



※ネタバレ所感

■新しい時代の幕開け

{netabare}自動車レースの妨害については、自動車の台頭を快く思わない鉄道王っぽいおっさんの依頼をもとにギル(CVツダケン)は動いていたわけでした。新しい時代の胎動そして抵抗。
それであっさりおっさんを殺しちゃってるわけで、そうするとレース妨害する理由がなくなるわけで、それでもレースの邪魔を続けるわけで、そこで持ってきたのが

 力が支配する世界をきぼんぬ!

だそうです。時代設定がそうだからって世紀末救世主伝説に寄せなくても良かったのにと思いますけど、あまり理由は重要視してなかった模様。まあむき出しの暴力が支配する西部劇世界の終焉という見方もできますが、それにとって代わるのが科学技術というのもピンときません。
時代に取り残された徒花って設定も嫌いではありませんがそういうわけでもなさそう。動機づけが弱かったです。{/netabare}

{netabare}レースを楽しむでもエンジニア奮闘記でもなく、“レース仲間VS悪いやつ”にシフトしていくのは構わないのでラスボスは憎たらしい悪役らしい悪役にさせて欲しかったですね。
ホトト、シャーレン、アル、偽ギル兄弟、ディラン、そして杉田…じゃなかったTJと各々いい感じで掘り下げられていました。そこに天晴と小雨も加えたレース仲間たちの魅力と釣りあいを持たせることは至難だったかもしれませんが、ここさえよければレースそっちのけでも評価上げてたと思います。{/netabare}


■なんか気になった些細なこと

1.{netabare}レース実況役の平田真菜さん。『ケンガンアシュラ』でもリング実況でした。{/netabare}

2.{netabare}シャーレン(CV雨宮天)がストⅡの春麗っぽい。一瞬スピニングバードキックのカットいただきました。{/netabare}

3.{netabare}本作MVPはシャーレン雇い主のおっさん。かっこよさが群を抜いてました。{/netabare}

4.{netabare}いやアルのお付きソフィア(CV折笠富美子)かも。テキーラをショットでいける女性には惚れる。{/netabare}


■いいよね!近現代

100年前くらいの設定。場所はアメリカ。街並み背景が楽しいです。このちょっと昔ってのがやっかいで、大昔なら山村の田舎を想像しながら文明の利器を排除すりゃOKで済むのがそうはいきません。
同じP.A WORKSの『天狼』では昭和初期でした。こちらも背景画が楽しかった作品。しっかりノウハウ溜めてると思うので、この“ちょっと昔の世界”で大作つくらないかしら?とひそかに期待してます。
いい脚本家呼んでくださいね。



視聴時期:2020年7月~9月 リアタイ

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2020.09.26 初稿
2020.11.02 タイトル修正
2021.06.16 修正

投稿 : 2024/04/20
♥ : 42

ストライク さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

明治末のキャノンボール

最後まで観た感想

明治末にアメリカで行われたキャノンボールでした。
まぁ 面白かったです。
最初はキャラ紹介もあってなかなかレースが始まらず、ヤキモキもしたんだけどね。^^;
いざ始まってみると、いろんなアクシデントがあってもライバルたちとの友情?などがあって、強力したりする場面があり、それはそれで素晴らしくて美しいかもだけど、なんだか なあなあな関係というか・・・
もうちょっと自分以外は敵というか、シビアにレースに挑んで欲しかったような気もしました。
レース終盤は、ギル・T・シガーの妨害により、レースそっちのけで「サウザンドスリー」退治に話が変わってしまい、なんだかなぁーで、これじゃない感が(苦笑)
これ
ドラマだったけ?って思ったよ。
でもまぁ、最後はちゃんとレース再開して決着もついたので、まぁ そこそこ満足できたかな?
でもやっぱり僕としては、もっとレースメインで抜きつ抜かれつのハラハラドキドキをメインに見てみたかったです。


どうでもいいつぶやき
天晴って車の免許 持ってたの?



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最初のレビュー


P.A.WORKSのオリジナルですかね?

時代設定は明治末らしいけど、これ 子供の頃観た映画「キャノンボール」まんまの内容です。
一応3部作まであるけど、1と2にはジャッキー・チェンも出演してます。
(1ではスバル レオーネ。2では三菱 スタリオンに乗ってました)
なついです。(誰か観てる人いるかなぁ?)

