サイケデリックおすすめアニメランキング 3

あにこれの全ユーザーがおすすめアニメのサイケデリック成分を投票してランキングにしました!
ランキングはあにこれのすごいAIが自動で毎日更新!はたして2024年03月19日の時点で一番のサイケデリックおすすめアニメは何なのでしょうか?
早速見ていきましょう!

63.3 1 サイケデリックアニメランキング1位
京騒戯画(Webアニメ)

2011年12月10日
★★★★☆ 3.6 (407)
1960人が棚に入れました
京騒戯画はネット配信アニメ。『不思議の国のアリス』をモチーフとして、街のイメージを京都、世界観を国宝として高山寺に伝わる『鳥獣人物戯画』の3つの要素を融合した作品です。ストーリーは「鏡の都キョウトに現実の世界から入ってしまったコトちゃんが、現実の世界に戻るために活動する話となっていますが、アクションあり、ドタバタのコメディありの作品になる予定です

けみかけ さんの感想・評価

★★★★★ 4.8

待ってました!の痛快カオスティックワンダーランド!(ようつべ、ニコ動で1期、2期とも無料で観れます!)

若干26歳、松本理恵監督が送る待望のオリジナルアニメーション作品!
商業アニメ作品で彼女より若い監督とか少なくともオイラは知りましぇーん^q^
天才です、これはいわゆる(キリッ










妖怪と人間がアッタリまえに暮らしている京都っぽい街並みの異世界、その名も【鏡都】を舞台にハスキーくぎゅう演じるリボンがよく似合う制服少女『コトちゃん』が所狭しと暴れまわるぅ~!!!!!
笹さんのレビュやひげさんのレビュにもありますよう、森見登美彦っぽいとか、ガイナっぽいなってカオスな第一印象を受けます


初キャラデザとなった林祐己を筆頭に優秀なスタッフが集結
いくらなんでも作画クオリティが高過ぎwちょっとビビるwこの先本当に続くのだろうかw










なんらかの理由で鏡都から「家に帰る」方法を探しているコトちゃんと弟たち


彼女達を世話する優しくも厳しい生臭坊主の『明恵』(ただしイケメンに限るっ!


さらに見た目フリフリドレスでセレブな貴婦人なのにその正体は鬼(?)で妖怪の軍勢を従えている『八瀬』
住職なのに大仏型ロボットとメカヲタ少女など科学的な軍勢を従えた『鞍馬』


彼らは明恵と兄姉関係にあるようで、コトちゃんを利用して【とある事】を企てているようですが・・・・・・










いやー><
期待値を遥かに上回る出来の作品!
だって林祐己ですよ!?w
可愛いいいいいじゃねぇぇぇぇぇかぁぁぁぁぁ!!!!!!
今後一体どんなお話が始まるのか!
PCモニターの前でwktk全裸待機しておりまするっ(キリッ


やっぱくぎゅうのハスキーボイスはどんな高級料理にも勝る究極のメニューだーっ!
軽く白飯三杯はイケルな!











今夏からスタートした第2期では1話10分ほどで各キャラクターにスポットを当てたお話を展開するようです
投げっぱだった1期から各キャラを掘り下げる方向へと路線変更したようで、少々説明臭くなってしまったのが個人的には残念でなりません><
監督もお若いことですし、ニコ動文化に浸った一部の輩の言うことなど気にせず、もっと独創性を見せて欲しいところですよ










しかしまあ;バンプレストとのコラボはいいんですけど一番くじの一般販売は未定とかホントにヤル気あるのかお><;
それときゅんキャラが2600円っておまw

投稿 : 2024/03/16
♥ : 35

takumi@ さんの感想・評価

★★★★★ 4.3

待っていた第2弾をようやく視聴

ネット配信のこのアニメ作品、
不思議の国のアリス、鳥獣人物戯画、そして京都をモチーフに
作られているらしいと聞き、これはぜひ観なくては!と
期待を大に、まずは第1話を視聴。
ちなみに今後も、何話かに渡って?更新されるらしい。

始まって早々、感じたのは静と動のコントラストが鮮やかということ。
原色に彩られたポップな色彩は大正時代っぽいレトロ感もあり、
静寂感のある京都の風景が絶妙にマッチ。
そしてスピード感のある人物達の動きとカメラワークは
まるで万華鏡を手早く回転させているような感覚で、
彼らのハイテンションぶりに目が回りそうだった。
しかも、セリフの言葉遊びもなかなか秀逸。面白い。

