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「妄想代理人(TVアニメ動画)」

総合得点
70.5
感想・評価
795
棚に入れた
4180
ランキング
1498
★★★★☆ 3.6 (795)
物語
3.7
作画
3.7
声優
3.6
音楽
3.7
キャラ
3.6

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妄想代理人の感想・評価はどうでしたか?

takato さんの感想・評価

★★★★★ 4.3
物語 : 3.5 作画 : 4.5 声優 : 4.5 音楽 : 4.5 キャラ : 4.5 状態:観終わった

夭折の今監督唯一のTVアニメ。Qベエより前に存在した可愛怖いマスコットな「マロミ」。

 サルトル曰く「地獄とは他人のことなり」。本作を見て付け加えると「地獄とは、他人と自分自身の現実なり」。夢や妄想という人間の意識下の世界のオーソリティーだった今監督。そんな彼らが能登さん、三石さん、内海さんといった豪華キャストと、「私は平沢進だ、平沢唯じゃない」でお馴染みな異端の作曲家である平沢さんが組んだんだから最高に決まってる!。


 最初の3、4話くらいまでは間違いなく期待通りの傑作としかいいようがない狂いっぷりと完成度の高さにゾクゾクしてくる。謎と風呂敷が広がる面白さは、浦沢先生作品を思わせる。ただ、そっから少年バットにまつわるオムニバス的な内容になっていき、風呂敷を畳めるかかなり不安になってくる。ここで離れちゃった方も多いだろう。しかし、タイトル「最終回」な最終回の神っぷりに、私としては全て許せました!。


 本作のテーマである少年バットが象徴するのは現実逃避であるそれら「マロミ」のような緩いキャラが称する癒やしでもあり、未だにまかり通っている美化された昭和30年代でもある。


 0年代以降、日本社会はもはやバブルの夢から完全に覚めざるをえなくなったが、そこで困難な現実に向き合えばまだ良かったけど、この国はお得意の現実逃避、先送りの計に出た。そのことに対する今監督の怒りが本作には底に響いている。


 本作のキャラたちは、みんな自分が嫌いな孤独な人達である。他人の目を気にして怯えている、横目キョロ目の孤独な1億3千万の魂の姿がそこにはある。彼らは自分が置かれている現実、環境が大嫌いだ。しかし、鳥もちに捕らわれているようにそこから抜け出す手段、救いを見いだすことができない。故に都合の良い現実逃避の象徴として少年バットが現れ、偽りの救いを与えてくれる。


 本作の中で自分という現実の地獄から抜け出せたのは、ただ一人内海さん演じる刑事さんだけである。何故なら彼だけが本当の意味で孤独ではなく、現実という苦しみすらを乗り越えていける物、月並みにに思えるが他者との間に強い愛を築けていたからである。


 「地獄とは他人のことなり」、同時に「救いは他者との間にしかあらず」。夢や魔法のような解決なんてこの世にはない、「ここではないどこか」なんてない。その現実を認め、それでも他者との間に橋をかけることができた者こそが愛という救済を得られる。その輝きは「純愛」等と称される、それこそコンビニで安売りされているようなまがい物とは違って遥かに心を打つ。


 現実から目を逸らすのでもなく、現実に流されるでもなく、現実という苦難を乗り越えていけ!。そんな熱い監督の魂が爆発している最終回であった。とりあえず、最初の3,4話と最終回あたりだけでも見て頂きたい。啓治さんも出てるでよ。

投稿 : 2024/01/28
閲覧 : 352
サンキュー:

8

ネタバレ

shino さんの感想・評価

★★★★☆ 3.7
物語 : 4.0 作画 : 3.5 声優 : 4.0 音楽 : 3.5 キャラ : 3.5 状態:観終わった

うしろの正面だあれ?

今敏監督作品、音楽平沢進。
キャラクターデザイン安藤雅司。
制作マッドハウス。

シリアルレイン、ブギーポップの系譜。
疲れた現代社会を癒すマスコット「マロミ」
{netabare}生み出したのは心に闇を抱える少女。
路上に方程式を書く謎の痴呆老人。
社会的抑圧、犯罪の低年齢化。
狂い出した歯車は次第に人格を歪ませ、
心が闇に染まる時「少年バット」は現れる。{/netabare}
担当刑事は事件の真相に辿り付けるのか!?

自殺、鬱病、引き籠り、
現代病理を浮き彫りにしたサスペンスホラー。
主題歌「夢の島思念公園」は、
まるで時代を象徴するパラノイアの桃源郷だ。
社会に馴染めず、人の輪から外れ、
疎外感だけを補給する抑圧された日常。
これはどこにでもある物語なのだ。

悲劇は永劫に回帰されるのでしょうか。

うしろの「正面」だあれ?
うしろの「少年」だあれ?

あなたのうしろに少年バットはいる。

投稿 : 2023/12/17
閲覧 : 911
サンキュー:

51

ネタバレ

青龍 さんの感想・評価

★★★★★ 4.3
物語 : 4.5 作画 : 4.5 声優 : 4.0 音楽 : 4.5 キャラ : 4.0 状態:観終わった

現実逃避する前に、自分と素直に向き合おう。

本作は、惜しまれながら早逝された今敏監督(映画『パプリカ』、『千年女優』など)による全13話のテレビアニメ作品。

本作のストーリーは、作中で大人気となっているゆるキャラ「マロミ」のキャラクターデザイナーである月子が、会社からの帰宅途中に、通り魔と遭遇する。もっとも、目撃者もおらず月子の証言も曖昧であったため、マロミに続くキャラクターのアイデアに煮詰まって現実から逃げたかった月子の狂言と思われた。しかし、同様の手口の事件が相次いで起こり、いつしか犯人は「少年バット」といわれるように…

これらの事件の被害者の共通点は(以下、核心に至らない程度でネタバレ有り)、{netabare} 月子と同様に生きるのが辛くなるような悩みを抱え、現実逃避したいという願望(=妄想)があったこと。それゆえ、被害者は、少年バットに金属バットで殴られ入院するような重傷を負いながら、辛い日常から逃避できた(「妄想」が少年バットという「代理人」によって現実となった)ため、一様に安堵の表情を浮かべるというちょっとおかしな状況になっている(おそらく、「少年バット」では伝わりにくいので、「妄想代理人」というタイトルになったと思われる。)。 {/netabare}

本作は(諸説ありそうだが…)、「少年バット」の正体を突きとめるミステリー(謎解き)もので、それだけで最後まで物語を引っ張るだけの魅力がある。もっとも、本作も、他の今敏監督作品と同様に、ストーリーの進行とともに妄想が現実を次第に侵食していく不思議な世界観とともに、単なる謎解きではなく、その過程で、どう悩みと向き合うべきかといった人生論や社会問題みたいなものを含んでいる。

本作は、悩み事を抱え、その悩みを解消するのがしんどくて、現実逃避したいと思っているあなたに、そこから救われるための糸口を与えてくれるかもしれない作品となっていると思う。

(正直なところ、入口は一般受けしやすい身近な話題で、ユーモアもあって深刻になりすぎていないものの、現実と妄想が混在していく点がわかりにくく、フィギュア化できそうなキャラデザでもないので(あえていうなら「マロミ」くらい?)、いい意味で、よくこれテレビアニメ化したなあというのが率直な感想。もっとも、全体が醸し出す唯一無二の独自性という点でクリエイターの評価が高いのも頷ける。)


【以下、ネタバレありの感想】
本作のアイデアに一番近いのは、「トイレの花子さん」といった都市伝説や怪談話の類だと思われます(入口が一般受けしやすいと感じた理由の一つ)。

どういうことかというと(以下、核心に至らない程度でネタバレ有り)、{netabare} はじめは他愛もない嘘だったものが、それを信じる者が現れ、ネットや団地のおばちゃんたちの噂など、多くの人の口の端に上るうちに伝言ゲームのように尾ひれが付いて、「怪物」になる。

そして、本作は、「現実と妄想」を混在させることで、いるはずのない「怪物」が社会に広がり、あたかも実在するかのごとく影響を及ぼしているということを表現しているのでしょう。

これが適切な例とはいえないかもしれませんが、日本の年金制度は、多くの国民が国がやっているので破綻することがないと思っている。しかし、自分が支払った年金を後からもらうというのは建前で、現役世代が受給世代を支えているのが実態なので、少子高齢化が進行している以上、このままだと、どこかで破綻する。
国がやっているので破綻しないというのは、実は根拠がない妄想の類なのに、(薄々気づいてはいるものの)国民はこれを信じて年金を支払い続けるという行為に影響を与えている。{/netabare}


