STONE さんの感想・評価

4.2
物語 : 5.0 作画 : 3.5 声優 : 4.5 音楽 : 3.0 キャラ : 5.0 状態：観終わった

ストーリーの面白さがアップ

　原作は未読。
　きらら系の多くの作品はキャラの可愛らしさや、そのキャラ同士の楽しげなやり取り、
あるいはギャグコメディ作品としての面白さに重点を置いた作品が多いが、本シリーズはそれに
加えてストーリーも面白いものになっている。
　特に本作は9年前に失踪した千代田 桜の謎が明らかになるという、1期から続く問題の
解答編とも言うべき内容で、これまでに張られていた伏線が回収されていく展開はよく出来た
ミステリーを観たり読んだりしている時の感覚に近い。
　この桜関係のエピソードが本作のクライマックスと言えるようなものだが、真ん中辺りと
いう割と中途半端な位置に出てくる。
　原作ありの作品において、キリの良いところで作品を終わらせようとして、クライマックスを
終盤にすべく、それまでの部分を削ったり、逆に間延びさせたりすることがある。
　本作もキリの良いところで作品を終わらせようとすると、この桜関係のエピソードが前作か
本作の締めになったのかもしれないが、そういうことをしなかった結果の構成なのかなという
印象で、位置こそ中途半端な感じだが、それまでの展開はていねいかつ、冗長ではない程よい
描写といった感じ。
　桜関係は本作で真相が明らかになったが、小倉 しおん関係などはまだ謎がありそう。

　本シリーズは主人公であるシャミ子こと吉田 優子の成長譚的側面があるが、本作では
「なんとかの杖」wを手に入れたことで更なるパワーアップ。
　本作では過去回想などで、1期以前のシャミ子が何度か描かれるが、思っていた以上に病弱で、
「よくここまで成長した」と親心的感慨を抱いてしまう。
　このシャミ子の身体的問題もそうだが、コミカルなキャラがサラッと言うから重い印象が
ないのだが、魔族にしろ魔法少女にしろ、実はかなり過酷な状況に置かれており、明るく楽しい
ギャグコメディ作品でありながら、どこか不穏な要素が漂っており、そのアンバランスさが逆に
本作の魅力の一つのように思える。
　本作終盤ではシャミ子が中心となって、多魔市を守っていくことになりそうで、今後の展開も
楽しみ。

　1期同様に作品のリズムはハイテンポなもので、そもそも作品自体の情報量が多いために
こうなったのだと思うが、これがギャグコメディ要素として一役立っている感じ。
　ストーリーに絡まない遊びの部分も楽しく、前作から登場していた犬とそれを飼う女性などは
本作では1期以上に目立っていて印象深い。

　ストーリーやギャグだけでなく、キャラも相変わらず魅力的。
　主軸であるシャミ子と千代田 桃に関しては互いの好き度合いが一層激しくなっているようで、
特に桃は表面上が淡々としているだけにツンデレっぽく見えてしまうところが可愛い。
　一方のシャミ子は相変わらずおバカ可愛く、特に本作ではIT音痴ぶりが印象深い。
　危機管理フォームの度合いが増えてきており、これがやけにエロかったりするが、話が進むに
連れて、1期の頃のような恥じらいは減ってきているような。
　新キャラでは白澤とリコの「純喫茶あすら」勢が登場するが、いずれもこれまでのキャラに
比べても遜色ないぐらい味のあるキャラで、本作をより面白いものにしてくれている。

2022/09/04
2024/04/07　加筆・修正