きっと何度も観直せば、画面の隅っこや様々なところに
伏線めいた情報もたくさん仕掛けられていそう。

短いカットの中、登場人物をぱっぱと紹介していく。
制服を着た元気いっぱいの女の子 コト。
彼女と行動をともにするやんちゃな感じの双子 阿と吽。
仕事を抜け出して女の人と逢引している色男の僧侶 明恵。
この明恵は、コトや阿吽たちの面倒を見ている親代わりのようで。
そのほかにも、何かの研究室なのか白衣を着たショーコや男性。
腹黒そうで何か大きなギャップを感じさせる住職 鞍馬。
お城のようなお屋敷に住み、レトロなドレスを着た女性 八瀬。
そして、コトとの再会を嬉しそうにしていた謎のコト様。

彼らを見ただけでも、これから何が起きるのかワクワクしてくる。

wikiの情報どおり、舞台は京都らしい街並みや風景。
でもそこは外界から隔離されて時間が止まった京都=鏡都。
人間と妖怪が混沌となった世界でせめぎあう3つの勢力というのは、
おそらく登場人物の中の3人、明恵、八瀬、鞍馬だろうね。
この3人がどうやら「3人会議」なるものを企ている様子。
コトの知らないところで動き出しつつある計画とは何なのだろう。

そしてバースデーケーキに書かれた「コト」とは
鏡都に戻ってきたというコト様なのか。
コトを見てうれしそうに抱きしめていたコト様。
二人のコトの因果関係も気になるところ。

また、アリスの一部をモチーフにしているなら、
自分達の家に帰れなくなったコトと阿吽たちが
追いかけようと話していた黒いうさぎも、
今後何らかの鍵を握っていそう。

ってことは・・・ますます、置いてけぼりを食らわないよう、
しっかり注目していかないとw

とりあえず、つかみはOK~!の第1弾だった。
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そして、数日前に第2弾を視聴した。

第2弾は3話構成になっており、コト、ショーコ、八瀬を
それぞれの話で主人公にして展開。
EDもまた、3話それぞれ違っていてなかなか良かった。
中でも個人的に気に入ったのは2話。
10分以内の短さなのに見応えがあった。

早くも次回作が待ち遠しい。
あんまり待たされると忘れてしまいそうだよ~

投稿 : 2024/03/16
♥ : 53
ネタバレ

景禎 さんの感想・評価

★★★★☆ 3.9

我は後世たすからんと云ふ者にあらず。ただ現世に先づあるべきやうにあらんと云ふ者なり

2011年~2012年にWebアニメとして発表されたものに肉付けしてテレビアニメ化した作品。

全10話を通して見ただけでは、ん~・・・よくわからん。でも雰囲気だけは何となく気に入った、というのが率直な感想でした。放送自体は予習編、聖地巡礼(?)編、復習編を加えて13回の放送だったのですが、そういうのを全部見てもやっぱりよくわからん。放送がすべて終わってから、録画もう一度を最初から見直して、やっとぼんやり内容がわかってきた、というのが正直のところです。難解です。

なぜこの作品はこんなにも難解なのでしょうか? 絵は親しみやすく、原色系のファンタジックな画面も美しく、引きは十分なのに・・・

一番の理由は、お話しの構成が時系列、空間系列(て言う言葉ってあるの?)になっていないことだと思います。もう少しわかりやすく言うと、過去と現在、京都と鏡都が、ランダムに出てくるということです。また、同じ出来事を別の登場人物の視点で何度か描きなおしている、というところにも原因があるかと思います。代表的な例で言えば{netabare}親子の別れのところ。ここらへんは明恵上人、鞍馬、八瀬、薬師丸のそれぞれの視点で何度か描かれます。視点が違うので、似て否なるものです。{/netabare}

もう一つの原因は名前の混乱。別の人物に同じ名前がついている。さらには、同じ人物に別の名前がついている。具体的には{netabare}明恵上人の息子である薬師丸が父と同じ明恵と呼ばれる。古都の娘は母親の名と同じ音のコトである。さらに、明恵上人は現代の京都では稲荷と呼ばれている。{/netabare}視聴中の混乱を避けるために、公式Webサイト等の登場人物の説明なんかを参照しながら見ることをお勧めします。

