「交響詩篇エウレカセブン(TVアニメ動画)」

総合得点
90.3
感想・評価
4406
棚に入れた
20428
ランキング
57
★★★★★ 4.1 (4406)
物語
4.1
作画
4.0
声優
4.0
音楽
4.2
キャラ
4.1

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ネタバレ

アニオタ熊 さんの感想・評価

★★★★★ 4.4
物語 : 5.0 作画 : 4.0 声優 : 3.0 音楽 : 5.0 キャラ : 5.0 状態:観終わった

ココロというものに果てしなく迫っていった一作

 まずここに断言しておくが自分にとってこの一作は断じてロボットアニメやsfではない。
 そのような見方もあるかもしれないが、少なくとも自分にとっては断じて違う。もちろん恋愛をメインにみるのもいいだろう。だがそれもまた違うように自分は感じる。
 つまり、自分にとってはこの作品におけるエウレカとレントンそしてその他大勢の登場するカップルたちの恋愛とは、すなわちこの作品の主題に対して提示された一つの選択肢であり答えなのである。
 
 まずキャラ設定を見てみよう。主人公は幼い少年少女。そして副主人公的な立場にいると思われるキャラクター達もまた幼い、もしくは大人になりきれていないものが多い。これらのキャラクターが物語とともに悩み、苦しみ、争い、決断し、過去と決別しながらも、成長していく。そしてそのための最大の役割を持たされたものがこの作品の中では愛なのである。
 初めは誰もが愛との接し方がわからず、振り回され、心を揺らされ、過ちを犯す。嫉妬やプライド、自分を守ろうとする本能が道を違えさせ、主人公たちは過ちを繰り返し続ける。特にレントンの幼さ(幼稚さ)やエウレカの不器用さ、ホランドのプライド故の頑固さ等の描写はかなり強調されたものとなっている。そして、それらを克服する物こそが愛なのである。
 また、その過程で登場し、主人公に愛の在り方や世界の真実の片鱗を伝えていく脇役たちにもまた魅力があり、一人一人が重要な役目を果たしている。
 この作品の中に出てくるメインのカップルは3・4組だが、それぞれの対比もまた人としての成長とは何かについてのメッセージをもっているように思われる。レントンとホランドのような{netabare}同じような立場の人物についても同様である。{/netabare}
 
 次に世界観。{netabare}スカブコーラルという媒介物(トラパー)を通じて思考に共鳴し、物理的エネルギーを発生させることができる集合的知的生命体を物語の根幹に置く{/netabare}ことで心の重要性が分かりやすく強調されている。それを知るものと知らぬ者、肯定するものと否定するものが存在し、その人々の確執もまたこの作品の重要な要素である。
 特に派閥として大きな役割を持つのが{netabare}ヴォダラクであり彼ら(の一部)は真実を宗教という側面から知り、教え、導く。そしてそれらの知識が科学という側面から見た真実と交わり、{/netabare}はじめて真実が明らかになる。これはすべてを知った気になり疑うことを忘れた人々、そして己の利益のため真実に背を向けやがて真実を忘れ去ってしまった人々への警告とも受け取れる。
 また、エウレカが{netabare}スカブコーラルが作り出したいわば分身、もしくは端末のような存在であり、そこへ入力された情報に従って人類への判断をスカブコーラルが下す{/netabare}というのも重要な要素の一つである。
 くどいようだがそこへ入力された{netabare}人ならぬエウレカと人であるレントンの愛こそがこの物語で人類からスカブコーラルへと提示された未来への可能性だったのである。{/netabare}

 そして最後に圧巻のラスト。この作品全体について言えることだが、サントラが素晴らしい。個人的には久石譲に匹敵する物語との共鳴、そして相乗効果が発生したと感じている。挿入曲のアーティストたちとサントラの作曲者とは別だが、いずれも秀逸なセンスを感じさせるものばかりである。
 だがその中でもはっきり言ってラストの”虹”は群を抜いていた。あの曲によって感動が二倍、三倍どころか七倍にも八倍にも膨れ上がったといっても過言ではないだろう。
 ただ、肝心のラストの内容は割とご都合主義だともいえる展開ではある。しかし、前述のサウンドトラックを含め、非常に勢いが有り、またエモーショナルにも一気にラストスパートをかけて盛り上がっていく感じなのでそれはほぼ全く気にならないといっても差し支えないだろう。
 見終わった後の感動には筆舌に尽くしがたいものがあると間違いなく保証できる。
 そもそも自分はこういう思いは奇跡を起こす系のものはむしろ嫌いな側に立っていたのだが、この作品はそんな勝手な思い神や都合は軽く飛び越えてくる力を持っている。

 最後に、ここまでお付き合いしていただけた人がいるかはわからないが、とにかく感謝する。自分の熱意が一割でもあなたに燃え移ったなら幸いだ。

くま

投稿 : 2014/11/09
閲覧 : 208
サンキュー:

5

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