本作のテーマは、おそらく11話の美佐江の少年バットに対するセリフ。
{netabare} 「あなたは現実から逃れようとする人たちを見境なく襲っているそうですね。
それでその人たちを楽にしてあげているとでも。
救済のつもりだと言いたいのですか。
人間はアナタが考えているほど弱くも浅ましくもないということを話してあげます。

どんなに辛くてもその現実に立ち向かうことが出来るのです。
アナタにはそれが分からない。人間でないアナタには。
ただ苦しんでいる人を傷つけ、殺め、それで楽してあげたつもりでいる。
小賢しい。あなたはそんなことで悦に入るのがせいぜいなのでしょう。
アナタは存在そのものがまやかしなのです。
そう。その場限りの安らぎで人を惑わすこのマロミとやらと同じなのです。」

本作では、いるはずのない怪物である「少年バット」は、人々が辛い現実から逃避したいという妄想を実現する代理人として実在する。
そして、本作の月子の場合は、新キャラクターのアイデアを生み出すために必要な才能という現実に立ち向かわなければならなかったのに、「少年バット」が実在することで、より現実逃避しやすくなった。
しかし、現実逃避は、悩みを根本から解決するものではありません。

そうすると、本作は、美佐江の台詞にある「どんなに辛くてもその現実に立ち向かうことが出来る」なんかを見ると、悩みを解消するために現実から目を背けず正面突破しろ!(頑張って勉強してアイデアを出せるようになれ!)といっているようにも思えます(もちろん、これも解決策の一つ。)。

しかし、本作は、現実に立ち向かうために、まず、悩みの原因となっている「現実を直視せよ」と言っているように思うのです。そのうえで、正面突破するのか回避するのか。

例えば、月子は、「マロミ」級の新キャラのアイデアが出ずに悩んでいますが、おそらく彼女にそれを正面突破するだけの才能はない。なぜなら、「マロミ」のアイデアは、かつて飼っていた犬の「マロミ」の実体験に由来しており、他に同様の経験が彼女にない以上、同じ着想で新キャラクターを生み出すことはできないからです。
おそらく彼女自身も、それに薄々気づいてはいるものの、周囲の期待もあって、それを認めたくないという葛藤から、現実逃避したいという願望を強く抱くに至っている。

しかし、本作のラストで、月子は、自らの才能に率直に向き合い、その限界を認めたので、キャラクターデザイナーを辞めて普通のOLに転職した、つまり、正面突破せずに回避したのでしょう。
転職した彼女の顔は、髪を短くし晴れ晴れとしたものでした。


他にも、解離性同一性障害(いわゆる多重人格)のはるみも、マリアという別の人格を認めたくないという葛藤から、現実逃避したいという願望を抱いていました。しかし、この障害に対する治療法は確立していないようですが、各人格を統合できない場合は、各人格を否定するのではなく、その存在を率直に認めたうえで各人格間で協調するよう人格を調整していくことが必要なようです。この場合も人格を統合して一つにすること(正面突破)だけが解決策ではありません。


本作のように、悩みの原因を正面突破しようとして、そのハードルのあまりの高さに尻込みして現実逃避を選択する前に、自分と素直に向き合うことが糸口になるかもしれませんね。{/netabare}

投稿 : 2023/11/11
閲覧 : 110
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4

たわし(爆豪) さんの感想・評価

★★★★★ 4.4
物語 : 4.5 作画 : 5.0 声優 : 3.5 音楽 : 4.5 キャラ : 4.5 状態:観終わった

浦沢直樹の原作に押井守の感性が混ざったかんじ。

世界の多くの映像作家が惚れ込んだ今敏のTVアニメシリーズ。ご存命であれば湯浅政明さんより世界的に影響力のある映像作家だったと思う。

まず、浦沢直樹の原作漫画のようなサスペンスの作り込みがうまい。現代社会の闇を臆さず描き、売春問題、貧困問題、いじめ差別問題などなど。。日本社会で見て見ぬふりをしている問題に正面から切り込んでいる。

まるでデビットリンチのツインピークスのような複雑なプロットであり、全体の構成として意識はしていると思う。

あとは押井守やペンギンハイウェイの石田祐康のようなシュールレアリズム絵画への傾倒という感じで、やたらと引用が多い。これは劇場映画「パプリカ」や「千年女優」も同じである。

非常に知的な作品だが、押井さんほど暗く難解な表現はなく、石田さんよりあっけらかんとしていない、本当に作品の骨太さで言ったら右に出る人はいなかっただろう。若くして亡くなられて本当に残念な損失だったと思う。

投稿 : 2023/09/06
閲覧 : 897
サンキュー:

33

ネタバレ

なっぱ‪‪𖧷‪‪𓈒𓂂 さんの感想・評価

★★★★☆ 3.2
物語 : 3.0 作画 : 4.0 声優 : 4.0 音楽 : 2.5 キャラ : 2.5 状態:観終わった

不気味さの表現が上手すぎて怖かったです。

考察しながら観るタイプの作品は好きです。
・・・が、これはちょっと違うかな。
気持ち悪さや不気味さの方が物語に対する好奇心を
上回ってしまい苦手意識を抱いたまま終わりました。

こんなに登場人物の事を
誰1人として好きになれないのは逆に珍しいですw
気味の悪い人間の表現の仕方が上手すぎて
アニメだけどリアルな気持ち悪さを感じました( ; ˘-ω-)

途中までは色々考えながら観ていましたが
半分を超えたあたりで
「ここまで観たのにまだ分からないけど大丈夫?」
と不安になってきて、
最終回間近の10話を観終えた後にも
「えっ、もう終わるけどまだよく分かんないよ!?」
と心配になり焦りつつ最終回、
「・・・そんだけ?」
という感じ方で終わりました。

{netabare}
リードを離して犬が車にひかれ死んでしまった事を
自分のせいではないと子供が自分を守るために付いた
1つの嘘から生まれた架空の存在"少年バット"。

その少年バットが噂などにより人々の心の中で肥大化し
化け物と化した結果、人々を黒く飲み込んでしまう。
都市伝説などの話に似てますね、
噂が多ければ多いほど強力な化け物になる的な。

自らの嘘でそんな世界にしてしまった月子は
子供時代の自分を横にひかれてしまった犬を抱きあげ
「ごめんね。」と謝り嘘を認める事で少年バットは
消え去り飲み込まれた人々も助かる。
{/netabare}

正直、途中で不安になった時点で
観るの辞めればよかったかなと思ってます(._.`)
全体的に暗いお話で明るさはなかった気がします。
{netabare}
唯一楽しかったのは死にたい3人組の話!
楽しかったけど自殺志願者という暗さも付きまとうので
プラマイゼロという感じですけどねw
{/netabare}

投稿 : 2022/10/06
閲覧 : 174
サンキュー:

7

ネタバレ

秋川 さんの感想・評価

★★★☆☆ 3.0
物語 : 2.5 作画 : 3.5 声優 : 3.0 音楽 : 3.0 キャラ : 3.0 状態:観終わった

少年バットの正体が気になって途中までは面白かったけど

でも結局、最後はうやむやに終わらせるんですね。
考察好きな人はいいと思うんですけど僕からしたら物語の結末を放棄したようにしか見えなかったです。
なんか時間返せって思っちゃいました。
8話の自○志願者の回は好きです。

投稿 : 2022/08/18
閲覧 : 162
サンキュー:

1

ネタバレ

Prospero さんの感想・評価

★★★☆☆ 2.8
物語 : 2.5 作画 : 3.0 声優 : 3.0 音楽 : 2.5 キャラ : 3.0 状態:観終わった

都市伝説の具現化

まだSNSが発達してない時代の虚構推理の鋼人七瀬的な物語。噂が都市伝説と化し具現化されて伝染していく。人々の念が最後はものすごいエネルギーとなり、東京を崩壊させる。
子供って皆んな嘘つくよね…

投稿 : 2022/06/28
閲覧 : 156
サンキュー:

3

ネタバレ

publica さんの感想・評価

★★★★☆ 3.3
物語 : 3.0 作画 : 3.5 声優 : 3.0 音楽 : 3.5 キャラ : 3.5 状態:観終わった

投稿 : 2022/02/17
閲覧 : 148
サンキュー:

