「ウマ娘 プリティーダービー Season 3(TVアニメ動画)」

総合得点
69.8
感想・評価
191
棚に入れた
506
ランキング
1661
★★★★☆ 3.6 (191)
物語
3.2
作画
3.9
声優
3.7
音楽
3.6
キャラ
3.5

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ネタバレ

Shino さんの感想・評価

★★★☆☆ 3.0
物語 : 1.0 作画 : 3.0 声優 : 4.0 音楽 : 4.0 キャラ : 3.0 状態:観終わった

2話までが見所。以降は気分の浮き沈みの激しい登場人物たちと1話ごとの方向性がブレていて破綻している。

なんというか、とても言いたいことが多すぎる。
前提として、自分は競馬には全く知識がなく、1期からウマ娘を知り、2期でハマってアプリも長くプレイしていた人間。

最初に結論を書くと、おススメはできない。
これはウマ娘を知らない人は当然として、過去にアニメ1期や2期、アプリに触れていた経験があった人が久々に触れるようなものでもない。
そういった人には同年に配信された全4話の「ROAD TO THE TOP」を勧める。
1期の頃の小ネタを拾いながら、2期の影響を特に強く受けた直接的な続編の本作であるが、その2期の構成を強引に真似しようとして、
1つの物語として完成しているとは思えない「制作陣がやりたいことを1話単位で詰め込んだ結果ぐちゃぐちゃにとっ散らかっている」作品となっている。
なのでそれぞれ一部分だけを見ると作画班や声優陣の頑張りもあって「悪くないじゃん」と感じるかもしれない(例えば、キタサンブラックがサトノダイヤモンドにリベンジする天皇賞はカメラ演出も力が入っている)が、
全体を通して見ると「え、これをカット?盛り上げてきたこのタイミングでギャグを入れるの?主人公なにがしたいの?」と評価が一変するだろう。

タイトルにも書いたが高評価する部分もあり、1話と2話はよく出来ている。
{netabare}1話はレースを甘く見ていたキタサンブラックが徐々に現実を思い知る内容で、続く2話で悩み、先輩に相談して解決し、初めての栄光を勝ち取る。{/netabare}
2期の内容が強く反映された話にもなっており、2期が好きで覚えている人ほど「あの場面を引用してくるとは!」と唸るだろう。
強いて言えば2話もトウカイテイオーやドゥラメンテの扱いが気になるがそれだけで失敗とは言いたくないほど視聴時に満足した。
スタートダッシュは悪くなかった。しかし3話以降は…。

書きたいことが多すぎてどうまとめればいいかわからないので、キャラクターごとに分けて記述していく。

キタサンブラック。過去の主人公同様に少し抜けてる元気なキャラクターになった。
{netabare}小等部時代からその雰囲気はあったのでこの部分は別に問題はないのだが、その割にストーリー中ではずっとネガティブ。
GIは1回勝利するだけでもものすごい功績であり、ちゃんとサトノクラウンやシュヴァルグランを通してその重みが描かれているはずだが、
キタサンブラックはそんなGIの勝利をあっさりと流し、苦戦した時だけピックアップして「私は才能がない」と悩む。
後半でナイスネイチャがずっと顔を青くしていたのも当然の、どこに悩む要素があるんだよとしか思えないキャラクター設定に首を傾げる。
おそらく2期のトウカイテイオーが好評だったので同じように挫折を繰り返す物語にしようとしたのだろうが、
トウカイテイオーの度重なる挫折は史実を元にしていて自然な流れなので高評価されただけであり、
しっかりと凄まじい戦績を残しているのに負けるたびに勝手に挫折しては復活してを繰り返すのは制作しているうちにおかしいと思わなかったのか。
モデルとなった実馬の戦績を見たファンから主人公に向かないと言われていたが、まさかその答えがこんなに強引なネガティブキャラになるとは誰が予想できただろう。{/netabare}

