RFC さんの感想・評価

4.4
物語 : 4.0 作画 : 4.5 声優 : 5.0 音楽 : 4.0 キャラ : 4.5 状態：観終わった

爆笑しながら一気に引きこまれたものの後半失速か

友人に勧められて視聴開始。
DVDパッケージと、再生してからの内容に大きな乖離があり、
「入れたDVD間違えたかな？」って思ってしまいました。
数分見続けて、「ああ、なるほど」って理解しました。

原作はアニメ視聴後に読破。現在も継続中です。

【作品概要】
　剣と魔法の世界の魔王が人間の勇者に追い詰められて、
　ゲート（空間転移する魔術）で逃げた先が東京笹塚だった
　というところから始まります。

　魔王城よりも巨大なビルが建ち並ぶ超文明の世界で、
　魔王は人間のルールに従って生き抜き、魔力を補充し、
　帰還のチャンスをうかがう選択をします。

【作品に対する感想】
　現代人が異世界に行く話は多いと思いますが
　（レイアース・グリムガルなど）、
　逆は珍しいですね。
　それをとても細かな描写で表現しているので、
　すごくリアリティがあってよかったです。

　独り暮らししたことがある人には特にお勧めです。

　原作の1割くらいしかアニメ化されておらず、この後もとても
　魅力的な話が続くので、是非是非2期を作ってほしいですね。


１）物語
　1話からニトロでフル加速している感じでした。
　基本コメディ路線ですが、時折バトルやほっこり暖かいシーンも。
　「あるある」的な笑いがいい感じでした。
　現代日本のパロディが多く、
　docomo⇒docodemo
　ケンタッキー⇒センタッキー
　それだけでも結構笑えます。　

　後追いで原作を読みましたが、前半はオリジナル要素がかなりいい
　効果を出しています。
　ただ、後半は尺の都合なのかオリジナルストーリーの部分で
　間延び感があったり、やたら胸ネタに固執し過ぎて胃もたれ気味でした。

２）声優
　特に違和感なく、はまり役だったと思います。
　架空のエンテイスラ語を本当にある言語のように当てているのは
　凄いと思いました。
　（一応文法はある程度作られているらしいです）

　あとちーちゃんが真奥がらみで壊れてる時の演技もいい感じでした。　

３）キャラ
　メインからサブキャラまでいいのが揃ってます。
　①魔王サタン（真奥貞夫）
　　{netabare}悪の象徴のはずが凄くいい人で、{/netabare}
　　これがこの作品の肝と思います。
　　こんな人になれたらいいなあと言うくらい心技体揃ってます。
　　時折詰めの甘いところも人間味あってよいかと。
　　（魔王ですが）

　②勇者{netabare}エミリア（遊佐恵美）{/netabare}
　　苦労してる感がいいですね。
　　勇者やっるだけにポテンシャル高いです。
　　いつもキレてるような気がしますが、まあしょうがないですよね。
　　
　③佐々木千穂
　　普通の女子高生で、日本での魔王の後輩。
　　原作ではしっかり目の高校生として描かれてますが、
　　アニメでは年相応になっているように思えます。

　④悪魔大元帥アルシエル（芦屋四郎）
　　サタンの側近で魔王軍一の知将。日本では主夫。
　　知将と言えば魔術系という先入観で描かれていたようですが、
　　原作では最硬の防御力を誇る肉弾系でした。
　　
　⑤鎌月鈴乃
　　この娘めっちゃ好きです。
　　時代錯誤な昭和初期な感じで不思議ちゃんか?と思いましたが、
　　立場や状況に縛られつつも事実を見据えて決断したり
　　決して盲従して流されないところが凄く魅力的です。


４）作画

　　絵はPVの時点では原作の029さんの絵を踏襲した、かなり童顔な
　ものでしたが、放送時には小ざっぱりした絵に代わってましたね。
　（芦屋などほぼ別人）これは正解だったと思います。

　ただ女性が入浴してるシーンで
　長い髪を湯船に入れちゃってるのが違和感ありました。
　女性からするとあり得ないらしいです。

５）音楽
　情けないシーンの音楽が最高でした。

６）好きなシーン
{netabare}
①第1話
　「カツ・ドゥーン」は声優さんのアドリブだったようですが、
　結果的に大正解！
　
　異世界の魔王がどうやって日本で生き抜いていくのかと思いきや、
　普通に戸籍を作って、銀行に口座を作って、不動産屋で部屋を借りて…
　とあまりの適応能力に笑いました。

　原作でも{netabare}大家さんがこの事を予想外で驚いたと言っています。{/netabare}

　世界の覇権がどうのこうのと言うレベルから
　一気に小市民なレベルにスケールダウンしたギャップが最高でした。

②魔王「銭湯に行くぞ！」恵美「戦闘！？」
　分かってたけど吹きました。

③芦屋「魔王さまが残り少ない財産からお下賜頂いた千円だ。
　大切に扱え!」
　
　魔王と千円…落差があり過ぎて笑えますね。
　この作品はギャップを愉しむ作品ですな。

④怒涛流コーヒーでの恵美とちーちゃんの怒鳴り合い
　ちーちゃんキレると結構怖いんだ。
　後半は売り言葉買い言葉で半分やけくそで叫んでる
　感じが良かったです。

⑤鈴乃「西瓜が通行手形…」
　Suicaやろ！

⑥鈴乃と恵美の誤解が解けたシーン「えええええ！！？？」
　うまいこと誤解が生まれそうな言葉を選んで
　引っ張り続けた原作者に敬礼です。
　


{/netabare}

７）原作について（余談）
　いや、ホント面白いです。
　16+2巻時点で、もうすぐ終局を迎えそうな状況です。
　メインストーリーの裏話的な補完もあっていいですよ。
　
　アニメで出てきたシーンの補完と言えば…
　・恵美が日本に来た直後～永福町のマンションに住むまで何があったか
　・真奥をめぐって（千穂の勘違いで）最初犬猿の仲だった恵美と千穂が
　　仲良くなるまでどんなことがあったか。（ルシフェル撃破後）

　　⇒どちらもかなり笑わせてもらいました

　
　ちょっとだけアニメ後の話を断片的に紹介します。
　（核心に触れそうなことは避けて書きます）
　{netabare}
　・そもそも魔王はどうやって魔界を統一したのか
　　（魔王は最初ルシフェルの足元にも及ばないくらい脆弱だった）
　　本編ではすでに死亡しているアドラメレク・マラコーダも登場します。
　・サリエルが所属する天界の本当の目的は?
　・オルバはそもそも何を目指していたのか？
　　まだまだあのくらいで引きさがっておらず、
　　天界・魔界・人間界を巻き込んでいろいろ引っかき回します。
　・地球～エンテイスラ間を結構な人数が往来します。
　　（日本人を含めて）
　・魔王たちの事もある程度見抜いていたと思われる
　　志波美輝（大家さん）の正体とは？
　・佐々木千穂、戦闘要員ではないものの超重要人物になりつつあります。
　　ほんの少しだけ聖方気を使えるようになったり…。
　・恵美の両親はどうなったのか
　・マグロナルド幡ヶ谷支店の店長木崎の本当の夢は？
　　⇒キャラが深掘りされてて良かったです
　・鈴木梨花のその後
　・鈴乃の貴重な洋服姿
　{/netabare}　
　などなど・・・