0

nyaro さんの感想・評価

★★★★★ 4.6
物語 : 4.5 作画 : 4.0 声優 : 4.5 音楽 : 5.0 キャラ : 5.0 状態:観終わった

テーマと現実社会をどうやって関連付けるかでしょう。

 OPのひねくれ方を見ればわかると思いますが、初めから何かを読み取ってやろうという気合がないと、途中で置いてけぼりを食うかもしれません。なにせ今敏ですからね。全く本筋と関係ないように見える話で、結果的に何かを語っているという話が4話以降何話か登場します。

 アニメとして何回もリピートしたい面白さか、といえばちょっと違います。1回見てから考察して、もう1回見て答え合わせをしたら、次は10年後でいいでしょう。

 もし、本作の内容を知りたいなら退屈だと感じた話は、遠慮なくとばしたほうがいいと思います。1話から3話。5話、7話、12話、13話だけみれば何となく話は理解できます。ただしテーマ性、重要度とは別です。
 5話はハードルは高いと思います。これ以外だと私は8話の捻り方が好きでした。

 テーマは一言で言えば「虚構による癒しおよび他責による自己保身についての現代における社会的集団的病理」でしょうか。
 要するに「集団の中の個になったとき、本当は人間が生きて行く上では切り捨てられるものを、なぜ我々は必死に守り、そのせいで病んでゆくのか。そして、ありもしないものになぜすがるのか」と私は解釈しました。

 ネタバレは避けたほうがいいので、ここでは細かく述べません。それに本作の難解さは伏線を拾ってゆく部分で、テーマ性に関して言えばほぼ間違った捉え方をすることはないと思います。
 むしろ我々のリアルの世界と本アニメのテーマの関連をどうやってつけるのか、というほうに頭を使うかもしれません。このプロセスを経ることが本作を咀嚼するコツと私は考えました。
 そして1つ1つのエピソードの意味を咀嚼すると大きなテーマのアウトラインができて、本筋の謎を加えると答えが見える、みたいな感じです。

 シンエヴァ、攻殻機動隊、シリアルエクスペリメンツレイン、SSSSグリッドマンのような名作で扱っているテーマの要素がしっかり入っていると思います。優秀なクリエータが行き着く先は一緒だなあと今回見返してみて結構感心しました。

 OPの平沢進がバックと合わさって素晴らしいです。OPを飛ばさないアニメの筆頭かもしれません。
 

投稿 : 2021/11/04
閲覧 : 277
サンキュー:

8

ちあき さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0
物語 : 4.0 作画 : 4.0 声優 : 4.0 音楽 : 4.0 キャラ : 4.0 状態:観終わった

良い

『パプリカ』『パーフェクトブルー』など、独特なアニメ映画を手がける今敏氏の監督が初めて手掛けたTVアニメ作品。

他の今敏氏の作品を観て興味を持った方、アニメを観て色々制作者の意図を考察する方、考えを巡らすことが好きな方、観てみてください。

私は好きです。

投稿 : 2021/10/25
閲覧 : 423
サンキュー:

6

あーちゃん さんの感想・評価

★★★★☆ 3.7
物語 : 4.0 作画 : 4.0 声優 : 3.0 音楽 : 4.0 キャラ : 3.5 状態:観終わった

よくも悪くも癖が強い

パプリカや千年女優は途中で断念してしまったが、こちらは一気に見てしまいました。
結構、心理描写がえぐみがあるのでしんどい人はしんどいかもしれない。

雰囲気は暗めで、おぞましさというか得体のしれない不気味さがある。
合わない人は合わないかもしれないが、作業しながら見ていても、ついつい画面に目を奪われる。
一話一話が濃くて頭が疲れるけど、見るのをやめられない。
ついつい一気に見てしまう。

人が悩みや追い詰められたところから少年バットが生まれ、その噂が次なる被害者をうみ、連鎖していった。のかな?
まろみも少年バットも、生み出されてから、多くの人に認知され、意味付けされたりすることで、育てられたもの。その結果としてアニメになったり多くkの影響を与えるようになったまろみと、追い詰められた人に見えるようになった少年バット。
生み出されたものが人の中で育っていき、実社会に大きな影響を与えていったということなのかな。

投稿 : 2021/04/08
閲覧 : 226
サンキュー:

3

ネタバレ

蒼い星 さんの感想・評価

★★★☆☆ 2.7
物語 : 1.5 作画 : 3.5 声優 : 3.0 音楽 : 3.5 キャラ : 2.0 状態:観終わった

針小棒大。

【概要】

アニメーション制作:マッドハウス
2004年2月2日 - 5月17日に放映された全12話のTVアニメ。
監督は今敏。

【あらすじ】

ストレスだらけで人間の心が疲れ切った現代社会。
キャラクターデザイナーの鷺月子(さぎつきこ)は、
22歳にしてデザインしたマスコットキャラクターの犬のマロミが、
人々の心を癒やす超人気キャラとして社会現象を起こしたことで有名人になっていた。

だが、マロミの誕生は殆どまぐれ当たりみたいなもので、ヒットメーカーを強いられて、
次のキャラを望むクライアントに急かされた上司からかけられた期待の言葉の数々。
そして、成功者への同僚からの妬みなどの周囲からの視線や称賛は、
デザインの糸口すら見出せない月子への重圧となっていた。

その追い詰められた月子が夜道で通り魔に襲われるという事件が発生。
病院に訪れた警察の猪狩(いかり)と馬庭(まにわ)による事情聴取で、
月子は、バットを持った小学5~6年生ぐらいの子供に襲われたと証言する。
それからというもの、追い詰められた人の前に少年バットが現れて襲撃する事件が続発。
この連続通り魔事件を担当する二人の刑事、猪狩と馬庭は捜査を進めていくうちに、
被害者に共通点があることに辿り着くのだった。

【感想】

アニメーションとはエンタメであり、視聴者に感動と興奮を与える手段は、
会社方針やクリエイターによって様々でしょう。

正解はひとつではなくて、自分の感性に合わなかったからといって、
上から目線で踏みつけるだけというのも良くはないのかな?とも思ったり。
それでも、これはねえ…というのが正直なところ。

まず最初に言っておきますが、『妄想代理人』は自分には合いませんでした。

これは、今敏監督が原作者となり自分の思い通りにならない特定の人間らへの愚痴を起因とした、
『おまえらこんな人間になるなよ!』と視聴者に対しての教訓や風刺を説いた寓話アニメであります。

企画意図の詳しくは、『 妄想の一「趣味の産物」 』で検索される、
監督のホームページに書いてありますが、

「言い訳探しに躍起になっているやつをぶん殴って笑おう」
「一所懸命働くのはイヤだが、立場と評価は欲しい」

アニメのお仕事で溜め込んだ人間関係の鬱憤解消なのか?
「なっちょらん連中」にお前らこのアニメを見て改心せえよ!
なメッセージを送りたいのか?

第11話の「進入禁止」にて登場人物・猪狩美佐江の口を借りた、
監督からのメッセージの長広舌をさせたいがための長い長い前置きが本作のストーリー。

連続して傷害事件を起こす少年バットがいる。
ので犯人逮捕を目的に事件を追う刑事モノかと言えば実はそうではなくて、
監督お得意(ワンパターンとも言う)の夢と現実が混ざり合った世界を通して、
現実から目を背けて逃げた人間は夢の世界に轢き潰されることを表現した、
監督であり原作者でもある今敏氏の視聴者に対してのメッセージを目的とした寓話ですね。

ある意味ゴーマニズム宣言にも似た「吾輩」の主張で、言わば「責任論」。
登場人物は主張をわかりやすく伝えるための人形。

視聴者や読者を気持ちよくしてキャラが愛されるフィクション作品とは、
ヒーロー物でも恋愛物でも、言葉や行動にキャラの信念を感じて好意を抱く。
人を愛する素晴らしさ、肉親の血の絆、友人関係の尊さ、
そのキャラの心に触れて瞳の輝きに居心地の良さを感じるもの。

一方でこちらは画面の中の映像と視聴者である自分の間に、くっきりと境目が見える。
視聴する人間をあくまで「世界を俯瞰して眺める傍観者」に徹しさせた群像劇。

この物語の世界は不格好で死んだ魚のような目をした登場人物らで作られています。

序盤数話はオムニバス形式でその話の主人公が状況に圧迫されて、
ストレスで押し潰されて「助けてくれ!」と限界が訪れたとき、
水戸黄門の後半のチャンバラシーン的なお約束感覚で少年バットが現れる。