サトノダイヤモンド。まず3期から急にサトノ家の話が出てきたところで困惑。
{netabare}2期であんなにメジロマックイーンに憧れ、彼女が走れなくなったときは号泣していたほどだったのに、
そしてアプリ1周年の新規短編アニメではキタサンブラックと一緒にチームスピカに興味を持っていたのに、
さらに言えば2期と連動していたアプリのストーリーイベントではカノープスの面々(とギャル)と交流していたのに、
3期が始まってみればそれまで全く存在がなかった家庭の事情があるのでそっちのチーム入ってました!は唐突すぎる。
まだ小等部で家の事情を背負っていなかったであろう頃は仕方ないとして、1周年記念の映像でもっと匂わせておけなかったのか。
しかもそれに合わせてジンクスを気にして勝利に固執する修羅のような性格に変貌しており、レース前にいつも通り声を掛けようとしたキタサンブラックを呼び捨てにして勝利宣言して去る過剰なライバルムーブ。
そしてメジロマックイーンに憧れていた描写は完全に無くなり、一度だけ2人きりで会話したそのシーン以外で名前を出すことも絡むこともない。
3期になってもトウカイテイオーへの憧れを持ち続けているキタサンブラックとは対照的すぎる。
ファンが見たかったのは2期のように2人いつも仲良く過ごし(喧嘩くらいはしてもいいが)、トウカイテイオーやメジロマックイーンに見守られながら切磋琢磨し、
「負けないよ!」「私だって!」と親友とのレースを素直に楽しんで笑顔で互いの戦績を祝福し合うそんな2人だったのではないか?
(イメージとしてはアプリ初期に実装されたSSRキタサンブラック&SSRサトノダイヤモンドのサポートカードのような楽しそうな2人を期待していた)
これは私が受けた印象だが、3期でどうしてもサトノダイヤモンドを「ジンクス打破に全力を尽くすキャラクター」として描きたかったものの、
これまで映像化してきた彼女のままではそれができないと判断して「少女の心の成長」を言い訳にして無理にキャラ変させたのでは。
そしてバランスを取ろうとレース以外の日常部分を使って2期のような優しい部分を出した結果、浮き沈みがとても激しい性格難なキャラクターになったように思う。
(これはキタサンブラックも同様だ){/netabare}

サトノクラウン。シュヴァルグランと共にメイン2人に添えられて「いつもの4人」になっていたが、あまりにも掘り下げがなさすぎる。
{netabare}レース相手としてこそ何度も登場していたがプライベートはほとんど描かれず、
彼女もサトノ家の悲願を叶えるために努力しているのはわかるが、それ以上にサトノダイヤモンドの勝利への執念が強烈すぎて霞んでいる。
彼女にとって重要な香港レースがカットされたのは凱旋門同様に諸々の権利関係でアニメとして仕方なかったのかもしれないが、
それ以外の活躍が「不調なキタサンブラックを下して春シニア三冠を阻止した」くらいしかなく、上記のキタサンブラックのネガティブな設定のせいであまり良い印象が残る出番にはならなかった。
とはいえメイン2人にとっての便利な友人Aという感じで終わっており、掘り下げが少ないことで悪い部分もなかったので、
他のキャラと比較すると改悪を免れて映像化によるファン増加を見込めた数少ないキャラと言えるかもしれない。{/netabare}

シュヴァルグラン。サトノクラウンと同様にいつもの4人のうちの出番が少ない1人だがあまり描写が無かった。
{netabare}こちらは逆に姉と妹とセットでプライベート(休日の1コマ)が描かれているシーンこそ多いもののレースでの扱いが背景レベル。
時々場面が移ってG1勝利への想いを口にするシーンは入るが基本的に単発で他のシーンにあまり影響を与えていない。
意識するとあぁ一緒に走っているなぁと気付けるがその程度。
そんな状態だったのに終盤でメイン回になると急にこれまでのことを振り返り、キタサンブラックをライバルとして友人として大好きだったと熱弁し始めるのだが、
とにかく扱いが空気だったため視聴者からすれば「え?そうなの?」と全く感情移入できず、なんというか「ほら熱いシーンだぞ、こういうの好きだろ」というスタッフの意図がモロ見えして冷めるだけのシーンになってしまった。
(私は過去に知り合いから「このシーンが熱いんだ!」とアニメのクライマックスだけを見せられたことがあり、前を知らないのでイマイチ乗れなかった。そんな感じだ)
さらにここでシュヴァルグランは感動の初G1勝利となるのだが、先述した通り、キタサンブラックの酷いキャラ設定によりGI勝利がアニメにとってもはや大したことないものになっているのですごい!と思えないのがまた泣ける。
ちなみにアプリでは他人と関わるのがとにかく苦手な引っ込み思案のキャラクターとしてアニメ化前から描かれていたが、
アニメでは最初からいつもの4人で仲良くしており、キタサンブラックのGI初勝利も祝ってくれる。
そもそも引っ込み思案なところはOPで少しそんな描写があるだけで本編では全く見られない。この変更は人によって評価が分かれそうだ。{/netabare}

