「アルモニ(アニメ映画)」

総合得点
64.3
感想・評価
221
棚に入れた
1106
ランキング
3798
★★★★☆ 3.7 (221)
物語
3.8
作画
3.8
声優
3.7
音楽
3.7
キャラ
3.6

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ネタバレ

ダリア さんの感想・評価

★★★★★ 4.9
物語 : 4.5 作画 : 5.0 声優 : 5.0 音楽 : 5.0 キャラ : 5.0 状態:観終わった

吉浦康裕節全開

イヴの時間の吉浦康裕監督の描きたかった作品、アルモニ。25分という尺でこの濃さはやっぱり凄い。

緻密に計算された人と人との距離感、踏み入りづらい距離、学校内の人間関係の陰と陽がこれでもかという程再現された作中の教室は、形容し難い痛みというか、いたたまれないような切ないような、そんな感傷で見ていてキツかったです。イヴの時間でもアンドロイドとの愛を求めている人間をドリ系と呼称して迫害したりと、吉浦さんは世界観の構築がリアルですね。そりゃ勿論教室がオタク層と普通の層に分かれていて普通の層がオタクを見下している方が現実的だし当然なんですけど、中々ストレートで心に来ます。

要の内容は、個人的には好きですが……
{netabare}
まず真境名樹里と付き合っていた(実際には違った)男の子、ああいうイカツい感じの子は普通に居ますが、作中完全な悪として描いているのが吉浦康裕らしくなくてなんだかなという印象。この子も普通に樹里を好きだっただけだと思うけど、主人公の本城くんを威圧するためだけの舞台装置としての機能しか果たしていなかったのが勿体無いばかりです。イヴの時間のような個性豊かな登場人物達の世界と世界が混ざるのがこの監督の持ち味だと思ってるので、オラついてるけどオタクだった、くらいの意外性は欲しかったです。音量でかくねとか言ってたのはBGM知ってたから、とかね。

あと、ちょっと全体的にオタクに都合良すぎ。そりゃ話の主軸自体が主人公の特殊な能力がきっかけでかわいい女の子と二人だけの共通点持っちゃったって感じなので都合良いんですけど、本城くんは絶対音感持ちなら吹奏楽部にでも入っているべきだったでしょう。話す友達はみんなオタクで女の子とは縁がないような男の子を主人公にしてしまうのは、せっかくの綺麗なテーマを低俗にしてしまっていて勿体無い。
すれ違い、なんですよね。クラスの友達の原作派とアニメ派の奴、真境名樹里と友達の子もどこか距離ある感じ。みんな、どこか違う。本城くんと真境名樹里でさえ、きっと本当に同じ夢を見ていない(曖昧な描写ではあったけど)。
人は皆違う中で、共有できる部分でだけ分かり合えるけど、そこでさえ些細な違いはあって……
{/netabare}


ただそれを補って余りある作画の丁寧さ(決して作画の良さではないです)と、同じ夢というロマンティックな共通点に、実際は話を合わせてるだけという悪い意味でのリアル、ラストの幻想的な夢のシーンに流れるKOKIAの曲が最高でした。吉浦康裕監督作品の世界観が大好きで好みなので、評価は甘く。

投稿 : 2016/01/08
閲覧 : 289
サンキュー:

5

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