自分自身に負けた負け犬を作って、負け犬をぶん殴る!これがこのアニメの正体なんですね。

キャラの扱いは監督による魚の活造り実演ショーのよう。

妬まれる月子には友達がひとりもいなく他人の好意は打算の偽り。同僚の女どもは全員陰湿。
人気者の少年は冤罪で一瞬で嫌われ者になり、
ちやほやしてた連中は手のひらを返して誰一人として無実を信じてくれない。
秘密を隠したまま平穏な結婚を望んだ女性はその罪で焼かれるように心が壊れていき、
彼女との結婚を望んだ善良な男性もまた、ある問題に直面して壊れていく。
二次元オタクを気持ち悪い風貌で現実に帰ってこれない精神病患者のように描き、
慕っていた父親に裏切られた娘もまた、絶望で自殺を考えて遂には脳が現実を拒絶する。

『PERFECT BLUE』でも見られた傾向ですが、抑圧一辺倒の状況で安らぎからは程遠く、
心の底から信じられる人間がひとりもいなく、信じれば最悪の形で裏切られる。
他人からの好意もまた歪んだおぞましいものとして度々扱われることから、
自立した人間が好ましく他人への依存は甘えであるという前提が、
作り手の根底にあるのでしょうね。

アニメの中の歪んだ現実と対になるように、
フィクションの世界の美しいものを薄っぺらい夢まぼろしとして扱い、
現実に向き合わずに、そこに逃げたり溺れたりするものを許さない。

唯一の人情物作品である『東京ゴッドファーザーズ』が異質な存在なのですが、
あそこまで嘘くさい夢物語成分を織り交ぜないと優しさを描けないのかもしれません。

この監督作品共通のオタク嫌い表現であれ、自身の自意識と美意識にそぐわないものを、
弱いものや醜いものとして叩く。他罰的な思考が根底にあるからこその表現だと思いますね。

「逃げるなー!」「逃げた結果こうなった」

被害者の行動と少年バットの関係が物語の伏線として意味があることを理解するにしても、
単純にお話としても面白くもない。

序盤は、不安と緊張で視聴者の心を宙吊りにする露悪なサスペンスショーとしては評価できるものの、
作品世界の神である監督様の架空の女子供キャラに対してのサディズムな面が強くて、
エンタメとしてどうなんでしょう?

暴力と緊張を娯楽としたサイコホラー映画の、
『テキサスチェーンソービギニング』がアメリカにありますが、
あのイカれた殺人鬼にひとりひとりが踏みにじられて残酷な死を迎える創作物を嗜んでおけば、
このアニメでやっていることなんて全然甘いだろうとも思えるのでしょうけどね。

他方で少年バットに殴打されるおじさん男性キャラときましたら、
露骨にゲスさが丸出しであったり、実際に犯行をする様子がイキイキと描かれていて、
わかりやすい罪をみせつけていて、追い詰められていくのも自業自得。
クズだらけながらもコミカルにその様子が描かれて悲壮感が薄く、
女子供キャラとの扱いの差に甘やかしが見られるなど、温度差が気になりましたかな。

クリエイターにはAにはAの、BにはBのやり方と個性があって、
自分の好む演出や作劇と異なるからと作品を全否定するのは野暮であると思いつつも、

「言い訳探しに躍起になっているやつをぶん殴って笑おう」

↑これとキャライジメになんの関係がある?という疑問が個人的には勝ってしまいました。

「これが人間のリアルだ!素晴らしい!!」と絶賛する人がいましたら、
展開に納得できるだけの実体験とシンパシーが本人にあるのでしょうが、自分には無理でしたね。

リアル = 現実でもよくある事
リアリティ = 非現実な場面でも皆理にかなっている行動をしていること
リアリティが無い = リアルじゃないではない…

ギスギス成分が強めの作品世界であれば、登場人物を阻む強力な理不尽や障害があれば抗う話。
アニメであれ、そっちが主流でユーザーもそっちが気持ちよく見られるでしょう。
序盤数話の絶望を与えられて作者に踏みつけられるだけの理不尽な話が描きたいから、
ホラーの体裁を借りて現実的な対話や解決を描くことから逃げた、少年バットはまさに作者の分身。

やさしい世界の作品であれギスギスしてる作品であれ、
キャラ同士がそれぞれの考えを持って交流し合う作品は、
ちゃんと道筋やキャラに共感、納得、理解できるように考えられてるのが分かる一方で、

『妄想代理人』は作者の現実での不満解決の代わりとして、
アニメの中にサンドバッグキャラを作ってぶっ叩いて苛虐している悪趣味に過ぎない。
砂を噛むような人間関係の描き方のそれは、果たして実のある物語であると言えるのでしょうか?

最終回で水洗トイレのように黒いものに流されてゆく人々(負け犬)を見るに、
ああ!この人にとって自分が生み出したキャラは自分の心を吐露する道具であると、
ただただ今敏監督渾身のシャドーボクシングを眺めているに過ぎないというのが正直なところですね。

ヒーローは安っぽく描かれ、可愛さは禍々しく描かれ、
ゲームやアニメなどのフィクションは所詮はニセモノ。
ニセモノに溺れるのは愚民。弱きものは負け犬。

そして戦うのはラノベや漫画にありがちな少年少女ではなくて昔ながらのおじさん。
21世紀の今どきの人間を空虚に扱いながら、
昭和のような昔気質の人間・猪狩夫婦を崇高なものとして、

「おじさん!頑張れ!」「おじさん!ニセモノをぶっ壊せ!!」

ああ!うん?これは、おじさん刑事の猪狩慶一48歳を実質的な主役にして自分の思いを託して、
時代に反感を持ち人間関係にストレスを抱えていた監督が発散するためのアニメなんですね?

そして、名目上の主人公である鷺月子の心の問題に話を繋げて話を締めます。

嫌なもの辛いもの理不尽なもの。生きてれば向き合わなければならないときは度々訪れるでしょう。
だからといってフィクションを楽しむ行為を現実逃避と忌避するのもどうでしょうね?
創作活動を行うものとファンに対して余計なお世話でしょう。

作品によって客層も変わるのでしょうが、自分が観たアニメ映画の観客には、
身なりのしっかりした白髪交じりのサラリーマンもいれば、普通のおしゃれなOLたちもいました。
アニメイトでは、アイシャドウやカーラーやつけまつげなどコスメの商品を普通に売っている時代。

現実に仕事を持って趣味でフィクションを楽しんで活力を貰っている人間は、
『妄想代理人』らに出てきた架空のキモオタら歪なものとは関わりのない世界の住人であります。

人間には、ひとりひとりの人格があって、自分だけの人生に根を張って生きている。
その人生のなかにフィクションでの楽しみを得た人々に当てつけるかのように、
「まがい物への逃避!」(ババーン!!)とアニメを媒体に壁打ちテニスをやられても、
「何言ってるの?」でしかないですね。

このアニメが放送された2004年との時代の差を考えても、
人間ってこんな愚かなんですよ。啓蒙が必要ですよ!とやられても、
それは江川達也の漫画作品みたいに、
十把一絡げに記号化と矮小化をされた架空の愚民でしか無いですね。

『妄想代理人』でやっていることは『クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶ モーレツ!オトナ帝国の逆襲』
のアレンジであるのですが、何故あちらの野原ひろしに共感が出来て、こちらは面白くないのか?
製作者の目線の違いが大きいのではないでしょうか?

ブラック・コメディやホラーとして楽しむにはそれなりに意義があるのかもですが、
やはり自分としてはイマイチでしたね。ましてや、「これが人間の真実だ!」と言うには、
デリカシー皆無の大上段の構えで作られた物語はちょっと違うかと…。

クリエイターとしての長所と短所は人それぞれですが、
映像で勢いを見せつけたり、サスペンスな演出は得意なのですが、
繊細に人間を描くという一点では、あまり向いてないということを再確認できる作品でしたね。

最後に、

第8話「明るい家族計画」(ホラーコメディ話)… 終始和やかなのは現実の柵からの解放を意味する?
第9話「ETC」(オムニバス形式のコメディ回)… 単純にギャグが寒くてつまらない。
第10話「マロミまどろみ」(アニメ業界の闇を描く?)… 猿田のモデルの人物がいるんだろうなあ。

↑陰気なだけの話にならないようにコメディのインターミッションが3話連続で入ったりしましたが、
 尺稼ぎ以上の意味をあまり感じられなかったり。

要点だけをまとめれば1時間程度で終わる話を無理やり13回に引き伸ばした内容でもあり、
やはり、TVシリーズには不慣れで劇場アニメの監督なんだなと思いました。


これにて感想を終わります。
読んで下さいまして、ありがとうございました。

投稿 : 2021/03/30
閲覧 : 435
サンキュー:

33

クマリャフ さんの感想・評価

★★★★☆ 3.7
物語 : 3.5 作画 : 2.0 声優 : 4.0 音楽 : 5.0 キャラ : 4.0 状態:観終わった

癒やしを求めて

現代社会の闇を描きつつ、SFチックな面もあり、
ミステリアスな進め方でなおかつキャラクターの個人生活のいやらしさをピックアップしていくという、説明するのは難しい作品です。



( ゚д゚)ハッ!
タービンが( ゚д゚)
まわる!( ゚д゚)!!!!

