シェリー さんの感想・評価

3.0
物語 : 3.0 作画 : 3.0 声優 : 3.0 音楽 : 3.0 キャラ : 3.0 状態：観終わった

アイドルたちの遊戯的日常

どうしてこれを観たかは最後に(笑)


まだ売れないアイドルたちが集う「756プロダクション」。
そんな彼女らの売れるまで、また売れてからぶち当たる自らの障壁や外部からの圧力と戦いながらアイドルの頂点を目指すお話？


アニメ全体的には特筆するようなことはありません。むしろターニングポイントに突入するまではアイドルの話はあんまり関係ないです。
このアニメは順番に段階を踏んでいくサクセスストーリーとは違って、成長の過程が著しく省略されていて、
内容もアイドルとしてどうというより、女の子たちが戯れる姿の方が多いアニメになっています。
それが年齢、出身、性格が違って、強烈な個性を持つ様々な可愛い女の子たちとくれば食いつく人も多いはず。
同時に、時間の流れはぼかされていてどことなく日常系アニメのような雰囲気が漂っています。
一話一話の繋がりは希薄で、一話のアニメでさえなんだかぼんやりとしています。
それは人数が多くて人が代わる代わる出てくるからなのかどうかは謎ですが。
プロデューサーと仲良くなる描写はなかったし、全体を通してけっこう飛び飛びな印象を受けました。
あ、プロデューサーの立ち位置はとても良かったと思います。
その「サクセスストーリー」の内容も言うまでもなく、一部を除いてはあまり出来が良いとは言えません。
逆に明るく平和な回はなかなか楽しめると思います。双海双子姉妹の探偵ごっこの回は特に好きですｗ



しかし、その一部のターニングポイントにはなかなか感動させられました。
それは千早の話と春香の話です。どちらも終盤のお話です。

千早の弟の話は個人的にはあまり好みの演出ではなかったけれど、
それ無しに言えば相当きちゃう話なんじゃないかなと思いました。ネタバレ要素が多すぎて何一つ話せませんがｗ
自分との和解の方法のひとつとして、こどもの頃の自分を街中で見る、または話すっていうのは僕は大好きです！
目の前のことにいっぱいいっぱいになったときに彼らに会うというのは、
話の中のキャラクターはどうしてか自分に正直になれるし、観ている方は涙を誘われます。
「立ち戻ること」を物理的に可能にし、周りをうごめく様々な感情を取り払い、素直に見つめ直すことができる。
その表現方法としてこれは最良のものだと思います。そしてドラマティック。
{netabare}

もうひとつすごく良いなあと思ったのは、千早が遅れて来ても誰も責めず、そのまま受け入れてくれる温かさです。
「やっと戻って来てくれたね。」という空気がなにより好きでした。人がみな弱いことを知っている。
ここがこの作品で一番好きなところかな。

{/netabare}

もうひとつの春香の話。

大事なライブ前なのに皆忙しくて集まれない。仕事だから仕方ないと思うけど、どうしても納得することはできない。
何度呼びかけてもみんな「ごめん」の返信。地方の営業、ラジオ、テレビの仕事でみんなは散り散りになっている。
そうだよ？売れて仕事ができるのは嬉しいよ。だってそれを目指してやってきたんだもん。ひとつも雑にできない。
でも、だからって、ライブの全体練習が手薄になっていいの？いや分かってるよ。仕事を断ることもできない。
不安と少しの疑念が積もりに積もり、さらにジレンマの万力によってきりきりと締め付けられていく。
音を立てず静かに壊れ始める。誰も気づかない。自分さえも。
気づいたとき、立っている場所は薄氷の上だった。そっと、割れた。

目に見ない不安に軋み、周りとの温度差を感じて頭から真っ逆さまに落ちていく春香の描写は痛切でした。
それから答えを探しに街へ出て、自分と出会うことで答えを見つけるこの演出も好きでした。


逆にもうちょっと頑張って欲しかったのは運動会のリレー。
リレーって相当盛り上がる競技なのに静止画でつなげては感動1/100です。誠も最後吠えるなんてありえないｗ
勝つ描き方がずれてるなあと感じました。リレーやったことあるのかなあなんて思いましたよ。わりと真剣に。

キャラクターもそんなに好きになるような人はいませんでした。
誰かが特別輝くようにはアニメの方もしてかったしね。強いて言えば、やっぱり双海双子姉妹。


まあそんな感じでした。どちらかというと日常系のアニメだなあ、と思いました。過度な期待は禁物です。
ではでは。めざせ、THE iDOLM@STER！笑





関係ない余談
{netabare}
なぜ嫌悪していたアイマスを観たかについてです(笑)

最近、恋愛ラボを読み返しまして、アニメの方は好きではないんですが、
声の配役はとても気に入っていて読むときは声優さんの声を脳内再生しています。
中でも、リコの声の沼倉愛美さんの声が異常なくらい合っていて、すごいなあなんて思いつつ、
一体どんな人なんだろうとネット検索してたらだんだんと興味が湧き、動画サイトでも検索かけてみたりしてました。
その中で、アイマスの4話の料理バトル再現を観たら、それがすごく気に入ってしまってｗ
何度も観ていたのですが、案の定アニメの方も気になってしまい、アイマスのアニメに手を出した次第です。

たしかヨヨとネネを観に映画館に行ったとき、アイマスが推されてて「気持ち悪いなあ」と思ったのを覚えています。
絶対観るわけがないだろ、と思っていたのに１人の声優に心を動かされるとは。
でもぬーさんは恋愛ラボのリコほど良い役ではなかった(笑)

実は僕もちょっと前まではアイドルが少し好きでした。
AKBとSKEがね。当時のメンバーは全員名前と顔は一致してましたよｗ
それは受験勉強する自分と重ね合わせていたからだと思います。
だって終わってからは微塵も興味が無くなってしまったからｗ自分でもびっくりしました。

まあそんなことを思いつつ、けっこう久々にアニメを観て、
アイマスというのもそんなに糾弾するものではないなと認識を改めさせられました。
観て良かったです。それとやっぱりアニメって面白い！

{/netabare}