どらむろ さんの感想・評価
4.3
物語 : 4.5
作画 : 4.5
声優 : 4.0
音楽 : 4.0
キャラ : 4.5
状態:観終わった
超ユニークな世界観と王道なボーイミーツガール。パテマかわいいです♪
「イヴの時間」で知られる吉浦康裕監督による、100分程のアニメ映画です。
基本プロットは宮崎駿監督の「天空の城ラピュタ」路線のボーイミーツガールな冒険ファンタジー。
少年と少女それぞれ二つの世界で「重力が反転していてお互いサカサマ
」という奇妙な舞台が印象的です。
…ラピュタが好きな人ならば好ましく思えるのでは。
パテマちゃんかなり可愛いのがポイント高い♪
{netabare}『物語』
二つの世界と住人がそれぞれ重力が反転していてお互いサカサマ!
ヒロイン・パテマにとっては空が下で、何かに捕まらないと「空に落ちて」しまう!
……不思議!摩訶不思議です。
このユニークな世界観を存分に活かしたボーイミーツガール大冒険。
サカサマ設定以外の基本展開は天空の城ラピュタを踏襲している感じ。
親方!空から女の子が!…ならぬ、空へ女の子が落ちちゃう!?
2010年代の作品では意外と貴重な王道作品、何せ近年の宮崎駿監督ももうやらない路線ですから。
ストーリー自体はラピュタの簡易版といったところですが、サカサマ設定がボーイミーツガール冒険活劇に抜群の相性なお陰で終始萌えました♪
とにかくサカサマ設定が面白い上に、ボーイミーツガールに効果的に活かされているのが良い。
たった一人で主人公の少年エイジの世界「アイガ」(我々と同じ重力の世界)に迷い込んでしまったパテマちゃん、彼女にとってアイガ界は全てサカサマで気を抜くと「空に落ちてしまう」という名状し難い恐怖感や不安感が伝わってきます。
そんな謎の美少女(だと思う)パテマと出逢い、交流していくエイジ。
エイジの世界はディストピア寄りの管理社会で窮屈なのもあり、パテマとの出逢いで非日常がスタートするワクワク感も。
この二人のやりとり、交流が微笑ましく、良いボーイミーツガールでした。
主人公とヒロインが「合法的もとい必然的に抱き合う」サカサマ設定がスバラシイ!
お互いサカサマで抱き合う奇妙な絵面に終始戸惑いつつも、いつも抱き合いながら会話したり冒険する二人が微笑ましい!
…設定と展開上の必然で「常時抱き合う少年少女」
「ニセコイ」の作者の最初の連載「ダブルアーツ」を思い出します。
ダフルアーツは主人公とヒロインが常に手を握っていないとヒロイン死ぬ設定のバトル漫画でした。
本作も主人公ヒロインが常時サカサマで抱き合う必要があるのだ…!
二人の連携で重力制御して危機を乗り越えていく、実に巧みなサカサマ設定万歳!
…このサカサマ設定の素晴らしさは、サカサマでも反転重力のお陰で「スカートがめくれない」!
どうやらパテマちゃんパンツではなくスパッツぽいのですが、サカサマだから平気だもん!
途中で捕らわれのパテマちゃん救出に行ったり、実に王道。(カリオストロの城思い出す)
最後まで二人で力を合わせて危機を乗り越えた。
目まぐるしく反転するサカサマな視点と立場から、異なる立場の者を思いやる的なメッセージも分かり易くて好感持てる。
パテマはずっと怖かったんだ…それに気づいて思いやるエイジ、良いシーンでした。
…以下、やや惜しい点を。
エイジとパテマ、ラブコメの波動を感じる!とまでは至らなかった。
エイジが危険を冒してでもパテマを助けたい!という情熱に説得力があと一歩欲しかった。
敵ボスのイザムラが何やりたいのかがイマイチ分からん。
あんた単にパテマちゃんをイジめたいだけだろ!?
管理社会ディストピアは、単にエイジにとってちょっと窮屈程度の位置付けでしか無い感じ。
良くも悪くも「意外と優しい世界」
軍国主義的な割には反乱分子なエイジにかなり寛大だったり、イザムラのピストル以外は危険な武器使わず生け捕りが基本だったり。
まあここは安心して観ていられる点では良いのですが、やや緊迫感が欠けた面も。
パテマの故郷が今更イザムラに突き止められるのも御都合主義を感じますが、まあここはお約束という事で良し。
ラストの壮大な種明かしが、ちょっとピンと来なかったです。
(ウィキや他の方々の解説レビューで分かりました)
ここはSF的に最大の見せ場なので、分かり易くアッと驚かせてほしかった。
いくつか不満はありますが、致命的ではない。
超ユニークなサカサマ設定とそれを活かしたボーイミーツガールが素晴らしいので、総合的には大満足です!
『作画』
重力が反転したサカサマ世界観描写が素晴らしい。
「空に落ちていく」普通ならあり得ない名状し難い感覚を、映像で見せてくれたのは見事。
空も背景も綺麗で冒険活劇の舞台として十分。
キャラデザ面ではパテマちゃんがかなり可愛いのがポイント高いです。
めっちゃ好み♪
サカサマのお陰でスカート鉄壁だったり、胸も年相応はある感じ良い♪
『声優』
パテマは、数多くの脇役演じてきた藤井ゆきよさんの初主演作です。
ログホライズンのてとらはパテマ寄りの演技だったんですね。
勝ち気でお転婆だけどサカサマの不安や怖さも伝わるいじらしさ素晴らしい。
若干癖はありますが、とてもパテマらしくてハマリ役かと。
エイジの岡本信彦さんは安定感あり。
土師孝也さんが流石の貫禄な名悪役でした。
「牙狼(ガロ)炎の刻印」の悪役メンドーサ…はイザムラを更に邪悪にしたんですな。
メンドーサ程の邪悪さはないけれど、パテマちゃんをイヂめるイヤらしさや狂気はバッチリ。
『音楽』
主題歌「Patema Inverse」綺麗で良曲です。
BGMも中々。ラピュタには及びませんけど。
『キャラ』
パテマちゃんがかわいいに尽きる!キャラデザからして好みなんですが、勝ち気でお転婆だがサカサマのせいでか弱いヒロインとしてもいじらしい。
空に落ちてしまうかも…な恐怖や捕らわれの状況でも勇敢にエイジに抱き着くシーンが萌えどころでした。
強さと可憐さのバランスこそはラピュタ以来のヒロインの王道、パテマちゃんはそれを満たしている!
…ただ、状況故仕方がないとはいえ、中盤以降は大人しい感じも。
エイジは、まぁまぁがんばりました。
もうちょっと積極的にパテマ守りたい気持ち持ってほしかった。
イザムラは悪というよりも狂信者な感じ。
エイジにも割と寛大だったり意外と悪い人じゃない印象なんですが、何やりたいか不明確で敵ボスとしてはイマイチでした。
ムスカがいかに名敵役だったか分かる。
ポルタは良い奴でしたが、エイジのメイン主人公感が薄れた功罪も。
エイジ一人でポルタ並みの活躍とパテマに惚れてほしかった。
この他治安警察が意外と良い人だったり、エイジの幼馴染が可愛いけど空気だったり。
…全般にパテマ以外の掘り下げはイマイチでしたが、パテマちゃんさえ可愛ければ良し!{/netabare}