アメリカ大陸横断レースなので、必ずしも早い車が勝つ訳じゃなく、耐久力や運も必要なので面白いんですよね。
本作のキャラでは、無頓着で発明化みたいな天晴と、刀を携帯する士族の下級役人 小雨との凸凹コンビで、なんだかんだで良いコンビだと思います。
他のキャラは今後出てくるだろうけど、キャラは大事なので面白い奴 期待したいです。

しかし
コロナの影響で3話まででストップ。
残念ですわ。
どのくらいの期間延期するか分かりませんが、いきなり4話から始まっても細かなとこ忘れてる自信があるので、また1話から放送始めてくれると嬉しいんですが。。。

幾つかの作品が延期になってますけど、早くいつも通りに戻って欲しいですね。
てか、これを期に アニメは完全出来上がってから放送決定した方がいいんじゃないかと思いました。

投稿 : 2024/04/20
♥ : 32
ネタバレ

pister さんの感想・評価

★★★☆☆ 2.2

冒険しない冒険

5話までの感想{netabare}
悪くはない、悪くはないのだけど「なかなかレース始まらないなぁ」、「全何話か知らないけど早くレース始めないと放送終わっちゃうぜ」って感じで4話までヤキモキしたのが本音かな?
とはいえレースでいちいち回想シーン入れられても困るのでここら辺の匙加減はなんともいえない、とりあえず5話でレース始まってよかったよかった。
ところでキャノンボールやチキチキを髣髴とさせるという指摘が多いが、個人的には小雨が“一休さん”の新衛門さんに感じて仕方ないw、どれも狙ってのことだろうけど。
ついでにチキチキは殆ど記憶に無いのだが、「より原始的な構造の方が壊れにくい・(マシントラブルなど起きたら)最後は乗り手の体力勝負」ってことを当時思ってか思ってなくてか岩石オープンが一番好きだった…と思う。
こっちはエンジニアに焦点を当てた作風のためあんな原始人を登場させるワケには行かなかったのは分かるが、世代ならケンケンのモノマネは誰でもやったハズで、こっちにはそれが居ないのは…どういうこっちゃー!!{/netabare}

7話までの感想{netabare}
マーチャン…ゲフンゲフン、小動物キター!
これで特徴的な笑い方をしてくれたらそれだけで色んなものが許せてしまう気分だけど、さすがにそこまであからさまじゃない?
でもってメインの話は──

天晴、お前人の心があったのか!

この先レースを通じてそこら辺を獲得してく展開になるのかね?
小雨もなにかトラウマを抱えてるらしくそっちの掘り下げも期待したいところだけど、敵討ちはとっくに済ませててその時の感触が恐かったりして?
いやだってアメリカで敵に遭遇って無さそうだし。
そのうち小雨「お前は人を殺したことがあるかい?」とか言い出さないかなー、どうかなー。{/netabare}

10話までの感想{netabare}
あ、知ってる、これ小雨が天晴号のAIになる展開だ。
と冗談は程ほどに、そんなことは無いだろうけどもしそうなったら非難轟々になろうが私は絶賛するぞw

と、最新話の感想を先に書いてしまったけど、いやはやどうなんだろうね?
8話小雨がアッサリと刀を抜いて悪者やっつけて「え、それで終わり?」と肩透かしを食らったかと思えば、9話温泉回ではそれぞれキャラが立ってて面白かった。
天晴が考え事をしなから町を歩いて周囲がしっちゃかめっちゃかってのは昔ながらのキッズアニメ調で懐かしさすら覚えた。
次回以降への「引き」も、ルート変更でよりにもよって妨害を仕掛けてる鉄道会社のお膝元でレースを続行することになり、さーてどれだけ妨害をかわしながらレースをするんだろう?と期待を持たせといて…。
10話これかい!
レースしねぇなぁ…。
まぁ私はこの作品の方向性をよく理解してない(=期待してない)のでレースしなくても別にいいやと思うようになってるけど、車まで破壊して、いよいよもってレースする気はないと断言された気分。
つか人間が超人すぎひん?これなら人が車背負って走った方が早いんじゃないか?{/netabare}

総評(これだけ読めばいいかも){netabare}
なんだろうね、奇抜なレーシングカーが続々登場する作品かと思ったら人間の方がトンデモだらけ。
で、そんなトンデモ人間出すのなら奥歯に加速装置仕込むなり生身で列車止めるなりすりゃいいのにそれは無しで煮え切らない、中途半端。
ギルを倒すのは天晴のビックリドッキリメカにするとか、最終回の最終コーナーも小雨が夏実ブレーキ(“俺たちは天使だ”“逮捕しちゃうぞ”ネタ)するなり3人で生身の足で壁走りすれば、それまでの「ん?」って部分も帳消しに出来ただろうに…。
何を見せたかったん?がブレブレというか、企画当初は面白いアイデアだったものが、会議を繰り返すうちに無難なモノになってしまったような、そんな感じ。
あーあれだ、「手に持った爆弾が爆発する」で例えると、バラバラに砕け散って肉片飛び散らせるのと黒焦げアフロでケホっと煙を吐くの、2パターンが同じ世界に混在してる感じ。

