「ヨスガノソラ(TVアニメ動画)」

総合得点
77.0
感想・評価
2707
棚に入れた
14726
ランキング
644
★★★★☆ 3.6 (2707)
物語
3.3
作画
3.7
声優
3.5
音楽
3.6
キャラ
3.6

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ネタバレ

どらむろ さんの感想・評価

★★★★★ 4.5
物語 : 4.5 作画 : 4.5 声優 : 4.0 音楽 : 5.0 キャラ : 4.5 状態:観終わった

兄妹近親愛の代名詞的な問題作。インモラルは否めませんが、名作です。

ガチなエロゲーをそのまま限界ギリギリまでアニメ化してしまったような、超問題作。
兄妹近親愛を指す「ヨスガ」あるいは「ヨスガる」というアニメスラングを生み出した張本人。
禁断の兄妹近親愛の印象が鮮烈だが、その他ヒロインとの恋愛物としてもそこそこ良作。
…ただし、エロ描写が限界ギリギリ(一般向けアニメとして完全アウトだと思う)ので、露骨なエロが苦手な人には視聴は厳しいです。
ちなみにハーレムでは無く、時間軸分岐によるオムニバス(アマガミとかと同形式)である。

モラルに反する問題作なのは否めないのですが…アニメ史上でもインパクトを残した名作なのも確か。
(2014年7月13日投稿から加筆修正。5度目の視聴を終えて)

{netabare}
『物語』
親を亡くし、昔住んでいた田舎町(栃木県足利町がモデル?)で暮らす事になった双子の兄妹、悠(ハルカ)と穹(ソラ)。
病弱でワガママなソラに振り回されつつ、ハルカは知り合いだった少女たちと関わり…本当に大切な存在に気付いていく…。

舞台である田舎(一見のどかだけど、閉鎖的なコミュニティーや因習、濃密な関係性になり易い)の空気感のもと、表面的には明るいヒロイン達(とハルカ)が、吹き抜ける風のように、なりゆきでインモラルな情動に突き動かされる…
本作の魅力のひとつがこの美しくも閉鎖的な舞台であろう。土地柄が醸す空気、に加えて時間軸巻き戻しループを繰り返す事で、少年少女たちの押さえられぬ情動を濃縮していく感じ。

本作の代名詞たる実妹・ヨスガノ「ソラ」(穹)ちゃん以外にも、何人かのヒロインと恋愛していく。
各ヒロインと恋愛、成就後に巻き戻って時間軸分岐によるオムニバス形式です。
名家のお嬢様、天真爛漫な巫女さん、幼馴染の巨乳お姉さん、そしてブラコン妹ちゃん。

各ヒロインの尺が3話程度の割には、丁寧なシナリオだと思った。
どのヒロインと結ばれてもあまり違和感無い感じ。
3話という尺は短く思えるが、例えば他作品でも一週間フレンズや琴浦さん等、序盤で一応の完結と見なせる完成度があり、1組のカップルを描いたストーリーは3話で十分濃密に描けるという事だろうか。

…ただし多くのレビュアーさんもご指摘のように、各ヒロインのドラマとして見ると駆け足感も否めない。
各々がかなり重い事情抱えていて、1クールのメインヒロインに足るだけに、3話では物足りなさも。
重い事情の割にはアッサリ解決したり、その後のお約束のようにハルカとセッ〇スに至る流れも(ええ~!そこまでヤっちゃう程か!?)と唐突感が。
せっかく、綺麗なラブストーリーなのだから、何もエロに頼らなくても…
ハルカ本人は、ヒロインたちの重い事情にあまり関われてなく、いまひとつ存在感が乏しい感じも。

初見ではここら辺が印象悪かったのですが。
本作のメインテーマ上、セッ〇ス避けては通れぬ描写なので…
実は本作はラブストーリーとして見ては底の浅さが目に付くのですが
「主人公・ハルカにとって、本当に大切なモノは何か」
をループしながら模索する過程と見れは、最終章(本命のソラちゃん)以外は、別にこれで良いのかも。
…ここら辺の唐突さは、舞台背景と(メタ的だが)エロゲー特有の勢いと見れば、まあ。

ハルカとのラブコメよりも、瑛(あきら。天真爛漫な巫女さん)と一葉(かずは。優等生お嬢様)の微百合の微笑ましさ…からの、重い関係性ドラマの方が見応えあり。
非常に萌えるのですが!重い!
でも意外にストレスにならすに綺麗な結末で良かった。


