「ココロコネクト(TVアニメ動画)」

総合得点
88.3
感想・評価
4672
棚に入れた
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ランキング
117
★★★★☆ 3.9 (4672)
物語
4.1
作画
3.9
声優
4.0
音楽
3.7
キャラ
4.0

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ネタバレ

Fanatic さんの感想・評価

★★★★★ 4.5
物語 : 4.5 作画 : 4.5 声優 : 4.5 音楽 : 4.5 キャラ : 4.5 状態:観終わった

様々な超常現象に翻弄される、高校生5人の青春ドラマ

最初にあらすじを読んだ時は、「山田くんと7人の魔女」のように、複数人同士の人格入れ替わりをベースにしたラブコメかと思っていましたが、人格入れ替わりは謎の存在〝ふうせんかずら〟の起こす超常現象の一つで、原作小説の一巻「ヒトランダム」に収録されているエピソードです。

アニメは、原作11巻のうち4巻までの、ヒトランダム、キズランダム、カコランダム、ミチランダムが映像化されていますが、最後はきちんとアニメなりに幕引きされているので、本作単体で十分に楽しめる内容だと思います。

「おすすめラブコメ作品」というようなネット記事の中で取り上げられていたのを見つけて視聴を始めたんですが、ラブコメというよりは、現代ファンタジーを絡めた青春ドラマ、という印象でした。

監督は「のんのんびより」や「サクラダリセット」の川面真也さん。
日常パートは、「のんのんびより」のようにコミカルで笑えるシーンも多いのですが、さまざまな超常現象に翻弄されながらも立ち向かう文化研究部五人の群像劇は、むしろ「サクラダリセット」のようなミステリアスな雰囲気に近いと思います。

最初のエピソード(ヒトランダム)では、登場人物の顔と名前も一致しないうちから、文研部五人の間で〝人格入れ替わり〟が始まります。
物理的な距離に関係なく、メンバー同士ランダムで人格が入れ替わるので、最初は観ているこちらも少し混乱しました。
視聴前、もしくは視聴開始直後に、登場人物の予習や整理をしておくと、より理解も深まりそうです。

OVA部分も含めて全17話と若干長めなので、中弛みがあるかも?
と思って観ていましたが、ヒトランダム編が終わると、今度はキズランダム編で〝欲望解放〟、さらに、カコランダム編の〝時間退行〟(性格には一時的な若返り)、ミチランダム編の〝感情伝導〟と、様々な現象が五人を襲っていくので、その都度、いろいろな方法で互いの絆を守っていこうと知恵を絞る五人の様子は観ていて飽きることはありませんでした。

恋愛要素ももちろんありますが、それよりも、様々な超常現象によって浮き彫りされていくそれぞれの内面や人間性、思春期特有の苦悩や葛藤、それによって引き起こされるイドとエゴ、熱情と主我の衝突……そういった人間ドラマの部分が丁寧に、且つテンポ良く描かれていて、思っていた内容とは少し違いましたが、最後までとても興味深く視聴することができました。

{netabare}
人格入れ替わり、欲望解放、時間退行あたりのエピソードまでは、コミカルな展開も多く、また、現象の脅威度的にもなんとか五人で協力すればピンチも乗り越えられそうなサジ加減に思えましたが、4つめのミチランダム――感情伝導のエピソードはなかなか重かったです。

ヒロインの一人、永瀬伊織の母はバツ5で、娘の伊織も、父親が変わる度に波風が立たないよう性格を変えてきた、という過去があります。
ところが、感情伝導……つまり、自分の考えていることがランダムで他の人にも伝わってしまう現象のせいで、周囲が求める自分と本来の自分の乖離が暴露され、徐々に正常な思考を失っていきます。

それまで、メインヒロインとして伊織のことは応援していましたが、ここにきて、非常に面倒臭い女の子だなぁ……と眉を顰めた反面、でも、本当に感情伝導のような現象に見舞われたら、伊織のような反応が普通なんじゃないか、とも思えました。
それだけに、伊織の苦悩の本質がなかなか理解できない周囲の面々に、私も若干のストレスを感じてしまったり……。

このミチランダム編だけは、若干駆け足気味の印象を受けましたが、あの重い展開を考えると丁度良いボリュームだったのかもしれません。

ラストはだいぶ予定調和的な展開でしたが、最後の太一の選択はサプライズでした。
太一への想いを自覚したあとは、どんどん可愛さを増していったのが、もう一人のメインヒロイン、稲葉姫子。
それでも、こういうキャラって、メインヒロインの噛ませ的な立ち位置で、最後はアシスト役で終わっちゃうんだよなぁ……と思っていたところでの、太一の意外な選択!
この頃には伊織と姫子、どちらにも感情移入できていたので、個人的には納得の展開でした。

アニメはここで終了ですが、原作ではこの後も、太一とのバカップルぶりを見せたり、莉奈(太一の妹)とは太一を巡って犬猿の仲になったり(笑)など、ラブコメらしい関係が続いていくようです。
{/netabare}

観始めた時点での期待感は高くはありませんでしたが、作画も綺麗でしたし、視聴後感も爽やか。
総評としては、とても満足できた作品となりました。
ふうせんかずらの正体など回収し切れていない謎も残っていますが、高い評価点通りの面白さは十分期待できると思います。

投稿 : 2020/11/09
閲覧 : 370
サンキュー:

10

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