飛行機で冒険なおすすめアニメランキング 5

あにこれの全ユーザーがおすすめアニメの飛行機で冒険な成分を投票してランキングにしました!
ランキングはあにこれのすごいAIが自動で毎日更新!はたして2024年04月25日の時点で一番の飛行機で冒険なおすすめアニメは何なのでしょうか?
早速見ていきましょう!

64.6 1 飛行機で冒険なアニメランキング1位
フラクタル(TVアニメ動画)

2011年冬アニメ
★★★★☆ 3.4 (813)
4298人が棚に入れました
舞台は世界を管理する“フラクタル・システム”が完成し、人類が働かなくても生きていける楽園に足を踏み入れてから1000年後の未来。システムはかろうじて稼働していたが、誰もシステムを解析することはできず、ただ維持し続けることが幸せの条件だと信じて疑わなかった。しかし、大陸の片隅ではフラクタルが崩壊し始めていた。漫然と日々を生きる少年・クレインは、ある日何者かに追われ崖の下に転落した少女・フリュネを助ける。少女との出会いに心躍らせるクレイン。だが、フリュネはブローチを残しクレインの前から姿を消した。ブローチに残されたデータには、少女の姿をしたアバター、ネッサが閉じ込められていた。ネッサとともにフリュネを探し旅にでるクレイン。そこで彼は“システム”の秘密を知ることになる―

声優・キャラクター
小林ゆう、津田美波、花澤香菜、井口裕香、浅沼晋太郎

たま。 さんの感想・評価

★★★☆☆ 3.0

監督において、まだその域に達していない

アニメ『涼宮ハルヒの憂鬱』においていきなり一話目にわけのわからない映画作品を見せ原作好きをあっとおどろかせ、またアニメファンを驚かせ、脚光を浴びた山本寛監督作品。

一話目以降はもう詐欺ですね。
あれだけ監督がBig mouthを叩いていたのにも関わらず、
ひどい出来です。

アニメ好きには媚びない、時代に流されない作品を作るって言っていたのにも関わらず、アニメファンが食いつきそうなネタを随所に意味もなくちりばめ、肝心の話はわかりにくく、説明不足。尺は足りていたのだから、不要なパートは省いてもっと説明したいことを、言いたいことをコンパクトにまとめればよかったのに。世界設定とあのキャラクター作画で、どう料理したらこんなに不味いアニメが出来上がるの?ってくらい酷い。

結局言いたかったことがなになのかがボヤけてしまっているのが最大の原因かな。愛の話がしたかったのか、世界系の話がしたかったのか?世界系の話をするなら、まずはもっとフラクタルの世界観をはじめにきっちり説明して、それから、主人公がフラクタルに疑問を持ち、ロストミレニアム活動にまき込まれていき、世界の成り立ちを知る、メリハリをつければいいのに。主人公の立ち位置は微妙だわ、なぜかわからないままどんどんわけのわからない方向に話を進めていくわで、とても見れたものではありません。

これは見ることをお勧めできません。どうしても見たい方は、ネタとして、ヤマカンの引退作として見てあげて下さい。

ヤマカン、素直に引退して下さい。

投稿 : 2024/04/20
♥ : 9
ネタバレ

雀犬 さんの感想・評価

★★★★☆ 3.6

ヤマカンとあずまんと、時々、マリー

【概要】
 2011年冬。原作に思想家の東浩紀ことあずまん、脚本に岡田麿里ことマリー、監督に山本寛ことヤマカンという豪華制作陣で送るオジリナルアニメ。アイルランドを舞台に繰り広げられるSFファンタジー。放送前の期待値は高かったのだが、結果は撃沈。コミカライズを担当している漫画家から「こんなつまらない作品の連載を続けたくない」と愚痴られて揉めたり、原作のあずまんから「監督が耳を傾けてくれたらいいアニメになってた」と後日批判されたり、作品の内外問わず悪評高い作品でもある。

 駄作といえば「フラクタル」、「フラクタル」といえば駄作。2010年代の有名クソアニメとして必ず名前の挙がる不名誉な作品。クソアニメと言っても最近ありがちな「いもいも」「メルメド」等の作画崩壊系ではなく作画はむしろ良い。(特に第7話は凄いと思う。)でも作画が良いということは裏を返せばそれだけ製作費がかかっているということであり、事前の宣伝も力が入っていたらしく、放送後ヤマカンは最大の戦犯としてボロクソに叩かれたそうだ。

 評判的にもパッケージの売上的にも散々な結果に終わったフラクタル。原作のあずまんは「震災があったのにサブカル批評なんてやってる場合じゃねえ!」と早々に逃亡。マリーは同年「花いろ」「あの花」等のヒットで汚名返上できたのだが、「この作品が失敗すれば引退も辞さない」と事前に決意を語っていたヤマカンのダメージは大きく、カリスマ的な権威は失墜、その後は奈落に落とされるようにして、先日破産にまで至ったのである…

 フラクタルについて、ヤマカンはBLOGでこう語っている。(何を隠そう、僕はヤマカンBLOGの愛読者なのだ。)
 https://lineblog.me/yamamotoyutaka/archives/13018660.html

