「げんしけん二代目(TVアニメ動画)」

総合得点
67.8
感想・評価
587
棚に入れた
2945
ランキング
2260
★★★★☆ 3.6 (587)
物語
3.7
作画
3.6
声優
3.6
音楽
3.5
キャラ
3.8

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ネタバレ

STONE さんの感想・評価

★★★★★ 4.2
物語 : 4.5 作画 : 4.5 声優 : 3.5 音楽 : 4.0 キャラ : 4.5 状態:観終わった

やりたければやればいい

 原作は未読。
 前作からだいぶ間を置いたげんしけんシリーズだけど、制作会社が変わって作画がかなり良く
なった感じ。時代の差を差し引いても今まではいまいち感が強かったから、これは嬉しい。

 キャストは一新。違和感がないと言ったら嘘になるけど、まっさらな状態でこういう
キャスティングを掲示されたら、これはこれで問題ないかな。
 元々、他作品も含めて、あまりキャスティングにこだわりはない方で、こういうキャスト
変更も合う合わないより、変更によるキャラの印象変化を楽しんでしまうからかもしれない
けど。
 印象の変化という点では大野 加奈子が大きかった。川澄 綾子とゆかなのいずれも
可愛らしさはあるんだけど、川澄 綾子版の方は可愛らしさの中に凜とした感じがある印象で、
ゆかな版は色っぽさが増した感じ。

 作中におけるメディア作品に関して、これまでは「くじびきアンバランス」に代表される
作中作品や、既存作品をもじったものが多かったが、本作は制作側が許諾を頑張ったのか、
現実に存在する作品からの引用が多く、必然的パロディ色が強くなった感じ。
 水島 努監督の過去作品キャラのコスプレなんかは一種の遊びなんだろうねえ。

 舞台であるげんしけん自体は女子中心となっており、1期と較べると男女比は逆転して、
なんか隔世の感がある。
 現実でも同じ場でありながら、雰囲気が変わっていることなんてよくあることだから、
ある意味リアル感を感じる。

 ストーリー全体の印象は2期から強くなってきたキャラ同士の人間ドラマ色が更に強まった
感じ。
 ただ、関係性が激しく動くような波乱の展開があるわけでもなく、関係性はそのままで心情を
深く掘り下げていく方に比重を置いている。
 特に新メンバー以外のキャラの心情は過去作品からの積み上げを伴っての面白さであるため、
いきなり本作からだとピンと来ないんじゃないだろうか。

 2期では中心的存在だった笹原 完士と荻上 千佳は、笹原が卒業をして、荻上は丸くなった
ことで存在感は一歩後退。笹原に関しては一歩どころじゃなく、二歩三歩かな。
 本作での荻上は形としては主人公になっているようだが、実態はまとめ役に徹している印象。
 この二人が恋人同士になる過程や、荻上の心境の変化は2期と本作の間にあり、アニメと
してはミッシングリンクと化してしまったけど、いずれ何らかの形で映像化されるといいな。

 話の中心は新メンバーと斑目 晴信といった感じで、新メンバーの中ではやはり波戸 賢二郎が
印象的。男の娘という設定もさることながら、ストーリー自体も彼中心に動いており、実質的
主人公はこの波戸クンという印象。
 他に意外性という意味では、意外と乙女な性格の矢島 美怜、一見は奇行少女といった
感じだが、実は一番全体を正確に捉え、的確な対応ができるスザンナ・ホプキンスが印象的
だった。
 的確と言えば、新メンバーではないが、笹原 恵子も空気読めない風でいて、その発言は
ツボ突いてたりするんだよなあ。

 そして斑目だが、1期のレビューで「最近は他作品でもオタクライフ描写が増えた」みたいな
ことを書いたけど、大半が中高生であるため、本作の斑目のような社会人オタク描写はなかなか
お目にかかれない。
 学生時代に一緒にバカやってた仲間も仕事や彼氏(彼女)優先となり、縁遠くなりつつある。
 げんしけんに赴けば、歓迎こそしてくれるが、お客様扱いでその輪に溶け込むことは
できない。
 こういう悲哀はオタクに限らず、学生時代に何かに夢中だった社会人は共感できる人
多いんじゃないだろうか。

 ストーリーのクライマックスは前半のコミフェス、後半の学祭といった感じだが、特に学祭の
方は波戸と斑目のそれぞれの過去の清算といった意味合いで真のクライマックスといった
ところ。
 斑目の方に関してはそれこそ1期から積み上げてきたものがあるだけに、かなりくるものが
あったかなあ。この回に関してはラストに1期の頃の部室を描いたり、EDに斑目と春日部 咲の
二人で行った回転寿司の映像が挟み込まれたりで演出が心憎い。
 幸いアンジェラ・バートン、スー、恵子、波戸クンと、彼に好意を寄せる女子?は多いしで、
新しい恋が始まる予感はありそう。でも会社辞めちゃったりで、今後はどうなるんでしょ?
 斑目に関しては生き方が不器用なこともあってか、ほっとけない友人みたいな印象で、
フィクションでありながら、幸せになって欲しいなと思ってしまう。

 終盤において、波戸クンの女装に関する葛藤に対して、斑目が「やりたければやればいい」と
回答。
 女装そのものはもはやオタクとは関係ないが、この斑目の答えはオタクにも女装にも
言えること。
 思えば1期のげんしけんと世間とのギャップや、2期での荻上の葛藤に関する回答もこれで
あり、そういう意味ではこの「やりたければやればいい」はシリーズ全体のテーマと言える言葉
なのかもしれない。

投稿 : 2014/10/05
閲覧 : 271
サンキュー:

7

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