「ヨルムンガンド(TVアニメ動画)」

総合得点
88.9
感想・評価
2879
棚に入れた
15444
ランキング
93
★★★★☆ 4.0 (2879)
物語
4.1
作画
3.9
声優
3.9
音楽
4.0
キャラ
4.1

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ネタバレ

STONE さんの感想・評価

★★★★★ 4.8
物語 : 5.0 作画 : 4.5 声優 : 4.5 音楽 : 5.0 キャラ : 5.0 状態:観終わった

この矛盾に満ちた世界

 原作は未読。
 武器商人を主人公にしたミリタリーアクションもの。
 主人公であるココ・ヘクマティアル率いる私兵チームの活躍が魅力だが、ココは武器商人で
あり、軍人や殺し屋ではない。そのために無駄に血を流すのではなく、交渉や駆け引きで
済ませる場合も多い。それでもやる時は何の躊躇もなく殺傷行動に踏み切るのがプロらしい。
 交渉や駆け引きの方も武器を使わない戦闘といった感じで魅力的だが。

 基本的にはシリアスな作品ではあるのだが、殺伐とした世界が生む一種の狂気のためか、
全体に乾いたユーモアが生じており、このシリアス一辺倒じゃないところがこの作品の魅力。
 舞台が世界各地であり、アニメとは言え、色々な風景を楽しむこともできた。しかし、
豊かな自然の中や、平和そうな市街で行われる戦闘は、その背景の美しさが、より暴力性を
際立たせており、なんとも皮肉な感じ。

 普通の人間じゃやっていけないといった感じで、アクの強いキャラばかりだが、特に女性
キャラが印象的。
 主人公であるココは勿論、バルメ、チェキータ、カレン・ロウ、ミルド、更に殺されて途中
退場したチナツなど、いずれも男性キャラ以上にタフさを感じさせる。
 直接、戦闘には加わらないショコラーデ、天田南、アマーリア・トロホブスキーなども気を
抜けない世界に身を置いているためか、一筋縄ではいかない感じ。
 印象的なキャラと言えば、もう一人の主人公であるヨナ。ココのチームの一員であり
ながら、一歩引いたような視点を持つ彼は、他のキャラより視聴者に近い存在で、この作品に
おける役割は大きいように思える。

 ココの言う「世界平和のために武器を売る」という発言は一見矛盾して聞こえる。
 作品中のココの行動だけで判断すれば、ズルズルと紛争が続くよりは、一方に武器を売る
ことにより、戦力バランスを傾けることで紛争を早期に終わらせるという風に取れるが、
数々の伏線を見ていると、この発言の真意はそれだけでは終わらないようで、もっと深い
意味を持っていそう。第2期が楽しみである。

 先に出てきた「矛盾」という言葉。ココが「矛盾した事を喋っていいのは武器商人だけ」と
発言するが、そのココ自身も表面上と真意は矛盾したものが感じられる。まだココの内面が
深く描かれることが無かったゆえに判らないことも多いが、常に笑顔を絶やさないココの
態度は、真意を隠すためのペルソナに思えてならない。
 他にも、武器を憎みながらも、自分のためにそれを手放すことができないヨナを始め、矛盾
したものが髄所に描かれる。この世界は矛盾に満ちていると言わんばかりに。

 いわゆるミリオタと呼ばれる人達ほど詳しくはないですが、そこそこミリタリー関係は
好きで、この作品での銃器を始めとする武器のチョイスは結構ツボでした。
 それゆえに肝心の銃撃戦の描写がちょっとリアリティに欠けたのが残念。娯楽作品での
エンターテイメント性とリアリティの線引きが難しいのは重々承知だが、この作品においては
もっとリアル寄りでも、作品の魅力が失われることは無かったんじゃないかなと。

投稿 : 2013/06/02
閲覧 : 221
サンキュー:

5

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