2019年度のProduction_I.Gおすすめアニメランキング 6

あにこれの全ユーザーがおすすめアニメの2019年度のProduction_I.G成分を投票してランキングにしました!
ランキングはあにこれのすごいAIが自動で毎日更新!はたして2024年03月29日の時点で一番の2019年度のProduction_I.Gおすすめアニメは何なのでしょうか?
早速見ていきましょう!

75.0 1 2019年度のProduction_I.Gアニメランキング1位
PSYCHO-PASS サイコパス 3(TVアニメ動画)

2019年秋アニメ
★★★★☆ 3.6 (435)
2190人が棚に入れました
「正義」は、新たな世界を切り開く。 魂を数値化する巨大監視ネットワーク・シビュラシステムが人々の治安を維持している近未来。シビュラシステムの導入後、日本は海外との交流を断ち、長らく事実上の鎖国状態にあった。2120年、開国政策により変革の刻が迫ろうとしている。変わりゆく世界で、犯罪に関する数値〈犯罪係数〉を測定する銃〈ドミネーター〉を持つ刑事たちは、犯罪を犯す前の〈潜在犯〉を追う。

声優・キャラクター
梶裕貴、中村悠一、櫻井孝宏、大塚明夫、諏訪部順一、名塚佳織、沢城みゆき、佐倉綾音、日髙のり子、宮野真守、中博史、田中敦子、日笠陽子、森川智之、堀内賢雄、矢作紗友里、関智一、野島健児、東地宏樹、伊藤静、本田貴子、花澤香菜
ネタバレ

101匹足利尊氏 さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

より刑事ドラマ寄りに最適化された3期目

【物語 3.5点】
TVアニメ2期で刑事ドラマ風の路線へ傾倒していった感のある本シリーズ。
3期では実写連続刑事ドラマでも多い1時間枠になり、傾向はさらに顕著に。

22世紀鎖国日本というSF要素も“開国”により後退。
外国人労働者を認知、受け入れ拡大に舵を切った
現代日本にタイムリーなネタも提供する。
その他、{netabare}宗教と政治と都知事選、アスリートとドーピングなど。{/netabare}

グローバル世界とつながり、罪をもゲーム化して希釈し、
無自覚化する21世紀型の巨悪も息を吹き返す。
その権化たる「ビブロスト」と公安局刑事課一係らとの対峙がメインストーリーの軸。

一方で、この状況に対する「シビュラシステム」の真意は語られず……
というよりシビュラ中枢には、今回ほぼ出番がない。

世相を反映した一つ一つの事件を解決していくうち、
裏で蠢く巨大な陰謀が姿を見せていくシリーズ構成も連続刑事ドラマ風。
そして、{netabare}巨悪との対決は劇場版で!という伝統の投げ技まで決まるw{/netabare}


【作画 4.5点】
上々。道中、人物に謎の輪郭変動?はあったものの、
概ねCGもバランス良く交えて22世紀日本を再現。

見所は1時間枠になり長尺化したアクションシーン。
警棒、締め技なども乱れ飛ぶバーリトゥードでエンタメ性十分。


【キャラ 4.0点】
“メンタルトレース”により事件対象者になり切り捜査を進展させる監視官・灼(あらた)。
ロシア系帰化移民として開国日本の縮図も体現する炯(けい)。二人の新バディコンビが軸。

灼は能力者同然の“特A級メンタリスト"であり、
さらに{netabare}免罪体質者{/netabare}でもあり、
必ずしもドミネーターの執行判定に従わない言動も含めて、
シビュラをSF設定もろともスクラップにしかねない危険な主人公。
にも関わらず彼を監視官にしたシビュラの意図も現状見えず……。
旧来からのファンにとっては不安要素になり得る。

そこへ溜飲を下げさせるように登場する朱(あかね)や狡噛(こうがみ)らの旧メンバー。
ズルいよ。


私のMVPは自称エースから中間管理職へクラスアップ?した霜月課長。
口は悪いが、情は厚い。24歳にして、息子たちを叱咤し見守るおっかさん風の人当たり。
歯ぎしりが聞こえてきそうな、伏魔殿・外務省との交渉などにも感じる名物上司の可能性。


【声優 4.0点】
豪華。CV.梶裕 貴さん&中村 悠一さん演じる新コンビは
公安局の同僚である以上に幼馴染み。
人物設定を理解した役者により、異なる性格の相互理解も含めた、
兄弟じみた腐れ縁が滲み出ている。

公安局のオッサン成分もCV.大塚 明夫さんの執行官が新たに供給され、
哀愁溢れる境遇の吐露を通じてシビュラ社会に毒を浴びせる。


一方の黒幕の方も、
{netabare}CV.宮野 真守さん演じる気鋭の新“コングレスマン”が、
CV.中 博史さんの老紳士やCV.田中 敦子さんらベテラン陣に挑む。{/netabare}
こちらも世代間抗争含めた?不穏なムードを醸して上質。


【音楽 4.0点】
BGMは引き続き菅野 祐悟氏が担当。
メインテーマはバイオリン属よりギターを強調したアレンジで
刑事ならではのアクション&執行シーンで威力を発揮。

OPのWho-ya Extendedの「Q-vism」がスタイリッシュなロックサウンドの中に
監視社会下の葛藤を込める。
新人の主題歌抜擢自体も、主役一新の制作方針と合致。

EDはCö shu Nie(コシュニエ)の「bullet」。
表現力豊かな女性ボーカルがゲーム感覚で罪を重ねる黒幕を
運命を切り開く意志を込めた銃弾で狙撃。


【感想】
『PSYCHO-PASS』はシリーズを重ねるにつれ、
時系列は22世紀の先へ進んでいるのですが、SF要素の後退によるものなのか、
段々、21世紀に巻き戻っている感じが、私にはどうしてもしてしまいます。

現代日本が直面する課題も貪欲に取り込んで、
本作では鎖国設定まで捨てて、タイムリーヒットを狙うのは良いのですが、
これ別に22世紀じゃなくても出来るネタなのでは?と捻くれた私は感じてしまうのです。


今後はどうかシビュラさんにも、もっとお出まし頂き、
もう少しSFとしての矜持も見せて欲しい。

22世紀でも何故か健在だったタピオカ(笑)を眺めながら、
未来を夢見る私なのでした。

投稿 : 2024/03/23
♥ : 32
ネタバレ

ハウトゥーバトル さんの感想・評価

★★★★★ 4.3

正直がっかり

序盤 あれ?

中盤 えと...

終盤 は、8話?

