「響け! ユーフォニアム(TVアニメ動画)」

総合得点
91.1
感想・評価
3122
棚に入れた
13861
ランキング
39
★★★★★ 4.2 (3122)
物語
4.1
作画
4.4
声優
4.1
音楽
4.3
キャラ
4.1

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ネタバレ

たんたんたぬき さんの感想・評価

★★★★☆ 3.8
物語 : 3.5 作画 : 4.0 声優 : 3.5 音楽 : 4.0 キャラ : 4.0 状態:観終わった

ストーリーの細分化

まずこの作品が年度代表としてふさわしいか?で考えてみたい。今年は客観的にも主観的にも同じ作品が4シーズンの代表作品となってる。冬冴えカノ、春ユーフォ、夏監獄、秋ワンパンマン。私の高評価とサイトの評価が完全に一致してる。ただしいて言うなら夏の監獄とオバロが私の好みの強さが出て同程度の評価。後秋ワンパンマンがあまり評価の高くないすべてがFになると似たようなレベルでしか無い。だからこそ春ユーフォを簡単に選出できた理由にもなる。冴えカノはシンプルに面白いと言うより丸戸氏のキャラ造詣見事さに感動してNO1を勝ち取った感じがある。客観的に見た部分に主観的評価を混ぜて良いのか?で基本は主観的に評価して後からランキングを見て自分の好みがきついなと修正する感じになる。単純にランキングと一致しない。それはランキングは対した差じゃないのに順位付けする問題があるのと一時的に高い数値でもこれから先集計数がたまってきた時どうなるか?だと違ってくるから。私はそれを予測してるわけじゃない。どーせ理性で未来が分からないなら主観で評価しようとしての結果となってる。

タイトル=テーマをここから展開しようと思います。この作品はストーリーが良いです。ただこの作品を批判する人にも耳を傾けるべきです。この作品はストーリーがイマイチです。明らかな矛盾です。何故その矛盾が生じるのか?それには明確な答えがあります。この作品は筋展開がアリガチで凡庸なんです。どこかで見たストーリー展開や筋が流れてくるだけで刺激が弱い。スポーツ部活物を漫画で詳しい人ならすぐ分かると思うのですが、吹奏楽は文科系ですがこの部活は運動部のノリですね…。だから古典のスポーツ部活物のストーリー展開筋とかなり一致してしてしまうと見ています。そもそも文芸部などに較べて頭を使うと言うより楽器の操作って運動の亜流でしょ?これもろ運動部のロジックで作られています。ユーフォをストーリーから褒める場合には注意したほうが良いと思います。ストーリーがよい、ストーリーがいまいち。この両者は矛盾無く両立します。批判的意見をアンチと否定するのではなくそこに意味があると私はこの作品に関しては見ました。その多くの意見を総合的に見た結果ストーリーという言葉の問題に過ぎないと分かりました。

この作品の筋展開は王道です。王道が何故魅力的なのか?繰り返される使用に対して耐えられる飽きの来ない魅力。大体はこれで語られるでしょう。でも実際は飽きてるんです。本当はもう1つあります。これがあまり語られないから王道の本当の魅力は多くの人に伝わってない。王道は細部で差別化します。王道は大筋では飽き飽きしたものでアリキタリな単調なものです。それを後続の作品でも魅力的に魅せてるのは後続の作品ほど細部に拘った良さによって完成度が上がってくるからです。

ユーフォの細部の武器はどこにあるか?キャラです。キャラクターへの感情移入に在ります。じゃ何故キャラクターの感情移入が起こるのか?それは一人一人のキャラが自分で考えて感じて、結果として個別の言動が生じる現実的な脳の働きを感じるからです。これは間違いなく原作者の力でしょう。この手法は一般小説や実写の手法です。この作品の最大の武器はまるでアニメらしく無いです。

じゃこの作品のアニメの価値はどこにあるか?キャラデザと写実的アニメ背景の融合にあると思います。これはハルヒによって始まって氷菓によって完成された京アニのアニメ映像の極みだと言えると思います。このアニメ映像は実写的なストーリーが乗りやすいと言えると思います。氷菓はまだ実写的じゃ無いです。氷菓が殺人事件などのミステリーなら違っていたと思います。どこの学校に推論を元にした大量の言葉を駆使して女子高生と会話する男子高校生がいるのか?実写なら多分台詞をカットされてこういう作り方にはならないと思います。もし実写でそのまま創ったら多分何かこれ違和感があると感じると思います。それは何故か?氷菓をアニメで見てしまってるからです。より違和感が少ないものを見たのにわざわざ違和感を感じる劣化映像を見たい人がいるのか?となります。その氷菓よりもこの作品は実写向きです。そうなると最後に何が残るのか?キャラデザと写実的アニメ映像の融合しかないと見ています。物語に眠るアニメ的な部分、それさえもこの作品は排除してしまいました。ちなみにハルヒはSFファンタジー的な不思議世界がベースになってるので京アニが徐々に物語のリアリズムを進化させているのが分かると思います。補足として京アニ独自に追加した細部のアニメ的言動については私は価値だと思っています。ただ中2病ほどそれは強く発揮された作品だとは思いません。