 この記事の後も「フラクタルは名作、ネットの評判に潰されただけだ」「フラクタルは必ず再評価される」など自己弁護的な発言を繰り返しているヤマカン。往生際が悪いにもほどがあるのだけど、彼はフラクタルが失敗作だとは絶対に認めたくないらしい。そこまで意地になるフラクタルとは一体どのようなアニメなのか、気になっていたので観てみた。

【感想】
 結論から言うと作画が良くて、音楽も良くて、世界観も深くて、声優さんも上手くて、それでいて心躍るものがないという、何とも残念な作品でございました。世間の評判と大差ない感想になってしまったんだけど、「つまらない」と言われる原因ははっきりしているように思う。

 1つはフラクタルシステムに関する設定が分かりにくく、最後まで見ても何を訴えたかったのか漠然としている点。もうひとつは主人公のクレインが受け身体質で、理不尽な出来事に巻き込まれながら淡々と話しが進んでいくため盛り上がりに欠ける点。見た目はジブリ風の冒険活劇で、特に「天空の城ラピュタ」を連想させる雰囲気を醸し出しているのにワクワク感や達成感、人物の成長を感じられる場面に乏しく見た目とのギャップが大きい。王道の冒険ストーリーを期待すると失望することになるだろう。

 フラクタルのストーリーのあらすじはこうだ。(公式ページから転載)

 “世界を管理する「フラクタルシステム」が完成し、人類は史上初めて、もはや働かなくても生きていくことができる圧倒的な楽園に足を踏み入れた。それから千年 ―― システムはいまだに生き残り稼働し続けていたが、もはや誰もそのシステムを解析できなかった。多くの人々が、その維持こそが、人類の幸せの条件だと信じて疑っていなかった。物語は、そんな「フラクタル」が崩壊し始めた、ある大陸の片隅の島で始まる。漫然と日々を生きる少年・クレインは、ある日何者かに追われ崖の下に転落した少女・フリュネを助ける。少女との出会いに心躍らせるクレイン。だが、フリュネはブローチを残しクレインの前から姿を消した。ブローチに残されたデータには、少女の姿をしたアバター、ネッサが閉じ込められていた。ネッサとともにフリュネを探し旅にでるクレイン。そこで彼はシステムの秘密を知ることになる”

 要するに典型的なディストピアものであり、ボーイミーツガールである。その定型に従えば、主人公のクレインが世界の危機に勇猛果敢に挑み、一目惚れした少女フリュネを助け出し、フラクタルシステムの再起動を阻止し、デカダンスに陥っている人々の生活に潤いを取り戻す…というストーリーが頭に浮かんでくる。ところがこのアニメは視聴者の予想を見事に裏切ってくれるのだよ。

 {netabare}主人公クレインはフラクタルを否定し昔ながらの生活を是とする集団「ロストミレニアム」と出会うが、彼らは暴力に訴えるテロリストという一面があり全幅の信頼を置ける仲間とはいえない。見続けると、フラクタルシステムに依存する暮らしが当たり前になった世界で、システムを停止させることが正義なのか段々疑わしくなってくる。システムの管理者であり存続を図る「僧院」とシステムの破壊を狙う「ロストミレニアム」の間で板挟みになったクレインは確固たる信念を持って行動できない。そもそも設定上、彼に人々を動かし世界を変えるだけの力は一切与えられていない。見ている側からすると非常にもやもやする。

 フリュネへの恋心はぶれないが、フリュネが「何を考えているかよく分からない」女の子で話も噛み合わず、勝手に行動するから盛り上がるはずの恋愛要素で全く盛り上がらないという状態。{/netabare}

 以上、ヤマカン自身も認めているように本作はエンターテイメント性が希薄で分かりやすい面白さがないんだよね。(そこは認めておきながら、なぜ名作だと言い張るのか…)これでは「退屈」「楽しくない」「何をしたいのかよく分からない」といった感想が並ぶのも致し方無い。僕は嫌いじゃないんだけどね。少なくともハルヒ1期より好きだ。(フラクタル以下ってどんだけハルヒ嫌いなんだよと突っ込まれそうですが)

【考察】
 この不人気アニメの考察を読みたい人がどれだけいるか疑問だし、見たことある人自体少なそうだけど、折角なので書いてみよう。

 ネット上のログを見るに、原作のあずまんは制作の途中で「あなたが入ると話がまとまらない」と脚本会議から追い出され、どうも後半のストーリーは彼の構想とは違うものになったらしい。したがって本来のフラクタルについては勝手に想像するしかないのだけど、あずまんがやりたかったのはトラウマを抱えた可哀想な少女を救うKEY的な物語だったんじゃないかと思う。東浩紀ことあずまんはポストモダンという視点でサブカルチャー批評を行い話題になった人だが、「動物化するポストモダン」や「ゲーム的リアリズムの誕生」を読めば分かる通りアニメよりも美少女ゲームに造詣が深く、とりわけKEY作品が大好きなんだよね。(いわゆる鍵っ子)

