てとてと さんの感想・評価

4.1
物語 : 4.5 作画 : 4.5 声優 : 4.5 音楽 : 2.5 キャラ : 4.5 状態：観終わった

規格外のバイタリティーが魅力的な野球コメディーの怪作

規格外の怪物で超絶自己中お調子者な主人公ら、チームワークより目立つことばかり考えるチームが快進撃するトンデモ野球アニメ。
OVA全10話(衛星アニメ劇場版はTVアニメ換算で20話分)

【良い点】
良くも悪くもオンリーワンなトンデモさ。
プレイがトンデモなのは巨人の星など前例多いが、本作のヤバさは試合姿勢の不真面目さにあり。
スポコン物の王道全否定するようなトンデモ作品ではあるが、そこが良い!
ひたすら自分が目立ちたい不真面目かつチームワーク皆無、友情も努力も知らん!勝利あるのみ!
怪物主人公二階堂のインパクトが絶大、規格外というか人間超えてる怪物っぷり、傲岸不遜にして気分屋で試合投げ出す…
チームメイトもド根性捕手犬島を筆頭に濃いメンツばかり。
真面目な野球の定石無視した滅茶苦茶な展開や、終始罵倒し合い足引っ張り合う仲の悪さ…
常識的に見れば最悪のチームにして不愉快なアニメなのか…と思いきや、これが凄まじく面白い。
また、湿っぽい悲壮感や友情劇が無いのも緑山ならでは。全ては己が目立ち、己のド根性故。ここが清々しい。
決勝除けば負けそうになるとサッサと諦めモードだったり、とにかく気負いが無い。そのためかストレスフリーで妙に見やすい。

真面目に野球やってる強豪校が緑山に次々と粉砕される痛快さ、勝ち進む程に緑山も満身創痍の死闘になり盛り上がりも申し分ない。
全体の展開がシンプル。キャラの掘り下げや交流に余計な尺割かずにひたすら試合進めていく、単調なのに20話飽きさせないパワーある。
二階堂のワンマンで勝っているのではない点も良い。
どのキャラにも意外な見せ場あり、メンタル弱い二階堂の手抜きをカバーする塩梅が絶妙だった。

不真面目な気分屋二階堂に真面目に野球やってる犬島や花岡(キャプテン格、唯一の常識人)らが翻弄され罵倒ツッコミするお約束。
普通ならばギスギスするところ、本作に限っては不思議と小気味良い雰囲気。
互いに一切の遠慮会釈が無く我を全力でぶつけ合う清々しさ故か。
千葉繁、玄田哲章、水島裕氏らの熱演も相まって、掛け合いのノリとテンポが素晴らしかった。

試合シーンの作画演出も、綺麗さよりもド迫力重視。
劇画調というか、効果線で凄まじい気迫表現、これに声優陣の奇声熱演が加わり、とにかく見入ってしまう。
アニメの魅力って、絵が奇麗だったり繊細にヌルヌル動かすだけではないと魅せてくれる。
そういう繊細な野球アニメは外にある、本作はオンリーワンなパワーがあった。

二階堂の殺人ボール受け続け満身創痍になりながらもド根性で立ち続けた犬島カッコイイ。
相手チームも準決勝や決勝まで来ると主要ライバルの魅力高いというか、むしろ彼らの方が主人公ぽかった。
破天荒な死闘でどちらも応援したくなる良き試合見せてくれた。

【悪い点】
野球というか甲子園というか、スポーツ全般を舐めているとしか思えない不謹慎さ。
破天荒はまだ良いが、二階堂がやる気なくして失点したり、凡ミスでホームラン無効になったり、普通に考えると萎える展開多々。
とはいえこれが本作の持ち味ではあるし、それを覆すパワーで魅せてくれるのも確か。
本作に限れば諸々の欠点も含めてオンリーワンの魅力に思えてしまう。

野球物としては試合展開が大味。とはいえそういう持ち味の作品なので…

掛け合いやコメディーもワンパターン。
とはいえクセになるワンパターンではある。

OP「ストロベリーパイをお食べ」 が凄まじく場違いでイミフ。
一ミリもテーマに掠ってないような…
旧るろ剣のそばかす並みに場違い。
このふざけたノリもまた緑山らしさなんだろうか。

【総合評価】9点
唯一無二のトンデモスポーツアニメの怪作。プレイがトンデモなのは多数あるが態度がトンデモなスポーツものは他に知らない。
自分としてはスポーツ自体に興味は乏しく、スポーツ題材で面白いやつ見せてくれればよいので緑山はアリ。
冷静に真面目に見ると駄作?けれどめっちゃ面白い。
評価は「とても良い」