最終回まで見てから思い返してみて、そういったチグハグ感が顕著だったのは4話になるかな?
シャーレンが女性でもレースドライバーを務められることを証明するために本職のレーサーと勝負する回。
その中で対戦相手が意図的に接触して、シャーレンのドライブテクで大惨事になることを防ぎ、対戦相手が親方にブン殴られる展開があるのだけど…。
これで「ああ、この作品はちょっとでも接触したら大変なことになるリアル寄りな世界なのね」と誤解してしまう、実際はリアルそっちのけのトンデモ人間大集合なのに。
更に、じゃあそのシャーレンのドライブテクはのちに発揮されるシーンがあるのか?といえば、無い。
思い返せば思い返すほど4話要らない。

それと12話、荒野の7人だか7人の侍をやりたいんだか知らんし、胸ポケットにしまったコイン(コインじゃないけど)のお陰で銃弾防ぐネタって…今更?
だったら小雨がジルに撃たれた時、懐に入ってた小ホトトに当たって助かったでいいじゃん、アルマジロにでもしてさ。
更に松田優作ネタって…最近でも“バナナフィッシュ”でそれほど反応芳しくなかったと思うのだけど…。
なんか噂では監督は“チキチキマシーン~”を見てないとのことなのだが、見てないと知らないはイコールじゃないよね?
松田優作ネタ使う暇があるなら小ホトトにあの笑い方をさせろよと…昔の作品のパロやるんだったらさ。
同期放送の“デカダンス”の「アクシズ返し」はナツメにやらせることが無い・居る意味の無さを誤魔化す狙いだったと思うのだが、こっちは意図が分からない。
同じく同期放送の“ラピスリライツ”は毎回ひと言パロネタを入れるという縛りをやってたみたいなのだけど、それに比べるとこっちのパロ入れるタイミングの下手さが目立つ。
ちょっと前やった“グランベルム”の「スイカバー」は、もう作画班が一杯一杯で仕方なく…というのが実情らしく、こっちも同じ理由?と考えるにはちょっと無理がある。
どうにもこの煮え切らなさがもどかしい。
あ、シャーレンの戦闘シーンはバーチャ2か3辺りを意識した?
残念、そのネタは“ハイスコアガール”でもっと上手に料理してます。

その一方、ギルが鉄道会社を裏切った件は…これは私が富野作品の見過ぎなのかな。
「最初から裏切るつもりで、資金や物資をせしめられるだけせしめようと従ってるフリをしたんだろう」と解釈してそんなに変には思わなかった。
但しこれはあくまで個人的な勝手な解釈で、実際は作中でそんな描写は一切無いし唐突だという意見も分かる。
結局既存作品のイメージにおんぶに抱っこでやり過ごしたってことになっちゃうのかな?


先述の通り監督はチキチキ~は見てないそうで、だからといって作品から若さを感じない。
アイデアの尽きた老人が既存イメージに寄りかかって手癖で書いただけのような無難さというか退屈さというか。
で、冒頭に書いた「企画当初は面白いアイデアだったものが、会議を繰り返すうちに(老人の横槍のせいで)無難なモノになってしまったよう」という結論に行き着いた訳ですが…実際は知らんけどね。
守りに入った作りと言い換えてもいい。
もう少し思い切ったことしてもいいと思うんだけどなぁ…オリジナルじゃ難しいのかなぁ?{/netabare}

投稿 : 2024/04/20
♥ : 19

61.1 2 西部劇でアメリカなアニメランキング2位
荒野の少年イサム(TVアニメ動画)

1973年春アニメ
★★★★☆ 3.3 (11)
44人が棚に入れました
東京ムービー(現・トムス・エンタテインメント)が製作放映した、異色の西部劇アニメロマン。大西部に生まれて母と死別、父とも生き別れた少年イサムは、紆余曲折の末にならず者・ウインゲート一家に拾われる。犯罪者予備軍として養育されるイサムだが、その内なる正義感は彼が悪の道にとどまることを許さなかった。周囲の人の支援を背に、イサムはウインゲート家に逆らい、一人前の正義のガンマンになっていく。原作は『少年王者』などで知られる巨匠・山川惣治の絵物語を、川崎のぼるがリメイクした西部劇劇画。同じ川崎のぼる原作のアニメ『巨人の星』の主力アニメーターだった楠部大吉郎が、作画監修の立場で参加する。