投稿 : 2020/12/13
閲覧 : 185
サンキュー:

1

ネタバレ

コロコロすけ さんの感想・評価

★★★☆☆ 2.5
物語 : 2.5 作画 : 2.5 声優 : 2.5 音楽 : 2.5 キャラ : 2.5 状態:観終わった

少年バット

1話からずーっと13話まできみ悪いが、なんだか話数を重ねるたびに引き込まれる作品でした。
少年バットを作り出さないように気をつけて生活したいと思います笑

投稿 : 2020/10/05
閲覧 : 212
サンキュー:

2

ネタバレ

gkm さんの感想・評価

★★★★☆ 3.8
物語 : 4.0 作画 : 3.5 声優 : 3.0 音楽 : 5.0 キャラ : 3.5 状態:観終わった

重圧から逃れるためにすべきことは少年バットを生み出すことではない。

トラウマが原因で妄想が現実化し、最終的に東京が壊滅状態になる。

…ん?どこかで見覚えが。

ギガロマニアックスがリアルブートし、最終的に渋谷が壊滅状態になる。

…話を戻すと、精神学者のアドラーが言うに、精神患者は、病気により精神を病んだわけではなく、言い訳のために病気を作り出しているようである。
つまり「私赤面症だから人と関わりたくないのよね」という人は実際は、人と関わりたくないから赤面症になるのである。赤面症が治ってもまた新たな問題を生み出して、人と関わりを持とうとしないのである。

本作の主人公は「少年バットに殴られたから新しい作品をかけない」のではなく、「新しい作品をかきたくないから少年バットに殴られた」のである。

少年バットという言い訳をしても新しい作品は生まれないのである。

では主人公はどうすればよかったのか。そこで持ち出されるのが「嫌われる勇気」である。主人公は周囲のやっかみや期待に答えられずに萎縮しているが、あれはどう考えてもおかしい。主人公は堂々としていればよかったのだ。堂々とかけないことを宣言しておけば、何かしら状況を変えることが出来たのではないか。(それが好転するかどうかはなんとも言えないが、少なくともかけない重圧から逃れることはできるか)

…まあ、「嫌われる勇気」は精神病むようなら周りから嫌われたほうがましってだけで、そもそも精神を病んでいないような人が嫌われる勇気を実践すると、SHIROBAKOの高梨の原型である第10話の「猿田」みたいになっちゃうから程々にね。

(もう一度アドラー読み直すかぁ。)

投稿 : 2020/09/23
閲覧 : 195
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1

ネタバレ

ささはら さんの感想・評価

★★★★☆ 3.5
物語 : 3.5 作画 : 3.5 声優 : 3.5 音楽 : 3.5 キャラ : 3.5 状態:観終わった

悪夢のような気味悪さが漂う

鬱系のわけわからんアニメです。でもこういうの、怖いもの見たさで見ちゃいますよね。笑
OPからぶっ飛んだ音楽と映像で引き付けられます。
悪夢のような気持ち悪さがただよってるのがこの手の作品の魅力だとして、あえて明らかに空回りしているギャグ回が挟まれてましたが、正直それが長すぎて呆然と見ていました。笑
この監督は精神病系が好きなんですね、、

前半は暗いミステリー調で現実的な話なんですが、
中盤〜後半にかけて妄想なのか現実なのかどちらか分からないあり得ないカオスな話が続いて頭の中が
????になります。
前半のように現実味のある話であれば、
「少年バットは誰なのか?」というテーマで見れるのですが、後半から少年バットの被害者が多すぎて事件の緊張感がまるでないこと、妄想なのか現実なのか分からないことから「少年バットは誰なのか」がどうでも良くなってしまいます。

見終わりました!
刑事の「現実に居場所がない、それこそが本当の自分の居場所なんだ!」と叫んで現実に戻るシーンはなんだか刺さりました。
街も元通りになって良かった…けど、
馬庭さんが老師になっちゃってるのはなんで!?
マロミは世の中から消えて、猫のキャラが新作なのか?とか謎は残りました。

投稿 : 2020/09/11
閲覧 : 207
サンキュー:

2

カミタマン さんの感想・評価

★★★☆☆ 2.5
物語 : 2.5 作画 : 2.5 声優 : 2.5 音楽 : 2.5 キャラ : 2.5 状態:観終わった

一見さんお断り的な?

今敏監督作品

「パプリカ」はかなり好きなので,今監督唯一のテレビシリーズと言うことで見てみました。

冒頭
OP開始約3秒後明らかに聞き覚えのあると言うか,なじみ深い声が聞こえてきました!平沢進ではありませんか!そういえば「パプリカ」も平沢だったっけ!もっと早く見ておくんだった不覚!!なんて思いながらOPを見ていると,なんかこのOP異常に怖い・・・全く動きと生気を感じさせずにというか「死」しか感じさせない満面の笑みを浮かべたキャラクターたち。こんな怖い笑顔見たこと無いです。

ストーリーは形容しがたい不安な感覚を抱かせながらも,1話毎に一人のキャラクターを中心に据え,それに合わせたバラエティーに富んだ演出で進んでいきます。特に5話はサブタイトル「聖戦士」国産ファンタジーアニメの元祖を彷彿させますw内容もがっつりファンタジーです。10話は,まんま「SHIROBAKO」というかこっちの方が10年ほど早いですね^^;

残念な点としては,

もちろん意図してやっていることなのですが,各キャラクターの醜さがクローズアップされて描かれていることです。特に,視覚的醜さを強調されたキャラクターを見せられることは,カワイイやカッコイイキャラクターを見慣れている自分にとってはかなり苦痛でそれだけで断念しそうになりました。

そんな苦痛を乗り越え頑張って見終えましたが,自分は一度見ただけではさっぱり理解できませんでしたf^^;正直に白状すると,タイトルの「妄想代理人」の意味すら理解できていません。繰り返し見る気力と時間がある人には読み解く楽しさがあるような気配は感じられるのですが,あくまで推測です・・・

投稿 : 2020/08/02
閲覧 : 330
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10

ナッシュ さんの感想・評価

★★☆☆☆ 1.5
物語 : 1.5 作画 : 1.5 声優 : 1.5 音楽 : 1.5 キャラ : 1.5 状態:観終わった

面白さでもなく、楽しさでもなく、凄さを求めた作品

この監督の作品は全て完走済みです。
この監督の作品は東京ゴッドファザーズ、パーフェクトブルーは好き、それ以外は好きじゃないです。
これもパプリカ同様ストーリーを全て切り捨てて、演出で攻めた作品です。
私はストーリー重視が好きなのでこういう面白さではなく、楽しさでもない、すごさを求めた作品は苦手。
なのでその演出がハマらない人は評価がめっちゃ下がると思う。けど好きな人は多分めっちゃ好きなはず。

投稿 : 2020/07/18
閲覧 : 243
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2

さんの感想・評価

★★★★★ 4.3
物語 : 4.0 作画 : 5.0 声優 : 4.0 音楽 : 4.5 キャラ : 4.0 状態:観終わった

良くも悪くも映画監督だなぁと

人間のエゴイズムを描くことに執着したアニメ。
登場人物の多くは現実から目を背けている人々であり、自己を正当化する為の手段が作中で登場する謎の少年、少年バットである。
群像劇のような一面も匂わせつつ、表現の技法をばらまいた演出が面白い。
この手のアニメはいくつか見たことがある。
ぱっと思い出せるのは笑ゥせぇるすまん。ただ、それに比べるとシリーズを通したシナリオが纏まっていた。一見なんのこっちゃと思う展開も少し考えてみると、過去の描写や、暗喩されていることを見つけられて、意味がつかめてくるのが、やっぱり今監督の総合演出としての力量の高さと原作の強さなんだろうな。
作画、映像面は今敏監督をはじめとする豪華スタッフの手腕が炸裂しているのでマジで良い。
ヒラサワの同じ曲をこんな回数聞くことなかったけど、聞くたびに印象変わる。

正統派のアニメなのになんでこうもアートに感じられるんだろうな?