 それを踏まえるとフリュネの不幸な境遇、ネッサの純粋無垢な性格はKEYヒロインにありがちだし、フラクタルシステム自体は緻密な設定を構築しておきながら再起動の鍵になるのが16歳の少女という物語の核心的な部分について何のロジックもないというのもある意味でKEYっぽい。美少女ゲームの「運命」や「奇跡」って往々にして理由付けがなかったりする。

 「ゲーム的リアリズムの誕生」によればノベルゲームには「メタ物語的」な構造が見受けられるという。あずまんは自著で「ひぐらし」「AIR」「ONE」などの作品を取り上げ、これらの作品にはゲームのプレイヤーとゲーム内の主人公の視点を同一化させてしまう巧妙な仕掛けが施されていることを説明している。たとえば「ひぐらしのなく頃に」はストーリー自体は一本道で購入者はクリックして話を進めることしかできないのにも関わらず、各編は選択肢に失敗したがゆえのバッドエンドであるかのように錯覚し、プレイヤーは自分の力で物語を正しい在り方へと導くような感覚があるといった具合だ。

 フラクタルが「メタ物語的」な想像力を実践する作品だとすれば、わがままで自分の意のままにならず話の通じない一方、なぜか惹かれてしまうし性的な存在でもあるフリュネは現実の女性の象徴、人懐っこくいつも笑顔で自分の身近にいてくれる一方で、実存しないアバター「ドッペル」でしかないネッサは虚構のキャラクターの象徴だと思えてくる。

 ここに自分を愛してくれるのは実体のない二次元キャラで、本当に愛されたい三次元の女性とは分かり合えないという悲しい構図が見て取れる。あずまんは視聴者をこの皮肉な構図に嵌め込み、男性の不能感(フリュネを救えないバッドエンド)あるいは全能感(フリュネを救うハッピーエンド)をトコトン味わわせて泣かせようという魂胆だったのではないかと予想する。ヤマカンに没にされ小説版フラクタルもなかったことにされた今となっては想像しても詮無き事ではあるが…

 結局フラクタルはヤマカンが作りたいものを作ったことになるのだけど、「アニメ業界批判(藤津亮太)」、「80年代への回帰(宇野常寛)」といった評論家の方々の評価は少し外れているように思う。萌えアニメの台頭によってキャラクターが記号化・パターン化し、客に媚びた作品やストーリーを軽視した作品が増えているという問題意識は当然あるだろう。ヤマカンがBLOGやtwitter(問題を起こしすぎて現在はアカウント凍結されているけど)で度々言及していることだ。でも当時は批判一辺倒ではなく、もう少し前向きな気持ちで作っていたんだと思う。下記の対談記事で語っている内容が一番真意に近いのではないだろうか。

 http://www.billboard-japan.com/special/detail/99

 {netabare}最終回でフリュネはフラクタルシステムを再起動させるという道を選び、クレインもフリュネの決断を止めようとはしない。見せかけの虚構によって人々の心を支配するフラクタルシステムがアニメ業界のカリカチュアであり、仮に萌えアニメを業界から一掃したいという考えがヤマカンにあるならば本システムは唾棄すべきものであり、主人公たちに破壊する道を選ばせるはずなんだよね。でも、そうはしなかった。フラクタルの聖域でフリュネとクレイン、ネッサの三人は「神」なるものの姿を観るのだけど、スクリーンに映し出された神はただの女子高生で、彼女は「ネッサ」と名付けたウサギのぬいぐるみに愛おしそうに話しかける。この演出の意図するところは、アニメの視聴者とアニメのキャラクターの関係を女の子とぬいぐるみの関係にスライドさせ、キャラクターに抱く特別な感情(もちろん萌えも含めて)を人間らしい感情だと肯定しているように僕には思える。

 この後場面は一年後になり、クレインは自炊生活をしながらもドッペルの犬を可愛がっている様子が描かれる。要するにヤマカンは「萌え要素を残しつつも従来のストーリー重視でテーマ性も感じられるアニメを俺は作るから、お前らついて来い!」と言いたくて、これを作った当時はオタクと手を繋ごうという意志がまだあったんだと思うんですよ。だからこそフラクタルを批判されると反撥するし、このアニメを否定されると身を切られるようにつらいのではないだろうか。
 {/netabare}

 以上、長々と語ってきたけど、東浩紀のデータベース消費理論を知らない人にとって、人と社会の関係、消費者と創作物の関係に相似を見出すこと自体無理な話だと思う。(どうしてフラクタルのストーリーとアニメ業界の話が繋がるのか分からないはず)

 このアニメこそヤマカンが散々BLOGで言ってるスノビズムに冒されている作品のようにも見える。こんだけアニメについて熱く表現したところで視聴者からすると「そんなの知らんがな」で終わるような気がするのだけど、僕の思い過ごしですかね?やっぱりポタクの戯言ですか!?