ハイライトは最終章の真ヒロインである、実妹との禁断の近親愛なのは間違い無い。
時間軸分岐で他のヒロイン達との健全(でもない気はするが)な恋愛劇を描き、満を持しての兄妹近親相姦。
…他作品の娯楽性の高いライトなきょうだい萌えと違い、シャレにならない一線を越えた関係性。
作中でも明確に禁忌である事が強調され…それでもなお、突き進むしかないのか。
背徳感も、兄の理性故の逡巡それでも妹の想いこそが真実…もはや止められない。
悲劇は不可避、けれど…兄妹の絆は理屈抜きに胸打たれました。

恋愛はどんな形であれ、理屈ではない。という普遍性を暗に強調し、その上で禁忌に挑戦したのだろうか。
あるいは…
三人のヒロイン達は皆、恋人としては理想的な良い娘であるのに対し、ソラちゃんは我儘で扱い辛く、実妹という禁忌を差し引いても他ヒロインに比べて厳しい。
にも関わらず、主人公が一番幸せそうで、一番求めていたのは、結局ソラであった。
この対比により、禁忌であっても理屈抜きの恋愛というモノも有り得る(のではないか!?)
という強烈なメッセージを感じる。
その意味でも、兄妹近親愛という禁忌に挑戦し、ピュアに描き切った物語だったのでは(ないのかな?という勝手な感想)
…異なる解釈の余地を持たせた結末も良かった。
ソラちゃんどうなったのか?物語的には薄命な方が美しいんですが、やっぱり生きていて欲しいです。

…実は本作は本当の意味での恋愛ではなく、理屈抜きに求め合ってしまう関係性の危うさ、それでも求めずにはいられぬ、それは理屈度外視しても尊いモノじゃなかろうか。
(あ、あくまでアニメだし。エロゲーだし!ファンタジーですから!)

本作は、初見では露骨にエロい問題作という認識であったが、時を経て見直すと、印象が変化するタイプなのだと思う。
視聴にはかなりの精神的負担が掛かる作品ではあるが、年を重ねた後に、再度視聴する価値がある名作ではある。


『作画』
透明感ある綺麗なキャラデザ。
ソラちゃんの病的なまでの美少女具合は相当なモノ。
また田舎の舞台背景の作画もかなり良く、インモラルな生々しさを美しい舞台で緩和している。
エロ描写は正直求めていないのだが、本作の主題描く以上、避けては通れないのだろう。
規制版でもそんじょそこらのエロ萌え系アニメが裸足で逃げ出すレベル。
素晴らしいんですが…これは一般向けで放送してはいけないとも思う。

『声優』
下野紘さんは流石に安定感ある主人公っぷり。
声優陣はあまりメジャーではないのですが、いずれもヒロインたちの魅力申し分なし。
阪田佳代さんの天真爛漫巫女少女良かったです。
田口宏子さんのソラちゃんは絶品でした。


『音楽』
映像以上に音楽が抜群に素晴らしい。
OP「比翼の羽根」が心に刺さるような美しいメロディーと歌詞、アニソン史上でも名曲の一つだと思う。
サビの透明な疾走感と激しい転調は圧巻、高音過ぎて苦しい感じも、必死に想いを込めている感あって好きです。
ED「ピンキージョーンズ」は打って変わってコミカルで妙に狂気を感じる迷曲であった。
ももいろクローバー初期の楽曲だそうで。
BGMも素晴らしく、禁断の恋愛劇に相応しかった。


『キャラ』
ソラちゃんかわいいよソラちゃん。ただし萌えというよりは、病的な美少女という方が近い。
ひたすら我儘で扱い辛い辺りが、よくあるお兄ちゃん大好き妹キャラとは一線を画している。
嫌な部分も誤魔化さずに近親愛を貫いた、稀有な名ヒロイン。

他のヒロイン達も皆可愛く魅力的(幼馴染のお姉さんだけはちょっと…損な役回りとはいえ)
元気で健気な巫女さんのアキラが一番好感持てる。天真爛漫で心優しい本当に良い子です。

お嬢様な一葉も、姉キャラとしても(実は…だが)お嬢様としても申し分なしの可愛さ。
重い事情を抱えており、ヒロイン度は高い。

ハルカはオムニバス形式のお陰で悪印象はなく、普通の思春期の美少年な感じ。
非の打ちどころは無いものの、積極的にヒロインをホレさせる程かというと…そこはエロゲー主人公か。{/netabare}

投稿 : 2016/09/19
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サンキュー:

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