投稿 : 2020/07/15
閲覧 : 233
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5

ふぁんた さんの感想・評価

★★★★★ 4.9
物語 : 5.0 作画 : 5.0 声優 : 5.0 音楽 : 4.5 キャラ : 5.0 状態:観終わった

膨張し拡散するパラノイア

日本最高峰のアニメ監督の一人である今敏監督のTVシリーズ。


今監督がテーマにしている精神のゆらぎと脆さ、
現実と妄想の境界を行き来する描写。


都市伝説の伝搬ー、、
例えば昔流行ったこっくりさんのように。

こっくりさんは明治初期、伊豆の港町でアメリカ人がテーブル・ターニングをしていたものを
船員たちが各地に伝播していったものです。
伝播過程で途中で止めると狐に憑かれるなどの尾ヒレがついたり、
五十音を書いた紙に硬貨など様式が確定されていきました。

完全に起源がはっきりした都市伝説にもかかわらず、
(明治時代の妖怪博士、井上円了によって謎が解明されている)
途中でやめたがために発狂し、あたかも狐に憑かれてしまい精神を病んだ人々や
こっくりさんの答えに縛られ、それに即した行動をとってしまう人々など
(実際に離婚してしまった人もいる)

うわさや妄想が現実の人々に影響を与え、
あたかも本当にそれがあるかのように、盲目的に信じ言動が左右される人々、、、



見事に人々の精神の危うさをアニメーションに落とし込んだ稀有な傑作です。



少年バットという都市伝説が伝搬し、膨張し、
あるものは被害を受け、あるものは偽りの少年バットとなり人を襲い、
そして精神に異常をきたし、、


ある種の集団ヒステリーのような状況に陥っていきます。

これに伝道者が加われば新たな宗教となるのでしょう。



そして目を見張るほど挑戦的な脚本と演出。
全体として刑事の猪狩と馬庭が少年バットの真実を追うのだが、
各話オムニバスにそれぞれ少年バットという、うわさに翻弄された人々が描かれていく。


特筆すべきなのは、各話ごとにかなり内容がぶっ飛んでいます。
ゲームの世界に入ってしまったり、古き良き紙芝居の昭和になったり。

しかも登場するキャラがみななかなか一筋縄ではいかない感性で、
でも、どこか色々な漫画、アニメ、ドラマのオマージュのような言動をしていたりする。



個人的に好きだった演出は猪狩の奥さんと馬庭の問答のシーン、、

寺山修司の「田園に死す」のクライマックスです。
この作品も虚構がおり混じった何とも形容し難い素晴らしい作品です。



最高のop
今監督が愛した天才平沢進の楽曲に合わせて、
各キャラたちが笑い続けるop

平沢氏のシャーマンのような歌声と合わさって
シュールで背筋が凍るような不気味さがあります。

アニメのopとしても最高峰のものだと思います。


今監督の早逝には涙しました。
日本アニメ界だけでなく世界的な大損失だったと思います。

独特の切り口で、全ての作品が素晴らしい今監督の作品を一人でも多くの人に楽しんでもらえたらと思います。

投稿 : 2020/07/06
閲覧 : 226
サンキュー:

4

ウィラード さんの感想・評価

★★★★☆ 3.5
物語 : 3.5 作画 : 4.0 声優 : 3.0 音楽 : 3.5 キャラ : 3.5 状態:観終わった

酒飲みながら見るアニメ

自分が酒を飲みながら見てたアニメ
まあまあ面白かった
けど、これよりパプリカの方が遥かに面白い

妄想代理人はストーリー求めてる人には向いてないと思った

投稿 : 2019/12/25
閲覧 : 322
サンキュー:

3

syouwanoko さんの感想・評価

★★★☆☆ 3.0
物語 : 1.0 作画 : 3.0 声優 : 3.0 音楽 : 5.0 キャラ : 3.0 状態:観終わった

時間を損した

こらこら、思いつきだけで12話もひっぱってはいけませんよ。思わせぶりにひっぱるだけ引っ張っといて、肝心のオチはどこ行ったんだ、オチは?ん?打ち切りみたいなあのラストは何?

これを名作だと浮かれてるファンは「俺ってこんな難解な物語を愛好してる。あたしってすごい!他の馬鹿とはちがうの!」などと自分に酔ってる中二病患者ばかりだと思います。あほらし。6時間も見て損したわ。

どうして俺の作品は人気が無いのだろうか?と作者がこぼしていたそうだが、見たら納得、なるほどの出来。作画と音楽はすばらしいが、脚本がねえ……世に出すまえにもう少し練りましょうね。故人だけど。

投稿 : 2019/12/07
閲覧 : 252
サンキュー:

7

けいP さんの感想・評価

★★★★★ 4.2
物語 : 4.0 作画 : 4.0 声優 : 4.0 音楽 : 5.0 キャラ : 4.0 状態:観終わった

少年バットの正体

相変わらず今監督の作品は難解ダナー

終盤の夢か妄想か現実か
区別がつかないとこは
同監督のパプリカを
彷彿とさせる。

マロミは人々の心の拠り所、現実逃避で
少年バットはそれを破壊する気持ち、
なんだろうか?

投稿 : 2019/09/04
閲覧 : 379
サンキュー:

11

三毛猫メリー さんの感想・評価

★★★★☆ 3.6
物語 : 4.0 作画 : 3.0 声優 : 3.5 音楽 : 4.0 キャラ : 3.5 状態:観終わった

妄想代理人

2019.9.4 視聴完了。

内容はまあまあ面白かった。
このアニメは短編ではないんだけど
「笑ゥせぇるすまん」のような雰囲気で
ブラックなネタも入っています。

アニメ制作の自虐っぽい話は「SHIROBAKO」を
見ているようでした。

投稿 : 2019/09/04
閲覧 : 323
サンキュー:

11

ネタバレ

lll1 さんの感想・評価

★★★★★ 4.4
物語 : 5.0 作画 : 4.0 声優 : 4.5 音楽 : 4.0 キャラ : 4.5 状態:観終わった

鷺猪馬蛙鯛牛蝶蛭狐…

 これでようやく今敏監督作品を全て見る事が出来た。

 ダーレン・アロノフスキー、クリストファー・ノーランなどなど、今敏の影響を受けた映画監督は多くいることでしょう。
 実に誇らしいことであり、今敏の偉大さを批評家や業界人のみならず、我々一般人も後世に伝え続けることをしなければならない。
 死後何年も経ちますが、いまだに悔しい気持ちでいっぱいです。もっとたくさんの作品を作ってほしかった。


 では本編の方を。率直に言って傑作でした。ただ、全体として見るか、1話1話を見るかで、ちょっと評価が変わる。
 1話1話全て面白いんですよ、でも全体として見ると、やや霞むんですよね。これが正直なところです。これが正直なところなんだけど、そんな霞むところは無視してこれからこの作品を褒めちぎるレビューを書きます。
 嘘はつきたくないというだけです。


 まず〈第1話〉。
 "間(ま)"が完璧だったんですよね。鷺月子が、パソコンに向かって仕事をしているときに鳩村が話しかけるシーンがある。ここの話しかけるまでの"間"が完璧で、私はこのシーンで『妄想代理人』に掴まれた。テレビの安っぽい演出ではなく、まさしく映画の演出だった。

 「神は細部に宿る」という言葉がありますけど、その言葉通り細部へのこだわりが実に素晴らしい。

 音楽はあまり流れないけど、自然音や生活音を「これでもか!」と言わんばかりに充実させている。音が物凄く豊かなんです。一気に作品のリアリティも増すし、ランクも上がります。
 
 そして音にこだわりがあるからこそ、音楽の使用に関しても注目することが出来る。鷺月子の心情が揺れ動くときにしか音楽が使われていないんです。音楽を使用するときに意味を持たせることによって、より視聴者は深いところまで入り込むことが出来る。
 ただ流しているだけとでは訳が違う。

 続いて作画。もう「映画かよ」って思いました。調べたら実際映画だったんですけど。一部の原画を『東京ゴッドファーザーズ』から拝借したそうです。だからあんなにも横断歩道を渡る歩行者が豊かに活きている訳だ。
 絵コンテも完璧でしたしね。

 映像によって与える、視聴者の心境の変化。美しい映像を素直に美しいと思ったり、怖い映像を怖いと思ったり、不快なものを不快に感じたり。そういった部分がしっかりと効果的に描けていたことに感動した。
 最近ないから、ストーリーではあっても映像ではなかなかないから。

 キャラクターも良かった。少ない描写で、キャラクターの個性や性格を見事に表現している。鷺月子も猪狩も馬庭も川津も。
 心の声の使用は控えてるし、脚本、ストーリー共にあっぱれ。もちろん、キャスティングと演技指導も。

