「宇宙戦艦ヤマト2199(アニメ映画)」

総合得点
66.6
感想・評価
281
棚に入れた
1033
ランキング
2731
★★★★☆ 3.9 (281)
物語
3.9
作画
4.1
声優
3.9
音楽
3.9
キャラ
3.8

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ネタバレ

STONE さんの感想・評価

★★★★☆ 3.8
物語 : 3.5 作画 : 4.0 声優 : 4.0 音楽 : 3.5 キャラ : 4.0 状態:観終わった

増したドラマ性、失われたダイナミズム

 劇場公開版は未鑑賞なので、これはテレビ版の感想です。
 リメイク作品ということで、どうしても見方がオリジナルとの比較といった視点になりがち
だが、リメイクとしては割と良かったんじゃないかと。
 映像に関しては格段に良くなっているが、これは時代の差もあるので当然。

 ざっくりした印象では、オリジナルのツッコミどころや曖昧だった部分をだいぶ詰めてきた
感があった。
 細かい部分はきりがないのでここでは挙げないが、大きな部分ではガミラス帝国の印象。
 オリジナルを初鑑賞したのは小学生であったが、その時も幼いながらもいくらヤマトが優秀な
ものだとしても、強大な帝国を相手に一隻だけで勝ってしまうのはどうも無理がある、と感じて
いた。
 しかし、本作におけるガミラスは外からは蛮族が侵入、内部では反乱、更にデスラー暗殺未遂
事件が起こるなど、盤石ではない印象。この内情によって、かなりヤマトが助けられた部分も
あり、最終的にはヒス主体の新政権と和解することで、オリジナルより説得力のある顛末に
なっている感じ。
 ガミラスはナチスドイツがモチーフになっているのは明らかだが、広大な版図にも関わらず、
内情は問題が多々という部分など、本作におけるガミラスはローマ帝国の末期的要素も加味
されているような感じ。
 ガミラス側の描写がオリジナルより増えたため、キャラクターに関してもガミラス陣営
キャラの心情がより深く描かれている印象。
 その最たるものが総統であるアベルト・デスラーで、オリジナルでも印象深かったデスラー
だが、本作では彼の心情をより描くことで独裁者ゆえの孤独感や、スターシャに対する恋愛や
憧憬が入り交じったような感情が描かれ、彼の行動がかなり私情に根ざしたものが見て取れる。
 その反面、政務などは閣僚に任せっきりな印象もあり、私人としての人間?的な深みが増した
反面、公人としてはかなり小物感が増した感じ。

 ガミラス対地球という図式においても、ガミラスを単純な悪としていない。
 オリジナルにおいても、ドメルのような高潔なキャラを登場させたり、ガミラスを滅ぼした
後で古代進が後悔するシーンを描くなど、そういった傾向にあったが、本作はそれを更に強めて
おり、特に先制攻撃を掛けたのは地球側で、それを隠蔽していたという設定はかなり思い切った
なあという印象。

 一枚岩ではないのはヤマト側も同じくで、双方が内部に抱える問題が複雑であるために、
単純なヤマト対ガミラスといった図式ではない。
 更に森 雪の異星人疑惑や、この森 雪がガミラスに拉致されたり、地球が波動砲を手にした
ことによるスターシャの懸念があったりなど、様々な要素が加味されており、ドラマ性はかなり
増した感じ。
 ただオリジナルが持っていた、シンプルさゆえに強く感じられたダイナミズムは弱くなって
しまった印象で、ヤマトの活躍による痛快さみたいなものはオリジナルの方が強く感じられた。
 あとヤマト側のクーデター事件、ガミラス側のデスラー暗殺未遂事件などは中盤の山場とも
取れる事件だったが、思いの外あっさりした印象で、関連キャラの顛末に関しても、クーデター
事件の首謀者である伊東 真也や、反政府活動に協力したドメル夫人のエリーサなどは扱いを
持て余していた印象。

 女性キャラがメチャクチャ増えたのもオリジナルとかなり異なる印象。
 特にヤマトのクルーはオリジナルでは森 雪だけだったのが、本作は主要キャラでも新見 薫、
山本 玲、岬 百合亜、原田 真琴と増えており、随所随所に描かれるモブキャラを見ても、相当
数の女性クルーがいるのが判る。
 これはヒロインを増やそうというファンサービス的な考えがあったのだろうし、オリジナルが
制作された1974年に較べて、女性の社会進出が増えた時代性の差もあるのかなと思う。
 このため見た目が華やかな印象になっており、女性が増えたことによる恋愛ドラマ的側面も
強くなった感じ。地球、ガミラス、イスカンダルの三女子によるガールズトークなどは、
オリジナルでは考えられなかったシーン。
 恋愛ドラマという部分では、古代 進と森 雪の関係を中心としているが、あくまであっさり
風味といった感じで、やりすぎていないところが分をわきまえている感じ。やろうと思えば、
山本 玲、南部 康雄も交えたもっとドロドロしたものも作れたんでしょうけど。
 ただ、こちらも一長一短といったところで、オリジナルの持つ骨太さは弱くなった感じが
ある。

 ロボットの自我、異星のクリーチャー、精神攻撃などのオリジナルにはなかった他ジャンル
SF?要素の導入も、本作の特徴かなという気がする。

 ラストは思いの外地味な締め方だった印象だったが、これはこれでありかなという感じ。

投稿 : 2017/10/17
閲覧 : 328
サンキュー:

7

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