 

投稿 : 2024/04/20
♥ : 21

Вистерия さんの感想・評価

★★★☆☆ 2.9

ヤマカン「子供を作りたくなるアニメです!キリッ」

なんというか、ね。惜しいアニメでした。
ストーリー原案の東浩紀はいい原案を持ってきたとは思いますよ。
フラクタルシステムを主軸にして社会派作品として持って行こうとしたんでしょうね。
実際社会派作品というのはアニメでなくてもそうですが
一般の視聴者が日頃漠然と持っている社会に対しての不満や問題意識を
はっきりとした形に仕上げて問いかけていくものだと思うんです。
その要素、素材として東浩紀は
フラクタルシステムやロストミレニアム、僧院といった世界観、原案を創り上げたんでしょう。
ここまではいいんですよ。

こういった壮大な世界設定の場合、最低でも視聴者が世界観に浸れるくらいには
その世界の構造や設定をクリアにして物語を進行すべきです。
しかし監督や脚本はそれを行わなかったが為に、いや、
行ったつもりでいたが上滑りで上手く表現できていなかったが為に
展開に置いてきぼりにされる視聴者が続出。
1クールじゃ壮大な世界観を表現するのに短かったという意見もありますが、
劇場作品なんて90分や120分足らずで世界観の説明から綺麗に落とすところまでやってのけていますよ。
よくラピュタに例えられていますが、そう考えて比較すれば一目瞭然です。

ストーリーの主軸や何を表現したかったのかは真剣に観ればなんとなくほんのり伝わってくるにも関わらず
この作品がこんなにも入り込めないものになってしまっている原因はやはり
指揮する監督の手腕としか言いようがありませんね…。
部分部分で心に残る描写もありましたが、
所々投げっぱなしの伏線や、説明を省いて突き進む部分が目立つのに
必要かどうか疑問に思う無駄な描写が入り込んでいることが
視聴者が首を傾げる原因になっているようにも感じましたね。
無駄を削って精錬することで濃密なストーリーが出来上がるってもんです。

というわけで総じての印象は
志は高いのに舌足らずで表現力に欠けた作品 でした。

雰囲気や設定は評価できるし、
音楽はいまいちですが作画も殆ど乱れず声優も頑張っていたので残念です。


もともとキャラクター原案の左さんが描いたイラストの雰囲気と設定が気になって見始めたのですが
まさかこんなことになるとは…
監督は子供を作りたくなるアニメと発言していましたが、
近親相姦や性的虐待を匂わせる描写のある作品でとてもそういう気持ちには…
かんなぎのときの例の事件を意識している感じは否めないですよね。

っていうかスンダどうなった


あ、最終回の意味が分からなかった人の為に説明のコピペ置いていきます。
以下ネタバレです。















































再起動にはオリジナルが必要らしい
オリジナル=神=最初のフリュネ(1000年前の女子高生)
将来再起動が必要になることを見越して、肉体と精神は分けて保存してた
精神=ネッサ、肉体=破片
700年後に実際再起動が必要になって、破片から10歳の量産フリュネを再生
そしてネッサと量産フリュネを合体させようとするも、何度やってもうまくいかない
それもそのはず、実はネッサは16歳の精神が10歳に退行したもの、肉体としては16歳の量産フリュネが必要だった
そして何も出来ないまま300年経過
1000年後に至り、ついにこの世に選ばれし変態オヤジが降臨
変態オヤジは廃棄される量産フリュネを趣味で飼育→16歳まで元気に育ちました→じゃあ合体させてみよう
ネッサ(16歳)+16歳の量産フリュネ=オリジナル復活
再起動おめでとう










投稿 : 2024/04/20
♥ : 12

67.9 2 飛行機で冒険なアニメランキング2位
ダンタリアンの書架(TVアニメ動画)

2011年夏アニメ
★★★★☆ 3.6 (716)
3922人が棚に入れました
蒐書狂(ビブリオマニア)である祖父から、古ぼけた屋敷とその蔵書を引き継いだヒューイは屋敷の地下で静かに本を読む少女、ダリアンと出会う。彼女は禁断の『幻書』を納める『ダンタリアンの書架』への入り口、悪魔の叡智への扉だった……。

声優・キャラクター
沢城みゆき、小野大輔

素塔 さんの感想・評価

★★★★★ 4.6

ゴシック―ロマネスク

ミステリー? いや、凝ったトリックも謎解きもないし、
魔法もの? といっても壮大な世界観もバトルもないし、
何やら不思議なアニメではある。
個人的な、ざっくりの印象で強いていうなら、
奇譚風に仕立てられた、正統派ヒューマンドラマといったところか。


幻書、というものをめぐって物語は展開する。
幻書とは、この世界にあってはならない禁断の書物で、
世界の秩序を変えてしまうほどの、恐るべき魔性の力を秘めている。

このアニメが最終的に人間ドラマとなる理由、それは、
各話それぞれの事件がつねに、おのれの歪んだ願望を遂げるために、
幻書のもつ強大な力を利用しようとする、世の人間たちが引きおこすものだからだ。

その結果、幻書を管理する立場にある主人公の二人が、
事件に巻き込まれるたびに、いやでもそこに見ざるを得ないのは、
人間のかなしい業であり、愚かさであり、狂気である。
二人とも、そうした人間模様を、どこか達観して眺めている風があって、
この作品を一貫する静かな、はかなげな雰囲気はどうもそこから来ているようだ。


ゴスロリ幼女に全部持っていかれた感はあるが、
主人公のヒューイはそれなりに魅力的なキャラクターだと思う。
一抹の影を帯びた、若くして老成してしまったような彼の人格の奥には、
確実に戦争の傷跡がある。この事実は11話で明らかにされる。
大空への無垢な憧れが壊されてゆく、この11話が、最も詩的で、美しい。
ラストは、来るべき次の動乱への予感をはらんで、張りつめた終末感を漂わせているようだ。

人間の最大の狂気としての戦争、どうやらこれが本作の隠しテーマであるらしい。
うっかり見過ごしていたが、全編見終えてから1話を見返すと、
過去のプレイバックの中に、しっかりと予示されているではないか!


