「響け! ユーフォニアム(TVアニメ動画)」

総合得点
91.1
感想・評価
3122
棚に入れた
13861
ランキング
39
★★★★★ 4.2 (3122)
物語
4.1
作画
4.4
声優
4.1
音楽
4.3
キャラ
4.1

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ネタバレ

STONE さんの感想・評価

★★★★★ 4.6
物語 : 4.5 作画 : 4.5 声優 : 4.5 音楽 : 4.5 キャラ : 5.0 状態:観終わった

音楽ものの傑作の一つ

 原作は未読。
 他の作品のレビューに散々書いてきたけど、バンドをやっていた経験からか、音楽モノに
関しては、割とハードルが下がる傾向があるんだけど、それを差し引いてもこの作品はよく
できた作品だと思う。
 自分自身は吹奏楽経験はない人だけど、どういうわけか吹奏楽部所属経験のある知人が
多く、そういう人達から聞く話からすると結構、あるある的面白さもある。
 あと個人的にサックスを吹いているので、管楽器あるある的面白さも感じられた。
 加藤 葉月のエピソードにあった合奏をして、音が合った時の気持ち良さはジャンル、楽器の
種類を問わず、通じるものがあると思う。

 ストーリー的にはいわゆる部活モノで、ダメダメだった集団が上を目指していく展開は
スポーツものなどに通じるものがある。
 この過程においてレベルアップ派とエンジョイ派の対立問題や、完全実力主義か、年功序列
主義か、などのシビアな問題を真正面から取り上げているところは好感が持てる。
 こういった問題は体育系、文化系問わず、更に部活以外でもある程度の趣味性のある
コミュニティではつきまとう問題で色々と考えるところがあった。
 それまでぬるい状況にあった部を変えたのは顧問に就任した滝 昇によるものだが、部員
自身に方向性を決めさせたのは、生徒の自主性に任せつつ、部員にも責任を負わせ、更に覚悟を
決めさせたところがある。
 この覚悟という部分では、それまでの多くの部員はどことなく中途半端な印象だったが、
以後は黄前 久美子の「上手くなりたい」に代表されるようにストイックに上を目指していく
者もあれば、斎藤 葵のように身を退く者ありといった感じで、自身の身の置き所をはっきり
させていく描写が興味深い。

 最終回はあえてドラマ性を希薄にして、京都府大会の演奏シーンをていねいに描くことで、
コンクールに挑むキャラの描写で、各キャラの思いを伝えるという手法。なかなか挑戦的な
やり方だと思う。
 最終的には関西大会出場決定とハッピーエンド的結末を迎えたが、本作のアニメ化は原作の
途中までなので、高坂 麗奈の滝先生への思いの去就、田中 あすかのミステリアスな部分の謎
など、あいまいなまま終わってしまった部分もある。

 キャラの掘り下げもよくできており、10代の多感な感性がうまく表現されている。
 久美子が主人公であるのだが、積極的に動くタイプの主人公ではなく、良くも悪くも一歩
退いて全体を見ているキャラ。実際に事件の現場の出くわすことも多いが、部全体を主人公と
考えた場合のストーリーテラー的立ち位置なんだろうなあと思う。
 彼女に関しては内と外での雰囲気や態度の違いがやけにリアリティを感じる。

 一方、麗奈はやるべきことが明確で、それに向かって突き進むキャラ。久美子とは対照的な
キャラであるがゆえに互いが引き立っている感がある。
 彼女に関しては大人びた雰囲気があるのだが、随所随所に幼い部分が感じられ、ある意味
背伸びをしている感も感じられたり。
 他にも魅力的なキャラが多々なのだが、いかんせん1クールでは時間が足りず、描写不足と
言うか、物足りなさを感じるキャラが多い。そんな中でも心の内が見えないあすかが特に
気になるところ。

 作画は背景を始め、やはり素晴らしく、これは演出の領域にも触れるが、光と影を活かした
部分が特に印象的。
 演出と言えば、これを書いている現在、もう2期を視聴済みなのだが、2期に較べてキャラの
反応などはアニメ的デフォルメ感のある演出だなと思ったり。
 音楽も素晴らしいが、作中曲だけでなく、BGMもかなり良い。

投稿 : 2017/01/10
閲覧 : 224
サンキュー:

20

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