計測不能 3 西部劇でアメリカなアニメランキング3位
カラミティ(アニメ映画)

2021年9月23日
★★★★★ 4.4 (6)
24人が棚に入れました
『カラミティ』は、西部開拓史上、伝説の女性ガンマンと知られるマーサ・ジェーン・キャナリーの子供時代(11歳)の物語です。マーサは家族とともに大規模なコンボイ(旅団)で西に向けて旅を続けていますが、旅の途中、父親が暴れ馬で負傷し、マーサが家長として幼い兄弟を含め、家族を守らなければならない立場になってしまいます。普通の少女であったマーサは、乗馬も、馬車の運転も経験がありません。そんなマーサは、少女であることの制約に苛立ち、家族の世話をする義務をよりよく果たすために少年として服を着ることを決心します。女性は女性らしくという時代にあって、マーサの生き方は、古い慣習を大事にする旅団の面々と軋轢を生みます。更にマーサを野獣からの危険から救ってくれた中尉をコンボイに引き入れたことで、盗みの共犯の疑いまでかけられてしまいます。そして……。

けみかけ さんの感想・評価

★★★★★ 4.8

「ロング・ウェイ・ウエスト」アメリカでもマカロニでもなく【フレンチ・ウエスタン】が導き出した現代への回答

アメリカ西部開拓時代に実在した史上初の女性ガンマン、カラミティ・ジェーンことマーサ・ジェーン・キャナリーの少女時代を描く82分のフランス&デンマーク合作映画
長篇アニメ映画初の全篇Flash作品であった『ロング・ウェイ・ノース』のレミ・シャイエ監督の下にスタッフが再集結
今作でもアウトラインを廃したアーティスティックな画作りが特徴です


荒野を新天地へと向けて進む幌馬車隊の中に幼い妹や弟の面倒を見る少女、マーサ・ジェーンの姿があった
一家は貧しく、母は旅の途中で亡くなり、父も幌馬車隊の中ではうだつの上がらない立場にあった
一家を支えなければ、と強気な性格のマーサは旅団長の息子でやや傲慢な性格のイーサンを相手にしても怯まなかった
だが女性は控えめに構え、幸せな結婚を望む・・・という事を強要されていた時代
保守的な旅団長や幌馬車隊の仲間達、さらに実の父親からもマーサの破天荒な性格は煙たがられていた
そんなある日、マーサの父は大怪我で動けなくなってしまう
イーサンに貸しを作りたくないマーサは投げ縄を練習し、馬の扱いを覚え、スカートではなくジーンズを履いた
マーサの行いは当時の人々にとってまさに奇行そのものだった
しかしそんなマーサの行動力は運悪くも裏目に出てしまい、とうとう仲間達から家族共々「カラミティ(疫病神)」と呼ばれてしまう・・・


『ロング・ウェイ・ノース』では煌びやかなロマノフ朝時代のサンクトペテルブルクと北極の雪原を見事に対比させたレミ・シャイエ監督でしたが、今作では前作と真逆の色使いをするアメリカ西部開拓時代の荒野や森林が舞台
これをアウトラインを廃したデジタル作画で表現するとなると、単純に色数が増えて工数も増えるので大変です
しかし完成した映像は雄大なアメリカの自然を美しく表現しており、ある意味写実性とはかけ離れた画作りをしているにも関わらず非常に説得力を持っているのが素晴らしい
まさに“絵が動く”事への感動を思い出させてくれる、とてもアニメーションらしい作品だと思います


個人的には最近『ノマドランド』という中国人監督が撮ったアメリカのロードムービーを観たんです
日雇い生活をしながら各地を転々と放浪する高齢者達を描いた作品だったのですが、そこでアメリカンドリームの原点とは商売をして大金持ちになる事じゃなく、西部開拓時代の様に広大な大地を自らの意思で駆け回る事にあるのやも・・・?と描かれていたんですね
だから今作もアメリカ人のアメリカ映画ではなく、フランス人のフランス映画だからこそアメリカの自然の美しさに気付けたんじゃないかな、と感じました