舞台となる英国の風土を象徴する霧が、冒頭から立ちこめているように、
繊細な情景描写がストーリー以上に雄弁なのも、このアニメの特色だろう。
明暗のコントラストの効果は全編を一貫しているが、
とりわけ印象深いのは、しばしば描かれる月明かりの場面だ。
月は古来、狂気を象徴するものとされている。ここに、
隠しテーマの暗示を推測するのは、うがちすぎる深読みだろうか。


オープニングのソプラノ独唱に代表される、
静謐な作品世界のトーンを際立たせる音楽の素晴らしさも付け加えておきたい。
一方で、そうした雰囲気からは突出した異物のような、
エンディングの不気味な実写映像は何を意図しているのだろうか?

「この世界には知るべきでない事があるのです。」
・・・作中、ダリアンが時折つぶやく言葉だ。

決して見てはならない、知ってはいけない禁忌の領域の一端を垣間見せるために、
あえて実写を用いて、現実そのものに潜む禍々しさを象徴風に表現した、そう解したい。
おどろおどろしくも不思議に懐かしい、寺山修司の世界などに通じるものが感じられる。


最後に総評です。

いぶし銀のような渋さと、深い余韻が味わえる、玄人好みの秀作。
O・ヘンリーの短編などを好まれる文学愛好家には、特にツボかもしれません。
勿論、ダリアンの可愛さを愛でるためだけでも、断然、視聴する価値はありです。
(え? こっちが王道ですか? 失礼しました。)


(初投稿 : 2019/07/07)

投稿 : 2024/04/20
♥ : 10
ネタバレ

偽ニュー隊長 さんの感想・評価

★★★☆☆ 3.0

結局よく分からなかった(55点)

全12話。
ライトノベル原作。原作未読。

個人的満足点:55点
アニメ系統:ダークファンタジー

舞台は1900年ごろ?のヨーロッパ。
「幻書」によって引き起こされる出来事を
主人公ヒューイとダリアンが解決する物語。

作品の雰囲気はかなり好みだったが
どうも、毎回、パターンが同じで退屈。
さらに、急に話がすっとんでいくので大筋が見えない。

7話では急に新たな登場人物と読姫が出てきて
またもや、話がつながらない。
11話も何の前触れも無く過去の話が出てきて
新たな読姫?出現。
12話で3人とも出てくるが何のことだか意味が分からない。
雰囲気はお気に入りだっただけに少々残念な出来だった。

しかし、ダリアンはいい。
この毒舌に沢城さんの声。
毎話、ダリアン見たさにアニメを観ていたのは間違いない。
過去の自分の感想みても、ほぼダリアンで吹いたw

音楽の雰囲気は非常に良かったが
EDの実写が少々違和感を感じた。

全体的に残念な作りだった。
お勧めではないが沢城さん好きなら
それだけでいけるかもしれない。


と、まあ、残念な内容になってしまったが
つまり、何が言いたいかというと

ダリアン=真紅+翠星石 つまり俺得w


-----------------------------------------------------

以下、毎話後の感想。
ネタバレを含む場合があるので
未視聴の方はスルー推奨。

-----------------------------------------------------

{netabare}
1話視聴。

作品の雰囲気は結構好み。
今後、どのように物語が展開するのか楽しみである。

ダリアンの声優さんが沢城さんなのも見逃せない。
個人的にはダリアン役の沢城さんはかなりツボだ。
ダリアン可愛いよダリアン。
(真紅+翠星石と感じ「ゴチです」と思ったのは内緒w)


2話視聴。
作品の雰囲気はかなり好みぽい。
だが、面白いかと言われれば今のところ、そこまで面白みを感じない。
それでもダリアンが好きだわ。
アニメの雰囲気とダリアンだけでしばらくはいけそうw
来週も継続。


3話視聴。(3話、4話)
ダリアンが可愛い♪
スコーンを出すのですっ!
スコーンは?
可愛すぎるw

展開は相変わらず幻書のからんだ事件。
少々展開に飽きてきてしまった。
が、ダリアンが可愛いので継続w

4話視聴。(5話)
物語は可もなく不可もなくかな。
ちょいとグロイ所もあるので
グロ耐性が全く無い人は気をつけたほうがいいだろう。

そんなことより、ダリアンの1つ1つのセリフがいいね。
あのしゃべり方で毒吐くのがたまらないw
ダリアン可愛いよダリアン。

5話視聴。(6話)
なんだか飽きてきたw
毎話幻書がらみで事件が起きて解決の繰り返し。
何かこうもっと盛り上がる展開にならないものかな。
でもダリアン可愛いのでがんばります。

