「ユリ熊嵐(TVアニメ動画)」

総合得点
63.3
感想・評価
536
棚に入れた
2348
ランキング
4336
★★★★☆ 3.5 (536)
物語
3.4
作画
3.6
声優
3.5
音楽
3.6
キャラ
3.5

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ネタバレ

STONE さんの感想・評価

★★★★☆ 3.8
物語 : 4.5 作画 : 3.5 声優 : 3.5 音楽 : 3.5 キャラ : 4.0 状態:観終わった

多重的な意味がありそう

 幾原 邦彦監督作品らしく、表面的ストーリーや映像とは別に、そこに描かれているものが
何かの暗喩やシンボルだったりで、裏にあるものを読み取る楽しさがある作品。
 大枠が人と熊の対立と友情・愛情という非現実的な設定のせいかもしれないが、やはり暗喩や
象徴的シンボルを持つことの多い民話や神話のような口承文学に通じるような雰囲気を感じる。

 裏にあるものの解釈に関しては随所に描かれるユリ描写から同性愛とその差別などが意図
されているのだろうと思われるが、他にも罪や正義の観念の描写や宗教的シンボルの多用など
から、宗教間の対立問題、更に最大公約数的な普遍性とそこからはみ出す個性に対する差別と
いったもっと汎用的なものなど、多重的な意味合いがあるように感じる。
 そして、いずれの意味合いでも、椿輝 紅羽の最終的行動に象徴されるように相手側に歩み
寄ることの大切さを説いているように思えた。
 自分の印象が制作側が意図しているものと同じかどうかは判らないが、制作側にそれなりの
正解があっても、こういうものは個々がそれぞれに感じればいいと思うので。。。

 逆に表層的部分は抽象的要素が強く、更に細かい整合感は無視しているようなところが
あるので、表面的部分の細かい設定を気にするような見方をしてしまうと、矛盾の多い変な
作品という印象になってしまいそう。
 個人的には裏読み以外の部分でも映像や演出で結構楽しめたりしましたが。
 こういった部分ではバンクシーンやお決まりのフレーズの多用が印象的で、多少は制作の
負荷減らしみたいな側面もあるのかもしれないけど、多用することで裏の意図のアイコンと
しての強調要素があったり、コメディとしての天丼ネタの面白さがあったりする。

 デザイン的には熊のデザインに代表されるようなシンプルなデザインが印象的。
 幾原監督作品の前作である「輪るピングドラム』はかなり記号化されたデザインが印象的
だったが、そこまでではなくとも本作も一種のアイコンとしてのシンプルデザインなのかなと
いう気がした。
 あとこの作品、ライトタッチでコメディテイストを持ち合わせているが、ストーリー自体は
結構残酷で陰湿なものがあり、その辺がこのシンプルなデザインで軽減されている効果も
あるような。

 幾原監督に関してはいつも思うのだが、エンターテイメント性をちゃんと持ちつつ、
アート性を感じさせる商業アニメをちゃんと作れるというのは、やはりたいしたものだなと。
 雰囲気や映像などは終始ぶれることなく、最後まで安定感を感じた。

投稿 : 2016/02/14
閲覧 : 256
サンキュー:

10

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