「灰羽連盟(TVアニメ動画)」

総合得点
79.8
感想・評価
1542
棚に入れた
7731
ランキング
475
★★★★☆ 3.8 (1542)
物語
4.0
作画
3.7
声優
3.7
音楽
3.8
キャラ
3.8

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ネタバレ

お茶 さんの感想・評価

★★★★★ 5.0
物語 : 5.0 作画 : 5.0 声優 : 5.0 音楽 : 5.0 キャラ : 5.0 状態:観終わった

白紙も模様のうちなれば、心にてふさぐべし

背中に飛べない灰色の羽を持つ「灰羽」と呼ばれる少女達、円形の壁に囲まれたグリの街、灰羽の暮らすオールドホーム、そこでの仲間たちとの日々が描かれた作品。

光と影のコントラストが印象的で、どこか神秘的で、それでいて底の知れない深淵な雰囲気が漂う作品。色々考えさせられる。観ていて苦しいときもあったり、どこか救われた自分がいました。


■非日常を日常へ

世界観や扱っているテーマは、非常にセンシティブかつ珍しい作風。
にもかかわらず、ごく自然に、違和感を伴わず、世界観を魅せている。

その要因として徹底した日常を描いている。
この特殊な世界観を魅せるために、多くの作品は劇的な演出方法をとるが、本作はそのようなことはしない。淡々とした日常を描き続けることによって、次第にシンクロしていく構図がうかがえる。空から落ちてくる少女が、繭になり、目覚め、羽が生えるなどの非日常な出来事を、本作ではよくあること、自然の摂理、というようなリアクションにとどめている。

また、あの世的な世界で生まれるという始まりによって、この世界を理解させることに成功している。そもそもの始まりや世界観が特別で、1話1話、特別な何かを起こす必要がなくなり、淡々と日常を描いても飽きさせない構図になっている

そのようなスタンスで描くことによって、非日常であるはずの奇異な世界観が、日常へと視聴者に変化させている。また、雰囲気作りにしても、絵本や童話、神話などをモチーフに、どこか馴染み深い表現方法をとっている。


■深遠なテーマと謎の見せ方

「灰羽って何なんだろう。壁もこの町も灰羽のためにあるんだって皆言う。でも灰羽は突然生まれて、突然消えてしまう」
グリの街、灰羽、壁、巣立ち、罪憑きなど、{netabare} 本作ではあえて明示的な表現はしない。~ {/netabare}

考察系作品の評価の分かれ目は、謎要素をいかに深淵なものに仕立て、ほどよく面影を残すか否かにかかっていると思う。本作はほどよい面影を残しつつ、どこか無常のような、直感的に腑に落ちるように演出されている。
「白紙も模様のうちなれば、心にてふさぐべし」という言葉あり、余白に美しさを見出す美意識がある。すべてを明かさないほうが深淵に見える。

またツァイガルニク効果により、やり残したこと、途中のことのほうが記憶に残るとも言える。

特殊な世界観を日常的に映し、
テーマをより深淵なものへ仕立て、ほどよい余白を残した名作だと感じます。

投稿 : 2023/12/01
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サンキュー:

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