101匹足利尊氏 さんの感想・評価
4.4
物語 : 5.0
作画 : 4.0
声優 : 4.0
音楽 : 4.5
キャラ : 4.5
状態:観終わった
なんてったって南極♪
当初はスルーしていた2018年冬アニメ。
女子高生が南極!……なんてピンと来ないし、
こっちはただでさえ大雪で苦しんでいるのに、
極限の銀世界なんて見たくないしw
そんなこんなで追い掛け始めたのは放送も中盤を過ぎてから。
本作にハマって折り返して来たレビュアーさんの文面より、
シナリオ・構成等への確かな手応えが伝わって来たから。
遅ればせながら見始めると私もドンドン引き込まれて、
追い付く頃にはシーズンの中でも次回がとても楽しみな感動作に♪
あにこれやってて良かったと思える瞬間ですね。ありがとうございます♪
視聴中、終始、感じたのは、
花田十輝さんの脚本が物の見事にハマりまっくっていたな~ということ。
私のハートにあまりにも決まり過ぎていて、
涙どころか笑いすらこみ上げて来ました。
花田脚本も視聴者とのキャッチボールが
上手くいかないことがあったりもするのでしょうが、
実は本作脚本も、過去に一部で批判が起きたエピソードと、
やってること自体は大差ないと私は思っています。
相変わらず感情の振れ幅は大きく、
大勝負の前に必ずしもやる必要のないことで盛り上がり、
思いも寄らないシーンで全力疾走を強いられる。
これが青春だ!との主張が視聴者と食い違えば
事故が起きたりするものかと思われます。
ところが本作の舞台。目標は何せ南極である。
日本からの直線距離で宇宙よりも遠い場所である。
女子高生らが南極上陸など無理に決まっている。
そう外野で野次る常識人がざまぁみろと罵倒される物語である。
動機もひゃくまんえんの言い出しっぺや芸能人は、
まだ南極を目指す理由もあるとして、
他のメンバーに至っては何か大きな事をして、
青春したいから南極!といったノリで、常軌を遙かに逸脱しています。
脚本もここではない何処かへかっ飛ばす勢いで発破をかけないと、
南極まではとても届きそうにありません。
平時なら青春を何処か勘違いしているのでは?と失笑されかねない疾走感も、
南極を目指すなら必須。南極を目指し、動き出しているからこその高揚。
などとことごとく青春故と肯定されてしまう感じ。
例えば{netabare}改札通れずトイレから出られなかったツボ魔人{/netabare}ですら
私には何か、輝かしい青春の一ページと思えてくるから笑えて来ますw
とにかく花田さんと南極。好相性の数々が驚くべき新発見でした。
登場人物に関しても萌えとは違うキャラ立ちが、
脚本の力を存分に引き出していたと思います。
花田脚本には、しばしば物語の起伏を演出する為の谷として、
登場人物に強いたマイナス感情の爆発が、
萌えキャラの偶像を破壊したりして、ファンと不穏なムードになる……。
という火災誘因があったりすると思われますが。
本作の主要四人を見ると、確かにキャラソンは歌っており、
SNS上で誕生日……くらいは祝ってもらえるでしょうが、
少なくともバースデーに祭壇建立されて崇拝される偶像とは異なると思います。
本作では偶像破壊どころか偶像爆破する位の勢いで、
各々の醜い部分を曝け出し、ぶつけ合う青春表現が多用されていますが、
これにより、キャラやそれに連なるシナリオが損なわれることはありません。
むしろ喧嘩したりするほど仲が良い衝突シーンが、
美しい南極のオーロラに匹敵する位、感動的ですらあります。
萌えアニメの様式に則るのは楽かもしれない反面、
案外、書き手の長所や自由度を奪ったりしているのかもしれません。
こうして登場人物と併走できた状態でぶつけられるセリフは心の琴線に触れる物がありました。
個人的には自称名言メーカーの日向より、
キマリの方が時に発言も寝言も意味不明ですがw
それ故?訳も分からずグッと来ることが多かったです。
最後にそんなキマリの“無効宣言”から続くモノローグを引用してレビューを締めたいと思います。
{netabare}よどんだ水が溜まっている。
それが一気に流れて行くのが好きだった。
決壊し、解放され、走り出す。
よどみの中で蓄えた力が爆発して……、
全てが動き出す!{/netabare}
――――ここではない何処かへと。
見てるこちらも思わず動き出してみたくなるパワーを持った作品。
但し、花田脚本で青春アゲインとかは、
いきなりダッシュさせられて肉離れとか起こしそうなのでご容赦願いたいw
彼方を目指す青春の躍動感がたまらない快作アニメです♪