後音を作品の重要な材料にした物語はアニメに向いてますね。私はピアノの森と言う漫画はアニメ向きじゃないと思っています。アニメで映画化されてますが、それは小学生編を映画化したのが上手いと思っています。天上の調べ神の技巧そんなものを表現するのは漫画が向いています。無音こそが最大の音に対する創造力が発揮されます。あくまで高校の部活動の範囲の魅力を描くそういったものならアニメは漫画に対して大きなアドバンテージをもてるでしょう。特に面白かったのはトランペット対決です。副部長がもう一つの演奏だと言う優劣をきちんと音によって素人でも分かるように表現していたことです。

2015年の総括として冴えカノとユーフォのキャラクターの魅力について書いておきたいです。冴えカノのキャラクターの魅力は他人の魅力です。ユーフォのキャラクターの魅力は同一性の魅力です。冴えカノのキャラクターの魅力は必ずしも共感するような部分が無くても良いです。面白い人だなと思うけど自分と似た部分がさっぱり感じられないそういう人っているでしょ?これが冴えカノのキャラクター作りのポイントで、それに対してユーフォの魅力はキャラクターの考えてる事感じてることに分かるって部分が多い事です。必ずしも自分に似たキャラじゃなくても分かるって感情はやはり共通性から生じます。アニメ的なキャラクターの魅力と実写的なキャラクターの魅力って必ずしも一致しません。そして二つは完全に分離するものじゃなくてアニメにも実写的な魅力があり、実写にもアニメ的魅力があります。極端な話をすると魚、虫や蛇などの動物飼う魅力と哺乳類などの動物を飼う魅力の違いに近いかと。後者には自分との類似性による親近感が必須となると思います。同時に非哺乳類などが持つ個性に対する純粋な魅力も存在します。

両者が同じアニメの中でキャラクターで語られるのはリアリズムとリアリティの混同のせいです。リアリティは必ずしもリアリズムと同一である必要はありません。冴えカノだろうがユーフォだろうがリアリティと言う点では受け手が感情さえ発生すればそれは同一の好ましい存在でしか無いです。両者に違いはありません。でもリアリズムの上においては感情移入による共感がキャラクターの魅力になりやすいです。ユーフォはリアリティよりリアリズムで語るべきキャラクターの魅力だと思います。ユーフォのキャラが魅力的なのは、こんな人現実にいそうだという感覚を刺激するからだと思います。

アニメ的魅力の高さで評価すべきか?で私はそうは思いません。純粋に感情を揺さぶられたか?だけで評価すれば良いと思っています。私は年度代表は常に客観的な立場で評価しています。ですが、私は評価点数自体は主観的なものです。私の中で年度代表よりもっと高い評価点数の作品があるケースもあります。ただし2015年度は上記に書いたように全く同じです。アニメ的じゃない部分は批判的では無いです。単純に次どうなる?この先どうなるんだ??みたいな展開の楽しみが薄かったのでそれで下がってしまっただけです。それよりも高坂さん魅力的だったなとか主人公の久美子の感じる心に魅せられたりと言う感じが強いです。両方満たされる作品も多いので何か片手落ちだなと思う部分が強くてそれで微妙に評価が低いです。そもそも最初こんな評価高くありませんでした。キャラの魅力が回を重ねるほど厚みを増していき最初こんなものかと思ってたアニメの魅力が2015年度最高作品だと春の時点(夏秋の作品は原作に関して大体評判を知っていたためです)で確信するほどに変化しました。

それでも私は1クールでスロースタートの作品は高く評価しません。ただ1巻を1クール使ってやると言う展開が遅いゆえの刺激の薄さに関しては問題だと思っていません。私にとって展開が遅いから刺激が無いのじゃなくてアリキタリだからです。まず上記で述べたようにストーリー展開筋に強い魅力がある作品じゃないからです。次に京アニの追加したであろう(原作未読)オリジナル部分が秀逸だったと思い込んでるからです。ここも冴えカノとの比較論になりますが、こういったキャラクターの魅力はスロースタートになって当たり前だと思っています。ユーフォはキャラの事が良く分かってきて魅力が高まる作品です。冴えカノの様に良く分からない段階のキャラクターでもインパクトが合ったり刺激があったりして魅力的になる作品じゃないからです。ストーリー展開の遅さもストーリーの良い悪いで語られる部分ですが、この作品は遅いのにメリットがあるので悪いものじゃないです。多くの作品でストーリー展開の遅さがマイナスになるのは遅くなった原因がメリットになってないからです。1クール1巻と言うストーリー展開の遅さはこの作品にとってはストーリーが悪い原因にはなってないです。こういった作品は最初の数話はそれほど面白くないのが常です。1クールの中で3,4話捨ててしまうぐらいで考えています。その後そのままキャラの魅力が上がってこなかったら展開の遅さのせいでストーリー展開の刺激が作れなかったとなります。スロースタートだけが問題でその問題が全体の展開の遅さの問題にはなってないと思っています。むしろ後半は丁寧に描いてくれたと思っています。それでも1クールのアニメには不利だとはっきり思います。この作り方じゃ13話の中の最初の3,4話捨て回だと思うぐらいで、平均的に見て刺激が足りないと思います。評価としては低いですが、これでも後半の上げでスロースタートを補ってると全体を高く評価してるつもりです。


※他の作品の話を大量にする事で見てない人が分かりにくくなってしまった事だけお詫びします。2015年度の代表作品という事で意図的にやりました。見てない人にはイマイチ面白みが薄れる評価文になってしまって申し訳ないです。

投稿 : 2016/03/03
閲覧 : 258
サンキュー:

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