ヒロトシ さんの感想・評価
4.2
物語 : 5.0
作画 : 2.5
声優 : 4.0
音楽 : 4.5
キャラ : 5.0
状態:観終わった
原点であり頂点
サッカー・野球と並び、実は日本国内でもかなり人気上位のスポーツ『バスケットボール』漫画でも既にサッカー・野球は市民権を得ていましたが、バスケットは中々そうはいかなかった。しかしその中にあって、見事にバスケット漫画としての金字塔を打ち立てたのが、今作であるといえます。スポーツで汗を流す青春とは全く無縁だった、不良・桜木花道が、惚れた女の子の為にバスケット部に入り、次第にその面白さに目覚め、そして活躍していく。王道ながらも、次々に繰り出される熱い展開、そして流川・仙道・三井といった桜木を凌ぐとも言われる人気を持つ魅力的な人物が多数登場し、当時の子供達にバスケットブームを到来させた火付け役となりました。小学生だった私も例に漏れず、休み時間には友達と一緒にバスケットを楽しんだものです。
バスケットを扱った作品って何故か素行不良が何人かいるってのが私の経験上あるんですが、(あひるの空やDear Boysはそうですよね。黒子は読んでいないので知りませんが)今作も桜木が不良あがりなので、しっかりと青春の負の側面は描かれています。今考えると、三井がバスケ部に殴りこみにいく場面はこの御時世、ゴールデンでは放送出来るのかどうかって思うと、良い時代に放送されてよかったなあという気もします。三井の話は栄光と挫折という側面を最も表現し易かったのが、不良という偶像だったと思いますし、桜木に関しても、素行不良の方が話の中で動かしやすいという思惑があったのでしょう。スラムダンクの中で批判される部分が、主に暴力シーンが酷いってのがたまに挙げられるんで、ちょっとフォローを入れてみたり。
この作品何が良いかというと、この手のジャンルにありがちな『必殺技』を前面に置いてなかったのが好感が持てますね。勿論フンフンディフェンス等ありますが、それも前半だけで公式試合の時にはほとんどお目見えしてなかったので、流れを変える超人的な必殺技がなかったのが、試合の場面を非常にリアルにしていた面はあると思います。それと個々のキャラクターに試合ではっきりと役割を持たせていたので、所謂存在感が空気なキャラが試合中にはほとんどいなかったのも素晴らしいと思います。
あまりに神格化されすぎて、今観てみたらケチをつけたくなる部分もなくはないんですが、それさえも難癖くさいなと思わせてしまうのが、この作品の嫌な所w 正直魅力的なキャラが大勢居て、話も面白ければ、細かい所なんて基本どうでも良く見えてしまうのでしょうね。今と違い、アニメの細かい部分まで指摘するような世の中では当時はなかったですし、時代の流れというのを評価に含んでいいのかどうかは、それは人それぞれですが、日本にバスケブームを持ち込んだ原点であり、それが大勢の人々にしっかりと焼きついている以上、これより完成度の高い・面白い作品は今後でるかもしれませんが、頂点と呼ばれるまでにはいかない。マイケル・ジョーダンがNBAの歴史の中で一番偉大なプレーヤーであると今後もずっと言われるように、この作品もバスケットという括りで見た場合、頂点として語り継がれていくんじゃないかなあと思います。