ドゥラメンテ。
{netabare}いや復活しないんかーい!
1期のサイレンススズカ、2期最終話のメジロマックイーンを見てきた視聴者はきっと「退場してからこんなに体を鍛えてるシーンが何度も入るんだからアニオリ展開で復活してキタサンブラックに挑むんだろう」と思っていたに違いない。
まさか最後まで「私は諦めていない」で終わるとは。そもそも彼女は退場前の扱いも酷い。
確かにキタサンブラックの歴史を1クールで納めるとドゥラメンテが活躍する時期は早々に終わって当然なのだが、
それにしたってまさか出場辞退する2話冒頭までにキタサンブラックと一度も関わらずアニメとしてもレースと練習以外での彼女の描写が全くない、
それどころかセリフもほぼない謎の強キャラのままフェードアウトしていくなんて。
宝塚再戦の時にようやくセリフが増え、その後も度々出てきて絡むものの時すでに遅し。彼女が再び走ることはなかった。
これは根拠の薄い自分の推測だが、2話までにほとんどセリフがなかった原因はサプライズ参戦発表のために彼女(というよりその声優)の収録を最小限にしたせいなのではないだろうか。収録が増えるほど関係者が増え、声優本人や共演者などどこかから情報が漏れるかもしれないので。真相は不明。{/netabare}

サウンズオブアース。OPを歌っているメンバーの中で一番よくわからなかった存在。
{netabare}キタサンブラックの最後のレースにも参戦するしアニメで初出の新キャラだからセットで推そうという裏の事情が透けて見えるほど目立った出番がなかった。
演奏しているフリをして実はBGMを流していただけだったのは面白かったがそれだけ。
キタサンブラックからすると知人どころか「前に会ったような」レベルの相手。
そのため最終話で教室にいるキタサンブラックを他のOPメンバーが呼びに来るのだがサウンズオブアースだけいなかった(はず)。本当に何だったのか。{/netabare}

ナイスネイチャ。放送時からいろんな人の感想で言われていることだが、
製作スタッフにナイスネイチャかその声優かを推したい人間がいるんだろうと容易に感じられるほど謎の優遇を受けていた。
{netabare}これははっきり書いておきたいが2話のナイスネイチャは素晴らしい。適役だった。
でもそれ以降は彼女を起用する理由が皆無。キタサンブラックの戦績や活躍時期を考えても全く噛み合わない。
そして後半からキタサンブラックにアドバイスできる立場ではないと彼女自身が悟った結果、
凹んでいるキタサンブラックを見て逃げようとしたりキタサンブラックの活躍を喜べずにドン引きしているなど、
2話でかつての自分を重ねて大声で応援していた彼女とは打って変わり、成績のいい後輩を応援できない言わば感じの悪いキャラにされてしまった。
優遇しすぎた結果ファンも冷めてしまい、完全に裏目に出ていたように思う。{/netabare}

トウカイテイオー。もしかしたら自分にとってのシンボリルドルフのような見守る立ち位置を意識していたのかもしれないが、キタサンブラックに関心がなさすぎる。
{netabare}正確にはちゃんと気にかけている、だがあまり行動に出さない。
特に2話の彼女は酷く、他のスピカメンバーがキタサンブラックを心配する中でトウカイテイオーは「キタちゃんなら大丈夫だよ」とアドバイスを避けた。
しかし実際は他のメンバーが考える通りキタサンブラックは自力で立ち直れる精神状態ではなく、ナイスネイチャがフォローして過去の自分と重ねて激励したおかげで立ち直れた。全然大丈夫じゃなかった。
一応何度かキタサンブラックと語り、最後のライブでも優しい表情で見守っている姿は見られるが、
2期最終話で奇跡の復活をしてまた明るい性格を取り戻しているだろうと予想していると、老後のような彼女を見てガッカリするだろう。
大人になったなぁ、と成長を素直に楽しめればいいのだが。{/netabare}

