「機動警察パトレイバー2 the Movie(アニメ映画)」

総合得点
78.6
感想・評価
351
棚に入れた
1813
ランキング
533
★★★★★ 4.2 (351)
物語
4.3
作画
4.3
声優
4.1
音楽
4.1
キャラ
4.2

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ネタバレ

蒼い✨️ さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0
物語 : 3.5 作画 : 4.5 声優 : 4.0 音楽 : 4.0 キャラ : 4.0 状態:観終わった

パトレイバーじゃなくて良いよね!

アニメーション制作:Production I.G
1993年8月7日に公開された劇場版アニメ。
監督は、押井守。

【概要/あらすじ】

1999年。紛争地域となっている東南アジアの某国で、PKO部隊として参加中の日本の陸自レイバー小隊は、
武器の使用の許可が降りないがために反政府軍の敵襲に無防備を強いられて壊滅。

2002年の冬。横浜ベイブリッジを爆破されるという事件が勃発。
当時の状況が撮影されたビデオカメラには戦闘機らしき飛行物体の機影が映っていた。
それが自衛隊の所属機体であるとして、容疑がかけられる。

その一方で、南雲課長代理と後藤隊長へ面会をしに陸自の情報部員の荒川という男が特車二課に訪問する。
荒川が言うには事件の首謀者は3年前の例のPKO部隊の隊長であった“柘植行人”だとして捜索協力を依頼する。

そしてまた、事件が起こり、
自衛隊の国家への叛意を警戒する警察 vs 冤罪なのに国に汚名を着せられたという形の自衛隊 の対立が深化。
相互不信で不穏な空気が増していく東京。
それは、平和ボケした日本人の危機感を煽るために柘植が描いた「東京戦争」のシナリオの内なのであった。

【感想】

私から観たパトレイバーというのは警察を舞台にしたロボットエンターテイメントであり、
泉野明巡査の、乗機のイングラムに対する情の深さとレイバー乗りとしての成長の物語。
そして、特車二課のイングラムと、シャフト製の黒いレイバー・最強の敵であるグリフォンの対立軸。
ゆうきまさみによるノンポリ指向の漫画版が正しくそうなのでありますが、
本作品では特車二課は代替わりして今までのメンバーは後藤隊長と山崎ひろみ以外は蚊帳の外。

この映画では、特車二課第2小隊の隊長である後藤喜一警部補を主役に異常事態となった首都・東京を舞台に、
物語の6割がオジサン達の『この国は~』『平和とは~』のイデオロギー問答に費やされる。
終盤に泉野明たち旧メンバーが再結集しての戦闘シーンがあるものの、彼女たちの出番はおまけ程度。
レイバーの役割が武装装甲車となんら変わりなく二足歩行の手足がついたロボットアニメとしての醍醐味が皆無。
対米追従の日本政府の拙い対応が事態の深刻化を引き起こす。組織の論理で正義が存在しない警察。
平和ボケした日本と権力への批判色が強く、完全に政治論議が目的のアニメ。

1990年代前半の日本で考えうるハイテク描写。ロケに基づくリアルな東京の街並み。
空自F-16Jの飛空シーンなど映像の完成度は高く、緊迫感のある画面。
モブやガヤに声優の素人を起用してリアル感を演出するなど、
実験的な試みが多く映像作品としては凄いと思える部分が多々なのですが、
頭でっかちに過ぎて、エンタメ成分に勝ちすぎている感じ。
内容も押井節が全開過ぎて、だからこそ熱烈なファンがいるのも頷けるのでありますが。

アニメ作品というより押井守監督作の日本映画を観ているような感覚。

『うる星やつら2 ビューティフル・ドリーマー』に引き続いて作品のガワだけ借りて、
押井守の頭の中にある理論の具現化に終始している作品ですよね。パトレイバーでやる必然性が皆無。

同世代の他アニメ作品と比較しても非常に卓越した作画や演出の高さは理解できますが、
個人の感性として、とっつきにくい内容であると思いました。


これにて感想を終わります。
読んで下さいまして、ありがとうございました。

投稿 : 2017/03/29
閲覧 : 287
サンキュー:

34

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