「弱キャラ友崎くん 2nd STAGE(TVアニメ動画)」

総合得点
67.8
感想・評価
115
棚に入れた
335
ランキング
2257
★★★★☆ 3.5 (115)
物語
3.4
作画
3.5
声優
3.6
音楽
3.4
キャラ
3.5

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ネタバレ

ネムりん さんの感想・評価

★★★★★ 4.3
物語 : 4.5 作画 : 4.0 声優 : 4.5 音楽 : 4.0 キャラ : 4.5 状態:観終わった

2期も「おにただ!」

▩物語 4.0点→4.5点
 作画 3.5点→4.0点(1期を基準に点数評価)

※追記(他作品との調整)
▩声優 4.0点→4.5点(4/20)

□Lv.13、総評

後半パートで何をやっていたか考察すると、まず菊池さんについて。

菊池さんは「エンパス」と呼ばれる共感体質を持つ人の特徴そのものです。
見た目、性格、雰囲気、行動パターン、趣味趣向、恋愛観、考え方など全てが一致します。
感受性が強くて繊細さゆえに特定のグループや組織に属して集団行動をとることが苦手ですが、心を許せる誰かとは会話をしたり一緒に行動することはできます(友崎くんと一緒にいる時以外は普段から一人でいることが多く、観察力に優れている設定はこのことから説明が付きます)。
それが演劇のパートだったり友崎くんのことを指すのですが、こういう性質を持つ人がいることを認識した上で、なぜこの内容が描写されていたのかを考えると、作品のテーマが「成長」や「人との繋がり」だからです。

同じ境遇で悩んでいる人に向け問題を提示した上でメッセージ性を持たせている。

類似してる作品だと『ReLIFE』や『銀の匙 Silver Spoon』、「人と人が互いに気持ちを伝えることの難しさ」をテーマにしているところは『聲の形』と同じです。

菊池さん自身の気持ちを演劇の架空の登場人物に置き換えて、何を考えどうしたいのか、どうあるべきかを比喩表現を用いて分かりやすく説明していました。
この内容を理解できない残念な人はいないと思いますが、だから擬人化して表現するには必ず必要なパートになります。

演劇の練習のシーンでクラスメイトに馴染もうと努力する菊池さんの姿があり、空回りして一人クラスで浮いてる姿が痛々しかったですが、生まれつきの性質によるもの(と言われてます)なので簡単には自分を変えることができません。
菊池さんにとって未知の世界に自分の身を置くことは辛くてとても大変なことです。
その状況を見ていた友崎自身が彼女を助けたいと考え、同じ感覚を共有する人と繋がって自分の理想や感情を出してもいいとアドバイスをしてました。
しかし演劇の舞台が終わり、菊池さんが選んだ答えは自分が身を引いて「世界の理想」に合わせることでした。
なぜそのように考えたのか、エンパスの人の特徴が「自己犠牲」を考えるだからです。
自分の幸せよりも他人の利益を優先して行動する。
他人が傷つくのを見てられないから自分の事を劣後して考える傾向にあるからです。
そう悩む菊池さんに対し、一人では解決できない問題を当事者である主人公が支え、告白する形で全てを解決して人との繋がりの大切さを再認識させられたシーンでした。

なのでこの場面、感動できるくらい良かったので私は評価を上げました。

全人口の20%弱がエンパスに該当すると言われますが、菊池さんのような"優しすぎる"のは"生きづらさ"の裏返しであり、マイノリティ思考を持つ人を周囲が理解し受け入れることが必要だと思います。

そして物語のエンディングで自分の感情を出して少しだけわがままを言う菊池さんの姿があって「成長」のテーマにもしっかりと触れていました。
前半パートのいじめ問題では主人公の友崎がクラスメイトと繋がり、後半パートの舞台演劇の出し物では菊池さんが友崎と繋がり、テーマに沿って物語は終わりを迎え予想を超える展開でした。

多くの作品が葛藤や障害があって自己完結で終わりますが、対外的に目を向けベネフィットファインディング(辛い状況の中に意味や価値を見いだすこと)に触れた作品作りが高い評価ができた理由です。

それから主人公の友崎文也について。

「強くて憧れる」主人公像ではなく、時代が求める特別な才能がなくても少しの勇気や努力、アイデアで問題を解決できる「共感性」のある主人公の姿 (俺ガイル比企谷八幡の役回り)が2ndシーズンでは描かれていたので、1期よりも評価を上げる要因としました。

観る人を選びますが今期個人的評価、継続枠を含む2位の作品でした。


作画について。

前回に引き続きキャラクターデザイン・総作画監督は矢野茜さん。

元project No.9のアニメーターでバイブリーアニメーションに移籍後、現在フリーで活躍されてる方ですが、実績や技術がある方で残留してくれたことは非常に大きかったと思います。
中盤から終盤にかけてやや作画が弱いと感じられたところはありましたが、ほとんど崩れませんでした。
絵コンテも担当されてたみたいですが、良いシーンの作画の方が断然目立ち、制作スタッフが変われば世間で叩かれてる会社でも良いものができることを実証してみせた再現力の高い作画でした。