ゴールドシップ。スタッフは彼女の扱いに大きく失敗したと思う。
{netabare}スタッフが初期からゴリ推ししていてファンも求めているフリーダムな言動はほとんどなく、8割くらい真面目だった。
作中で語られる事情を考えれば仕方ないとはいえ、そうじゃないだろうと。2期でトウカイテイオーの復活を信じて真剣な態度だったあのカッコよさは、普段とのギャップがあってこそだ。
トウカイテイオーがアプリとの性格の違いをよく指摘されるがそちらはそうなっていく過程が2期で描かれていたのに対し、ゴールドシップはごっそり間が抜け落ちている。
キタサンブラックの活躍時期と重なる有名な「ゴールドシップ120億事件」も実に勿体ない。数ある実馬のフリーダムな「やらかし」の中でも一番有名なエピソードなのだが、やはりカットされていた。
1話で「宝塚頑張るぜ!」と意気込んでいたのでどう描くのか、ウマ娘レースはギャンブルではないので120億には触れないだろう、
ネタ交じりにやるのか、真面目に描くとするならきっとこの時期悩んでいたキタサンブラックのことを考えていてスタートが遅れるとかかな、
と楽しみにしながら待っていたが、蓋を開けてみればいつの間にか終わっており新聞記事としてしか語られなかった。
そしてそこから感動してくれと言わんばかりの引退の流れ。いや今までの活躍は1期終盤でダイジェストの形でほんの一瞬映ったくらいなんだけど、どう感動したら…?
そもそもゴールドシップはこれまでアプリでもアニメでも謎多き存在とされており唯一学年が「???」となっていて、
普段の言動も含めて一体何者なんだという空気を漂わせていた。
そんな彼女が肉体の限界を悟って悩んでいたりそして引退してしまうのはキャラ崩壊でありやってはいけないことではないかと。
それもこれもキタサンブラックの引退への布石として利用されたせいであり、非常に残念である。
トレーナーとの会話中の回想内で実馬の様々なエピソードを元にした1枚絵が多数流れていったが、ファンが見たかったのはそっちなんだよ。
今まで持っていたルービックキューブの意味も3期で判明したが、いやルービックキューブだと5面揃えたら自動的に6面揃っちゃうから5冠が存在しなくなるんだけど…というツッコミしか出てこない。{/netabare}

他のスピカメンバー。空気。
{netabare}練習しているシーンもない。全員トゥインクルシリーズを引退しているのか?
スペシャルウィークがネタキャラにされているのは2期から引き続いているので慣れたが、他のキャラも半分そうなっていた。
キタサンブラックが落ち込むたびに全員が心配するのだが、いつも心配しているだけ(正確には特製ドリンクや勝負服などプレゼントを用意して元気付けたりしているのだが具体的にキタサンブラックが抱えている悩みに寄り添うようなアドバイスは見られなかった)。
そんな感じでありながら、EDではキタサンブラックを含めたメンバーで楽しそうに歌って騒いでいる。本編で見たかったのはこっちだ。これなら2期のEDのようにキタサンブラックとサトノダイヤモンド2人が中心になったEDで良かっただろう。
そもそも、3期の間だけでも3年ほど時間が経過しているのに新メンバーが増えない。
もっと言えばキタサンブラック以外のメンバーは1期の序盤で揃っているのでかなりの年数、キタサンブラック以外の新加入がいないことになる。
言わずもがなメンバーの戦績はウマ娘の中でもトップクラス揃いであり、しかもずっと大きな看板も作ってメンバー募集を続けている描写がある。
いくら変人の集まりみたいに思われていたとしても、それを差し引いてもなお輝かしい実績があるので希望者は多そうだが…。
同じくチームリギルも1期1話で2人加入して以降、3期でデアリングタクトしか増えていないのだが、こちらは加入試験が難しいような描写があったので合格者がいなかったと考えればなんとか納得できるのだが。{/netabare}

トレーナー。1期ではトレーナーらしい指導でスペシャルウィークを導き、2期でトウカイテイオーが走るところが見たいんだと悔しがりながらいろんな手段を模索した彼。
{netabare}今回どうしてしまったんだと言わんばかりに空気。いや彼もまた要所要所で出てきているのだが、
一番の特訓回では指導役をミホノブルボンに取られ、キタサンブラックにピークアウトを感じたときはそれを仕方なく受け入れるような態度。
1期で有望なウマ娘の足をいきなり触っちゃうほど熱い魂を持っていた姿はなく、燃え尽き症候群のように冷めている。
もちろん映っていないところでしっかり指導しているだろうことはわかっている。だが観測できなければ意味がない。
上記スピカメンバーと合わせてこれなので、キタサンブラックがスピカに所属している意味が全くなかった。{/netabare}