7話視聴。(8話)
あれ、俺のダリアンは?
ダリアンが出てこないんだが・・・
ダリアーーーーーン。
変わりに幼女思考の変態とガラクタなるものが出てきた。
一瞬違うアニメ見てるのかと思ったw
どうやら、主役はダリアンだけじゃないようだ。
話によって違うみたい。
ダリアンは「黒の読姫」でガラクタは「銀の読姫」らしい。
まあ、ガラクタもいい味出てたのでこれはこれでよしとしておこう。

8話視聴。(9話、10話)
ダリアン復活\(^O^)/
久しぶりにダリアンの毒舌が惜しみなく炸裂。
毒舌を堪能できて満足。
しかし、毎話同じことの繰り返しかな。
盛り上がりに欠けるね。

9話視聴。(11話)
作画が変わったのかと思ったw
どうやら本の世界に入っていたようだ。
うむう、しかし、毎回代わり映えしない。

10話視聴。(12話)
今回は楽譜が幻書みたいな感じ。
そして、いつもとあまり変わらない。
10話だな内容は12話。
次で終わりなのかな?

11話視聴。(13話)
ヒューイの過去の話かな?
何か意味がよく分からなかった。
来週まであるみたい。
ふむう、なんだか微妙だなあ。

12話視聴。
結局最後も意味が分からず終了。
まあ、ダリアンが可愛いので、許すとしようw
{/netabare}

投稿 : 2024/04/20
♥ : 31

color さんの感想・評価

★★★★☆ 3.3

ジジイだまれなのです

幻書という魔法の本みたいなものを巡って謎解きしたりバトルする物語。
気の強い美少女とその娘に振りまわされる青年という構図は現代のデフォルト。

全体的に目新しい要素はなく設定は単純明快でわかりやすい。
シナリオはよくできていて裏設定もしっかりしていることが窺えます。
インパクト不足とも言えますがその無難な感じがわりと好きな作品でした。

たまに主人公が出てこない(他のキャラに代わる)回があります。
ダリアンの悪態と紳士ヒューイでもっているような作品なのでその構成は不思議と思わざるを得ません。
2クール作品であれば自己紹介回で済むんですが、1クールの貴重な数話を削ってやるようなものではなかったかなと思います。

ありがちな雰囲気アニメの中でも、平均より若干下だと思います。
個人的には好きなので2期で伏線回収してくれればいいのですが...多分ないよね(苦笑)

投稿 : 2024/04/20
♥ : 27

65.5 3 飛行機で冒険なアニメランキング3位
とある飛空士への恋歌(TVアニメ動画)

2014年冬アニメ
★★★★☆ 3.5 (655)
3720人が棚に入れました
海の尽きる場所を、 空の果てを見つけるために。 僕らは空飛ぶ島・イスラに乗って旅に出た。
革命によりすべてを失った少年、革命の旗印とされた孤独な風呼びの少女……。
“空の果て"を見つけるため、若き飛空士たちはそれぞれの想いを抱えながら
空の孤島・イスラに乗り旅立つ。
友情、恋、冒険。
そして彼らには、守りたいものがあった。
少年少女たちの恋と空戦の壮大な物語がいま、はじまる。

声優・キャラクター
花江夏樹、悠木碧、竹達彩奈、石川界人、下野紘、立花慎之介、浜添伸也、田野アサミ、早見沙織、南條愛乃、丹沢晃之

ミミック さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

とにかくスケールが大きい

ラノベ原作で全四作の第二作目。(一作目はアニメ映画)

この作品の世界観は本来の球体の地球ではなく、
実は平面なのではないか?というファンタジーだが、
アニメを観ただけでは分からない部分が多いので、
観終わった後に考察などを読むことを推奨します。

本作は「イスラ計画」という空の果てまで行こう!
という政策だったのだが、裏では市民を欺いている
というもので、そのことに気がついた主人公を含む
訳ありの少年少女達がイスラという巨大な空飛ぶ島
に遣うのですが、空中で展開される物語が非常に面白い。

まず、ダブルヒロインの形をとり恋愛面での面白さ、
そして、空という大きなスケールを活かした飛行機での
戦闘シーン。どちらも細かく書かれていて何度観ても
違う方向で惹き込まれてしまう。

登場人物も友情、ライバル、恋愛と、どれを取っても
話には欠かせないキャラばかりで、話の進みも良く
観やすかったです。

投稿 : 2024/04/20
♥ : 22

敦賀迷彩 さんの感想・評価

★★★☆☆ 3.0

予告編観たとき、、

かなりの期待度でしたが、う~ん、今一つでした。

恋愛モノなのか、いや、悲恋なのでしょうが、盛り上がりが掛けてた気がします。
盛り上がりがに気を取られなければ、纏まっているお話しだとは思います。
ですが、初見のアタシにとっては舞台設定も分からなかったので、戦争相手国とか、よく事情が解りませんでした。

原作、読めと言うことでしょうか?

