「空挺ドラゴンズ(TVアニメ動画)」

総合得点
73.7
感想・評価
301
棚に入れた
1230
ランキング
968
★★★★☆ 3.6 (301)
物語
3.5
作画
3.6
声優
3.7
音楽
3.5
キャラ
3.6

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ネタバレ

ひろたん さんの感想・評価

★★★★☆ 3.9
物語 : 3.0 作画 : 4.5 声優 : 4.5 音楽 : 3.5 キャラ : 4.0 状態:観終わった

なんだろう、物語の根本的な部分で感じるこのアンバランスさは・・・

この物語は、「龍(おろち)捕り」と呼ばれる龍を狩る人たちの話です。
龍捕りは、捕龍船と呼ばれる飛空艇を操り、日々、龍を追い求めて旅をしています。
1話目からすごく引きこまれる展開でした。
しかし、これを観た自分は、大きな勘違いをしてしまいます。
物語全体を通じて、なにか1つの大きな目的に向かっていく話だと思ったのです。
実は、この物語には、大きな目的は無いのです。
むしろ壮大なこの世界で生き抜いていくこと自体が目的なのです。
そのため物語の内容は、日々の出来事やお仕事等を描いた日常系です。
人によっては少々物足りない感じがするかもしれません。

この作品は、とても美麗で壮大なファンタジー世界を堪能することができます。
広くて大きい空なんて、いつまでも観ていたいと思わされます。
龍が空を飛んでいる様は、優雅で雄大です。見惚れます。
それに、キャラデザもいいし、作画もいいし、動きもいいし、声優さんも上手い。
一見、作品として悪いところは無いんじゃないかって思います。
しかし、話の根本的な部分で感じるアンバランスさがどうしても拭えないのです。

この物語は、結構、都合がよい展開が多いです。
特に海賊船のエピソードは、ちょっとそれは…と思うぐらい安直な展開です。
このエピソードから分かることが1つあります。
それは、この物語では、人は絶対に死なないと言うことです。
以降、人を死なせないためにすべてが都合よく進みます。
しかし、ライトファンタジーと考えればこのぐらいは断然許せる範囲です。

龍は、人々にとっては脅威や災害であると同時に生活の糧でもあります。
「龍捕り」達は、そんな脅威に命がけで立ち向かっています。
やるかやられるかの命のやり取りなのです。
しかし、この作品の都合上、人は死にません。
そのためか、一方的に龍を殺していくだけの話に見えてしまうのです。
これがこの物語のバランスが悪いと感じる理由です。

このあたりは、この作品自身も負い目を感じているのでしょう。
後半に準主人公の「タキタ」が龍を殺すことに対して良心の呵責に苦しみます。
しかし、それでも生きていくためには龍を狩り、食べていかなければならない。
タキタは、そう答えを出したのです。
その答えは、現実的で素晴らしいものです。
命をいただくと言うことは、綺麗ごとでは済まされないのですから。

しかし、そこに至るまでの物語の展開に圧倒的に説得力がないのです。
それは、一方的に龍の命を奪っているように見えるからです。
話としては実際に犠牲者を出してシリアスな展開にすべきだったのかなと思います。
龍も殺すけど、自分たちも死ぬこともある。
そのことについて、説得力を持たせる必要があったように思います。

しかし、実際はそれがないため、人と龍の命の重さに差がついてしまっています。
やはり、人と龍の違いはあっても、命の重さは同じ。
それでも、生きるためには、龍と戦い、龍を殺さなくてはならない。
逆に人間も殺されるかもしれない。
そんなギリギリのラインを見せてほしかったのです。
そうすれば、納得できる何かがあったのかなと思います・・・。
単純に龍を狩って食べるグルメ番組的な内容に自分は違和感を覚えたのでした。

この作品を好きな方にはごめんなさい。
ちょっときついことを書いてますが、あくまでも感想なので許してください・・・。

それにしても、この作品に登場する空は、とても広くて大きくて美しいです。
この空を見ていると、そんな感想も些細なことなのかもと思わされてしまいます。
それだけ、この作品の空には、すべてを包み込んでしまう包容力を持っています。
この壮大で美しい空の世界は、一度は観ても損はないと思います。

投稿 : 2021/11/02
閲覧 : 351
サンキュー:

25

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