「DEATH NOTE-デスノート(TVアニメ動画)」

総合得点
89.5
感想・評価
2467
棚に入れた
12851
ランキング
76
★★★★★ 4.1 (2467)
物語
4.4
作画
4.0
声優
4.0
音楽
3.8
キャラ
4.2

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キャポックちゃん さんの感想・評価

★★★★☆ 3.3
物語 : 4.0 作画 : 3.5 声優 : 3.0 音楽 : 2.5 キャラ : 3.5 状態:観終わった

神回誕生の背景

【総合評価☆☆☆】
 アニメ『DEATH NOTE』は、途中まで夜神月(やがみライト)とLの頭脳戦を足早に描いてきたのに、第25話「沈黙」になると、突然スピードが落ち、ヒロインの弥海砂(あまねミサ)が独りで街を彷徨いながら寂しそうに歌い出す(原作にない)シーンが挿入される。それまで歌パートのなかった海砂が、いきなり心情を託すようにアカペラで歌い始めたことは驚きであり、その儚げな歌声は、無防備だった視聴者の心に沁み通った。NHKFM「アニソンアカデミー」に海砂役の声優・平野綾が出演した回(2023年6月17日放送)では、この歌のシーンが「作品の中でちょっとそこだけ異質」と語られ、Lの声を当てた山口勝平が(おそらく収録直後だろう)「すごい良かった」と褒めてくれたことが紹介された。
 大場つぐみがストーリーを作った漫画『DEATH NOTE』は、冒頭数巻に限れば抜群に面白く、日本漫画史上の傑作と言える。だが、人気が出てからは(おそらく掲載誌「少年ジャンプ」の編集方針に従って)連載の引き延ばしが図られ、結果的に話が迷走する。月とLの対決に収まらなくなって登場人物が膨れ上がり、デスノートのルールは後出しジャンケンのように付け加えられていった。原作では、漫画としては異例なほど多量の文字を使って説明するが、アニメの場合、リアルタイムで語られる台詞を使うしかなく、ひどくわかりにくい。はっきり言って、話数が進むほどつまらなくなった。
 アニメは原作の連載終了5ヶ月後に放送が開始され、当初は、原作にきわめて忠実に作られていたが、その後、出来の良くない後半をどう扱うか議論になったに違いない。私の勝手な憶測では、製作委員会か制作会社(MADHOUSE)で話し合いが持たれ、必ずしも原作通りにしなくても良いと結論されたように思われる。原作漫画では、第1部が59話、第2部が49話と同程度だが、アニメになると、第1部が25話(第26話は総集編)、第2部が11話と後半を軽くし、最終回も内容を変えている。
 アニメ『DEATH NOTE』のメインライターは、名手・井上敏樹(他に、井上と同じく特撮ヒーローものを得意とする小林靖子と米村正二)で、原作から離れる転回点として第25話を構想したのは、おそらく井上だろう。また、このエピソードは、はじめて監督を任された荒木哲郎(『進撃の巨人』)が絵コンテを担当しており、回想やイメージシーンを多用して圧倒的な表現力を実現している(荒木が単独で絵コンテを切ったのは、この回の他には初回と最終回のみ)。
 神回と言って間違いない第25話は、原作の枷を解かれた脚本家と監督が、自由な創造性を発揮した成果である。そう考えると、海砂が突然歌い出したことも腑に落ちる。「Misa no Uta」という何のひねりもないタイトル、心情をそのまま言葉にしたような歌詞、1分15秒という短い尺、後半にわずかなピアノ伴奏が付くだけのシンプルな作り---この歌は、パブリシティのためのキャラソンではなく、切り離すことのできない物語の一部として、脚本家と監督が挿入したのである。

投稿 : 2023/07/10
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