「残響のテロル(TVアニメ動画)」

総合得点
82.0
感想・評価
2152
棚に入れた
11376
ランキング
371
★★★★☆ 3.7 (2152)
物語
3.7
作画
3.9
声優
3.7
音楽
3.7
キャラ
3.6

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ネタバレ

やっぱり!!のり塩 さんの感想・評価

★★★★☆ 3.7
物語 : 3.0 作画 : 3.5 声優 : 3.5 音楽 : 4.5 キャラ : 4.0 状態:観終わった

★悲しいガラスの十代作品か!?

■評価
テーマ性  :★★★   3.0
エンタメ度   :★★★★  4.0
社会派度    :★★★☆  3.5
悲哀&悔恨度 :★★★★☆ 4.3
おススメ度 :★★★☆ 3.7 

■ストーリー
突如として東京都庁が爆破されるテロが発生する。犯人はスピンクスと
名乗る高校生の二人組みであったが、警察は犯人の動機が掴めぬまま
彼らに翻弄される事となる。しかし刑事の柴崎は、持ち前の洞察力で
スピンクスの動機と事件の真相を解き明かしていくが・・・。

■感想
{netabare}
本作は音楽も良い、作画も良い、作品の雰囲気も良い。
ストーリー構成も緻密で繊細なタッチで描かれている様なシーンも
多分にあり個人的にはすごく好印象。特にスピンクスと警察との
スリリングな頭脳戦や秀才でも未成熟な青年らしくどこか危なっかしい
繊細な正義感は見ていて胸が締め付けられるシーンが印象深い。
またどこにも自分を正当化できる場所を持たぬヒロインが、9や12の
明確に自己正当性を主張できる個性や都会の片隅で逞しく生きる彼らに
惹かれていく過程も、非常に繊細でガラスの十代であった私にも共感できる
部分が多様にあった。ラストシーンは刹那的で彼らの告発が世に知れた事や
テロ行為を行った者の先には身の破滅しか待っていない事が指摘されており
誰かが死ななければ正義を成就させる事はできないと感じて改めて悲しい
思いに浸ってしまう。作品全体としてはシリアスでやや陰鬱な部分が
あるけど、ストーリーやキャラ達の繊細さやひたむきさからくる悔恨や悲哀
なんてものが人の琴線にふれる作品だと思う。
そして9や12の張り詰めた想いが感じ取れるOP曲は名曲だと思う。
さすが菅野さんと言いたいです。

悪い点を3つほど書かさせてもらうと、
結末を急ぎすぎていて各登場人物達の背景が丁寧には描かれていない。
私がしっかり見れていないせいかもしれないけれど、なぜ5が登場し、
なぜ9にあそこまで執着したのか?が特に感じ取りにくい。
ゲームの続きをしたかったのか?それとも託せていない思いがあったのか?
色々と疑問が残り、せっかくの頭脳戦を途中で切られた様な残念さがある。

また序盤の9.11をなぞる様な都庁崩壊シーンはリアリティを追求していて
臨場感もあるけれど大衆から支持される様な大義があれば、あの9.11の
テロが正しい行いだと見えてしまう様な演出はやり過ぎで、人的被害が
なくとも個人的には頂けない。アニメと現実をいっしょくたにすんなと
言われるかもしれないけれど、9.11はアルカイダとアメリカ政府の双方に
悪い点があり、最悪の結末だったと認識しているので安易にふれるべきでは
ないと思う。

そして本作は全体的にリアリティーを追求し、何か無関心社会への風刺や
日本政府の後ろ暗さへの批判に繋げる意図があったのかもしれないけど、
具体的に何を指摘して批判したいのかが中途半端でテーマが何なのか
自分には分からない。もしリアリティーをもたせた風刺作品を描くので
あれば、実際にあった事件やその時代の背景と価値観をストーリーに
盛り込んで、さらに犯行に至るまでの経緯と明確なメッセージが
描ききれていなければあまり意味がない。だから社会派作品か!?と
身構えて本作を見ると少し肩透かしをくらう部分もある。
 
全体的に結構私好みな作品で非常に楽しめた作品だから
もう少し話数を増やして細かい所まで登場人物達の歩んできた道や
これから歩んでいく道を知りたかったという想いが残る。
だけどこの作品のキャラ達が持つ悔しさや悲しさという想いは本作の
魅力でもあると思うので、繊細なサスペンス作品が好きな方には
おススメできる作品です。
{/netabare}
 
ご拝読有り難うございました。

投稿 : 2015/05/05
閲覧 : 561
サンキュー:

11

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