 
 ここまで完成度の高い"第1話"を初めて見たし、全てが完璧だったと思います。
 と、ここまでが第1話の感想です。長くなります。
 以下はカスタムタグを用いていますが、特にネタバレはしてませんのでご安心を。ぐちゃぐちゃっとなってしまうので、すっきりさせたかっただけです。


 〈第2話~第4話〉{netabare}
 全話好き。作品全体としてデヴィッド・フィンチャーの『ファイト・クラブ』の影響を受けている印象を感じるけど {netabare}、第3話は特にそれが顕著でした。{/netabare}
 是非『ファイト・クラブ』を見てください。順番はどちらが先でも良いので、見てください。ちなみに今敏監督作は必ず見るように。
 4話のあのシーンはカメラワークがイカしてて最高。
{/netabare}

 〈第5話〉〈第10話〉{netabare}
 〈第5話〉はそんなに好きじゃない。脚本も水上清資が書いておらず、吉野智美が担当されてます。 あと特徴的なのは〈第10話〉ですが、この回も吉野智美です。後は全話水上清資が書いてます。
 ついでなので、ここで〈第10話〉について書きますが、マロミに解説させるという、「それはどうなの?」と言いたくなる演出をしてますが、そこは置いておき、結構このエピソードは好きです。
 少年バットを、アニメ制作現場という混沌の中に、かなり喜劇的に取り入れていた。


 そしてもう一つ言いたいのが、『SHIROBAKO』です。
 ずっと前から思ってたことですけど、『SHIROBAKO』は褒めるべき作品じゃなかった。
 「なんて非効率で、過負荷な労働でアニメを作ってるんだ、馬鹿じゃないか!」という意見の方が目立つべきだった。悪く言えば叩かれるべきだった。業界全体のためにも。

 友人にアニメーターの方がいるので、制作現場の話を聞きますが、本当に悲惨なものです。第10話の主人公の猿田と『SHIROBAKO』の宮森は制作進行という同じ仕事ですけど、この人たちは本当に休みがないです。
 原画を取りに行くということが私にはムダにしか思えない。問題は多くあります。会社がアニメーターの生活を保障せず、フリーで活動されることが多い事であったりと。
 『SHIROBAKO』はそれをカーチェイスで見せてましたからね、もう、ほんとに、、、。
 分業が出来たらいいなと思います。人が足りないけど。
 
 TRIGGERの桝本和也著の『アニメを仕事に!』という制作進行について書かれた本があるので、是非読んでみてください。1時間~2時間ぐらいで読めます。「おかしくね?」って思うことを当然のように書いてます。
 この本の頭に「キツイ!しんどい!でもムチャクチャおもしろい!!」と書いてありますが、このキツイ、しんどいを無くして、余裕を持たせることも大切だろと思います。
 TRIGGERは制作現場の様子をYOUTUBEなどで上げてますので、そちらも。


 話しが逸れましたけど、このエピソードが好きなのは全然、現実視点の方ではないので、前に書いた少年バットと制作現場の混沌と喜劇の方ですので。{/netabare}

 〈第6話〉~〈第9話〉。{netabare}
 〈第7話〉はあまり印象にないです。ただ一番何回も見て、咀嚼するエピソードだとも思います。たぶん1,2を争うレベルで作品全体として重要かなと。だけど、特には書きません。

 この第6、8、9話ですけど、第1話~第4話のような形に返ったかのような話で、好きです。
 正直言うと、こういった面白くも奇妙でクセのある話しを、1話完結でずっとやって行った方が私としては楽しめたと思う。
 "結末"や"答え"よりも、"過程"を楽しむタイプなので。{/netabare}

 〈第11話〉~〈第13話〉は特に触れません。


 あと平沢進の音楽は最高です。

 
 最終評価は 8 / 10点です。


 観終わったすぐは7点にしようかと思ってました。最初に書いた"霞む"と言った部分が原因です。
 でも思い返してみると、「めちゃくちゃ面白かったな」という思いが、どんどん強くなっていった。
 視聴中の1週間~2週間ぐらい、ずっと頭の中が『妄想代理人』で埋め尽くされてました。『妄想代理人』の事以外を考えられないぐらいにいっぱいでした。なかなかアニメでは味わえない体験です。

 「神は細部に宿る」ですけど、ジョージ・R・R・マーティンは「細部多ければ、悪魔もまた多し」と言っています。面白い。
 
 最近とても良いアニメを観れているので近い内にオールタイムベストを作るかも。

投稿 : 2019/08/11
閲覧 : 540
サンキュー:

7

ネタバレ

snow さんの感想・評価

★★★☆☆ 3.0
物語 : 3.0 作画 : 3.0 声優 : 3.0 音楽 : 3.0 キャラ : 3.0 状態:観終わった

今敏唯一のTVシリーズ<81>

2002年の千年女優から東京ゴッドファーザーズ、そして本作と連続で制作。
「作品作ってないと失業状態」を避けるためと本人は語ってるが、千年女優・東京ゴッドファーザーズが予算が低規模なのに見劣りしないのは優秀なスタッフを離さなかったからという話もあり。

15年前の作品ながらキャラクターデザインに古さを感じない。
明るいシーンでも画面が暗めなのが古さかな?
2003年の東京ゴッドファーザーズも同様で、暗さを感じないパプリカは2006年。
単に作風で色彩設計が異なるだけかもだけど。

都市伝説的な怪異である少年バットを中心としたオムニバス形式のシリーズで、構成がおもしろい。
3話までは各話ごとの主役的キャラの人生の行き詰まりに少年バットが現れる導入部分。
それぞれの人生は面白いがずっとこの構図かと思ってると4話では少年バットが逮捕されるという急展開をぶち込んでストーリーの縦軸をグッと進ませる。
そのまま7話まで各話の主役をだしつつも縦軸を進めて少年バットの容疑者が少年バットに殺害される混沌の極みへ。
8話からは縦軸を手放して独立したエピソードでより広い範囲に都市伝説を広げていく。
とくに8話は東京ゴッドファーザーズのような疑似家族ものでオチも少年バットじゃない怪異に着地しててお見事。11-13で物語の〆。日常の崩壊した刑事コンビ(パプリカにも出てなかったっけ?なオヤジとトグサ君っぽい若造)とやっぱ主人公だったか鷺月子が物語を着地させる。
ただ、この締め方があっさりしすぎてたかも。怪異ものらしく余韻は残してるが、原因がわかって解消というのは怪異は災害のメタファーと考えればたやすく凌がれた余韻になっちゃうかも。
あと、蛭川。警官として名声を得たのでヤクザはあきらめた、記憶を喪失したので同じく茫然自失の父親と寄り添っていくというところで終わりだったけか。親子の関係はそこで終わりではなく、もういくつか展開がほしかった。
魅力的なキャラが多いのでそんなこと言ってるとキリがないかもだけど。

10年早くSHIROBAKOをやった10話もそりゃ面白いですわよ、オホホ

投稿 : 2019/05/11
閲覧 : 277
サンキュー:

3

えりりん908 さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0
物語 : 4.0 作画 : 4.0 声優 : 4.0 音楽 : 4.0 キャラ : 4.0 状態:観終わった

笑顔の恐ろしさに憑きまとわれ、さいなまれます!