特に2期はみみみが良かったね。


※余談
オープニング・エンディング映像の変化

前半パートと後半パートで実は結構変わってました。

OP
{netabare}・キャラクターによって、はにわくんのあるなし。{/netabare}

ED
{netabare}・制服が夏服から冬服に変わる。
・たまちゃんの表情が柔らかくなる。
・はにわくんの数が増え、背中の刺繍のデザインが変わる。
・冬服の制服が文化祭用のTシャツに変わる。{/netabare}

でした。
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□Lv.12まで
次回、最終回。

ネタバレになるのであまり詳しく書けませんが、アンチ勢に叩かれそうなところを補足しておくと、原作勢から評価が高いパート、脚本の起承転結の承の部分で一旦締めくくり、ここから物語の本題に入るわけですが、物語の最重要人物と思われる日南葵の人物像が原作11巻あたりの内容で浮き彫りになり、今までに本編で描かれた内容が全て繋がってきます(他情報による私見です)。

前半パートのいじめ描写やいじめの対象となったたまちゃんがなぜメインで物語が描かれていたのか、日南がたまちゃんを庇うために行動していた理由、そして紺野エリカを全力で潰しにかかった行動原理、友崎に人生攻略の手助けをしている動機やそのことがなぜ日南自身の正しさを証明することにつながるのかなど、かなり高いレベルで脚本が作られていることが明らかになると思います。
更に言えば日南がストイックな人物であること、高校生らしからぬ気丈な性格をしているのは裏付けのある理由があったことにより、日南に対する見方が180度変わると思います。

1期、2期で描かれた内容から仮定を置き、それが正しければ原作を読んでなくてもその答えが導き出せますが(ヒントはLv.10で語られていた"妹ちゃん"又は"妹ちゃん達"...日南目線でたまをどのように見ていたかです)、弱キャラが俺ガイルに届かなかったと言われる理由はこの構成の難しさにあります。
俺ガイルは段階を踏んで結論に至る三段構成ですが、弱キャラは結論があって主題に結びつけるためのエピソードが描かれているので、結論先行になり俺ガイルとは反対の構成です。
人生攻略のための恋愛指導は現実の世界でありながら非日常です。
説明がないとファンタジーの世界になるので、原作を読んでいないアニメ視聴者層は内容の理解が追いつかず、結論部分がメインで描かれ原作を忠実に表現しようとした1期の評価を落としてしまった。

原作小説はある程度既刊が約束されてるので先の展開を予測しながら読み進めることができるが、アニメーションは1クール12話、13話の制約があるので初見で判断する傾向にあり、弱キャラのような最初に大前提を置く作品はアニメーションに不向きだと言えます。
これがアニメ化することの弊害であり難しさなのですが、結論先行が決して悪いわけではなく、作品の主題が視聴者の認識レベルに合わないのでこの場合、事実を先に示してその上に理由、結論でしたらこの作品は評価が変わっていたと思います。

事実:
友崎視点で人生において「キャラ差」があることを主張→{netabare}日南が過去の自分に向き合うことで自らを変えてきた(反論){/netabare}
           ↓
理由:
主人公の人生がクソゲーではないことを証明するため→{netabare}日南自身の存在証明のため(既出の論点ではないので詳しくは書きません){/netabare}
           ↓
結論:
リア充を目指すための人生攻略

といった流れだと意味は通ります。

したがって視聴者の理解力や感性が問われる作品と言えるので、先を見通して内容の理解に努めることが必要になります。

現状では6、7割程の完成度なので、そんでコンティニューの告知あるかですね・・・。
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□Lv.9
PVやティザービジュアル見るとみみみと菊池さんメインで映っているので、可能性として現状で友崎選手に選ばれるのは2人のうちどちらかになりますが、主人公が与える一方のみみみさんに対し、お互いが良き相談相手で、理解を示してくれたり気付きや驚きを与えてもらうことの多い菊池さん。
胸に手を当てどちらが身近な存在に感じられるかを考えた時に答えは自ずと出てくると思いますが、菊池さんが付き合うことの意味について語っていたシザーマンとお姫様の話で、お互いが必要とされ替えのきかない理想的な形になること(相互依存の関係)。

半分以上友崎君のことを指して好きと言っているようなものですが、こういう女の子の細かなサインを見つけて正面から向き合える人は経験則上からも言えますが、モテる人なんだと思います(水沢君が言ってたモテスパイラルに陥る人)。
ヒントを与えてもらった主人公もそのことに気付き始めていて、自虐的態度を改めリア充を目指していく。
つまり外面が良いだけでは真のリア充とは呼べないという意味で、この部分が1期で描かれた内容との違いです。

