jethro さんの感想・評価

4.9
物語 : 5.0 作画 : 4.5 声優 : 5.0 音楽 : 5.0 キャラ : 5.0 状態：観終わった

南国の潮風を感じながら

もっと評価されるべき作品

とある南の島、そこにはサイバディと呼ばれる巨大ロボットが複数隠されていた
四人の巫女の結界により、その機動が封印されていたが
綺羅星十字団と呼ばれるサイバディの利用を巨大な利益とせんとする集団が
巫女の一人を使い結界の一つを消滅させ
ついに限定された空間ゼロ時間内での起動を可能にしてしまった
同時期に島にやってきたツナシ・タクトは宿命の刻印をその身に持っており
この脅威から仲間たちを守るため自らのサイバティ「タウバーン」に乗り込む
残る巫女は三人、タクトは結界を守り、全てのサイバディを倒すことができるのか
結界がすべて破壊されれば現実世界にサイバディの脅威が訪れてしまう!!

あらすじをつらつらと書くと・・・ロボットアニメみたいですが・・
ロボットアニメか・・・

いやいや、本作の見所は決してロボットではありません
ロボットなんぞは、ただのお飾りです。

本作の最大の魅力
それは、たくさん出てくる個性あふれる登場人物たちの人間模様です。
その中核ともなるのが、主人公タクト、王のサイバディ継承者スガタ、巫女の一人ワコ
この三人によるラブストーリー
運命と希望と絶望、絡み合う三人の絆
練りこまれた詩情あふれる物語は見る者の心を捕らえて逃しません

前半戦、気多の巫女(きたのみこ)である
「さかなちゃん」が奏でる透き通るような歌と寓話が
リアルタイムで進行する物語と渾然一体となりながらフィードバックされる様は
実力あるシナリオライターだけが可能にする あまりにも美しすぎる奇跡

絵画の中の少女
硝子ごしのキス
路線バスの上の巫女
ミズノの呪文「かたみ わかちた やがだんせ」
ケイトの一人カラオケ
演劇「神話前夜」
等など・・・
心打たれるスラングの数々が
美しい南の島の潮風に揺らぎながら
眩しい夕暮れのような輝きを放っていきます。

個人的に・・・
ミズノの話はもっともっと見たかった
タクト、ナツオ、ハナの初恋話も もっと見たかった
胸がはち切れんばかりのケイトの片思いも もっと掘り下げて欲しかった
あーーーーーっこうやって書き出すと次から次へとなってしまう!!
なんて魅力的なキャラ達なんだろう
原作のないオリジナルなんて信じがたい

南国の潮風を感じながら
彼らの恋の行方を見守ってみませんか
あなたにとっての大切な何かになってしまうかも

そして、人生という冒険はつづく。


特記事項
1クール目のオープニングが1カットで見せる映像になっており
これにはちょっと小躍りするようなワクワク感がありました。

本作は「スタードライバー THE MOVIE」という劇場版がありますが基本的には総集編
前後と途中ところどころに新作カットを含めたもので
上映時間は2時間30分もある作品です。
もともと内容がとても濃いTVシリーズなので
これだけの上映時間でも消化し切れてなく不完全燃焼
唯一エンドロール途中からスタートするシーンが
TVシリーズを見ていた人たちに癒しを与えてくれます。
舞台が東京でなく、やはり浜辺であって欲しかったと思う人は少なくないはず