この話はあるあたらしい監視官が一係に配属された話
ジャンルは警察・近未来
なんかがっかりです。なんと主人公がアカネちゃんではないという新事実。何が合ったのかは本作終了時には明記されていないので、未だわからず…
主人公が{netabare}とんでもない共感覚を持っています。今までの情報を頼りに事件を犯人の行動や被害者の状況を推測するというものです。まぁ最強ですね。ただの異能力なような気がしますが、これは表現が総代なだけでやっていることはただの推理です。今ある証拠や事件の被害状況などから逆算して犯人や被害者の動機を推測する。悪と普通の推理ものです。しかし、某体だけ小学生の名探偵並みのぶっ飛んだ推理です。こじつけにもほどがありますし、いきなり正解にたどり着くのは不自然すぎます。{/netabare}
あとこの作品では犯人の動機を知ってしまうのは問題でしょう。この作品の確たる要素の犯罪係数がそれを許しません。 {netabare}まぁそのための免罪体質なんでしょうね。{/netabare}
物語的にはあまり面白くありませんでした。いや正確に言うと「変なとこで終わる」
すごい中途半端なとこで終わるので不完全燃焼感が残ります。今後の展開(4期)にもよりますが、2クールにして25話やったほうが良いと思うんですがね...8話というのは...
書きながら思ったのですが正直これなんの感想もありません。私の語彙力がなさすぎるのもあるでしょうが

監督は塩谷直義さん。1・2の監督をなされた方ですね
シリーズ構成は冲方丁さん。2のシリーズ構成を担当された方ですね
キャラクターデザイン・総作画監督は恩田尚之さん。1のキャラデザをされた方ですね
音楽は菅野祐悟さん。1・2の劇判を担当された方ですね
アニメーション制作はProduction I.Gさん。1の政策のなさったところですね

作画は悪くなく、丁寧だったと思います
opはWho-ya Extendedさんの「Q-vism」
edは最近(?)話題のCö shu Nieさんの「bullet」良曲
声優さんは素晴らしく豪華なメンバーが参加していました


総合評価 三期は失敗。4期に期待

投稿 : 2024/03/23
♥ : 18

37111 さんの感想・評価

★★★★★ 4.5

異能はちょっと。。。

1話視聴後感想と今後の期待度
一言コメント:やっぱいいね。常森朱がメインじゃなくてもやっぱその世界観や雰囲気はいい。後輩ちゃん頑張ってて好きになった。
期待度:★★★★★

異能はちょっとこの世界に合わないんじゃ。。。すでに現実離れした世界だけど、それはあくまで現在から続いている予測される極端な未来の話でありそれがこのアニメの中の現実。色相が濁らない体質もこの世界では異常体質っていうだけであって異能ではない。
メンタルトレースの性でなんかすごく嘘っぽいくなった。

旧常森組はやっぱみんなかっこいいわ。

投稿 : 2024/03/23
♥ : 13

77.7 2 2019年度のProduction_I.Gアニメランキング2位
PSYCHO-PASS サイコパス Sinners of the System Case.2「First Guardian」(アニメ映画)

2019年2月15日
★★★★☆ 4.0 (167)
1174人が棚に入れました
3つの物語の舞台は約100年後の日本とアジア――その現在、過去、未来に起きる事件が語られる。事件に立ち向かうのは、規定値を超えた〈犯罪係数〉を計測された〈執行官〉たちと〈シビュラシステム〉が適性を見出したエリート刑事〈監視官〉たち。犯罪を未然に防ぐために必要なものは、猟犬の本能か、狩人の知性か。事件は思わぬ事実を明らかにし、世界のあり方を映し出す。これまで語られていなかった『PSYCHO-PASS サイコパス』のミッシングリンクがついに紐解かれる。

声優・キャラクター
東地宏樹、有本欽隆、浅野真澄、てらそままさき、大原さやか、関智一、野島健児、石田彰、伊藤静、沢城みゆき、本田貴子、花澤香菜、佐倉綾音

けみかけ さんの感想・評価

★★★★★ 4.8

亡き者達へ捧ぐ【鎮魂歌】All Alone With You

2012年秋冬期の第1期TVシリーズ、2014年秋期の第2期TVシリーズ、2015年の劇場版長篇に続く劇場版3部作『サイコパスSS』の2作目です


人の精神を数値化出来ることから警察が廃止され、厚生省公安局が治安維持と法務の執行を取り仕切る未来の日本が舞台のSFサスペンス


実写映画監督の本広克行、脚本家の虚淵玄も関わっていたシリーズですが、この3部作では最初期からアニメーションディレクターとして携わっていた塩谷直義が自らストーリー原案を組み立てて単独で監督
さらにノベライズ版を手掛けた吉上亮と深見真が脚本を担当しています
本来なら1作目からレビュを書くところですがこの2作目が特に素晴らしかったので先んじて書きたいと思いました

























2116年、SEAUnシャンバラフロートでの事件から2ヵ月後の公安局に、外務省から花城フレデリカという女性が刑事課一係に監視官補佐として出向してきたことが事の始まり
彼女の真の目的は元国防省、国境防衛システム海軍のドローンパイロットであった須郷徹平を外務省にスカウトすることであったのだ
須郷は国防省時代にサイコパスを悪化させるきっかけとなった事件を思い出す…
時は遡り2112年、常守朱監視官就任の数ヶ月前
須郷の所属する部隊はSEAUnへの介入を始めた日本政府と国防省の極秘任務「フットスタンプ作戦」を遂行するが作戦は失敗
ドローンパイロットの須郷たちを残し地上部隊は全滅
その中には尊敬する部隊長であった大友逸樹の姿もあった
しかしその後、フットスタンプ作戦関係者を襲撃する軍事ドローンによるテロが発生
容疑者に挙がったのは死んだはずの大友逸樹
須郷も容疑者として公安の監視下に置かれた
そんな須郷の前に現れた公安というのが、当時刑事課一係の執行官だった“とっつぁん”こと柾陸智己だったのだ…


























今作の第一印象は、色相診断の結果が全てにおいて優先される世界観で、そもそも軍人という職業が成り立つのか?というシリーズへの疑問を投げかけた意欲作だと思いました
理不尽な作戦を強いられる前線の特殊部隊の悲惨さと上層部との軋轢
とかく非情な結末が待ち構えている中で突き進む須郷の心情が軍事冒険小説のような体で彼が得意とするドローン技術の描写と共に描かれ、SFとしてもミリタリーサスペンスとしても楽しめる作品に仕上がっております
この『SS』3部作全てに共通してることでもありますが、画面のクオリティもこれまでのシリーズが嘘のようにハイレベルにまとまっているのも素晴らしい


お話の結論から言って、軍人という職業が成り立っているのはやっぱりちょっとおかしいというか、それは『劇場版』のシャンバラフロート事件を観ても矛盾してるのは明らかです


ですがそんなツッコミどころを他所に、もう一方でハードボイルドな刑事ドラマとしての魅力が今作を支えていることに目を向けたいと思います


物語は終始須郷の目線で語られますが、須郷から観た“刑事という生き方とその正義”を貫いたとっつぁんはこれ以上に無くカッコイイ男、として映ります


まだとっつぁんと宜野座が和解する前ともあり、宜野座との確執の深さや初めて登場する柾陸の元妻=宜野座の母との距離感のある関係も明かされ、とっつぁんの公私が今作の中で共に語られるというのがキャラに深みを与えています
この妻子を支えるとっつぁんの姿は、事件の中心となってしまったが須郷の良き先輩でもあった大友とある意味オーバーラップしつつ、裏表一体の関係になっているのも面白い


