takumi@ さんの感想・評価

4.5
物語 : 5.0 作画 : 4.0 声優 : 4.5 音楽 : 4.5 キャラ : 4.5 状態：観終わった

今まで後回しにしていて「ごめん」

そのあまりにもの人気の高さに、天邪鬼になっていた。
周囲からさんざん勧められるも、いつでも観れると後回しにしていた。
「ツンデレ」というキャラの可愛さにはあまり興味がなかった。

だけど・・ようやく観てみようという気になった。
たぶん、自分の中にある「時期」とうまい具合にリンクしたんだと思う。

１話目を観て大笑いして、すぐに惹き込まれてしまった。
２話では早くもウルっときたり、また大笑いしたり
それからはずっと泣いたり笑ったり考えてみたりの大忙し。

竜児の、父親みたいな心の広さを感じさせる温かさと母親みたいなマメさ。
まずはこの竜児あっての「とらドラ！」であり
大河の不器用ながら純情な性質と、裏腹な言動をしてしまう乱暴さは
元を辿ると {netabare}彼女の家庭環境にも原因があったんだろうと思う。{/netabare}

この２人の組み合わせだからこその相性であり、
面白く成り立てた物語だったと感じる。もちろん良い意味で。

なぜなら・・
底抜けに明るく朗らかで、人に滅多に涙など見せないような、みのりん。
みのりんとは別な意味で、人になかなか本性を出さずにいた、あーみん。
彼女達それぞれの視点でこの話のサイドストーリーを作ったら
{netabare} けっこうせつないものに仕上がるような気がするから。{/netabare}

それに、北村くんと生徒会長の関係もなかなか良かった。
彼のその後のストーリーもちょっと興味がある。

この物語の中、何度か掴み合いのケンカや殴り合い、
腹を割って感情をあらわにしたぶつかりあいが登場する。
結果、友情を深めたり、互いを理解したりすることに
繋がっていくわけだけれど、それは恋愛においても同じことが言えて。
誰かを好きでいる、という強い想いは自分の中でだけで抑えたり、
ひそめてしまっているだけでは、相手にはちゃんと伝わらない。

薄々気持ちに気づいていて、でも何らかの理由でそれを阻止することもあれば
相手の気持ちをわかった上でなお、言葉でちゃんと伝え合いたい場合もあるし、
相思相愛になっていることにはまるで気づかずに、片想いと思い込んで
悩んでいる場合もあるし、人によっていろいろだけれど。
何が大事かと言うと、伝えること以上に
「自分の気持ちを信じること」なのかもしれない。
嘘偽りのない自分の中にあるほんとうの気持ち。
それにちゃんと向き合うことが大切だと、この作品は言いたいのかなって。
そして同時に、担任の先生や竜児たちの台詞に何度か登場する
「人生、想うようにならないことだってある」ということも、ね。

自分に正直になって誰かに想いを伝えたって、
想うようにうまくいくとは限らない。
でも、腹を割ってわかりあえた仲間がいて、友情があれば
ひとりで悶々としているよりずっといいと思う。

また、新学期からスタートして夏休み、文化祭、クリスマス、
修学旅行にバレンタインと、四季折々の学校生活を描きながら
青春群像劇だけに終わらなかったところも、魅力だった。

まずは竜児と２人だけで暮らす母親。
大河の父親と母親、そして竜児の母親の両親との関係。
家庭を描くことで、家族や親子でも「想いを伝える」ことや
「自分の気持ちを信じる」ことが大切であり、
「想うようにならないこともある」という３つのテーマから、
最終的に「愛とは何か」っていう結論を導き出していく脚本は
深みがあって良かったと思う。

心理描写もけっこう細かくて、自分に自信がない時や悩んでいる時
前髪をねじるようにいじるクセがある竜児とか、
あーみんの、時折見せる孤独感や物悲しそうな瞳とか、
みのりんが本音を隠して朗らかに振舞えば振舞うほど
彼女の痛みが伝わってくるシーンなど。
ある意味、女の子３人とも実はツンデレだったじゃんと。

それに引き換え男子たちはみんな純朴で単純で幼い描き方だったよなぁ～
まぁあれが現実か（苦笑）

とにかく、観て良かった！
きっと何度観ても同じシーンで感動してしまう気がする。
普段、「アニメなんて」などと偏見を持っている人にこそ
オススメしたい１作であることは間違いない。
堂々１位の人気にも納得だった。