これらの点が、この作品を難解にしている原因ですが、同時に作品の表現上の特徴でもあり、製作者側が一定の効果を狙ってやったものと思われます。なので視聴者側で、それらをじゅうぶんに理解したうえで視聴する必要があります。そうすれば、お話の内容が結構すんなり頭に入って来るようになります。

だいたい、予習編、復習編なんかがあること自体、製作者側もこの作品が難解であることを認識している証拠ですよね。

1回通して見て分からなかった方は、そのへんに注意しながらもう一回最初から見直してみてください。そうすると、この作品の本来の良さに触れることができるようになると思います。

ちなみに、Webアニメとして発表されたものは、テレビアニメ版よりもさらに断片的であるため、テレビ編よりも難解(というか、これで分かるほうが変?)です。これを見てもほとんど理解の助けにはなりません。

ジャンルはアクションファンタジー。SFの要素もあります。歴史の要素や昭和ノスタルジー的要素もあります。主人公明恵(みょうえ)は、絵に描いたものを現実化する能力があり、それゆえに都に住む人々から気味悪がられている、という設定ではじまります。

ちなみに明恵とは、京都の栂尾(「とがのお」と読みます。紅葉の名所、高尾です。)の高山寺というお寺を開いた、実在した歴史上の人物をモデルにしています。高山寺は、日本の漫画文化のルーツとも言われる鳥獣戯画で有名です。

明恵の5人の家族は、ある事情により一緒に住むことができなくなり、明恵、古都は3人の子、薬師丸、鞍馬、八瀬を置いて鏡都を出て行きます。「いつか必ず始まりと終わりを連れてここに帰ってくるよ。」と言い残して。
その後、数百年をかけて家族が復活するまでのお話しです。神や仏や並行世界が登場する、かなり壮大なお話になります。

この作品のテーマは、ひとことで言えば家族の再生です。そのテーマを、時系列、空間系列シャッフルの手法を駆使して、派手なアクションと原色系の幻想的な絵を使って、まるで万華鏡のように見せてくれます。詳しくは、ここで私がごちゃごちゃ説明するより、作品を見て感じてください。

参考までに、私が心に残った台詞。まず、コトの言葉。
{netabare}いつも一緒に夕日見たよね、ご飯たべたよね。そういうのが愛だよ。
つまんないことで喧嘩したり、くだらないことで笑ったり、いつもより5分早く帰ってきたりする、そういうのが愛だよ。
笑ったり、泣いたり、怒ったり、喜んだり、いつも一緒にしてくれたよね。そういうのが愛だよ。{/netabare}

明恵上人の父(コトの祖父)の言葉。
{netabare}いるだけじゃいかんのか? 理由としちゃそれで十分さ。{/netabare}

ところで、現代の京都の場面では、登場人物がスマホを使ったりしているのですが、一方で、町には市電が走っていたり、蒸気機関車が走っていたり、昭和30年代の京都の雰囲気を楽しむことができます。

音楽も秀逸です。OPの「ココ」もGoodですが、EDの「疾走銀河」の雰囲気はわたし的にとっても好みです。BGMもすばらしい。

投稿 : 2024/03/16
♥ : 28

77.9 2 サイケデリックアニメランキング2位
ドロヘドロ(TVアニメ動画)

2020年冬アニメ
★★★★☆ 3.8 (352)
1545人が棚に入れました
おいでませ、混沌。魔法によって顔をトカゲにされてしまった記憶喪失の男、カイマン。本当の顔と記憶を取り戻すため、相棒のニカイドウと一緒に自分に魔法をかけた魔法使いを探し続ける。いったい自分は何者なのか……。

声優・キャラクター
高木渉、近藤玲奈、堀内賢雄、細谷佳正、小林ゆう、高梨謙吾、富田美憂、江川央生、市来光弘、鵜殿麻由、ソンド、稲田徹、三木眞一郎、郷田ほづみ、勝杏里

とらお さんの感想・評価

★★★☆☆ 3.0

映像化するとAKIRAになった

漫画マニアでもコアファンにしか読まれない怪作がついにアニメですか
不安&うれしい
不安な理由は、マン☆画太郎とか弐瓶勉みたいな個性ある絵柄という点
そしてカオスな作風なので動かすと表現が弱くなるだろうという点です
期待不安こもごもで見てみると、うわうわ「AKIRA」っぽい
絵が視聴者に媚びてないとはよくやったMAPPA!