何よりもとっつぁんや、さらに今作に登場し大活躍をする青柳璃彩監視官、縢秀星執行官という人々が後々の事件で【全員殉職してしまっている】という事実が今作に漂う哀愁に拍車をかけてます


思えば『サイコパス』というシリーズは幾度となく希望を打ち砕いてきました
本当は死ぬべきではなかったはずの人々の生命が軽々しく奪われていってしまったことへの虚しさ
そんな彼等の在りし日に、いまいちど思いを馳せさせてくれるのが今作なんだと想うのです


そして何より、とっつぁんを演じた有本欽隆さん自身がもはや帰らぬ人となってしまっているのがやるせない…


エンドロールではEGOISTの「All Alone With You」を中野雅之が手掛けたReMixが流れるのですが、これがオイラには“逝ってしまった者達へのレクイエム”の様に聴こえてなりませんでした…


興行終了間際に立川シネマシティ、シネマツーaスタジオでの極上音響上映「TOTTSUAUND」も堪能してきました
SEAUnでの戦闘シークエンスはもはや極爆を超えたとも言える凄まじい音圧の破裂音が連続
とっつぁん最大の見せ場となる、軍人相手に怯むことなく啖呵を切って迫るシークエンスの迫力も他の劇場にも増して最高でした
上映終了後には岩浪音響監督自らが名付けたTOTTSUAUNDという名前と、今作が有本さんの遺作となっていることを合わせた追悼メッセージが画面に映され、最後の最後で涙してしまいました

投稿 : 2024/03/23
♥ : 6

Ka-ZZ(★) さんの感想・評価

★★★★★ 4.2

「フットスタンプ作戦」…あそこで、本当はいったいなにがあったんですか!

この作品は、2019年に上映された劇場版アニメ三部作の第2弾です。
現在、過去、未来の三部作のうち、今回は「過去」に位置付けられる作品となります。


常守朱が公安局刑事課一係に配属される前の2112年夏、沖縄。
国防軍第15東郷任務部隊に所属する須藤徹平は、優秀なパイロットとして軍事作戦に参加していた。
三ヶ月後、無人の武装ドローンが東京・国防省を攻撃する事件が発生する。
事件調査のため、国防軍基地を訪れた刑事課一係執行官・征陸智己は、須郷とともに事件の真相に迫る。


公式HPのINTRODUCTIONを引用させて頂きました。

今回の物語の主役は、執行官の須藤徹平さん…
正確に言うと、執行官になる前の軍人だった頃の須藤徹平です。
恥ずかしながら私の記憶から完全に抜け落ちていたキャラでした。

このシリーズは、これまで主人公が次々と事件を解決していくスタイルが主流でしたが、今回の物語は一味違っていました。
確かに事件は発生するのですが、事件を解決するのはあくまで公安局の仕事…
それじゃ須藤徹平はというと…完全に巻き込まれた感じでしたね。

でも、こういう目線も大切だと思います。
何故なら、私たちが何かの事件に関わるなら圧倒的に第3者で巻き込まれる確率が最も高いでしょうから…
生きていて、何度も事件の第一人者には成り得ませんしね。

でも、周囲を巻き込む力…というより、抑え込む力のが物凄く強い事件だと思いました。
最近、「働き方改革」という言葉をよく耳にしますし、職場にも浸透し始めています。
それから比べると、今回登場した国防軍は明らかに逆行していました。
もちろん、機密事項の漏洩はどこの部署においても絶対禁則事項です。
ですが、職場の風通しという意味では、現代社会と随分なギャップを感じました。
今より未来の世界の出来事なのに…

レビューのタイトルで用いた「フットスタンプ作戦」は、本作品の中で素性が明らかになるのですが、思っていた以上に残酷で、悲しみしか生まない作戦だったのではないでしょうか。
諸悪の根源は、作戦の指揮者にほかなりません。
ですが、例え何も知らなかったとしても、自分が加担していたことを後から知らされたらどうでしょう…
何もかも開き直れる訳なんて…ありませんよね。
だから、潜在犯に認定されるのは、直接犯罪に手を染める以外にも多種多様なケースが存在するのだと思います。

本作では、シビュラシステムにはあまり触れられませんでした。
これまでは、全ての犯罪はシビュラシステムに直結していたので違和感ありませんでしたが、システムに関係無いところでも、事件って起こるんですね。

主題歌はCase.1と変わらず、エンディングテーマは、1期後半のエンディングが使用されていました。
もちろん、Case.1同様リミックスバージョンです。

上映時間が約60分の作品でした。
Case.1とコメントが重複しますが、兎に角物語の濃厚さが半端ありません。
「正義と信念の感じられる仕事」という台詞を耳にしました。
自分も「かくありたい」と思える台詞でした。

投稿 : 2024/03/23
♥ : 12
ネタバレ

101匹足利尊氏 さんの感想・評価

★★★★★ 4.1

刑事の勘は永遠に……

『PSYCHO-PASS(サイコパス)』の新作・劇場版三部作の二作目の舞台も日本。
但し、メインの時代はTVアニメ1期の少し前の過去。
本作で起きる事件もまた、霞ヶ関のタテワリが障壁になる難事件ですが、
この当時はまだ“伝説の刑事”で、公安局の“猛犬”征陸(まさおか)智己<執行官>が健在。
シビュラの権限が規制される、他省庁の“聖域”にあっても、
征陸の事件への執念は潰えず、その牙は一度食らい付いたら離れません。

ついでに征陸の息子・宜野座<監察官>もこの頃は絶賛反抗期中w
宜野座は家名の通り、{netabare}沖縄が実家。
沖縄絡みの捜査からの脱線が炎の険悪親子関係に油を注ぐことにw{/netabare}
久々に熱い?親子喧嘩もスクリーンにぶちまけられて感無量ですw

征陸や事件の関係者を通じて、組織の中でも折れない個人の信念を感じたシナリオでした。
例えば征陸<執行官>はTVアニメ1期でも、
シビュラが捜査、執行全般を指示する時代になっても尚、
刑事の勘を前面に押し出した、昔気質のデカを貫き通していましたが、
本作でも、その生き様に再会できて熱かったです。

加えて、そんな個人の信念の継承も確かに感じられました。
各省庁の秘密主義が招いた事件は、相変わらず組織が個人を圧殺する後味の悪い物でしたが、
刑事の勘は、先の第一部にて<執行官>に受け継がれていましたし、
本作では、そんな胸糞な事件が続く中でも、たまに感じられると言う
刑事の正義や信念を引き継ぐ意志もありました。


一方で<シビュラシステム>については、今回もまた、
{netabare}硬軟織り交ぜて対立省庁を屈服させる狡猾さが際立ちました。
事件を通じて、クーデターの危険性が最も高い軍隊に対し、暗部と言う首根っこを抑える。
その上で生かさぬよう殺さぬよう、使える武力だけ残して、
貸しも作って<シビュラ>に抗えない体勢に持って行く。