確か、キャラクターデザインの担当は、サクラ大戦の人だったかと。なんか、勿体無い作品でした。

投稿 : 2024/04/20
♥ : 8

ninin さんの感想・評価

★★★★☆ 3.6

悲しみも憎しみも超えて

原作未読 全13話

航空機が発達した世界で移動浮遊大陸イスラに都市を築き、「空の果て」を目指して行く、主人公のカルエル・アルバスを中心に所属する高等学校飛空科のお話を描いた恋愛戦争ファンタジー作品です。

前半は飛空科たちの訓練や日常のお話、後半からは飛空科も巻き込まれながら戦闘シーンが中心となります。

この作品は恋愛要素ももちろんありますが、私は吸い込まれそうな果てしなく続く青い空が印象的でした。コクピットの中から見た空、空戦の部分も迫力がありましたね。

設定が分かりにくい部分があったり、あっさりしていたところもありましたが、世界観は好きでした^^
まだ続くような内容ですが、その後のことがなんとなく予想ができるので切りがいい感じはします。

OP 作画はその先の出来事を暗示した内容ですね。
ED サビの部分が心に響きました。

最後に、飛空科が作っていた料理が食べたくなりましたね。やっぱり私は恋愛より食べ物に目が止まってしまいますw

投稿 : 2024/04/20
♥ : 35

57.1 4 飛行機で冒険なアニメランキング4位
R15少年漂流記(OVA)

2011年12月15日
★★★★☆ 3.3 (70)
520人が棚に入れました
『R-15 #すぺしゃる』は、2011年12月15日発売の小説10巻の限定版付属のDVDに収録されたテレビアニメ未放映エピソード。クラス対抗オリエンテーション大会優勝後のウィーン旅行からの帰国途中にUFOに襲撃され飛行機が墜落し、無人島(?)に漂着してしまうエピソード

アスクール さんの感想・評価

★★★★☆ 3.1

・・・・・まあこうなりますよね・・・・・・

まあ・・・・・・・・そうですね・・・・・このアニメでOVAやるんならこうならないと逆におかしいですよね^^


まあやりたい放題・・・アニメの方はまだストーリー性がありましたがこれは本当に・・・・・


R-15って皆さんどういう評価なんでしょう(?)このアニメは需要があるんですかね~

まあふざけてるのはこれの特徴なので別におかしくはないし、いいのかなあ(?)



まあてきとうに見てください♪



R-15は二期あるのかなあ・・・・評判によるとかでしょうか・・・・まあキャラを楽しむ上ではいいと思うんですがね~~


自分はストーリー性どうこうではなく作画はすきだったのでキャラを楽しむ上ではいいのかと思いました。



主人公が変態でなければ僕はもっといい評価なんですよぉ。

投稿 : 2024/04/20
♥ : 6

月夜の猫 さんの感想・評価

★★★★☆ 3.3

OVAにできる事?

R-15の続編。
最終話で逆転勝利してクラス全員でウィーンに旅立った・・
そして其の帰路で・・飛行機が大破?謎の無人島に漂着?

其処で主人公とメインヒロイン達によるめくるめく○☓△
お馬鹿な作品ですから想像通りの・・です。

色々とピンチに陥る度に主人公の文才が炸裂し未曾有の危機
を乗り越える・・TVではお見せできない内容もOVAなら・・

それでもやはり所々に何故あれがノーカットで此処が真白?
という自主規制ネタてき光や靄が。

演出的には完全にエロギャグ路線でモロ下品な方向。
タイトル見て視聴してると思うので当然といえば当然?

声優は相変わらず微妙だけどソコソコ笑えた。

投稿 : 2024/04/20
♥ : 1
ネタバレ

ユニバーサルスタイル さんの感想・評価

★★★★★ 4.6

番外編の無人島コメディ(お色気多め)

無人島に取り残されるという良くあるパターンのお話ですが、奇をてらった本編より素直に楽しめる分こちらの方がウケが良いと思います。
個人的に香学創ちゃん(CV:月宮みどりさん)が大好きだったので、{netabare} 三角木馬とか拘束責めとかHな目に遭う所があって {/netabare}それだけでこのOVAを買った甲斐がありました。
このアニメはキャラデザが可愛らしいので本当に勿体ない作品だったと思います。EDのSDキャラも可愛い。
同じようなモノで学生黙示録 HIGHSCHOOL OF THE DEADのOVAもオススメです。

投稿 : 2024/04/20
♥ : 3

63.2 5 飛行機で冒険なアニメランキング5位
アガサ・クリスティーの名探偵ポワロとマープル(TVアニメ動画)

2004年夏アニメ
★★★★☆ 3.5 (32)
166人が棚に入れました
舞台は1930年代のイギリス。その首都ロンドンを拠点に活躍する探偵、エルキュール・ポワロ。ベルギー警察で活躍した彼は、引退後、その明晰(めいせき)な頭脳と洞察力を活かし、探偵業をしています。紳士の身だしなみと、自信にあふれたものごしで、難事件を次々と解決します。
もう1人の主人公、ジェーン・マープルは、ロンドン近郊に住む、上品でおしゃべり好きな老婦人。素人探偵ですが、豊富な人生経験と鋭い観察力で、真犯人を突きとめます。名探偵2人をつなぐオリジナルキャラクターの少女、メイベル・ウエスト。ミス・マープルの甥の娘にあたる彼女は、自分の未来を切りひらくため、ペットのアヒル、オリバーと一緒に、ポワロ探偵事務所のドアをたたくのです。