さあ「ドロヘドロ」で画像検索しよう
そして、つらつらと画像を眺めてほしい
女キャラ以外は全員が被り物orマスクしてるはず
ダークさを感じる画像群なはずです
女キャラはかわいくないし、ニカイドウしかいない
なのに女性作家の作品というチグハグ感

絵見るとちょっとアレな作者と伝わり、
内容のカオスさもこの絵柄ならなあと感じるかもしれません
どうやったら口の中に男の顔ある漫画書こうと思いつくのか
普通の私達には一生わからんですよね

投稿 : 2024/03/16
♥ : 7
ネタバレ

shino さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

アシッド アニメ

MAPPA制作。

予期せぬ角度から渾身の右フックだ。
奇抜であることが説得力を生む世界観、
これも1つのアニメの可能性ではなかろうか。

扉の向こうには魔法の世界がある。
{netabare}魔法によって顔を爬虫類にされてしまった、
記憶喪失の男、カイマン。{/netabare}
相棒のニカイドウと共に魔法使いの行方を追う。

まずもって奇々怪々のキャラが良い。
アメコミ風の大友克洋デザインかと目を疑う。
ホールと呼ばれる大気汚染と瓦礫の街は、
オイルの匂いが立ち込め混沌を象徴している。
不思議なもので設定・演出が優れていると、
サイコなキャラもどこか愛嬌が生まれ、
コミカルな演出もほど良いスパイスとなる。

7話視聴追記。
残虐さとバカのさじ加減が抜群に楽しい。
{netabare}まさかの神展開、ベースボールだと!?{/netabare}
この世界観とキャラに於いては、
コメディに振り切った物語も可能なのである。

最終話視聴追記。
アニメとは芸術の一形態であるものだが、
芸術に対するカウンターでもあるのだ。
まさに攻撃こそ最大の防御である。
世界観の軸はぶれず手数の多さに圧倒される。

愛すべき恵比寿とサブカルチャーに、
勝利の凱歌を上げよう。

投稿 : 2024/03/16
♥ : 70
ネタバレ

ぺー さんの感想・評価

★★★★★ 4.2

これ言葉にするのしんどくないすか?

原作未読


はじめに

どうも言葉に落とす作業が難儀な作品です。
とりあえず“独特な世界観”ということでお茶を濁してそれ以上言うのが難しい。


原作はほぼ20年かけて完結したとのこと。そんな事情は一切知らずタイトル買いした作品。なんか画面から流れてくる溢れんばかりの“底辺”感が素敵です。
そして観てみた第1話。背景美術が美しいですね。制作は“MAPPA”仕事はしっかりしてくれそう。息をのむという美しさとは違う、底辺を這いずる質感、吹き溜まり特有の湿気を感じることができる美術といったらいいかしら。かつてドブネズミみたいに美しくなりたいといったあのセンス。
基本的に気持ち悪いので、初回で合いそうか否かわかる親切設計だとは言えると思います。

魔法によって頭を爬虫類に変えられた記憶喪失の男が、自分の本当の顔と記憶を取り戻す姿を描いたダーク・ファンタジー作品。
wikiの記述そのまま引っ張ってきましたがこれだけじゃわかりません。端的に“ヴァイオレンス”です。

私がヴァイオレンスに期待するものはズバリ殺す側の所作。
感情の上下がないのが理想。美学の有る無しは問わず鼻をかむくらいの軽さで殺すのが良い。一方で殺す時にドヤ顔決めたり、ビビりながら引き金を引くのは好みではありません。
理想は実写映画の『ナチュラル・ボーン・キラーズ』『パルプ・フィクション』あたりだろうか。この作品『ドロヘドロ』からはそんな名作の波動を感じました。個人的にはこれで充分満足です。
なお、殺す/傷つけるが基本の作風ですがそればかりではありません。キャラ達が自分の意思で動く。たくましく生きる姿は頼もしくもありコミカルで愛らしかったりします。生き生きしてるんですね。


どこか気だるくて陰鬱な空気に覆われてはいるんですけど、生き生きしたキャラクターたちが織り成すカラフルモザイクな世界は居心地の良いものでした。見てお楽しみなEDの仕掛けや背景美術のクオリティの高さがさらに作品を底上げしてます。良作でしょう。


※ネタバレ所感

■飯テロリング

二階堂と恵比寿って共通項は“麦”ってことですかね。ニカイドウ経営中華屋の看板メニューが餃子ということでビールにとても合いそう。
そこにこだわります?って程料理作画に気合入れとりますので深夜空腹に耐えるのがたいへんでした。