タテワリが壊される様なんかも、通常は規制緩和など革新的でポジティブなイメージですが、
本シリーズのタテワリ打破は、三部作通じて、
霞ヶ関支配の地歩を固めて行くであろう、<シビュラ>の着実さが目立ち薄気味悪いですw{/netabare}


うん……やっぱりシビュラくん、性格悪いわ~w


付記:第二部公開を控えた今月に入って、
征陸智己<執行官>役の有本欽隆氏・食道がんで死去の訃報が飛び込んで来ました。

<シビュラ・システム>の伸長により“伝説の刑事”から
<潜在犯>として公安局の“猟犬”に落されても尚、
自身の矜持を捨てずに、泥臭く食い付いていく征陸の生き様は、
システムに疎外されても消えない人間性を語る上で重要な要素でした。

それを人間味溢れる演技で再現した欽隆さんの声は地味ながら作品に欠かせない物でした。

元々、本作は、{netabare} 生前の征陸を悼む視点{/netabare}もあった上に、
さらに“弔辞”コメントも相次いだという舞台挨拶のニュース等も含めて、
中の人の追悼ムードも加わり、
より故人の遺志というテーマを意識させられた劇場鑑賞となりました。

ご冥福をお祈り致します。

投稿 : 2024/03/23
♥ : 19

74.1 3 2019年度のProduction_I.Gアニメランキング3位
PSYCHO-PASS サイコパス Sinners of the System Case.1「罪と罰」(アニメ映画)

2019年1月25日
★★★★☆ 3.9 (168)
977人が棚に入れました
3つの物語の舞台は約100年後の日本とアジア――その現在、過去、未来に起きる事件が語られる。事件に立ち向かうのは、規定値を超えた〈犯罪係数〉を計測された〈執行官〉たちと〈シビュラシステム〉が適性を見出したエリート刑事〈監視官〉たち。犯罪を未然に防ぐために必要なものは、猟犬の本能か、狩人の知性か。事件は思わぬ事実を明らかにし、世界のあり方を映し出す。これまで語られていなかった『PSYCHO-PASS サイコパス』のミッシングリンクがついに紐解かれる。

声優・キャラクター
野島健児、佐倉綾音、弓場沙織、平井祥恵、岡寛恵、小山力也、斉藤貴美子、多田野曜平、中川慶一、花澤香菜、東地宏樹、櫻井孝宏、伊藤静、沢城みゆき

Ka-ZZ(★) さんの感想・評価

★★★★★ 4.2

ここで引き下がったら公安局刑事課のエース、霜月美佳の名が廃るっ…

この作品は、2019年に上映された劇場版アニメ三部作の第1弾です。
3つの物語の舞台は、約100年後の日本とアジア…その現在、過去、未来に起きる事件が語られるんだそうです。
これまでは、主人公である常守朱を主体として物語が構成されてきましたが、本作の主人公は、何とあやねる演じる霜月美佳監視官なんです。
「格好良い」あやねるボイスを満喫できる作品でした。


2117年冬、公安局ビルに一台の墓相車両が突入する事件が発生。
その運転手は青森にある潜在犯隔離施設<サンクチュアリ>の心理カウンセラー・夜坂泉だった。
しかし取調べ直前に夜坂の即時送還が決定する。
監視官の霜月美佳は、執行官・宜野座伸元らとともに夜坂送還のため青森へ向かう。
そこで待っていたのは、<偽りの楽園>だった。


公式HPのINTRODUCTIONを引用させて頂きました。

上映時間が約1時間の作品なのですが、物語の濃厚さが半端無い上、兎にも角にもあやねるボイスが満載なんです。
もう、霜月美佳監視官があやねるにしか見えませんでしたよ^^;

これまで、何か事件が起きると、常守監視官が我先にと現場に急行していましたが、先輩監視官…だからでしょうか。
青森まで送還する役目を霜月監視官に一任するんです。

責任ある仕事を任されるとやっぱり嬉しいですよね^^
あやねるも…いえ、霜月監視官も喜びの表情全開で任務に向かいましたっけ。

サンキュチュアリって「聖域」や「自然保護区」などを意味する言葉です。
ですが、青森の施設は聖域などとは程遠い場所であるのが徐々に感じられるんです。
最初に感じるのは、公安に対する言動の違和感…
ですが、この違和感が途中から激しさを増していくんですよね。
そしてその違和感は「気持ち悪い」と感じるレベルにまで跳ね上がる…

人間は間違える生き物です。
だから人間には他の動物と比べ物にならないくらい修正力が高いから、ここまで進化してこれたんだと思います。
ですが、サンクチュアリでは自分たちに不都合なことは、全て悪になっちゃうんです。
そして悪を見つけたら全力で排除しようとする…
それは、明らかに正しいことを言っていても捻じ曲げてしか伝わらないんです。
それが「気持ち悪い」と思える所以でした。

だからこそ公安の活躍が光っていたんだと思います。
何度もピンチがみんなに襲い掛かります。
でも霜月監視官の不撓不屈の闘志が、みんなの切れそうな糸を繋いでいくんです。
こういう役を演じるあやねるの声質…堪らなく格好良いんですけど!

主題歌は、1期オープニングだった「abnormalize」
エンディングは、2期エンディングだった「Fallen」
どちらもリミックスバージョンになっていました。

このシリーズのファンの方や、あやねるボイスを堪能されたい方にはお勧めの一作なのではないでしょうか。

投稿 : 2024/03/23
♥ : 13

アトランティス さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

サイコパス新3部作の序

2015年の劇場版サイコパスから4年。
近未来SF風刺作品として名高い本作が戻ってきました。
一作目の副題は「罪と罰」になっています。

特に今までの復習やキャラクターの紹介もないので
軽く人物を復習してから見られることをおすすめします。

3部作1作目となる今回は常守朱の後輩である霜月監視官(cv.佐倉綾音)と
今回彼女のお目付け的役割の宜野座執行官が中心となり事件に挑みます。
アクションシーンも多く全体で60分なのですがそれ以上見ていた感覚でした。
60分の中で事件の始まりから終わりなので敵は結構あっさりとしています。
アニメでも何度か登場した思想犯、殺人犯の収容所、
映画の舞台はその収容所のうちの1つです。(アニメでは初登場)

一見しっかり更生プログラムを実行しているように見える施設、
その施設が抱える闇に霜月監視官らが挑んでいく展開になります。

男(おっさん)キャラが多い中で今回のCase1の癒しは佐倉綾音ボイスの霜月監視官、
彼女の作画だけはサイコパスでは可愛いを重視しているような気がします笑
映画館は満席で宜野座の美顔を求めていた女性の方も多くおられました。
でも今回の宜野座執行官はとてもかっこよかったですね。
アニメの記憶が薄れているのですがこんなにかっこよかったけ?で見た後も思っていました。

主題歌については
1期のアニメの曲のRemixでした。
意外に良かったのでCD音源化してほしいです。

まだ1作目で今後のストーリーにつながりがあるか分かりませんが
今作もいつも通りのシビュラシステムでした。

投稿 : 2024/03/23
♥ : 10

ねごしエイタ さんの感想・評価

★★★★★ 4.1

罪と罰というのは、悪い奴らの行動と末路を指すのかな?

