「現実主義勇者の王国再建記(TVアニメ動画)」

総合得点
69.1
感想・評価
289
棚に入れた
983
ランキング
1848
★★★★☆ 3.3 (289)
物語
3.3
作画
3.1
声優
3.4
音楽
3.2
キャラ
3.3

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ネタバレ

てとてと さんの感想・評価

★★★★☆ 3.8
物語 : 4.0 作画 : 3.5 声優 : 4.0 音楽 : 3.5 キャラ : 4.0 状態:観終わった

異世界転移して国家運営。内政系アニメとしては出色の良作。

なろう系原作で主人公が中世風魔法ファンタジー世界で現代知識チートで国家運営する。全26話。

【良い点】
異世界転移物のフォーマットで出だしや展開がスムーズでありつつ、地に足の付いた内政や外交論が大変骨太。
被災者支援と復興事業を魅力的に描くアニメは中々無い。
マキャベリの君主論への原作者の理解が深く、内政、食文化などソフトパワー、流通や経済、タフな外交交渉にバランス感覚、軍事など多岐に渡り見応えがある。
リアルではそう上手くはいくまいが、そこはエンタメ作品としての分かり易さ重視。
初心者向けの政治や経済入門といった作風だけどライトで親しみやすい。
主人公のソーマが素人なリーシア姫たちに説明する流れも分かり易い。
異世界転移無双の流れを汲み簡略化はされているが、それ故に政治、内政、文化、経済、外交など国家運営の諸々を垣間見せてくれた。

主人公が有能なのは見ていて小気味良い。現場で無双するのではなく事前準備不足を悔いるなど、為政者の理想を体現。
底の浅い俺ツエーではなく、原作者の多方面の見識に裏打ちされた説得力がある。
単なる有能ではない君主の器、これほどに君主の器な主人公は中々見ない。
君主としても人としてもちゃんと苦悩し、リーシア他仲間たちに支えられて進んでいく、地に足の付いた良主人公。

リーシア姫はじめ可愛い女の子の層も厚い。
リーシア姫は一歩引いた奥ゆかしさと正妻の余裕併せ持っていて良ヒロインだった。
最初から最後までカズヤに寄り添いベストパートナー、水瀬いのりボイスも相まって大変かわいかった。

人材登用の方針、食や歌などソフトパワー重視など視点が面白い。
ファンタジーを活かした魔族と獣人の差異や差別意識に対する現地人と異世界人の認識の差など、考えさせられる。
魔族と意思疎通可能なケモノ娘トモエちゃんの存在を政治問題と見なす視点は感心。ダンまちでも見た視点。
災害に対する老人の伝承を軽視しない、「100万の命の上に俺は立っている」でも見た。

魔法がある異世界の歪な技術体系の考察など、技術は需要があって発達する的な視点もSF寄りで面白かった。
この手のファンタジーでそういう側面重視する作品は中々無い。

内戦の戦記も割とハイレベルで申し分ない。
戦術無双ではなく戦略で勝つ。
双方譲れぬ信念とバランス感覚は見応えあり。

作画リソースは潤沢ではないが、女の子のキャラデザは申し分ない。
作画を重視するタイプの作品ではないので全く問題なかった。

【悪い点】
題材が地味で華には欠ける。
エンタメ作品としては同時期の「天才王子の赤字国家再建術」に比して地味ではある。
26話かけて盛り上がりどころは1期終盤の内戦くらいか。
隣国の愚王ギャフンと言わす外交交渉も面白いんだけど、やはり地味。

キャラクターは良いんだけどソーマ一強で他は地味。
リーシア姫とか視聴者向けの生徒役に徹していたり。
有能な宰相も分かり易い見せ場が殆どなかったり。
もう少しソーマ以外の見せ場がほしかった。
強力な敵がいなかったのも惜しい。

【総合評価】8~7点
初心者向けの入門作品としては「狼と香辛料」や「まおゆう魔王勇者」をも凌駕する出色の良作。
ただしそれらと比べると地味な良作的立ち位置。
エンタメ作品としての地味さを差し引いても特記に値する。
評価は良い寄りの「とても良い」

投稿 : 2022/04/22
閲覧 : 206
サンキュー:

5

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