{netabare}そもそもOPアニメーションがひたすらニカイドウの餃子仕込み映像という謎っぷり{/netabare}

{netabare}そしてカイマンへ強くコミットしている女性は“友人としての”ニカイドウと“たぶん敵としての”エビスってことなんですかね。餃子とビールコンビに勝てる男性はおそらくいません。{/netabare}

いちおう飯テロネタということでこだわりの謎作画は他にも。

{netabare}焼肉。肉のサシの入り具合や弾力を感じる動画。これも素晴らしい。鳥や豚ならともかく牛は飼育に手間がかかるイメージ。あんな殺伐とした世界でまともな畜産業出来るんかいなというのがよぎり、何の肉なのか気になってしまった。牛ではないのかもしれない。でも美味そう。{/netabare}


■自由人

自由すぎる登場人物は物語の良きアクセントになります。例えば『キルラキル』満艦飾マコ。『ゾンビランドサガ』山田たえみたいな。自由すぎる振る舞いに笑いつつ、時おりハートウォーミングな行動を見せて不意打ちでうっかりこっちが感動しちゃうことがあるような存在です。

{netabare}その点で本作の恵比寿はとてつもない耀きを放ってました。{/netabare}

トップ of 自由人な一名が突出してますが、{netabare}カスカベ博士{/netabare}あたりもたいがいです。そして各々のコミュニティにも馴染んでいて二人とも浮いた存在にはなっておりません。強烈なキャラクターを受け止める側も個性が強烈だから違和感なく見えるのです。


これはちょっと後に引く感じでクセになります。ただこの面白さ文字にすると陳腐に映りますね。
やはりどうも言葉に落とす作業が難儀な作品です。



視聴時期:2020年1月~3月 リアタイ

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2020.04.11 初稿
2020.05.04 タイトル修正
2020.10.15 修正

投稿 : 2024/03/16
♥ : 57

66.1 3 サイケデリックアニメランキング3位
空中ブランコ(TVアニメ動画)

2009年秋アニメ
★★★★☆ 3.8 (267)
1405人が棚に入れました
不眠症を患うサーカスの空中ブランコ乗り・山下公平は、着ぐるみを着た謎の精神科医、伊良部(いらぶ)一郎の診察を受けた。
それからというもの往診と称し公平につきまとう伊良部だが、公平のもとを訪れるヘッピリ腰の区役所職員やスキーゴーグル着用のヤクザといった、ちょっと変な人々をおもしろがってばかりいた…。

声優・キャラクター
三ツ矢雄二、朴璐美、杉本有美、森川智之、三木眞一郎、浪川大輔、平田広明、入野自由、高橋広樹、岩田光央、羽多野渉、置鮎龍太郎、古谷徹

ostrich さんの感想・評価

★★★★★ 4.1

中村健治は今敏の後継者だと(勝手に)思う

リアルタイム放映時は、
「電気グルーヴがテーマソングを担当しているから」
という動機で1話だけちら見しました。

当時はアニメから若干、遠ざかっていたので、
「(旧)エヴァンゲリオンの発展系? いや、立喰師列伝か」
などと知ったかぶりをしつつ、私自身がサブカル寄りにも関わらず、
本作のサブカルなルックになぜか嫌悪感を抱いてしまい、
また、精神医療を扱っているのも、なんか鼻につき、
ちょっと、物珍し「気(げ)」なアニメなんでしょ、と断じて
以後、追いかけず。

だったのですが、最近になって「モノノ怪」を鑑賞。
「おー、すげー!」と感心して、監督「中村健治」を検索したところ、
「あ、あれ(空中ブランコ)の監督なんだ」と。

で、今さらながらシリーズを鑑賞。
すみません。完全に数年前の私が間違っていました。

確かに人を選ぶ(毒々しいとすらいえる)ルックではあるけど、
一度、世界に入るとなぜか不思議と温かいトラジコメディ(悲喜劇)。

おそらく原作の力も大きいと思うのだけど、
きわどい題材をうまく笑いで包む演出は傑出しています。
シリーズ構成もとても凝っていて、基本的には1話完結なのですが、
最終的には、全体を通した何かが感じられる作り。