 ある施設から逃亡し、身柄を拘束された女性から、話が進んだお話だったです。

 この女性は何者で何が目的だったのか?、裏に陰謀の渦巻くような影があった感じです。この施設で何が行われて、この女性は何をしようとしていたのかが、トントン拍子に進んだですねです。case.1なだけに一話完結形式だったです。

 業とらしくおとりを使って獲物を引っ張ろうとする、組織的な施設の悪い奴らのやり方は、よくありがちに思えたです。

 その女性を通して陰謀をしり、核心に迫り、悪い奴に追い詰められながらも逆転する展開は、あらゆる手際が良すぎて、どこかあっけない感じがしたです。分かりやすいといえばわかりやすかったのですが、あまりにはやく解決されてしまったように見えるです。

 これが、正義の味方の行動力なのでしょうか???です。

投稿 : 2024/03/23
♥ : 6

75.5 4 2019年度のProduction_I.Gアニメランキング4位
PSYCHO-PASS サイコパス Sinners of the System Case.3「恩讐の彼方に」(アニメ映画)

2019年3月8日
★★★★☆ 3.9 (150)
940人が棚に入れました
3つの物語の舞台は約100年後の日本とアジア――その現在、過去、未来に起きる事件が語られる。事件に立ち向かうのは、規定値を超えた〈犯罪係数〉を計測された〈執行官〉たちと〈シビュラシステム〉が適性を見出したエリート刑事〈監視官〉たち。犯罪を未然に防ぐために必要なものは、猟犬の本能か、狩人の知性か。事件は思わぬ事実を明らかにし、世界のあり方を映し出す。これまで語られていなかった『PSYCHO-PASS サイコパス』のミッシングリンクがついに紐解かれる。

声優・キャラクター
関智一、諸星すみれ、本田貴子、志村知幸、磯部勉、高木渉、鶴岡聡
ネタバレ

101匹足利尊氏 さんの感想・評価

★★★★★ 4.2

終わりなき自分探しと居場所探しの果てに……

少し前、世界を旅すれば人生の指針も自分も発見できると言う、
旅万能論に基づいた自分探しの旅がもてはやされた時代がありました。

実際には、サッカー選手が世界を旅して改めてサッカーに関わりたいと思い直す。
くらいの心のリフレッシュ効果があれば良い方で、
旅先で人生前後不覚になり“沈没”するリスクまであると言うのに。
俺は旅で夢を見つけたと自身の半生を伝説化する経営者など、
旅が美化される風潮に私はある種の気色悪さを感じたものでした。


このような捻くれ根性で、本作を劇場鑑賞した私にとって、
狡噛慎也が長い放浪の旅の果てに辿り着いた、
ヒマラヤを望む「チベット=ヒマラヤ同盟王国」
その絶景はシャンバラさながらの理想郷の姿をしながら、
内実は、麓の都市文明同様……いやそれ以上に矛盾を抱えたディストピアそのもの。

因みに現実のヒマラヤ山麓も、麻薬問題、貧困による児童人身売買が横行。
“幸福度世界ナンバーワン”の触れ込みで度々来日してくる某王国も、
足下では内紛の火種を抱えているのです。

この世の果てとも言うべき、“世界の屋根”に至っても尚、
人は、狡噛もまた、己が背負う過去や宿命から解放されることはない。
作品内世界、リアル世界共に、乖離しがちな理想と現実に
私は苦虫を嚙み潰しながら、
復讐に囚われた少女と向き合う狡噛の姿を見ていて、
もう旅もそろそろ終わりで良いのでは?と何度も語りかけたくなりました。

さらに極めつけだったのは黒幕の所業。
(※重大なネタバレ有)
{netabare}傭兵ガルシアに至っては、平和維持活動による世界平和という理想郷を演出するため、
鎮圧すべき紛争を自作自演して、己の存在意義をでっち上げるマッチポンプぶりを披露。
過去の自分の理想像に囚われ、シャンバラを汚す人間の姿はどこまでも哀しいです。{/netabare}

よって……(※ラストの重大なネタバレ有)
{netabare}日本帰国の決断に至った狡噛の心情は筋が通っていると感じました。
狡噛が行った復讐とそれにより生じた諸々の葛藤のモヤモヤを晴す
万能薬は世界の何処にもなくて、
やはり、狡噛自身が、発端となった日本で解決する以外にないのだと納得しました。{/netabare}

結局、己の運命を決めるのは、旅先の壮大な自然風景ではなく、
自分自身の心の風景次第。
私の中の旅万能論への懐疑が一層、強まる(苦笑)
苦味が利いた有意義な映画鑑賞となりました。



主人公らを一新して迎えるTVアニメ3期は、本劇場三部作でも描かれた
シビュラが社会を統制するシステムとしての地歩を固めるため、
繰り広げて来た、霞ヶ関内での暗闘が引き続き背景になるものと思われます。

これまで厚労省のシビュラVS他省庁については、
本三部作第二部では、{netabare} 国防省{/netabare}の威信を失墜させる陰謀が明らかとなり、
TVアニメ2期では、{netabare}「パノプティコン」で社会基盤の座を争う経済省{/netabare}の野望粉砕の過去が明かされ、
他にも、政官の中枢にまでシステム末端を食い込ませる策士ぶりを見せています。

そして、今回、前作劇場版&本三部作を通じて次なるライバルとして
{netabare}外務省{/netabare}の暗躍が強調されました。
旧世紀、伏魔殿と恐れられた難敵。シビュラも相手にとって不足はないでしょうw
伏魔殿の手先たるフレデリカさんも金髪美人だし、巨乳だし、
スナイパーだし、雑賀流・心理学の使い手みたいだし、
何より“棄民”とかシビュラの痛~い所をネチネチと突いてくるし、
排除するにも一筋縄ではいかないでしょう。


ただ、本劇場三部作は2期、劇場版1作目と3期をつなぐ上で事前に予習必須なのか?
と言うと何とも微妙なところと思っていて。

3期を視聴していて、例えば、新主人公コンビの脇に回された旧作メンバー等を見ていて、
おや?こんな人間関係あったっけ?と気になった時なんかに、
或いは、黒幕が過去何をしていたのか知りたくなった時なんかに、
フラリと本三部作に舞い戻る感じでも遅くはないのかなと私は思っています。

投稿 : 2024/03/23
♥ : 21
ネタバレ

ねごしエイタ さんの感想・評価

★★★★★ 4.5

執行モード、無いほうがいいかも!