その他OPに出ていたウマ娘たち。期待させておいてガッカリな扱いだった。
{netabare}疾走感に合わせて様々なウマ娘が映るOPは2話で初めて見た時とてもわくわくしたのだが、
トーセンジョーダンは回想の静止画で小さく映るのみ、ヒシアケボノはドゥラメンテの背景で小さく映るのみ、ダート3人娘はコパノリッキーが一度キタサンブラックと会話しただけで他の2人は背景に小さく映るのみ、
サクラバクシンオーは実馬がキタサンブラックの実馬の祖父にあたる関係者なので多少出番があったが全部意味不明に衝突するだけで特別な絡みなし。
ギャル2人もOPに映っていた内容以上のことはなく、唯一エアグルーヴが副会長としてドゥラメンテの関係者として出番が数回あったくらいでこんな有様である。
多分これらのウマ娘は全くそのままの出番であってもOPに映ってさえいなければ「あ、背景にあのウマ娘がいる!このウマ娘に出番が!」と小ネタ気味に探して喜べただろうに、OPで期待させたせいですべて台無しだ。{/netabare}

ここからはキャラクターの項目で書けなかったことを書く。

とにかくギャグがしつこい。
{netabare}特に「同じセリフを何度も言う」ギャグを何回やるつもりなんだ。4~5回くらいやってなかっただろうか?
2期でスペシャルウィークが「ですね」しか言わなかったシーンがありウケたのだが、だからってこんなに天丼したらただ冷めるだけだって。
そもそもギャグがしつこいのは2期の頃からであり感動の最終回における美容師モブに対して思ったことなのだが、真剣な場面でもギャグを入れてくるのは鬱陶しい。
「どうした急に」はギャグであると同時に解説にもなっているので個人的には許せるが、それ以外はメリハリを付けてほしい。感動させたいのかどうしたいのか全く分からない。
ドゥラメンテとの再戦となった宝塚での「誰ー!?」が顕著な例だろう。
どうやらあれは史実ネタであり、本命と対抗を差し置いて人気の低かった馬が勝利して衝撃を与えたことが元らしいのだが、
あんなギャグチックにしなくとももっと描きようはあったはずだ。しかもその後の2人の会話シーンでも背景で優勝ウマ娘がわーいわーいと喜び続けていて、
その喜びよう自体は可愛らしいのだがメインの会話が入ってこずに全部台無し。これもそういう「後ろが気になって」というギャグなのだろうが今やることか?と。
ついでに言うとこれより前の話でキタサンブラックとゴールドシップが対決した時に別のウマ娘が勝利する展開をやっているので「またか」と感じてしまったところもある。
念のため書いておくとギャグそのものは嫌いじゃない。とにかくしつこいのと真面目なところで入れるなって話。{/netabare}

これは世代が大きく変わったせいなのだろうが、正式にウマ娘化していないキャラクターが多すぎる。
{netabare}特に何度も戦っていて存在感もあったゴールドアクターとリアルスティール、そして先述した宝塚大穴のマリアライト。
この3人が所謂モブになっているせいでいくつかのレースで勝利者がいないような微妙な気持ちになってしまい盛り上がれない。
また、サトノ家の悲願をサトノダイヤモンドに託すのは良いが何度か一緒に他のサトノ家(サトノノブレスなど)も走っていたらしいのに、
そっちの子には誰も期待してしないのが悲しい(まぁ代替のモブウマ娘になっているのでサトノ一族でなくなっているのだろう)。
その回の主役1人以外は全員モブだったりいつものサトノクラウンだけだったりと、勝っても負けても面白くないレースがとても多かった。{/netabare}