声優・キャラクター
里見浩太朗、八千草薫、折笠富美子、野島裕史、城雅子

シャベール大佐 さんの感想・評価

★★★★☆ 3.9

推理物が好きな人なら普通に楽しめそう

ミステリーの女王アガサ・クリスティの2大キャラであるエルキュール・ポワロとミス・マープルのシリーズを原作にした推理アニメ。さすが原作がしっかりしているだけあって普通に面白いです。
原作にはないメイベルという女の子キャラをミス・マープルの親戚でポワロの助手という設定で登場させることで別々のシリーズを1つのアニメシリーズとして繋げています。全39話のうち、およそ3分の2くらいがポワロ回、残りがマープル回といった割合です。1つの事件は長いもので全4話、短いものは1話完結。個人的にはクリスティの熱心なファンというわけではないので(小説は代表作をいくつか読んだことがある程度。このアニメ同様にNHKで放送していたイギリス製作のポワロの実写ドラマは結構好きです)、オリジナルキャラを出すことにも特に違和感や拒否感はありませんでした。アニメの出来自体も手堅い作りで悪くないように思います。名探偵コナンや金田一少年が好きな人なら気に入るかもしれません。
また、ポワロ、マープルといった主要キャラから各回のゲストキャラまで、声の演技に有名俳優を多数起用しているのもこの作品の特徴です。各話でそれらのキャラが最初に登場するときは役名と声を演じている俳優名が画面に表示されるので、この人は声の演技も上手いなあとか、この人は声優は向いてないなあ、などと思いながら観るのもありかと思います。
音楽はBGMは良かったと思いますが、OPとEDは作品の雰囲気にあまり合っていなかったように感じました。

投稿 : 2024/04/20
♥ : 13
ネタバレ

石川頼経 さんの感想・評価

★★★★☆ 3.8

このミステリシリーズは面白い

推理小説原作原は推理漫画原作と違ってアニメには向いてないと思いますが、
この作品は面白かった。
声優が俳優が担当している人が多くイマイチという意見については、このNHKアニメの場合、あまり気にならなかった。
というか、むしろ合っていたと言っても過言ではない。
NHKアニメというのはなんだか独特の雰囲気があり、そういうのが許せるという良いという雰囲気がある。
某所で「不思議の海のナディア」と同じ製作スタッフが作っているらしい。確かに雰囲気はなんとなくは似ている。

ただ、気になった部分として、いわゆる黄金期の推理小説なら誰でも知っている事だが、
当時の欧米の量刑基準は正当防衛や精神異常などの例外を除いてほぼ殺人=死刑(イギリスでは絞首刑、アメリカでは電気椅子、フランスではギロチン)だったりする(だから推理小説では話しの締め方として犯人は逮捕されるより自殺するケースが多い)。
ほのぼのとした優しい雰囲気の本作の犯人たちにもそれが当てはまるとなると気が重い。
まあ、パラレルワールドであの世界の量刑基準は現実や原作とは違うのかもしれないが。

ポワロの性格は実は結構、原作に近い、むしろ実写化作品の堂々した紳士で隙のない雰囲気のポワロよりも、
あの、小太りのおっとりとした「食事、食事」と事件の解決より食べる事や日常生活を楽しむ事を優先させる緊張感のない性格はいかにもだ。

逆に原作とはかけ離れているのはミス・マープルで原作では、もっと過激な性格である。
犯人に対する怒りは強く「復讐の女神」という作品の題名はそれを語っている。
「パディントン発4時50分」やこのアニメにはなってないが「ポケットにライ麦を」という作品では最後の方で相当な暴言を吐いている。
そしてポワロは犯人に憐れみを感じた場合は自殺する機会を与えているのに対してマープルは犯人が勝手に自殺する事はあっても、彼女がその機会を意図的に与えるなんて事はない。
もっとも、マープル作品の犯人は邪悪な同情の余地のない奴ばかりだが。
アニメではその辺は改変されてマープルが犯人を気遣ったり、犯人に同情の余地があるようにされている。

また、原作マープル作品は「推理小説とは言えない」という評価もあり、マープルの推理思考も明かされない「直感型探偵」に分類されている。
そもそも、「嘘と邪悪はまるわかり」というキャラで「探偵」とは言いにくい。
あと、メイベルは今作のウリとも言われる可愛い魅力的キャラだが、こういう背景もある。{netabare} 実は原作の短編集『火曜クラブ』所収の「聖ペテロの指のあと」に「メイベル」というマープルの姪が登場するが、既婚者であり、なおかつ殺される被害者役である。また「知的障害がある」という記述もあり、一応、名前と「マープルの姪」という設定だけは借りているにしろ、アニメのメイベルとは別人と見ていい。 {/netabare}

投稿 : 2024/04/20
♥ : 12
ページの先頭へ