  狡噛慎也の滞在地域でのお話だったです。今までのサイコパスにない派手さはなく、悪くない出来だったかなぁです。狡噛と出てきた少女のふれあいは、人間味があったです。

 訪れた先で、絡まれる狡噛がいたです。{netabare}そこで、ガルシアというオッサンに命を助けられることにです。ガルシアを通し、次の目的地へです。

 武装ゲリラに襲われる難民バスを助けたことによって、その中にいた少女テイジンから家族の敵を討つため、戦う方法を教える先生になってほしいといわれるです。
 でも、狡噛はそんなテイジンを突き返すことなく、身を守る手段だけを教えることするです。

 そこから、展開が突然やってきて、話は進むのです。

 仇を偶然見つけるテイジン、仇を追った先で見たものは!です。復讐をするのか?どうするのか?事態は、思わぬ方向へだったです。

 その前からテイジンに復讐をすることはどういうことなのか?、一度人を殺してしまった先はどうなるのか?を説いていた狡噛だったです。テイジンに復讐をさせない事を願う、狡噛を見たです。その結果が、このシーンに関係するかもしれないです。

 いいと思っていた人が、実は・・・・・です。

 最後に狡噛が、選んだ行動は、テイジンに大きなものを残す結末だったです。{/netabare}

 不器用な狡噛の性格、人間性をを描いた展開だったと思うです。R12指定だったのは、あまりよくわからなかったけど、。{netabare}普通の入浴シーン{/netabare}だったのかなぁ???です。

投稿 : 2024/03/23
♥ : 5

Ka-ZZ(★) さんの感想・評価

★★★★★ 4.2

わたしの、先生になってもらえませんか

この作品が、2019年に上映された劇場版アニメ三部作のラストになります。
現在、過去、未来の三部作のうち、今回は「未来」に位置付けられる作品となります。


2116年に起きた東南アジア連合・SEAUnでの事件後、狡噛慎也は放浪の旅を続けていた。
南アジアの小国で、狡噛は武装ゲリラに襲われている難民を乗せたバスを救う。
その中には、テンジンと名乗るひとりの少女がいた。
かたき討ちのために戦い方を学びたいと狡噛に懇願するテンジン。
出口のない世界の緑辺で、復讐を望む少女と復讐を終えた男が見届ける、
この世界の様相とは…。


公式HPのINTRODUCTIONを引用させて頂きました。

作り手の粋な計らいを感じます。
まさか、2015年に公開された劇場版の後日談と、こんな形で出会えるとは予想だにしていなかったので…。
そっか、ここで狡噛が出てくるのか…
劇場版のラストシーン…あんな形で狡噛をばっさり切り捨てるなんて、奥歯に何かが挟まっていた感じはあったんですよね。
この計らいも計算されたモノだとは思いますが、頭の中で点と点が繋がる瞬間はやっぱり嬉しいです。

でも、点と点が繋がるのは狡噛の件だけじゃないんです。
第2作「Case.2『First Guardian』」でチラッと登場した方も本作ではキーパーソンになっていました。

しかし狡噛さん…
どうして自分の居場所を無くす…未来の可能性を削る生き方しか出来ないんでしょう。
狡噛の選択は概ね間違ってはいないと思うんです。

そりゃ、過去に超えてはいけない一線を超えたことはありました。
それが原因で日本から脱出せざるを得なかったことも理解しているつもりです。

ですが、SEAUnの事件の時…折角繋がることのできた旧知の仲間との接点まで
切り捨てる必要は無かったんじゃないかと個人的には思っています。

放浪の旅…吟遊詩人みたいで聞こえは格好良いかもしれませんが、特定の居場所を持たず、衣食住がままならなず、加えて狡噛の目指す先は何時だって戦場なのですから、命の保証だって無いんです。

確かに、狡噛が放浪の旅を続けていなければ、目の前で親を惨殺され復讐を誓ったテンジンとの出会いは無かったかもしれません。
ですが、彼がそこまで自分を徹底的に推し殺さなければいかねい業を背負っているとも思えないんです。
あくまで個人的意見ですけれど…

「あなたには救える人がいる…やることがある…」
物語の中で流れてきたこの台詞が耳に残っています。
この一言が狡噛自身の救いになったのではないかと思っています。
だって、物語の中で彼は物凄く大きな決断をするのですから…

一連の出来事の中狡噛が何を拾うのか…
気になる方は是非本編でご確認頂ければと思います。

オープニングアニメは、3部作に合わせて全て刷新されていました。
主題歌はCase.1と変わらずですが、エンディングはリミックスされた「名前のない怪物」でした。
「名前のない怪物」って、原曲のクオリティが鬼懸かっているんですね。
だから、どの様な形に編曲されても格好良さが失われない、というのが分かりました。

アニメーション制作はProduction I.Gさんなので、クオリティは折り紙付きです。
3期視聴を待ってでも先に視聴する価値のある劇場版だったと思います。
これでようやく…待ち望んでいた3期が視聴できます。

投稿 : 2024/03/23
♥ : 12

66.2 5 2019年度のProduction_I.Gアニメランキング5位
歌舞伎町シャーロック(TVアニメ動画)

2019年秋アニメ
★★★★☆ 3.3 (210)
748人が棚に入れました
新宿區イーストサイド・・・・・・混沌を極めたその街の中心には、ネオン瞬く歌舞伎町が広がっていた。光が強けりゃ影も濃い。悪人どもの潜む暗がりの、そのまた奥に探偵長屋の明かりが灯る。ハドソン夫人の営むその長屋は、なくて七癖、曲者ぞろい。野心満々のケッペキ探偵に、男を化かす姉妹探偵。はたまた刑事くずれのオッサン探偵がいるかと思えば、ヤクザを破門されたアンチャン探偵・・・・・・そして真打は、落語をこよなく愛する天才探偵シャーロック・ホームズ。切り裂きジャックによる猟奇殺人が起きたその夜、舞台の幕は上がった。探偵どもの化かし合いを横糸に、シャーロック、ワトソン、モリアーティ、三つどもえの友情を縦糸に・・・・・・ミステリー? いやさコメディ?なんともはや、判別不能ドラマのはじまりはじまり~。

声優・キャラクター
小西克幸、中村悠一、山下誠一郎、斉藤壮馬、東山奈央、東内マリ子、青山穣、橘龍丸、諏訪部順一
ネタバレ

scandalsho さんの感想・評価

★★★★★ 4.4

う~ん、2クールは長すぎた・・・。

アニオリ作品。最終話まで視聴。

設定の奇抜さ。
特に探偵と落語という取り合わせの面白さ。
物語の舞台。

これらが織り成す世界観はとても良かったと思います。

前半の「切り裂きジャック編」までは、テンポも良くて楽しめていたんだけど、後半は、一言で言って『長かったな・・・』。

{netabare}後半は「切り裂きジャック編のその後の顛末」。
まあ、『ここを解決しないと物語は完結しない』ってことなんだろうけど・・・。
それにしたって、ほとんど後半丸々ですからねぇ。
さすがに長すぎるというか・・・。{/netabare}