3期のテーマを「キタサンブラックの7冠」に拘ったことによる失敗。
{netabare}3期が一番失敗だったのはやはりこれに尽きると思う。放送前からずっと言われていた。
7回の勝利という時点で1話1勝でも7話も使ってしまう。これに敗北レースや他のウマ娘のレースも描くのだからそりゃダイジェストにもなる。
ゆっくりキャラクターを掘り下げている余裕もない。レースレースレースだ。おかげでGIの重みが全く無くなり、他のウマ娘が必死に1勝を得ようとしているのが滑稽に見える。
そして最大の問題は最後の7勝目が引退レースであったこと。それだけ見ればとても感動的なことなので組み込みたい気持ちはわかるが、
そのせいで1クールでやるには歴史が長すぎて1話進めば数ヶ月経ち、数話もあれば1年経っていて「また有馬!?」となる。
また、感動の7勝目のウイニングライブにモブが混ざるという残念なフィナーレにもなってしまっている。
さらに「引退レースでGI勝利した」ことを強調するためにこれまでのアニメでうやむやにして描いてこなかった「ウマ娘のピーク、引退」を描かざるを得ない状況になった。
(アプリではメインストーリー冒頭からオグリキャップの引退を描いていたが…)
一応学生相当の年齢であろうウマ娘たちが早くも肉体の限界を迎えるというのは見せてはいけなかった展開だろう。
これまではサイレンススズカもメジロマックイーンもアニオリ展開で史実のその先に行ったし、
スペシャルウィークは一番盛り上がるジャパンカップが過ぎたら残りのレースはダイジェスト形式にしてラストをうやむやに、
トウカイテイオーも奇跡の復活を果たしたところで終わったのでその後どうなったかは想像にお任せできた。
しかしキタサンブラックは完全に引退してしまった。
引退後にドリームトロフィーリーグ?というものがあるらしいが、今までトゥインクルシリーズを超えたスター選手によるハイレベルなリーグだと思われていたそれが、
肉体的に現役引退したウマ娘たちによるリーグと判明してしまい著しく格を下げてしまう結果になった。{/netabare}

ここからは「ぼくのかんがえたさいきょうのウマ娘3期」のような話。
{netabare}史実に沿ったストーリーは引退レースの有馬記念ではなく実際にアニメでも熱く描かれていた天皇賞春で締めて、
「キタサンブラックのGI7勝」ではなく「キタサンブラックとサトノダイヤモンドの対決」をメインテーマに掲げるべきだった。
初報の時から3期はこの2人の対決をメインにしてくるだろうと思われていたし、天皇賞春での決着ならウイニングライブがこの2人にシュヴァルグランを加えた組み合わせになるので、
仕方なく置かれたモブウマ娘を踊らせたりせず3期で推したかったウマ娘だけでライブができた。
当然、ピークアウトとかいう余計な設定を出してくる必要もなく、1期のジャパンカップ以降のようにうやむやにすればいい。
あるいはキタサンブラックが主人公を務めるのは2話までと天皇賞春と最後の有馬記念のみに止め、
それ以外はサトノダイヤモンドたちを回ごとに主役にしてキタサンブラックは立ちはだかる壁として描写するとか。
OPを歌っているメンバーは全員、GIでキタサンブラックと対決して1回以上先着している(サウンズオブアース以外は1着を取っている)ので十分成立するかと思う。
そしてキタサンブラックは負けた時悔しがりながらも友達と戦えたことを喜び勝利を称える。
ナイスネイチャではなくトウカイテイオーやメジロマックイーンの登場機会を増やし、
当然ピークや引退に関する話はなかったことにしてゴールドシップは自由気ままなキャラを維持し、
トレーナーが対策を考えたりトレーニング方法を指導して、そのほかいろいろ、
定番になるが最後は復活を果たしたドゥラメンテを含む主要キャラたちでオリジナルレースをして終わる。
そういう感じでよかったと思っている。{/netabare}

まだ書き忘れていることがあるかもしれないがここまでにしておく。
アプリの売り上げが少しずつ低迷していた中、春に放送されたROAD TO THE TOPで再び期待度が高まり、
ウマ娘シリーズに再び火を付けられるはずだった3期の内容は、スキルや適性がレースと全く合っていない、評価だけが高いウマ娘を走らせるような結果となった。
大人の事情が露骨に見えている、1話ごとの方向性が違いすぎる、シリアスに挟まる余計なギャグが多い、崩壊や空気などキャラクターの扱いが雑すぎる。
正直に言ってしまえば(2期の出来には感謝しつつも)今回の制作陣に次のウマ娘アニメは作らないでほしいと感じている。
なんとなくウマ娘に触れたいなら1期を、ストーリーの完成度を求めるなら2期を、さくっと見終われる短編希望ならRTTTを勧めるが、3期は誰にも勧められない作品だ。
声優の演技に気になるところはなく、主題歌も悪くない。これらがなければ総合評価はさらに落ちていただろう。
しばらくやめていたアプリをRTTTに影響されて再開していたが、こちらのモチベーションも奪われてしまい、どうするか悩んでいる。

投稿 : 2024/02/19
閲覧 : 93
サンキュー:

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