「夏雪ランデブー(TVアニメ動画)」

総合得点
70.0
感想・評価
864
棚に入れた
3996
ランキング
1620
★★★★☆ 3.6 (864)
物語
3.6
作画
3.6
声優
3.7
音楽
3.6
キャラ
3.5

U-NEXTとは?(31日間無料トライアル)

ネタバレ

STONE さんの感想・評価

★★★★☆ 3.6
物語 : 3.5 作画 : 3.5 声優 : 4.5 音楽 : 3.0 キャラ : 3.5 状態:観終わった

生者と幽霊の三角関係?

 原作は未読。
 のっけから他作品の話で恐縮ですが、昔「ゴースト/ニューヨークの幻」と「オール
ウェイズ」という映画がありました。
 いずれも愛する女性を残したまま死んでしまった男が幽霊になるという設定だが、前者が
幽霊になっても愛が変わっていないことを女性に伝えようとしたのに対して、後者は女性が自分
(幽霊)を引きずらずに残りの人生を歩めるように、女性のことを好きな若い男の恋を、幽霊が
バックアップするという展開。
 公開時期が割と近かったこと(前者が1990年9月28日、後者が1990年4月6日)と、幽霊の
対応がかなり違うことで、なんとなく対で記憶してます。
 いゆわるラヴストーリーとしての「おはなし」としては前者の方が盛り上がるもので、実際
未だに世間で語られるのはほとんどこちらのような。ただ、当時から「こんな経験したら、なか
なか(下手すると残りの人生ずっと)次の恋には向かえないだろうな」と思ったのも事実。

 さて本作ですが、この作品も前述の2本の映画と似たような設定。そう言えば島尾 六花の
ベリーショートのヘアスタイルは、「ゴースト/ニューヨークの幻」のモリー(デミ・ムーア)に
対するオマージュなのかなと思ったりして。
 若い未亡人の六花、彼女を好きになった葉月 亮介、死んだ旦那の幽霊である島尾 篤の三角
関係?を扱った話だが、あえて前述の映画に強引にはめると篤の対応は前者の幽霊に近いし、
亮介は後者の若い男に近い存在。

 篤が未だに六花のことが忘れられず、更に「新しい男ができるのが許せない」という部分が
トラブルの元になっており、客観的に見てしまうと「もう死んだんだから自分は諦めて、残った
奥さんの幸せを考えてあげなさい」と思わないのではないのだが、自分が当事者(幽霊)の立場
だとそう割り切れるものではないだろうなと思う。
 特に幽霊というのは肉体を持たない存在で、要するに精神そのものであるから、建前では
なく、本音しか出てこないのだろうな。
 ただ、六花の幸せを考えている部分もあり、その辺の葛藤で悩んでいる節もある。
 最終的に六花と亮介が結婚した後も幽霊として花屋に残るというのは、六花の残りの人生を
見守るという優しさの表れなのかな。篤にとって辛い部分もあったと思うが。六花と亮介が
死んだ後で花屋を離れていくが、ようやく心残りが無くなって成仏できたのかな。

 一方、生きている方の亮介もある意味、自分の欲望に忠実ではあるのだが(笑)、こちらは行動
自体が正論であるのが強みではあるなあ。
 最終的に六花が未だに死んだ篤を思っていることを承知で、六花の篤への思いも引き受けると
いう男気のあるところを見せるが、これって「めぞん一刻」の五代君もそんな感じじゃなかった
かな?。
 気になったのは亮介って、学生ではないし、花屋のバイトの前は何やっていたんだろう?。
特に定職に就いていなかったみたいだけど。視聴者は亮介の一途な恋というものが判って
いるが、事情を知らない者から見ると、若後家に取り入って花屋を乗っ取ったように見え
ちゃうんじゃないかと。

 二人に思われる側である六花は、篤のことを引きずりつつも、亮介のことも好きになるの
だが、この辺は結構リアルだなと。
 さあ次の恋とそう簡単に割り切れるものものでもないし、逆に死んだ男への思いを残し
つつも、生きている男に惹かれるというのは判らなくもない。

 登場キャラは亮介、六花、篤の3人であるため(あと花屋の手伝いの篤の姉ぐらいか)、
それぞれのキャラの心情はかなり掘り下げられている。
 加えて映像的にあまりアクションのない会話劇主体のため、声の演技の比重が非常に高い
印象。中の人の好演が光る。

 正直、展開としてはまどろっこしい感じもあったが、そういう部分の解消として、途中の
絵本の世界に亮介が入ってしまうファンタジー的展開が目先を変えてくれて、ちょっと
良かった。

投稿 : 2013/07/21
閲覧 : 217
サンキュー:

2

夏雪ランデブーのレビュー・感想/評価は、ユーザーの主観的なご意見・ご感想です。 あくまでも一つの参考としてご活用ください。 詳しくはこちら
夏雪ランデブーのレビュー・感想/評価に関する疑問点、ご質問などがございましたら こちらのフォーム よりお問い合わせください。

STONEが他の作品に書いているレビューも読んでみよう

ページの先頭へ