サイコパスが絡むと、心理が理解出来ないせいだと思うんですけど、少々、苦手なんですよね。
あくまでも個人的な感想です。

投稿 : 2024/03/23
♥ : 15

ossan_2014 さんの感想・評価

★★★★★ 4.2

オチと推理とエクスカリバー

シャーロック・ホームズは、最もパロディ化、パスティーシュ化された探偵かもしれない。

本作の放送と同期に、同じく『シャーロック』を冠する実写ドラマが放送されているが、競作関係などはないものの、どちらの「シャーロック」も奇人変人である設定は共通しているようだ。
ドイルのホームズ連作の、本格探偵小説が「本格」としてジャンル的に確立する前のプロトタイプ的な性格が、ホームズがキャラクター的な強烈な特徴を持つところに現れているのだろう。

あまたのパスティーシュも、若いころのホームズ、異世界に紛れ込んだホームズはもとより、ホームズの姪っ子や、精神を病んだ夏目漱石が自分をホームズと妄想している、などなど、キャラクター性を強調したものが多い。

その中にあって、本作の歌舞伎町に住む落語家もどきの「シャーロック」も、奇抜さで負けてはいない。
いや、あの髭面の「ハドソン夫人」には勝てないかもしれないが。


シャーロック・ホームズが強力で特異な性格設定を持つのは、一種の文化英雄という性質が要請するからだろう。

「勇者」が聖剣で竜を倒して「世界」を恢復させるように、垂れ込める「謎」を吹き払い「世界」に秩序を回復する「英雄」としての探偵。

歴戦の武勇伝を持つ勇者が特権的な武器として「聖剣」を手にするように、「謎」を切り払う探偵の特権的な武器として与えられるのが、頭脳=論理=「推理」だ。
特異な頭脳=発想の象徴として、特異な性格が要請される。


ところで、別作品の感想で、探偵小説の探偵の推理は論理的な唯一の真理とは限らない、といった意味のことを書きこんだことがある。

エクスカリバーが竜を斃せるのは、数々の「伝説」によって「聖剣」である特権性を保証されるからだ。
探偵の推理=「論理」もまた、「伝説」に類比的な特権性の「保証」が付与される。

オーギュスト・デュパンであれば「アナリシス」、ファイロ・ヴァンスなら心理学的必然、エラリィ・クイーンなら因数分解的数学性、などなど。
ホームズならば、実験科学的な自然科学の論理性、という事になる。

これら「論理」の特権性の「保証」要素は、しかし推理が導く「真相」の論理的正しさを保証するものではない。

「聖剣」にまつわる「伝説」が、その物語内で聖剣の威力を保証するための装置であって、物語外では意味がないのと同様に、実験科学の論理性も、物語内で「論理」の特権性を保証するだけの装置に過ぎない。
デュパンのアナリシスもヴァンスの心理学もエラリィの「数学的」論理も、物語外では何の論理性も保証しはしない。

物語内での探偵の推理が「真相」となるためには、「物語世界内で」の論理性=説得力だけが問題なのだ。
物語内の作中人物全員が「唯一の真相」を導いた「論理的」な推理だと納得しさえすればいい。
そう、これが物語内で最後にたどり着いた「真実」であると、最後に締めくくる「オチ」だと納得しさえすれば。



落語で「真相」の「推理」を語る本作の設定は、「探偵小説的」論理性を巧妙に反映している。

一見は荒唐無稽な「推理落語」だが、語られた物語を象徴し、まとめ上げ、引き受けて、幕を閉じるものとしての落語の「オチ」の一言は、探偵小説の「論理的」推理と全く同型的な役割を果たすものだ。

しかし、それは、どんなデタラメでもおどけて語れば良いという事にはならない。
論理=筋が通っているでも、地口のように連想的な関係性でも、なんでもよい。それまで語られた物語をまとめ上げて「オチ」が付いたと観客に直観させなければ、オチとして機能しない。

落語の『あたま山』のオチは、論理的にはおかしい、不条理でシュールなものだが、練達の噺家が語ることによって、観客に「オチ」を直観させて笑いに巻き込む。

不出来な噺であれば、観客は白けてブーイングが起きるだろう。
不出来な探偵小説が、作者と作中人物だけが納得する「推理」で、読者を説得できずに怒らせるように。

はたして本作の「落語推理」は切れ味良い「聖剣」のような「オチ」をつけられただろうか。

投稿 : 2024/03/23
♥ : 7

ダビデ さんの感想・評価

★★★★★ 4.5

探偵×落語×歌舞伎町・・・クセが強い。でも面白い!

探偵ミステリーもののフィクション、コメディ。
設定が飛んでて、クセが強く、観る人を選びそうだけど、私には合ったみたいで、面白かったです。

終始、宮藤官九郎さんの、IWGP,タイガー&ドラゴン、木更津キャッツアイとドラマの方の私立探偵濱マイクを感じる作品でした。
濱マイクの方は、探偵×エゴラッピンで、そのまんまですよね。
作者が、大好きなんでしょう。

設定や推理とかで、ちょっとご都合的なところはあったけど、流れを邪魔するものではなかったので、ご愛敬の範囲内でした。

ぶっ飛んだ設定で、独特なテイストですが、本当に懐かしさも感じながらの作品で、私的には嬉しいですが、ニッチですよね。一般ウケするかどうかは別でしょうが 笑

上記のドラマが好きな人、好きだった人には、是非ともおススメです!

投稿 : 2024/03/23
♥ : 10

67.3 6 2019年度のProduction_I.Gアニメランキング6位
ULTRAMAN(Webアニメ)

2019年4月1日
★★★★☆ 3.4 (107)
371人が棚に入れました
かつてこの世界には〈光の巨人〉と呼ばれる存在がいた。やがて〈光の巨人〉はその役目を終え、遠い宇宙にある自らの故郷へと帰還し、同化していた地球人はそれまでの記憶を失うことで自らの在るべき場所へと戻っていった。ウルトラマンの存在は過去のモノとなり、科学特捜隊日本支部もその役割を終えて、光の巨人記念館へとその姿を変えていた。早田進次郎は多感な思春期を過ごす高校生。だが彼は、自分が驚異的な跳躍力や頑丈な肉体といった人間離れした“普通"ではない力を持っていることを自覚していた。そんなある日、進次郎は父・早田進が、かつてウルトラマンであったことを知る。そしてウルトラマン無き地球に暗躍する宇宙人たちの存在も。進次郎は、秘匿組織として健在する科学特捜隊の井手によって開発されたウルトラマンスーツを着用できる数少ない適合者だった。「単刀直入に言おう――キミにウルトラマンになってもらいたい」