その「何か」を、あえて言葉にするなら、
あくまで精神を病んだ人の側に立った上で、
「世の中、いろんな人がいて、面白いじゃん」
と笑ってくれる姿勢でしょうか。
この姿勢は下手な励ましより、人を救うと思います。

で、見終わった後にですね。
故今敏監督の「東京ゴッドファーザーズ」を思い出したんです。
これもホームレスという「気の毒な人たち」が主人公のトラジコメディ。

中村監督と今監督は「気の毒な人たち」に向けるまなざしが、
非常に似ているように思います。

ものすごく感情移入はしていないんだけど、
むしろ、距離を置いて徹底的に観察することで、
「いや、アンタ、気の毒だけど、とても面白い、最高!」
と一周した承認を与える感じなんですよ。
そして、そのまなざしが、作品に救いをもたらすというか。

さらに言えば、お二人は作風以前の「人となり」の部分で
似ているんじゃないか、とさえ思いました。

私は今敏監督作品が大好きなので、彼が亡くなって以来、
当然のことながら今敏的なものを見ることができなくなり、
寂しく思っていたのですが、本作を鑑賞して、
ひょっとすると、この人(中村監督)ならやってくれるんじゃないか、
とこっそり期待してしまいました。

もちろん、全く同じものは作れないだろうし、
そもそも作る必要もないけれど、
同じまなざしを持った人が作る作品は、とても観たい。
それは確実に誰かの心を決定的に揺さぶるはずです。

早く劇場用長編を作って欲しいなあ。

投稿 : 2024/03/16
♥ : 7

米麹米子 さんの感想・評価

★★★★★ 4.1

全てのカナリアの声を

全11話
オムニバス形式で心療内科の患者と
症状で構成されてるのだけど
面白い。

精神科や心療内科って、実際は白かったり落ち着いた雰囲気。
でも、この病院はとってもカラフル。
モノノ怪の監督とキャラデザの方がやってるからか
演出も構成も色使いも凝ってるんだよね。

人の心ってカラフルだから病院もカラフルなのかなって思ったり
モノトーンが病状醸し出してる感じだったり
病状も、一般的にかかりやすい病気を扱っていて
真面目に作ってる事が伺える。

伊良部先生が3パターンで登場して
パターン別に応答が違ってるのも見所だし
一話ずつ話数を重ねていくと
他の話の人がちらっとうつって
全部繋がっていたりして
上手いなぁって思った。

10話と11話が好きなんだけど

子供はみんなカナリアだよ
家族にとって
もっと見てよ
話してよって
思わず言いたくなっちゃった。
良い作品だと思うよ。
押し付けがましくもなく。

おしゃれにポップに作ってあるし
敬遠されがちかもしれないけど
それで判断してみないのは勿体ないなって思う。

行動療法・認知療法・暴露療法など
手軽にできる治療法をやってるのにも好感もてるし

普通の人が一番の下りは云々と思わず頷いてしまった。
大事な人のカナリアの声は
聞き逃さずにしたいものです。

OP・ED共に電気グルーヴで拘りがかんじられました。

投稿 : 2024/03/16
♥ : 49

もちすい さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

人気ないみたい

1話完結のオムニバス形式で、精神科医である伊良部のもとを訪ねてくる様々な患者を描いたヒューマンドラマです。

多少デフォルメしつつ、コミカルに描かれてはいますが、各患者が抱える悩みは、現代人なら思わず共感してしまうものばかりではないでしょうか。

そんな患者に対して伊良部というキャラを狂言回しに据えて、応対を通して患者の心を掘り下げて描いていくわけですが、この模様を断定的になりすぎず、観ている側に色々考える余地が残るように淡白に描いているのがいいです。

各話の結末は、ほぼ投げっぱなしな終わり方だったり、やや釈然としないまま終わったり、ほとんどは明確な解決というものが描かれることなく、前向きな方向性を示唆する程度の終わり方なのですが、実際に心の病気というものは、そう都合よく解決するものでもないので、この物語においては、これはありだと思います。

他の楽しみ方としては、実は各エピソードは同時系列上になっていて、お楽しみ程度にそれぞれの登場人物同士が絡んでいたりするので、そういう面白さもあります。

しかし、かなり癖のある作品なので、おそらく第一印象は、色彩やデザイン、実写レタッチなど、エキセントリックな映像表現や演出ばかりが目に付きますが、ただのセンスアピールな雰囲気アニメだと判断して敬遠するのはもったいないと思います。

投稿 : 2024/03/16
♥ : 9
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