今敏監督の、「PERFECT BLUE」の鬱感覚に満ちた恐怖と、「パプリカ」の躁感覚に満ちた不安を結ぶ、重要な作品だと思います。
しかも劇場映画は4作品を遺してくれた今監督ですけど、TVアニメを監督されたのは、唯一この作品だけなんです。
この作品のメッセージ、視聴者はしっかりと受け取らなくてはなりません。

作品は、双極性障害の、一方の端から反対の端までを、ひとつの作品でつなごうとしてくるので、まったく気を抜けません。
テレビ放送された作品ですから、一見すると看過しそうなぐらいにオブラートに包まれてはいますが、
その中に心身を浸してしまうと、鮮やかでグロテスクな景色が見えてきます。
現実社会の理不尽も描かれます。
解離性障害に悩む人が出て来ます。
統合失調症らしき症状をもちながら、それに無自覚な人も出て来ます。
抑うつ症状が進行してしまって、完全に現実逃避してしまった人も出て来ます。
この世のものならざるものも、気をつけないと判らないぐらいにさりげなく出て来ます。
痴呆老人が、何故か「気」を孕んだキーパーソンとなって存在しています。
刑事も出て来ますが、この「気」に圧倒され、社会から逸脱していきます。


すべてを同じ目線の高さで体験しなければなりません。

そして、彼ら彼女らの絶望や希望をいっしょに体感することで、
オープニングの、登場人物が次々に出て来ては満面の笑顔で笑う画像が、
どんどんどんどん、怖くて気持ち悪いものに変貌していきます。
  
障害に苦しむ人は、その人自身は自らと向き合うことで、この狂気の底なし沼から解放されますが、
世の中がそれで良くなったりする訳ではない、という強烈なメッセージが、
最後には謎の計算式の見事な継承によって、
こんな事態は恐怖に圧迫され、現実に打ちのめされる人がいる以上、
何度でも何度でも何度でも、繰り返されることだと暗示されて、
作品は終わっても、あなたの人生はハッピーエンドじゃないでしょう?と密やかに伝えてきます。


オープニングの、満面の笑顔の恐怖を受けて、
その対比のように、
安らかに眠るすべての登場人物たち。
みんな、ただ眠っているだけなの?
それとも・・・

投稿 : 2019/04/12
閲覧 : 375
サンキュー:

23

ネタバレ

dbman さんの感想・評価

★★★☆☆ 3.0
物語 : 3.0 作画 : 3.0 声優 : 4.0 音楽 : 3.0 キャラ : 2.0 状態:観終わった

現実があらわれた 戦う?逃げる?

オリジナルアニメ/サスペンス/全13話/アニメーション制作:マッドハウス

物語としてはサスペンス要素があるものの、エピソードごとに訴えかけてくるものを捉えるかどうか、また視聴者の年齢や環境、見るときのテンションなどによって、捉え方が大きく変わってくると思われる作品。

かく言う私は、物語に面白さをあまり感じることがなかったにも関わらず妙に惹きこまれる要素があり最後まで見てしまったクチで、視聴終了後に解説サイトや他レビューを見るなどして「ああ、そういうことだったのか」と後から照らし合わせていろいろ納得。

面白かったエピソードとしては第8話の「明るい家族計画」で、どうみても {netabare}自殺志願者 {/netabare}には思えない突っ込みどころ満載だったけけれど、笑いどころも多く楽しませてもらいました。

ちなみに登場キャラクターの幾人かは、リアルすぎるというべきかその人間性が生理的に受け付けない人物が存在し、見ていて結構苦痛だったりも。(単純にビジュアルからして無理ってこともあったけれどw)

また、単純にオープニングが不気味すぎて第二話以降はまともに見ることが出来ず毎回飛ばしてしまった。あんな気持ち悪さに溢れたものは他に知らないレベルw あのOPにも意味はあるようだけれども。現在の自身の状況においては存分に楽しめる環境下ではなかったようなので、いつかまた再視聴しようとも思っています。


▼キャスト
鷲月子:能登麻美子
マロミ:桃井はるこ
猪狩慶一:飯塚昭三
馬庭光弘:関俊彦
川津明雄:内海賢二
牛山尚吾:津村まこと
鯛良優一:山口眞弓
蝶野晴美:三石琴乃
狐塚誠:阪口大助
老人:槐柳二
老婆:京田尚子

投稿 : 2019/03/17
閲覧 : 374
サンキュー:

20

じん さんの感想・評価

★★★★★ 4.5
物語 : 4.5 作画 : 4.5 声優 : 4.5 音楽 : 4.5 キャラ : 4.5 状態:観終わった

終わりのないメタファーに過激な映像体験を少し添えて。

この作品はアニメ映画監督で有名な故今敏のテレビアニメである。
地上波ではないこともあり、ある程度アニメの色々には自由が効きそうである。
そんなことを考えながら私はDVDを挿入したパソコンの画面を覗いた。

ストーリー。途中の伸びや説明の不足があった。もう少しストーリー本筋として繋げてほしかったところではある。8〜10話は流石に眠気がしてしまった。確かにこれもストーリー内容の意味を暗示するという行為には思えるが本筋と全く切り離された平行世界の話では正直つまらない。説明の不足として結果的に不明な部分が何度かある。後半の騒動についてメタファーや観念的世界として捉えられれば良いのかもしれないがこれは視聴者に考えてもらおうと思っているのだろうか。少しだけ残念である。
しかし、人の考え方や行動に呼びかける映像作品としての姿勢は非常に新しいものがあるように感じる。あまりにも直接的で臭いものの、現実と架空、加害者と被害者という対をベースに描き切った人の心は私も思わず納得し涙した。今この現実にありがちなその状況は監督がネット黎明期に感じ取ったものだろう。

作画は、反復される描写などから全体を通す豪華さは感じられなかったものの後半のシーンの動きはTVアニメになせないものだろう。監督の作品に共通の描写も見られた。やっぱりコンテがうまい。私はアニメ作品で最も大事なのはコンテだと考えている。やはり視線の動き方から光の使い方、ピントの合わせ方など一線を画すクオリティにある。8話のゼブラの顔や動きのリアルさを見て原画マンを予想したが、やっぱり沖浦さんだった。
キャラデザインは監督の修正もあるだろうから、同じ監督の作品を見てると分かる感覚、いつものである。相変わらず表情を描くのに適していて線の少ない、才能を感じるデザインだ。

音楽は平沢氏の作曲だ。アニメが長いので使い回されることが多いが、不気味さを補完するには申し分ない。妄想の世界の恐怖感について表現できる数少ない音楽家だろう。

声優の演技は非常に面白かった。当時新人と思われる人が残念だが(しかし能登さんはこの後大成する)、ベテランが上手すぎる。この作品は大量の人物について代役として登場する脇役(妄想世界だからだろう)の演技が難しいため納得した。

全体を通してこの作品に多少の残念な部分はあるものの、地上波では再現が難しい技術を用いるなどして実現したクオリティや考察の余地について考えると一見の余地ありと私は評価する。私見だがこの作品は大人の心には刺さるであろう。

※2回目を見たらまた新たに納得した部分があったため物語の評価を上げた。

投稿 : 2019/03/16
閲覧 : 433
サンキュー:

5

北海イクラ さんの感想・評価

★★★★☆ 3.5
物語 : 3.5 作画 : 3.5 声優 : 3.5 音楽 : 3.5 キャラ : 3.5 状態:観終わった

ミステリー

うっかりリードを手放してしまったせいで車に轢かれ死んだ犬を、自分ではなく誰かに殺されたと思い込む。これが「少年バット」という言い訳のための妄想。この少年バットが現実化して言い訳を求める人たちを襲っていき、肥大化した妄想はついに街を飲み込む。最終的に月子は自身の過去を受け入れ(言い訳をやめ)、少年バットは消滅。しかし言い訳を探す人が存在する限り、また少年バットは現れるかもしれない。

という感じ。色々伏線や考察ポイントがあるので2周目以降も楽しめると思う。

投稿 : 2019/02/06
閲覧 : 333
サンキュー:

2

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妄想代理人のストーリー・あらすじ

『妄想代理人』(もうそうだいりにん)は、マッドハウス製作の今敏監督によるアニメ作品。
疲れた現代社会を癒す人気キャラクター「マロミ」をデザインした鷺月子は、ある夜、通り魔少年バットに襲われた。
突如世間に現れた少年バットは次々と人々を襲いはじめ、市井の人々を恐怖へと陥れていく。しかし、幾人も被害者が出、多くの目撃者がいるにも関わらず、少年バットは一向に捕まりそうになかった。刑事猪狩慶一と馬庭光弘は捜査を進める中、被害者の持つ不思議な共通項に辿り着くのだが…。
(TVアニメ動画『妄想代理人』のwikipedia・公式サイト等参照)

放送時期・公式基本情報

ジャンル
TVアニメ動画
放送時期
2004年冬アニメ
制作会社
マッドハウス
公式サイト
www.mousou.tv/
Wikipedia
ja.wikipedia.org/wiki/%E5%A6%84%E6%83%B3%E4%BB%A3%E7%90%86%E4%BA%BA

声優・キャラクター

能登麻美子、桃井はるこ、阪口大助、飯塚昭三、関俊彦、槐柳二、京田尚子、内海賢二、陶山章央、山口眞弓、中嶋聡彦、水樹奈々、藤原啓治、三石琴乃、津村まこと、郷里大輔

スタッフ

原作:今敏、 総監督:今敏、シリーズ構成:水上清資、キャラクターデザイン:安藤雅司、美術監督:池信孝、色彩設計:橋本賢、撮影監督:須貝克俊、編集:瀬山武司、音楽:平沢進、音響監督:三間雅文、音響効果:倉橋静男

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