また今作は女性の解放を謳った昨今流行りの路線の作品ではあるものの、アメリカの、特にアメリカのアニメでは忌諱されがちな過激な表現が随所に観受けられます
悪役が女性キャラの首を絞めるカットをポスターにしただけで抗議文が寄せられ、しかもそれが取り沙汰される様な国ですからね、今のアメリカは
ところが今作で疫病神扱いされるマーサは結構露骨に虐げられます
顔を打たれるシークエンスすらあります
フランス映画を観慣れてると思うのですが、フランス映画って未だ暴力、セクシャル、人種に対して過激な表現が比較的許容されてると感じます
もし同じ題材を現在のアメリカで映画にしたら、もっとずっとぬるい作品になった事でしょう
そんな意味でも今作はレミ・シャイエ監督らしい作品になったと思います


その一方で映画が終わる頃にはちゃんとマーサが愛おしく感じる様に上手く出来ているんです
マーサは劇中で実に3回、細かい変化を加えるとそれ以上に衣装が変わります
服や髪型が変われば可愛くもカッコ良くもなれる
マーサは自由な生き方を象徴する存在であるといえます


そして『ロング・ウェイ・ノース』もそうでしたが今作も実は史実に沿ったお話ではありません
そもそもカラミティ・ジェーンの伝説は都市伝説的に様々な逸話が残されています
それこそ既に数本の西部劇の題材にされ、最近だと『Fate/Grand Order』に登場する等、作品毎に描かれ方は様々です
今作はそれを逆手に取り、そもそもマーサ自身が人々に話を語る時に【話を盛りがちだった】という部分に着目しているのです
つまりこの映画とはカラミティ・ジェーンの伝説の一つにしか過ぎず、それが実話が否かは全く問題ではないというところに着地してるのですね
故・高畑勲監督に「映画的な嘘が上手い」と言わしめたレミ・シャイエ監督のこれぞ真骨頂といったところでしょう


さて、原語のフランス語版だけでも世紀の傑作だと思ったのですが、せっかく日本語吹替版も制作されたのでそちらもチェックしました
これが本当に良く出来ているんです
まずマーサ役に起用された新人声優、福山あさきさんのお芝居が心の底から上手い!
マーサの役柄やオリジナルキャストのサロメ・ヴルヴァンの声質とも完璧にマッチしていました
エンドロールでカントリーミュージックを意識したシャンソンの主題歌が流れるのですが、吹替版だとこれを日本語訳にしたバージョンが流れるんですね
そしてこの歌の歌唱もバッチリ嵌っていました
フランス語、日本語、どちらもオススメ出来る完璧な作品に仕上がったのは貴重です
クライマックスとなる金鉱のシークエンスはどちらのバージョンでもお芝居がとても丁寧で聴き応えがあります
ですので是非片方だけとは言わず両方楽しんで欲しいと願います

投稿 : 2024/04/20
♥ : 5

ねごしエイタ さんの感想・評価

★★★★★ 4.5

一方通行まっしぐら、自分を貫いた少女の話

 吹替版を見たです。西部開拓時代、住む街をめざす馬車による集団移動の旅において、家族を守るために男として振舞う少女、マーサの冒険を描いていたです。

 もともと男勝りだったマーサは、うまく集団に溶け込めないようで家族以外からは、ギスギスした雰囲気があったです。女性は結婚することに強い執着を持つ環境下において、慣習にとらわれない真直ぐなマーサの存在、主張、生き方を受け入れない状況だったです。

 ある日、野獣から助けてくれたサムソン中尉をみんなに合わせることで、後でマーサが思わぬ濡れ衣を着せられるです。
 濡れ衣を晴らすため、マーサは家族を置いて集団を離れ、旅に出るのです。そのさなか、出会いそれを通して、目的を果たす方向に進むのです。
それまでの過程が、語るには長い展開だったです。
 嘘と演技を繰り返したり、少年勝りな行動そのすべてがマーサをとてつもなく成長させていったです。

 目的を話し、家族やみんなのもとに変えてきたマーサの姿は、薬業紙でなくなっていたです。マーサの行動は、みんなを納得させ分かり合う姿が、罷業に良かったです。題名の「カラミティ」とは何なのか?、分かる時が来るのです。自分らしく生きるということを、見せてくれたお話だったです。

 日本にはない絵画のような、絵の具で描いたような美しい風景、独特のキャラクターが、いい味出していたです。なかなか面白いかったです。声優さんもなかなか良かったです。字幕はしらないけど、EDのマーサが、歌っていると思われる歌が分かりやすくこのアニメの世界感にあってて良かったです。

投稿 : 2024/04/20
♥ : 2
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