友崎文也という人生のバイプレイヤーを使って日南自身の正しさを証明することにもつながり、内容はシンプルですがとても丁寧な描写。

雰囲気重視か内面重視、何を基準に評価するかで作品の見え方も変わってきます。
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□Lv.8
友崎くんに選ばれるのは十中八九菊池さんでしょうね(間違ってたらすみませんが)。

ラブコメ作品のセオリーとして三角関係の場合、最初にエピソードの来る子が選ばれない、本命の子がその後に来るので原作読んでなくても実はこの時点で先の展開が分かってしまいます。
それだけに次回以降、みみみの涙ながらに笑顔で別れを告げるシーンが想像できてしまうので今回の告白イベントが切なく感じるのですが、翻してすごくいいなあと思ったのが、友崎くんを好きになるきっかけ(生徒会選挙でのサポート)や異性として意識するタイミング(Lv.4屋上での会話シーン)、みみみの脈ありサインが1話2話で作ったものではなく、全編を通して丁寧に描写されていたところです。
他作品見ると恋仲になるまでの距離の詰め方に違和感を覚えることが多々ありますが、肩を抱かれるシーンや女の子の名前を詮索しておもむろに嫉妬したり、細部にこだわりがあって自然体でとてもいい。
このタイミングしかない場面でみみみらしい告白の仕方でさりげないやり口でしたが、去り際にみみみのみみ(耳)が赤みみみ(耳)でワンカットのシーンを入れるだけでみみみの気持ちがより伝わってくる。
写実的な青春ラブコメですが現実路線の内容で共感しやすいし、女性の作画監督さん(32歳になったばかりだそうです)らしい細かな気配りができてるなと思いました。

この内容を僕ヤバの山田ちゃんがやると「神回キター!」とか「山田可愛すぎるー」で信者乙共が絶叫しそうで近寄りがたいですが、 弱キャラでやっても波風一つ立ちませんから平和でいいですよね・・・。
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□Lv.5
たまちゃん編、今夜がラスト。脚本・シナリオは屋久ユウキ先生が担当。

重要エピソード回。
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□Lv.3(第3話)まで視聴。
世間的には相変わらず評価低めですが、今期ラブコメ枠で今のところはこの作品が最も物語がよく描かれていると思います(面白いつまらないは抜きにして)。

先ず脚本の基本部分「世界観・状況設定」が、
スクールカースト上位紺野エリカとの確執があり、ターゲットが夏林花火に変わる。

「目的」は、
紺野の陰湿ないじめ・迷惑行為を止めること。

「動機付け」は、
クラスメイトとコミュニケーションを取り、問題の解決を図ることでコミュ力を高める。
→弱キャラからリア充へ近づく→「タイトル」の回収で、物語の構成がしっかりしてます。

ストーリーやキャラの位置付けなど『俺ガイル』に設定が似ていますが、脚本の流れで見ると、
□問題提起
・紺野エリカ、夏林花火を含む誰に問題の原因があるかを友崎主導で考察(弱キャラ)。

・奉仕部への依頼があって八幡主導で原因解明及び解決(俺ガイル)。

□葛藤・障害
・夏林自身の言動に問題があることを考え、たまが自省心を持つ(弱キャラ)。

・雪乃下、由比ヶ浜、八幡、3人の意見のすれ違い により関係が悪化。それぞれが自らを省みる(俺ガイル)。

□解決
・クラスメイトがディスカッション形式で意見を出し合い、マルチプレイ(協力関係でタスクをこなす)で問題を解決(弱キャラ)。

・3人がお互い本心を語ること(話し合い)で関係改善(俺ガイル)。

なので一連の流れとして内容は遜色なしでよくできてると思います。

それからラスボス的位置付けの紺野エリカの攻略が主人公にとってのリワード(報酬→経験値の積み上げ)になるので、ゲーム画面を出して現状の課題と攻略方法を成功ルートと失敗ルートの立場から分かりやすく説明していて、シミュレーションゲーム感覚で内容がより伝わってきます。
専門用語を多用したり、自分のテリトリーのみで語ってしまうと内容が分かりづらいだけではなく、見下してる印象を与えてしまうため、こいつ何を言ってるんだとコミュニケーション力不足を感じることがありますが、自分が思ったこと、考えたことを自分なりに解釈して噛み砕いて分かりやすく説明すると相手に伝わりやすいので、セリフのみではなくこのような表現方法をとることも適切だと思いました。
質のみだけではなく表現力の高い作画。

従って弱キャラ2期、 今のところは期待が持てそうというのが個人的意見になります。

投稿 : 2024/04/20
閲覧 : 310
サンキュー:

7

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