声優・キャラクター
木村良平、江口拓也、潘めぐみ、田中秀幸、諸星すみれ、魚建、牛山茂、竹内良太、花輪英司、関戸博一、津田健次郎、白石稔、曽世海司

「ひろ。」 さんの感想・評価

★★★★★ 4.2

これは続編前提作品?・・ですよね。。

※漫画版未読です。
まずCGの質量感・高精細感・躍動感・光の美しさ・等々・・に驚かされました!!。
CGの技術は格段に進歩していってるのですね・・。

自分は特撮作品としてのウルトラマンシリーズは
少しふれたことがある程度で、特に思い入れはありません。

結論から言うと
個人的に本作は非常に素晴らしい作品だったと思います♪。
コミックスも気になり、とりあえず序盤の数巻買ってしまいました^^(デジタルで)。

ただ、今回のアニメ化全13話・・というのは
どういう経緯で全13話ってなってるんだろう・・。漫画版はまだ続いてるのかな?。
・・まあでもあの終わり方で、物語ENDはありえないので
これは続編前提作品?・・ですよね。
続編があると仮定した上で本作を高評価します♪。


・・ただ、本編に関しては
ストーリー進行上、いくつか納得できない点もありました。

戦闘シーンは、正直言ってご都合展開ですよね・・><。
普通だったら、即死で終わりなシーンも
「うわあああ」で、延々延命してます・・。
ハイ、ありえないですね。でもそこが表現の限界なのでしょう。
でも、わかった上で受け入れられる範囲です。

モロボシ姓・・・。
普段の日常生活ではあまり出会う機会のない姓ですが、
諸星あたる、本作の声の人・諸星すみれさん。
うーん、なくはないですね。
諸星すみれさんは、神撃のバハムート2期?で印象に残っていたので
本作もいいキャスティングだったと思います!。

あと、裏切りキャラなのかいい人キャラなのか
いろいろ後付けされそうな今後が予想されてしまう複数のキャラの正体だとか
・・まあ、それはいいんですけど
そうするんだったらせめて全13話の中で何か匂わせてほしかった。

アニメ版だけではいろいろモヤモヤしてしまうので
原作漫画を、とりあえず今進んでるところまで読んでみたくなりました。

自分は本家のウルトラマンシリーズにはあまり詳しくないのですが
こういう解釈・展開もアリだと思います!。

投稿 : 2024/03/23
♥ : 7
ネタバレ

剣道部 さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

和洋折衷ウルトラマン

[文量→中盛り・内容→感想系]

【総括】
ジャンルはアクション。3Dアニメです。

私は、高評価。でも多分、それは私に「ウルトラマンに対する特別な思い入れ」がないからだと思います。

このアニメ、「ウルトラマンが好き」な人は戸惑うかもしれません。その辺を、レビューに書きたいと思います。


《以下ネタバレ》

【視聴終了(レビュー)】
{netabare}
「これはウルトラマンなのだろうか?」という疑問を、私は一切抱きませんでした。なぜなら、そもそもウルトラマンをちゃんと観たことがないからです(何回かは観たことあるよ、名前は知識として知ってるよ、レベル)。

だから私には、「普通に格好良いアクションアニメ」でしかなくて、別に「ウルトラマン」という冠は必要ありませんでした。

「ウルトラマン」というよりは、「アメリカのヒーロー」や、「平成の仮面ライダー」に近いような作風。だから、「和洋折衷ウルトラマン」にしました。

本作の良さとしては、まずアクションの格好よさ。なんか、プロレスみたいだなと思いました。

プロレスの必殺技の中には、「それって効くの?」と思うものが散見されるが、「客はちゃんと盛り上がる」。それは、「粋」という感覚に近く、「効かないとか避けられる」なんて言うのは、「無粋」。

本作も、空手やカンフーアクションのような実用的な動きの中に、いきなり「ウルトラマンらしい攻撃」が入るのが、なんか「ダサ格好良い」。そこは、3Dによる独特のカメラアングルや動きが良い働きをしていて、「ダサ」「格好良い」にしていたと思います。

次の良さとして、ストーリーの面白さ。縦軸として貫くのは、「主人公がヒーローであることを悩み、受け入れるまで」を描くということで、なんか「仮面ライダーっぽい?」と思いました。そこに横軸として、「主人公とアイドルの恋愛」や「星団評議会の暗躍」などがある構成。

特に、「星団評議会の暗躍」は面白くて、誰が黒幕なのか、味方なのかをワクワクしながら観られました。ここは、今後は縦軸になるでしょうし。 

と、私が誉めている部分は、多分、ウルトラマンファンからすると、「邪道」なのでしょう。

プロレス的なアクションは、「ウルトラマンを茶化してる」とも受け取れるし、複雑な世界観は、「爽快さの打ち消し」になるのかもしれない。そもそも、巨大化しないウルトラマンは、もはやウルトラマンじゃないという怒りもあるかもしれません。

私も、もし自分が好きな「ロードス島戦記=キャラがロボットに乗ってモンスターと戦う」とか「ガンダム=モビルスーツ同士でラブコメ」とかやられたら、「ふざけんなよ」「俺の思い出汚すなや」って思うでしょうしね。

賛否両論ある本作。どちらの評価にするかは、やっぱり、観て自分で判断するしかないように思います。
{/netabare}

【各話感想(自分用メモ)】
{netabare}
1話目 ☆4
ウルトラマンのその後として、しっかり面白い。オッサンが格好良いアニメは、良い。

2話目 ☆4
バトル、急に地味になったけど(苦笑) 地面に投げても効かねえだろ。なんかちょっと、ハリウッドだな。変身のところは日本っぽい。トータルて、面白い(笑)

3話目 ☆3
なんか、ヒーロー願望で戦う、某大介を思い出すな(笑) グロのギリギリラインでちゃんと止めてるあたりが偉い。

4話目 ☆4
なんか、やたらプロレス技が目立つ。オスプレイみたいな戦い方だな(笑) 迫力のバトルを満喫。

5話目 ☆3
異星人街。セブンが意外と好意的? 民族差別をするタイプではないのかな。ジャック。帰ってきたウルトラマン?

6話目 ☆4
セブン、強いな。彼は、ただの人間なの?

7話目 ☆3
バトルは流石に格好良いわ。ヒーロー願望か。

8話目 ☆4
なんか、随分とひねくれた話になってきたけど、かなり面白いな。

9話目 ☆4
エース登場。さらに状況が混迷してきたな。

10話目 ☆4
エース。天才技士。本当に、色んな人の思惑が複雑に絡んでる。

11話目 ☆3
なんか、ややコメディタッチ。めっちゃ簡単にバレてるw これはセブンに殺される案件(笑)

12話目 ☆4
星団協議会、ゼットン。誰が敵で誰が味方か。

13話目☆
セブン強い。エース熱い。

{/netabare}

投稿 : 2024/03/23
♥ : 17

キャプテン さんの感想・評価

★★★★★ 4.5

惜しい!90点

OP&ED・とても良い。
ストーリー・複雑で好奇心をそそられる。
作画・とにかく超カックイイ! ダダ星人がイケメン過ぎて(笑える)でも好き。
その他の宇宙人も超イケメンで⋯イイ!!
あと
巨大化せずスーツを装着する点、斬新で良い。
もしくは、エヴァの様な高機動ロボに搭乗し操作もアリかなと思う。

唯一の惜しい点、キャラクターの違和感ある動き。今の技術であれが限界なのか?
滑らかに動いてくれていたら満点です。

投稿 : 2024/03/23
♥ : 0
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